ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

慰安婦問題の虚偽14~米メディアが非難

2007-06-30 08:50:03 | 歴史
●安倍首相発言を米メディアが非難

 安倍首相の慰安婦問題に関する発言は、アメリカのメディアによる激しい非難を引き起こした。
 3月2日付のワシントン・ポスト紙は、安倍首相の談話を報じ、大意次ぎのように書いた。

 「歴史家たちは、20万人の女性(朝鮮半島と中国出身者が多くを占める)が1930年代から40年代を通じ、アジア全域で働いたと言う。日本軍部隊によって誘拐され、性奴隷になるべく強制されたと多くの女性が語っている。しかし、昨年9月に就任して以来、学校での愛国心教育と、主張する外交を推進してきた安倍首相は、『女性を売春婦にするよう強制したという証拠はない』と記者団に語った。首相の発言は、1992年に発見された公文書の証拠と矛盾するものだ。それは軍当局が業者と一体になって女性を売春宿に強制的に斡旋する上で、直接に関与していたことを示すと歴史家は語っている」

 他の新聞も似たようなもので、誤謬に満ち、根拠のない思い込みでものを書いた記事が続出した。

 「安倍首相は日本政府の長年の公的立場と矛盾する、日本軍が外国人女性を強制的に性奴隷としたことを否定した」(ニューヨーク・タイムズ紙 3月2日付東京発)
 「慰安所は商業施設ではなかった。女性たちの調達には、隠然・公然の暴力が用いられた。そこで行われていたのは絶え間ない強姦であって売春ではなかった」(ニューヨーク・タイムズ紙 3月6日付社説)
 「ホロコーストを否定するようなものだ」(サンノゼ・マーキュリー紙 3月6日付)
 「この問題を修復する最適任者は天皇本人だ」(ロサンゼルス・タイムズ紙 3月7日付、社説)

●間違いだらけ、飛躍した主張

 これらの記事の間違いを指摘したい。

1.「歴史家たちは、20万人の女性が‥‥働いたと言う」
 20万人という数字は誇大である。実証的な研究書である秦郁彦氏の『慰安婦と戦場の性』(新潮選書)は、軍人の数や慰安婦の接客回数から推計して、慰安婦の総数を2万人前後から2万数千人としている。

2.「朝鮮半島と中国出身者が多数を占める」
 多数を占めていたのは、日本人女性である。秦氏は、昭和戦前期の日本の領事館が慰安婦の人種別人数を記載している報告書を出しているものをもとに、日本人が4割、それぞれの地域の現地人が3割、朝鮮人2割、その他1割と計算している。

3.「日本軍部隊によって誘拐され」
 吉田清治氏は、軍の命令で韓国の済州島に出かけ、多数の女性を慰安婦にするために狩り立てたと「自白」して謝罪しているが、済州島の現地調査により、虚説であることが確認されている。吉田氏本人は、行方をくらませている。

4.「1992年に発見された公文書の証拠と矛盾する」
 軍による直接的かつ組織的な誘拐を示す公文書は、見つかっていない。1992年に発見された公文書とは、同年1月11日付の朝日新聞が報じたものだが、これは業者による誘拐を防ぐための指令書であり、軍が強制連行をしていなかったことの証拠になるものである。

5.安倍首相が「日本軍が外国人女性を強制的に性奴隷としたことを否定した」
 否定していない。そのことに言及していない。

6.「慰安所は商業施設ではなかった。」「売春でなかった」
 事実と異なる。慰安所は料金を支払って利用する商業施設であり、慰安婦は一定の雇用条件のもとで務め、性的慰安を行って高給を得ていた。そのことを最もよく明かすのは、米陸軍が昭和19年(1944)9月に作成した「前線地区での日本軍売春宿」と題した報告書である。アメリカのメディアは、自国の軍が作成した報告書を、まず読むべきである。

7.ホロコースト、天皇、拉致問題との関連付け
 慰安婦問題の事実関係に触れることが、「ホロコーストを否定するようなものだ」とは、ひどい飛躍である。安倍首相は、慰安婦に関する発言で、ナチスによるユダヤ人虐殺に関しては、述べていない。
 ある程度定説的になった歴史認識に対して、事実の調査・検討に基いて見直しを行なうことは、学問の自由として保障されねばならない。
 なお、慰安婦は、ユダヤ人のように組織的に多数虐殺されてはいない。慰安婦は戦地で多数が殺されたとか置き去りにされておらず、9割以上が生還したと秦氏は推定している。
 慰安婦問題について天皇を持ち出すのは、「女性国際戦犯法廷」の影響だろう。この「法廷」は、慰安婦問題に関して昭和天皇を一方的に断罪した。そこには、北朝鮮が深くかかわっていた。また、慰安婦の話しで北朝鮮による拉致を減殺するかの主張も、北朝鮮の工作の影響だろう。アメリカ政府は、北朝鮮の拉致問題や核施設に関して厳しい交渉を行なっている。その相手国を利するような報道をするのは、反国家的行為であり、アンタイ・アメリカ的行為だろう。

 安倍首相が、記者会見で安易な発言をし、事実を無視するアメリカのメディアから非難を受けたのは、わが国政府が事実を調べ、またそれを伝える努力をまったく行なわずにきたことの報いである。

 次回に続く。

慰安婦問題の虚偽13~安倍首相の甘さ

2007-06-29 08:55:46 | 歴史
●アメリカ議会での対日非難決議の動き

 アメリカでは、平成6年(1994)、海外華僑、中国系住民によって「世界抗日戦争史実維護連合会」(以下、抗日連合会)が創設された。抗日連合会は、本部をカリフォルニア州クパナティノにおき、傘下に50以上の下部組織を持つ。中国国営の新華社通信とウェブサイトを共有するほか、中国側の公的組織との共催の形で日本批判のセミナー類の行事を中国国内で頻繁に開き、中国当局との密接なきずなを明示している。
 抗日連合会はその任務を日本の残虐行為を恒常的に糾弾し、謝罪や賠償を求め続けることとし、日本側のこれまでの謝罪や賠償をまったく認めずにわが国の教育や言論にまで干渉しようとしている。平成9年(1997)には、アイリス・チャン著の『レイプ・オブ・南京』を、組織をあげて宣伝した。また、同17年(2005)年春に中国で起こった反日デモを煽ったと見られている。

 抗日連合会の幹部イグナシアス・ディン氏は、1990年代後半、当時カリフォルニア州下院議員だったマイク・ホンダ氏に接近した。ディン氏は、「ホンダ氏と共同で州議会に出す決議案の草案を書き、日本の南京大虐殺、731細菌部隊、米人捕虜虐待、慰安婦強制徴用など戦争犯罪を追及した」と地元の新聞に述べているように、平成11年(1999)にが、ホンダ氏の「日本への戦後補償要求決議」の採択を州議会で成功させている。
 ホンダ氏は、翌12年(2000)に、州議会から連邦議会への転出を図り、ディン氏らの支援で、下院議員になった。そして、連邦議会でホンダ議員が、執拗に取り組んできたのが、旧日本軍の慰安婦問題である。ホンダ議員は、平成13年、15年、18年、19年、つまり2001年、03年、06年、07年と連続して、慰安婦問題で日本政府に謝罪を求める決議案を提出した。その内容は、ディン氏らの意向に沿ったものである。

 ホンダ議員の決議案提出を受けて、米議会調査局は、平成18年(2006)4月、日本の慰安婦制度に関する報告書を出した。この報告書の「慰安婦制度の説明文献」は、冒頭に吉田清治氏の著書を挙げている。議会の調査員も、吉田氏の著書が虚説を書いたものと知らずに、資料として扱っていたのである。アメリカの下院議員たちは、そのような報告書をもとに、対日非難決議を審議していたのである。

●安倍首相の慰安婦問題対応に甘さ

 平成18年(2006)10月、首相となった安倍晋三氏は、就任直後に、河野談話を「受け継ぐ」と表明した。それまで安倍氏は、慰安婦問題について、歴史的事実を踏まえた認識を述べていた。また「女性国際戦犯法廷」に関するNHKの番組を巡っては、朝日新聞に政治の介入といわれなきことを書かれた当事者であり、慰安婦問題の背後に政治的・思想的な動きがあることは、十分承知している。それにもかかわらず、安倍首相が河野談話を「受け継ぐ」と述べたことは、安易だったと思う。
 安倍首相は、本年(平成19年)3月1日、記者団の質問に答えて、慰安婦問題について見解を述べた。朝日新聞は、「首相 河野談話見直しを示唆/「強制性裏付けなかった」」という見出しの記事でこれを報じた。同月4日付の朝日新聞から引用する。

――自民党議連で談話見直しの提言を取りまとめる動きがあります。
 安倍首相: 「当初、定義されていた強制性を裏付けるものはなかった。その証拠はなかったのは事実ではないかと思う」

――強制連行の証拠がないにもかかわらず(強制性を)認めたという指摘もあります。談話見直しの必要性は。
 「(強制性の)定義が(「狭義」から「広義」へ)変わったということを前提に考えなければならないと思う」

――(議連の動きは)中韓との関係に水を差す懸念はありませんか。
 「歴史について、いろいろな事実関係について研究することは、それはそれで当然、日本は自由な国だから、私は悪いことではないと思う」

 このやり取りにおいて、安倍首相は、「当初、定義されていた強制性を裏付けるものはなかった」と語った。また「定義が変わったということを前提に考えなければならないと思う」と発言した。
 この首相発言は、強制には広義と狭義があり、狭義の強制性は裏付けるものがなかったが、広義の強制性は認めたものと解釈されるだろう。
 河野談話は、「慰安婦の募集については、‥‥官憲等が直接これに加担したこともあったことが明らかになった。」と述べている。それゆえ、河野談話は強制連行があったと認めたものという解釈が広まった。もし安倍首相が、強制連行を示す証拠はないと考えるなら、河野談話のこの部分を明確に修正すべきである。
 しかし、首相は、その修正をせずに、強制性の定義が変わったと言う。河野談話は、先ほどの部分に続いて、「また、慰安所における生活は、強制的な状況の下での痛ましいものであった。」と述べている。これは、強制連行とは異なる漠然とした強制性を持ち出し、広く「本人たちの意志に反して」行なわれたことを意味するものを強制性に加えている。
 安倍首相は、河野談話を「受け継ぐ」と表明しているから、この記者会見で、狭義の強制性としての強制連行には否定的な見解を述べてはいても、広義の強制性を否定する発言とはなっていない。そのため、海外で流布している「性奴隷化」という虚説に対して、無防備な発言となったと思う。

 次回に続く。

慰安婦問題の虚偽12~女性国際戦犯法廷

2007-06-28 10:01:23 | 歴史
●「女性国際戦犯法廷」が国際的な画期に

 慰安婦問題において、国際的に見て画期となったことの一つに、「女性国際戦犯法廷」がある。この集会は、平成12年(2000)12月、東京で行われた。主催は「戦争と女性への暴力」日本ネットワーク(バウネット・ジャパン)のメンバー。当時の代表は、元朝日新聞記者の故・松井やより氏である。
 主催者は、集会の目的を「『慰安婦』制度という日本軍性奴隷制が女性に対する戦争犯罪であった真相を明らかにします。被害女性たちの尊厳を回復し、日本政府に戦争責任・戦後責任をとらせる手がかりとし、性奴隷制や強かんなどの戦時・性暴力が今後世界各地で繰り返されないよう、女性の人権が尊重される平和な新世紀を創ることです。」としていた。
 集会参加者は、出席した元慰安婦らの証言及び文献資料をもとに、我が国の慰安所制度が人道に対する罪、とりわけ強姦と奴隷化にあたるとし、昭和天皇を人道に対する罪について「有罪」と断じ、また日本政府には国家責任があるとした。

 判事役・検事役は、アメリカ、アルゼンチン、イギリス、タイ、ケニア。アメリカ、オウトリア、韓国、北朝鮮、中国等の諸国から集まった。しかし、この「法廷」は、法廷とは名ばかりで、法的根拠はない。また被告側に弁護団役がなく、裁判の名を借りた一方的な糾弾集会にすぎない。
 注目すべきは、検事役に、北朝鮮の代表者が3人入っていたことである。うち2人については、安倍晋三議員(当時)が、北朝鮮の工作員と認定されて日本政府よりこれ以降入国ビザの発行を止められていることを指摘し、女性国際戦犯法廷に北朝鮮の工作活動がされていたとする見方を明らかにした。

 翌13年(2001)年12月には、オランダのハーグで再度「法廷」が開催され、「最終判決」なるものを発表した。
慰安婦問題で国際的に対日批判を広げたのは、共産主義者、在日コリアン、急進的なフェミニスト、左翼のキリスト教徒等の国際的な連携と見られる。

●NHKの放送とそれをめぐる裁判、朝日・NHKの泥仕合

 NHKは、平成12年12月の「女性国際戦犯法廷」を取材し、翌13年1月に、ETV2001「問われる戦時性暴力」と題して全国放送した。製作段階で局内で問題になり、番組の一部が改変された。公共放送としてそのままでは放送できない内容があったからである。しかし、この改変について、主催者団体であるバウネットが裁判を起こした。
 バウネットは、平成13年7月に、NHKや制作会社等に損害賠償を求めて、東京地裁に提訴した。東京地裁は、平成16年(2004)3月、NHKの責任は認めず、製作会社にのみ賠償命令を出した。これに対し、原告が控訴。東京高裁は、平成17年(2005)1月、バウネットの放送内容への「期待権」に対する侵害と「説明義務」違反を認め、NHK等の三者に賠償を命じた。NHKは、判決を不服として上告した。まだ抗争中である。

 二審の判決の出た17年1月、突然、NHKの製作担当・長井プロデューサーが内部告発めいた記者会見をした。朝日新聞は、この会見につき、NHKの幹部と安部晋三(現首相)・中川昭一(現政調会長)両衆議院議員を名指して、政治による報道への圧力と決め付けて報道した。安部氏・中川氏は、関与を明確に否定した。それによって朝日の報道姿勢の異常さが明らかになったが、NHKと朝日は非難合戦の泥仕合を続け。マスメディアへの国民の不信を高めた。

●背後に北朝鮮の工作、共産主義・フェミニズムの国際的連携が

 二審の判決が出た翌月となる平成17年2月1日、「『女性国際戦犯法廷』に対する冒とくと誹謗中傷を許さない日朝女性の緊急集会」が東京で開催された。「女性国際戦犯法廷」には、検事役に北朝鮮の代表者が3名いたわけだが、うち2名は工作員だった。こういう「法廷」への「冒とくと誹謗中傷を許さない」というのが、この集会の目的である。

 この集会に参加しようとした殿下氏なる人物が、以下のように報告している。
http://blog.goo.ne.jp/takkie0516/e/dc32611dccbf0887f5019cce98774b1a
 会場は、衆議院第2議員会館の第1会議室。国会議員が思量する議員会館に、この様な集会の会場を手配したのは、民主党の石毛えい子・衆議院議員。以前から、慰安婦問題等で北朝鮮との関係の深い人物である。
 殿下氏が集会に参加しようとすると、「朝鮮総連広報担当者」だと名乗る男から、「我々の知らない方には居て欲しくない」と傍聴を断わられた。集会における発言者の中には、金昭子・在日本朝鮮民主女性同盟中央本部委員長がいたという。朝鮮総連中央委員会の副議長であり、北朝鮮の国会議員である。

 殿下氏の報告から、「女性国際戦犯法廷」を支持する集会は、北朝鮮による対日工作の一環と考えられる。金正日が、慰安婦問題等を、自己の権力維持のために利用しているのである。北朝鮮は、人権に関して最も劣悪な状況にある国のひとつである。そうした国が、元慰安婦や女性の人権問題を利用しているとは、笑止千万である。
 慰安婦問題で国際的に対日批判を広げている共産主義者、在日コリアン、急進的なフェミニスト、左翼のキリスト教徒等は、北朝鮮の関与を知りながら、北朝鮮における人権問題を取り上げない。60年以上も前の元慰安婦の人権を用いて日本を批判しながら、現実にいま北朝鮮で行なわれている人権侵害を批判しない。ここに明瞭な政治性・思想性がある。

 さらに今日、慰安婦問題を韓国・北朝鮮以上に利用するようになっているのが、中国である。中国共産党は、アメリカを中心に慰安婦問題を使った反日工作を進めている。昨26日、アメリカの下院外交委員会で、対日非難決議が採択されたが、その背後には、慰安婦問題の国際的な広がりを利用して、アメリカ議会への宣伝・買収工作を進めた中国の存在がある。

 その点は、次回に書く。


米下院外交委が「慰安婦」決議

2007-06-27 17:46:02 | 歴史
 米下院外交委で慰安婦問題に関する対日非難決議案が採択された。捏造や誇張の多い資料とその時々で内容の変わる元慰安婦の証言の誤りを見抜けず、また自国の所業を棚に上げて行った独善的な決議である。
 今後、下院に上程されるが、安倍首相は、このような事実を無視した決議に圧されて、公式な謝罪声明など出してはならない。逆に、これを機会に、わが国の名誉と誇りを損ねている河野談話を訂正し、事実調査と学術研究に基づく新たな政府見解を準備・発表すべきである。そして、わが国政府は、これまでの姿勢を改め、米国に事実を知らせ、同盟国の中にある誤解を解く努力を行うべきである。

●慰安婦・南京・靖国は一連の対日攻撃

 慰安婦問題の次は、南京事件である。今年、対日非難的な南京映画の製作は、12本に上るという。慰安婦問題で事実に反することを公式に認めて謝罪するならば、「南京大虐殺」も認めざるを得なくなるおそれがある。国際反日勢力は、その次は、靖国問題に焦点を合わせているようである。「A級戦犯」の分祀の要求に、韓国人英霊の分祀の要求を加える動きが出ている。

 慰安婦・南京・靖国は、日本人の誇りを打ち砕いて日本を精神的に弱体化し、東アジアに覇権を確立するために、中国が利用しているものと思う。
 国際社会における日本の評価を下げ、相対的に中国が影響力を強めるということは、当然の目標だが、慰安婦・南京・靖国における対日攻撃の真の標的は、天皇の存在にある。
 慰安婦問題や南京事件に関して昭和天皇を断罪し、靖国神社における天皇と英霊と国民の紐帯を断つ。こうすることによって、天皇の権威と信頼を貶める。天皇は、日本の国民統合の象徴であり、扇の要のような存在であるから、要をはずせば扇はばらばらになるように、日本国民は解体する。これに呼応して、日本の国内で、日本人や日本人に成りすました者が、中から日本の非日本化を進めようとしている。

 私は、このような戦術の一環として、慰安婦・南京・靖国が宣伝戦に使われていると思う。慰安婦で敗れれば、次の攻防はより厳しくなる。政府及び国民は、慰安婦問題において、事実を伝え、名誉を守ることに力を尽くしたいと思う。

 以下、米下院外交委報道のクリップ。

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<慰安婦問題に関する米下院外交委の決議案全文>

【ワシントン26日聯合】米下院外交員会で26日、旧日本軍の従軍慰安婦問題に関し決議案が採択された。以下は下院121号決議案の全文。
 日本政府は1930年代から第2次世界大戦期間に、「慰安婦」と呼ばれる若い女性を日本軍に性的サービスを提供する目的で動員することを公式に委任した。日本政府による強制の軍隊売春制度「慰安婦」は、集団の性的暴行や強制流産、辱め、身体の切断や死亡、究極的に自殺を招いた性的暴行など、残虐性と規模で前例のない20世紀最大規模の人身売買のひとつだ。

 日本の学校で使われている新しい教科書は、慰安婦の悲劇や太平洋戦争中の日本の戦争犯罪を縮小しようとしている。

 日本の公共、民間の関係者は、慰安婦の苦しみに対する政府の真剣な謝罪を盛り込んだ1993年の河野洋平官房長官の慰安婦関連談話を希釈したり撤回しようとする意図を示している。

 日本政府は、1921年に女性と児童の人身売買を禁止する条約に署名し、2000年には武力紛争が女性に及ぼす影響に関する国連安全保障理事会決議1325号も支持している。

 下院は、人間の安全と人権、民主的価値、法律の統治や安保理決議1325号への支持など、日本の努力を称賛する。

 日米同盟はアジア太平洋地域での米国の安保利益の礎で、地域安定と繁栄の根本だ。

 冷戦以降、戦略的な環境の変化にかかわらず、日米同盟はアジア太平洋地域で政治・経済的な自由と人権、民主的制度に対する支持、両国国民と国際社会の繁栄確保などを含む共同の核心利益と価値に基盤を置いている。

 下院は、日本の官僚や民間人の努力で1995年に民間レベルのアジア女性基金が設立されたことを称賛する。アジア女性基金には570万ドルが集まり、日本人の贖罪(しょくざい)を慰安婦らに伝えた後、2007年3月31日付で活動を終了した。

 以下は米下院の共同意見。

1.日本政府は1930年代から第2次世界大戦終戦に至るまでアジア諸国と太平洋諸島を植民地化したり戦時占領する過程で、日本軍が強制的に若い女性を「慰安婦」と呼ばれる性の奴隷にした事実を、明確な態度で公式に認めて謝罪し、歴史的な責任を負わなければならない。

2.日本の首相が公式声明を通じ謝罪すれば、これまで発表した声明の真実性と水準に対し繰り返されている疑惑を解消するのに役立つだろう。

3.日本政府は、日本軍が慰安婦を性の奴隷として人身売買を行った事実は決していないとする主張に対して、明確に、公開的に反論しなければならない。

4.日本政府は、国際社会が提示した慰安婦に関する勧告に従い、現世代と未来世代を対象に残酷な犯罪について教育を行わなければならない。

●読売新聞 平成19年6月27日付

米下院外交委「慰安婦」決議を採択…日本政府に謝罪要求

(読売新聞 - 06月27日 10:49)
 【ワシントン=五十嵐文】米下院外交委員会は26日午後(日本時間27日未明)、旧日本軍のいわゆる従軍慰安婦問題で日本に公式な謝罪を求める決議案の修正案を賛成39、反対2の賛成多数で採択した。
 ナンシー・ペロシ下院議長(民主党)は決議案採択後、「本会議で採択し、強いメッセージを発したい」とする声明を発表した。決議案が7月中にも本会議で採択されるのは確実な情勢となった。
 決議案の修正案は民主党のトム・ラントス外交委員長と、共和党のイリアナ・ロスレーティネン筆頭理事が提出した。安倍首相が4月の訪米時に元慰安婦へのおわびを表明したことなどを踏まえ、原案が要求した「日本国首相の公式の声明としての謝罪」を、「首相が公式な声明として謝罪すれば、これまでの声明の誠意に関し繰り返される疑問を晴らすのに役立つだろう」とやや表現を弱め、日米同盟の重要性を指摘する文章も新たに追加した。

●産経新聞 平成19年6月27日付

http://www.sankei.co.jp/kokusai/usa/070627/usa070627002.htm
慰安婦決議案を可決 米下院外交委 首相の公式謝罪促す

 【ワシントン=有元隆志】米下院外交委員会は26日、慰安婦問題に関する対日非難決議案を原案を一部修正のうえ、39対2(欠席9)の賛成多数で可決した。民主党だけでなく共和党議員の多くも賛成したことから、下院本会議に上程されれば、採択されるのは確実とみられている。
 決議案には法的拘束力はないが、日本の首相による公式謝罪を促している。
 民主党のラントス委員長(カリフォルニア州)と共和党のロスレイティネン筆頭理事(フロリダ州)は同日、(1)日米同盟のアジア太平洋地域で占める重要性を確認する(2)日本の首相が慰安婦問題で公式謝罪すれば、日本の誠実さや声明に対し、これまで繰り返されてきた疑問を解く助けになる-と原案よりも表現をやや緩やかにした共同修正案を提出した。
 ラントス委員長は「米国の大切な同盟国である日本が、過去に起きたことに正直に責任を負おうとしないことに当惑する。日本の公式謝罪拒否は、友情を評価する者にとって憂慮すべきことだ」と述べた。
 反対したのはいずれも共和党の次期大統領候補のポール(テキサス州)、タンクレイド(コロラド州)の両議員。法案の内容ではなく、同委員会が過去の歴史問題を判断するのにふさわしくないとして反対した。
 提案者のホンダ議員(カリフォルニア州)は決議案可決後、記者団に対し、「修正案は、(決議案の)中心部分に影響を及ぼしていない」と述べ、あくまで日本政府の公式謝罪を求めた。そのうえで、7月第2週か3週に本会議で採択されることに期待感を示した。

●時事通信社 平成19年6月27日付

「正義のための闘い」称賛=慰安婦決議案で米下院議長

(時事通信社 - 06月27日 11:01)
 【ワシントン26日時事】ペロシ米下院議長は26日、戦時中の従軍慰安婦問題で下院外交委員会が可決した対日謝罪要求決議案の本会議可決を目指すとの声明を出し、同案を提出したホンダ議員について「慰安婦支援のための疲れを知らぬ活動、世界の正義・人権のための闘いは称賛すべきものだ」と述べた。
 その上で、「日本は米国の貴重な友人であり、環境保護や世界の貧困層のための人道支援などの分野で主導的な役割を果たしているが、慰安婦問題ではなおなすべきことがある」と指摘。「過去の過ちを認識し、未来の世代を教育するのに遅すぎるということはない」と強調した。 

●産経新聞 平成19年6月28日付

http://www.sankei.co.jp/kokusai/usa/070628/usa070628002.htm
慰安婦決議案 米下院委が可決 中国系反日団体が圧力

 【ワシントン=古森義久】米下院外交委員会(トム・ラントス委員長)が26日、慰安婦問題に関する対日非難決議案を可決したが、この動きの背後では中国系反日団体がラントス委員長に激しい圧力をかけ、敏速に採決の動きをとらなければ次回の選挙で別の候補を支援するという政治的脅しがあったことが報じられている。

 この情報はカリフォルニア州中部のニュースを報じる地方通信社「ベイ・シティ・ニューズ」(本社・サンフランシスコ)の6月14日発報道として流され、地元の新聞数紙に掲載された。

委員長に「対抗馬」示唆

 同報道によると、歴史問題で日本を一貫して非難している在米中国系団体「世界抗日戦争史実維護連合会」(以下、抗日連合会と略)の幹部たちは、他の在米中国系組織幹部とともに同州クパナティノの中国料理店で集会を開き、マイク・ホンダ議員らが下院に提出した慰安婦決議案の可決促進を協議した。抗日連合会のイグナシアス・ディン副会長(中国系米人)が語ったところでは、同幹部連は下院のナンシー・ペロシ議長とラントス委員長が(慰安婦決議案の採決推進に関して)言い逃げをしているとの見解を明示した。とくにラントス委員長は人権擁護派の評判にもかかわらず「同決議案支持へのわれわれの訴えに応じず、有権者とアジア系米人社会への軽侮を示している」と主張したという。

 このディン氏の発言はちょうどラントス委員長らが日系長老のダニエル・イノウエ上院議員から同決議案を審議しないよう要請され、さらに訪米した安倍晋三首相と会談して、同首相から慰安婦問題について「申し訳ない」という言明を得て、同決議案への取り組みをソフトにしたようにみえた時期と一致する。

 しかし「ベイ・シティ・ニューズ」の報道によると、抗日連合会の幹部らは民主、共和両党議員への政治献金者であり、このままではラントス委員長らに献金目的にのみ利用され、実際の行動では放置されるという懸念を表明した。そしてディン氏らは「選挙区の33%がアジア系住民であるラントス委員長が同氏らと意思疎通できないならば、もう新しい議員の選出の時期となるだろう」と告げた。ディン氏らはこの「脅し」をラントス委員長のカリフォルニア第12区の人口動態の数字と過去の投票結果で裏づけ、2008年の下院選挙では自分たち自身の候補をラントス委員長への対抗馬として立てることを示唆した。

 ディン氏は「ラントス事務所の私たちに対する最近の扱いにはまったく当惑している。すでに対抗候補として十分に資格のあるアジア系米人女性を含む数人を考慮している」と語ったという。

 在外中国系住民により1994年に設立された抗日連合会はホンダ議員の選挙区に本部をおき、中国政府とも密接なきずなを持ち、戦争や歴史に関して日本を一貫して非難してきたほか、2005年には日本の国連安保理常任理事国入りへの反対署名を4200万人分集めたと発表している。ディン氏ら幹部は1990年代からホンダ氏と連携して日本非難の決議案の作成や提出にかかわり、政治資金も集中的に提供してきた。

 ラントス委員長の事務所ではこのディン氏らの動きについての報道に対し26日、「もう実際の事態展開で事情は変わった」と述べた。

●読売新聞 平成19年6月27日付

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20070627i105.htm
「慰安婦」決議案、政府は静観の構え…一部議員に強い反発

 米下院外交委員会で26日、いわゆる従軍慰安婦問題に関する決議案が採択されたことについて、塩崎官房長官は27日午前の記者会見で、「政府の立場は4月の安倍首相訪米(の際のおわび表明)を含めて明らかにしている。付け加えることはない。他国の議会のことであり、政府としてコメントする筋合いのものではない」と述べ、事態の推移を静観する考えを示した。
 一方、今月14日の米紙ワシントン・ポストに、保守系識者とともに旧日本軍による「強制性」を否定する全面広告を掲載した自民、民主両党など超党派の国会議員らは、今回の決議案採択に強く反発している。
 有志議員らは「決議案は事実に基づかない一方的なもので、到底許容できない」(民主党中堅)としており、27日午後に記者会見を開いて見解を表明する予定だ。
 これに関連し、公明党の北側幹事長は27日午前の記者会見で、「日本政府の立場は河野官房長官(談話の)当時から何ら変わっていない。これまでの姿勢に誤解を生むような日本側からの発言は慎むべきだ」と、有志議員らに自制を促した。
(2007年6月27日12時52分 読売新聞)

●時事通信社 平成19年6月27日

http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=241074&media_id=4
平沼元経産相ら、米慰安婦決議を声明で批判=加藤元幹事長は悪影響を懸念

(時事通信社 - 06月27日 19:10)
 米下院外交委員会で従軍慰安婦問題に関する対日謝罪要求決議案が可決されたことを受け、平沼赳夫元経済産業相(無所属)は27日、衆院議員会館で記者会見し、「事実に基づかない決議は、日米両国に重大な亀裂を生じさせる。憂慮をもって受け止める」とする声明文を発表した。会見には自民党の島村宜伸元農水相、民主党の松原仁衆院議員らも同席した。
 平沼、島村両氏らは、従軍慰安婦の強制性を否定する米ワシントン・ポスト紙への全面広告の賛同者として名前を連ねていた。
 一方、自民党の加藤紘一元幹事長は取材に対し「心配だ。意見広告を出したから、米国は激しい反応を示した」と指摘するとともに、「安倍政権の歴史認識だと反米になってしまう。日米関係に深刻な影響を及ぼすかもしれないことに気付いていない」と述べ、今後の日米関係に懸念を示した。

●自民党・民主党議員有志による抗議声明

 平沼赳夫氏らこの意見広告に賛同する国会議員は、決議採択に対して、抗議声明を出した。

<米国下院外交委員会決議121号への声明文>

 本日、米国時間6月26日に、米国下院外交委員会でいわゆる従軍慰安婦に関する 対日非難決議案121号が採択されたことを、われわれは憂慮をもって受け止めてい る。
 このような事実に基づかない対日非難決議は、日米両国に重大な亀裂を生じさせ 、両国の未来に暗い影を落とすものになるだろう。米国下院議員諸兄は、歴史を 鑑として70年前の日米分断の国際的策動を想起すべきである。
 日米両国はすでに62年前の悲惨な戦禍を乗り越え、自由主義諸国で第1位と第2 位の経済規模で世界の安定と繁栄に寄与している。21世紀の世界の未来は、間違 いなく貴国とわれわれのリーダーシップに委ねられているのである。
 そのような観点から、両国は自由と民主主義の価値観を共有し、教条主義的で全 体主義的な歴史観を排し、事実に基づく自由主義的な歴史研究から未来へ向けた 歴史認識が必要になる。そこで、われわれは以下のことを提案したい。

1日米両国での慰安婦問題に関する共同歴史研究
2河野談話の歴史的検証

 特に日本国内に於いては、このような事態を引き起こした平成5年(1993)の河野談話の徹底的な検証を行い、河野談話の責任を追及する必要がある。「決議案121 号」の提案者、マイク・ホンダ議員は「河野談話」が提案の根拠となったと述べているからである。
 なぜ、歴史事実に基づかない河野談話が生まれたのか、その経緯と事実関係の徹 底的検証が必要になる。さらに、日本の情報発信、広報のあり方をあわせて研究 、提言する必要がある。
 具体的には有識者と共に研究会などを通し、政府に要望と提言を行い、河野衆議院議長の責任も追及して行く。

平成19年6月27日

世話人代表 平沼赳夫
自民党・民主党議員有志一同
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慰安婦問題の虚偽11~強制性・性奴隷

2007-06-27 11:32:25 | 歴史
●強制連行から強制性へと論点をすり替え

 中学歴史教科書の記述を巡る論争で、強制連行説は、ほとんど決着した。もともと朝日の報道が、吉田清治氏の虚偽証言を広めたのが、はじめだった。論争が決着に向かうと、それまで強制連行を強調してきた朝日新聞は、強制連行説を引き下げざるを得なくなくなった。
 しかし、ここで朝日新聞は、平成9年(1997)3月31日付で、強制連行から強制性へと論点をずらす報道を行なった。朝日は、その日の紙面に、社説と特集記事を載せた。
 社説では、「日本軍が直接に強制連行したか否かという狭い視点で問題を捉えようとする傾向」を批判し、「そのような議論の立て方は、問題の本質を見誤るものだ。資料や証言を見れば慰安婦の移送、管理などを通して、全体として強制と呼ぶべき実態があったのは明らかである」という。おやおや、強制連行を喧伝してきたのは、朝日新聞自体だったのに。
 また、特集記事では、「『強制』を『強制連行』に限定する理由はない。強制性が問われるのは、いかに慰安婦の『人身の自由』が侵害され、その尊厳が踏みにじられたか、という観点からだ」と書いた。
 こうして朝日は、勝手に方針転換をし、読者には一切謝罪訂正をすることなく、論点をすり替えたのである。そして、強制連行を狭義の強制性、慰安婦が自分の意に反して置かれていた状況を、広義の強制性とすることで、慰安婦問題の継続を執拗に追求しようとした。

 実は、強制に広狭二義を認める観点は、朝日新聞の発明ではない。河野談話が打ち出していた観点なのである。河野談話は、「慰安所における生活は、強制的な状況の下での痛ましいものであった」と書いている。この「強制的な状況」を、「人身の自由」が侵害され、その尊厳が踏みにじられた状況と解釈すれば、朝日新聞の主張となる。河野談話そのものに、朝日の解釈を可能にする広がりがあったものだ。
 しかし、慰安婦の「人身の自由」が侵害され、「尊厳が踏みにじられていた」としても、それは民間業者と慰安婦の親との間で行なわれた人身売買に発するものである。旧日本軍とは、直接関係ない。また、当時の我が国では、売春が公認されていた。軍の慰安所は、日本国内における公娼制度を戦地に応用したものであり、性的慰安も、職業労働だった。
 慰安婦は、契約により一定の雇用条件の下で働き、高給が支払われていた。日本政府を相手取って訴訟を起こした元慰安婦の中には、当時の金額で26000円、現在の価値では7800万円もの多額の貯金を持っている者がいた。こういう事実に触れずに、自由や尊厳を言うのは、悪質なデマゴギーである。

●性奴隷説を広めたクマラスワミ報告

 わが国で、中学校の教科書に慰安婦が掲載されることになった平成8年(1996)、海外では、ある画期をなす出来事が起こっていた。第52回国連人権委員会に「クマラスワミ報告」が出されたのである。
 今日、国連の人権委員会やアメリカのマスメディア等の認識の核心にあるのは、慰安婦は「性奴隷」だったという誤解である。
 「性奴隷(sex slave)」という言葉は、多くの偏見を生んでいる。かつて日本において「強制連行」という言葉が果たしたのと似た役割を、「性奴隷」という言葉が現在、国際社会で果たしている。この言葉を流行らせる上で決定的な役割をしたのが、「クマラスワミ報告」である。

 国連人権委員会で慰安婦問題の特別報告者に指名されたのが、スリランカの女性活動家、ラディカ・クマラスワミ女史だった。彼女は、平成7年(1995)、ソウルに5日間、東京に6日間滞在して、英文37ページの報告を書いた。その内容は、わずか2冊の本をもとにまとめたものだった。
 その2冊とは、オーストラリアのジャーナリスト、ジョージ・ヒックスの『The Comfort Women(慰安婦)』と、吉田清治の『私の戦争犯罪ーー朝鮮人強制連行』である。

 クマラスワミが事実関係の部分をほとんどすべてを依存しているのが、ヒックスの著書であるという。ヒックスは、日本語ができない。そのため、在日3世の女性が集めた材料に8割方依存した。ヒックスが最も頻繁に引用しているのが、先に触れた金一勉著『天皇の軍隊と朝鮮人慰安婦』であるという。
 本書は、日本が「朝鮮民族抹殺政策」を取り、「朝鮮民族の早期滅亡を企図」して、「梅毒政策・阿片吸引助長政策・遊郭発展政策」を取ったという主張をしている本で、あやしげな雑誌や週刊誌に材料を求めたものである。そのような本から頻繁に引用して書いたヒックスの本に、クマラスワミは、依拠しているわけである。
 もう1冊の吉田氏の著書については、既に書いたように済州島における現地調査によって、虚説であることが、平成4年までに明らかになっている。それにもかかわらず、クマラスワミは、吉田氏の虚偽の証言を無批判に資料としているわけである。

 クマラスワミ報告は、強制はあったとする立場の吉見義明中央大学教授すら、クマラスワミに書簡を送って、ヒックスの本は「誤りの大変多い著書」で、引用部分を削除したほうがいい、吉田に関連する部分も削除するように勧めているほどだという。
 しかし、吉見氏の忠告に従うと、クマラスワミ報告はほとんど内容がなくなってしまう。そのような低レベルの報告書が、国連人権委員会の判断に強い影響を与えているのである。国連人権委員会の委員は、よほど調査能力がない者が多いのか、左翼人権思想に凝り固まった活動家が集合しているのかもしれない。

 クマラスワミ報告への影響関係を、時系列的に並べると、次のようになる。

 金一勉著『天皇の軍隊と朝鮮人慰安婦』(昭和51年、1976) → 吉田清治著『私の戦争犯罪――朝鮮人強制連行』(昭和58年、1983) → ヒックス著『The Comfort Women』(平成7年、1995)

 これらがクマラスワミ報告(平成8年、1996)に流れ込んでいるわけである。これらの虚説の流れの出発点には、朴慶植著『朝鮮人強制連行』(昭和40年、1965)がある。在日朝鮮人の強制連行はなく、慰安婦の強制連行もなく、朝鮮民族抹殺政策も存在しない。それにもかかわらず、うそにうそを重ねたデマが、国連の人権委員会で、あたかも真実であるかのように化けてしまった。

 藤岡信勝氏は、次のように書いている。
 「いったん『性奴隷』 という言葉が発明されると、英語圏の世界では、実態とは別に慰安婦を『性奴隷』として最初からみなして、全ての情報をそういう眼鏡を通して解釈することになる。素材となった事実の信憑性などどうでもよい。こうして、いつの間にか日本の公娼制度の戦地への延長形態にすぎなかった『慰安婦』システムが、20世紀奴隷制の一形態だということにされてしまった。」と。(藤岡信勝著「日米離反を仕掛ける中国の罠を打ち破れ」~月刊『正論』平成19年6月号)

 次回に続く。

慰安婦問題の虚偽10~中学教科書に掲載

2007-06-26 11:17:12 | 歴史
●中学教科書に「従軍慰安婦」が掲載

 河野談話が出された約3年後、平成8年(1996)6月27日、翌年春から使われる中学校の新しい歴史教科書の内容が報じられると、大きな波紋が起こった。最大の問題は、河野談話の影響により、全社の中学教科書に「従軍慰安婦」が登場したことだった。
 先に書いたように、昭和57年の歴史教科書「書き換え」誤報事件の後、近隣諸国条項が設けられ、高校の歴史教科書には、平成2年から従軍慰安婦が掲載されていた。平成6年以降は、全社の高校用歴史教科書に「従軍慰安婦が日本軍によって強制連行された」という虚偽が書かれた。教室で、教師によって、公然と生徒にうそが教えられていた。
 今度は、それが中学校にまで拡大されることになったわけである。

 「従軍慰安婦」は、戦後作られた造語であり、日本軍が慰安婦を強制連行したという証拠資料はない。それにもかかわらず、慰安婦にする目的で朝鮮人女性の強制連行が行われたと理解させるような記述が、中学生向けの教科書に掲載された。「慰安婦」というような性的な事柄を、中学生に教える必要があるのか、国民的な議論が起こった。
 「義務教育諸学校教科用図書検定基準」には、「児童生徒の心身の発達段階に適応し」「心身の健康や安全及び健全な情操の育成について必要な配慮を欠いている……ところはないこと」「未確定な時事的事象について断定的に記述しているところはないこと」と規定されている。中学生に慰安婦についておしえることは、この規定に違反していた。

 こうしたなか、中学教科書の内容を是正しようとして、平成9年(1997)1月30日に「新しい歴史教科書をつくる会」(西尾幹二会長)が発足した。
 「つくる会」のメンバーは、平成14年度版の中学教科書の検定をめざして、中学歴史『新しい歴史教科書』と中学公民『新しい公民教科書』の執筆を開始した。発行所は、産経新聞社系の扶桑社である。教科書会社の寡占体制にある教科書業界に一般の出版社が参入するかつてない試みとなった。

●「つくる会」等の活動で、「従軍慰安婦」は消滅

 扶桑社版教科書に対する反発は激しかった。平成13年(2001)2月、扶桑社版の検定が通りそうだと分かると、朝日新聞は、中韓両国に干渉と妨害を誘う一大キャンペーンを行った。以来、両国ことに韓国の干渉は、周知の通り日を追うごとにエスカレートし、内政干渉の域をはるかに超える過剰な行動が相次いだ。

 平成13年3月、検定の結果、扶桑社版は、他7社の中学歴史教科書とともに合格した。扶桑社版の中学公民教科書も同時に合格した。
 この時の検定で、教科書に記載するのが適当かどうか批判のあった「慰安婦」、南京事件などについて、各社の教科書から記述が全般的に減少した。歴史教科書発行の8社のなかで、「慰安婦」にふれたのは3社。それまでの7社の教科書はすべてが何らかの形で「慰安婦」に触れていたが、4社の教科書からは姿を消した。それまで4社が使っていた「従軍慰安婦」の表現は姿を消し、「慰安婦」「慰安施設」などの表現を用いるようになった。
 これは、「つくる会」と連携した自由主義史観研究会(藤岡信勝会長)の活動や扶桑社の教科書の参入の影響と見られる。

 ただし、高校教科書は、改善されていない。高校教科書については、平成14年(2002)4月9日、文部科学省が平成15年度使用開始の教科書の検定結果を発表した。前年、外交問題化した教科書問題の影響からか、検定では、朝鮮史に関する指摘が目立った。対朝鮮半島史で異例の厳しい検定が実施され、韓国が前年行った中学歴史教科書への修正要求が、高校の検定のほうで受け入れられた形となった。「従軍慰安婦」の表記が幅をきかせている上、「性奴隷」「彼女たちを辱め」といった描写がフリーパスした。
 そういう教科書が、高校では使われ、教師によって生徒たちに教え込まれてきた。

●扶桑社の教科書がシェアを増やし、他社版も内容が改善

 「従軍慰安婦」の記述が問題になってから第2回目となる中学教科書の採択は、平成17年(2005)秋に行なわれた。平成18年春から使われる教科書の採択である。
 この時の採択では、中国・韓国が、歴史教科書の内容について内政干渉を激しく行い、扶桑社版の採択に反対した。平成17年(2005)4月には、日本の国連安保理常任理事国入り問題も絡んで、激しい反日デモが起こった。日本国内でもこれに同調する者が活発に活動を繰り広げた。
 前回の平成13年の採択でもさまざまな妨害の結果、扶桑社版は、わずか521冊、シェアは0.039%だった。これに比し今回は、前回にまさる干渉があったにもかかわらず、扶桑社の歴史教科書は、5千冊余り、シェア0.4%台と、前回の約10倍となった。
 日本の国民は、平成13年当時に比べ、主権意識・国民意識が強くなり、中韓の反日運動が切欠となって、日本のことを考える人が増えた。特に20代、30代の若い世代に顕著な変化が起こった。

 この時の採択では、それまでの自虐的な内容を批判されて編集方針を変えた東京書籍や大阪書籍の教科書が、大きなシェアを確保した。これに対し、日教組を意識した編集を続けている日本書籍新社は、さらに採択を減らした。このように扶桑社版は、シェアは1%にも満たないものの、その出現は他社の歴史教科書の内容に変化をもたらす効果を生んだといえる。

 「新しい歴史教科書をつくる会」は、この間、指導部の意見対立を繰り返している。扶桑社は、本年(平成19年)5月、「つくる会の組織内に混乱が生じ、事実上分裂する状況になっている」と指摘し、採択で「幅広い推薦をいただける状況にない」として、「つくる会」会員執筆の教科書の発行継続を拒否した。扶桑社は今後、「つくる会」元会長の八木秀次氏らが設立した「日本教育再生機構」と協力し、別の教科書を発行するとみられる。
 中学校教科書の次回の採択は、平成21年(2009)である。慰安婦問題に限らず、歴史認識の誤りや偏りを正し、改正教育基本法に定めた国と郷土を愛する態度、伝統の尊重、公共心を育てる内容を盛り込んだ新しい教科書の登場が待たれる。
 高校教科書については、本年(平成19年)3月、来年春から使われる教科書の検定結果が発表された。「従軍慰安婦」については6社16点の教科書が取り上げたが、修正意見はつかなかったという。ということは、事実と異なることや、誇張歪曲した記述も、そのまま通過したということである、今後、高校教科書も、「従軍慰安婦」の強制連行、「性奴隷」といった虚偽の記述が正されるよう国民の良識を結集していく必要がある。

 次回に続く。

慰安婦問題の虚偽9~アジア女性基金

2007-06-25 09:45:09 | 歴史
●河野談話に基くアジア女性基金の設立

 慰安婦問題は、政府が謝罪したり、個人補償を行なう問題ではない。国対国の関係では日韓両国間の請求権は、日韓基本条約と関連協定で、「完全かつ最終的に解決済み」である。個人補償を検討するのであれば、韓国政府がなすべきことである。日本政府ではありえない。
 この原則を曲げて設立されたのが、アジア女性基金だった。この基金は、正式名称を「財団法人女性のためのアジア平和国民基金」といい、平成7年(1995)7月に、政府の決定により設立された。
 アジア女性基金の問題点については、後で触れることにして、まず河野談話からアジア女性基金の設立にいたる当時のわが国の動きを概観しておきたい。

 河野談話を出して総辞職した宮沢政権は、昭和30年(1955)以来38年間続いた自民党政権の終焉となった。いわゆる55年体制の崩壊である。続いて、政権に就いたのは、日本新党を中心とする連立政権で、首相は細川護煕氏だった。
 平成5年(1993)8月、細川首相は、先の大戦は「侵略戦争」だったと認識していると発言した。それに続いて、一連の謝罪外交が行われた。中国・韓国は、戦争補償の問題を蒸し返し、日本に賠償金の支払いを強要しようとし、さまざまな訴訟が起こされた。
 そうしたなか、自民党は政権を奪回するために社会党との連立を図り、平成6年(1994)6月、社会党党首・村山富市氏が、首相となった。首相は、同年8月、「内閣総理大臣の談話」で、いわゆる従軍慰安婦問題について改めて「心からの深い反省とお詫びの気持ち」を述べて、幅広い国民参加の道を追求する考えを表明した。

 翌7年(1995)、わが国は、戦後50年を迎えた。この年6月9日、衆議院は「戦後50年国会決議」いわゆる謝罪決議を行なった。これは立法府が歴史認識に関して決議するという異例なもので、法的な効力はない。
 続く8月15日に、村山首相談話が発表された。首相は、閣議決定に基づき、日本が戦前、戦中に行ったとされる「侵略」や「植民地支配」について公式に謝罪した。村山談話は、以後日本国政府の公式見解として歴代政権に継承されている。

 私は、戦後日本人が日本精神を失ってきて、精神的に最低の状態になっていたのが、戦後50年の年と見ている。この平成7年は、1月17日に阪神淡路大震災、3月20日にオウム真理教地下鉄サリン事件が起こった。天災・人災のきわみである。この年の前後5年ほど、つまり平成5年から9年(1993~1998)ごろは、政府も議会も国民も、自国の歴史認識に関し、最も自虐的に傾いていた。この時期には、今日までわが国の進路に深く影響している失策や事件が目立つと思う。

●使途の詳細不明のまま基金は解散

 アジア女性基金が設立されたのは、戦後50年となる平成7年の7月である。発足当時は、原文兵衛元参議院議長を理事長としたが、平成12年(2000)9月に村山元首相が理事長に就任し、解散まで務めた。
 本基金の目的は「『慰安婦』とされた方々への道義的な責任を痛感した日本政府が、国民と協力して」、元慰安婦への償い事業、歴史の教訓とする事業、女性尊厳事業を行なうためだという。

 アジア女性基金が「償い金」を渡す際には、「深いお詫びと反省の気持ち」を表す首相の手紙を一人一人の元慰安婦に「お届け」したという。その手紙には、次ぎのように書かれている。
 「いわゆる従軍慰安婦問題は、当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題でございました。私は、日本国の内閣総理大臣として改めて、いわゆる従軍慰安婦として数多の苦痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負われたすべての方々に対し、心からおわびと反省の気持ちを申し上げます。(略)」
 このような文言を含む手紙が、歴代首相、橋本龍太郎、小渕恵三、森喜朗、小泉純一郎各氏の署名のもとに渡されたのである。
 手紙の中の「当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題」という表現は、河野談話の「当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題」という表現と一致する。宮沢=河野の慰安婦謝罪外交が、以後の政権を呪縛しているのである。

 アジア女性基金は当初、国民から「償い」の名目で募った寄付金を各地の元慰安婦に分配することを活動としていた。初年度は約1億3千万円かけて、主要6紙の全国版に全面広告を出して、募金を呼びかけた。12年間の活動期間に集まった寄付金は、6億円近くにのぼるという。元慰安婦たちへの償いとして、一人あたり200万円が、合計285人に配られたとされる。
 ところがこれは、償いたい人が寄付をし、名乗り出た者に配られたというだけの話ではない。国民からの寄付金のほかに、政府が拠出金を出した。寄付金を、元慰安婦たちに「お届け」(外務省の用語)するために、約48億円もの税金が使われたのである。
 ジャーナリストの野村旗守氏は、使途の詳細を明らかにするよう外務省に求めた。回答は、医療事業費が各国合計で約11億3000万円、歴史教訓事業と女性尊厳事業で併せて約18億円だったという。これらを合算しても、約29億3000万円であり、残りの18億7000万円については、詳細の報告がされていない。(野村旗守著「どこへ消えた? アジア女性基金50億円」~撃論ムック『慰安婦・南京の真実』オークラ出版)
 アジア女性基金は、国別の支給数も発表していない。発表しないまま、本年(平成19年)3月に解散してしまった。多額の募金を集め、またその8倍もの公費を費やしていて、その使途の詳細を報告していないのである。
 道義と善意に基くはずの基金の運用が、不透明であるところに、アジア女性基金の本質的な問題点があるように思う。基金は、元慰安婦への償い金としてのみ支出されたのではなく、歴史教訓事業・女性尊厳事業という名の下に、別の目的のために使用されたのではないかという疑惑がある。反日・左翼・フェミニズムの勢力は、慰安婦問題を利用してきた。アジア女性基金の資金の一部は、彼らの運動を益するように使われたのではないかという見方である。

 次回に続く。

慰安婦問題の虚偽8~強制連行否定の証言

2007-06-23 08:19:09 | 歴史
●強制連行はありえないという証言

河野談話が出されると、「従軍慰安婦の強制連行はありえない」という証言が、当時を知る日本人から多数出された。
大師堂経慰氏(川崎市、当時)は、朝鮮で育ち平壌の小中学を卒業し、朝鮮総督府に勤め、江原道の地方課長などを歴任した。氏によると「私が見たり聞いたりした範囲では、軍隊や警察官が婦女子を慰安婦として強制連行したという話はなかった。仮に、あったとすれば暴動にいたらないまでも、一般民衆の間に動揺が起き、私たちの耳に入ってこないはずはない」と語っている。
 大師堂氏は、友人で同じ時期、朝鮮で警察部長をしていた都内在住の知人に確かめたところ「従軍慰安婦の強制連行のため、警察官を動員したことなどない」「手錠をかけて連行するなど考えられない」と語っている、と伝えている。

 鍵谷武雄氏(東京都港区、当時)は、中国戦線に応召され、南昌付近に駐屯していたころ、慰安所の歩哨勤務につき、慰安婦たちと話す機会があった。彼女らは「朝鮮人の仲人(周旋人)がきて、陸軍の条件を示した。私たちはその条件を信用して応諾した。条件通り、実行されている」「給料はよい」「借金を返せば、3年で解放される」などと話したと、伝えている。

●韓国人・朝鮮人も強制連行を否定

 韓国側でも日本人の証言者と同じように語っている人がある。朴泰赫氏は、次のように述べる。
 「日本は日華事変で戦線拡大し、多くの要所を占領すると、軍が業者と結んで、兵士のために『慰安所』を設けました。慰安婦たちは韓国の遊郭にいるよりも、収入が2倍にもなったといいます。遊郭業者に女性を供給していた女衒(ぜげん=売春業者)たちが、甘語利説をもって、純粋な娘たちを慰安婦として、中国や南方に送り出したこともあったでしょう。女衒は日本本土では日本人だったように、韓国では韓国人だったのです」
 「なかには悪質な日本官憲もいましたから、これにつきまとった韓国人が業績をあげるために、一般の娘たちを騙して、従軍慰安婦に売り込んだことは、かなりあったでしょう」
 「しかし、軍や、警察が一般の娘を強制的に誘拐して、慰安婦にしたというのは、まったくありえないことです。もし、強制拉致があったとすれば、今日の韓国社会では、女子高校生を拉致して、売春婦として売り込むようなことが続いていますが、同じような不良分子の仕業だったでしょう。
 私は地方の村々をめぐって、老人たちが慰安婦に仕立てるための女性狩りはあったか、たずねました。すると、全員がそんなことはなかった、と否定しました。
 それに『(女子)挺身隊』(=徴用により工場などで勤労奉仕をするもの)として無報酬で働いていた貧しい農村出身の娘たちが、月に最低でも60円の大金を儲けられるところがあるといって誘われたら、甘言に従った者も、少なくなかったでしょう」と。(朴泰赫+加瀬英明著『醜い韓国人 歴史検証編』光文社)

 米国陸軍は、昭和20年(1945)にミャンマーで捕らえた3人の朝鮮人軍属を尋問して報告書を出している。朝鮮人軍属のうちの一人は、慰安婦について、日本の官憲が娘たちを拉致したことを強く否定している。
 「もしそのようなことが行なわれたとしたら、朝鮮の全住民が老いも若きも決起して反乱して日本人を殺したはずだ」と憤然として述べた、と報告書は記録している。
 もし旧日本軍が直接的かつ組織的に朝鮮人女性を強制連行し、それを当時の朝鮮人が黙って何もしないでいたと主張するならば、これほどコリアンを侮辱することはないだろう。今日、そうした主張をするコリアンは、自民族を、誇りも抵抗心もない無気力な民族だったと言っているに等しいのである。

 次回に続く。

慰安婦問題の虚偽7~河野談話の問題点

2007-06-22 10:48:42 | 歴史
●河野談話の問題点(続き)

 第二に、「また、慰安所における生活は、強制的な状況の下での痛ましいものであった。」という一文にも問題がある。「強制的な状況」とは、いかなる状況か。元慰安婦はどのような証言をしたか公開されておらず、また政府は裏づけ調査を行なっていない。具体的な事実を示さずに、「強制的な状況」と言うと、どのような解釈も可能となる。「性奴隷化」という事実と異なる主張をも許すことになっていく。
 契約により一定の雇用条件のもとに労働し、高給が支払われていたことに触れていないのは、河野談話の根本的な欠陥である。

 第三に、「当時の朝鮮半島は我が国の統治下にあり、その募集、移送、管理等も、甘言、強圧による等、総じて本人たちの意思に反して行われた。」という一文については、本人たちの意思に反して募集が行なわれたとすれば、まず挙げるべきは、親が娘を売ったことだろう。このことは、朝鮮半島が日本の統治下にあったこととは、直接関係ない。日本内地においても、貧しい農村等で人身売買が行なわれていたからである。

 第四に、「本件は、当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題である。政府は、この機会に、改めて、その出身地のいかんを問わず、いわゆる従軍慰安婦として数多の苦痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負われたすべての方々に対し心からお詫びと反省の気持ちを申し上げる。また、そのような気持ちを我が国としてどのように表すかということについては、有識者のご意見なども徴しつつ、今後とも真剣に検討すべきものと考える。」という部分については、まず政府が聞き取り調査をした元慰安婦の証言を公開すべきである。
 韓国の安秉直ソウル大学教授等による調査では、約5割の証言は事実を歪曲しているとして不採用になり、採用した証言のどれも信憑性を欠いている。安教授は、昨年(平成18年)12月、韓国のMBCテレビのニュース番組で「強制動員されたという一部の慰安婦経験者の証言はあるが、韓国にも日本にも客観的資料は一つもない」と断言している。
 
 以上、河野談話の問題点を四点挙げた。河野談話は、このように極めて問題が多いものである。しかし、この談話は、政府が行った調査結果をもとに官房長官が発表して謝罪したものだから、外国人が、日本政府が強制連行を含む強制性を認めたものととられることは、避けられない。あまりにも大きな失言である。
 
●韓国への安易な妥協と、宮沢氏を擁護する画策

 河野談話を作成したのは、石原信雄元官房副長官だったという。石原氏は、平成9年(1997)に、櫻井よしこ氏らのインタビューの答えて、次のように証言している。
 「韓国側が元慰安婦の名誉回復に相当、こだわっているのが外務省や在韓大使館を通じて分かっていた。関与を認めただけででは決着しないと思った。強制性を認めれば、問題は収まるという判断があった。これは在韓大使館などの意見を聴き、宮沢首相の了解も得てのことだ」と。
 つまり、河野談話は、韓国との外交上の取引の結果であったことを、石原氏は明らかにしているのである。また、石原氏は、当時、いくら公文書を調べても、強制連行の証拠は全くなかったと述べている。

 日本政府には、日本国の名誉と国益をかけて真剣に交渉する姿勢が欠けていた。韓国政府が「国民を納得させるために、強制があったと認めてくれ。そうすれば今後は二度とこの問題を持ち出す事はしない」と要求し、日本政府は目先の外交的処理として安易にこれに応えたのだろう。そして日本政府は、軍による強制連行の証拠がないまま、「官憲等が直接これに加担したこともあった」と付け加え、さらに慰安所の生活が「強制的な状況の下」にあったとして、強制連行とは異なる漠然とした強制性を加えたのだろう。
 それまで強制に関する議論は、軍による強制連行であり、国家権力による強制だったが、広く「本人たちの意志に反して」行なわれたことを意味するものへと、強制の定義を広げたのである。実際に慰安婦を拘束していたのは、親に支払われた前借金だろう。前借金を返せば、拘束を解かれたのである。高給によって得た多額の貯金を持って、実家に帰り、裕福な生活をすることも可能だった。

 石原元官房副長官は、河野談話の最後の数行は、「河野さんの個人的な思い入れだ」とも証言している。最後の数行とは、次ぎの部分だろう。
、「本件は、当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題である。政府は、この機会に、改めて、その出身地のいかんを問わず、いわゆる従軍慰安婦として数多の苦痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負われたすべての方々に対し心からお詫びと反省の気持ちを申し上げる。また、そのような気持ちを我が国としてどのように表すかということについては、有識者のご意見なども徴しつつ、今後とも真剣に検討すべきものと考える。」
 「心からお詫びと反省の気持ちを申し上げる。また、そのような気持ちを我が国としてどのように表すかということについては、有識者のご意見なども徴しつつ、今後とも真剣に検討すべきものと考える。」とあるが、その主語は「政府」である。河野氏は、「個人的な思い入れ」を「政府」の名の下に発表したわけである。

 この「お詫びと反省の気持ち」が具体化されたのが、平成7年(1995)設立のアジア女性基金である。元慰安婦への償いのために募った寄付金が、元慰安婦たちに配られた。この基金は、日本政府が事実調査のうえで慰安婦の強制連行・性奴隷化を認めたから設立・運用されたものと、海外では誤解を招くことになった。強制連行を示す証拠はなく、性奴隷化の事実も裏づけがない。それにもかかわらず、償い金を募って配るという行為のもとも、河野談話にある。
 
 私は、河野談話の発表には、石原元官房副長官が証言した事情だけでなく、次のような理由もあっただろうと想像している。
 河野官房長官の上には、首相の宮沢氏がいた。河野談話は、宮沢首相が安易に謝罪した失敗をおおい隠すために、首相・官房長官らが画策したものだろう。すなわち、宮沢首相が平成4年1月に韓国愚大統領に謝罪したことを正当化し、宮沢氏の社会的な評価や宮沢氏が会長を務める宏池会の利権を守るためという理由である。国益や国民の名誉とは関係のない私的な利益である。私は、その理由もあって、強制の定義を広げて強調し、談話を出して改めて謝罪を重ねたのだろうと想像する。だから、河野談話は、宮沢内閣が総辞職する前に、出されねばならなかった。しかも、発表した後の対応を避けるために、総辞職の前日をあえて選んで出されたのだと思う。

 私は、政府に河野談話の撤回を求めるとともに、撤回のうえで、調査結果を公表し、また談話発表後の学術研究の成果も踏まえて、新たな政府見解を発表すべきと考える。

 次回に続く。

関連掲示
・拙稿「河野談話の撤回要求に署名を!」
http://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/444c9a14ded7d20af6e815386530893b

慰安婦問題の虚偽6~大失策の河野談話

2007-06-21 10:25:38 | 歴史
●大失策の河野談話

 平成4年(1992)1月朝日新聞の記事によって、慰安婦問題は、にわかに日韓の国際問題になり、宮沢首相が謝罪した。しかし、強制連行の虚構が判明したことで慰安婦問題は、決着に向かいつつあった。ところが、平成5年(1993)8月4日、河野洋平官房長官が談話を出した。宮沢内閣が総辞職する前日だった。
 宮沢内閣は、「最終報告書」を出している。しかし、そこには強制連行をうかがわせる行為は、何も出てこない。日本軍が強制的に慰安婦を集めたことを証すものはない。慰安婦はいても、軍による強制、強要を証明する一級資料は、何一つ発見されなかった。
 それにもかかわらず、河野官房長官は、次のような非常に問題のある談話を出した。

「慰安婦関係調査結果発表に関する河野内閣官房長官談話
 平成5年8月4日

 いわゆる従軍慰安婦問題については、政府は、一昨年12月より、調査を進めて来たが、今般その結果がまとまったので発表することとした。
 今次調査の結果、長期に、かつ広範な地域にわたって慰安所が設置され、数多くの慰安婦が存在したことが認められた。慰安所は、当時の軍当局の要請により設営されたものであり、慰安所の設置、管理及び慰安婦の移送については、旧日本軍が直接あるいは間接にこれに関与した。慰安婦の募集については、軍の要請を受けた業者が主としてこれに当たったが、その場合も、甘言、強圧による等、本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり、更に、官憲等が直接これに加担したこともあったことが明らかになった。また、慰安所における生活は、強制的な状況の下での痛ましいものであった。
 なお、戦地に移送された慰安婦の出身地については、日本を別とすれば、朝鮮半島が大きな比重を占めていたが、当時の朝鮮半島は我が国の統治下にあり、その募集、移送、管理等も、甘言、強圧による等、総じて本人たちの意思に反して行われた。
 いずれにしても、本件は、当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題である。政府は、この機会に、改めて、その出身地のいかんを問わず、いわゆる従軍慰安婦として数多の苦痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負われたすべての方々に対し心からお詫びと反省の気持ちを申し上げる。また、そのような気持ちを我が国としてどのように表すかということについては、有識者のご意見なども徴しつつ、今後とも真剣に検討すべきものと考える。
 われわれはこのような歴史の真実を回避することなく、むしろこれを歴史の教訓として直視していきたい。われわれは、歴史研究、歴史教育を通じて、このような問題を永く記憶にとどめ、同じ過ちを決して繰り返さないという固い決意を改めて表明する。
 なお、本問題については、本邦において訴訟が提起されており、また、国際的にも関心が寄せられており、政府としても、今後とも、民間の研究を含め、十分に関心を払って参りたい。」

 談話の発表は、今日までわが国の国益と名誉を損ない続けている大失策だった。

●河野談話の問題点

 河野談話は、「いわゆる従軍慰安婦問題については、政府は、一昨年12月より、調査を進めて来たが、今般その結果がまとまったので発表することとした。」と述べ、政府による調査結果に基くものであることが、明言されている。
 ところが、その内容は、きわめて大きな問題を含んでいた。主な問題点を4点述べたい。

 第一に、談話は「慰安所の設置、管理及び慰安婦の移送については、旧日本軍が直接あるいは間接にこれに関与した。慰安婦の募集については、軍の要請を受けた業者が主としてこれに当たったが、その場合も、甘言、強圧による等、本人たちの意思に反して集められた事例が数多くあり、更に、官憲等が直接これに加担したこともあったことが明らかになった。」と述べている。
 ここでの焦点は、「官憲等が直接これに加担したこともあったことが明らかになった。」という部分である。「明らかになった」と言うには、その証拠を示さねばならない。しかし、このような事実を示す資料は発見されていない。逆に、平成4年1月11日付の朝日新聞の記事が取り上げた文書のように、軍は、民間業者による誘拐に類した募集をやめさせるように通達している。
 談話は「官憲等が直接これに加担したこともあったことが明らかになった。」という一文がある事によって、軍が関与したという「慰安婦の移送」が、軍による強制連行であったかのような誤解を生じるものとなっている。

 問題点の第二以降は、次回に述べる。