ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

米国学者グループが慰安婦問題で安倍首相に声明2

2015-05-29 10:17:59 | 現代世界史
 5月5日欧米を中心とする日本研究者や歴史学者187人が、「日本の歴史家を支持する声明」と題する文書を公表し、安倍首相宛てに送付されたと報じられる件については、産経新聞の古森義久氏(ワシントン駐在客員特派員)が、次のように書いている。
http://www.sankei.com/column/news/150517/clm1505170006-n1.html
 「この一文は『日本の歴史家』を支持する声明」とされていたが、『日本の歴史家』が誰かは不明、日本政府や国民への一方的な説教めいた内容だった」
 当然、米教育出版社「マグロウヒル」の世界史教科書の慰安婦問題に関する記述と同じ主旨のことを書いている歴史家だろう。同教科書は、「日本軍は14~20歳の約20万人の女性を慰安所で働かせるために強制的に徴用し、慰安婦になることを強要した」「逃げようとして殺害された慰安婦もいた」などと強制連行があったかのように記述し、「日本軍は慰安婦を天皇からの贈り物として軍隊にささげた」と虚偽の内容を書いている。このような記述と同じような主張をしている自虐的・反日的な「日本の歴史家」を支持するというのが、先の声明と考えられる。
 古森氏は、声明の発信者について次のように分析している。
 「発信者とされる187人には『米国の日本研究者』とは異なるような人物たちも多い。安倍政権非難の活動に熱心な日本在住のアイルランド人フリー記者や性転換者の権利主張の運動に専念する在米の日本人活動家、作家、映画監督らも名を連ねる。中国系、韓国系そして日本と、アジア系の名も40ほどに達する」と。
 そして同声明は「米国全体からみれば極端な政治傾向の人物たちの主導で発せられた」とし、主導者について次のように書いている。
 「声明作成の中心となったコネティカット大学教授のアレクシス・ダデン氏は日本の尖閣や竹島の領有権主張を膨張主義と非難し、安倍首相を『軍国主義者』とか『裸の王様』とののしってきた。マサチューセッツ工科大学名誉教授のジョン・ダワー氏は日本の天皇制を批判し、日米同盟の強化も危険だと断じてきた。コロンビア大学教授のキャロル・グラック氏は朝日新聞が過ちだと認めた慰安婦問題記事の筆者の植村隆氏の米国での弁解宣伝を全面支援している。要するにこれら『米国の日本研究者』たちは米国の多数派の対日認識を含む政治傾向や歴代政権の日本への政策や態度よりもはるかに左の端に立つ過激派なのである」と。
 また、彼らのような反日・親中・親韓のニュー・レフト(新左翼)であっても、今回の声明では、「強制連行」「20万人」「性奴隷」という言葉は使っていない。
 声明については、拓殖大学客員教授・藤岡信勝氏も発言している。その全文を転載にて紹介する。
2月5日米国の歴史学者19人が日本政府の訂正要求を拒否する声明を出したのに対し、3月17日秦郁彦氏ら日本の19人の有識者が連名で反論を行い、明確な事実誤認部分8カ所について、教科書出版社に訂正を求める声明を公表した。藤岡氏は、この19人のうちの一人である。

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●ZAKZAK 平成27年5月22~23日

http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20150522/dms1505221140010-n1.htm
欧米学者による「日本の歴史家を支持する声明」に異議あり 藤岡信勝氏緊急寄稿(上)
2015.05.22

 安倍晋三首相が8月に発表する「戦後70年談話」を見据えて、欧米を中心とした日本研究者450人以上が署名した「日本の歴史家を支持する声明」が注目されている。韓国や中国の「民族主義的な暴言」を問題視する一方、日本政府に慰安婦問題など「過去の清算」を促している。当初、「比較的フェア」という見方もあったが、専門家が分析すると「怪しさ」や「狡猾な罠」も感じられるという。日本の知識人による反撃の覚悟とは。拓殖大学の藤岡信勝客員教授が緊急寄稿した。

 欧米を中心とした各国の歴史学者・日本研究者187人の声明が発表されたのは今月5日だった。20日までに賛同者は457人に増加したと朝日新聞が報道している。朝日新聞、本日も反省なしか。
 声明の趣旨は、戦後70年にあたり、安倍首相は日本の過去の戦争における「過ち」について、「全体的で偏見のない清算」をするように呼びかけ、慰安婦問題の解決に「大胆な行動」を期待する、というものである。明示していないが、安倍首相の「戦後70年談話」で「謝罪」せよと要求したものであると考えられる。
 それにしても、この声明は一体、何なのか。まことに怪しい。
 まず、誰にあてて出されたものか、名宛人がハッキリしない。代表者が誰なのかも分からない(=声明の署名者一覧は、名字のアルファベッド順に並んでいるだけ。取りまとめ役の1人としては、慰安婦問題で日本に批判的なコネティカット大学のアレクシス・ダデン教授の名前が報じられている)。江戸時代、唐傘に円形に署名して首謀者を分からないようにした傘連判(かされんぱん)のようだ。連絡先の事務所も不明で、日付もない。いわば、怪文書の体裁だ。それでいて、首相官邸にも届けたというが、真偽、消息とも不明。
 タイトルは「日本の歴史家を支持する声明」である。この発想は、3月に米国の全米歴史学会の雑誌に投稿された「日本の歴史家たちと連帯する」とそっくりだ。この時は19人が署名した(後に1人が加わって20人)。テーマは米マグロウヒル社の世界史教科書に載っている、「慰安婦」というコラムの記述だった。
 昨年11月3日、産経新聞がマグロウヒル社の世界史教科書の内容を報道した。20万人の若い女性を強制連行し、天皇の贈り物であるとして部隊に下賜した-というデタラメ極まりない、ひどい内容である。すると、今まで動いたことのない日本の外務省が、11月から12月にかけて、マグロウヒル社に訂正の申し入れをした。
 米国から見ると日本は属国である。「この国はどんな辱めを受けても反撃してこない特殊なところだ」と高をくくっていたら、意外にも反乱を起こした。ここは示しをつけなければならない、という雰囲気で文書は書かれていた。日本の軍慰安婦は「国営性奴隷制」であるというのが、本質規定だった。
 ところが、今回の声明には「強制連行」「性奴隷」「20万人」などの言葉がすっかり消えているのである。驚くべき変化だ。
 実は、5月の187人の署名者の中には、3月の19人の文書にも名を連ねた人物が12人もいるのである。3月の声明と5月の声明の間に、一体何があったのか。そこには、日本側の毅然とした反論があったのだ。

米大学名誉教授ら450人超署名
 問題の声明は今月5日、「日本の歴史家を支持する声明」として発表された。ベストセラー『ジャパン・アズ・ナンバーワン』の著者であるハーバード大学のエズラ・ボーゲル名誉教授ら187人が名前を連ねていたが、21日までにオランダ人ジャーナリスト、イアン・ブルマ氏ら約270人が新たに署名し、450人を超えたという。
声明の中身だが、「戦後日本が守ってきた民主主義、自衛隊への文民統制、政治的寛容さなどは祝福に値する」としたうえで、「慰安婦問題などの歴史解釈が(祝福の)障害となっている」と指摘している。
 一方で、「韓国と中国の民族主義的な暴言にもゆがめられてきた」と明言。韓国側が「20万人以上」などと主張する慰安婦の数についても「恐らく、永久に正確な数字が確定されることはない」とした。韓国や左派勢力が使う「性奴隷」(Sex slaves)といった言葉は使われていない。
 安倍晋三首相が4月の米上下両院合同会議での演説で「人権という普遍的価値、人間の安全保障の重要性、そして他国に与えた苦しみを直視する必要性」について語ったことを称賛し、「その一つ一つに基づいて大胆に行動することを首相に期待してやみません」と訴えている。
 声明の最後には「ここに表明されている意見は、いかなる組織や機関を代表したものではなく、署名した個々の研究者の総意にすぎません」とあった。(続く)

http://www.zakzak.co.jp/society/domestic/news/20150523/dms1505231530004-n1.htm
欧米学者声明に異議 “持ち上げ”は慰安婦で謝罪させる罠か 藤岡信勝氏緊急寄稿(下)
2015.05.23

 3月に出された声明「日本の歴史家たちと連帯する」(19人が署名。後で1人加わる)と、5月の「日本の歴史家を支持する声明」(187人が署名。現在は450人超)の間には、日本側の毅然とした動きがあった。現代史家の秦郁彦氏を代表とする日本の歴史家19人が3月17日、米大手教育出版社「マグロウヒル」の教科書の誤り8カ所を指摘し、同社に訂正勧告をしたのだ。
 一例をあげよう。
 教科書は、慰安婦の総数を「20万人」としつつ、「慰安婦が毎日20人~30人の男性を相手にした」と書いている。そうすると、日本軍は毎日、400万回~600万回の性的奉仕を調達したことになる。他方、相手となるべき日本陸軍の海外兵力は、最盛期の1943年で100万人であった。そこで、教科書に従えば、彼らは全員が「毎日4回~6回」慰安所に通ったことになる。これでは戦闘準備をする時間はおろか、まともに生活する暇もなくなる。
 こうした反論は、手裏剣のように相手の論理の急所に突き刺さった。さすがに「20万」という数字は言えなくなった。この推定が当たっているとすると、日本からの訂正勧告は、今年の歴史戦の大戦果の1つになる。
 5月声明の187人の署名者の中には、3月声明の19人の文書にも名を連ねた人物が12人もいる。それらの人々が自説を変えたのなら、まずマグロウヒル社の教科書是正をわれわれと一緒に要求すべきだ。
187人の声明では、戦後日本の国際貢献をやたらに持ち上げている。「世界の祝福に値する」とまで言う。だが、それは1つの伏線で、その祝福を受けるにあたって障害となっているものが「歴史解釈」の問題だとして慰安婦問題を持ち出すのである。
 「20世紀に繰り広げられた数々の戦時における性的暴力と軍隊にまつわる売春のなかでも、『慰安婦』制度はその規模の大きさと、軍隊による組織的な管理が行われたという点において、そして、日本の植民地と占領地から、貧しく弱い立場にいた女性を搾取したという点において、特筆すべきものであります」
 何のことはない。「19人」は刑事部屋の鬼刑事である。被疑者を恫喝(どうかつ)して、ひたすら自白させようとする。嘘がバレてうまくいかなくなったので、今度は「187人」が温情刑事として登場する。「お前さんはいいこともした。罪を認めて謝罪すればもっと褒められる」という。どっちも日本に謝罪させようとする目的は同一なのだ。
 日本政府は怪文書(声明)を無視したらいい。われわれ民間は徹底的に論争する。反日包囲網を敷かれても真実はこちらにあるから、必ず勝利する、と私は確信している。 =おわり
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関連掲示
・拙稿「慰安婦問題:米教科書会社に秦郁彦氏らが訂正要求」
http://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/7464ca0fabc8f24ce6c47cf64400a7a5
・拙稿「米教科書が7年以上前から、慰安婦は『30万人』『強制連行』と記述」
http://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/s/%A5%DE%A5%AF%A5%B0%A5%ED%A5%A6

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