ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

救国の秘策63~丹羽春喜氏

2011-09-30 08:52:48 | 経済
●国民の力を信じ、引き出すこと

 丹羽氏の理論に話を戻すと、一国の生産能力に余裕があるということは、国民の労働力に余裕があるということである。換言すれば、国民が潜在的な力を出し切れていないということである。これは労働の機会を与えられなかったり、意欲や創造性の発揮を抑えられたりして、能力を十分発揮できていない状態である。一般には、失業率や操業率という指標で、この状態の程度を表す。労働力が資本設備に対し、最高度に発揮されている状態が、完全雇用・完全操業である。だが、労働は、雇用量と操業量を増やすだけでなく、国民の意欲や創造性を高めることによって、より価値のあるものが創造される。それゆえ、私は、丹羽氏の言うところの「生産能力の余裕」を「財源」とするということは、単に完全雇用・完全操業をめざすということではなく、国民の持っている力、国民の力を信じ、引き出すことだと思う。
 わが国には、世界的にも高い水準の教育を受け、勤勉で、豊かな創造性を持った国民が多数いる。その国民が十分に力を発揮できるような環境・条件を整えるところに、政府の役割がある。だが、丹羽氏によると、現在、わが国では、潜在的な生産能力の60~70%しか発揮できていない。これは、政治家が、国民の力を60~70%しか発揮できていないということである。私は、丹羽氏の所論をもとに、このように考えている。

●脱少子化を推進する

 丹羽氏は、わが国の経済には巨大なデフレ・ギャップが存在し、生産能力に余裕があることを指摘し、この生産能力の余裕を「真の財源」として、政府貨幣を発行し、わが国の経済を復活させる政策を提言している。
 この点について私の理解するところでは、政府貨幣の発行は、それ自体が目的ではない。貨幣の供給量を増やすことで、潜在的な生産能力を十分稼動させ、それによって国内総生産を大幅に増加させ、日本をいっそう繁栄させ、国民生活を豊かにし、文明を発展させることが目的だろう。
 そして、私が強調したいのは、それを実現するのは、国民だということである。国民は労働の主体であるとともに、生命の継承の主体、文化の創造の主体である。労働は、生命の維持・繁栄のために行う行為である。また、単に生命の維持・繁栄だけではなく、文化の継承・発展をめざすところに、人間の労働の目的がある。私は、ここでわが国の重要な課題として、脱少子化と生産性の向上を挙げたい。
 わが国は、少子高齢化とそれによる人口減少が進んでいる。若年層の減少と老年層の増加が長期的に予測され、今のままでは生産労働人口が大幅に減少する。こうした人口変動の予測に基づく国家戦略の策定が急務である。その策定のポイントの一つが、脱少子化である。
 少子化の直接の原因は、未婚率の漸増と既婚者の出生力の低下の二つである。つまり結婚しない人が増え、結婚しても子供を産む数が少なくなっていることが、少子化の直接的な原因である。それゆえ、結婚する人が増え、また子どもを産み育てる人が増えることが、脱少子化となる。
 脱少子を進めるには、制度・政策の改善より、もっと根本的なところから取り組まなければならない。私は日本人が、健康と生命に基礎を置いたものの考え方、生き方を回復する必要があると考える。そして、家族・民族・国家の維持と繁栄の取り組みを始めるべきである。つまり、日本人の精神、そして日本という国のあり方を根本的に改めないと、脱少子化はなし得ない。また、日本の適正人口を目標人口と定め、目標とすべき合計特殊出生率を決めて、具体的な方策を実行すべきだと思う。詳しくは、拙稿「脱少子化は、命と心の復活から」に書いたので、ご参照願いたい。
http://www.ab.auone-net.jp/~khosoau/opinion02k.htm
 次に、生産性の向上である。脱少子化の取り組みをしながら、生産性の向上を図る必要がある。この点は、次回に書く。

 次回に書く。
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野田首相と民主党政権の末路7

2011-09-29 08:48:25 | 時事
●安易な消費増税に反対だったのに、今や増税の急先鋒

 野田氏の政策で最も大きな問題は、私の見るところ、増税・TPP参加を掲げていることである。野田氏は代表選で発言がぶれないと見られたのは、財務省から吹き込まれたことを繰り返していたからである。野田氏は、いつの間にか増税・TPP参加を説く財務省の代弁者になった。ただし、かつてはそうではなかった。ここでは明らかな変節があったのである。
 野田氏は、平成21年9月の政権交代選挙の約2か月前に、著書『民主の敵』を出した。野田氏がそこに書いた主張と、今の主張は大きく違っている。
 野田氏は、著書で特殊法人や行政法人は「ムダ遣いの見本市」だといい、これらについては「とにかく今まで情報が出てこなかった」「私は財政出動か財政規律かという前に、財政の完全透明化をしなければならないと思います」と述べ、これらの法人の「からくりを暴き出さなければ、財政出動ができるのか、財政規律をしなければいけないのか、その判断すらできないということです」と書いていた。
 この「からくり」の一つが、特別会計の存在である。特別会計の問題点について、私は菊池英博氏に関する拙稿に書いたが、野田氏は、わが国の財政の問題点を、かなりよく理解していた。すなわち、野田氏は、国の予算は一般会計と特別会計を合わせると総額200兆円を超える、一般会計との繰り入れによる重複を除いても特別会計は総額約140兆円にもなる、特別会計は官僚の天下りや族議員の利権の温床となっている、ムダ遣いの最大の原因は多額の余剰金にある等を、著書で指摘している。そして、特別会計の存在を「使い切れず余るような特別会計は廃止して、一般会計に統合すべきです。そうすれば国の借金返済やほかの必要な事業に充当できるでしょう」と書いている。
 野田氏は続けて、次のように主張する。「このまま今のからくりが残ってしまったら、三年後に消費税を引き上げたとしても砂漠に水を撒くのと同じです。だからよく『財源を示せ』という指摘がある消費税は何%が適切かといった議論は日本の財政を完全情報公開したうえでの話だと思います。そのうえで、税体系の見直しも必要になるかもしれません。消費税率アップを安易に認めてしまうと今のからくりの解明はストップしてしまうと思います」と。
 野田氏は、財政の完全情報公開を強く求めており、財政のからくりを解明せずに消費増税をすることに、反対している。「三年後に消費税を引き上げたとしても砂漠に水を撒くのと同じ」「消費税率アップを安易に認めてしまうと今のからくりの解明はストップしてしまう」と書いている。
 民主党は平成21年夏の衆院選マニフェストで、徹底した歳出削減によって、16・8兆円を捻出すると主張した。野田も、「ニッポン丸洗い」を掲げ、増税ではなく「無駄遣い排除」を主張した。
 そうした野田氏が、今回の民主党代表選では、増税と財政規律を訴えた。なんという変化だろう。財政の完全透明化はどこにいったのか。先に書いた靖国参拝の件より、はるかに大きな変化であり、露骨な変節である。
 野田氏は、平成21年9月に民主党が政権に就くと、財務副大臣に就任した。野田氏を推したのは、大蔵官僚出身で元財務相の藤井裕久氏である。藤井氏から予算担当を任された野田氏は、副大臣になってすぐに増税論に転じた。マニフェストにこだわる閣僚との折衝が始まると、野田氏は増税しか言わなくなった。同時に、巨額の国家埋蔵金があると見られる「特別会計の廃止」を言わなくなった。代表選では「財務省の組織内候補」とまでいわれた。そして、野田氏は、民主党の税調会を復活させ、会長に藤井氏を指名した。完全に財務省主導である。
 どうして野田氏は、こうも変節したのか。私は、野田氏は財務副大臣になってから、財務省の官僚から、財務省の考えを吹き込まれたのだろうと思う。現在財務官僚のトップに君臨する事務次官は、勝栄二郎氏と言う。野田氏は、勝事務次官のことを「勝さん、勝さん」と呼び、自分の上司であるかのように仕え、そして育てられてきたという。野田氏の経済政策は、勝氏を中心とした財務省幹部に教育されたものではないか。
 野田氏は、財政の見方において、粗債務だけでなく純債務で財政を見るという肝心要のところをつかんでいない。またデフレ下では財政出動を行い、経済成長をすることで税収を上げるという政策を持っていない。おそらく野田氏は経済学を掘り下げて研究したことがないのだろう。だから「財政の完全透明化」を説いても、確かな経済理論を身に着けていないから、その皮相さを財務官僚に見抜かれ、うまく馴化されたのだろう。
 野田氏のこの底の浅さは、組閣において、財務大臣に安住淳氏を、経済産業大臣に鉢呂吉雄氏を指名したことで、無様なほどに明らかになった。二人とも経済政策について、ほとんど経験がない。そういう政治家を経済閣僚に指名するとは、野田氏の見識の危うさを自ら暴露したものである。
 ちなみに、鉢呂氏は、福島原発の周辺地域を「死の町」と呼び、防護服を着て近くにいた記者に「放射能をつけてやる」などと言い、その責任を取ってわずか就任9日で大臣を辞任した。野田首相は、任命責任を認めた。お粗末極まりない。

 次回に続く。
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救国の経済学62~丹羽春喜氏

2011-09-28 08:44:50 | 経済
●日本を復活させるのは、国民の力

 丹羽氏の言う「デフレ・ギャップ」とは、「生産能力の余裕」のことである。「潜在実質GDPと実質GDPの差」であり、GDPギャップである。
丹羽氏によると、わが国には巨大なデフレ・ギャップが存在している。このことは、厖大な生産能力の余裕があることを意味している。丹羽氏は「デフレ・ギャップという膨大な生産能力の余裕は、わが国の社会にとっての『真の財源』である」と言う。
 丹羽氏の計算では、わが国では現在、毎年400兆円にも上る実質GDPがむなしく失われている。このようにして失われた額は、過去四半世紀のあいだに、6000兆円と推計される。丹羽氏はこれが「真の財源」であり、生産能力に十分な余裕があるから、これを財源にして、政府貨幣を発行することができると言う。東日本大震災の発生後も、丹羽氏はこの持論をもとに復興策を提言している。
 ここで本稿の結びに、丹羽氏の生産能力と財源についての考え方について、私見を述べたい。一言で言うと、日本を復活させるのは、国民の力だということである。
 私は、丹羽氏の経済学には、生産と労働、及び価値の創造と交換という点の考察が弱いと考える。丹羽氏は、生産能力とは「資本設備と労働力を総合したもの」という。資本設備を活用するのは人間の労働である。人間が労働をして、土地・機械・資金等を用いて、財やサービスを生産する。また資本設備は、過去の労働の成果が蓄積したものである。それゆえ、生産能力において、より重要なのは人間の労働力である。
 生産とは、人間が自然に働きかけて、人間にとって有用な財・サービスを作り出すことである。生産における要素には、労働・資本・土地等がある。これらの生産要素のうち、最も重要なのは、人間の労働である。
 労働とは、生活手段や生産手段を作り出す活動である。人間は労働によって価値を生み出す。労働によって新たに作りだされた価値は、具体的には商品として市場で交換される。人間が生産したものの本来の価値は使用価値、市場で他の商品と交換される際の価値は、交換価値である。また、労働における価値の創造は、労働をする前の価値に新たな価値を加えること、つまり付加価値を産み出す活動である。労働なくして、新たな価値は創造されない。他の生産要素である資本・土地等は生産手段であり、労働の対象と手段である。労働こそ、経済全体の基礎となるものである。

●「国内総生産=国民総所得=国内総支出」の要となるのは、労働

 マクロ経済学では、経済活動を生産面・分配面・支出面の三つの側面からとらえる。そして、「国内総生産=国民総所得=国内総支出」という三面等価の原則が成り立つとする。
 一国の経済を生産面から見ることは、供給の側から見ることであり、支出面から見ることは、需要の側から見ることである。GDP(国内総生産)は、生産面=供給側から経済を見るための代表的な指標である。GDPとはその国が一定期間内に国内で産み出した付加価値の総額である。そして国内総生産の内容を理解するには、労働・資本・土地等の生産要素を通じて、GDPを分析することが必要になる。
 これらの生産要素の中で最も重要なものは、労働である。労働が、価値を創造する。言い換えれば、交換価値のあるものとしての商品を生み出す。市場で商品が売れると、その価格に応じて売り手は、報酬を得る。報酬は、一般に貨幣の形で得られる。それが所得である。市場で販売される商品には、財とサービスがあり、労働力も特殊な商品である。資本主義の社会では、労働者は労働力を商品として販売し、労働に対する対価として賃金を受け取る。それが所得となる。新たに作りだされた価値は、それが商品として市場で貨幣を仲介して交換される限り、必ず誰かの所得になる。それゆえ、一国における価値の生産の総量は、国民全体の所得と等しくなる。「国内総生産=国民所得」である。これはまた「国内総支出」と等しい。これら三つの側面で最も重要なのは生産面であり、経済指標として国内総生産(GDP)が主に使われるのはそのためである。生産の主体は人間であり、人間の労働が生産・分配・支出の過程の全体で最も重要な行為である。

 次回に続く。
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野田首相と民主党政権の末路6

2011-09-27 08:35:29 | 時事
●小沢氏の側近を防衛相と国家公安委員長に

 昨26日、東京地裁は、小沢一郎氏の資金管理団体「陸山会」の土地購入・違法献金問題に関し、政治資金規正法違反罪により、小沢氏の元秘書3名に、有罪判決を下した。3名とも執行猶予付きの禁固刑である。来週10月6日に初公判を迎える小沢氏の裁判に大きな影響を与えることは間違いない。また秘書の監督者としての小沢氏には政治的・道義的責任がある。国会は証人喚問を行い、立法府として事実を追求し、小沢氏の責任を問うべきである。民主党執行部は小沢氏を除名し、議員辞職勧告をすべきなのだが、それを断行せず、党員資格停止という軽い処分にとどめてきた。
 野田首相は、小沢氏に対し、むしろ復権の道を開くような対応をしてきた。野田氏は、党内最高の実力者にして刑事被告人である小沢氏に配慮して、「日教組のドン」輿石氏を幹事長に起用した。小沢氏への配慮は、それだけではない。閣僚に2名、小沢氏の側近を指名した。防衛大臣に一川保夫氏、国家公安委員長に山岡賢次氏である。よりによって、国防と警察のトップに小沢派を置くとは、驚きの人事だった。野田氏の小沢氏へのすりよりか。それとも、代表選で三度敗れた小沢氏が巻き返しを図っているのか。
 防衛相に就任した一川氏は、自分は「安全保障の素人」であり、「これが本当のシビリアンコントロール」と発言した。防衛大臣が自分は「素人」と発言したことは、同盟国のアメリカとの間では信頼を損ね、周辺諸国からは侮りを受ける。案の定、周辺諸国は、これまで以上にわが国に積極的に圧力をかける行動を起こしている。すなわち、ロシアは空軍爆撃機を飛ばして日本を一周し、北海道近傍で空中給油をした。中国は尖閣諸島周辺で情報収集機が行動し、わが国の自衛隊機を追尾した。韓国の李明博大統領は、近いうちに竹島を訪問することを示唆した。一川氏は、シビリアンコントロールの意味も知らないのでは、国会議員としての適格性も疑わしい。
 野田首相の重大な人事ミスである。野田首相は、著書で「新憲法制定論者」を自称し、集団的自衛権の行使に賛成の意見を書いている。だが、「安全保障の素人」だと述べる一川氏を防衛相に任命したことで、野田氏の見識が疑われる。日本の安全保障より党内融和、小沢氏への配慮を優先というのでは、日本の領土・領海、国民の生命・財産は守れない。
 野田氏は、国家公安委員長に山岡賢次氏を指名した。山岡氏は小沢氏の側近だが、小沢氏は政治資金規正法違反罪で強制起訴されており、山岡氏を警察行政のトップである国家公安委員長に指名したことは、野田氏の小沢氏への援護と疑われる。
 山岡氏は、拉致問題担当大臣と消費者問題担当大臣を兼務する。拉致問題に取り組んでいる荒木和博氏によると、「山岡議員はこれまで拉致問題に関わった話を聞いたこともありませんし、それ以前に関心がありそうにも思えない人物です。また、拉致問題以外のことでも民主党の他の議員を含め評価する声を聞いたことがありません。小沢グループを押さえ込むためにこのポストに当てたとでも考えるしか理由が思いつかない人事でした」と述べている。
 山岡氏は、ネットワークビジネス議員連盟の会長としてネットワークビジネスを擁護している。山岡氏は、マルチ商法の講演会で講演したことがあり、講演の録画がネットで公開されている。
http://www.nicovideo.jp/watch/sm4917959
 山岡氏は、マルチ商法関連業界との関係などについて自民党から追及され、十分な説明責任を果たしてこなかった。閣僚となったのち、マルチ商法業者や業界の政治団体から計254万円の献金や資金提供を受けていたことが分かった。9月8日、記者会見で山岡氏は「献金を頂いていたのは事実。誤解を受けないように、もう(献金を)受けないようにしている」と釈明し、「合法的に運営されているビジネスだと認識している」と述べた。だが、消費者担当大臣は、悪質商法などによる消費者被害が拡大しないよう事業者を監督する立場にある。その大臣がマルチ商法業者や業界の政治団体から献金を受けていたというのでは、大臣失格である。
 私は、野田首相が、国難対処より党内融和を重んじ、小沢氏への配慮から輿石氏、一川氏、山岡氏の3名を重用したことによって、自滅の道をたどることになったと判断する。小沢裁判の展開は司法のことゆえ、どう進むかわからないが、政治的には、彼ら3名の存在は野田内閣への不支持を増大していくだろう。
 民主党の平野博文国会対策委員長は、9月6日、「発言バラバラだと野党が追及」「閣僚はテレビ出演自粛して」と藤村官房長官に要請した。平野氏は7日の与野党国対委員長会談で自らこのことを明らかにした。 そのうえ、平野氏は会談で「内閣が不完全な状態では十分な答弁はできない」と予算委員会開催に難色を示した。平野氏は、鳩山内閣で官房長官を務めた人物である。その平野氏が、いまの内閣は「不完全な状態」だから、予算委員会を開催できないと野党に対して言う。野田内閣は、お粗末極まりない。
 民主党には、政党の理念を規定する綱領がない。反自民で寄り集まっただけだから、綱領さえつくれないのである。そうした政党では、党内融和を図ろうとすればするほど、規範なき集団の実態が露呈することになる。

 次回に続く。

関連掲示
・拙稿「闇の財テク王・小沢一郎の不正・不敬・横暴」
http://homepage2.nifty.com/khosokawa/opinion13m.htm
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尖閣:菅・仙石が「政治判断」との証言が

2011-09-26 10:09:03 | 尖閣
 今朝の産経新聞は一面トップで、菅直人政権で内閣官房参与を務めた松本健一氏の発言を載せた。松本氏は、中国人船長を処分保留のまま釈放したのは、当時の菅首相と仙谷由人官房長官の政治判断によるものだったと明らかにした。
 私は、尖閣諸島沖中国漁船衝突事件から1年を迎えた本年9月7日、「尖閣:事件から1年」を書いた。
http://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/d/20110907
http://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/d/20110908
 そこで私は、次のように述べた。
 「この事件で、わが国政府の中国に対する対応は、まったく弱腰で、世界に恥を晒した。9月7日は、わが国の国辱記念日となった。当時の菅首相、仙石官房長官、前原外務大臣らの責任は極めて重い。だが、事件は解明されぬまま、菅内閣は総辞職し、野田内閣に移った。
 尖閣事件は、日本人に覚醒を迫る事件である。この事件をあいまいのままにしておくと、大きな禍の種になる」
 「最大の問題点は、船長の釈放という判断にあったことは明らかである。今回の一連の事件の本質は、漁船衝突事件に係る中国人船長の責任にある。船長は領海侵犯、公務執行妨害、器物破損等の罪に問われねばならなかった。刑事事件と共に民事事件として、1000万円といわれる巡視船の修理代も請求しなければならないものだった。
 政府中枢は、船長の釈放は地検独自の判断と説明するが、政府中枢が関与したと思われる証言が多数出ている。直接的な指示を官房長官、法相等が行った可能性がある。また、最終判断は、菅首相だろう。だが、この検察に対する政府中枢の介入も、事実関係が明らかになっていない。
 国会議員は、国政調査権に基づき、関係者の証人喚問を実施すべきである。昨秋自民党には証人喚問を求める動きがあったが、その後、目だった展開が見られない。外交・安全保障に係る国会議員がこういう重大問題をあいまいにすると、将来に禍根を残す」
 「尖閣事件は、日本人に覚醒を迫る事件である。自らの魂を失った国民は、自らの国を失う。尖閣を守れなければ、南西諸島、そして沖縄を守れない。沖縄を守れなければ、日本を守れない。日本人は今、精神的に覚醒しなければならない。
 尖閣事件をうやむやに終わらせてはならない。うやむやにすると、尖閣の防衛整備を進めるうえで、大きな支障となる。事件の解明を進めながら、尖閣防衛の整備を急がねばならない。
 日本人が日本精神を取り戻し、憲法を改正し、国防を充実させて、独立主権国家としてまともな外交ができるようにならなければ、わが国の安全と持続的繁栄は決して得られない」と。

 元内閣官房参与・松本健一氏の発言は、事件の核心に係る重要な証言なので、産経新聞の関連記事を掲載する。国会議員は、国政調査権に基づき、関係者の証人喚問を実施し、尖閣事件の徹底解明を進めてもらいたい。

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●産経新聞 平成23年9月26日

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110926/plc11092611290009-n1.htm
尖閣、船長釈放 「菅・仙谷氏が政治判断」 松本前参与が証言

 菅直人政権で内閣官房参与を務めた松本健一氏は産経新聞社のインタビューに対し、昨年9月に起きた尖閣諸島沖の中国漁船衝突事件で逮捕された中国人船長を処分保留のまま釈放したのは、当時の菅首相と仙谷由人官房長官の政治判断によるものだったと明らかにした。
 「政治判断」を否定した菅氏らの説明と大きく食い違う証言といえる。
                   ◇
 松本氏は参与就任前だったが、仙谷氏から事件への対応について相談を受け、菅氏とのやりとりを知る立場にあった。これまでにも当時の閣僚や政府高官が「釈放は菅氏の指示で行われた」と証言していたが、実名で明言したのは初めて。
 松本氏によると昨年9月8日に船長が公務執行妨害容疑で逮捕された後、検察側が証拠となる漁船衝突時のビデオテープを首相官邸に届けた。それを見た官邸側が「テープ自体が証拠にならないとの致命的なミスがあり、公判にたえられず、有罪にもならないと判断した」という。
 政府内では「断固として裁くべきだ」との主張もあり、船長の勾留期限が9月19日に10日間延長された後も調整が続いた。松本氏は「菅首相が(ニューヨークでの)国連総会の最中に仙谷氏に電話をかけて、釈放するかしないかでやりあっていた」とした上で、「最終的には菅首相が(釈放を)判断した」と説明した。
 那覇地検は9月24日、船長を処分保留のまま釈放することを決定。中国人船長は翌25日に帰国した。地検は釈放について24日の記者会見で「わが国国民への影響や今後の日中関係を考慮すると、これ以上身柄を拘束して捜査を続けることは相当ではない」と述べた。
 決定に対し、仙谷氏は記者会見で「地検独自の判断だ。それを了とする」と述べ、政治判断ではないと強調した。菅氏も25日のニューヨーク市内での会見で「検察当局が事件の性質などを総合的に考慮し、国内法に基づいて粛々と判断した結果だ」と語った。
 当時の検察幹部らは釈放について「検察の判断だった」と主張している。

http://news.goo.ne.jp/article/sankei/nation/snk20110926065.html
尖閣、船長釈放 重大な虚偽か早急に解明を
2011年9月26日(月)08:00

 昨年9月の中国漁船衝突事件で中国人船長が処分保留で釈放されて1年。仙谷氏のブレーンとして官邸の事情に通じた松本氏が「釈放は官邸側の政治判断で行われた」と証言した意義は大きい。仙谷氏らは「政治判断ではない」と強弁してきたが、それが国民を欺く「歴史的な虚偽」だった可能性が高まったからだ。
 釈放という判断に至った理由を、松本氏は「官邸が証拠となる地検のビデオテープに瑕疵(かし)があり、起訴しても公判にたえられないと判断した」と説明したが、あくまで裁判で判断を仰ぐべきであって、事前に政治が判断してはならない。
 しかも、松本氏は「瑕疵」の内容について言及を避けた。これについて、検察幹部は「ビデオテープの証拠能力に問題はなかった。『政治の圧力があった』との批判を避けようと、証拠上問題があったと官邸側が弁解をしているように聞こえる」と話す。
 那覇検察審査会も7月21日、ビデオを含めて証拠を判断したうえで、中国人船長を強制起訴すべきだと議決した。
 政治が検察に介入する手段としては、法相による指揮権発動が法的には認められているが、船長の釈放は到底、その目的に適合する案件ではない。
 船長の逮捕から釈放に至る過程では、中国の度重なる抗議やレアアース(希土類)の対日輸出禁止報道、中国当局による中堅ゼネコン「フジタ」の社員拘束など恫喝(どうかつ)ともいえる言動があった。
 これらによる中国との関係悪化を避けようと、政治が事実上司法に介入しながら、船長の釈放は「地検独自の判断だ」(仙谷氏)との形を取り繕ったとしたなら「重大な虚偽工作」といっていい。
 事件は船長釈放から1年が過ぎ風化しつつあるが、「政治判断ではない」という政府の見解が虚偽であるならば、放置はできない。歴史に「ウソ」が「ウソ」のまま残るからだ。
 今からでも遅くはない。国会は菅、仙谷両氏ら当時の関係者を招致するなどして、真相解明に早急に取り組むべきだ。(高橋昌之)

■「瑕疵は言いがかり」
 元検事の郷原信郎弁護士の話「検察は証拠となるテープなどの中身を慎重に見て判断している。瑕疵があるというのは全くの言いがかりだ。本来は司法判断すべきものについて、官邸側が判断することはあってはならない」

http://news.goo.ne.jp/article/sankei/politics/snk20110926075.html
尖閣、中国人船長釈放で松本前参与「官邸側が判断した」
2011年9月26日(月)08:00

※産経新聞社による松本健一氏へのインタビュー

--船長はなぜ釈放されたのか
 「那覇地検が大きなミスをしていたから。地検から首相官邸に証拠となるコピーのビデオテープが届いたが、重大な瑕疵(かし)があり、(起訴しても)公判がたえられない、有罪にもならないと官邸側が判断した」
--重大な瑕疵とは
 「それはあまり明かしてはまずいので…。仙谷由人官房長官が検察担当者に質問をして、瑕疵があると分かった」
--政治判断があったというわけか
 「誰がミスをしたか責任追及をしないために高度な政治判断があった。仙谷氏は菅直人首相が(釈放の)指示をしたというのではなくて、地検が(釈放という)判断をして釈放することにしたという報告がきたので、(首相官邸は)それを了としたという言い方にした」
--事件発生後の経緯は
 「閣内では事件発生当初、菅氏や前原誠司国土交通相のように『証拠もあるわけで、国内法にのっとり断固として裁くべきだ』との考え方と、『釈放すべきだ』との立場に立つ仙谷氏の2つの意見があった」
--最終的に釈放という判断に至ったのは
 「それは裁判が維持できないから。最終的には菅首相が判断したわけだ」
--菅氏が指示を出したのは事実か
 「そうでなきゃ、釈放なんかできないでしょ、最終的に。あれだけの外交問題になっていたわけだから。菅氏は国連総会の最中に仙谷氏に電話をかけて、釈放するかしないかでやり合っていた。仙谷氏は官邸から一歩も出ずに夜中に首相と話し合っていた」
--菅氏が仙谷氏に押し切られたということか
 「仙谷氏の方に正当性があると。(菅氏も)裁判が維持できないと納得した。電話のやりとりの中で(釈放するとの)2人の合意がなされた。それは船長が釈放される2、3日前だ」
--なぜそうしたのか
 「菅さんは自分に責任がかかってくる問題は避けたがっていた」
--釈放は菅氏と仙谷氏の2人で決めたのか
 「少なくとも官房副長官くらいはいるかもしれないが、政治家が決めた」
--官邸側の誰が法務省・地検側に釈放しろと命令をしたのか
 「少なくとも菅氏はしていないでしょう。仙谷氏の可能性が高い」
--官邸側の指示で検察が動いたといえるか
 「それはそうですね」
--事件について菅、仙谷両氏のやりとりをどのように聞いていたか
 「当時はまだ内閣官房参与ではなく(翌月の)10月15日に任命された。だが、事件の最中も、こういう電話が首相からあったとか、中国とのホットラインはあるかとか、なぜ中国側はああも強固なのかとか(仙谷氏から)相談を受けていた」
--仙谷氏にはどんな意見を伝えたのか
 「(検察側の準備した)証拠に瑕疵があるなら裁判は戦えないとか、釈放するなら勾留延長する前にしておけばよかったとかは言った」
--菅政権の対応が迷走したのは
 「菅氏だって前原氏だって法律的なことをちゃんと知らないわけでしょ。実は政府ではこうした事件が起きた場合のマニュアルが平成20年に作られたが、それは起訴までで、起訴後のマニュアルは今もない」(村上智博)
 =肩書は当時
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関連掲示
・拙稿「尖閣諸島、6月17日に備えよう」
http://homepage2.nifty.com/khosokawa/opinion12i.htm
 補説に「尖閣事件から1年」を所収
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救国の経済学61~丹羽春喜氏

2011-09-26 08:53:33 | 経済
●金融政策の転換が必要

 平成8年(1996)の「金融ビッグバン」で「金融行政3点セット」が行われた。
 第一の時価会計は、資産と負債を毎期末の時価で評価し、財務諸表に反映させるアングロ・サクソン式の会計制度である。減損会計は固定資産の時価会計だが、評価益は出さず、評価損しか出さないので、不況の時には企業によって、不利な数字になる。時価会計と減損会計を継続していくと、デフレの日本では名目GDPがますます縮小し、一段と税収が上がらなくなる。
 第二のペイオフは、一銀行の一預金者に対する預金元本の保証限度額を1000万円とする制度である。平成17年(2005)にペイオフを完全実施した結果、銀行の預金構成は定期預金が預金全体の約40%に落ち込んだ。銀行は70%くらいの定期預金がないと、安心して資金を貸せない。安定した預金がないと、安定した貸し出しを伸ばすことができず、実態経済を衰弱させていく。
 第三の銀行の自己資本比率規制(BIS規制)は、国際業務を行う銀行は、自己資本比率が8%以上なければならないとするもので、日本の銀行の海外進出に対するアメリカの対策として考案された。そのうえ、わが国では、国内業務しか行わない銀行にも、自己資本比率4%以上という基準を独自に定めている。そのため、銀行は自己資本比率を維持するため、資金回収を行い、貸し渋り・貸しはがしが蔓延し、企業の倒産が増加している。
 これら「金融行政3点セット」をそのままにして、積極財政を行っても、効果は大きく減少する。
 また菊池氏は、大手銀行に対する外資の株式保有制限を法制化することも提案している。「欧米の金融理念や制度などはどうでもよい。日本の体質と伝統に合った金融理念と金融制度を樹立すべきである」と菊池氏は主張している。自らの伝統に基づいた理念や制度を発展させてこそ、社会の調和と民族の繁栄が得られる。日本は日本の道をゆけばよいのである。
 仮に丹羽氏の「救国の秘策」を採用したとしても、金融行政3点セットが改められず、大手銀行に対する外資の株式保有が制限されなければ、わが国の金融機関の苦境は続く。丹羽氏はこれらの施策の問題点を検討すべきである。

●日本の伝統に立った日本の再建

 菊池氏は、日本の伝統に立った日本の再構築を呼びかける。菊池氏は、雇用の安定と生活保障こそ日本の誇るべき伝統であり、社員・従業員重視、家族重視のあり方をよしとし、終身雇用、年功型人事システムを日本のよき伝統という。橋本=小泉構造改革によって、「日本のよき伝統と文化が破壊され、日本の実情に合わない手法で日本のシステムが破壊されて、なにもよくならない。すべては政策の失敗から来ている」と菊池氏は告発する。
 菊池氏は、「戦後の日本経済が高度成長した過程には、株主配当よりも雇用重視の考えがあり、これが企業の技術の発展と人材育成につながり、企業利益を増加させ、再び経営者と従業員に利益を戻すという好循環があった」と言う。そして、わが国は「雇用を最重視する経営方針を貫くべき」であると主張する。「内需拡大の過程で、日本の伝統的な経営手法と雇用のあり方を思い出し、市場原理主義の伝染病から完治することだ」と菊池氏は提唱する。そして、「日本の伝統的な経営手法の重視や非正規社員の原則廃止によって、社会的安定性を取り戻す政治経済政策をとるべきである。こうした社会基盤ができれば、経済が安定的に成長し、財政再建も増税なしで達成できる」と主張する。
 橋本=小泉構造改革とは、日本の直系家族的な集団主義的資本主義を、アングロ・サクソンの絶対核家族的な個人主義的資本主義に変造するものだった。経済や社会における伝統的な価値観や制度を破壊し、外来の価値観を植え付ける。それによって、米欧の資本が日本に進出し、日本を支配しやすくするものだった。日本の変造は、経済・金融の分野に限らない。司法や医学や教育等、あらゆる分野に及ぶ。総体的にいえば、西洋文明による日本文明の変造である。
 菊池氏は、構造改革で損なわれた日本のよき伝統を取り戻し、日本的な経営や雇用を回復することを説く。丹羽氏は、こうした方針を積極的に説いていない。仮に「救国の秘策」を行なった場合でも、わが国の企業経営や雇用のあり方が改革されなければ、真の効果は上がらないだろう。
 なお、私は、経済政策において雇用は中心的な課題だと考える。価値を生み出すのは、人間の労働である。デフレ・ギャップのもとになる潜在的な供給力も、国民の労働の蓄積である。この点は、後に、日本復活は国民の力によるという項目で詳しく述べる。

●丹羽氏と菊池氏の継承・発展

 私は、丹羽氏の「救国の秘策」を取る場合も、財政・税制・金融・経営・雇用等の改革が伴わないと、十分な成果を得られないと思う。臨時ボーナスの支給にしても、計画的かつ大規模な政府支出にしても、これらの改革を同時に進めないと、GDPは伸びても、制度的・政策的な欠陥はそのままであるため、効果が減少すると思う。政府貨幣の発行をやれば、すべてうまくいくという考え方は、単純すぎる。財政・税制・金融・経営・雇用等、総合的な経済政策を立案し、日本の復活を図る必要がある。
 私は、丹羽氏と菊池氏は、ともに日本の再建に有効な政策を提唱していると評価する。両氏の理論と政策に学び、総合的に検討し、継承・発展させていくべきだと思う。

 次回に続く。
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野田首相と民主党政権の末路5

2011-09-25 08:39:19 | 時事
●「教育の政治的中立」は「ありえない」と輿石氏

 労働組合というものは、労働者の生活と権利を守るために必要である。しかし戦後日本の労働組合は、左翼政党の下部組織のような団体が多くなっている。
 中でも特異なのが、日教組である。教職員組合は、厳密に言うと労働組合ではない。教職員は地方公務員だが、特例法で、国家公務員と同様、政治活動が規制されている。教育の政治的中立を確保するためだ。ところが、日教組は、全国の労働組合と比べても、左翼色の強い主張と活動をしてきた。それが許されているところに、わが国の大きな病巣の一つがある。
 日教組は、民主党が旧日本社会党から継承した有力な支持団体である。民主党は、山教組の選挙違反事件で関係者が逮捕された際、資金提供を受けた輿石氏に対し、政治倫理を問わなかった。それどころか、輿石氏を党の要職に就けてきた。輿石氏は、最高権力者・小沢一郎氏と一体化して政治活動を行い、野田政権では幹事長に座った。
 私は北海道の道北地方の出身。北海道は、教職員組合が強い。私が中学生だった昭和40年代前半、地域の小学校では、校長と組合の教師の対立が激しく、我が家でも話題になった。児童の教育よりも、組合活動に熱心な教師たちが、校長や教頭よりも偉そうにものを言っている姿を見て、少年ほそかわは、驚いたものだ。
 高校の教師の組合は日教組とは別組織だが、思想・運動は同じである。北海道では、高教組も闘争的だった。私が高校に入ったのは、70年安保を控えて国内が騒然としていた昭和44年。世界史の第一回の授業は「共産党宣言」だった。倫理社会の授業は、フランス革命の話がやたら多かった。現代国語の実力試験問題は、プロレタリア文学から出題された。
 左翼教師の教育を受けた友人・先輩たちは、政治活動をしたり、左翼の党派に入ったりした。マルクス=レーニン主義や毛沢東思想が、熱病のように蔓延していた。そういう環境にあったから、私自身、共産主義の影響を受け、その克服には苦労した。
 公立小中学校の教師は教育公務員である。政治的に中立でなければならない。しかし、教育公務員特例法には罰則規定がない。違反しても罰せられないザル法である。教育公務員特例法を改正し、教育委員会と教職員組合の違法な密約をやめ、教職員の政治活動にメスを入れ、公教育を正常化し、国民の手に取り戻すべきである。
 現状では、教育公務員という身分を得れば、税金で給与を得ながら政治活動・組合活動ができる。そこで頭角を表した者が、組合を支持母体として国会議員となり、議員と組合が結束して、左翼運動を行っている。その頂点にいるのが、民主党の輿石東氏である。
 輿石氏は平成21年(2009)1月14日、日教組新春の集いに参加し、次のように語った。 「(日教組は)政権交代にも手を貸す。教育の政治的中立といわれても、そんなものはありえない。政治から教育を変えていく。私も日教組とともに戦う。私も永遠に日教組の組合員であるという自負を持っている」と発言し、波紋を呼んだ。
 この発言は、国会議員でありながら、教育の政治的中立を目指す教育基本法や教育公務員特例法を否定し、日教組の組合員に違法な政治活動を促す問題発言だった。
 また輿石氏は、22年(2010)2月7日に、同じ日教組新春の集いに出席した際にも、「世の中は自治労と日教組が諸悪の根源という話もある。それだけ期待もされ、批判もされている。教育が選挙の争点になるのは初めてだろう。いよいよ日教組の出番だ」と語った。
 そんな政治家が党の幹部となっている民主党が政権に就き、その幹事長になったのである。
 野田氏は、輿石氏を幹事長にしたのに加えて、日教組出身の参院議員、神本美恵子氏と水岡俊一氏を、文部科学政務官と首相補佐官にそれぞれ起用した。これによって、日教組はかつてないほどの政治力を掌中にしたことになる。日教組が文部行政に対して、従来以上に介入することは間違いない。日本の教育の悪化は必至である。
 解散総選挙で政権交代を成し遂げる以外に、日本再建の道はない。

 次回に続く。

関連掲示
・共産主義の総括に関する拙稿
http://homepage2.nifty.com/khosokawa/opinion07.htm
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トッドの移民論と日本74

2011-09-24 08:46:41 | 国際関係
●中国人移民の実態(その1)~確定申告での税金逃れ

 わが国では、諸外国の例を見るまでもなく、既に急増する中国人移民によって、様々な問題が起こっている。その実態を見ていこう。
 外国人移民が日本で生活するようになると、住民として税金を納めてもらう立場になる。外国人移民は、生まれてから来日するまでは、日本に税金を納めていない。かれら移民を受け入れるならば、当面の間、彼らの生活を日本人の税金で保証しなければならない。日本語を学ぶ学校の建設、住環境整備のための優遇措置、健康保険料等が税金から補填されている。公共サービスを利用する以上、その対価として税金を納めるのは、当然の義務である。
 所得税や住民税は、納税者に扶養家族がいる場合、一人当たり一定額の所得控除があり、還付が受けられる。中国人の一般永住者の多くは、確定申告をする際、本国に住む両親、兄弟、配偶者の両親、その兄弟姉妹等と、何人もの扶養家族を書いてくる。扶養家族の所得控除を利用した節税対策である。関東の税務署関係者によると、「最終的に納税額がゼロになるまで扶養家族をつける。足りないと、出直してまで扶養家族を足してくるケースもある」(産経新聞、平成22年4月4日号)。韓国やロシアなど他国人と比べ、こういう申請は中国人が突出しているという。
 わが国の扶養者控除の制度が悪用されているのである。

●中国人移民の実態(その2)~生活保護の申請

 生活保護の支給対象は、法律で日本国民に限定している。しかし、外国人のうち、永住者と定住者に限っては予算措置で準用し、生活保護の支給対象とする判断が続いている。これを利用して、生活保護を受けようとする外国人がいる。なかでも中国人が目立つ。
 平成22年(2010)年6月、大阪市で中国人による生活保護大量申請事件が起こった。この年、中国福建省から来日し、残留孤児2世として日本国籍を取得した70歳代の姉妹が、5~6月にかけて中国から親族郎党を48人呼び寄せた。入国した48人は千葉景子法務大臣(当時)によって定住者として認定され、1ヶ月もしないうちに生活保護の受給を大量申請した。区役所幹部の指摘で問題が表面化した。
 大阪市では入国後、わずか数日で生活保護が申請された点を重視した。入管難民法では、わが国への入国を認めるかどうかは「国、地方自治体に負担をかけない」ということが条件となっている。また、生活保護法、外国人を原則として適用対象としない。そこで大阪市は、入管難民法の規定に加え、生活保護法の趣旨に反するとして、厚生労働省に見解を求めた。厚労省は、「生活保護の受給を目的とした入国であることが明らかな場合や、そう見なさざるを得ない場合は、生活保護の受給対象から除外できる」と回答した。
 生活保護を申請した中国人48人のうち、問題が表面化した後、申請を取り下げた者がいる一方、26人は生活保護が認められて支給を受けていた。このケースの場合は、その後、支給が打ち切られた。
 生活保護を受給している外国人は、全国で実に5万1,441人(22年7月時点)にものぼる。大阪市で発覚した生活保護の大量申請は、氷山の一角だろう。国民のための「セーフティーネット」が、外国人によって脅かされているのである。

 次回に続く。
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救国の経済学60~丹羽春喜氏

2011-09-23 08:38:23 | 経済
●国家会計制度の改革が必要

 菊池氏は、特別会計と一般会計を一体化する必要性を説いている。財政区分には、一般会計と特別会計がある。菊池氏は「日本の予算内容を見るには、一般会計と特別会計の両方を見ないと実態がつかめない」という。
 一般会計と特別会計を合わせて、歳入・歳出を計算すると、平成19年度(2007年度)決算においては、残金として剰余金が42.6兆円も出る。菊池氏は「特別会計の剰余金42.6兆円を一般会計に戻せば、一般会計は黒字であり、一般・特別会計を一体としてみても、黒字になる」「当初の段階で特別会計への繰越金を大幅に減額すればよい。そうすれば、一般会計は黒字になる」と指摘する。
 わが国の一般会計は赤字なのではなく、上記のような特殊な財政操作によって、赤字に見えるようにされているのである。菊池氏の言うように、特別会計への資金援助額を大幅に減らせば、黒字になる。何も不正な帳簿操作をしているのではない。現在、奇妙奇天烈なやり方をしているのを、合理的な仕方に改めるだけのことである。
 詳しくは拙稿「経世済民のエコノミスト~菊池英博氏」の「3.失政の責任を取らない財務省」をご参照願いたい。
http://homepage2.nifty.com/khosokawa/opinion13i-2.htm
 純債務で財政を見て、一般会計と特別会計を一体化して把握すると、財源は多数見つかる。これを経済活性化に生かせばよいというのが、菊池氏の主張である。
 丹羽氏は、一般会計と特別会計の仕組みの解明と一本化について、述べていない。私は、これが必要だと思う。仮に丹羽氏によって政府貨幣を発行し、臨時ボーナスの支給なり、計画的かつ大規模な公共投資の実施なりをした場合、財政の考え方や会計の仕組みが現状のままでは、無駄づかいを生んだり、豊満財政に陥る。国家会計制度の改革が必要である。

●税制の改革が必要

 菊池氏は、デフレ下における消費増税に反対し、税制の改革を説く。わが国は、新自由主義的なレーガン税制の亜流のような税制を取っており、そのうえ、消費税負担率が非常に高い。菊池氏は積極財政とともに、税体系を変更し、法人税の引き上げ、高額所得者への増税(累進課税の復活)、投資減税による景気振興策を並行して実施すれば、法人税・所得税の税収増が実現する、と説いている。具体的には、所得税の上限を現在の40%から50%に引き上げ、住民税は現在の一律10%のフラット税をやめて、上限を15%に引き上げる。大企業に対する法人税を現在の30%から40%に引き上げる、という案を提示している。
 仮に丹羽氏の政策を採用して政府貨幣を発行した場合も、納税は当然行われるわけだから、税制の改革は必要である。
 丹羽氏は、増税については、「小渕首相への建白書」(平成11年)以来、現在まで一貫して反対している。平成21年(2009)刊行の『政府貨幣特権を発動せよ。』では、次のように書いている。
 「現在のわが国にように、巨大なデフレ・ギャップが発生していて、経済が停滞と景気悪化に苦しんでいるような時には、増税(略)は民間部門での購買力低下や資金不足をもたらして、経済状況を一層悪化させる危険があるわけであるから、それをやってはならない」
 また、「雇用者報酬額が10年前にくらべて6~7%も低いところに留まっているような現状で、これほどまでの増税などが行われれば、消費の低迷が激化し、景気の足を引っ張ることになるのは不可避である」「消費税の税率引き上げなどということは、まさに、論外とも言うべき暴論であろう」と主張している。
 丹羽氏は、投資減税などの適切な減税や租税構造の合理化は必要だとする。だが、それだけでは「大規模かつ決定的な政策効果をおさめることは、とうてい不可能」と言う。この点、私は、政府貨幣の発行とともに、投資減税などの適切な減税や租税構造の合理化を行うことで、一層効果的に、経済成長、財政再建、重要国策の実行ができると思う。

 次回に続く。
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野田首相と民主党政権の末路4

2011-09-22 09:07:20 | 時事
●小沢氏に近い輿石氏を幹事長に

 野田氏は、組閣・人事において、日本の復興・再建より、党内融和を優先した。
 民主党代表選の争点は、最終的に親小沢か反小沢かにしぼられた。野田氏は、親小沢の海江田氏に対し、反小沢の票を集めて、決選投票で逆転勝利した。
 野田氏は、「怨念を超えた政治」を唱えた。「怨念を超えた政治」とは、党内融和を図る政治だった。その中で最大の配慮をしたのは、党内最大勢力を持つ小沢一郎氏に対してだった。
 野田氏は、民主党ナンバー2の幹事長に、輿石東参院議員会長を起用した。輿石氏は小沢氏に近い。輿石氏に党の運営をゆだねることで、野田氏は小沢氏に配慮したのである。
 小沢氏の資金管理団体「陸山会」の政治資金規正法違反事件で、元秘書ら3人が逮捕・起訴された。虚偽記載額は20億円を超えた。小沢氏も、政治資金規正法違反罪で強制起訴されるに至った。国民の間から、民主党は小沢氏を除名すべきという声が上がり、小沢氏に議員辞職を求める意見も多くなった。
 民主党は、こうした世論を無視できず、長く協議を重ねた末に、党執行部が小沢氏の処分を決定した。それが、党員資格停止処分である。厳しい世論をかわすため、最低限の処分をしたものだろう。
 民主党代表選では、小沢氏の処分の見直しが一つの焦点となった。処分見直し論は、党が組織として決定したことを覆そうとする動きである。議論の口火を切ったのは、輿石氏だった。輿石氏は、「新代表の下で凍結なり解除するのが望ましい」と述べた。幹事長に内定した後も、「私の考えは変わらない」とし、「いろんな考えがあるから、民主主義のルールと時機をみて考えたい」と語った。
 野田氏は、小沢氏と結託する輿石氏を重用することで、小沢氏の復権を認めるつもりなのだろうか。党内融和による自分の政権の安定のために、民主党における「政治とカネ」の問題をあいまいにするならば、野田氏は大きく道を踏み誤る。

●輿石氏は「日教組のドン」

 輿石氏は、「日教組のドン」と呼ばれる。日教組出身の国会議員らでつくる日本民主教育政治連盟の会長を務めている。もともと山梨県の小学校教員出身で、日教組傘下の山梨県教職員組合(山教組)で委員長などを歴任した。平成2年(1990)に社会党から衆院議員に初当選した日教組上がりの左翼政治家である。
 輿石氏は、平成8年(1996)に旧民主党の結党に参加した。同年の総選挙で落選し、2年後に参院議員に転じた。その後、頭角を現し、「参議院のドン」とも呼ばれる。
 輿石氏の選挙では毎回、山教組がフル回転する。平成16年(2004)の参院選では、山教組の組合員が公務員でありながら選挙資金集めに協力した。山教組の財政部長(当時)らが、教員から集めた金を政治資金収支報告書に記載しなかったことにより、略式起訴、罰金命令を受け、現職教員らが懲戒処分を受けた。「山教組問題」といわれる。
 野田氏は、日共を支持母体に持つ輿石氏を、民主党の幹事長にすえた。これは、野田氏が思想・信条において相容れないはずの日教組と妥協したことを意味する。
 野田氏は、東京裁判史観の見直しを求める考え方を明らかにしてきた。ところが、学校で自虐的な歴史を教えてきたのは、日教組である。野田氏は「歴史認識については、タブー視せずに見直していかなければならない」と述べ、松下政経塾政経研究所国策研究会でも、「日本の背中は曲がっている。それをなんとか伸ばさなければならないんだ!」と、口癖のように訴えていたという。歴史認識を正し、日本の背中を伸ばすには、日教組の教育を改めなければならないはずである。
野田氏はまたかつては道徳教育の重要性を認識し、「やりたかったのは文部科学大臣」と述べたことがあった。戦後、道徳教育を否定し、道徳の時間に道徳を教えず、ホームルームやリクレーション、自習等の時間にしてきたのは、日教組である。さらに近年は、小学校低学年から過激な性教育を行っている。日教組の教育研修大会は性教育の報告・研究が一大テーマになっている。野田氏は、こういう日教組に政治的な力を与えようとしているのである。
 野田氏は、自分が「自衛官の倅(せがれ)」であり、父親は習志野空挺団に所属していたと著書に記している。そして、小学校時代の体験として、「自衛官の子供に対して『あなたの父親は人殺しを仕事にしている』と言った教師がいた、というような話はよく伝えられていますが、実際にそういう雰囲気がありました」と書いている。自衛官の子供に対して、教室で陰湿な言葉を発してきたのは、日教組の教師である。野田氏は、自らの体験から、このことをよく知っているわけである。国防に対する認識を正すには、日教組の教育を改めなければならないはずである。
 ところが、野田氏は「日教組のドン」輿石氏を幹事長に起用した。自分の思想・信条を曲げてでも、党内の融和、小沢氏への配慮を図った。そこには、卑屈な人間性がうかがわれる。首相になるため、そして首相の座に居続けるためには、自分の思想・信条を変える。野田氏は、そのような政治家と見える。私は、こういうタイプの政治家は、他国に対しても、自説を捨て、譲歩と妥協をして恥じないだろうと推量する。

 次回に続く。

関連掲示
・拙稿「猛威のジェンダーフリーと過激な性教育」
http://homepage2.nifty.com/khosokawa/opinion03c.htm
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