ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

香港で「香港人、抵抗せよ!」という反共スローガン

2019-11-14 10:06:08 | 国際関係
 香港情勢について、産経新聞11月9日付けの「香港、強まる反共スローガン デモからレジスタンスへ」と題された記事で、藤本欣也副編集長は、次のように書いた。

 「今や、香港市民たちの抗議活動はデモのレベルを超えた。中国当局からみれば「反乱」であり、香港側からみれば、共産党支配に対する「レジスタンス」(抵抗運動)である。市民たちのかけ声も「香港人、頑張れ!」から、「香港人、抵抗せよ!」に変わった。
 これまでの拘束者は3千人超。3分の1が学生だ。市民たちは運動が押さえ込まれれば、中国当局による容赦のない報復が待っていることを、1989年の天安門事件で知っている。若者たちの「もはや引き返せない」との思いが行動をより先鋭化させる。
 香港への圧力を強める共産党に対し、自由の擁護と民主化を求めてやまない香港市民たち。日本政府は旗幟鮮明にすべきときだ」

 最後の日本政府は旗幟鮮明にすべきということは、私がここ数か月繰り返し、主張していることである。
 安倍首相は先ごろ「来春の習主席の国賓訪日を、日中新時代にふさわしい有意義なものとするため、協力を進めていきたいと思います」と述べたが、中国共産党のトップ、習近平を国賓として招待することは、現在の情勢において、まことにふさわしくない。
 我が国政府は、香港、ウイグル、チベットにおける中国共産党の虐待・虐殺を強く非難すべきであり、また我が国との尖閣諸島をめぐる緊張関係についても、断固たる姿勢を示すべきである。
 以下は、最近の香港関係のニュースから。

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●産経新聞 令和元年11月8日

https://www.sankei.com/world/news/191108/wor1911080012-n1.html
香港抗議現場付近で学生転落死 若者ら反発強める 
2019.11.8 19:42|国際|中国・台湾

 【香港=藤本欣也】香港警察への抗議活動が行われていた新界地区で建物から転落した香港科技大の男子学生(22)が8日、死亡した。反政府デモを続ける若者らは「警察の暴力による死者が初めて確認された」と反発を強めており、抗議活動がさらに激化する可能性がある。
 同日夜には香港各地で学生の追悼会が催された。
 学生は4日未明、新界地区の住宅街にある立体駐車場の3階から2階に転落。頭を強く打ち、8日、搬送先の病院で死亡した。
 学生がどのような状況で転落したかは不明。ただ、警官隊は当時、市民らを排除するため立体駐車場に向けて催涙弾を撃っており、「学生は催涙弾から逃れようとして転落したのでは」との見方が浮上した。
 警察は「催涙弾を撃った場所は現場から120メートル離れている」と釈明したが、警察が救急活動を妨げたとの証言もあり、「学生は警察の暴力によって死亡した」と信じる若者が多い。
 背景には、警察の過剰な制圧行為への反発があるほか、最近、若者たちの不審死が社会問題化している事情がある。
 9月下旬、新界地区の海で水死体で発見された女子専門学校生(15)のケースもその1つ。
 香港メディアによると、女性は全裸だったが、警察当局は「遺体に外傷はなく事件性はない」と判断、自殺と見てすぐに火葬された。しかし友人らは「彼女は泳ぐのが得意だった」として自殺を疑問視した。
 政府寄りのテレビ局を通じて、母親が自殺を認めた映像が流れたが、友人らは「別人だ」と指摘。女子学生は反政府デモに参加していたことから、「警官に暴行されて死亡し、警察はそれを隠蔽している」とみる若者が多く、今でも抗議活動が続いている。
 7日、抗議活動に参加した女性(20)は「全裸で見つかったのに事件性がないとは…。警察は信用できない」と話していた。
 香港のネットメディアによると、デモが本格化した6月以降、入水自殺や飛び降り自殺として処理される若者の遺体が増えているという。真偽は不明だが、それを信じる市民は多い。

●産経新聞 令和元年11月9日

https://www.sankei.com/world/news/191109/wor1911090012-n1.html
香港、立法会7議員を逮捕 民主派「区議会選中止狙い」と反発
2019.11.9 20:26|国際|中国・台湾

 【香港=藤本欣也】香港警察は民主派の立法会(議会)議員7人を立法会の条例違反で逮捕することを決め、9日までに着手した。その内の1人の林卓廷議員は香港紙に、「警察は社会の対立をあおり、(24日投票の)区議会(地方議会)選を中止する口実を作ろうとしている」と非難した。
 香港警察によると、民主派の議員らは今年5月、反政府デモのきっかけとなった「逃亡犯条例」改正案を審議する立法会の委員会で、委員長の選出などを妨害した疑いがある。
 立法会議員は区議会議員も兼ねることが可能で、7人のうち4人が区議会選に立候補している。一定以上の有罪判決が出なければ資格は取り消されないが、選挙戦への影響は小さくない。今回の区議会選は民主派が有利とみられている。
 また9日夜には、警察の取り締まり中に建物から転落し死亡した男子大学生(22)の追悼集会が香港島中心部で行われた。警察への反発を強める若者らは「香港人よ、報復せよ!」などのスローガンを叫んでいた。
 香港では大規模デモが起きてから9日で丸5カ月を迎えたが、混乱収束のめどは全く立っていない。

●日本経済新聞 令和元年11月11日

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO52044310R11C19A1EA1000/?fbclid=IwAR3nihP_pxZRdARnIQJaVWxE0RFKRCMw7R1aKX5ajN692T0-OERDct1Rms8
香港警察、デモ隊に強硬姿勢 中国4中全会決定受け
2019/11/11 21:00日本経済新聞 電子版

【香港=木原雄士、北京=高橋哲史】香港情勢が再び緊迫してきた。11日に各地で民主化を求めるデモ参加者と警察が衝突し、警察が発砲した実弾で男子学生が負傷した。中国共産党の重要会議である第19期中央委員会第4回全体会議(4中全会)の議論を受け、香港政府は過激なデモへの強硬姿勢を強めている。(略)
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香港と韓国の危機を見すえて、日本再建を加速すべし2

2019-11-02 08:20:09 | 国際関係
2.韓国文政権は北朝鮮との合体を目指す

 次に、韓国についてだが、日韓関係は過去最悪の状態になっている。
 韓国・文在寅政権は、平成29年(2017年)5月の発足以来、徹底した反日政策を行ってきている。いわゆる徴用工問題、いわゆる慰安婦問題、自衛艦旗の掲揚拒否、火器管制レーダー照射、戦略物資の横流し、「ホワイト国」除外の仕返し、竹島の実効支配の強化等である。最大の問題は、軍事情報包括保護協定(GSOMIA)破棄に至ったことである。これは、日米の側から中朝の側に移るという姿勢を明らかにしたものである。常軌を逸した決定のように見えるが、文政権は本質的に親北容共であり、北朝鮮と合同する統一朝鮮の実現を目指している。その実現のために、反日政策を次々に行っている。
 文在寅は、北朝鮮からの避難民の息子として生まれた。両親は、朝鮮戦争の際、米国の貨物船に乗って韓国側に避難した。こうした素性から、文在寅は、両親の故郷である北朝鮮への思いが強いと見られる。
 文在寅は、大学生の時、朴正煕政権に反対する民主化運動に関わった容疑で逮捕され、刑務所に収監された。韓国は長く軍事政権が続いた。それは北朝鮮に対抗するためだが、民主化を求める者の多くは親北で朝鮮半島の統一を志向する。民主化を求めながら全体主義の北朝鮮を支持するという矛盾がある。文氏もそういう思想を持っている。盧武鉉の法律事務所に入り、市民運動や人権運動に参加した。盧武鉉が大統領になると、大統領側近として活躍した。その後、国会議員に当選し、大統領になった。
 文氏の前は、朴槿恵が大統領だった。不正行為の疑いによって弾劾され、大統領を罷免された。当時、彼女の不正を追及する大規模なデモが続いたが、デモを主催していたのは、過激な親北勢力だった。そして、平成29年(2017年)5月の大統領選挙で、左派の文在寅が勝利した。
 文氏の支持層は、親北左翼の偏向教育を受けた50歳代以下の世代である。これに、韓国の経済社会の現状に絶望する若い世代が、左翼的な政策を掲げる文氏の支持層に加わった。
 文大統領は、自らの後継者と画策する曹国(チョ・グク)氏を法務部長官(法相)に指名した。曹氏のスキャンダルが噴出する中での指名を強行した。検察は曹氏の疑惑への捜査を進め、妻や娘、親戚に続いて遂に本人にも捜査が及び、10月14日曹氏は辞任を表明した。
 文大統領は、曹氏を法相にすることで、来年4月の総選挙までに警察・検察改革を断行し、保守派の政敵たちを一網打尽にし、選挙後に曹氏に政権を引き継ぎ、自分はキング・メイカーの座に着く考えだったと見られる。これが実現すれば、韓国に媚中親北の左派長期安定政権が誕生することになるところだった。だが、曹氏の辞任によって、この目論見はとん挫した。おそらく別の者を法相の後任にして、警察・検察改革を進めようとするだろう。これは、表向きは強大になりすぎた警察・検察の権力を縮小しようとするものだが、狙いは、退任後、自分が歴代大統領のように起訴され有罪にされないように、司直の牙を抜くことにあると見られる。そして、国家権力による親北左翼革命を合法的に推進することが、真の目的だろう。
 文在寅大統領には、朝鮮労働党の秘密党員であるという疑惑が出ている。2014年6月、韓国にいる朝鮮労働党の秘密党員が、北朝鮮の金正恩に忠誠を誓う誓詞文を送った。誓詞文には、有事には軍および警察の武器庫を襲撃し、南朝鮮の国軍、警察、情報機関を襲撃する旨が記されている。革命によって、主体思想の下で南北統一を目指すことを誓ったものである。この誓詞文に、文在寅大統領の名前が記されている。
 一方、辞任した曹国元法相は極左団体「南韓社会主義労働者同盟」の中核メンバーとして拘束されたことがある。拳銃や毒薬などを独自に入手・製造し、社会主義思想をもとに蜂起を試みた。日本でいえば、赤軍派並みである。彼の考えは書籍化されており、文在寅はこれを読んで感銘を受け、盟友となったと自伝に記しているという。
 文大統領は、8月15日、光復節の演説で、「任期内に(南北)統一に向けて歩む」「2032年にはソウル-平壌共同五輪を成功開催し、45年には1つになった国(One Korea)として世界に位置づけられる」と宣言した。もし朝鮮半島に統一国家が出来たとすれば、その国家は、核兵器を持った反日国家となる。中国で作成された2050年の東アジアの予想地図では、朝鮮半島は「朝鮮省」として、中国の一部になっている。文氏の構想のように2045年に統一国家が出来たならば、その後、統一朝鮮は中国に併合されるだろう。
 文政権は、現在支持率が下がっているが、このまま現在の事態を乗り切れば、北朝鮮と合同する統一朝鮮の実現を図っていくだろう。
 日本人は、今後、わが国の安全保障の防衛ラインは38度線から対馬海峡まで下がることがあり得ることを想定して、国防体制をしっかり整える必要がある。
 香港と韓国について述べたが、今、東アジアは、南方で香港の自由を中華共産主義から守れるか、北方で韓国の民主主義を中朝全体主義から守れるかという瀬戸際にある。その結果は、早ければ数年後、遅くとも30年後には決定的な形で日本の運命に関わる。日本人はそうした危機感をもって、日本の再建を急ぐ必要がある。

3.憲法改正による国家再建が一層急務に

 日本が置かれている厳しい国際環境について述べた。ここで真剣に考えなければいけないのは、わが国は、未だ憲法の改正ができておらず、国家の再建ができていないことである。この状態で、中国が勢力を拡大し、香港、さらに台湾や朝鮮半島が中国の支配下に置かれるようになれば、日本の危機は強まる。こうした国際環境をよく理解して、憲法の改正を急ぎ、国のあり方を根本から立て直さなくてはならない。とりわけ自衛隊の明記、緊急事態条項の新設は、必須である。
 本年7月に参議院議員選挙があった。自民党は、公約に「早期の憲法改正」を盛り込んだ。これまで以上に踏み込んだ表現だった。結果は与党が過半数を維持したものの、残念ながら憲法改正に必要な改憲勢力は3分の2以上の議席を割ってしまった。5議席ほど足りない。このままの状態であれば、今後、3年間は憲法改正ができない。参議院は任期6年で、半数ずつ改選がされる。3年後の参議院選で3分の2以上を確保し直すまで、憲法改正は実現し得ない。
 この間、3年寝太郎で何もしないでいてはならない。憲法改正の準備をしっかり進めていって、3年後には速やかに改正ができるようにしなければならない。9月11日に第4次安倍再改造内閣が発足した。安倍首相は、「憲法改正を必ず成し遂げる」と述べた。閣僚、自民党の役員等を見ると、憲法改正を実現するための布陣と見られる。
心ある日本人は、この3年間、日本の国民に日本精神の復興を呼びかけ、日本の再建のために、憲法改正の必要性を訴えていかねばならない。また、国民はずっと止まったままの国会での憲法審議を要求し、憲法改正を目指す動きが進むように求めていく必要がある。
 香港と韓国の危機を見すえて、日本の再建を加速しよう。(了)

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香港と韓国の危機を見すえて、日本再建を加速すべし1

2019-10-29 09:33:01 | 国際関係
 日本を取り巻く東アジアは、南と北で大きく揺れ動いており、わが国は厳しい国際環境に立たされている。この状況を踏まえて、日本の再建を加速しなければならない。

1.香港の現在は明日の台湾、将来の日本

 現在、香港で自由と民主化を求める運動が行われている。もし香港が中国共産党に完全に支配されたら、次は台湾である。台湾も「一国二制度」を導入すれば、いずれ香港のようになる。その次は、日本である。中国は、沖縄や北海道を支配しようと、様々な動きを見せている。
 香港を対岸の火事として他人事のように見ていてはならない。現在の香港は明日の台湾、そして将来の日本と考えるべきである。
 香港は、100年間、イギリスの租借地だった。1997年に香港が中国へ返還される際、中国共産党は「一国二制度」を掲げ、香港は高度な自治と独立を認められた特別行政地区となっている。2047年までという期限がある。
 中国共産党は、香港の法律を少しづつ改正して、実質的な支配を強めてきた。香港のトップを行政長官という。林鄭月娥長官は、中央政府の意思に従って、本年、「逃亡犯条例」の改正案を立法院(国会に当たる)に提出した。
 条例案が成立すると、共産党が逃亡犯と決めつけた人物は、誰であれ、本土の共産党政府に引き渡されることになる。逮捕された人間は、本土で一方的な裁判にかけられ、断罪される。香港の司法の独立がなくなり、なし崩し的に香港の自治権が奪われていくだろう。
 そこで「逃亡犯条例」の改正案等をめぐって、本年6月から香港の民衆による抗議活動が拡大した。多くの香港市民が改正案に反対を表した。これは、中国共産党に支配され、自由が奪われることへの恐怖による抵抗である。
 中国共産党政府は、これを実力で鎮圧しようとしている。香港は「一国二制度」とは言え、あくまで中国共産党の支配下にある。警察で抑えきれなければ、軍隊を投入して、武力で鎮圧する構えである。しかし、民衆は、共産党政府の威嚇に屈せず、100万人規模の抗議活動を続けた。その結果、9月初め林鄭月娥行政長官が逃亡犯条例改正案の正式撤回を表明した。民主派の最大要求が通った。しかし、民主派は、行政長官の直接選挙、警察当局の暴力に対する独立調査委員会の設置等の「5大要求」を掲げて、その実現を求めている。これに対し、香港では警察による一般市民への暴行が日常化している。中国共産党は、恐怖政治で民主化運動を抑え込もうとしている。
 10月1日、共産中国は、建国70年を祝う国慶節の式典と軍事パレードを盛大に執り行った。同じ日、香港特別区では大規模な抗議デモが起き、香港警察が高校生に至近距離から胸を狙って実弾を撃ち、重傷を負わせる事件が起きた。
 これに対し、香港市民の怒りが高まり、抗議のデモが行われる中、香港の行政長官は、10月4日、緊急条例を発動し、覆面を禁止する法律を施行して、香港市民の抗議活動を抑え込もうとした。自由と民主化を求める香港市民は同法に反発し、各地で抗議活動が展開されている。
 香港における民衆運動とこれに対する共産党政権の対応は、台湾の総統選にも大きな影響をもたらしている。中国共産党は台湾にも「一国二制度」の受け入れを迫っている。台湾では「今日の香港は明日の台湾」という危機感が深まって、総統選で独立志向の民主進歩党、蔡英文氏へ支持が増えていると伝えられる。民衆運動と、これへの中国共産党の対応の仕方が、来年1月の台湾の総統選にさらに大きな影響を与えるだろう。
 国際社会は香港の動向を注視している。特に米国では、上下両院の外交委員会で、9月26日香港人権民主法案が全会一致で可決した。同法案は、米国議会の超党派議員が共同提出した。米国は、香港を中国と区別し、関税や査証(ビザ)などで優遇措置を適用してきた。法案は、香港への優遇措置を毎年見直すことを明記し、香港の自治権や人権が守られていないと判断すれば優遇措置を撤廃する。基本的自由を抑圧したりなどの行動をした者については、資産を凍結し、米国への入国を拒否する。香港市民が非暴力的な抗議活動に参加したとして逮捕されたり、拘留されたりしても、それを理由にビザ発給を拒否しないなどとしている。
 10月15日に下院本会議で全会一致で可決した。近いうちに上院本会議でも可決し、トランプ大統領の署名により成立する見込みである。この法案が成立すれば、香港経済に依存する習体制には痛手となる。
 米国は、トランプ大統領や政府高官、連邦議会の有力議員等が、中国共産党政府にけん制や警告を繰り返し発してきた。これに比し、わが国の政府は、安倍首相をはじめ、明確なけん制や警告を発していない。有力国会議員も積極的に発言していない。中国を刺激しないようにしているのだろう。
 だが、日本人こそ、香港及び台湾の現状を踏まえて、今後、長期的に中国共産党からいかにして自由と独立・主権を守るかということについて、真剣に考えて、対処しなければならない。

 次回に続く。

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文政権の韓国に対する米国専門家の見方に変化が

2019-10-12 13:36:57 | 国際関係
 文在寅政権は、9月9日疑惑の”玉ねぎ男”曹国(チョ・グク)氏の法相指名を強行った。文氏は、曹法相とともに、来年4月の総選挙までに警察・検察改革を断行し、保守派の政敵たちを一網打尽にして、選挙後に曹氏に政権を引き継ぎ、自分はキング・メイカーの座に着く考えと見られる。これが実現すれば、韓国に媚中親北の左派長期安定政権が誕生することになる。文=曹体制が目指すのは、北朝鮮との連邦国家であり、さらには朝鮮半島に核兵器を持った統一国家ができる可能性が高まる。
 こうした韓国事情に関して、米国では専門家が新たな見方を示すようになっている。

 米国連邦議会の米中経済安全保障調査委員会が9月4日に開いた米中関係聴聞会で、米国のシンクタンク、CSIS(戦略国際問題研究所)のマイケル・グリーン副所長が、次のように発言したとのことである。
 「日本とは異なり、韓国は中国の冊封体制に歴史的に組み込まれてきた」「中国は韓国を、米国との同盟からもっとも切り離しやすい国と見なしている」「習近平政権以降、中国は韓国を米国との同盟から引き剥がすため、とてつもなく強力な圧力をかけ続けている」
 記事でインタビューに答えている、コリア・ウオッチャーで、『米韓同盟消滅』(新潮新書)の著者である鈴置高史氏は、グリーン氏のように、米国の専門家の中に、朝鮮半島の歴代王朝はシナの王朝の属国だったので、韓国は米国を離れて中国を選ぶ可能性がある、と米韓同盟の存続を疑う人が出てきたと見ている。また、次のように述べている。
 「米国のアジア専門家だって、韓国が中国に異様なほどに弱腰であることは分かっていた。ただ、韓国も民主主義国家である以上、最後の瞬間には中国ではなく米国を選ぶと考えてきた。しかし、ここに至って専門家は「韓国が中国を選ぶ」と見なした。そこで「属国だったから」との説明付きで、米韓同盟の存続を疑う人が登場したのです」と。鈴木氏は、どうして今になって、こういう見方が出て来たかという点については、韓国が 米国や日本が主導する中国包囲網「自由で開かれたインド太平洋戦略」に韓国が参加を渋っていること、また、日韓GSOMIAを韓国が破棄したことも大きいと述べている。
 こうした米国の専門家の見解の変化がトランプ政権に影響を与えるだろうと見られる。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190913-00582745-shincho-kr

 次に、イエン・ア・ジョ氏という在米韓国人の国際政治学者の論文が、米国のアジア問題専門家の間で注目されているとのことである。
 論文の内容を紹介する記事によると、イエン氏は、文在寅大統領政権に取って代わる保守派が、日韓関係を正常に戻すためにどのような外交を展開するかを、次のように示唆している。
 「保守派はいかなる形式による日韓同士の『売り言葉に買い言葉』(Tit-for-tat)には反対だ。やはり米国に仲介役を演じてもらう外交的解決しかないと見ている」「保守派は米国の仲介が韓国にとって都合の良いものではないかもしれない。今や日本と米国との距離は韓国とは比べ物にならないほど親密だからだ」「米国に(公正な)仲介役を頼むうえで韓国に必要なことは、例えば今注目を集めているホルムズ海峡を航行する船舶を守る有志連合に参加し、米国の同盟国であることを強調することだ」
 記事は、この見方に関して、「日韓関係を正常化させるにはやはり米国の仲介役、つまり助けが必要。そのためには米国との同盟国をここで明確に示せ――が保守党の外交方針というわけだ。つまり「均衡のとれた外交」から「米韓同盟強化」への転換ということになる」と解説している。
http://www.msn.com/ja-jp/news/world/%e9%9f%93%e5%9b%bd%e3%81%ae%e3%82%bf%e3%83%aa%e3%83%90%e3%83%b3%e3%80%81%e6%96%87%e5%a4%a7%e7%b5%b1%e9%a0%98%e3%82%92%e4%b8%80%e5%88%80%e4%b8%a1%e6%96%ad/ar-AAHdahV?ocid=iehp#page=2

 韓国は大統領制で大統領の任期は5年であり、文在寅大統領にはあと約3年任期が残っている。その間に、退任に追い込めれば、左派政権から保守政権に転換する可能性が出てくる。退任に至らずとも、議会で自由韓国党等の保守勢力が多数を占め、政府に強い圧力をかけられる体制になれば、現在の極端な親北容共路線は多少とも修正される。反日という点では韓国の左派も保守も大差ないという見方があるが、米国と日本に背いて北朝鮮と合体しようとする動きを止めなければ、いったん合体すると、朝鮮半島に核兵器を持った統一国家が出現してしまう恐れがある。それゆえ、わが国としては、反日ではあっても反共であるような自由主義的・民主主義的な勢力との連携の道を閉ざしてはならない。とりわけ「アンチ反日」の勢力に関しては、しっかりした協力を築いていくべきだと思う。

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韓国で文大統領への批判、「アンチ反日」が高まる

2019-10-08 09:51:39 | 国際関係
 韓国には、文政権の対日政策に反対する政党や国民もいる。わが国のマスメディアは、韓国の反日・反安倍デモを盛んに報道しているが、その参加者は1万人規模だという。これに対し、8月中旬の時点で、反文在寅デモが毎週行われており、その規模は20万人~30万人規模になっていると伝えられた。
 8月16日、朝鮮系の元中国人で日本に帰化した李相哲氏(龍谷大学教員)は、次のようなツイートをした。
 「実は反文在寅デモ、文在寅退陣デモが毎週行われている。今日の反安倍デモは1万人と発表されてるが文在寅退陣デモは30万人集まったと発表してる。写真も有り関係者も20万人以上だと言ってる。全国からソウルに集まってる」と。
 だが、わが国のマスメディアの多くは、こうした情報を報じなかった。
 麗澤大学客員教授の西岡力氏は、8月23日付の産経新聞に次のように書いた。
 「8月15日、韓国ソウルで、大規模な反文在寅デモがあり、そこで親日スローガンが叫ばれたことは、ほとんど日本で伝えられていない。韓国は反日一辺倒ではない。むしろ、最近の特徴はこれまで表に出ることがほとんどなかったアンチ反日が多数出てきたことだ。保守派は、現在の韓国の反日が「親北反日」になっているとしてアンチ反日の声を高めている。デモ参加者の多くは韓国の国旗・太極旗と米国の国旗・星条旗を持っていたが、日の丸を持っている人もいた。「今の反日は親北容共で韓国に有害だ」「現在の日本は敵でなく、共産主義と共に戦う味方だ」という演説が相次いだ。壇上からの「日本は友人」「敵ではない」「反日は愛国ではなく反逆」という呼びかけに参加者が抵抗なく唱和した」と。
 西岡氏によると、文在寅政権は反韓史観を信奉する左派勢力によって構成されている。反韓史観とは、「韓国は日本統治に協力した親日派が処分されずむしろ親日派とその後裔が支配層に君臨し続けている汚れた国であり、武装独立闘争をした金日成が親日派を全面的に処断した北朝鮮こそ民族の正統性を持つ、という歴史観」である。こうした歴史観を信奉する左派勢力の反日は、「北朝鮮と連帯して日本と戦うという「親北反日」」である。しかし、朴正煕時代の反日は、共産主義と戦うための「反共反日」だった。また全斗煥から朴槿恵までは、日本から金や技術等を得ようとする「功利的反日」だった。それが、文在寅政権では、「親北反日」に変わった。反日とは言っても、反共から親北容共の反日という正反対に転換したわけである。
 西岡氏は、「それに対し文在寅政権を批判する保守派からアンチ反日の声が出てきた。朴正煕時代の「反共反日」から全斗煥から朴槿恵までの「功利的反日」を経て、文在寅政権の「親北反日」に至って方向性が180度転換した。これに気づいた保守派が、アンチ反日に立ち上がった」と述べている。
 現在、曹国法相の噴出する疑惑の数々に対し、韓国では300万人とも500万人とも見られる大規模デモが起こっており、人々が文大統領の退陣と曹法相の辞任を求めている。
 わが国は、こうした韓国内の保守派や「アンチ反日」派と連携し、朝鮮半島が北朝鮮主導で統一され、共産中国に支配されるないように、半島政策を立てるべきだと思う。
 以下は、西岡氏の記事の全文。3か月半ほど前のものだが、大きな構図で書かれた重要な内容の記事である。

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●産経新聞 令和元年8月23日

https://special.sankei.com/f/seiron/article/20190823/0001.html
韓国変質、登場したアンチ反日 モラロジー研究所教授、麗澤大学客員教授・西岡力
2019.8.23

 8月15日、韓国ソウルで、大規模な反文在寅デモがあり、そこで親日スローガンが叫ばれたことは、ほとんど日本で伝えられていない。韓国は反日一辺倒ではない。むしろ、最近の特徴はこれまで表に出ることがほとんどなかったアンチ反日が多数出てきたことだ。保守派は、現在の韓国の反日が「親北反日」になっているとしてアンチ反日の声を高めている。

≪「親日」デモを読み解く≫
 デモ参加者の多くは韓国の国旗・太極旗と米国の国旗・星条旗を持っていたが、日の丸を持っている人もいた。「今の反日は親北容共で韓国に有害だ」「現在の日本は敵でなく、共産主義と共に戦う味方だ」という演説が相次いだ。壇上からの「日本は友人」「敵ではない」「反日は愛国ではなく反逆」という呼びかけに参加者が抵抗なく唱和した。
 日本で多数報じられた「NO安倍」プラカードを掲げた反日デモは、面積や密度からして「親日」デモより動員数は少なかった。
 文在寅大統領は8月15日の演説で、「光復はわれわれだけに嬉(うれ)しいものではありませんでした。清日戦争と露日戦争、満州事変と中日戦争、太平洋戦争にいたるまで、60年以上にわたる長い戦争が終わった日であり、東アジア独立の日でもありました。日本国民も軍国主義の抑圧から抜け出し侵略戦争から解放されました」と日本さえ侵略戦争を起こさなければ東アジアは平和だと位置づけた。
 しかし、1945年8月の直後に、東アジアでは共産主義勢力の武力侵略が続いた。ソ連が韓半島の北半分を占領して労働党独裁政権を作り、中国で内戦が激化し中華民国が大陸から追い出されて共産党の独裁政権ができ、50年には共産軍の南侵で韓国が滅亡の危機に瀕(ひん)した。ところが文在寅演説はこの歴史については一切触れない。共産主義勢力からの脅威は存在せず、日本の侵略さえなければ東アジアは平和だという親北反日がここに表れている。
 韓国の未来像を大陸と海洋の間の「橋梁(きょうりょう)国家」になりたいと語った。韓国保守派はそれに対して、韓国繁栄の土台である海洋の自由国家との同盟を離脱し、大陸の独裁国家の側に近づこうとしているのではないかと危機感を強める。

≪日本への不満の背景は≫
 そもそも、国交正常化以降の韓国の反日は、同じ自由陣営にいながら日本が容共的で北朝鮮に甘いという、「反共反日」だった。
 朴正煕大統領は、自分も反日派だが共産主義勢力と戦うためには感情を抑えて日本と国交を結ぶことが必要だと主張した。朴正煕政権時代、北朝鮮は日本を迂回(うかい)基地に韓国に激しく政治工作を仕掛け大統領暗殺テロまで行った。テロや工作を日本は厳しく取り締まらず、韓国を怒らせた。朴正煕政権の反日は「反共反日」だった。
 82年、日本のマスコミの誤報が契機で、中国がはじめて外交に歴史問題を持ち出した。歴史教科書記述の修正を求めたのだ。当時、韓国の全斗煥政権は、共産主義勢力と戦うための韓国軍近代化資金の一部を経済協力という形で日本に負担するように求めて拒否されていた。そこで、日本の反日マスコミと中国共産党と組んで、歴史糾弾外交を始めた。その結果、40億ドルの経済支援を得た。このときから何かを得るための反日、「功利的反日」が始まった。92年盧泰愚政権が慰安婦問題を外交に持ち出した背景も、難航していた先端技術支援を得る交渉を有利にするためだった。
 金泳三政権からは、国内世論の支持率を上げるためのパフォーマンスとして反日を使った。李明博、朴槿恵政権でも同じことがくり返された。これもやはり「功利的反日」だ。

≪反共自由主義を守れるか≫
 日本の統治が終わって70年以上たち社会の主流は統治時代を知らない若い世代になっているのになぜ、反日パフォーマンスが人気につながるのか。その裏には80年代以降、各界各層に急速に拡散していった反韓史観がある。韓国は日本統治に協力した親日派が処分されずむしろ親日派とその後裔(こうえい)が支配層に君臨し続けている汚れた国であり、武装独立闘争をした金日成が親日派を全面的に処断した北朝鮮こそ民族の正統性を持つ、という歴史観だ。その歴史観に立つと韓国近代化の英雄朴正煕大統領は日本の陸軍士官学校を卒業した親日派の親玉として罵倒される。
 文在寅政権はこの反韓史観を信奉する左派勢力によって構成されている。だから彼らの反日は北朝鮮と連帯して日本と戦うという「親北反日」なのだ。それに対し文在寅政権を批判する保守派からアンチ反日の声が出てきた。朴正煕時代の「反共反日」から全斗煥から朴槿恵までの「功利的反日」を経て、文在寅政権の「親北反日」に至って方向性が180度転換した。これに気づいた保守派が、アンチ反日に立ち上がった。
 韓国は反共自由民主主義という建国以来の国是を守ることができるのか。反日を巡り今、戦われている政治的、思想的内戦の結果によってその帰趨(きすう)が決まる。(にしおか つとむ)
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関連掲示
・拙稿「文政権の本質と韓国保守派の主張」
https://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/ab41f1d8aece1ec6a91ffe9a03ea8e6c

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 『人類を導く日本精神~新しい文明への飛躍』(星雲社)
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「中東がまた面倒な状況に」をアップ

2019-10-06 09:38:41 | 国際関係
 9月26日から10月5日にかけて、ブログに連載した中東情勢に関する拙稿をまとめて、マイサイトに掲示しました。通してお読みになりたい方は、下記へどうぞ。

■中東がまた面倒な状況に~イランとフーシー派の動き
http://khosokawa.sakura.ne.jp/
 NEWの案内から
または
http://khosokawa.sakura.ne.jp/opinion12.htm
 目次からE08へ
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中東がまた面倒な状況に~イランとフーシー派の動き4

2019-10-05 09:55:58 | 国際関係
●イランがフーシー派に巡航ミサイルを供給

 フーシー派は、イエメンで内戦が続いていた2017年11月以降、サウディアラビアに向けて少なくとも2度、巡航ミサイルを発射した。1度目はキング・ハーリド国際空港、2度目はサウジ南西部のハミースムシャイトに向けたものだったが、どちらも標的には命中せず、サウディ政府はミサイルを撃墜したと発表した。また、フーシー派は、内戦に介入したアラブ首長国連邦(UAE)に向けても、弾道ミサイルを発射した。これは、同国西部で建設中のバラカ原子力発電所を狙ったもので、フーシ派は「標的に命中させた」と主張したが、ミサイルは飛行途中で墜落した模様で、原子力発電所に被害は生じなかった。
 フーシー派は、独力で弾道ミサイルを開発したとし、「ブルカーンH2」と命名している。だが、公表されたビデオを見た専門家は、ミサイルの外見がイラン製の地対地巡航ミサイル「スーマール」と酷似していると指摘した。スーマールは、ロシア製の空対地巡航ミサイルKh-55をイランが改造し、ロケットブースターを追加し地対地化させたものといわれる。イランがフーシー派に、この最新鋭兵器を供給していたことがほぼ確実となった。
 2017年12月14日、米国のニッキー・ヘイリー国連大使は、フーシー派が発射した弾道ミサイルの残骸を提示して、イランが武器を供給している具体的な証拠だとし指摘し、イランによる武器の供給は国連安保理決議違反だと非難した。
 フーシー派は、今年5月以降、サウディアラビアへの攻撃を活発させたと伝えられる。これは、米国がペルシャ湾周辺の軍事プレゼンスを増強してイランへの圧力を強化した時期に重なることが指摘されている。それゆえ、今回、9月14日にサウディアラビアの石油施設への攻撃を行なったのは、「サウジへの報復のみならず、米・サウジによるイラン包囲網を揺さぶることを狙った可能性がある」、と産経新聞の佐藤貴生記者は、17日付の記事に書いている。

●日本のタンカーへの攻撃もフーシー派の仕業か

 今回のサウディへの攻撃の約3カ月前、2019年6月13日ホルムズ海峡近くで日本とノルウェーのタンカー2隻が何者かによって攻撃を受けた。安倍首相がイランを訪問し、米国とイランの間の緊張の緩和を図っていたまさにその時の出来事だった。同月20日には米国の無人偵察機グローバルホークがイラン付近の海上で撃墜された。これによって、米国とイランの間の緊張が一層高まった。米国とイランの主張は真っ向から対立しているが、いずれもイランの革命防衛隊の関与が疑われている。7月11日には、イギリスのタンカーがイランの革命防衛隊によって拿捕されかかった。イギリスの護衛艦がタンカーを守ったが、もしそのような機動力を持たない国のタンカーが狙われたら、大きな事件になるところだった。この時は、イランの革命防衛隊が動いた。だが、米国は、先のタンカー攻撃をイランの革命防衛隊の所業と断定していない。イラン側は、関与を否定している。
 本件について、作家の佐藤優氏は、フーシー派によるものではないかという見方をしている。
佐藤氏は、「現代ビジネス」のサイトのインタビュー記事(2019年6月30日付)で、先のタンカー攻撃には4つの可能性があるという。
 第1は、イランの最高指導者ハメネイがが「大ウソつきだという可能性」。「この最高指導者が実は大ウソつきで、安倍さんには「平和を望んでいる。核はつくらない」と言いながら、後ろで「やってこい」と命令していた可能性。でも、そんなことをやったら、ハメネイさん自身が「いったいどういう人だ?」と言われて、国際社会からの信用がゼロになっちゃうでしょ。イラン国内でも。だから、ないと思うのね」と佐藤氏は言う。
 第2は、「イスラム革命防衛隊が暴走して、ハメネイさんの知らないところでやった」という可能性。「一見、説得力がありそうに見えるんだけれど、これだとハメネイ師が国家を統治できていないということになる。そういう状況ではないと思う」と佐藤氏は言う。
 第3は、「アメリカの謀略」という可能性。
「しかし、謀略がばれたら大変なことになりますよね。流石にそんなことはしない」と佐藤氏は言う。
 そのうえで、佐藤氏は、第4の可能性として、フーシー派による攻撃を挙げる。
「フーシー派が、もしアメリカとイランの関係が正常化していく方向に向かうのだったら、まず、アメリカとの関係でイランはフーシーの支援をやめる。そうしたらおカネも来なくなる。兵器も来なくなる。自分たちは逆にサウジ系の勢力によってやられちゃう。ならば、紛争が続いたほうがいい。そうなると、やる可能性があると思う」と。
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/65460

●イラン革命防衛隊の破壊工作の可能性も

 佐藤氏は、イランの革命防衛隊による攻撃の可能性を否定しているが、私は、その可能性を排除すべきでないと考える。軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏は、「ビジネスインサーダー」のサイトの記事(9月17日付)に次のように書いている。
 「イランの軍事的な対外政策は、政府ではなく軍部が主導している。今回のような破壊工作であれば、イスラム革命防衛隊(IRGC)の特殊部隊である「コッズ部隊」が関与した可能性が高い。そして、ロウハニ大統領らがそのことを知らされていない可能性も十分にありうるのだ」と黒井氏は言う。
 黒井氏によると、ハメネイ最高指導者の下に、それを補佐する側近集団「最高指導者室」があり、そのなかに安全保障政策を担当する「最高指導者軍事室」がある。その下に置かれた「イラン軍事参謀総長」が事実上の軍部トップで、その指揮下に、軍隊と警察治安部隊がある。イランの対外戦略の最終的な決定権者はハメネイ最高指導者だが、「最高指導者が細かいところまですべていちいち指示しているわけではない。実際に決定権の多くを行使しているのは、いわばイスラム保守派=軍部連合とでも呼ぶべき陣営だ」。革命防衛隊も国軍もハメネイ最高指導者の指揮下にある軍隊で、ロウハニ大統領の指揮下にはないと黒井氏はいう。それゆえ、ロウハニ大統領らがそのことを知らされていない可能性も十分にありうるというわけである。
https://www.businessinsider.jp/post-198848

●わが国は対応態勢の確立を急げ

 今回のサウディアラビアの石油施設への攻撃は、「世界のエネルギー供給に対する前代未聞の攻撃」である。イランが関与したものか、フーシー派によるものか、真相は、近いうちに明らかになるだろう。この問題には、米国とイラン、サウディとイラン等の国家間の対立だけでなく、イスラーム教の宗派間の対立やイエメン内部の勢力争い等が、複雑に絡んでいる。いずれにしても、中東がいよいよ面倒な状況になりそうな状況となっている。わが国の対応態勢の確立が急がれる。その対応態勢に関しては、8月17日付の拙稿「ホルムズ海峡で緊張増大~自国の船は自国で守れ」に書いた。
http://khosokawa.sakura.ne.jp/opinion12.htm(目次からE07へ)
 その後、1カ月以上たつが、具体的な進展が見られない。最初、政府で偵察機だけを派遣するという案が検討されていると報じられ、次に護衛艦を派遣する案が検討されていると伝えられた。ともに米国が主導する有志連合には参加せずに、自衛隊を派遣して、各国軍に情報を提供するという案である。だが、米国とイランの間の緊張が少し緩むと、その話も報道されなくなっていた。今回のサウディアラビアの石油施設への攻撃は、重要施設が破壊されたので、復旧には最大で数カ月かかるという。長期化すれば、産業や国民生活に影響が出てくる。また、今後、米国とイラン、サウディとイラン、イエメンの諸勢力の関係が短期間に大きく改善される見込みはない。むしろ、また次の攻撃・破壊が起こる可能性を想定して、いざとなったとき、すみやかに対応できるよう態勢を整えるべきである。(了)

関連掲示
・拙稿「ホルムズ海峡で緊張増大~自国の船は自国で守れ」
http://khosokawa.sakura.ne.jp/opinion08.htm
目次からE07へ
・拙稿「イスラームの宗教と文明~その過去・現在・将来」
http://khosokawa.sakura.ne.jp/opinion12-2.htm

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 細川一彦著『超宗教の時代の宗教概論』(星雲社)
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中東がまた面倒な状況に~イランとフーシー派の動き3

2019-10-01 09:50:23 | 国際関係
●サウディアラビアとイエメンの関係

 2014年9月シーア派の過激派フーシー派が首都サヌアを占領し、2015年1月22日にクーデタを起こし、ハディ暫定大統領とバハーハ首相を辞めさせ、政権が崩壊した。2月6日にはフーシー派が議会を強制的に解散し、暫定統治機構として大統領評議会を開設し、「憲法宣言」を発表した。これによって、イエメンは2011年以来の政権移行期プロセスが崩壊し、国家そのものも崩壊の危機に瀕した。
 隣国イエメンの民主化過程の後ろ盾になってきたのが、サウディアラビアである。イエメンのクーデタは、サウディにおける王位交代の隙を突いたものと見られた。中東問題の専門家・池内恵氏は、当時、「サウジの内憂と裏庭のイエメンの外患は連動している。そして、サウジが揺らげば、中東の混乱は極まる」と述べた。
 サウディはスンナ派アラブの盟主を自任する。イエメンのフーシー派はシーア派の一派、ザイド派を信奉する。シーア派大国のイランはザイド派を支援している。サウディは、イエメンでイランが影響力を増すことを警戒している。
 2015年2月15日国連安保理は、全会一致で、政府施設を制圧しているフーシー派に即座・無条件で権限を大統領・首相に戻すように要求する決議をした。ただし、決議を主導した湾岸協力理事会(GCC)の求めていた国連憲章第7章の軍事的強制力は盛り込まれなかった。そのため、実力行使でフーシー派を排除する手段はなく、犬の遠吠えに終わった。そうしたなか、サウディは、同年3月末、イエメンの内戦に介入し、フーシー派への空爆を開始した。イエメンは、サウディなどから経済封鎖を受けており、世界最悪といわれるほどの人道的危機に直面することになった。また、サウディのイエメン空爆によって、サウディとイランとの対立が深まった。
 2016年(平成28年)1月に、サウディアラビアとイランが断交するに至ったが、その理由の一つに、イエメン問題が挙げられる。
 サウディアラビアとイランが断交した情勢について、山内昌之氏は、著書『中東複合危機から第三次世界大戦へ』に次のように書いている。
 「1980年のイラン=イラク戦争で始まったシーア派対スンナ派の対立激化は、次々と新たな衝突ひいては戦争に発展し、宗派と政治の絡んだ文明内対立はこれから深化することはあっても、薄まることはない。政治化したセクタリアン・クレンジング(宗派浄化)の恐怖は、いまや中東の広い範囲に及んでいる。言い換えれば、『宗派戦争』とその脅威は、もはやシリア戦争やイエメン内戦やバハレーン紛争を超えてしまった。2016年のイランとサウディアラビアの危機は、現代中東のいちばん深い『宗派的断層線』(sectarian fault lines)がどこに横たわっているかをまざまざと見せつけたのである」 と。
 ここで、「セクタリアン・クレンジング(宗派浄化)」とは、エスニック・クレンジング(民族浄化)の概念を、イスラーム教の宗派間に応用したものである。また「断層線」は、ハンチントンが使った概念であり、ハンチントンは、文明の衝突は文明間の断層線(フォルトライン)で起こると指摘した。山内氏は、これを文明内の宗派間にも用いているものである。

●イエメンの内戦でフーシー派が優位に

 フーシー派は、サーレハ元大統領と蜜月関係にあったが、サーレハがサウディに接近したことによって、両者の関係が悪化した。2017年12月はじめ、フーシー派とサーレハ派が決裂し、戦闘が激化した。中東問題の専門家・高岡豊氏によると、サーレハ派が、サナア空港、国防省、中央銀行、国営通信社やテレビ局を制圧する一方、フーシー派はサーレハ派のネットサイトや系列の報道機関などを停止した。サーレハの与党である国民全体会議党(GPC)もフーシー派に対する蜂起を宣言した。サーレハは、サウディが率いる連合軍に対し、イエメンに対する攻撃と封鎖をやめるよう呼びかけ、双方の関係で「新たなページを開く」と表明した。連合軍に参加した諸国やその報道機関は、サーレハ派によるフーシー派への決起を「脱イラン、アラブへの回帰」と認識して歓迎した。
 だが、フーシー派とサーリフ元大統領派との連携と対立は、2011年以来のイエメン政情の混乱の中での政治・経済的な権益争いを原因としたものであり、ハディ前大統領派、各地の部族、南イエメンの独立運動等の紛争の諸当事者が持つ権益、また獲得を目指す権益が複雑に絡み合っているとのことである。
https://www.meij.or.jp/kawara/2017_132.html
 フーシー派は、2017年12月4日にサーレハを殺害した。これによって、フーシーア派が、優位に立った。

 次回に続く。

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中東がまた面倒な状況に~イランとフーシー派の動き2

2019-09-28 09:29:28 | 国際関係
●イエメンのフーシー派とイラン及びサウディの関係

 イエメンでは、2011年1月「アラブの春」と呼ばれるチュニジアでのジャスミン革命、エジプトでの民衆革命等の影響を受けて、市民による反政府デモが発生した。この結果、サーレハ大統領が退陣し、ハディ副大統領が翌年2月の暫定大統領選挙で当選した。
 ここでその存在が国際社会に広く知られたのが、フーシー派である。公益財団法人中東調査会主席研究員の高岡豊氏によると、フーシー派の組織名は「アンサール・アッラー(アッラーの支持者)」という。シーア派のザイド派の集団である。1986年にイエメンのサアダ県で、フサイン・フーシーが中心となってはじめたザイド派の政治・社会的復興を志す学習サークルが前身である。フーシーらは、イラン革命後のイランの動きに大いに影響を受け、フーシー自身もイランに渡航したことがあるという。
 フーシーは、1990年代半ばに国会議員に選出された。この時点では、彼らの運動は、イエメンの体制内で活動する政治・社会運動だった。しかし、2002年から会合の際に、「神は偉大なり、アメリカに死を、イスラエルに死を、ユダヤは地獄行き、イスラームに勝利を」とのスローガンを用いるようになった。9・11、アフガン戦争、イラク戦争の前後という時代背景がある。サーレハ政権は、対外関係を意識して、このスローガンの使用をやめさせようとした。そのため両者の関係は悪化し、2004年~2010年にかけ、6度にわたり大規模な軍事衝突が発生した。この紛争で、フサイン・フーシーは死亡し、現在の指導者であるアブドゥルマリクが指導者となり、組織名は「アンサール・アッラー」となった。
 ザイド派は、シーア派の宗派の一つとみなされが、イランの国教とされる十二イマーム派とは、歴史上のどの人物をイスラーム共同体の指導者(イマーム)とみなすかについて見解が異なる。また、十二イマーム派が信じる第12代イマームの「隠れ(ガイバ)」と終末時の再臨を否定するなど、シーア派の諸宗派との違いがある。
 高岡氏によると、ザイド派は抑圧などに対する積極的な武装闘争を奨励する傾向がある。
 フーシー派が武装勢力として顕在化したのは、イエメン政府と最初に軍事衝突した2004年である。高岡氏によると、正確な兵力は不明だが、10万~30万人との推計がある。装備については、イランから調達している、イランが提供しているとたびたび指摘されており、イエメン政府などによる摘発事例もあるという。
 2004年の最初の軍事衝突の時点では、「反米・アル=カーイダ系」と位置付けられることがあったが、「イスラーム国」や「アラビア半島のアル・カーイダ」は宗派主義的二元論に基づいてフーシー派を攻撃する傾向にある、と高岡氏は指摘している。
 高岡氏は、「フーシー派を単に『イランの代理・傀儡』とみなすことにより、ザイド派という宗派集団や、サアダ県やその周辺の地域が置かれている被抑圧状況を見落とすことになりかねない。特に、フーシー派も2012年からのイエメンの政治的移行の過程に当初は参加していたことから、彼らの政治・経済・社会的な要求が何処にあるのかを見極め、イエメン全体で適切な国政運営や権益配分を追求することが紛争打開の基礎となろう。そうした中で、宗派主義的発想や善悪二元論的発想に基づいて彼らを敵視するだけでは問題解決どころか一時的な停戦の実現もおぼつかないだろう」と書いている。
https://news.yahoo.co.jp/byline/takaokayutaka/20171207-00078991/

 次回に続く。

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中東がまた面倒な状況に~イランとフーシー派の動き1

2019-09-26 13:37:51 | 国際関係
 令和元年(2019年)9月14日サウディアラビアの石油施設が何者かによって攻撃された。米国はイランの関与を強調しており、米国とイランの緊張関係が再び高まっている。中東がいよいよ面倒な状況になりそうである。わが国の対応態勢の確立が急がれる。本件について、短期連載する。

●サウディアラビアの石油施設が攻撃を受ける

 各種報道によると、攻撃を受けたサウディアラビアの石油施設は2カ所で、そのうち、サウディ東部アブカイクの施設は、世界最大とされるガワール油田の原油を精製する同国石油産業の「心臓部」といわれる。国営石油会社サウディアラムコは、国全体の日量生産能力の半分以上に当たる570万バレルの生産を停止している。この量は、世界の原油生産量の5%に相当する。原油価格が高騰しており、米国は必要に応じて戦略石油備蓄を放出して価格の安定に努める考えである。
 イラン革命防衛隊の支援を受けるイエメンのイスラーム教シーア派民兵組織、フーシー派が犯行声明を出し、無人機10機による攻撃だったと主張している。これに対し、米国高官は、攻撃はイエメンのある南からではなく、イランに近い西北西から実施され、サウディ当局が巡航ミサイルが使用された証拠を確認していると説明した。ポンペオ国務長官は、「イエメンからの攻撃だという証拠はない」と述べ、攻撃はイランの仕業だと名指しし、「世界のエネルギー供給に対する前代未聞の攻撃を仕掛けた」と非難した。トランプ大統領は当初、14日には米国は「臨戦態勢」にあると述べたが、その後、慎重な姿勢を示し、16日には「戦争は望んでいない」「イランによるものかどうかは調査中」と述べた。イラン側は、関与を否定している。ロウハニ大統領は、16日「イエメンの人々は自衛権を行使している。やられたらやり返すわけで、肝要なのはイエメンへの攻撃を止めることだ」と述べ、攻撃はフーシー派によるものだと主張した。また、フーシー派の報道官は、ツイッターで、同じ施設に対するさらなる攻撃を予告、外国企業に対して近づかないよう警告を発した。
 17日の米国メディアの報道によると、米国の当局者は、攻撃は巡航ミサイルと無人機を使ってイラク国境に近いイラン南西部から行われたという見方をしている。攻撃前にイラン国内で待機しているミサイルと無人機をとらえた衛星写真があると伝えられる。
 イランへの軍事的な報復措置の選択肢として、トランプ大統領に対して、イランの石油施設の破壊、イラン軍のミサイル基地への空爆、これらの施設や基地へのサイバー攻撃等が示されていると伝えられる。イランは、中東一の強国である。軍事的な報復は、反撃に次ぐ反撃によって、大規模な紛争に拡大する可能性がある。国家間の紛争にとどまらず、イスラーム過激派のテロを誘発する可能性もある。トランプ大統領は、慎重にならざるを得ず、軍事力の行使を自制していると見られる。
 トランプ米政権は20日、イランへの対抗措置として、サウディアラビアの防衛体制強化に向けた米軍増派や兵器供与等の軍事的支援策、イラン中央銀行と国立開発基金等への新たな経済制裁を発表した。イランとの軍事衝突は避ける姿勢は維持しつつ、軍事と経済の両面で圧力を強める構えである。トランプ大統領は、9月24日に国連総会に参加し、一般討論や各国首脳との個別会談で、サウディへの攻撃を「イランによる国際経済秩序に対する挑戦」と位置づけ、関係諸国による制裁圧力や軍事的牽制による「イラン包囲網」の強化を働きかけた。だが、仮に包囲網が強化されたとしても、イランは容易に屈服しないだろう。

 次回に続く。

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 細川一彦著『超宗教の時代の宗教概論』(星雲社)
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