ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

「昭和の日」、太陽の時代へ

2009-04-29 10:47:10 | 文明
 本日4月29日は、三回目の「昭和の日」である。昭和は、激動の時代だった。恐慌、戦争、大敗、復興、そして繁栄。その時代を象徴する存在が、昭和天皇である。昭和時代、4月29日は、天皇誕生日だった。その日が形を変えて復活したのが、「昭和の日」である。
 「昭和の日」は、昭和という時代を振り返る意義ある日である。この日を単なる休日ではなく、この日の意義を踏まえた一日としたいものである。

 昨年9月のリーマン・ショックを皮切りに、世界的な経済危機が広がっている。金融界の混乱は実体経済にも及び、アメリカでは自動車産業のビッグスリーが経営破たんに至った。わが国でも、トヨタ、ソニー等の優良企業が営業赤字を出し、派遣切りや新卒採用の内定取り消しが問題になっている。

 ここに来てグローバル資本主義の本質的な問題点が露呈することになった。しかし、平成になってからの日本は、新自由主義、市場原理主義の導入によって、日本が日本のよさを失ってきた年月だった。家庭・学校・企業・社会で、人と人の信頼関係が壊れ、悲惨な事件が多発している。
 こうしたなか、ようやく日本的な価値観の再評価が行なわれつつある。日本の家庭・学校・企業・社会を立て直すには、日本的な価値観を取り戻し、人と人、人と自然の調和を再構築しなければならない。
 昭和という時代は、激動する世界の中で、日本が日本であろうと苦心し続けた時代だった。今日、日本的な価値観を取り戻すために、昭和の日本が持っていたよさ、伝統、文化、制度、生活、人情などを見直す必要がある。

 それとともに「昭和の日」は、懐古に終始する一日であってはならない。昭和の日本は、オイル・ショックに見舞われて、世界最先端の省エネ技術を開発し、また環境を汚染しないクリーン・エネルギーの研究にも取り組んだ。その時代の日本人の努力が、いよいよ実を結ぶ時を迎えている。
 今日、地球温暖化をはじめとする地球環境問題が深刻化する中で、世界経済危機が広がっている。9・11以後のアフガン=イラク戦争は、イスラムのテロリズムを引き起こした。これも、石油・天然ガスというエネルギー資源の争奪が背景にある。人類は、自然との調和のためにも、また世界の平和のためにも、化石燃料をエネルギー源とする産業から脱却しなければならない。そして、太陽光・風力・水素等のエネルギーを活用する産業への移行を、世界的な規模で加速・推進すべき段階に入っている。

 昨日は、山崎養世氏の「太陽経済」を紹介したが、太陽光発電と電気の新技術による「太陽エネルギー革命」を提唱しているのが、村沢義久氏である。山崎氏と村沢氏の主張は、かなり重なり合っている。山崎氏は経済政策を多く提案し、村沢氏は科学技術的な検討結果を提示している。両氏がともに示す方向性は明確である。
 太陽の時代が近づいている。
 「日の丸」を国旗とする日本から、新しい人類の文明が生まれようとしている。
 次に村沢氏の著書から、氏の提言の要旨を紹介する。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――
●村沢義久著「日本経済の勝ち方 太陽エネルギー革命」(文春新書)

 「我々のこれまでの文明は、CO2や有害物質を撒き散らし、資源を枯渇させる文明であった。その原動力となったのは、1700年代末から1800年代半ばに起こった産業革命であった。その本質は『化石燃料革命』であり、それは人類が過去100万年続けてきた『火を使う文明』すなわち『燃やす文明』の集大成であった。
 200年前から始まった、化石燃料を『燃やす文明』が資源を枯渇させ、CO2を撒き散らしている。産業革命以来続けてきた化石燃料産業が、環境と資源の枯渇という二つの制約から、いよいよ限界が見えてきた」
 「化石燃料に頼らない文明、さらに言えば『燃やさない文明』を興せば、この問題は一挙に解決できるのではないか。これが21世紀に必要とされる発想の大転換である。本書が提言する21世紀の産業革命は、身近なソーラー・ハウスから始まって、電気自動車、さらには大規模ソーラー・パークなどを含んでいる。それは、これまでの産業のあり方から180度発想を転換した『太陽の産業革命』とも言えるものであり、『燃やさない文明』への幕開けを告げるものである」
 「21世紀の人類は、最近非常に強力な切り札を手に入れた。それが太陽光発電と電気の新しい応用技術の組み合わせである」「この組み合わせこそが、200年前の『燃やす産業革命』の呪縛から人類を解放し、新しい『燃やさない産業革命』への扉を開く鍵となる」
 「振り返れば200年以上にわたって、『化石燃料革命』は我々に豊かな生活を提供してくれたが、地球上に60億もいる人類が同じような生活を望み、何十億台の自動車が走り回ることになれば、地球環境そのものが限界を迎え、悲鳴を上げることは明らかである。誰もが感じている『行き詰まり感』の本質はここにあると考える。
 そのアルマゲドンを避けるために、様々なエコ活動が展開されているが、それらは資源を節約し、CO2排出を削減するという手立てであり、後ろ向きの『化石燃料革命』の延命策でしかない。
 ならば、『燃やす文明』を止めるしかないわけだが、繁栄を豊かさは維持したい。かくして世界各国はCO2排出の権利を奪い合うことにもなっている。
 従って、21世紀の産業革命は、クリーンなものでなくてはならない。これが絶対の課題である。そして、その中核をなすのが持続可能なエネルギーの開発である。
 根元的かつ抜本的な解決策はないものか、この10年、その問いをずっと思案し続けてきた。本書では、様々なアプローチについて検討した。そのうちバイオ・エタノールは効率が悪く、しかも食料生産と競合し、水素はコストが高すぎ実用化まで時間がかかることから、どちらもエネルギー革命の中核とはなりえない。
 あらゆる可能性を探ってみて、行き着いた答えは、太陽光と風力をエネルギー源とする電気社会であった。『太陽で電気を作れば無尽蔵かつクリーン』。実に身近なところに解決のキーがあったのだが、これは単なる思いつきやひらめきではなく、最近の技術的ブレークスルーによる必然の方向である」
 日本の環境対応の「旗印となるのが、『耕作放棄地ソーラー化』プロジェクトである」「耕作放棄地33万ha全部を大規模太陽光発電に使うと」「ざっと100兆円」のプロジェクトとなる。「このプロジェクトを10年でやるとすると年間10兆円(GDPの2%)」である。「年間10兆円規模の投資によって日本の総発電量の半分をソーラー発電し、年間4億トンのCO2(日本の総排出量の30%)の削減を目指す。障害は多いし、時間はかかるが、純国産のエネルギー源を確保し、CO2を削減、更に『21世紀の産業革命』において世界のリーダーとなる。一石三鳥、実行しない理由はない。これ以上の実体経済に対する活性化策もあるまい」
 「環境を保護し温暖化を抑えながら、新たな産業を育て実体経済の成長を推進し、同時に眼前の危機をも打開する。その方法がようやく見えてきた」「今こそ日本経済は産業大革命を目指し、国家的なレベルでアクションを起こすべきときではないか」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――
コメント (2)

世界経済危機と文明の転換3

2009-04-28 08:16:14 | 文明
●新しいエネルギーの活用

 第三に見直すべきは、エネルギーである。バトラは、日本が世界で先頭を切って実行すべき政策として、プラウトを提案しているのだが、その内容は一国の経済社会政策の範囲を出ず、国際通貨体制やエネルギー政策は、具体的に論じられていない。バトラは、1975年頃までの日本を高く評価し、それへの回帰を説くのだが、どうして日本が1970年代半ば以後、日本的な経済社会システムを失ってきたのかを考えなければならない。
 日本独自の経済社会システムとは、人と人、人と自然が調和するシステムである。「和の精神」の表われであり、共存共栄をよしとする。しかし、日本は、石油資源を持たないために、アメリカの圧力に抗せず、日本独自の経済社会システムを自ら破壊してきたのである。その前提には、わが国がアメリカに軍事的に従属し、国防をアメリカに依存していることが大きい。

 バトラは、現在の資本主義の崩壊の後、日本は「アジア地域においてだけでなく、世界各国にとっても資本主義崩壊後の『灯明』として再生し、『破滅からの復活』のモデルケースとなるだろう」と予測する。2008年から「日本で新たな経済システムの胎動が起こる」という予測を揚げている。その予測の通りであれば、その胎動は既に始まっており、本年はその胎動が大きくなって、来年の2010年には、新たな経済システムが姿を現しつつあることになる。
 私が思うに、わが国が「破滅からの復活」をなし得るとすれば、それは日本的な価値観の再評価と実現だけでは足りない。単なる精神的・道徳的な運動では、日本の活力は取り戻せない。ポイントは、新しいエネルギーの活用である。それなくして、日本の再生は、絶対に不可能である。日本にとってだけではない。人類の生存と発展のために、21世紀の産業革命が必要である。
 日本的な価値観に基づく日本の再生を説くエコノミストの中で、新しいエネルギー政策を提唱している人たちがいる。中でも山崎養世氏の提言と活動は、目覚しい。私は、最近山崎氏の著書『日本復活の最終シナリオ 「太陽経済」を主導せよ!』(朝日新聞出版)に出会い、共感するところが多い。氏の提案については、後日改めて論評することとし、次に資料を掲載して、本稿は終えたい。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
●山崎養世氏のインタビュー 2008年12月

JBプレスのサイト
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/265
インタビューのビデオつき

 環境問題への世界的な関心の高まり、限界が明らかになりつつある石油依存社会──。こうした状況の中で、太陽エネルギーの活用が見直されている。経済評論家であり、日本ビジネスプレスのファウンダーの1人でもある山崎養世氏は、太陽エネルギーを核とした「太陽経済」が立ち上がり、世界を大きく変えていくと唱える。太陽経済がもたらすインパクトについて山崎氏に聞いた。 (聞き手は鶴岡 弘之)

──経済モデルの転換が急がれる理由は。

 今後の世界経済を考えると、金融危機よりももっと深刻な問題があります。中国やインドがこれ以上成長したら、エネルギーが全く足りなくなってしまうということです。
 インドと中国の人口を合わせると約25億人。日本の20倍なんですよ。さらに、中国では1ドルのGDPを生むのに必要なエネルギーの量は、日本の9倍もある。だから中国やインドがこれから成長して、日本人と同じ所得水準になってしまったら、180倍のエネルギーを使うことになる。
 仮に中国人が米国人と同じように車を持ってガソリンを使えば、それだけで世界の石油は足りなくなってしまいます。こっちの方がサブプライム問題より、よほど深刻な事態なんです。
 20世紀の経済を支えていたのは石油です。石油を使って自動車や飛行機を作ったり、製鉄や化学産業を興したり、火力発電で電気エネルギーを取り出したりしてきた。コンピューター産業だって、石油の上に成り立っていたと言えます。
 ところが、これからは石油経済が続かないことがはっきりしてきた。石油経済から次の経済に移っていかないといけない。それが太陽経済なんですよ。極端な言い方をすれば、太陽経済に移れるかどうかに、人類の未来がかかっている。だから来年は間違いなく太陽経済元年でしょうね。

──経済、社会はどのように変わりますか。

 太陽経済ではまず太陽光パネル、風力発電、水力発電などで、太陽からエネルギーを取り出します。
 地球上に降り注いでいる太陽のエネルギーは、人間が1年に消費しているエネルギーの何倍くらいあると思います? 推定でだいたい5000倍はあると言われているんですよ。その莫大な太陽の光と熱のエネルギーを使わない手はありません。
 太陽光発電だけでなく、風を吹かせるのも太陽の力です。また、雨を降らせるのも太陽の力ですよね。だから風力発電や水力発電も太陽エネルギーを活用していると言える。波から発電する潮汐発電という仕組みがありますが、波だって本を正せば太陽が生み出すものです。それから最近は、植物が作り出すアルコールが注目されています。これも太陽と二酸化炭素の力で植物がアルコールを作るんです。
 そうやってエネルギーを取り出したら電池に貯めて、超伝導技術などを使って遠隔地に送電します。電気エネルギーの用途は大きく広がっています。来年以降、日本では電気自動車が爆発的に増えるはずです。なにしろ電気自動車は100キロ走るのに300円ぐらいしかかからない。ガソリンよりも圧倒的に安いんです。燃費効率がどんどん上がっていくと、300円よりももっと下がっていく可能性もあります。
 このように風力発電とか太陽光発電で電気を作って、電池に蓄えて、超伝導で送電して、それを電気自動車などで使う社会になる。まさに「ガソリン・ゼロ社会」が見えてくるじゃないですか。

──オバマ新大統領は環境政策に熱心なようですね。

 米国は来年から間違いなく「太陽経済」に移行していくはずです。大統領選の最中にオバマとマケインがディベートをした時、マケインは「米国は中東の石油に頼りすぎてる。だからアラスカとかでもっと石油を掘らなければならない」と言った。それに対してオバマは「それでは何の解決にもならない」と言ったんです。
 オバマの考えはこうです。「米国に埋まっている石油の埋蔵量は、しょせん世界の3%ぐらいしかない。一方で、米国は世界の石油の25%も使っている。いくら掘ったところで、間に合うわけがない。だから自分が大統領になったら、太陽光発電、風力発電、電気自動車、これを大々的にやる。これが、21世紀のニューディール政策になる」と。
オバマは本気で太陽経済を持ち込む
 これから米国でも欧州でも日本でも、民間経済がどんどん沈んでいくことでしょう。それを補うものが何かというと、政府の投資しかない。公共事業をやるしかないんです。かつてルーズベルトがニューディール政策で、ダムや水力発電を作ったようにです。
 でも、すでにある道路とか橋をどんどん作ったってしょうがない。だからオバマが大統領になって何をやるかというと、太陽経済に移るための投資、そして税制の促進でしょう。オバマは来年から、米国に太陽経済を持ち込む政策を積極的にやっていくはずです。
 太陽経済の幕開けを、日本は大きなチャンスとすべきです。太陽光パネル、風力発電、水力発電、電池、超伝導など、日本の技術は世界の先端を行っていますから。今こそ中国やインドと一緒になって、世界標準となるようなインフラの構築を目指すべきでしょう。

●山崎氏のメルマガ 2009年1月

 皆さま、新年おめでとうございます。
 旧年中は、温かいご支援を頂き大変にありがとうございました。
 今年もどうぞよろしくお願いいたします。

 さて、去年7月に石油が1バレル147ドルになった瞬間、世界は震撼しました。同時に、穀物価格も急騰し、エネルギーと食糧の危機が一瞬見えました。
 あれは幻想だったのでしょうか。
 世界が変わりました。水も食糧もエネルギーもいくらでも手に入るという時代は終わろうとしています。人類は、この危機を解決するように動き出しました。

 石油経済から「太陽経済」へ、産業革命が始まります。太陽経済は、私の造語です。技術と英知によって、人類が毎年の太陽の恵みで暮らすことを可能にする新しい経済です。太陽経済をリードできれば、日本は復活できます。

 今年、「太陽経済の会」をスタートする予定です。詳しい内容についてはのちほどご案内いたしますが、皆様のご賛同とご参加をよろしくお願い致します。

 朝日新聞出版より『日本「復活」の最終シナリオ~「太陽経済」を主導せよ』という本を2月6日に出版予定です。お読みいただければ幸いです。

 もともと人類は、毎年の太陽の恵みで暮らしていました。食物も、燃料も、衣類も、すべて太陽から生まれたものでした。
 産業革命でイギリスを中心に石炭経済が始まり、20世紀からはアメリカを中心に石油経済に変わりました。便利に快適になり、食糧生産は飛躍的に増えました。
 石油をめぐる戦争が何度もありましたが、1900年に16億人だった人類は、2007年には67億人にまで増え、2050年には90億人になるはずです。グローバリゼーションとは、世界中に石油経済が広がり、より多くの資源を使うことでした。
ところが、石油経済に終わりが見えてきました。21世紀の半ばには石油が枯渇に向かうと予測されるのに、石油消費が増え続けるからです。石油がなくなれば石炭や天然ガスがあるから、人類は大丈夫でしょうか。

 大丈夫ではありません。化石燃料による温暖化ガスが増え、異常気象が発生しています。世界各地の氷河が溶け、大河が干上がり、地下水が涸れ、水と食糧不足が始まり、砂漠が広がって、難民や内乱や戦争を誘発しています。

 化石燃料に替わる原子力発電は、導入に限界があります。燃料コストが最も安く二酸化炭素を出さないため、世界的に増設されていますが、運転管理や有害廃棄物の処理が難しく、事故やテロや核兵器転用のリスクもあるからです。

 人類が自らを救うには、石油経済から「太陽経済」に変わらなくてはいけません。

 太陽経済は電気が中心です。太陽が生む、水力や太陽光や風力や大気熱や海水熱、などによって発電します。その電気で、水を分解してできる水素もクリーンな燃料になります。穀物以外の植物からアルコールもできます。日本は、そうした多くの技術で先頭を切っています。

 太陽経済はもっと平等です。石油が出るのはごく一部の地域ですが、太陽は世界中を照らします。
石油は使えば使うほど値上がりしますが、風力や太陽光発電は技術が進歩し普及すればするほどコストが下がります。

 太陽経済は、資源とエネルギーを節約して豊かになる、節約経済でもあります。例えば、ガソリン車からハイブリッド車へ、電気自動車へと、必要なエネルギーは減ります。家電製品や家や工場やビルも、省エネ・省資源型に変えることで、エネルギーと資源を節約できます。携帯電話やパソコンや自動車からは、貴重な金属資源が回収できます。省資源とリサイクルは、環境問題の解決につながります。

 大切なのは、無理することなく、時には気づかれずに、節約が永遠に続く技術と社会の仕組みを作ることです。日本は最先端の省エネ・リサイクル国家です。これからの世界がいまの日本並みになるだけで、大きな改善です。しかも、日本には「もったいない」という考え方とシンプルな美の伝統があり、世界的に太陽経済の新たな価値観を生む力を持っています。

 太陽経済でも最重要は、増え続ける人類が水と食糧を確保できることです。自給率が4割しかなく、食糧を輸入に頼る日本にとっては死活問題です。いまの日本は、減反政策や耕作放棄で農地の多くが使われず、田畑や森が荒廃を始めました。その一方で、日本の食文化や食材への評価は世界最高です。この矛盾をなくすときが来ました。

 日本の農業は、様々な経営資源と技術を駆使すれば、成長・輸出産業になれます。そのためには、農地を作り手に解放し、消費者が求めるものを作ることに徹する必要があります。同時に、環境を守る農家を支援することが必要です。

 日本には、世界の農村と農民を助け、水と食糧問題を解決する力もあります。優れた農業関連の技術とインフラ整備のノウハウ、砂漠緑化や水の淡水化や浄化などの分野で最先端の技術を持っているからです。

 日本には太陽経済をリードする技術があります。でも、社会全体で取り組まなければ、新しい産業革命は起こせません。個人と企業が実行すること、地域で取り組むこと、そして、政府が太陽経済の普及を強く後押しすることが、リーダー国家になることに不可欠です。

 日本の技術は大きな可能性を持っています。しかし、いくら技術を持っていても、それだけではリーダー国家にはなれません。日本人と日本企業が世界中で活躍し、日本の技術と社会の仕組みが世界の標準にならなくては、宝の持ち腐れとなってしまいます。

 世界は、太陽経済を導入する方向に大転換を始めています。アメリカは、オバマ新大統領のもと、太陽経済の先頭に立つことでアメリカ経済を強化しようとしています。環境政策の導入で先行するヨーロッパも、今後の主導権を握るためにしのぎを削るでしょう。中国やインドをはじめとした途上国も強烈な自己主張をするでしょう。

 そうした国際政治と経済の現実に対応しながら、日本が持つ太陽経済の技術を世界に広げ、日本経済を復活させなくてはいけません。大きな力が必要です。個々の力ではなかなか踏み越えられません。一見遠回りに見えても、幅広い社会全体、それ以上に人類全体のためになることをすれば、結局は日本に太陽経済を実現し、日本人それぞれにとっての利益にもなるのです。

 そのための共同体が太陽経済の会です。皆さん、一緒に太陽経済を作りましょう。
よろしくお願いします。

山崎 養世

●「太陽経済の会」の設立趣旨

http://www.taiyo-keizai.com/organizational/index.html

 産業革命以降、続いてきた石炭経済、石油経済に終りが見えてきました。21世紀の半ばには石油が枯渇に向かうと予測されるのに、石油消費が増え続けるからです。しかも、化石燃料の消費で温暖化ガスが増え、異常気象が発生しています。氷河が溶け、大河が干上がり、地下水が涸れ、水と食糧不足が始まり、砂漠が広がり難民や内乱や戦争を誘発しています。CO2を出さない原子力発電も限界があります。管理や廃棄物処理が難しく、事故やテロや核兵器転用のリスクも無視できません。
 この21世紀には石油経済から「太陽経済」へ、新しい産業革命が始まります。太陽経済とは、技術と英知によって、人類が毎年の太陽の恵みで暮らすことを可能にする新しい経済です。太陽からのエネルギーを活用し、資源とエネルギーを節約し、水と食糧を確保して、人類は自らを救い、人間性を守ることが可能になります。

 太陽経済は電気が中心です。太陽光や風力、水力、海水熱などで発電します。その電気で、水を分解してできる水素もクリーンな燃料です。
太陽経済は平等です。埋蔵が限られる石油と異なり、太陽は世界中を照らします。石油は使えば使うほど値上がりしますが、風力や太陽光発電は普及すればするほどコストが下がります。
 太陽経済は、節約して豊かになる、節約経済でもあります。例えば、電気自動車は必要エネルギーが大きく減ります。家電や住宅、オフィス、工場も、省エネ・省資源型に変えられます。携帯電話やパソコンや自動車からは、貴重な金属資源が回収できます。
 また日本は世界の農村と農民を助け、水と食糧問題を解決する力もあります。優れた農業関連技術とインフラ整備、砂漠緑化や淡水化や浄水化などで最先端の技術があります。我々が世界で活躍し、日本の技術と社会の仕組みが世界の標準にならなくては、宝の持ち腐れです。
 まず日本社会が真っ先に太陽経済に変わらなくてはいけません。国民が主役です。個人と企業が実行する、地域で取り組む、そして政府が太陽経済を強く後押しすることが不可欠です。
 私たちは日本で太陽経済を実現する大きな共同体を創り上げたいと思います。知恵を出し合い、お互いに高め合って、世界に発信します。埋もれた技術や努力を発掘し、政策を提言し、様々な結びつきを作ります。実践が日本各地で始まり、世界に広がり、人類の共有財産として活かされることを目指します。
 できることから、できるひとから、太陽経済の輪を広げるために、我々は活動します。エネルギーの枯渇、水と食料の不足、争いと戦争の恐怖から解放されるために。日本が尊敬される国家として繁栄するために。
 ~Save Humanity~ 人類を救い、人間性を守る。この志を実行することが、当会の目的です。
 
 太陽は、地球に降り注ぐエネルギーの5000分の1で人類の必要消費が賄えるうえ、世界の人口増加とともにこれからますます重要になる食糧生産などにも不可欠です。
 「太陽経済」とは、このエネルギーの利用とその周辺に生まれる新しい経済であり、「太陽・水・緑」をキーワードに、単なる発電にとどまらず、さまざまな技術と制度との組み合わせによって、電気自動車の普及や農業による地域活性化、リサイクルといった社会システムを含む概念となっています。
 また「太陽経済社会」とは、太陽経済によって経済と環境が両立し、地域格差が小さく、少ない資源で効率的な生活が送れる社会を指しており、循環型社会、環境社会、共生社会などと共通するコンセプトです。
――ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

コメント

世界経済危機と文明の転換2

2009-04-27 08:57:00 | 文明
●新しい国際通貨の創出

 今回の世界経済危機は、これまでの世界経済のあり方を根本的に見直す機会となるだろう。
 見直すべき点はいろいろあるが、ここでは、①国際通貨、②経済社会システム、③エネルギーの三つについて述べたい。

 第一に見直すべきは、国際通貨である。今回の世界経済危機は、アメリカ発の危機であり、戦後、長く基軸通貨として機能してきたドルが、価値を下げてきたことが背景にある。アメリカ政府が経営破たんした企業に公的資金を注入しようと、ドルを大量に発行するならば、ドルの価値は暴落し、ドルの切り下げ、ないし新ドル紙幣の発行がなされるかもしれない。すでにドルは基軸通貨の地位を失いつつあり、ドルを含む複数の通貨による国際通貨体制に実質的に移行しつつある。また、ドルの価値に基づいて創設されたIMFを中心とする国際金融機構の再構築が課題となっている。
 新たな通貨体制については、ドルを含む複数の通貨を組み合わせる「通貨バスケット方式」、ケインズが唱えた国際通貨「バンコール」のような「グローバル紙幣」、金(ゴールド)だけでなく様々な基本物資を裏づけとする「コモディティ・バスケット方式」などが提案されている。

 「通貨バスケット方式」になる場合は、ドルのほか、ユーロ、人民元が主要な通貨となることが予想されている。その主要通貨の中に、わが国の円が入り得るかどうかは、わが国の経済の発展可能性に大きく関わってくる。まずはアジアにおいて、円が人民元とともに、地域通貨としての地位を獲得できるかがポイントとなる。
 しかし、仮に通貨バスケットとなるにせよ、グローバル紙幣になるにせよ、それらの通貨は、金との交換のできない非兌換紙幣であり、価値の虚構という根本的な問題は継続することになる。

 この問題を解決するため、副島隆彦氏は、「コモディティ・バスケット方式」を提唱している。副島氏は、この方式について、『ドル覇権の崩壊』で、次のように説明している。「金を中心にして、その他の鉱物資源も担保に差し出し、さらには、石油、天然ガスなどのエネルギーから、農産物(穀物)に至るまでの、すべての実物資源をまとめてバスケット(かご)の中に入れて、それを信用の源泉にする。全く新しい通貨体制を作るということだ。」と。
 私が思うに、かごの中に入るのが、従来のエネルギー源である石油・天然ガスや、それらを使用して生産する食糧であるとすれば、この発想は、石油に依存した経済を延長したものでしかない。国際通貨は、石油に替わる新エネルギーが普及しなければ、本質的な性格を変えることはないだろう。この新エネルギーのことについては、第三のところで述べたい。

●新しい経済社会システムの形成

 第二に見直すべきは、経済社会システムである。現在の経済システムの欠陥を正す新しいシステムが必要である。ラビ・バトラは、1990年代からプラウトという独自の経済政策を唱えている。プラウトとは、進歩的活用理論といった意味で、資本主義が崩壊した後に実行すべき政策としてバトラが唱導している政策である。その理論には、三つの柱がある。

①世界中の資源とその活用の可能性は、人類すべての共有財産と認識する。
②資源を最大限に効率よく活用し、それを合理的に分配し、真の意味での個人と社会の進歩を目指す。
③諸悪の根元である富の集中を排除した、倫理的で合理的な利益分配システムを作り上げる。

という三つである。
 そして、これら三つの柱のもとに作られる政策は、欲望や支配ではなく社会的な必要を満たすこと、精神的な進歩を推進力とすること、公正な分配で過剰な欲望を抑えること、賃金上昇で需要と供給をバランスさせることにポイントが置かれている。

 バトラは、1950年代から75年頃までの日本は、プラウトに近い政策が実現されていたと言う。そして、21世紀に資本主義が大爆裂した後に、日本はプラウトを実行し、世界のモデルケースとなるべきだと訴えている。
 バトラは、昨年刊行の『2010年 資本主義大爆裂』で、10の予測を公表していることを、前回書いた。2008年に起こることを予測したうちの最後、つまり予測10は、「日本で新たな経済システムの胎動が起こる」というものである。そして、バトラは、次のように書いている。
 「日本は、経済的混乱は避けられないが、資本主義の崩壊のさなかにも、段階的な変化を遂げるだろう。日本の人々は、今後進行する円高に耐えるためにも、貿易黒字を極力抑える必要がある。(略)内需を拡大すること、日本が今後選択すべき道は、これに尽きるのだ。そうすれば、資本主義の崩壊の後にも、(略)『破滅から黎明へ。光は極東の日本から』という復興の過程が開始されるだろう。(略)日本は、アジア地域においてだけでなく、世界各国にとっても資本主義崩壊後の『灯明』として再生し、『破滅からの復活』のモデルケースとなるだろう」と。

 インド人のバトラがこういうことを言う。日本人のエコノミストでは、日本的な価値観を評価し、日本が新しい経済社会システムを生み出すべきと唱える人が、少なくない。東谷暁氏、関岡英之氏、浅井隆氏、神谷秀樹氏らがそうである。前回触れた中谷巌氏は、今やその先頭に立っているとも言える。

 次回に続く。

コメント

世界経済危機と文明の転換1

2009-04-26 19:17:02 | 文明
●世界経済危機をどうとらえるか

 私は、昨年9月3日に「現代の眺望と人類の課題」という連載を始めた。開始後間もなく、9月15日にリーマン・ショックが起こった。それによって、前年夏から顕在化していたサブプライム危機が世界的な金融危機に拡大した。
 グリーンスパン元FRB議長は「100年に一度の大津波」と表現した。確かに1929年の世界恐慌以来の経済危機といえるだろう。現在の世界経済危機をどの程度のスケールのものととらえるかは、学者・論者によって諸説あるが、私たちが世界的な意味で歴史的な事件の只中にあることは、間違いない。
 私自身は、100年に一度ではなく、500年に一度の節目にあると考えている。500年に一度とは、西洋文明から非西洋文明、東洋・アジアを中心とした文明への転換を意味する。この転換は、単に文明の中心地域が移動するというだけでなく、文明の拠って立つ原理が変わることを意味する。
 文明の原理の転換とは、価値観の転換であり、物質偏重から物心調和へ、自然の略奪から自然との調和へ、対立・抗争から共存共栄へという転換である。私は、こうした構図を取りながら、現代世界の過去・現在・将来の眺望を試みているところである。連載にお付き合いいただいている方は、ご存知のように、ユダヤ的価値観から日本的価値観への転換がポイントだと私は考えている。

 このたびの世界経済危機については、多くの識者が、その発生の原因、今後の予測、長期的展望を書いている。様々な書物を手にするなかで、中谷巌氏の『資本主義はなぜ自壊したのか』(2008年12月刊、集英社インターナショナル)には、感慨深いものがあった。15万部以上売れているという話題の書である。
 中谷氏と言えば、1990年代から、わが国に新自由主義・市場原理主義を持ち込んで、政府の政策決定に大きな影響を与えた人物である。小泉=竹中政権の構造改革は、中谷氏なしにはありえなかっただろう。ところが、その中谷が自説の誤りを認め、「懺悔の書」として本書を書いたのである。新自由主義は「危険思想」であり、グローバル資本主義は「悪魔のシステム」だと言う。そのうえ、日本的な価値観に基づく日本再生の政策を提言し、今こそ日本発の価値観を世界に伝えるべき、と唱えているのだから、多くの人が驚くのは当然である。

 中谷氏の所論を含め、そのうち世界経済危機に関して、私なりの見方を整理して、書いてみたいと思っている。本稿は、とりあえずの覚書である。

●世界経済危機を予測していたエコノミスト

 今回の世界経済危機の勃発については、早くからかなり正確に予測していたエコノミストが、私の知る限り二人いる。副島隆彦氏とラビ・バトラである。私は、副島氏の本は、5年ほど前から読むようになった。バトラの本は15年ほど前から断続的に読んでいる。

 副島氏は、佐藤優氏との対談本『暴走する国家 恐慌化する世界』(2008年12月刊、日本文芸社)で、次のように語っている。
 「私は『ドル覇権の崩壊』(註 2007年7月刊)の中で、『2008年か末からドルが80円に大暴落し、アメリカ帝国は衰退する』と書きました。さらに『連鎖する大暴落』(註 2008年3月刊)では、『ドルは80円どころか60円に暴落し、ニューヨーク・ダウは1万ドルを割って、6000ドルに大暴落する』と書きました。そして『恐慌前夜』(註 2008年9月刊)を出版して2週間後に、9月15日のリーマン・ブラザーズの経営破綻が起きた。これを契機に、本格的な信用崩壊(金融恐慌)が始まったのです」と。
 確かに、『ドル覇権の崩壊』『連鎖する大暴落』『恐慌前夜』に、副島氏はそのように書いている。

 一方、バトラは、1978年に刊行した著書『資本主義と共産主義の崩壊』で、「2000年までに共産主義は崩壊し、2010年前後に資本主義が終焉する」と予測した。近著の『2009年断末魔の資本主義』(2009年1月刊、あ・うん)で、バトラは、「共産主義は、1991年の旧ソ連の解体によって現実のものとなり、そして、2010年前後と予測してきた資本主義の終焉については、もっと早いタイミングで始まっている」と書いている。
 バトラは、昨年出した『2010年 資本主義大爆裂』(2008年1月刊、あ・うん)で、2008年に起こることの予測を、10項目掲げた。その予測は「しかるべき時期が到来したものはすべて的中した」と、バトラは本年出した本に書いている。
 予測1「原油価格は100ドルを超えて高騰し続ける」、予測2「『サブプライム住宅ローン危機』は再三爆発する」、予測3「2008年、米大統領選挙は民主党の勝利」、予測4「アメリカの大企業の破綻が続発する」、予測5「日本の好況は2008年半ばか、末まで」。この5つの予測は「すでに時期が来て的中した」とバトラは言っている。確かに相違ない。

 副島氏もバトラも、過去に発表した将来予測が、すべて的中しているわけではない。ともに外れの場合も目に付く。また、両氏の拠って立つ経済理論や社会理論、歴史観について、私は多くの異論を持ってもいる。しかし、今回の世界経済危機に関して、両氏が早くからかなり正確な予測をしていたことは、明らかに認められる。
 彼らの予測は、おそらく理論や学説による推論だけではなく、トランスパーソナルな直感の働きによるものだろう。普通、社会科学者には、直感力は要求されないものである。しかし、社会科学者が研究対象としている現実の社会では、政治にせよ軍事にせよ経営にせよ、直感力を欠く指導者は、しばしば組織を破局に導く。政治家や司令官や経営者に、情報と方策を提供する参謀には、単なる分析と総合の能力を超えたもの、直感力が求められる。先を読む力、時代を見通す力は、国家、企業、そしてあらゆる共同体において、生存と発展の鍵となる。
 だから、私は、直感力の有無は、組織の指導者についてだけでなく、学者や評論家に関しても、評価するうえで重要な基準の一つだと思っている。

 次回に続く。
コメント

現代の眺望と人類の課題123

2009-04-25 09:34:55 | 歴史
●ビルダーバーグ会議にコリンズが参加

 リップルウッド・ホールディングスのティモシー・コリンズは、旧長銀の買収に乗り出した直後から、ビルダーバーグ・クラブの会議に招かれた。当時最年少の参加者だったが、常連メンバーとなった。
 コリンズをBCに仲介したのは、バーノン・ジョーダンである。ジョーダンは、BCの常任理事だった。BCの幹部が、コリンズをBCに入れたのである。
 ジョーダンは、黒人公民権運動の活動家として全米に名を馳せ、投資銀行家としても成功した人物である。本業は弁護士であり、アメリカン・エキスプレス、ダウ・ジョーンズ、IBM、レブロン、バンカーズ・トラスト等の大企業の社外取締役を30ほど務めている。
 ジョーダンは「ワシントンきってのロビイスト」とも言われる。クリントン大統領の内政担当顧問として、「数々のスキャンダルに見舞われた大統領を救った影の実力者」と浜田氏は紹介している。
 旧長銀に関し、ゴールドマン・サックスが日本政府のアドバイザーになったのは、ジョーダンの働きによるものだった。長銀の売却先としてリップルウッドを推薦したのも、GSの共同経営者だったフラワーズをリップルウッドに送ったのも、「影のフィクサー」を自認するジョーダンが「舞台裏で演出した結果に違いなかった」と浜田氏は言う。
 ジョーダンは、リップルウッドの社外取締役を務め、同社を誕生以来、育てていた。コリンズやフラワーズを動かして旧長銀の買収に成功すると、新生銀行のシニア・アドバーザーに就任した。
 ポール・ヴォルカーと同列ゆえ、ジョーダンの大物振りがうかがえる。ヴォルカーもビルダーバーグ会議の常連である。ジョーダンとは親しいはずである。

 コリンズは、ジョーダンのもとでビルダーバーグ・クラブの会議に参加した。そこでデヴィッド・ロックフェラーやロスチャイルド一族、ベアトリクス女王、米欧の有力政治家や経済界と面談する。コリンズが、彼らビルダーバーガーの意思を体して、旧長銀の買収や新生銀行の経営に当たったのだろう。
 浜田氏は次のような見解を述べている。「コリンズとはビルダーバーグ会議の実働部隊として長銀買収に乗り出した男と解釈されても、あながち間違いではないのである」「ジョーダンやロスチャイルドが日本の金融市場を狙って無名のコリンズを采配しようとしたことは容易に想像がつく」と。(浜田和幸著「ハゲタカが嗤った日」集英社インターナショナル)

●米欧所有者集団の連合による大東亜経済戦争

 コリンズを投資ビジネスの世界に連れ込んだ」のは、フェリックス・ロハティンである。ロハティンは、オーストリア出身のユダヤ人であり、ウォールストリートを代表する金融業者の一人である。ロスチャイルドの代理人として、19世紀半ばから営業しているラザード・フレール社のトップである。
 ラザード・フレール社は、フランス人のラザール三兄弟が最初アメリカで設立。その後、パリのラザール・フレール、ロンドンのラザード・ブラザーズ、ニューヨークのラザード・フレールの3つのグループとなり、それぞれ別会社として運営されてきた。2000年(平成12年)に統合されて一つになり、本社はフランスにある。

 コリンズは、ロハティンが影響力の絶頂期にあった時期に庇護を受け、プライベート・エクイティ・ファンド(PEF)の運用を学んだ。ロハティンに才能を買われたコリンズは、ロスチャイルド財閥との関係を築く。コリンズがリップルウッドを立ち上げた時、最初に投資したのは、ロスチャイルド財閥とモルガン・スタンレー社だった。
 コリンズは、ジョーダンという大物をバックに持っていたのだが、ロハティンとジョーダンとつながっており、ジョーダンはラザード・フレール社の取締役でもあった。
 このように旧長銀の買収とそれを皮切りにした日本市場への侵攻は、ロックフェラー、ロスチャイルド、ビルダーバーグ・クラブ、CFR等が協同で行ったものだった。表で活動するコリンズを取り巻いて、ゴールドマン・サックスの人脈があり、彼らを提携させるジョーダンがおり、さらに奥には、デヴィッド・ロックフェラーやロスチャイルド一族、米欧の所有者集団が連合を組んでいた。

 20世紀半ば第2次世界大戦では、米英蘭ソ等による国家の連合体が、連合国として日本と対戦した。それがわが国の戦った大東亜戦争である。これに比し、20世紀末から21世紀初頭にかけての大東亜経済戦争では、米英蘭等の所有者による資本の連合体が、日本と対戦した。前者における連合国にあたるのが、今回はビルダーバーグ・クラブだったようである。
 大東亜経済戦争における連合は、国家間の軍事同盟とは異なる、資本間の経済同盟である。経済同盟は、軍事同盟のように、政府が主権を行使して条約を締結するものではない。民間の企業・団体・個人間の私的な契約である。しかし、軍事条約もまた契約であり、経済同盟は私的な契約とはいえ、イギリス王室やオランダ王室等が参加し、交渉は政府を相手ともする。経済同盟の契約は、軍事同盟と比較し得る国際的な影響力を持っている。爆弾の代わりに紙幣を使い、領土の代わりに株式を争う戦争が、現代の世界では行われている。

 次回に続く。

コメント

麻生首相、集団的自衛権の検討へ

2009-04-24 10:12:26 | 国際関係
 今朝の産経新聞の一面トップは、「麻生首相 集団的自衛権行使の解釈変更を本格検討へ」という題名の記事だった。「解釈変更を本格検討へ」と書いているが、本文には、「首相は記者団に対して、「安保法制懇の話がそのままになっているので話を聞いた。長い文章なので勉強しなければならないと思っている」と解釈変更に前向きな姿勢を示した。」としか書いていない。
 同じ首相の発言に関し、時事通信社の記事は、「集団的自衛権で説明受ける=麻生首相、柳井氏と会談、検討に意欲」と題し、「首相は柳井氏との会談後、記者団に「(懇談会は)結構きちんとした話(提言)を作られた。よく読んでいないから、よく勉強させていただく」と語った。」と伝えているのみである。
 産経が一面トップで「解釈変更を本格検討へ」と題して報じるほど、首相が積極的かどうか、わからないが、集団的自衛権の問題は、ここしばらく放置されており、政府は重要課題として検討を再開すべきである。

 わが国の政府は、わが国は国際法上、集団的自衛権を保有しているが、憲法上これを行使することは許されないという立場を取っている。ところが、国際社会では、多くの国々が、集団的自衛権は当然行使できる権利だという認識をもって、安全保障政策を行っている。わが国のように、集団的自衛権を憲法上、行使できないという立場を取っている国は、稀である。

 わが国の政府が集団的自衛権について特異な解釈をしているのは、日本国憲法や日米安保条約の規定に基づくものである。憲法第9条は、いわゆる戦争放棄、戦力不保持、交戦権否認を定めている。わが国の政府は、その条文を、自衛のためにも戦力はもってはいけないという解釈を取っている。自衛隊は戦力ではなく、実力だからとよいとしている。憲法第9条とひとセットになって機能しているのが、日米安保条約である。わが国は現行憲法のもと、アメリカと片務的な軍事同盟を結び、従属的な関係にある。このことが、集団的自衛権に関する政府解釈の基盤にある。

 平成19年(2007)5月、安倍首相(当時)は、私的諮問機関として「有識者懇談会」を発足させ、集団的自衛権に関する検討を指示した。初会合の冒頭で安倍首相は、「日本を取巻く安全保障環境は格段に厳しさを増している。私は、より実効的な安全保障体制を構築する責任を負っている」と強調した。ここで安倍氏の念頭にあったのは、中国の軍事大国化であるとともに、北朝鮮によるミサイル発射と核実験に示される新たな脅威の拡大だろう。
 安倍首相のもとで、有識者懇談会が集団的自衛権について具体的な検討を行っている過程で、テロ特措法を延長するかどうかという問題が浮上した。同法案をめぐって与野党が激しく対立し、ようやく平成20年(2008)1月11日に新法案は成立した。
 残念なことに、テロ特措法に関する国会の議論では、途中から集団的自衛権の問題は語られなくなった。法案を巡る駆け引きに議論が矮小化され、わが国のあり方、国防をどうするか、憲法と集団的自衛権の行使をどうするかといった根本的な問題は、途中からほとんど論じられなくなった。さらには特措法が、政権を守るか攻め取るかという政争の道具となっていった。新法は成立したものの国家安全保障に関する議論は、むしろ後退した。
 安倍氏の辞任後、福田政権、麻生政権では、集団的自衛権の行使に関する安倍氏の問題提起は、放置されてきた。
 そうしたなか、本年4月5日、北朝鮮がミサイルの発射を強行するという事件が起こった。これにより、集団的自衛権の行使が再び国家的な課題として浮上しつつある。しかし、そもそもこの課題は、その時々の国際情勢や、ましてや政局などによって、事の軽重が変わるような事柄ではない。独立主権国家としての日本の存立に関わる問題である。そういう認識を、多くの国民、なかんずく国政に預かる政治家がしっかりと持つことが大切である。
 本件に関心のある方は、次の拙稿をご参考に願いたい。
http://homepage2.nifty.com/khosokawa/opinion08n.htm

――――――――――――――――――ーーーーーーーーーーーーーーーーー
●産経新聞

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20090424-00000520-san-pol
麻生首相 集団的自衛権行使の解釈変更を本格検討へ
4月24日2時6分配信 産経新聞

 麻生太郎首相は23日、安倍晋三首相(当時)の私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)で座長を務めた柳井俊二元駐米大使と首相官邸で会談し、集団的自衛権の行使を違憲とする現行の政府解釈について意見を聞いた。北朝鮮の長距離弾道ミサイル発射や、海上自衛隊による海賊対策の本格化を受け、集団的自衛権を行使できるように解釈変更が必要な状況が差し迫っていると判断したとみられる。首相が解釈変更に踏み切れば、日米同盟の強化や国際貢献に向け、大きな一歩を踏み出すことになる。

 会談には、柳沢協二官房副長官補(安全保障担当)も同席した。柳井氏は安保法制懇の議論の経緯をたどりながら、解釈変更が喫緊のテーマであることを説明したという。

 会談後、首相は記者団に対して、「安保法制懇の話がそのままになっているので話を聞いた。長い文章なので勉強しなければならないと思っている」と解釈変更に前向きな姿勢を示した。再議論の必要性については、安保法制懇が平成20年6月に報告書を福田康夫首相(当時)に提出していることを踏まえ、「きちんとした答えは作られており、内容もまとまったものがある」と述べた。

 安保法制懇の報告書は、(1)公海における米軍艦艇の防護(2)米国を狙った弾道ミサイルの迎撃(3)国際的な平和活動における武器使用(4)国連平和維持活動(PKO)での他国部隊の後方支援-の4類型について、集団的自衛権の行使を認めるなど政府解釈を変更すれば、現憲法のまま実施できると結論づけた。

 しかし、福田首相(当時)は記者団に「(解釈を)変える話などしたことはない。報告は終わったわけだから完結した」と語り、解釈変更を否定。安保法制懇の報告書は封印されたままとなっていた。

 一方、麻生首相は首相就任直後の平成20年9月26日、米ニューヨークで「基本的に解釈を変えるべきものだと言ってきた。大事な問題だ」と述べ、いったんは解釈変更に前向きな考えを表明したが、10月3日の参院本会議では「解釈について十分な議論が行われるべきだ」と答弁し、早急な変更には慎重な姿勢を示した。

 現行の集団的自衛権に関する政府解釈は、昭和47年10月の田中角栄内閣で「わが国は集団的自衛権を有しているとしても国権の発動としてこれを行使することは許されない」という政府見解で示された。

 ■集団的自衛権 同盟国など密接な関係にある他国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていなくても、自国への攻撃だとみなして実力で阻止する権利。国連憲章51条で、主権国家の「固有の権利」と規定され、国際法上の権利として広く認められている。

――――――――――――――――――ーーーーーーーーーーーーーーーーー

参考資料
・拙稿「集団的自衛権は行使すべし」
http://homepage2.nifty.com/khosokawa/opinion08n.htm
コメント

北朝鮮の核ミサイルを中国と比較

2009-04-20 06:57:50 | 国際関係
 私は、4月6日の日記に次のように書いた。

 「北朝鮮のミサイルであれば、まだしもわが国の国民は警戒をし、反発もするが、もっと重大な脅威に対しては、意識が鈍い。もっと重大な脅威とは、中国のミサイルである。中国は、少なくとも26発の大陸間弾道弾を保有する。さらに、わが国に向けて300発ともいわれる核ミサイルを配備している。ボタン一つで自動的に日本全国の主要都市を壊滅できる破壊力を保有している。だから今日、わが国の国防は、軍事大国中国への対応を抜きには、考えられない。北朝鮮に脅威を覚えたら、その背後の中国の脅威にこそ、日本人は意識を向けるべきである。」

 北朝鮮問題は、常に中国ー北朝鮮問題として、より大きな枠組みでとらえるべきものである。北朝鮮の核ミサイルの開発は、中国の支援抜きに考えられない。また金正日は、核ミサイルを保有し、アメリカに対抗する外交を、毛沢東に学んでいるように見える。
 私は、現代の中国の軍事問題に関し、平松茂雄氏に多くを学んできたが、平松氏は、今朝の産経新聞の「正論」に、北朝鮮の核ミサイルについて、中国軍事問題の専門家ならではの見方を述べている。
 重要な指摘だと思うので、ここにクリップしておく。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【正論】中国軍事専門家・平松茂雄 北の核ミサイルは「政治兵器」
2009.4.20 03:33

≪弾頭も衛星も同ロケット≫

 筆者は核兵器やミサイルの専門家でないが、今回の北朝鮮のミサイル発射実験に関するわが国のマスコミの報道や解説を読んでいて、腑(ふ)に落ちないところがいくつかある。

 一つは、核ミサイル開発と宇宙開発、具体的には、核弾頭と衛星の関係やロケットとミサイルの関係について、ミサイル開発は軍事目的だから危険だが、衛星は平和利用だから問題ないとの見方である。筆者の理解では、同じロケットに核弾頭を搭載すれば弾道ミサイルになるが、衛星を打ち上げるのも同じロケットである。

 中国は同じロケットで核弾頭と衛星を打ち上げている。例えば1970年、初めて人工衛星を打ち上げたロケット「長征1号」は中距離弾道ミサイル(IRBM)を発射するロケットである。これにより日本はじめ中国周辺諸国はその射程内に入った。蛇足ながら、当時も今も日本にはそのような認識はほとんどない。

 それから10年後の1980年に、中国は南太平洋のフィジー諸島近海に大陸間弾道ミサイルを発射した。この時は核弾頭ではなく、実験機材を装備したカプセルを搭載した。80年代以降中国の宇宙開発は本格化するが、衛星を打ち上げるのは、長征1号を衛星の目的に合わせて改良した十数種類のロケットである。

 90年代に入ると、中国の宇宙開発は宇宙ステーション=宇宙軍事基地の設置に向けて進展し、今世紀に入って有人宇宙船を3回打ち上げた。この有人宇宙船を打ち上げたロケット「長征2F号」は米国に届く大陸間弾道ミサイルを発射するロケットである。大きくて重い有人宇宙船を打ち上げて、自在に軌道を修正したばかりか、予定の場所に帰還させた。核弾頭は小さくて軽いから、中国の大陸間弾道ミサイルの精度は相当の水準に達しているとみられる。

 北朝鮮の核ミサイル開発は中国の後を追いかけている。今回の実験の目的が衛星かミサイルか、成功か失敗かは筆者には分からない。だが、予定の海域に到達したというから、核弾頭搭載を目的としたミサイル発射実験としては成功したといえよう。

≪数千万人の餓死者も容認≫

 もう一つは、核ミサイル開発は金正日政権の存続をかけて、人民の生活を犠牲にして強行され、数百万人の人民が餓死ないしそれに近い状態にあるという報道や見方である。中国でも、核ミサイル開発を断行した時期は、それに劣らない大変な国内事情であった。

 中国では核開発を断行した1950年代末から60年代にかけて2000万人の餓死者が出たといわれた。数年前わが国でも翻訳されたユン・チアン『マオ』では、6000万人という驚くべき数字が出ている。当時の中国の人口は6億5000万人とみられるから、10人に1人が餓死ないしそれに近い状態であったことになる。

 筆者はこの数字に疑問を感じているが、今から50年前に毛沢東は「一皿のスープを皆で啜(すす)りあっても、ズボンを履(は)かなくても」との決意で核ミサイル兵器を開発した。悪評の高い大躍進・人民公社はそのために採用した政策である。そういう認識が中国研究、中国認識に欠落している。人民の満ち足りた生活を考慮しては、核ミサイル開発はできなかった。

 限られた財源、資源、技術を核ミサイル開発に集中する。人民大衆は「自力」で生活するのが「大躍進」であり、米国や旧ソ連の核攻撃を受けた場合は、農村に「星をちりばめた」ように作った「人民公社」で生き延びるのだ。

≪開発環境恵まれた金政権≫

 その中国と現在の北朝鮮の国際環境はまったく異なる。中国は建国以来米国の核兵器にさんざん威嚇されて、核ミサイル開発を決断する。それが原因となって旧ソ連との同盟関係は一転して対立関係となった。核ミサイル威嚇だけでなく、長大な国境線を越えて「100万の大軍」がいつ侵入してくるかもしれない状況の中で、中国の核ミサイル開発は遂行された。

 それに比べ、北朝鮮の核ミサイル開発の国際環境は大変恵まれている。米国や韓国、日本から、軽水炉や原油、食糧を供給するから核ミサイル開発をやめなさいといわれるが、各国の対応は好意的ですらある。北の核ミサイルに中国の立場は微妙だが、中国によって庇護(ひご)されている面もある。このように恵まれた環境のなかで北朝鮮の核ミサイル開発は進展しているのである。

 核ミサイル開発を達成した中国を世界はもはや放っておけなくなった。国連加盟、米中接近をへて今日、中国は「世界の大国」に成長した。その最大要因はトウ小平の改革開放ではなく、毛沢東の核ミサイル開発である。核ミサイルの開発がなければ改革開放はなく、中国は今でも発展途上国、小国として相手にされていないだろう。

 北朝鮮は中国が来た道を辿(たど)ろうとしている。実際には使えない兵器であるにしても、核ミサイルは「政治兵器」であることを、日本はいまこそ明確に認識する必要がある。(ひらまつ しげお)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

参考資料
・拙稿「核大国化した中国、備えを怠る日本」
http://homepage2.nifty.com/khosokawa/opinion12c.htm
コメント

現代の眺望と人類の課題122

2009-04-18 08:41:32 | 歴史
●日本侵攻のシナリオをCFRが提案

 旧長銀の買収は、単なる外資に乗っ取りではない。組織的な日本侵攻作戦の第一弾だった。そこには作戦計画があり、そのシナリオに沿って侵攻がされたものと思う。その作戦計画はどこで作られたのか。私は、ここでもアメリカの外交問題評議会(CFR)の関与に注目する。
 20世紀の初頭、アメリカは、日露戦争に勝利した日本を仮想敵国とする戦争計画を立てた。オレンジ計画である。その計画が1940年代の対日軍事戦争の青写真となった。CFRは1930年代~40年代のアメリカの対日政策を立案し、その提案がアメリカの外交や軍事に反映された。1990年代の対日経済戦争においても、CFRは、様々な政策を立案した。その提案が他のシンクタンクや投資家グループ等の提案と総合され、米欧の広範な連合体制のもと、策定・実行されたのだろうと推測する。

 2000年(平成12年)に発行されたCFRの文書に、「新たな始まりーー日米経済関係」というものがある。アメリカ通商代表部のメンバーや共和党・民主党の議員、民間の研究者等がチームを組んで作成した文書であり、民主党の上院議員ジョン・デヴィソン・“ジェイ”・ロックフェラー4世が共同議長の一人として参画していた。
 この文書が描いた日本経済の未来シナリオを、浜田和幸氏は、次のように要約している。「コントロールを失った日本経済の暴走を抑え、世界経済への悪影響を食い止める。日本の政治家や金融当局には、そんな大胆な力はない。唯一あるとすれば、日本の金融市場を破壊すること。その後、欧米の資金で牛耳る。これを『構造改革』として推進させる」ものだと。
 このシナリオに基づき、欧米の政治家、金融機関やメディアのトップがひそかに会合を重ねたと浜田氏は言う。CFRによるシナリオだけでなく、国際経済研究所(IIE)等のシンクタンク、ハーバード大学・スタンフォード大学等のアジア太平洋金融作業グループ等による提案を受け、「長銀破綻からリップルウッドによる買収、そしてゴールドマン・サックスやモルガン・スタンレーなど欧米の投資顧問会社のノウハウを使って、日本の金融資産をコントロールするシナリオ」が作られたのは、ビルダーバーグ会議においてだと浜田氏は言う。

●対日経済戦争の背後にビルダーバーグ・クラブが

 ビルダーバーグ・クラブ(BC)の会議には、リップルウッドによる旧長銀の買収に資金を提供したロックフェラー財閥、ロスチャイルド財閥等、米欧の大口投資家の多くが参加している。
 BCは、アメリカと西欧の支配層による排他的なクラブである。デヴィッド・ロックフェラーは、1970年代の初めに日本を加えることを提案して断られ、日米欧三極委員会を作ったという経緯がある。BCでは、1990年代には東欧地域の安定や旧ソ連の経済復興とエネルギー資源の開発が中心課題だった。その後、アジア経済、なかでも日本市場の開放が重大な関心テーマとなった。

 旧長銀の破綻の時期には、長銀の国有化と日本市場が議論され、「特に一部の参加者の間では、外資による長銀買収は、日本の金融改革にとって願ってもないチャンスとの見方が大勢を占めたという」と浜田氏は伝えている。ここで米欧の所有者集団の大連合が組まれ、欧米白人種による対日経済戦争の侵攻計画が、策定されたのだろう。そして、米欧資本による日本占侵攻作戦の第一弾が、旧長銀の買収だったと考えられる。
 「長銀の破綻、国有化、アメリカ資本による再生、日本市場の独占。すべてが巧妙に仕組まれていた。長銀の買収は欧米資本による日本占領を意図した「先制攻撃の第一波」と位置づけられていたのである」と浜田氏は言う。私の見方では、この作戦計画は、アジア通貨危機を含む大東亜経済戦争の作戦計画の一環として立案されたものだろうと思う。

 次回に続く。

コメント

安保理議長声明に北朝鮮が反発

2009-04-15 13:05:09 | 国際関係
 北朝鮮は、国際社会の注視の中で、人工衛星の打ち上げは「成功」と言い張っている。国民大衆にウソだと知られた時、現体制は崩壊するだろう。

 国連安保理は北朝鮮のミサイル発射は、安保理決議に違反するとした議長声明を全会一致で採択した。アメリカの主導で、米中二大国の妥協を図ったもの。わが国が求めた拘束力のない決議ではあるが、内容は強いものとなった。
 これに対し、北朝鮮は、6カ国協議に二度と参加しないと表明して反発し、核開発の継続を宣言した。北朝鮮は、核ミサイルの開発を進めることで、アメリカとの外交を有利に進めようと狙ったのだろうが、結果は国際社会から非難を受け、アメリカの姿勢を強硬にした。断固孤立の道を行く北朝鮮に対し、オバマ政権から懐柔を図る外交をすることは、当面考えにくい。唯一北朝鮮に圧力をかけうるのは中国だが、6カ国協議を拒否する北朝鮮を話し合いの場に引き戻すことは、今度は容易でないだろう。

 米中の指導部は、金正日政権に通常の外交・工作は通用しないことを悟り、連携して、国連制裁を厳格に実行すべきである。わが国は、両国及び周辺諸国に対し、対北制裁の実施の徹底を強く求めていくのがよいと思う。

 以下は報道のクリップ。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――
●読売

http://www.yomiuri.co.jp/feature/20080115-899562/news/20090414-OYT1T00159.htm
北朝鮮ミサイル発射は「決議違反」、安保理が議長声明採択

 【ニューヨーク=白川義和】国連安全保障理事会は13日午後(日本時間14日未明)、北朝鮮の弾道ミサイル発射を非難し、これが既存の安保理決議への違反に当たると明記した議長声明を全会一致で採択した。
 再発射の自制要求や制裁決議の履行徹底などを盛り込んでおり、決議のような法的拘束力は持たないものの、議長声明としては異例と言えるほど強い内容。北朝鮮が主張する「人工衛星」の発射から9日目で、北朝鮮の挑発を容認しないとする国際社会の一致した意思を示したと言える。
 議長声明は「北朝鮮による4月5日の発射」を非難したうえで、北朝鮮のミサイル関連活動停止を義務付けた過去の安保理決議1718に発射が違反すると明記。北朝鮮にさらなる発射を行わないよう要求している。
 発射が「ミサイル」か「人工衛星」かには触れず、ミサイル技術を利用した発射そのものが認められないとの認識を示したもので、「人工衛星打ち上げは主権国家の権利」という北朝鮮の主張を退けた形だ。
 声明はまた、やはり同決議が義務づけている核・弾道ミサイル開発放棄を、北朝鮮が完全に順守しなければならないと強調。国連加盟国には同決議に基づく制裁の履行徹底を要請した。この関連で、同決議に基づく対北朝鮮禁輸品目の追加リストや資産凍結対象の団体リストを4月末までに作成する方針を盛り込んだ。核問題をめぐる6か国協議の早期再開も求めている。
 発射に対する安保理の対応をめぐっては当初、日米が拘束力のある制裁強化決議案を要求。拘束力を持たず記録としても残らない、安保理の措置としては最も弱い報道機関向け「プレス声明」が適当と主張した中国と対立した。米国が、日米による決議案の主要部分を残しながら議長声明の形式に変え、日中の間に立って妥協を促した。
 日米などは採択を高く評価。一方、中国の張業遂国連大使は「安保理の対応が慎重でバランスが取れ、6か国協議再開につながるべきだ」との考えから新決議に反対したと説明。「すべての当事者が冷静さを維持すべきだ」と述べ、日米による過度の圧力強化も、北朝鮮のこれ以上の挑発も望まない姿勢を示した。
(2009年4月14日11時27分 読売新聞)

●産経

http://sankei.jp.msn.com/world/korea/090414/kor0904140447001-n1.htm
安保理が北朝鮮非難の議長声明を全会一致で採択
2009.4.14 07:35

【ニューヨーク=松尾理也】
 (略)米国主導で交渉が進む中、日本は当初求めていた決議ではなく、議長声明という妥協に応じざるを得なかった形だが、「内容としては前例のないくらいに強く、十分に納得できる内容だ」(高須幸雄国連大使)と、一定の評価を下している。(略)
 今回の問題でニューヨーク入りしている伊藤信太郎外務副大臣は、議長声明採択を受けて、「北朝鮮に対し、国際社会が一致して発した強いメッセージであり、重要な意味を持つ。当初求めていた決議という形式は得られなかったが、オール・ジャパンで外交努力を繰り広げてきた成果だ」と前向きに評価した。

●読売

http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20090414-OYT1T00564.htm
6か国協議、北朝鮮「二度と参加しない」…安保理議長声明を非難

【ソウル=浅野好春】朝鮮中央通信によると、北朝鮮外務省は14日昼過ぎ、国連安保理が議長声明を出したことを非難した上で、核問題をめぐる6か国協議について「これ以上必要がなくなった。二度と絶対に参加しない」と協議ボイコットの姿勢を明確にした。
 また、寧辺(ヨンビョン)の黒鉛減速炉から取り出した「使用済み核燃料棒を再処理する」と、核爆弾の原料となるプルトニウム抽出を再開する方針も示した。
 外務省声明は「我々のたび重なる警告にもかかわらず、米国とその追従勢力は我々の平和的衛星打ち上げに食ってかかる敵対行為を敢行した」と指摘。さらに、「我々の自衛的な核抑止力をあらゆる面から強化していく」とした。
(2009年4月14日14時18分 読売新聞)

●産経

http://sankei.jp.msn.com/world/korea/090414/kor0904141928010-n1.htm
【安保理議長声明】北、孤立化を選択 金総書記の健康問題抱え
2009.4.14 19:27

【ソウル=黒田勝弘】北朝鮮が「6カ国協議」への不参加と核開発継続を宣言した。いずれも中国を含む国際社会に対する新たな挑戦であり、国際社会からの“孤立化”を選択するものだ。これは当然、国際社会との間に対立と緊張をもたらすが、北朝鮮は今、内部的にことのほか緊張感を必要としている。
 理由は体制維持で危機に直面しているからだ。そのため対外的に“敵対勢力”を設定し、それとの戦いを強調することで国内に緊張感を広げ、国民の一致団結と忠誠心で体制維持を図ろうとしている。
 北朝鮮における「体制的危機」の最大要因は金正日総書記の健康問題だ。北朝鮮は金総書記イコール体制である。昨年来、内外に広く流布された重病説と、肉体的に“老いと衰え”が目立つ最近の“激やせ写真”の相次ぐ公開は、体制の危機を物語っている。
 12日付の労働新聞は金総書記の工場視察の姿を「(工場支配人らは)やせ細った父なる将軍様の姿を目にしてあまりにも胸が痛み言葉を何も発することができなかった。工場を離れる将軍様を見送り、むせびなく顔には2筋の涙がとどめなく流れていた」と伝えている。
 「おいたわしい!」「あんなに苦労されている! みんな心を一にがんばろう!」というメッセージであり、体制維持と後継体制に向けた国民への“覚悟”の要求である。
 金総書記を意味する「光明星」という名の「人工衛星」を、失敗にもかかわらず「打ち上げ成功」として大キャンペーンを展開しているのも、実は危機感の表れとみていい。
 北朝鮮は父・金日成生誕100周年、息子・金正日総書記満70歳の2012年を国家目標に「軍事強盛大国」作りに必死だ。安定的な後継体制はまず、「核ミサイル保有」によって保証されるというわけだ。
 今回の対外強硬策は2012年に向けた金正日総書記の焦りを感じさせる。肉体的不安、つまり体制不安を軍事強化で癒やそうしているのだ。北朝鮮の対内緊張策と対外強硬策は2012年まで続く。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――


参考資料
・拙稿「北朝鮮、制裁後のシナリオ」
http://homepage2.nifty.com/khosokawa/opinion12.htm
 目次から04の「北朝鮮、制裁後のシナリオ」へどうぞ。
 平成18年(2006)10月時点のものですが、基本的な構図と展望は今も変わっていないと思います。
コメント   トラックバック (1)

現代の眺望と人類の課題121

2009-04-11 08:42:43 | 歴史
●新生銀行の役員の顔ぶれ

 2000年(平成12年)3月、旧長銀がニューLTCBパートナーズに買収されると、新たな役員が選出され、6月には社名が新生銀行に改められた。
 新生銀行の取締役12人の中に、リップルウッドのティモシー・コリンズとクリストファー・フラワーズが入った。そして最も注目すべきことは、デヴィッド・ロックフェラーがそこに名を連ねていることである。
 会長兼社長に就いたのは、八城政基である。八城は、ロックフェラー系の企業であり、世界最大の石油会社であるエクソン(現エクソン・モービル)で会長秘書を務めた後、シティ・バンクの在日代表をしていた。八城は、シティ・グループの大株主であるデヴィッド・ロックフェラーの命を受けて、新生銀行のトップに就任したものだろう。

 新生銀行の役員には、シニア・アドバイザー(上席顧問)として、ポール・ヴォルカーとバーノン・ジョーダンの二人が就いた。ヴォルカーは、デヴィッドが頭取をしていたチェイス・マンハッタン銀行(現J・P・モルガン・チェイス)の副社長から、FRB議長になった。デヴィッドとのつながりが強い。オバマ政権では経済回復諮問委員会委員長となっている。ジョーダンは、旧長銀買収の影で最も重要な動きをした人物である。「ワシントンきってのロビイスト」と言われるとともに、ロスチャイルド財閥に通じ、ビルダーバーグ・クラブの常任理事をしている。後に詳しく触れたい。
 こうした新生銀行の役員の顔ぶれからも、旧長銀の買収は、ロックフェラー財閥とロスチャイルド財閥等の米欧所有者集団が連合を組んで行った本格的な日本侵攻作戦だったことが分かる。
 なお、デヴィッド・ロックフェラーとバーノン・ジョーダンは、2005年(平成17年)6月に新生銀行の役員を退任した。一定の成果を上げたので、自分たちは役職を離れたということだろう。
 続いて、この日本侵攻作戦に参加したロックフェラー、ロスチャイルド、ビルダーバーグ・クラブ等の動きについて見ていきたい。

●デヴィッド・ロックフェラーの日本来訪

 デヴィッド・ロックフェラーは、新生銀行が誕生すると、自ら取締役の一人として経営に加わったことを先に書いた。この事実は、デヴィッドが旧長銀の買収の背後にいたこと、また旧長銀買収を非常に重要視していたことを示している。彼ほどの巨人がどうして日本の一銀行に目をつけ、自ら取締役の一人になるのか。私は、日本市場進出における最大の獲物、郵政の民営化を目指した動きだったのだろうと思う。
 旧長銀の買収で活躍したティモシー・コリンズは、デヴィッド・ロックフェラーの子飼いであり、リップルウッドの本社は、ニューヨークのワン・ロックフェラー・プラザにあった。コリンズは、デヴィッドが設立した三極委員会(TC)のメンバーに選ばれている。

 新生銀行を巡るデヴィッドの動きについて、詳しく書いているのが、金融ジャーナリスト、ジリアン・テットの「セイビング・ザ・サン」(日本経済新聞社)である。新生銀行スタート後、コリンズは2002年(平成14年)2月に来日した。本書によると、来日の「最も重要な目的は、金融庁と新生銀行の対立が収拾がつかなくなるのを止めることだった」。そこで、コリンズは「フラワーズとともに、柳沢金融担当大臣に面談を申し入れた。うまく和解が成立するように、デヴィッド・ロックフェラーにも同行してもらうことにした。」という。そして、2月27日、ロックフェラー、フラワーズ、コリンズは、柳沢に会いに行った。
 副島隆彦著「重税国家日本の奈落」(祥伝社)によると、この日、「デヴィッド・ロックフェラーは小泉首相を首相官邸に表敬訪問している。時間はわずかに30分強といったところだ。その後、緊急の臨時閣議が1時間近くも開かれている」。同日夜、小泉首相は、読売新聞グループ会長の渡辺恒雄らが集まる「山里会」の会合に参加し、その日何が起きたのかを伝えたという。
 コリンズとフラワーズが「自分たちの主張を通すために親分のロックフェラーを同行させ、柳沢大臣に圧力をかけたことはこれで明白である」と副島は言う。これは、大親分のデヴィッドが子分二人を従えて、自ら日本の首相や大臣に圧力をかけに来たと見た方が自然だろう。
 柳沢はこの半年後に更迭された。副島は言う。「柳沢及び金融庁と小泉・竹中内閣府の対立」の「裏側にはデヴィッド・ロックフェラー自身の強硬な対日要求があった」と。柳沢の彼に次に金融大臣に任命されたのは、竹中平蔵である。この人事の背景には、アメリカからの強い圧力があった。小泉首相は柳沢の首を切って、竹中に替えることで、アメリカの意向、なかんずくデヴィッド・ロックフェラーの要望に応えたものと考えられる。

 次回に続く。

コメント