ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

慰安婦問題:米教科書会社に秦郁彦氏らが訂正要求

2015-03-27 08:51:49 | 慰安婦
 米大手教育出版社「マグロウヒル」(本社・ニューヨーク)が出版した高校用の世界史教科書「トラディションズ・アンド・エンカウンターズ(伝統と交流)」は、先の大戦を扱った章で「日本軍は14~20歳の約20万人の女性を慰安所で働かせるために強制的に募集、徴用した」「逃げようとして殺害された慰安婦もいた」などと、強制連行があったかのように記述している。「日本軍は慰安婦を天皇からの贈り物として軍隊にささげた」と明白な虚偽内容も含まれている。また、南京事件について「ザ・レイプ・オブ・南京」という項目を立てて、「日本軍は2カ月にわたって7千人の女性を強姦」「日本兵の銃剣で40万人の中国人が命を失った」などと記述している。
 このことについて、産経新聞が昨年11月3日付で最初に報じた。これを受け外務省は同月7日、在ニューヨーク総領事館を介し出版社に記述内容の是正を申し入れた。また12月中旬、在ニューヨーク総領事館員がマグロウヒル社の担当幹部と面会し「慰安婦と日本海呼称問題で重大な事実誤認や日本政府の立場と相いれない記述がある」として記述内容の是正を正式に要請した。だが、出版社側からは明確な回答が得られず、継続協議となった模様と伝えられる。
 問題の教科書は、カリフォルニア州やテネシー州をはじめ広い範囲の一部の公立高校で使われている。
 本年1月29日の衆院予算委員会でこの問題について自民党の稲田朋美政調会長が取り上げ、安倍晋三首相は、米国教科書の記載内容が事実と異なることに「愕然とした」と述べ、「主張すべきはしっかりと主張していくべきだ」と答弁した。
 こうしたなか、2月5日米国の歴史学者19人が、「日本の歴史家を支持する」と題した共同声明をメディアに送り、日本政府の訂正申し入れに対する「驚愕の思い」を表明、「国や特定の利益団体が政治目的のために、出版社や歴史学者に研究成果を書き換えさせようと圧迫することに反対する」と厳しく批判した。そして、「いかなる修正にも応じない」との意思を表明した。
声明は、米国で慰安婦像設置を主導する「カリフォルニア州韓国系米国人フォーラム」が公表した。「日本軍の性的搾取という野蛮なシステムによって苦痛を強いられた慰安婦に関し、日本と他国の歴史教科書の記述を抑圧しようとする最近の日本政府の試みに驚きを禁じえない」とし、安倍晋三首相を名指しで批判している。
 学者らは、慰安婦問題で日本政府の責任を追及する立場の吉見義明・中央大学教授の研究などを根拠に日本側を批判し、「日本政府の文献を通じた吉見義明教授の研究と(元慰安婦の)生存者証言は、性奴隷システムの本質的な特徴をみせており、議論の余地はない」ともしている。吉見氏の著書『従軍慰安婦』の英訳版(コロンビア大学出版部)には「日本軍の性奴隷制」という副題がある。
 問題の教科書の共著者はハーバート・ジーグラーとジェリー・ベントレーだが、声明はコネティカット大のアレクシス・ダデン教授らが取りまとめた。声明に名を連ねている歴史学者たちは、コネチカット、プリンストン、コーネル、コロンビア等の各大学の教授。この教科書で慰安婦に関する部分を執筆した学者も含まれている。声明は、アメリカ歴史協会の学術雑誌『Perspectives of History(歴史の展望)』の3月号に掲載される予定と伝えられる。
 私見を述べると、歴史学者が「いかなる修正にも応じない」と言うのは、学者としておかしい。歴史は新たな事実が発見されたり、研究が進んだりすると、書き直されていくものである。まして学問の自由が保障され、自由な研究がされている国であれば、これは当然のことである。次に、これから学術雑誌に掲載されるという声明が、米国で慰安婦像設置を主導する「カリフォルニア州韓国系米国人フォーラム」によって公表されたことも、おかしい。韓国系団体による歴史学者への働きかけ、学者の政治利用があるのではないか。
 さて、米国の歴史学者19人が日本政府の訂正要求を拒否する声明を出したのに対し、3月17日現代史家の秦郁彦氏ら19人の有識者が連名で反論を行い、明確な事実誤認部分8カ所について、教科書出版社に訂正を求める声明を公表した。19人に対して19人という対抗戦術が、見事である。慰安婦問題について、中国や韓国の学者との間では、まともな議論ができない。米国の学者と論争することを通じて、事実関係を客観的に明らかにすることによって、中国・韓国の学者に衝撃を与えることが可能だろう。正々堂々たる論戦を期待する。
 以下は関連する報道記事。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
●BLOGOS 平成27年3月17日

http://blogos.com/article/108036/
BLOGOS編集部2015年03月17日 16:30
「強制連行があったとするマグロウヒル社の記述は誤り」従軍慰安婦問題で、秦郁彦氏、大沼保昭氏が会見

 17日、秦郁彦・日本大学名誉教授と大沼保昭・明治大学特任教授(元アジア女性基金理事)が会見を行い、同日付けで公表した「McGraw-Hill社への訂正勧告」について説明した。
 この勧告は、秦郁彦氏のほか、藤岡信勝、長谷川三千子、芳賀徹、平川祐弘、百地章、中西輝政、西岡力、呉善花、高橋史朗氏ら19人の日本人歴史家有志によって提出されたもので、米国の公立高校で使われている世界史の教科書において、慰安婦の強制連行など。事実とは異なる記述があるとして訂正を求めている。 会見場には櫻井よしこ氏や長谷川三千子氏も姿を見せ、秦氏は改めて「日本の官憲による組織的な強制連行はなかった」とし、大沼氏は慰安婦問題の解決のためにメディアが果たすべき役割は大きいと指摘した。

●産経新聞 平成27年3月17日

http://www.sankei.com/world/news/150317/wor1503170055-n1.html
2015.3.17 21:01更新
【歴史戦】
米教科書「慰安婦」8カ所は事実無根 秦氏ら有識者19人が訂正要求

 (略)秦氏は同日、東京都千代田区の日本外国特派員協会で行われた討論会の場で、事実誤認部分を明らかにした。
 秦氏らの声明では、慰安婦強制連行の記述について、米国の歴史学者19人の声明が強制連行や性奴隷を断定する根拠に吉見義明・中央大教授の調査などを挙げていることから、「吉見氏は著書の中で、慰安婦のうちの『最多は(コリアン・ブローカーに)だまされて』慰安婦になったと記している」と指摘。さらに「吉見氏はテレビの討論番組でも『朝鮮半島における強制連行の証拠はない』と述べている」とした。
 慰安婦の人数を「約20万人」と記述している点についても、秦氏の推計では約2万人だとして「誇大すぎる」と強調。「慰安婦を天皇からの贈り物として軍隊にささげた」との記述には「教科書としては、国家元首に対するあまりに非礼な表現」と強く批判した。(略)

http://www.sankei.com/life/news/150317/lif1503170029-n1.html
2015.3.17 21:07更新
【歴史戦】
慰安所通い 誇張も指摘 証拠に基づく討論呼び掛け 米教科書「慰安婦」記述

 現代史家の秦郁彦氏ら日本の有識者19人が発表した声明は、事実無根の記述とともに荒唐無稽な誇張表現も指摘した。
 「慰安婦たちは、1日あたり、20人から30人の男性の相手をさせられた」
 マグロウヒルの教科書では、慰安婦の勤務実態について、こう表現している。
 その前段で慰安婦の人数を「約20万人」と記述していることから、秦氏らの声明は、単純計算で旧日本陸軍は慰安婦から毎日400万~600万回の性的な奉仕を受けていたことになると指摘。
 その上で、慰安所が設けられた地域の旧日本陸軍の兵力を考慮すると、全員が毎日、頻繁に慰安所に通ったことになると分析した。
 秦氏は「兵士たちは戦う暇がないほどで、それほど誇大な数字が教科書に記述されている」と話した。
 慰安婦の出身も、「大半は朝鮮および中国」と記述されているが、秦氏の推計によれば、約2万人の慰安婦のうち、最多は日本人で約8千人、朝鮮人は約4千人、中国人やその他が8千人で、誤りだとした。
「戦闘地域に配置され、兵隊らと同じリスクに直面し、多くが戦争犠牲者となった」と、慰安婦たちが厳しい環境下に置かれたとも記述されているが、「慰安婦と看護婦は戦闘地域ではない後方の安全な場所で勤務していた」と否定した。
 「多数の慰安婦が殺害された」との記述については「事実であれば、東京裁判や各地のB、C級軍事裁判で裁かれているはずだ」として事実無根を訴えた。
 秦氏とともに声明を出した藤岡信勝・拓殖大客員教授は「事実無根で誇張した記述を『史実に基づく』として訂正を拒否する出版社や米国の歴史家たちに対しては、今後、証拠に基づく学問的討論を呼び掛けたい」と話した。
 秦氏はこの日、日本外国特派員協会で、元慰安婦に一時金(償い金)を支給したアジア女性基金の理事だった大沼保昭・明治大特任教授との討論会に出席。それぞれが持論を主張する形となり、秦氏は国内外の記者50人以上を前に「日本の官憲による組織的な強制連行がなかったことと、慰安所における女性たちの生活条件は性奴隷と呼ぶほど過酷なものではなかったことを強調したい」と訴えた。
 大沼氏は、外国人記者から戦後70年が経過しても慰安婦問題が解決しない理由を問われ、「日本が繰り返し行ってきた謝罪が、韓国など国際メディアに正当に評価されてこなかったことがある」と指摘。「韓国の市民社会の成熟を期待していたが、残念ながら成熟を示さず、日本に謝罪疲れをもたらした」と話した。

◆米国教科書の慰安婦記述の明確な誤り
 1 「日本軍は強制的に募集、徴用した」→強制連行の証拠はない
 2 人数「約20万人」→秦郁彦氏の推計では約2万人
 3 年齢「14歳から20歳まで」→20歳以上が多数いた証拠がある
 4 「慰安婦は天皇からの贈り物」→根拠がなく、あまりに非礼
 5 出身「大半は朝鮮および中国」→秦氏の推計では最多は日本人
 6 勤務実態「毎日20~30人の男性の相手」→単純計算で不可能
 7 勤務環境「兵隊らと同じリスクに直面」→戦闘地域外の安全な場所で勤務
 8 「多数の慰安婦が殺害された」→事実であれば訴追されているはず

◆訂正要求の有識者19人
 秦郁彦、明石陽至、麻田貞雄、鄭大均、藤岡信勝、古田博司、長谷川三千子、芳賀徹、平川祐弘、百地章、中西輝政、西岡力、呉善花、大原康男、酒井信彦、島田洋一、高橋久志、高橋史朗、山下英次
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

最新の画像もっと見る

コメントを投稿