goo blog サービス終了のお知らせ 

ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

東日本大震災で自衛隊が約1万9千人を救助~陸幕長が辞任覚悟で決断

2021-03-18 09:04:06 | 地震
 平成23年(2011年)3月11日、東日本大震災が発生しました。その後、数日間に多くの死者が出た一方で、約2万8000人(2011年3月20日時点)が救助されましたが、その7割にあたる約1万9000人を救助したのは自衛隊でした。生存確率が高いと言われる発災から72時間の間に、3万人近い部隊を現地に集めたことが、尊い命を救いました。この動員は、陸上自衛隊幕僚長の辞任を覚悟した決断によるものでした。出動命令を出した火箱芳文元陸幕長へのインタビューを紹介します。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
https://business.nikkei.com/article/interview/20150302/278140/022300001/?n_cid=nbponb_fbbn&fbclid=IwAR0-eu685yvZUIVbHXJ5wv4V_o_NuG2NgfZBSc18RqWbDXrnxhgwdNTGIfQ
陸上自衛隊トップ、辞任覚悟の出動命令
東日本大震災の発災からわずか30分で下した決断
2018.3.8

森 永輔
日経ビジネス副編集長

 2011年3月11日、東日本大震災が発生した。多くの死者を出した一方で、約1万9000人が救助され命を長らえた。その7割を救助したのが自衛隊だ。
 生存確率が高いと言われる、発生から72時間の間に3万人を一斉に動員したことが大きく寄与した。ただし、この展開の陰には、ある陸上自衛隊幹部の辞任を覚悟した決断があった。
 当時、陸上自衛隊の幕僚長を務めていた火箱芳文氏に話しを聞いた。(聞き手 森 永輔)

――2011年3月11日、午後2時46分。三陸沖を震源とする大地震が日本を襲いました。死者約1万6000人、負傷者約6000人、行方不明者約2600人(2011年9月11日時点)に及ぶ大惨事に発展した。
 こうした中、自衛隊は「10万人体制」を展開。約1万9000人を救助しました。救助された約2万8000人(2011年3月20日時点)の7割に相当します。これは、自衛隊が発災から72時間で3万人近い部隊を現地に集めたことが効を奏したから。その背後には、火箱さんが辞任を覚悟で決めた「即動」が大きな役割を果たしました。

 火箱:当時、私は陸上自衛隊(以下、陸自)で幕僚長(以下、陸幕長)*を務めていました。救助部隊を少しでも早く現場に急行させるため各部隊に出動を命じました。災害に遭った人の生存確率が高いのは発生から72時間と言われています。危機的瞬間には手続きの万全さより迅速・実効性ある行動が勝ると思い、この間に大量の部隊を送り込むことが最も大事と考えました。

*:陸上自衛隊における制服組トップ。
 陸上自衛隊・元幕僚長。1951年生まれ。1974年に防衛大学校を卒業し、陸上自衛隊に入隊。第1空挺団長、第10師団長、中部方面総監を経て陸幕長に。2011年に退官。現在は三菱重工業で顧問を務める

――でも、陸幕長は部隊の指揮権を持っていないのでは。

火箱:おっしゃるとおり、陸幕長は陸上自衛隊の部隊を指揮する権限を持ってはいません。自衛隊の部隊を指揮するトップは統合幕僚長(以下、統幕長)です。統幕長は、東北地方をカバーする東北方面隊の総監など、陸自に5人いる方面総監に命令を発する。陸幕長の役割は兵站、人事、教育、防衛力整備を司り、フォースプロバイダーとして統幕長の命令に応じて措置することです。

 ちなみに、統幕長は海上自衛隊では自衛艦隊司令官に、航空自衛隊では航空総隊司令官に発令します。

 また災害派遣時は原則的には、都道府県知事からの要請を受けて出動します。ただし、緊急時には自主的に防衛大臣から統幕長に災害出動命令を発することができます。しかし、それを待つこともしませんでした。

 午後3時前という時間のことを考えました。3月ですから、すぐに暗くなります。それに、いったん隊員が帰宅してしまうと、再び召集するにはさらに時間がかかる。

 しかし、統幕長からの命令を待っていては、救える命が救えなくなってしまうかもしれません。「どの連隊が出動可能か」「どれだけ出せるか」といった確認のやりとりを陸自、海自、空自のそれぞれとして調整する必要があるからです。

 私がとった行動は「越権行為」「超法規措置」として処分されてもしかたありません。頭の片隅で辞任の弁まで考えました。「大臣からお叱りを受けるならば、大臣を補佐する幕僚としては失格です」と。しかし、先ほど申し上げた理由から、私の一存で部隊を現場に出すことを決めました。

●阪神・淡路大震災の言われなき批判をそそぐ

――なぜ、そのような決断ができたのですか。

火箱:一つは、1995年に起きた阪神・淡路大震災での苦い経験です。「自衛隊が現場に到着するのが遅かった」と批判を受けました。我々としては「言われなき批判」なのですが、我慢するしかなかった。

●言われなき批判とは。

火箱:当時は、災害が起きても、都道府県知事からの要請がなければ部隊を派遣してはならない、とされていました。当時、第3師団はすぐに姫路や福知山の部隊などを神戸に向かわせていました。しかし、要請がないので神戸に入ることはできず、手前で待機することになった。そうこうするうちに道路は渋滞し、要請が出た時には動きが取れない状況に陥っていたのです。

 もう1つは能登半島地震の経験です。2007年3月25日に、能登半島を震度6の地震が襲いました。私は当時、能登半島をカバーする第10師団(名古屋市守山)の師団長。異動が決まって自宅で荷物を整理していると、家が大きく揺れた。とっさに「震源が近ければよいが、震源が遠ければ、現地は大変なことになっている」と考えました。

 自衛隊では震度5弱以上の地震が起きるとカメラを積んだヘリコプターが情報収集のため自動的に飛び立ちライブで映像を送るようになっています。よって震度5を超える地震は非常に大きな地震なのです。それが震度6。大きな被害が起きているのは間違いありません。

 すぐに走って駐屯地に行き、金沢の連隊を出動させました。金沢の連隊長もたまたま異動が決っており、翌日には離任式が予定されていたのですが、「離任式などない。すぐに出ろ」と命じました。

 間髪入れずに出動した偵察隊が、走行できない道の情報などをいち早く的確に伝えてくれたので、無駄な動きをすることなく救助に向かうことができました。

 この時の命令は師団長としての正規なものです。阪神・淡路大震災の教訓から自主派遣が可能になりました。

●わずか30分で決めた部隊配置

――東日本大震災に臨んで、部隊をどのように配置したのですか。

火箱:最初に連絡したのは東北方面隊です。状況を確認し直ちに出動を命じました。
 次いで九州を担当する西部方面隊です。東北までの移動に最も時間がかかりますから。福岡にいる第4師団*を出動させるよう指示しました(表)。ただし、北熊本の第8師団と沖縄・那覇に駐屯する第15旅団*は動かさなかった。大災害が起きた非常時であっても、尖閣をはじめとする南西諸島への備えを疎かにはできません。第8師団は第15旅団の後詰めとして欠かせない存在です。

*:「師団」は陸自における作戦部隊の基本単位。中に、普通科、特科、機甲科や兵站部隊から構成される。「旅団」は師団の小規模なもの

 次に、東海・北陸・近畿・中国・四国を担当する中部方面隊(兵庫・伊丹)に連絡しました。中部からは第10師団(愛知・守山)を現場に投入する一方で、第3師団(兵庫・千僧)には残留を、第13旅団(広島・海田市)と第14旅団(香川・善通寺)には待機を命じました。

 第3師団は第10師団が抜けた穴を埋めるのに欠かせません。大都市・大阪が管轄内にあるし、北陸の原発を警戒する必要もあります。第13旅団は、日本海方面で北朝鮮が動いた場合に備えるため、第14旅団は四国で連動型南海地震が起きた場合に備えるためです。

 北海道の北部方面隊からは旭川の第2師団と第1特科団等直轄部隊、東千歳の第7師団の一部を現場に送り、第5師団は帯広で待機、第11旅団は真駒内に残しました。

 第7師団は機甲部隊*で災害派遣には向かないので、隊員だけを出動させました。

*:戦車などを中心とする部隊

 第5師団を待機させたのは、震源地が三陸沖であることを考えると、釧路・帯広に影響して津波が襲う懸念があったからです。第11師団は中心都市・札幌を守ると共に、第2師団の留守をカバーするため。

 関東甲信越を担当する東部方面隊からは第12旅団(群馬・相馬原)を派遣しました。中心をなす第1師団(東京・朝霞)は動かしづらい。首都・東京の防衛を疎かにするわけにはいきません。加えて、茨城と千葉は被災している。なので、関東以西から駆けつける他の部隊の兵站を担うよう命じました。

 普通科連隊だけでなく、福岡・小郡の第5施設団をはじめとする施設団も派遣しました。廃材を撤去するための重機を持っているし、道路補修もできる。彼らが保有しているボートは水上から救出もでき、川に並べれば橋を仮設することもできます。

 一連の指示は作戦基本部隊である師団もしくは旅団の単位で行いました。現場を偵察して、即、行動に移すことができるからです。師団には情報部隊や飛行隊があります。彼らがどこにどんな支援が必要かの情報を集め、各連隊が実行する。連隊単位で動かすと、連隊は飛行機を持っていないので、十分な情報を集めることができない可能性があります。

 一連の指示の甲斐があって、72時間後には3万人の部隊が被災地で活動していました。

火箱さんはこれだけの“作戦”をわずか30分で決めたのですね。事前に予感があってシミュレーションをしていたのですか。

火箱:いえ、そんなことはありません。会議をしていた11階の次官室から4階の自室に向かうため、階段を駆け下りながら考えました。エレベーターはとまっていましたから。

●兵站で力を発揮した民の力

――兵站の面では民間企業が協力してくれましたね。

火箱:そうですね。

 北海道に居る北部方面隊が東北に駆けつけるには海を渡る必要があります。「船は自分がなんとかする。小樽でも苫小牧でも、港に部隊を集結させておけ」と北部方面隊の総監に命じ、海自の杉本正彦・海上幕僚長(当時)に北部方面隊を輸送艦で運んでくれるよう依頼しました。

 しかし、不運なことに輸送艦は1隻は海外、2隻は修理のためドックに入っており出航に2日かかるという。これでは72時間に間に合いません。結局、新日本海フェリー、商船三井フェリー、太平洋フェリーの協力を得て運んでもらいました。

 陸上では日本通運の協力を得ました。自衛隊の部隊内の兵站は自分たちで賄うことができます。しかし、避難者も支援しなければならない。しかも、その数は30数万に上りました。避難者の支援は本来、自衛隊の役割ではありませんが、放り出すわけにはいきません。せっかく救助しても、避難所で飢えたり凍えたりするようでは元も子もありませんから。

 そこで陸・海・空自衛隊で「民生支援物資輸送」の仕組みを作り、陸上輸送は日本通運に避難者向けの物資輸送を依頼しました。岩手・宮城・福島にある同社の倉庫を借り、そこまで物資を運んでもらう。その先の輸送は陸自が担当しました。

 日通のトラックには帰りのガソリンを現物で渡しました。実はこの前に、政府が食料と油を整えて被災地に送ろうとしたのですが、トラック協会は送れないとしていました。往きはよいが、帰りのガソリンを調達できないからです。日通との協力ではこの点を解決しました。

 先ほど説明した施設団はこうした支援物資を運ぶトラックが行き来するための道を切り開くのに活躍しました。

●シャワーの水をちょろちょろ出しつつご遺体をお清め

――震災から1週間たった3月19日から、火箱さんは現場への視察に出ました。現場はどういう状況だったのですか。

火箱:海岸線は瓦礫の山。三陸のすべての海岸はまるで艦砲射撃を受けた後のように茶色に染まっていました。私はそれまでにイラクとアフガニスタンの戦場の映像を見たことがありました。しかし、あの時の東北の状況が最もひどかった。

 そんな中でも陸自の各部隊は頑張ってくれました。

――陸幕長の目から見て、高く評価できる動きはありましたか。

火箱:どの部隊も本当によくやってくれました。本当に頭の下がる思いです。視察中に気になったことをお話します。第10師団でのことです。ご遺体の処置の仕方です。

 隊員がご遺体をみつけると、まず警察官に通報する。警察官が検死をして事件性がないことを確認した後、遺体安置所に搬送します。第10師団の隊員たちは、警察官がご遺体にひしゃくで水をかけるだけでまだ泥だらけのまま検死を済ませる中、師団長の指示で化学防護隊が保有するシャワーセットを使って泥やヘドロを落としていました。ご遺体が傷み始めると、勢いよくシャワーをかけると壊れてしまいます。なので、水圧を弱め、ちょろちょろ水を出しながらお清めしてご遺体を丁寧に収納していました。

 こうした姿勢の違いから第10師団の第35普通科連隊は警察と一悶着起こすことがありました。熱心な隊員たちは警察が引き上げた後も懐中電灯を持って捜索を続けていました。その途中で一人のご遺体を発見した。検死はできない。しかし、その場に放置するのは忍びない。そこでご遺体を移動し仮安置しました。これに対して警察から「なぜ動かしたのか」と問い詰められたのです。法律を執行する上で彼らの主張は正しい。しかし、場合が場合です。話を聞いて「お互い協力し合うべき立場なのでそんなこと言うなよ」という気持ちになりました。

 この時は、地元・宮城県名取市の市長さんが「逮捕するなら私を逮捕してください」と言って取りなしてくれました。

 福島県相馬市で活動した第13旅団も、被災した皆さんの気持ちをよくくみ取るとともに、地元自治体との調整をうまく進めました。彼らの行方不明者捜索は徹底していました。冠水した担当地域の水を抜き、すべての瓦礫を撤去した上で、行方不明者を探す。瓦礫が残った状態では、家族の方は「その下に埋まっているかもしれない」という懸念をぬぐい去ることができません。なので、奇麗にした状態で捜索をし、その範囲に行方不明者はいないことを地元の区長さんに確認してもらった。

 災害派遣において撤収は最も難しい仕事です。それを第13旅団は見事な撤収を果たしました。家族がみつかっていない被災民の方は自衛隊に帰ってほしくないのです。我々も助けたい。しかし自衛隊にはほかの任務もあります。新たな災害が発生したらどうするか。外敵が攻撃してきたらどうするか。テロが起きたらどうするか。緊急性、非代替性、公共性を軸に判断し、自衛隊でないとできないことを優先せざるを得ません。どこかで区切りをつけなければならない。

 ある被災地ではご遺体の埋葬を依頼されることがありました。穴を掘って埋めてほしいと。ご遺体は徐々に傷んできますから。しかし、これは厚生労働省の管轄なので、当時の厚労相から各自治体に自衛隊に依頼しないよう通知してもらいました。それでも被災地の現場は手がないので自衛隊に頼んでくる。自衛隊の使命は緊急性の観点から、行方不明者を捜索して家族の元に返すのが優先事項であることを説明しました。

●幼な子を抱いた母親のご遺体が…

 各隊員のレベルで見ても頭が下がる行動がたくさんありました。3月の東北の水は氷のように冷たい。それでも腰まで水につかり、行方不明者を手作業で探す者。自分の食事を被災者に差し出す者。みな泥だらけ、汗まみれ。それでも風呂には入れない。着替えすらできません。夜はごろ寝です。

 こうした環境ですから、隊員の健康には心と体の両面で注意を払いました。毎日、幾つものご遺体を目にするのです。中には、幼な子を抱いたまま亡くなった母親の遺体もある。

 宮城県石巻市の大川小学校では、ランドセルが隊員の目に入った。「ここか!」と思いヘドロをかき分けて捜索すると、子供さんの遺体が上がってくる。そうした光景が自分の家族と重なる。その悲しみがどんどん心の中にたまっていく。

 なので、隊員たちに気持ちを吐き出すよう勧めました。夜、班長を中心に車座になって、その日にあった出来事を話す。ある時はみなで祈る。ある時はみなで泣く。それだけでも気持ちが変わります。

 自衛官がいくら身体を鍛えていても肉体的に疲労します。それに食事はずっとパック飯と缶詰ですませていました。自衛隊は野外でも炊き出しの機能を持っていますが、野外炊事車はみな被災者に提供しました。そうすると、ビタミンが欠乏するのでしょう。口の中に吹き出物ができる隊員が多く出ました。「きゅうりを1本食わしてやりたい」と思いましたが、なかなかかないません。できぬこととは知りながら、衛生部長に「日本中のビタミン剤を全部集めて送ってやれ」と叫んだことがありました。

 隊員から配慮のなさを指摘されることがありました。食事が不足しないよう送った様々なものの中に、赤飯の缶詰があったのです。担当者は赤飯の方が腹もちがよいと思い良かれと思って送ったのだと思います。しかし、先ほどお話ししたように、現場は毎日ご遺体に接し心を痛める状態です。「こんなもん食えるか!」と怒りの連絡が入りました。「申し訳なかった」というしかありませんでした。

 現場はそんな中にあっても様々な工夫を凝らして対処してくれた。ある時、「金魚鉢を送ってくれ」とのリクエストがありました。

――行方不明者を捜索するのに金魚鉢が役に立つのですか。

火箱:冠水した地域はボートに乗って捜索をします。その時に金魚鉢を水面につければ、ボートの上から水中をのぞくことができる。

 胴長の足の底に鉄板を入れるというアイデアもありました。胴長を履いて水中を捜索していると瓦礫の中の釘を踏むことがあるので。胴長自体も釘でずたずたになる。なので、業者に頼んで胴長に細工をしてもらいました。

 線香と塩を送ってほしいという依頼もありました。ご遺体をみつければ、手を合せ、お悔やみを言いたくなるのが人情です。その時に使う。

●人が足りない

――陸自のトップとして震災を経験されて、気付かれた課題は何でしょう。

火箱:やはり人が足りないことです。師団はかつては3~4個の単位で編成されていました。これなら2~3個の部隊が活動している時に、1~2個の部隊は休憩することができます。しかし、今は人が居らず、部隊単位が減らされ非常に窮屈な編成になっています。交代すらままならない。人の数が減れば、それに応じて車両も武器も減ることになる。

 第2は陸上総隊がなかったことです。総隊司令部ができると5つある方面隊を運用統制できます。私が震災の時に果たしたのは、実質的に陸上総隊司令官の役割でした。空自は既に北部・中部・西部の3つの航空方面隊と南西航空混成団を一人の総隊司令官が指揮できるようになっています。

 第3は統合任務部隊の運用です。陸海空の3つの自衛隊を統合的に運用するため、JTF(ジョイント・タスク・フォース)という仕組みを作りました。JTF東北の司令官は陸自の君塚栄治・東北方面総監で、彼の下に海自の横須賀地方総監と空自の航空総隊指令官が加わる形を取りました。ただ、君塚総監の元に実際に居たのは海自と空自の連絡将校(リエゾン・オフィサー)で、彼らが指示をそれぞれの上司に伝えていました。

 これでは密な統合はできない。やはり、陸自・海自・空自それぞれの状況をよく分かっていて、実際に部隊に指示できる幕僚をJTFの司令部に出すようにしないといけません。

 ただし、この時の教訓が生かされ、この3月に陸上総隊が新編されます。

 私も先輩から多くを学びました。第一空挺団の中隊長になった時、1985年に起きた日航機墜落事故(御巣高山)の時の経験を前任者から聞いたことがあります。たまたま部隊のマラソン大会があり部隊が集結していたため、即動につながった。第一空挺団はこの後、必ず一つの中隊を初動部隊として待機させるようになりました。

 東日本大震災での経験も語り継ぎ、後輩たちに残していくことが大事だと思っています。
--------------------------

 火箱元陸幕長とすべての自衛隊員に心から感謝したいと思います。有難う!

************* 著書のご案内 ****************

 『人類を導く日本精神~新しい文明への飛躍』(星雲社)
https://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/cc682724c63c58d608c99ea4ddca44e0
 『超宗教の時代の宗教概論』(星雲社)
https://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/d4dac1aadbac9b22a290a449a4adb3a1

************************************

巨大地震に備え、地方分散を~藤井聡氏

2012-10-10 09:39:03 | 地震
 私は10月7日から9日にかけて、巨大地震に関する文章を日記に掲載した。首都直下地震はこのままでは国家存亡に関わるものとなる。南海トラフ地震は、死者最大32万3千人と予想される。巨大地震で製油所の8割が機能不全となり、わが国は極めて深刻な事態に陥るなどと書いた。
 そこで今、わが国がなすべき重要な課題が、国土の強靭化である。国土強靭化については、私の日記・サイト等でもしばしば紹介してきたが、京都大学大学院教授の藤井聡氏が提唱する考え方である。藤井氏はちょうどタイミングよく、産経新聞平成24年10月8日号に、その思想と具体的な方針を書いている。

 藤井氏によると、強靭化とは「巨大災害でも、何とか致命傷を避けて被災を最小化したうえで、迅速に回復することを見通しつつ、限られた財源の中で最善を尽くそうとする」ことである。
 国土強靭化については、財政が厳しい今、強靱化対策など無理だなどという意見があるが、財源が乏しい中で超巨大地震対策を図ろうというのが強靱化である。十分な財源があるのなら、強靱化ではなく災害を完全に防ぐ防災を志せば良い。だが、それは現実的には不可能である。だからこそ、従来の防災とは異なる対策が求められている。その一つが「想定被災地からの事前疎開」、つまり「地方分散」という考え方だと藤井氏は言う。
 首都直下地震・南海トラフ地震は、日本経済に「壊滅的な打撃」を与えるものとなる。そこで、首都圏と太平洋ベルトという「想定被災地に過度に集中した都市機能を、日本海側や北海道、中国、四国、九州といった地方部へ分散(つまり、事前疎開)させること」が急務である。
 藤井氏によると、「地方分散化」は、第一に、「災害の一次被害がその分、減少する」。第二に、「仮に、太平洋側の諸都市が破壊されたとしても」「地方都市が温存されて、日本全体が致命傷を負うことは避けられる」。第三に、「災害を無傷か軽傷で生き延びた地方都市は、被災地救援を行うことも可能になる」。これらの効果によって、巨大な自然災害が発生しても、「致命傷を避け、被害を最小化し、迅速に回復できる」。こうした国土強靱化によって、「日本は亡国の危機を免れ得る」と藤井氏は説明する。
 たとえば、上越・九州・北陸での「新幹線を中心にした交通インフラへの投資は、10年、20年という歳月を経て、沿線諸都市の飛躍的な発展を促してきた」。「こうした次世代投資を国家プロジェクトとして展開していくと同時に、地方分散化へと誘導する税制優遇策などの各種ソフト施策を展開していくことこそが、過度な一極集中を是正し、都市機能を分散させて、国土を抜本的に強靱化させる、最も効果的かつ現実的なシナリオなのである」と藤井氏は主張している。
 全政治家、全国民が今、傾聴すべき提案だと思う。
 なお、本稿では藤井氏は国土強靭化の経済効果について言及していないが、藤井氏は「富国強靭」というスローガンを掲げている。国土強靭化はデフレ脱却のための主要政策となり得るものである。巨大地震への備えという有意義な公共事業を展開する大規模な財政出動及びそれと連携した金融政策を数年間にわたって計画的に実行すれば、雇用の創出、所得の増加、GDPの増加、インフラの整備、地方の振興等を実現できる。日本再建のための経済社会政策の一本の柱とすべきものが、国土強靭化である。

 以下は藤井氏の記事。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
●産経新聞 平成24年10月8日

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121008/lcl12100803130000-n1.htm
【正論】
京都大学大学院教授・藤井聡 巨大地震に備え「地方分散」せよ
2012.10.8 03:12 [正論]

 南海トラフ地震や首都直下地震への対策が必要であるとの認識は国民的に共有されつつあるように思う。それとともに、その対策である「国土強靱(きょうじん)化」の重要性も徐々に認識され始めているようだ。例えば、この度の自民党総裁選でも、国土強靱化は重要な論点の一つとして報道されている。

≪防災とは違う考え方が必要≫
 しかし、「強靱化」の考え方や具体的方針は、一般には十分に理解されていると言い難い。大手メディアでは「財政が厳しい今、強靱化対策なんて無理だ」などと伝えられることもしばしばである。が、それは完全な誤解だ。
 そもそも、財源が乏しい中で超巨大地震対策を図ろうというのが「強靱化」である。「強靱」とは強くしなやかな様を言う。巨大災害でも、何とか致命傷を避けて被災を最小化したうえで、迅速に回復することを見通しつつ、限られた財源の中で最善を尽くそうとするのが「強靱化」なのだ。
 十分な財源があるのなら、「強靱化」ではなく災害を完全に防ぐ「防災」を志せば良い。が、それは現実的には不可能だ。例えば、首都圏の十分な耐震補強には1000兆円が必要だともいわれている。その財源の確保は今の日本の国力からいって不可能だ。さらにいえば、科学的に危惧される「富士山大噴火」には、効果的対策が見当たらないのが実情だ。
 だからこそ、従来の「防災」とは異なる対策が求められているのであり、その一つとして現実味を帯びてくるのが、想定被災地からの事前疎開、つまり「地方分散」という考え方なのである。
 我が国の人口や都市機能の3割は、首都圏に集中している。そして、そこを直撃するのが首都直下地震だ。南海トラフ地震が襲いかかるのも、大阪、名古屋の両都市圏をはじめ全土の4割もの都市機能が集中する、(首都圏を除く)太平洋ベルトの諸都市だ。迫り来る巨大地震は、日本経済に壊滅的打撃を与え得るのである。

≪地方主要都市の「温存」を≫
 こうした国土の構造上の脆弱性を克服して、国土構造そのものを「強靱化」していくためには、想定被災地に過度に集中した都市機能を、日本海側や北海道、中国、四国、九州といった地方部へ分散(つまり、事前疎開)させることが急務となるのである。そして、「地方分散化」は、様々な意味で日本の強靱化に貢献する。
 第一に、分散化することによって、災害の一次被害がその分、減少する。第二に、仮に、太平洋側の諸都市が「破壊」されたとしても、分散化していれば、地方都市が「温存」されて、日本全体が致命傷を負うことは避けられる。第三に、災害を無傷か軽傷で生き延びた地方都市は、被災地「救援」を行うことも可能になる。
 地方分散がうまくいけば、巨大な自然災害が発生しても、「致命傷を避け、被害を最小化し、迅速に回復できる」のであり、国土全体が強くしなやかなものとなる。これこそ、想定被災地における直接対策を上回る重大な意味を持つ「国土そのものの強靱化」なのであり、これによって、日本は「亡国」の危機を免れ得る。今や、単に防災や減災にとどまらない「国土強靱化」という言葉が、国会などでも盛んに使われだしているのも、そのためだといえる。
 むろん、ここまで一極集中が進んだ今日の日本で、時計の針を巻き戻すような地方分散化は必ずしも容易ではないだろう。しかし、例えば、全国知事会が目下、主張している「日本海軸」や「第二太平洋軸」(四国新幹線)といったインフラ投資を軸とした地域の経済成長策が地方分散化をもたらすことは間違いないだろう。

≪新幹線などへの投資で誘導≫
 近年の国土の歴史的な変遷を見ても、それは一目瞭然だ。
 例を挙げると、かつて北陸の中心都市だった「加賀百万石」の金沢を抜き去って、新潟市が日本海側唯一の政令指定市になった背景に、「上越新幹線」の開業があったことは確実だ。最近でいえば、九州新幹線開業に伴う熊本市の政令指定市化が記憶に新しい。さらには、出遅れたその金沢でも、北陸新幹線計画が決定された結果、現在、駅前の投資が大きく進展していることはよく知られている。新幹線を中心にした交通インフラへの投資は、10年、20年という歳月を経て、沿線諸都市の飛躍的な発展を促してきたのである。
 こうした次世代投資を国家プロジェクトとして展開していくと同時に、地方分散化へと誘導する税制優遇策などの各種ソフト施策を展開していくことこそが、過度な一極集中を是正し、都市機能を分散させて、国土を抜本的に「強靱化」させる、最も効果的かつ現実的なシナリオなのである。
 こうした強靱化の基本的な思想と方針を十全に理解した政権が「近いうち」に我が国に誕生することを、是非とも祈念したい。万が一にもその願いが叶(かな)わないのなら、日本国家が「近い将来」に、安寧ある繁栄を続けられない状態に陥ってしまうことは、残念ながら避け難いのである。(ふじい さとし)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

関連掲示
・拙稿「首都直下地震は国家存亡に関わる」
http://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/961ed5d5f0dfbb3c7563dfe69ec94391
・拙稿「南海トラフ地震、死者最大32万3千人を避けるには」
http://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/75a75af9949b910e1c909d3db5535b3e
・拙稿「巨大地震で製油所8割が機能不全に」
http://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/a684b9031262ec389c2d6cde55d815e0
・拙稿「東日本大震災からの日本復興構想」
http://homepage2.nifty.com/khosokawa/opinion13l.htm
第2章 藤井聡氏の提言
・拙稿「富国強靭を国家の大方針に~藤井聡氏」
http://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/94960fedf33db0f3716984e21b28fd7d

巨大地震で製油所8割が機能不全に

2012-10-09 10:24:26 | 地震
 8月29日内閣府は、南海トラフ巨大地震について、死者が最大32万3000人に達するとの被害想定を公表したが、その5日前、経済産業省は巨大地震の製油所施設への影響をまとめたという報道がされた。
 報道によると、経産省は、政府の中央防災会議の作業部会による中間報告を分析し、南海トラフ巨大地震と首都直下地震が発生した場合、国内の約8割の製油所施設が「液状化現象などが加われば、相当程度、機能不全に陥る」とする分析結果をまとめたという。
 その分析結果が、8月29日に発表された内閣府による南海トラフ巨大地震の予測と連携しているものかどうかは、明らかでない。
 東日本大震災の発生後、一部製油所が操業停止に追い込まれた。石油元売り最大手のJX日鉱日石エネルギーは、仙台製油所(宮城県)、鹿島製油所(茨城県)、根岸製油所(神奈川県)が地震や津波の影響で操業を停止した。3製油所の精製能力はJXの能力の5割近くを占める。また東燃ゼネラル石油や火災に見舞われたコスモ石油の各製油所も地震で操業を停止した。東日本地域の製油所11か所のうち、一時は5か所が機能不全に陥った。そのため、全国の生産能力が地震発生前に比べて3割も低下した時期があった。ガソリン不足は関東地方以北を中心に深刻な状態となった。製油所の復旧には、半年から1年かかった。
 現代文明は、石油文明である。石油は、経済社会の血液である。全国約8割の製油所施設が機能不全に陥って、復旧まで半年、1年かかるならば、その間に、わが国は極めて深刻な状態に陥る。石油というと自動車や暖房機の燃料がまずイメージされるが、工業製品から食糧まで今日、ものの生産には石油が欠かせない。石油の供給が大幅にダウンした状態が続けば、衣食住のすべてにわたって、大きな困難が生じる。まさに死活問題となる。
 ガソリンを災害時に有効活用するための石油備蓄法や石油需給適正化法の改正が急がれる。また貯蔵タンクの耐震化、貯蔵場所の日本海側・北海道・九州への分散等を早急に進め、災害に耐え、力強く立ち直ることのできる体制を整えていく必要がある。国土強靭化計画に、重要課題の一つとして入れなければならない。
 以下は関連する報道記事。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
●産経新聞 平成24年8月24日

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120824/dst12082407180001-n1.htm
【巨大地震】
南海トラフ・首都直下地震 製油所8割が機能不全に 経産省調査
2012.8.24 07:15

 東海、東南海、南海などの地震が連動して起きる「南海トラフ巨大地震」や「首都直下地震」によるエネルギー供給への影響を調査してきた経済産業省が、両地震が発生した場合、国内の約8割の製油所施設が「機能不全に陥る」とする分析結果をまとめたことが23日、分かった。これを受け、同省は7月末、各製油会社に貯蔵タンクなどが両地震に耐えうるか調査を指示したが、市場や消費者のパニックを懸念して秘密裏に実施した。
 同省は、政府中央防災会議の作業部会が7月19日にまとめた両地震の中間報告を独自に分析。専門家の意見を参考に全国27カ所の製油所について調べたところ、太平洋側の海岸近くに集中する22施設で「影響を受ける」との結果が出た。耐震強度に現行法上の問題はないものの、「巨大地震による液状化現象などが加われば、相当程度、機能不全に陥る」と結論づけた。
 同省関係者は「石油貯蔵タンクは数十年に一度の地震に耐えられるが、百年に一度の巨大地震は想定していない」と断言した。



 経産省は製油会社の調査も踏まえ、貯蔵タンクなどの耐震化スケジュールを来年3月までに決める方針。耐震化に必要な設備費の補助も平成26年度に予算化する方向で調整している。
 中央防災会議作業部会の中間報告は、高さ10メートル以上の津波が11都県を襲うと想定される南海トラフ巨大地震を「東日本大震災を超え、国難とも言える巨大災害」と位置付けた。また、発生確率が「30年以内に70%」とされるマグニチュード7クラスの首都直下地震については「わが国の存亡に関わる」としている。
 昨年3月11日の東日本大震災時には、仙台市など、全国3カ所の製油施設が津波や火災で半年から1年間も操業を停止。生産能力が地震発生前と比べて3割もダウンした時期があった。
 ただ、ガソリンを災害時に有効活用するための石油備蓄法や石油需給適正化法の改正案などの関連法案は今国会成立が危ぶまれており、危機管理の行き届かない状態が続きそうだ。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

南海トラフ地震、死者最大32万3千人を避けるには

2012-10-08 08:38:35 | 地震
 昨日、首都直下地震は国家の存亡に関わると書いた。これに次ぐ危険性を持っているのが、南海トラフ地震である。
 8月29日、内閣府は、東海・東南海・南海地震の震源域が連なる南海トラフの巨大地震について、死者は最大32万3000人に達するとの被害想定を公表した。東日本大震災は死者・行方不明者の総数が約1万8700人ゆえ、その20倍近くであり、平成16年(2004)のスマトラ島沖地震の死者約28万人を上回る世界最大規模の巨大災害となる。マグニチュードは9・1と想定し、最大34メートルの津波が太平洋岸を襲い、最大約238万棟が全壊・焼失するという。範囲は関東以西、東海・近畿・四国・九州の30都府県に及ぶ広域で甚大な被害が出ると予想している。
 南海トラフに震源域が連なる東海・東南海・南海地震は、30年以内の発生確率がそれぞれ88%、70%程度、60%程度と予測される。これらが連動した場合が、最大規模の巨大地震となる。都府県別の死者は静岡が10万9000人と最多となるという。
 内閣府が予測する南海トラフ地震は、死者の約7割となる23万人は津波によるものと想定。津波は広い範囲で高さ20メートル前後となり、最大は高知県土佐清水市と黒潮町で34メートル。静岡県御前崎市の浜岡原発は19メートルの津波で敷地が水没する恐れがある。東京都区部や大阪市でも3~5メートルになるという。揺れは名古屋市、静岡市など10県151市区町村で震度7と推定。建物の倒壊で、8万2千人の犠牲者が出ると想定している。
 南海トラフ地震の対策としては、東海地震の直前予知を目指す大規模地震対策特別措置法(大震法)をはじめとする現行の対策は、東海地震と東南海・南海地震が切り離されている。3地震の連動やM9級超巨大地震に対応できる特別法の制定が急がれる。
 首都直下地震にしても南海トラフ大地震にしても、いざ発生すれば日本は国家的な危機に陥る。藤井聡京大大学院教授が提唱し、自民党が政策に取り入れた国土強靭化計画を、国家を挙げて断行する必要がある。取り組みが遅れれば遅れるほど、巨大地震発生による被害と被災後の復興の負荷は大きくなる。政治家と国民は将来のために今、決断しなければならない。
 以下は関連する報道記事。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
●産経新聞 平成24年8月29日

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120829/dst12082918080009-n1.htm
【南海トラフ巨大地震】
死者最大32万人、全壊は約238万棟想定 内閣府
2012.8.29 18:07

 東海・東南海・南海地震の震源域が連なる南海トラフ(浅い海溝)の最大級の巨大地震について内閣府は29日、死者は関東以西の30都府県で最大32万3000人に達するとの被害想定を公表した。マグニチュード(M)9・1の地震で最大34メートルの津波が太平洋岸を襲い、震度7の強い揺れなどで最大約238万棟が全壊・焼失すると推定。東海地方から九州までの広い範囲で甚大な被害の恐れがあり、国や自治体に防災対策の抜本的な強化を迫るものとなった。
 死者数の最大は東日本大震災(死者・行方不明約1万8700人)の20倍近い超巨大災害で、2004年のスマトラ島沖地震(約28万人)を上回る世界最大規模。ただ、南海トラフで起きる次の地震を想定したものではなく、発生頻度は極めて低いとした。死者数は幅があり、最小の場合は約3万2000人になる。
 東海・東南海・南海地震が同時に発生し、さらに九州東部沖の日向灘や、津波が大きくなる領域の断層も連動する場合を想定。推計した4つのケースのうち、東海地方が大きく被災するケースで死者が8万~32万3000人と最悪になった。
 平成15年の中央防災会議の想定と比べて死者は13倍と大幅に増加。津波による死者は23万人で全体の7割を占める。都府県別の死者は静岡が10万9000人と最多で、和歌山8万人、高知4万9000人。津波は広い範囲で高さ20メートル前後となり、最大は高知県土佐清水市と黒潮町の34メートル。中部電力浜岡原発(静岡県御前崎市)は19メートル、東京都区部や大阪市は3~5メートル。浸水面積は最大1015平方キロメートルで東日本大震災の1・8倍。揺れは名古屋市、静岡市など10県151市区町村で震度7と推定した。
 内閣府は大震災で想定外の巨大地震が起きた教訓を踏まえ、同じ仕組みで地震が起きる南海トラフの検討会と作業部会を設置。想定した巨大地震が発生すれば国家的な危機に陥る恐れがあり、会見した中川正春防災担当相は「統一的な対策を推進するため、特別措置法制定の具体的な検討を始めたい」と述べた。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

首都直下地震は「国家存亡に関わる」

2012-10-07 08:36:46 | 地震
 我が国は国内外の社会的諸課題に取り組むと共に、大規模自然災害、特に巨大地震への備えを着実に進める必要がある。今後、国家最高指導者に選ばれるべき政治家は、こうした諸課題への取り組みを強力に推進できる人物でなければならない。
 政府の中央防災会議の防災対策推進検討会議は、7月19日、首都直下地震に備え、当面取り組むべき課題などをまとめた作業部会の中間報告を公表した。
 報告は「首都直下地震は国家の存亡に関わるもの」とし、「東日本大震災を踏まえ、現行の対策を検証し、その充実・強化を図ることは喫緊の課題である」と述べている。その通りである。
 また、画期的なのは、首都圏が壊滅的な被害を受けた場合を想定し、緊急災害対策本部を置く代替拠点候補を具体的に挙げたことである。札幌、仙台、名古屋、大阪、福岡の5政令都市がそれである。「首都直下Xデー」(藤井聡氏)に備え、首都機能のバックアップ体制を整えるという課題とともに、緊急災害対策本部の設置場所も早急に選定、準備されるべきである。
 緊急対策本部を設置する場合、誰が本部長職に就くかを決めておく必要がある。この点に関わってくるとして、私は、新憲法私案に非常事態条項を設けることを提案しているが、さらに、内閣総理大臣正副の代務者を定めることを提案している。総理代務者条項は、次の通りである。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
第九十九条 内閣総理大臣及び内閣総理副大臣にともに事故あるとき、または内閣総理大臣及び内閣総理副大臣がともに欠けたときは、以下の順位に従って、すみやかに代務者がその職務権限のすべてを代行する。
一 内閣官房長官
二 外務大臣
三 財務大臣
四 総務大臣
2 前項に定める代務者が代行を行えず、または政府が機能しない事態が生じた場合は、以下の順位に従って特別代務者が代行する。
一 東京都知事
二 大阪府知事
三 愛知県知事
3 前2項の第四位以下は、人口の多い府県の順に、その知事とする。
4 代務者または特別代務者は、その置くべき事由がやんだときは、すみやかにその職を退くものとする。

http://homepage2.nifty.com/khosokawa/opinion08h.htm
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 2項において、特別代務者として地方自治体の知事を挙げたのは、首都圏における非常事態を想定したものである。首都直下地震、外国によるテロやミサイル攻撃等を念頭に置いている。
 先の中央防災会議作業部会の提案は、単に緊急対策本部の設置場所の選定にとどまらず、国家非常事態対応体制の整備へと具体化されなければならない。その具体化を実現できる政治家が、国家最高指導者に求められている。
 以下は関連の報道記事。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
●産経新聞 平成24年7月19日

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120719/dst12071922140013-n1.htm
首都直下地震対策「国家の存亡に関わる」 中央防災会議、危機感あらわ
2012.7.19 22:13

 「首都直下地震は国家の存亡に関わるものであり、東日本大震災を踏まえ、現行の対策を検証し、その充実・強化を図ることは喫緊の課題である」
 中央防災会議の作業部会は、衝撃的ともいえる表現で、首都直下地震を迎え撃つ覚悟を国に求めた。
 大震災の発生で首都圏をのせた北米プレート(岩板)のバランスが崩れ、その影響とみられる誘発地震が首都圏を含む広範囲で頻発している。政府の地震調査委員会が「30年以内の発生確率は70%」としてきたマグニチュード(M)7級の首都直下地震の切迫性はさらに高まったと、多くの地震学者はみている。
 中央防災会議は平成17年に予防から応急対応、復旧・復興までの防災対策のマスタープランである「首都直下地震対策大綱」を策定している。今回の中間報告では、これまでの対策では十分でない分野を中心に、当面取り組むべき対策として「政府の業務継続」「帰宅困難者対策」「避難者対策」を挙げた。
 政府機能の代替拠点候補として、東京圏以外の都市が具体的に示されたのは今回が初めて。代替拠点の設定は、テロなどの地震以外の不測の事態に備える意味もあるといった議論も交わされたという。
 今冬までにまとめる被害想定の見直し結果は、従来の死者約1万人、経済被害112兆円を超える規模になるものとみられる。木造住宅密集地の火災対策をはじめ、中間報告で示された項目以外にも、緊急性を要する課題は多い。(中本哲也)

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120719/dst12071921140011-n1.htm
首都直下地震 大阪など5都市にも代替拠点を 中央防災会議中間報告
2012.7.19 21:14

 東日本大震災を教訓に地震防災対策の抜本的な見直しを進める中央防災会議の防災対策推進検討会議は19日、大震災後に切迫性が高まったと指摘される首都直下地震に備え、当面取り組むべき課題などをまとめた作業部会の中間報告を公表した。
 首都圏が壊滅的な被害を受けた場合などに緊急災害対策本部を置く代替拠点候補として、札幌、仙台、名古屋、大阪、福岡の5政令都市を挙げた。南海トラフの巨大地震についても津波対策の強化を柱とする作業部会の中間報告を公表した。
 政治、行政、経済の中枢機能が高度に集積した首都圏を襲う直下地震について作業部会(主査=増田寛也・野村総合研究所顧問)は「わが国の存亡に関わる」と、これまでにない強い表現で防災対策の充実、強化を急ぐよう求めた。
 中間報告では、政府全体の業務継続方針の策定を最重点課題とし、維持すべき必須機能として「内閣機能」「被災地への対応」「国民生活の基盤維持」「経済・金融の安定」「防衛機能・治安維持」「外交機能」を挙げた。
 官邸が被災した場合の緊急災害対策本部は現在、内閣府(中央合同庁舎5号館)、防衛省、立川広域防災基地(立川市)に設置されることになっているが、東京圏外の代替拠点は設定されていない。
 作業部会は「東京圏での政府機能継続が原則」としたうえで、首都圏の広範囲が壊滅的な被害を受けた場合などに備え、東京圏外にも代替拠点をあらかじめ設定し、順位を定めておく必要があるとし、候補として公共機関などの機能が集積した札幌など5政令都市を列挙した。
 作業部会は被害想定の見直し結果を受けて、来春までに対策の全体像をまとめる。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

関連記事
・拙稿「『首都直下Xデー』に備えよ~藤井聡氏」
http://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/ffecf2106e0f1361d7a4a210b2d9edea

「首都直下Xデー」に備えよ~藤井聡氏

2012-06-16 12:04:04 | 地震
 首都直下地震の発生可能性が高くなっていると報道されるが、野田政権の巨大地震への対応は極めて鈍い。国土強靭化を訴え、「富国強靭」を日本の国家目標に掲げる京都大学大学院教授の藤井聡氏は、産経新聞平成24年5月29日号に「『首都直下Xデー』に急ぎ備えを」という一文を書いた。
 「首都直下Xデー」とは、首都直下地震が起こる日である。この「第二の関東大震災」が起こった時、通信、交通インフラが寸断されるほか、首相官邸や国会議事堂、霞が関の諸官庁ビル、議員会館なども被災して、肝心の中央政府が機能不全に陥る、と藤井氏は想定する。中央政府の建築物は「震度7」への耐震性は必ずしも確保されていない。大震災対策の主体が失われれば、二次災害から三次災害へと際限なく拡大していくことも危惧される。また皇居の耐震強化を万全にし、京都御所などを国家的に活用するなど、あらゆる可能性を迅速に検討していくことが必要だと、藤井氏は主張している。
 以下、記事を掲載する。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
●産経新聞 平成24年5月29日

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120528/dst12052803050001-n1.htm
【正論】
京都大学大学院教授・藤井聡 「首都直下Xデー」に急ぎ備えを
2012.5.28 03:05

 首都直下地震がメディアでひんぱんに取り上げられるようになった。かねてからの公式発表でも、30年以内の発生確率は70%という恐ろしく高い水準だったのだが、東日本大震災によりその確率はさらに上昇している。
そもそも、過去2千年の日本の歴史の中で、東北太平洋沖で起きたM8以上の地震の前後10年以内には、必ず首都直下地震が発生している。今回も、相当程度の確率で近い将来、首都直下地震が襲うことは間違いない。

≪政府に不退転の決意見えず≫
 そんな「首都直下Xデー」の被害額は100兆円超と見込まれており、最大で300兆円を超すともいわれている。これは、日本の国内総生産(GDP)の2割から6割に相当するもので、最悪の場合、東日本大震災被害の10倍程度にも達するという。
 この巨大震災に対し、東京都をはじめ各自治体が様々な対策を講じようとしている。
 だが、極めて遺憾ながら、野田佳彦政権は、消費税増税には不退転の覚悟で臨むつもりのようであるが、首都直下など巨大地震については、現在の政策方針が緊縮財政だという理由もあってか、十分な対策を講じようとする気配すらみえないのである。
 「第二の関東大震災」は、前述の被害想定額の巨大さをもってしてもとらえきれないほどの、被害を我が国にもたらすものとなる。財政破綻論者がしばしば口にする「国債暴落Xデー」ですら比ぶべくもないのである。
第一に、「第二の関東大震災」は日本の中央政府機能の喪失の危機をもたらし得る。
 東日本大震災で目覚ましい活躍をした自衛隊も、国土交通省東北地方整備局も、政府組織であり、首相を筆頭とする内閣の指揮と判断が必要であった。 「首都直下Xデー」ではしかし、通信、交通インフラが寸断されるほか、首相官邸や国会議事堂、霞が関の諸官庁ビル、議員会館なども被災して、肝心の中央政府が機能不全に陥ることも想定される。

≪政府機能喪失で二、三次災害≫
 中央政府の建築物は、「震度6強」までには耐えられる構造になっているが、「震度7」への耐震性は必ずしも確保されていない。大震災対策の主体が失われれば、大震災の被害が、二次災害から三次災害へと際限なく拡大していくことも危惧される。このため、政府のビル耐震強化、代替通信・移動手段の確保、政府機能の分散を図らねばならない。
 極限状況下では、政府機能の喪失につけ込んで領土的野心を満たそうとする近隣諸国の火事場泥棒的「進出」も「想定外」にしてはおけまい。
 そして言うまでもなく「皇統の安全の保障」も、国家の最大責務だ。関東大震災の折には、宮家の方々もお亡くなりになっている。皇居の耐震強化を万全にし、京都御所などを国家的に活用するなど、あらゆる可能性を迅速に検討していくことが必要であろう。
 以上の悪夢のシナリオを仮に回避できたとしても、「首都直下Xデー」に、国家存亡にかかわるほどの巨大な経済的損失を被ることは不可避であろう。
数多くの木造住宅が倒壊し、その密集地は大火災に見舞われる。少なからぬ高層ビルも無傷ではすまず、沿岸部は液状化して、その結果、石油タンクから東京湾内に石油が流出し、炎上し続けることも十分に想定内だ。
 地下鉄をはじめとする鉄道も安全とは言い切れず、線路の盛り土や軌道構造物の倒壊や崩落が案じられる。通勤ラッシュ時に発生した場合、何百もの人命が列車ごとに失われることともなる。神奈川県や東京都の沿岸域では津波の襲来も懸念され、沿岸部の地下道は浸水被害を受ける。

≪「トリアージ」の考え方を≫
 そんな災厄にいつ何時見舞われても仕方がない状況に、われわれは直面している。であれば、「第二の関東大震災」の事前対策においても、優先順位を付けて救えるものから救っていくという「トリアージ」(識別救急)の発想を採用せざるを得ない。
 ただし、「トリアージ」は、裏返せば、「見捨てざるを得ないものは見捨てる」という考え方でもあり、「全力を賭して迅速に対応する」態度が備わって初めて許されることである。「全然急がないトリアージ」などというものは、少なくとも道義上は、あってはならないことである。
 したがって、我が国がかくも甚大な人的被害を及ぼす「第二の関東大震災」の危機にさらされていることが明白であるにもかかわらず、政府が対応を取ろうとしないのなら、それは、少なくとも道義的には許されざる存在となってしまうに違いない。
 「首都直下Xデー」は、「瑞穂の国」である日本の、まさに「運命の日」とならざるを得ない。だからこそ、筆者は、我が国政府がこの巨大な危機を乗り越える強靱さを全力で確保しようとする近未来図の実現を、心から祈念してやまないのである。(ふじい さとし)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

関連掲示
・拙稿「首都圏巨大地震への対応急げ」
http://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/f1388e22650c9b2279d83eb37f9cd11d?fm=entry_awc
・拙稿「東日本大震災からの日本復興構想」
 第2章 藤井聡氏の提言
http://homepage2.nifty.com/khosokawa/opinion13l.htm
・拙稿「藤井提言を受け、自民党が国土強靭化案を出版」
http://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/950f07b73b93a1fabd6f2a254a303b02

首都圏巨大地震への対応急げ

2012-05-06 10:35:35 | 地震
 東京都は4月18日、首都圏で起こり得る4パターンの地震について新たな被害想定を公表した。平成18年の発表に比べ、最大震度7の地域が生じ、震度6強の地域が拡大した。死者数は約6,400人から約9,700人に増加。東京湾沿岸の最大津波高は2・6メートル。震災廃棄物は東日本大震災を上回る最大4289万トンが発生するとしている。
 想定している4パターンの地震とは、次の通り。

①東京湾北部地震:プレート境界型地震、M7・3、30年以内の発生確率70%程度。
②多摩直下地震:プレート境界型地震、M7・3、30年以内の発生確率70%程度。
③元禄型関東地震:海溝型地震、M8・2、30年以内の発生確率ほぼ0%。
④立川断層帯地震:活断層地震、M7・4、30年以内の発生確率0・5~2%。

 発生確率については、私が4月1日の日記に書いた最近の東大・京大や文部科学省の研究チームの発表とは違いがある。
http://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/276aaeae90db0b13cdf24b93a45c3185
 1月24日東大地震研究所のチームは、南関東でマグニチュード7クラスの地震が発生する確率が「今後4年以内に約70%に達する可能性がある」という試算結果を発表。2月5日には再計算の結果、「4年以内に50%以下」と発表した。また京大防災研究所は2月1日、「5年以内に28%」という試算を発表した。東大・京大の研究者も参加している文科省の特別プロジェクト研究チームは3月7日、M7程度の首都直下地震が「いつ発生しても不思議ではない」と発表した。
 今回の東京都の発表は、4パターンの地震とも30年以内の発生確率を示しており、4~5年以内とか「いつ発生しても」といった切迫性は与えない内容である。M7クラスの発生確率が30年以内に70%程度とは、東日本大震災以前に、政府の中央防災会議が発表していたM7クラスの首都直下地震の発生確率、「30年以内に70%」と変わらない。この点に、私は引っ掛かりを覚える。国・大学・都の間でデータの共有や分析の比較検討は、されているのだろうか。
 東京都は、今回発表した予測をもとに、地域防災計画を修正し、9月までに素案をまとめるという。既に今年1月、都は燃え広がらない町を目指す「木密地域不燃化10年プロジェクト」を策定した。その見直しが行われる。木密地域とは、「木造住宅密集地域」のこと。都は、JR山手線や環状7号線沿いに集中する木密地域の耐震化や不燃化が被害抑制に直結すると位置づけ、密集を緩和し「延焼遮断帯」の役目も果たす道路の整備のため、用地上の住民の移転支援などを実施する。また、耐火建築への建て替え時に税減免などを行う「不燃化対策特区」を指定する等、「従来の対策をさらに加速させる」という。
 国がすることと、都など地方自治体がすることを整理し、中央がすべきことは中央政府が責任を以て計画・実行し、地方がすべきことは自治体や民間団体・地域住民が積極的に行うことが必要だろう。次の衆議院選挙で各政党は来るべき巨大地震にどう対応するか、国民に政策を提示すべきである。
 自民党は政権公約原案に、事前防災を重視した国土強靭化を図る施策を盛り込み、国土強靭化基本法の制定、徹底した事前防災・減災対策(10年間の集中計画)、首都機能の維持・強化、バックアップと行政機能などの分散化対策、重要インフラの防御と防災・減災インフラの整備など、危機意識に立った積極策を挙げている。また憲法改正案に、緊急事態条項を規定するとしている。
 第三極となるかと注目されている大阪維新の会は、2月13日に発表した「維新版・船中八策」に、防災に関することを入れていない。憲法改正の項目にも、非常事態規定がない。橋下代表は、首都機能のバックアップは必要、それを大阪が担うという意見を明らかにしているのだから、大阪維新の会として具体的な政策を掲げ、国民に問うべきである。それのできない政党なら、国政進出は、まだ早い。
 首都圏でM7クラスの地震が起こる確率は、「4年以内に50%以下」とか「5年以内に28%」という予測が出されている。衆議院選挙は最長4年に1回ゆえ、次の選挙で政権を取る政党が、防災や非常事態対応を主要政策として推進しないと、致命的な遅滞を生じる。各党の指導層にある政治家は、首都圏巨大地震への対応を真剣に考えるべきである。国家の中枢をなす皇居も国会も官庁も、首都のど真ん中にあるのだから。
 以下、関連する報道記事。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
●産経新聞 平成24年4月18日

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120418/dst12041818080006-n1.htm
【首都地震被害想定】
最大震度7 死者9700人に 首都直下地震など被害想定見直し がれきは東日本を上回る4289万トン
2012.4.18 18:08

 東京都は18日、首都直下地震など4パターンの地震で起きる新たな被害想定を公表した。平成18年の想定では東京湾北部を震源とする首都直下地震で最大震度は6強だったが、最大震度7の地域が生じ、6強の地域も拡大。死者数は約6400人から約9700人に増えた。東日本大震災を踏まえ、津波被害の想定も実施。東京湾沿岸の最大津波高は2・6メートルに達したが、死者は出ないとした。震災廃棄物(がれき)は東日本大震災を上回る最大4289万トンが発生するとした。
 想定は同日、防災会議で地震部会(部会長・平田直東大地震研究所教授)が報告。都はこれを踏まえ、地域防災計画を修正、9月までに素案をまとめる。
 想定したのは東京湾北部地震(M7・3)▽多摩直下地震(M7・3)▽元禄型関東地震(M8・2)▽立川断層帯地震(M7・4)の4タイプ。津波被害発生のモデルとして元禄型関東と活断層で発生する立川断層帯の2地震を18年想定から新たに加えた。
 東京湾北部地震と多摩直下地震では、文部科学省の研究チームが3月、想定される震源の深さがこれまでより浅くなるとした調査結果を反映。大田区や品川区、八王子市、日野市、昭島市などで震度7の地域が出た。元禄型関東地震でも大田区や品川区、町田市で、立川断層帯地震では立川市や福生市などで震度7の地域が生じた。震度6強以上の地域は東京湾北部では区部の7割、多摩直下では多摩の約4割に及んだ。
 東京湾北部地震の発生時間を冬の平日午後6時(風速8メートル)と仮定した場合、建物倒壊や火災による死者は約9700人、負傷者約14万7600人と算出。23区西部から南西部、東部の荒川沿いの木造住宅密集地域を中心に火災が発生、約20万棟が焼け、死者約4100人に達するとした。
 今回初めて想定に加えられた元禄型関東地震による津波は東京湾岸で最大2・6メートルとされ、伊豆諸島などでは最大22メートルの津波が起きる。波の遡(そ)上(じょう)を防ぐ水門が機能すれば、河川敷が浸水する程度と分析。水門が開いたままでは建物が全半壊する可能性も指摘したが、死者は出ないとした。

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120418/dst12041818470007-n1.htm
【首都地震被害想定】
震度7など強い揺れの拡大で死者数増 被害は「木造密集地域」に集中
2012.4.18 18:46

 (略)全壊建物は都内全域でみれば、耐震化の進行などから前回の約12万7千棟より少ない約11万6千棟となったものの、大田区は1万棟超に増えるなど約半数の市町村で前回より増加する結果に。台東、荒川、墨田、足立の各区などでは、250メートル四方あたり100棟超が全壊する地区が生じることになる。
 全壊地区は、重要交通網のJR山手線や環状7号線沿いに集中する「木造住宅密集地域」(木密地域)と重なる。高度経済成長の人口増加にあわせて急増した木造住宅がいまだ7割を超える地域で、倒壊による人的被害に加え、大規模火災の危険性も高い。(略)
都内全域の想定死者のうち23区内の建物倒壊による死者が54%、23区内の火災死者が41%を占めた。(略)
 倒壊した住宅は災害がれきとなり、復旧を妨げる要因となる。その最大想定量は東日本大震災を大きく上回る約4290万トンで、うち23区だけで4049万トン。岩手、宮城両県で発生したがれきを都は率先して受け入れているが、首都直下地震が起きれば、逆に広域処理を依頼しなければならなくなる可能性もある。
 このため都は、木密の耐震化や「不燃化」が被害抑制に直結すると位置づけ、今年1月、燃え広がらない町を目指す「木密地域不燃化10年プロジェクト」を策定。木密地域を通ることで、密集を緩和し「延焼遮断帯」の役目も果たす道路の整備のため、用地上の住民の移転支援などを実施。耐火建築への建て替え時に税減免などを行う「不燃化対策特区」を指定するなどの内容で、都は「従来の対策をさらに加速させる」としている。

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120418/dst12041821590017-n1.htm
【首都地震被害想定】
帰宅困難者517万人、避難者339万人 どこへ誘導 水、食料は
2012.4.18 21:58

 (略)今回の想定では、東京都内で約517万人の帰宅困難者が生じると推計。このうち首都圏に自宅がある人は約471万人。観光やビジネスで首都圏以外から東京を訪れている人が約44万人で、海外からも約1万2千人が訪れているとした。
 23区内だけでも約379万人の帰宅困難者が発生。4分の3に当たる約286万人が自宅まで20キロ以上の遠距離通勤・通学者と見込んだ。立川市や町田市などの多摩地区でも92万人が帰れず、うち約70万人が20キロ以上の通勤・通学者だ。(略)
 想定では、新宿駅が約5万人と最も多く、東京駅約3万4千人、上野駅約2万2千人で、総計21万人に上る。都や各市区町村が開放する一時滞在施設では収容しきれず、駅などで過ごすことになる人は約163万人に上ると想定された。(略)
 帰宅困難者の大量発生という問題に直面する都心部の自治体や企業は対策作りを急いでいる。東京都は3月、全国で初めて企業に飲料水や食料の3日分備蓄などを求める「帰宅困難者対策条例」を制定した。
(略)JR東は都心から30キロ圏内の主要30駅の構内で帰宅困難者を受け入れるため3万人分の飲料水や保存食などを配備。医療品の配備も進める。東京メトロも首都圏全170駅に計10万人分の飲料水や保温シートなどを備蓄した。
 都は一時待避場所の新宿中央公園と新宿御苑に備蓄倉庫やテント、仮設トイレなどを整備。新たに一時滞在施設の指定も進める。(略)

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120418/dst12041822080018-n1.htm
【首都地震被害想定】
最新データを反映、想定パターンを追加
2012.4.18 22:07

(略)
■東京湾北部地震 東京湾北部を震源地とするプレート(岩板)境界型地震。政府が想定する18タイプの首都直下地震の一つで、最も被害が大きいとされる。フィリピン海プレートと北米プレートとの境界で発生し、M7・3程度と想定。首都直下地震は関東大震災のような200~400年に1度起きるM8クラスの巨大地震の合間に数回発生するとされ、30年以内の発生確率は70%程度。
■多摩直下地震 多摩地域を震源地とするプレート(岩板)境界型地震で、18タイプある首都直下地震の一つ。フィリピン海プレートと北米プレートとの境界で発生し、M7・3程度と想定される。東京都は今回、八王子、昭島、日野など4市内で震度7を想定。東京湾北部地震などとともに政府は「ある程度の切迫性が高いと考えられる」と評価しており、30年以内の発生確率は70%程度。
■元禄型関東地震 元禄16(1703)年に起きた元禄関東地震(M8・2)と同じタイプの海溝型地震。元禄地震では川崎から小田原までの宿場がほぼ全滅、房総半島や相模湾の沿岸部を津波が襲い、死者は6500人を超えたといわれる。M8・2程度と想定。平均発生間隔が2300年なのに対し、前回の地震から308年しか経過しておらず、30年以内の発生確率は、ほぼ0%。
■立川断層帯地震 埼玉県飯能市から東京都府中市まで延びる長さ約33キロの活断層「立川断層帯」で発生する活断層地震。M7・4程度と想定。平均発生間隔が1万~1万5千年なのに対し、前回の地震から1万3千~2万年が経過しており、ほぼ「満期」に達している。30年以内の発生確率は0・5~2%だが、政府は「東日本大震災で確率が高まった可能性がある」と評価している。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

南海トラフ地震、最大津波34m超

2012-04-02 10:04:39 | 地震
 「首都地震いつ起きても不思議なし」と1日に書いたが、相次いで南海トラフ巨大地震についても、従来の予測をはるかに超える内容の予測が発表された。内閣府の検討会の発表によると、東海・東南海・南海の3地震が連動した場合、想定される地震の規模はM9・1。津波は静岡県から紀伊半島、四国の太平洋岸で20メートル以上。最大津波は高知県黒潮町で34・4メートル。震度7の強い揺れの範囲も従来の約20倍に拡大された。震度7の地域は兵庫、香川、愛媛、宮崎の4県を新たに含む10県153市町村に増え、愛知県は名古屋市が新たに含まれるなど都市部で大幅に拡大した。
 南海トラフの巨大地震は、沿岸部各所にほぼ壊滅的な被害をもたらす可能性が高い。それとともに、太平洋岸の主要都市、産業の重要地域、交通網等にも多大な被害をもたらすだろう。起こり得る未曾有の大災害に備えるには、国民が団結し、日本の国家制度を再建・強化することが焦眉の急である。日本人は覚醒し、力と知恵を結集しなければならない。
 わが国は、明らかに天変地異の時代に入っている。自然大災害に備え、天地動乱の時代を生き抜くには、まずしっかりした精神を持った指導者を国家の中心に立てることが必要である。民主党への政権交代後、日本人は国家最高指導者の資質の重要性を痛感している。次の国政選挙は、日本及び日本人の運命にとって、極めて大事な選挙となることは、間違いない。
 以下は関連する報道記事。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
●産経新聞 平成24年3月31日

http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/120331/waf12033116330013-n1.htm
最大津波34メートル 南海トラフの巨大地震で新想定 浜岡原発で想定超
2012.3.31 16:25

 東海・東南海・南海地震が起きる南海トラフ(浅い海溝)の巨大地震について内閣府の検討会は31日、3つの地震が連動する最大級の津波と震度の新たな想定を公表した。津波を起こす地震の規模はマグニチュード(M)9・1となり、津波高は高知県で最大34メートルと推定。震度7の強い揺れの範囲も約20倍に拡大するなど従来の想定を大幅に上回った。停止中の中部電力浜岡原発(静岡県)の津波高は想定を超える21メートルと予想され、新たな安全対策を迫られる。
 津波高は静岡県から紀伊半島、四国の太平洋岸で20メートル以上となり、高知県黒潮町で最大の34・4メートルに達する。九州東部は約15メートルで、関東でも東京・新島で29・7メートル、神奈川県鎌倉市で9・2メートルと推定した。
 国の中央防災会議による平成15年の想定と比べ、津波高が10メートル以上の自治体は9倍の90市町村、20メートル以上はゼロから6都県23市町村に増えた。
 東海地震の想定震源域に位置する浜岡原発の津波高21メートルは東日本大震災後、経済産業省原子力安全・保安院が電力各社に指示した緊急安全対策の水準(15メートル)を上回る。同原発で建設中の防波壁(18メートル)も超えて敷地内に浸水する高さで、安全対策の抜本的な見直しが不可欠になった。
 瀬戸内海に面する四国電力伊方原発(愛媛県)では3メートルで想定を下回った。
 一方、震度7の地域は兵庫、香川、愛媛、宮崎の4県を新たに含む10県153市町村に増えた。静岡、愛知、三重、高知の各県で増加が目立ち、特に愛知は名古屋市が新たに含まれるなど都市部で大幅に拡大。関東は横浜市で震度6弱、東京都心で5強と予想した。(略)
 新想定を受け中央防災会議は、6月をめどに死者数や家屋倒壊などの被害想定を新たに作成。年内にも住民の避難を軸とした防災対策をまとめる。15年の被害想定は死者2万5千人、全壊90万棟、経済被害81兆円としたが、これを上回る公算が大きい。

http://sankei.jp.msn.com/west/west_affairs/news/120331/waf12033122330014-n1.htm
南海トラフ新想定 紀伊半島など太平洋岸自治体に衝撃
2012.3.31 22:29

 内閣府の有識者会議による「南海トラフ」の巨大地震の新想定で、震度、津波高とも、従来の想定より大幅に引き上げられた紀伊半島や四国の太平洋岸の自治体では31日、住民の間に驚きが走るとともに、大きな不安が広がった。
 「高くなっても20メートル程度だと考えていた」
 高知県では、平成15年に公表された東海・東南海・南海地震の想定にもとづく津波は、高くても10メートル台だった。それが、今回の想定では最高値が34・4メートル(黒潮町)に引き上げられた。
 同県は東日本大震災後、自主防災会の組織作りを住民に呼びかけ、避難計画の策定を求めてきた。
 これに対し、沿岸の自治体は、津波の際に使用する「津波タワー」の建設の必要性を訴えてきた。これは、「高台が遠い」「避難ビルが乏しい」などの問題を抱えており、現状では地域の避難対策が限界にあることを示している。
 だが、今回の想定で沿岸部は軒並み20メートルを超えており、同県南海地震対策課は「現時点では、20~30メートル級をクリアして住民を守れる根拠はない」と頭を抱える。(略)
 こうした現状のなかで、高知県や三重県、和歌山県など沿岸9県による「東海・東南海・南海地震による超広域災害への備えを強力に進める9県知事会議」は29日、内閣府や各党を回り、住居の高地移転の促進への支援などを求める政策提言を行なった。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

■追記
 みなさん、生きて、生きて、生き抜いてくださいね。家族​のため、子孫のため、日本のために。生き抜こうとする意​志のあるところ、神の加護はあると信じます。

首都地震いつ起きても不思議なし

2012-04-01 08:37:17 | 地震
 今年に入って、首都圏における地震の予測が、次々に発表されている。私は2月12日の拙稿「南関東地震の発生確率高まる」、同月29日の拙稿「首都圏で震度7の可能性が」で、その点について書いた。
http://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/d4e4981cf8f0916a1257711f1292b787
http://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/2f6ef3c47ef4c19b0222addfa785c1d9
 3月7日、文部科学省の特別プロジェクト研究チームは、マグニチュード(M)7程度の首都直下地震について「いつ発生しても不思議ではない」と発表した。また、首都直下地震のひとつである東京湾北部地震の揺れは、従来想定の震度6強を上回る震度7との推定を正式に公表した。首都圏の地下に沈み込むフィリピンプレートと陸側プレートの境界部が従来の想定より約10キロ浅いことが判明したためである。
 この研究プロジェクトには、東大地震研究所、京都大防災研究所が参加している。東大地震研のチームは1月24日、南関東でマグニチュード7クラスの地震が発生する確率は、「今後4年以内に約70%に達する可能性がある」という試算結果を発表した。2月5日には、再計算の結果、「4年以内に50%以下」と発表した。京大防災研は2月1日、「5年以内に28%」という試算を発表した。このように独自に研究結果を発表してきた両研究所が、今回の文部科学省の研究プロジェクトに加わっていたわけである。
 これまで、政府の中央防災会議は、M7クラスの首都直下地震の発生確率を「30年以内に70%」としてきた。今回の文部科学省の研究チームは、確率について発表してない。試算結果がまとまっていないのか、それとも何か社会的な配慮で発表を控えているのか分からないが、2月の東大地震研・京大防災研それぞれ発表をもとに考えると、「4~5年以内に30~50%」という数字になりそうである。
 3月26日、新たに房総半島南端から南東に百数十キロ以上離れた太平洋の海底に、長大な2つの活断層が存在することが分かったと報道された。長さは160キロと300キロ以上で、一度にそれぞれの断層全体が動けば、いずれもマグニチュード(M)8~9の地震を起こす可能性があるという。
 続いて、3月30日、文部科学省は、東京都23区東部や神奈川県の一部で震度7になる可能性があるとする震度分布図を公表した。想定より約10キロ浅いことが判明したプレートの境界部で起きる東京湾北部地震を対象に、揺れの強さと範囲を試算したものである。震源地を千葉県浦安市と仮定した場合、震度が7になるのは、東京都江戸川区や大田区、神奈川では川崎市の南部などが該当するとみられる。震度6強の地域も、国の中央防災会議の想定より広がり、都内の西に広がり、千葉や神奈川、埼玉の各県にも及ぶという結果になっている。これまで中央防災会議が想定してきた東京湾北部地震の死者想定数は1万1千人だが、今後被害想定が見直されるだろう。数倍、数十倍に増加するのではないか。
 首都圏直下型地震は、近いうちにいつか起こる。対策強化を急がねばならない。また最近の各種発表では、東海地震は30年以内の発生確率が87%から88%に上がった。南海トラフ巨大地震は、東海・東南海・南海の3地震が連動した場合の想定震源域が従来の約2倍に拡大され、想定される地震の規模がM9・0に引き上げられた。津波は最高34・4メートルにもなるという発表がされた。
 日本人の英知を結集して、来るべき巨大地震に備えよう。それをなし得るかどうかは、国民の精神にかかっている。家族と仲間、ふるさとと日本を守るために、各自のできることを尽くそう。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
●産経新聞 平成24年3月7日

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120307/dst12030714250010-n1.htm
首都圏の地震、大震災前の3倍に増加 文科省「M7いつ起きても…」
2012.3.7 14:22

 首都直下地震が想定されている南関東の地震活動が東日本大震災後に活発化し、地震の発生頻度は現在も大震災前の約3倍と高い状態となっていることが7日、文部科学省の特別プロジェクト研究で分かった。研究チームはマグニチュード(M)7程度の首都直下地震について「いつ発生しても不思議ではない」としている。
 南関東で起きたM3以上の地震の数を大震災の前後半年間で比較したところ、大震災後は約7倍に増加。徐々に減少しているが、現在も約3倍で「地震災害発生リスクは現在も高い」との見解を示した。
 国はM7程度の首都直下地震の発生確率を30年以内に70%としている。研究チームは確率がどの程度上昇したかは示していない。(略)
 研究プロジェクトには東大地震研究所、京都大防災研究所、防災科学技術研究所(茨城県つくば市)が参加した。

●産経新聞 平成24年3月9日

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120309/dst12030903040002-n1.htm
【主張】
東京湾北部地震 首都機能の分散議論急げ
2012.3.9 03:03 [地震]

 (略)首都の「震度7」にどう備えればいいのか。(略)震度7の揺れは「自分の意思で行動できない」(気象庁)とされ、これまで以上の対策が必須になる。
 家庭では、家具の固定や最低限の食料と水の備蓄、避難路や家族との連絡方法の確認など「できることはすぐやる」契機としたい。一方、国や自治体は中長期的な視野で「地震に強い首都圏」の構築に向けて防災対策を強力に推進しなければならない。
 「首都直下地震」は1つの地震を指すのではなく、南関東のどこかで起こるM7級地震の総称だ。中央防災会議は東京湾北部を含めて18カ所もの震源を想定、プレート境界型や活断層を震源とする内陸直下型など種類も複数ある。
 正体も場所も特定できない。その上に、「いつ起きてもおかしくない」とされる。防災上は極めてやっかいな地震だ。(略)
 最大震度が6強から7になっても、防災上の最優先課題が家屋や地域の耐震化であることは変わらない。また、木造住宅密集地などでは防火対策も欠かせない。
 「明日起きるかもしれない」という切迫感は、家屋の改築や地域再開発のように時間と費用を要する対策を躊躇(ちゅうちょ)させる側面もある。将来を見据えた町づくりの推進には、政府を頂点とする行政の周到な準備と指導力が不可欠だ。
 中央防災会議の試算では、首都直下地震の経済的損失は112兆円にものぼる。政治、経済の中枢機能をいかに守るかは日本の将来にもかかわる重要な課題だ。
 東京一極集中の危険性はかねて指摘されてきた。首都機能の分散・移転やバックアップ体制構築など政府を挙げてリスク分散に向けた議論を早急に進めるべきだ。

●産経新聞 平成24年3月30日

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120330/dst12033019280009-n1.htm
【直下地震想定】
東京、神奈川で震度7も 首都圏の揺れ分布図公表
2012.3.30 19:27



 首都直下地震の一つ「東京湾北部地震」で予想される震度を分析している文部科学省のプロジェクトチームは30日、東京都23区東部や神奈川県の一部で震度7になる可能性があるとする震度分布図を公表した。
 分布は震源をどこに想定するかで異なるが、チームは3通りに分けて試算。東京や神奈川で震度が7になるのは、震源を東京都と千葉県の境付近の東京湾とした場合で、このとき震度7になる地域が最も目立つ。
 チームは、東京湾北部地震はあくまでも仮定の地震とした上で、市区町村ごとの震度については「精度が足りない」などとして言及を避けた。
 ただし、分布図によれば、東京の江戸川区や大田区、神奈川では川崎市の南部などで震度7となる地域に含まれている。
 震度6強の地域も、国の中央防災会議の想定より広がり、東京だけでなく千葉や神奈川、埼玉の各県にも及ぶ結果になった。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

首都圏で震度7の可能性が

2012-02-29 10:14:27 | 地震
 首都圏を襲う南関東地震の発生確率が高まっている。これに加えて、最近の報道によると、文部科学省のプロジェクトチームの調査で、首都直下の地震の一つである東京湾北部地震は、従来の想定の震度6強より大きな震度7となる可能性のあることが分かったという。
 阪神淡路大震災のときに、阪神間及び淡路島の一部に震度7の激震が初めて適用された。新潟県中越地震でも震度7を記録した。東日本大震災では、宮城県栗原市で震度7を記録した。仙台など宮城県、福島県、茨城県、栃木県の一部では震度6強を観測した。
 阪神淡路大震災はM7.3で、死者・行方不明者は6,437人だった。首都圏で同規模の直下型大地震が起これば、被害はこの比ではない。政府の中央防災会議による首都直下地震の被害想定は、最悪の場合死者1万人超、経済被害は112兆円にものぼると推算してきた。だが、震度7を想定するならば、予想被害の数値をかなり引き上げねばならなくなるだろう。
 わが国は「天変地異の時代」に入っている。この時代に際し、日本が存続し、繁栄を維持していくためには、防災を強化し、災害に強い日本を創ることが急務である。それをなし得るかどうかは、国民のあり方にかかっている。日本人は日本精神を取戻して団結し、英知を結集して、来るべき巨大地震に備えなければならない。東日本大震災の経験を切実な教訓として、家族や子孫やわが国の将来のために、生かしていこう。
 以下は関係する報道記事。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
●産経新聞 平成24年2月21日
http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120221/dst12022111480001-n1.htm
首都直下で震度7も 震源、想定より浅く 東京湾北部地震
2012.2.21 11:47

 首都直下の地震の一つである東京湾北部地震について、これまで想定する震度6強より大きな震度7となる可能性のあることが、文部科学省のプロジェクトチームの調査で21日までに分かった。従来の想定よりも地下の浅いところが震源となる可能性があるという。
 平野博文文科相は同日の閣議後の記者会見で「震度7相当の地震が発生する可能性があるという設定でこれまで調査をしてきた。防災の在り方も強化しないといけない」と話した。3月上旬に正式発表する。
 文科省によると、調査は東京大地震研究所を中心にしたチームで実施。首都圏に設置した約300の地震計で観測した地震波を分析、詳しい地下構造を調べた。その結果、陸のプレート(岩板)と、沈み込むフィリピン海プレートの境界が、従来考えていた地下30~40キロよりも浅いところにあるとみられることが判明した。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

関連掲示
・拙稿「南関東地震の発生確率高まる」
http://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/d4e4981cf8f0916a1257711f1292b787