●世界の諸文明とキリスト教系諸文明
ここで欧米、ラテン・アメリカ、アフリカ等のキリスト教の歴史を書きたい。本稿全体の記述の都合により、ここでの記述は、第2次世界大戦後、今日までの期間を含むものとする。
さて、国際政治学者のサミュエル・ハンチントンは、冷戦後の現代世界の主要文明を7または8と数える。キリスト教的カソリシズムとプロテスタンティズムを基礎とする「西洋文明(西欧・北米)」、ギリシャ正教を基礎とする「東方正教文明(ロシア・東欧)」、イスラーム教を基礎とする「イスラーム文明」、ヒンドゥー教を基礎とする「ヒンドゥー文明」、儒教を要素とする「シナ文明」、「日本文明」、カトリックと土着文化を基礎とする「ラテン・アメリカ文明」。これら7つに、今後の可能性のあるものとして、「アフリカ文明(サハラ南部)」を加えている。
私見を述べると、これらのうち、キリスト教系の文明は、「西洋文明(西欧・北米)」、「東方正教文明(ロシア・東欧)」、「ラテン・アメリカ文明」の三つである。また、私は、キリスト教がユダヤ教と同根であることを強調する時などに、キリスト教をユダヤ=キリスト教と呼ぶ。この名称を使って言い換えれば、西洋文明、東方正教文明、ラテン・アメカ文明は、ユダヤ=キリスト教諸文明である。ハンチントンは、上記の文明を単に並列的に見たが、私はそれらを一神教文明群と多神教文明群とに分ける。キリスト教諸文明またはユダヤ=キリスト教諸文明は、一神教文明群に属する。一神教文明群には、ほかにイスラーム文明、ユダヤ文明が属する。
これらの諸文明のうち世界に広がることになった西洋文明は、ヨーロッパで発生した。私は、ヨーロッパ文明が北米にも広がった段階以降を、西洋文明と呼んでいる。ヨーロッパについては、地理的な地域区分を明確にする必要がある。本稿では、キリスト教の歴史を踏まえて、ヨーロッパを西部・南部・北部・東南部・東北部に分ける。歴史的に西部・南部・北部は現在の西洋文明、東南部・東北部は東方正教文明が支配的な地域である。
●ヨーロッパの地域区分
ヨーロッパの地域区分において、それぞれ主な国々は、次のようになる。西ヨーロッパは、イギリス、アイルランド、フランス、ドイツ、オーストリア、スイス、ベネルクス三国。南ヨーロッパは、スペイン、ポルトガル、イタリア。北ヨーロッパは、デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、バルト三国。東ヨーロッパは、東南ヨーロッパと東北ヨーロッパに分ける。東南ヨーロッパは、バルカン半島・黒海西岸の国々すなわちギリシャ、アルバニア、ブルガリア、ルーマニア、クロアチア、セルビア、モンテネグロ、ボスニア・ヘルツェゴビナ。東北ヨーロッパは、しばしば中欧と呼ばれる国々のうち北方のポーランド、チェコ、スロヴァキア、ハンガリーである。
これらヨーロッパの国々に、ヨーロッパ文明の影響の強い北米及び大洋州の欧米系の国を合わせて見ると、国民の人口のうちカトリックの多い国は、割合順に次の通り。ポーランド、ポルトガル(以上、9割台)、ルクセンブルク、アイルランド(以上、8割台)、ポーランド、リトアニア、イタリア、ベルギー、スペイン(以上、7割台)、フランス、オーストリア、スロヴァキア(以上、6割台)等である。プロテスタントの多い国は、同じく次の通り。スウェーデン、ノルウェー、フィンランド、デンマーク(以上、7割台)、イギリス(6割台)、アメリカ合衆国(5割台)等である。カトリックとプロテスタントにあまり差のない国は、ドイツ、スイス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド等である。また、東方正教会が多い国は、東南ヨーロッパのほとんどの国である。例外は、アルバニアとボスニア・ヘルツェゴビナで、国民のうち最も多いのはイスラーム教徒である。
次に、地域別に、キリスト教を中心とした宗教事情を概術する。西ヨーロッパ、南ヨーロッパについては、これまである程度書いたので、現在の宗教割合を中心に簡略に書く。北ヨーロッパについては、ほとんど触れていないので、少し詳しく書く。次に北米、大洋州の国々について簡単に書く。また、これまでほとんど触れていない東ヨーロッパについては、少し詳しく書く。
次回に続く。
ここで欧米、ラテン・アメリカ、アフリカ等のキリスト教の歴史を書きたい。本稿全体の記述の都合により、ここでの記述は、第2次世界大戦後、今日までの期間を含むものとする。
さて、国際政治学者のサミュエル・ハンチントンは、冷戦後の現代世界の主要文明を7または8と数える。キリスト教的カソリシズムとプロテスタンティズムを基礎とする「西洋文明(西欧・北米)」、ギリシャ正教を基礎とする「東方正教文明(ロシア・東欧)」、イスラーム教を基礎とする「イスラーム文明」、ヒンドゥー教を基礎とする「ヒンドゥー文明」、儒教を要素とする「シナ文明」、「日本文明」、カトリックと土着文化を基礎とする「ラテン・アメリカ文明」。これら7つに、今後の可能性のあるものとして、「アフリカ文明(サハラ南部)」を加えている。
私見を述べると、これらのうち、キリスト教系の文明は、「西洋文明(西欧・北米)」、「東方正教文明(ロシア・東欧)」、「ラテン・アメリカ文明」の三つである。また、私は、キリスト教がユダヤ教と同根であることを強調する時などに、キリスト教をユダヤ=キリスト教と呼ぶ。この名称を使って言い換えれば、西洋文明、東方正教文明、ラテン・アメカ文明は、ユダヤ=キリスト教諸文明である。ハンチントンは、上記の文明を単に並列的に見たが、私はそれらを一神教文明群と多神教文明群とに分ける。キリスト教諸文明またはユダヤ=キリスト教諸文明は、一神教文明群に属する。一神教文明群には、ほかにイスラーム文明、ユダヤ文明が属する。
これらの諸文明のうち世界に広がることになった西洋文明は、ヨーロッパで発生した。私は、ヨーロッパ文明が北米にも広がった段階以降を、西洋文明と呼んでいる。ヨーロッパについては、地理的な地域区分を明確にする必要がある。本稿では、キリスト教の歴史を踏まえて、ヨーロッパを西部・南部・北部・東南部・東北部に分ける。歴史的に西部・南部・北部は現在の西洋文明、東南部・東北部は東方正教文明が支配的な地域である。
●ヨーロッパの地域区分
ヨーロッパの地域区分において、それぞれ主な国々は、次のようになる。西ヨーロッパは、イギリス、アイルランド、フランス、ドイツ、オーストリア、スイス、ベネルクス三国。南ヨーロッパは、スペイン、ポルトガル、イタリア。北ヨーロッパは、デンマーク、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド、バルト三国。東ヨーロッパは、東南ヨーロッパと東北ヨーロッパに分ける。東南ヨーロッパは、バルカン半島・黒海西岸の国々すなわちギリシャ、アルバニア、ブルガリア、ルーマニア、クロアチア、セルビア、モンテネグロ、ボスニア・ヘルツェゴビナ。東北ヨーロッパは、しばしば中欧と呼ばれる国々のうち北方のポーランド、チェコ、スロヴァキア、ハンガリーである。
これらヨーロッパの国々に、ヨーロッパ文明の影響の強い北米及び大洋州の欧米系の国を合わせて見ると、国民の人口のうちカトリックの多い国は、割合順に次の通り。ポーランド、ポルトガル(以上、9割台)、ルクセンブルク、アイルランド(以上、8割台)、ポーランド、リトアニア、イタリア、ベルギー、スペイン(以上、7割台)、フランス、オーストリア、スロヴァキア(以上、6割台)等である。プロテスタントの多い国は、同じく次の通り。スウェーデン、ノルウェー、フィンランド、デンマーク(以上、7割台)、イギリス(6割台)、アメリカ合衆国(5割台)等である。カトリックとプロテスタントにあまり差のない国は、ドイツ、スイス、カナダ、オーストラリア、ニュージーランド等である。また、東方正教会が多い国は、東南ヨーロッパのほとんどの国である。例外は、アルバニアとボスニア・ヘルツェゴビナで、国民のうち最も多いのはイスラーム教徒である。
次に、地域別に、キリスト教を中心とした宗教事情を概術する。西ヨーロッパ、南ヨーロッパについては、これまである程度書いたので、現在の宗教割合を中心に簡略に書く。北ヨーロッパについては、ほとんど触れていないので、少し詳しく書く。次に北米、大洋州の国々について簡単に書く。また、これまでほとんど触れていない東ヨーロッパについては、少し詳しく書く。
次回に続く。