ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

明治天皇3~仁慈と博愛の歌

2012-08-01 08:44:57 | 皇室
 明治天皇は、和歌を好み、優れた歌を多く残しました。生涯に詠んだ御製(ぎょせい)の数は9万3千余首に及んでいます。和歌の手ほどきをしたのは、父・孝明天皇でした。孝明天皇は、歌によって尊王の志士たちと結ばれていました。
 そんな父君から、国家の独立と国民の繁栄を思う心を受け継いだ明治天皇は、君主としての思いを歌に表しています。
 明治天皇に、次の歌があります。

 あしはらの 国とまさむと 思ふにも
   青人草ぞ たからなりける
(大意:日本の国を富ませたいと思うにつけても、第一に貴い宝はわが国民である)

 この歌は、国民を「おおみたから」つまり宝と呼んで、大事に思う皇室の伝統が、良く表れています。明治天皇は、こうした伝統を体し、「民の父母」として、国民を我が子のように心にかけていました。

 照につけ くもるにつけて おもふかな
   わが民草の うえはいかにと
(大意:照れにつけ、曇るにつけて思うのは、わが国民の生活はどうであろうかということである)

 ここには、国民一人ひとりの身の上をわがことのように思う、思いやりと慈しみの心が表されています。それが「仁」であり、仁慈とも仁愛ともいえます。
 常に国民のことを思う天皇は、国家社会のことが頭を離れませんでした。

 夏の夜も ねざめがちにぞ あかしける
   世のためおもふ こと多くして
(大意:短い夏の夜も、国のため世のため思ひめぐらすことが多く、安らかに寝通すことが出来ず、夜を明かしてしまうよ)

 天皇は、また国家の建設、国難の対応においては、国民の団結の力を信じていました。

 千萬(ちよろず)の 民の力を あつめなば
   いかなる業も 成らむとぞ思ふ
(大意:国民の力を集めたならば、いかなることも成し遂げられると思う)

 天皇は国民に期待を寄せる一方、指導的立場にある者に対しては、厳しく自覚を求めていました。

 世の中の 人のつかさと なる人の
   身の行ひよ ただしからなむ
(大意:世の中の人の上に立つ人は、身の行いが殊に正しくありたいものだ)

 天皇自身が「公」とは何かを体現し、自ら率先垂範していました。さらに、天皇の心は、国内だけでなく、世界人類にも注がれていました。

 よもの海 みなはらからと 思ふ世に
   など波風の たちさわぐらむ
(大意:人類はみな兄弟だと思うこの世界において、どうして戦乱の波風が立ち騒ぐことになるのであろうか)

 国のため あだなす仇は くだくとも
   いつくしむべき 事なわすれそ
(大意:我が国のために敵は打ち砕くとも、敵に対しても慈愛をたれることを忘れてはならないぞ)

 天皇は、他国民に対して博愛の精神を及ぼそうと、わが国民に呼びかけています。さらに、日本人に、世界に通用し、世界の国から敬われるようにその精神を磨いてほしいと望んでいました。

 国といふ くにのかがみと なるばかり
   みがけますらを 大和だましひ
(大意:世界中の国々の鏡・模範となるほどに、大和魂を磨いてほしい)

 以上見られるように、明治天皇の御製には、天皇の崇高な精神が表現されているとともに、国家国民のめざすべき姿が示されているといえましょう。

 次回に続く。

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