ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

トッドの移民論と日本112

2011-11-30 08:41:55 | 国際関係
●日本国籍を安売りするな

 エドワーズ博美氏によると、アメリカの帰化申請には、5つの条件がある。氏は次のように語っている。
 「一つ目は、永住資格を取得後五年間居住すること、これはその国に住まずしてその国の文化は理解できないからです。
 二つ目は、道徳的人格を備えた者であること。日本にも『素行が善良であること』という規定はありますが、アメリカは徹底しています。過去五年に遡って、殺人、薬物所持、ギャンブルによる違法収入、売春、重婚といった具体的犯罪歴がないかFBIが調査するのです。
 三つ目は読み、書き、話し、聞くと言った英語能力で、英語能力なくしてアメリカを理解することはできないからです。
 四つ目は、国旗に敬意を払い、国歌を歌い、戦没者に追悼の意を捧げることを始めとして、アメリカの歴史と文化、そして政府のしくみに関する知識を取得することです。
 これら四つがクリアーできて、最後に五つ目の『忠誠宣言』が行われます。この誓言で、帰化申請をする外国人は、母国に対する忠誠を放棄し、もし要請があれば武器をもって合衆国軍の一員として戦うことを誓うのです。母国とアメリカが一戦を交えることがあっても、アメリカ人として武器をもてるのか、こうした覚悟がなければ、市民権、つまり国籍は与えられない、ということです」と。
 私は、これらの5つの条件のうち、第4と第5の2点が特に重要だと思う。坂中氏は、この2点について、全く触れていない。「日本型移民国家」を目指す、アメリカに次ぐ「移民大国」を目指すといっていながら、アメリカにおける国籍付与の最重要ポイントを無視している。
 エドワード博美氏は次のように訴える。
 「たかだか250年の歴史しかない、移民大国のアメリカでさえ、自国の歴史に誇りを持ち、国家への忠誠心、具体的には国防の義務と参政権はセットとして考え、国籍のバーゲンセール、安売りは絶対にしません。2600年も連綿と続く日本が、日本人としての生活習慣や文化、日本語の能力、日本の歴史や政府の仕組みに関する知識の取得、そして日本に対する忠誠心を、なぜ、新しく日本人になる人に要求できないのでしょうか。
 日本が今なすべきは、国籍取得のハードルをもっと高くして、日本に忠誠を尽くすことを誓う外国人にだけ、国籍を与えるように法律を改正することです。歴史と伝統を誇るこのすばらしい日本を守るために、外国人参政権付与法案と国籍の安売りを絶対に阻止しましょう」と。
 アメリカの国籍付与条件を参考にすれば、わが国の場合、一定の定住経験、道徳的人格、日本語能力は日本社会の一員として受け入れるために必要な条件ではあるが、日本国民の一員と認めるには、日本の国旗に敬意を払い、国歌を歌い、戦没者に追悼の意を捧げることを始めとして、日本の歴史と文化、そして政府のしくみに関する知識を取得することが必要である。わが国は、憲法に天皇を国家の象徴、及び国民統合の象徴と定めており、国家国民の一員となるには、天皇と国民の関係、及び長い伝統を知り、それを自らのものとして受け継ぐ意思が必要である。
 アメリカの場合は、帰化申請をする外国人に、国家への忠誠を誓うことを求める。母国に対する忠誠を放棄し、もし要請があれば武器をもって合衆国軍の一員として戦うことを誓い、母国とアメリカが一戦を交えることがあっても、アメリカ人として戦うのでなければならない。わが国の場合、憲法に国家忠誠の義務がなく、国防の義務が定められていない。しかし、近代国民国家は、国民が自ら国を守ることになって成り立つ。わが国も明治時代以来、昭和戦前期までは、この国民国家における国民の義務を定めていた。ところが、大東亜戦争の敗戦後、占領期間にGHQによって押し付けられた憲法により、国防の制限がかけられ、国民が自ら国を守るという国民国家としての本来の姿を失っている。それゆえ、帰化を申請する外国人に対してのみ、国歌忠誠と国防の義務を課すことはできない。まず日本人自らの手で憲法を改正し、日本国民として当然の義務を定め、そのうえで帰化申請者に対して、国民の義務としての履行を求めるべきである。そして、憲法改正を成し遂げるまで、外国人を多く入れ、安易に国籍を与えるべきではないのである。

 次回に続く。

女性宮家創設は皇位継承の伝統によるべし

2011-11-29 13:07:56 | 皇室
 東日本大震災を通じて、日本人の多くは、皇室の大切さを改めて深く感じた。
 大震災発生後、被災地で多くの犠牲者が出て、国民が懸命に救援・復旧に当たっているなか、3月16日天皇陛下より、国民にビデオでメッセージを賜った。直接の呼びかけは昭和天皇の終戦の玉音放送以来だった。
 天皇陛下は、そのメッセージにおいて、「被災した人々が決して希望を捨てることなく、身体(からだ)を大切に明日からの日々を生き抜いてくれるよう、また、国民一人びとりが、被災した各地域の上にこれからも長く心を寄せ、被災者とともにそれぞれの地域の復興の道のりを見守り続けていくことを心より願っています」と語られた。
 3月30日、天皇皇后両陛下は、福島県などからの被災者が避難している東京都足立区の東京武道館を訪問された。両陛下は、ひざまづいてすべての区画を回られ、「家族は大丈夫ですか」「本当にご心配でしょう」と声をかけられた。複数の避難所を転々とした被災者の話を聞くと、「大変ですね」と述べられた。皇后陛下は、幼児の母親に「ミルクやおむつはあるの?」「屋外で遊ぶところはあるんですか」などと聞かれ、子供たちにも話し掛けられた。
 その後、両陛下は千葉、宮城、岩手、福島と東北3県を含め、7週連続で被災地のお見舞いをされた。どれほど被災者の人々の慰めとなり、また勇気と希望を与えたか知れない。津波で壊滅した町のがれきに向かって両陛下が深々と拝礼をされた写真が国民に感動を与え、また国境を越えて尊敬を集めた。

 さて、藤村官房長官は11月25日の記者会見で、宮内庁の羽毛田信吾長官が10月5日、野田首相に対し、「今の制度の下では女性皇族の方は婚姻で皇室を離れる制度になっており、女性皇族の方々がご結婚年齢に近い年齢になっている。皇室のご活動という意味で、緊急性の高い課題がある」と伝えていたことを明らかにした。
 「緊急性の高い課題」が女性宮家の創設を意味することは、明らかである。現在皇族方22人のうち、未婚の女性皇族が8人がおられる。10月に秋篠宮家の長女、眞子様が20歳になったのをはじめ、女性皇族が相次いで結婚年齢に近くなられている。現行制度では女性皇族は結婚すると、皇室の身分を離れることになっている。悠仁親王殿下が誕生されたことで、次々世代の皇位継承問題は一段落したものの、皇族方が減ると皇統の安定的な維持に影響が出る。また、多岐にわたる公務の分担が難しくなる。そこで、女性皇族が結婚されても皇籍にとどまることのできるような制度の改正が、課題になっている。
 私は、男系男子による皇位継承のための方策は、第一に旧皇族の皇籍復帰、第二に皇族の養子制度の許可、第三に女性宮家の創設と考える。第一の旧皇族の皇籍復帰は、大東亜戦争の敗戦によって占領期に皇籍離脱した旧皇族を対象とする。第二の養子制度は、養子の対象範囲を旧宮家の男系男子とする。養子を可能にすることで現在の宮家の存続ができる。第一及び第二の方策を組み合わせれば、皇位継承の安定性は格段と増す。これらの方策をはじめから排除して、第三の方策だけを考えるのは、消極的な発想である。
 女性宮家の創設については、女性皇族を中心とする新しい宮家を設立しても、結婚相手が民間人であれば、そこに誕生するお子様は女系となる。そのため、男子が誕生しても、男系男子で継承してきた皇位の継承者にはなり得ない。だから、皇位の安定的な継承には寄与しない。まして、女性宮家の創設を将来女系継承を可能とする布石とするような発想であれば、男系男子による皇位継承を否定し、わが国の皇統を廃絶させる道となる。女性宮家の創設という案は、男系男子継承の堅持という大原則に立って設計されるのでなければならない。私は、内親王・女王が旧宮家の男系男子と結婚して新宮家を立て、皇族身分にとどまることができるように制度を変えるのがよいと思う。そのお子様は皇族となるし、また男子のない宮家へ養子に入れるようにもすれば、絶家を免れるのみならず、そこに生まれる子も皇族となる。このようにして、皇族の数が増えるならば、皇統の維持が補強される。
 詳しくは、拙稿「皇位継承問題――男系継承への努力を」に書いた。
http://homepage2.nifty.com/khosokawa/opinion05b.htm
 上記拙稿の約1年後、平成18年9月6日悠仁親王殿下が誕生された。だが、拙稿の基本的な考え方は現在も有効と考える。悠仁様のご誕生により、皇位継承が少なくとも一世代長く担保された今のうちに、国民の英知を集め皇室制度を末永く守るための制度強化を図るべきである。
 以下は、関連する報道記事、及び小堀桂一郎氏の意見を掲載。

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●産経新聞 平成23年11月26日

http://sankei.jp.msn.com/life/news/111126/imp11112602520002-n1.htm
【主張】
女性宮家問題 男系の歴史踏まえ熟議を
2011.11.26 02:51

 宮内庁の羽毛田信吾長官が野田佳彦首相に対し、女性皇族が婚姻後に皇籍を離れる現制度について「皇室のご活動という意味で緊急性の高い課題がある」と説明し、藤村修官房長官も「安定的な皇位継承を確保するという意味では、将来の不安が解消されているわけではない」と述べた。
 具体的な制度の検討を首相に要請したのではないとしているが、「緊急の課題」が女性宮家創設の問題であることは明白だ。
 現行の皇室典範は皇位継承権を男系の男子に限っている。皇位継承権を持つ男子皇族は7人だが、皇太子さま、秋篠宮さまの次の世代は悠仁さまだけである。一方、未婚の女性皇族は8人で、うち成年皇族は6人だが、結婚と同時に皇籍を離脱されるため、皇族の減少が懸念されている。
 女性宮家創設は、女性皇族が結婚しても皇籍を離れないように皇室典範を改め、皇族の減少を防ごうという制度だ。将来の皇位継承を安定したものにするとともに、天皇陛下の公務のご負担を軽減するためにも、皇族の範囲を広げるべきだとする議論の過程で生まれてきた考え方である。
 その趣旨で、女性宮家創設は有意義な提案である。しかし、皇族の裾野を広げる方策は、女性宮家創設にとどまらない。戦後、GHQ(連合国軍総司令部)の方針で皇籍離脱を余儀なくされた旧皇族の皇籍復帰も有力な方法だ。
 皇統は男系継承が維持されてきた。8人の女性天皇がいたが、いずれも皇后か未婚の皇女で、男系の血を引かない女系天皇の例はない。女性宮家創設を安易に女系天皇容認につなげてはならない。
 男系維持のため、小堀桂一郎氏が今月23日付「正論」欄で指摘したように、女性皇族が皇統につながる男子と結婚された場合に、その次の世代の男子に皇位継承権を与えるという考え方もある。
 小泉純一郎内閣の平成16年末、「皇室典範に関する有識者会議」が設置され、わずか1年で「女性・女系天皇容認」「男女を問わず長子優先」の報告書が出された。これに先立ち内閣官房が女系天皇を認める極秘文書を作成しており、「初めに結論ありき」の拙速な議論だったことは否めない。
 男系で維持されてきた日本の皇統の歴史を踏まえたうえで、将来の皇位継承問題を時間をかけて議論すべきだ。

●産経新聞 平成23年11月23日

http://sankei.jp.msn.com/life/news/111123/imp11112302580000-n1.htm
【正論】
東京大学名誉教授・小堀桂一郎 皇室の御安泰を真剣に考へる秋
2011.11.23 02:57

 平成21年元旦の本欄に於(お)いて、筆者は、「皇位継承に制度的安定を」と題して見解を述べる機会を得た。それは、標題に云ふところの制度的安定を図る研究は或る民間の組織によりほぼ完了したので、後は、その方策の実現を政治の力に俟(ま)つばかりであるとの含みを持たせた意見表明だつた。
 ところが、その夏に政権交代といふ事態が発生し、新たに政権の座に就いた民主党内閣の下では、この問題についての正統性に則つた論議は到底望めないと判断し、以後、皇室典範の再検討に関はる議論には公の場での発言を控へ、沈黙を守ることにしてゐた。

≪宮内庁長官の発言には疑問≫
 ところで、宮内庁の羽毛田信吾長官は去る10月27日の定例記者会見で、現行の皇室典範には〈皇位の安定的継承という意味で課題がある〉との旨を述べた由である。〈課題〉といふのは、これから解決しておかなくてはならない問題性、難点といふ意味であらう。
 この日の会見での羽毛田長官の発言は、英国の王位継承法に、継承順位を男子優先から男女の別を問はぬ長子優先へと改める動きがある(10月29日に英連邦首脳会議で法改正に合意が成立したと報じられてゐる)との報道についての感想を求められての答へであつたさうである。
 英王室の王位継承法にどの様な改定が行はれようと、それはその国固有の歴史と当面の事情や輿論(よろん)の動向に従つてのことであらうから、我々はそれを唯(ただ)静観してゐればよろしく、何らの注釈も意見も挿(さしはさ)む必要がない。
 然(しか)し、宮内庁長官が右の外国の事情を何故か念頭に置いた様子で、我が国では幾人かの女性皇族の方々が結婚に近い年齢になつてをられる時、皇位継承の安定と(女性宮様方の今後の)ご活動といふ意味で課題が生じてゐる、と述べてゐる点については批評と注釈が必要であらう。
 先づ、皇位継承の安定といふ事については、現在、今上天皇の次代以下の世代に皇位継承権者がお三方居(お)られる。その意味で、皇位の将来は実は安定してをり、謂(い)はば問題がない。

≪負担軽減目的なら皇族増加も≫
 問題はむしろ、現在の継承権者が現実に皇位にお即(つ)きになつた将来に於いて、その陛下のお近くに在つて公務を御支へ申し上げ、必要に応じて代行をも務められる皇族の数があまりにも少く、且(か)つ、当分その増加を期待することができない、といふ点にある。
 その脈絡に関してならば、宮内庁長官の所見に云ふ、女性皇族が御(ご)結婚によつて皇籍を離れ、一民間人となることへの疑問、従つて女性の宮様が結婚されても依然として皇族の身分を保たれ、両陛下の公務の補助・代行を務められる様に法改正するのが課題だとの着想は首肯できる。
 但(ただ)し、かうして創立された女性皇族を中心とする新しい宮家が皇位継承の安定に寄与し得るか否かは、その結婚のお相手となる男性の血統によつて決ることであり、直接には長官のいふ所の安定にはつながらないと考へるべきである。差当つては、どこまでも皇室の御公務の御負担の軽減といふ点に貢献する存在と受けとめておくのが適当である。
 誤解を招かない様に付記しておくが、皇位継承の安定にも寄与し得る形での女性宮家の創立といふことももちろん可能である。それは右に記した如(ごと)く、今後、結婚される女王様方の御配偶が、血統の上で皇統につながつてをり、且つ、それが、なるべく近い過去に於いて、そのつながりが証示できる様な方であれば、その御当人ではなくとも、その次の世代の男子(母方の血筋からしても、皇室の血を引いてをられることが明らかなのであるから)が、皇位継承権を保有されることは、系譜の論理から言つて、道理に適(かな)つたものになる。

≪法改正は些小の修正で済む≫
 以上に記したことは、現行皇室典範の比較的軽微な改正を以て実現できる事項である。肇国(ちょうこく)以来厳修されてきた我が国の皇位継承上不易の三大原則(念の為(ため)記しておくならば、〈一 皇祚(こうそ)を踐(ふ)むは皇胤(こういん)に限る〉〈二 皇祚を踐むは男系に限る〉〈三 皇祚は一系にして分裂すべからず〉の三項)については、事新しく再検討を促す必要は全く無い。宮家の増設といふ目的のためには、法規運用技術上の観点から現行法に些小(さしょう)の修訂を施せば済む事である。従つて一片の醜聞に終つた曾(かつ)ての「皇室典範に関する有識者会議」の如き仰々しき委員会めいたものを組織する必要もない。少数の良識ある法曹家及び国史学者に委託すれば然るべき改訂が成就できるであらう。
 3月の東日本太平洋岸大震災に際しての被災民の救恤(きゅうじゅつ)と慰撫激励の上で、国民統合の象徴としての天皇と皇室の御仁慈が如何に貴重であり、又有難いものであるか、国民全体が又改めて認識を深めたところである。皇室の御安泰と御清栄は即(すなわ)ち国民の安寧の最大の拠(よ)りどころである。今又、その事を真剣に考へるべき秋(とき)になつてゐる様である。(こぼり けいいちろう)
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関連掲示
・拙稿「皇位継承問題――男系継承への努力を」
http://homepage2.nifty.com/khosokawa/opinion05b.htm
・拙稿「女系継承容認論の迷妄――田中卓氏の『諫言』に反論する」
http://homepage2.nifty.com/khosokawa/opinion05c.htm

トッドの移民論と日本111

2011-11-28 08:51:19 | 国際関係
●アメリカの厳しい国籍付与条件に学ぶ

 トッドはアメリカに対して批判的な論調が目立つが、世界最大の移民国家・アメリカもまたフランスのように移民のほうを適応させる同化政策を取っている。
 アメリカ・メリーランド大学講師のエドワーズ博美氏は、平成22年(2010)4月17日、日本武道館で行われた「外国人参政権に反対する1万人大会」で提言を行った。
 氏によると、アメリカでも現在、メリーランド州のごく一部の市町村などでは、外国人に地方参政権が認められている。これは、学者や民主党議員の一部が外国人参政権付与を主張しているからである。しかし、この動きは全米には殆ど広がりを見せていない。なぜなら、アメリカの世論は、圧倒的に外国人参政権に反対だからである。
 この世論を後押ししているものに、外国人参政権に反対するシンクタンクがある。ニューヨーク市立大学大学院のスタンリー・レンション教授は、そうしたシンクタンクの一つ、「移民研究センター」の研究員である。
 エドワーズ博美氏は、レンション教授は「市民権を持たない者に選挙権を与えることがどうしていけないのか」と題する論文の中で、次のような一例を挙げていると紹介した。
 平成12年(2000)の大統領選挙は、ブッシュ子とゴアの戦いだった。この選挙は、フロリダ州でのわずか1000票の差が勝敗の鍵を握った。もし外国人に参政権が与えられていて、外国人の票が選挙戦の結果に影響を与えていたとしたら、アメリカ国民は果たして、こうして選ばれた大統領を正当な大統領と見倣すだろうか。外国人に参政権を与えると、選挙結果に対する国民の信頼を大きく損なうばかりか、外国人参政権があるがゆえに、国民と外国人との間に深い溝が生まれかねないのではないか。こうレンション教授は危惧を表しているという。
 さらに教授は、「外国人はたとえ永住資格を持っていたとしても、帰化申請手続きを通じて、アメリカ人としてのアイデンティティを身につけ、アメリカ国家に愛着心をもち、忠誠を誓う国民になって初めて、参政権を付与されるべきだ。そして、こうしたアイデンティティと愛着心は、帰化申請手続きに時間と努力を要するからこそ、培われるものだ」と主張しているという。
 これは傾聴すべき意見である。先に引いた坂中英徳氏は、日本を「移民国家」「多民族国家」とし、「アメリカに次ぐ世界第2位の移民大国」と目指すという。当のアメリカ合衆国は、もともと移民国家として建国された国である。そして、現在も移民国家としてさらなる移民を受け入れている。そうしたアメリカは、参政権と国籍の付与については厳しい条件を定めている。世界最大の移民国家において、そうなのである。アメリカに学ぶべきは、2000年以上の自生国家としての歴史・伝統・国柄をもったわが国を、一切の相違を無視して移民国家に変造することではなく、国家・国民・国籍のあり方についての明確な姿勢である。
 わが国は、世界にもまれな長い歴史と伝統と国柄を持つ国家として、新しく日本人になる外国人に対し、日本語の能力、日本の伝統・文化・国柄・歴史の理解を要求すべきである。また、日本に忠誠を誓う外国人にのみ、国籍を与えるよう法律を変えるべきである。日本という国を理解し、日本人に同化したいという者のみを受け入れる。これを遠慮して、「差異の権利」、多文化主義として価値を同等にしたり、尊重しすぎたりすると、やがて日本は増え続ける移民のために本来の日本でなくなる。東アジアに位置する単なる一つの国家、190国以上ある国のうちの一つ、もしくは日本と呼ばれる地域にすぎなくなるだろう。

 次回に続く。

オウム裁判終結。だが真相は未解明

2011-11-26 08:35:11 | 時事
 11月21日、オウム裁判が終結した。しかし一連のオウム事件は、疑惑に包まれたまま、真相がほとんど明らかにされていない。私は、平成12年(2000)にオウム事件に関して拙稿「日本赤軍の重信房子・よど号犯とオウム真理教のつながりの危険なつながり」をネットに掲載した。この拙稿において、私は次のように書いた。

 「私は、オウム真理教事件は、2・26事件とゾルゲ事件をあわせた以上の歴史的な大事件だと思う。そして、この事件には、北朝鮮・赤軍派・一部政治家等が関わっていると推測する」
 「オウム真理教は、平成6年(1994)6月27日には、松本サリン事件、平成7年(1995)2月28日には、東京・目黒公証役場事務長逮捕監禁致死事件を起こした。そして、遂に平成7年3月20日、東京都心部で地下鉄サリン事件を起こす。死者12名、被害者5500名以上という大事件だった。
 これは、単発のテロではない。『井上メモ』が示しているのは、オウム真理教の計画には、天皇陛下が国会にお出ましになっているときに、国会の周囲で、サリンを大量に散布するというものがあった。計画は未然に防がれたが、もし実行されていたら、どのような結果となっていたか、慄然たるものがある」
 「早川は、オウム真理教と北朝鮮・ロシアの関係についても、明らかにしていない。毒ガス、偽ドル、麻薬、銃火器、潜水艦、軍用ヘリコプターなど、オウム真理教の一連の事件は、日本史上、かつてない国際的な事件である。さらには核兵器製造に関する情報がやりとりされていた可能性もある。そして、背後には北朝鮮や暴力団とのつながり、オウムをロシアに紹介した元代議士、その背後にいると見られる大物政治家、ロシアにおける国際的な武器商人の暗躍等々……日本の内外を結ぶ組織的な関与が見え隠れする。これらが単にうわさの類ではないことは、CIAがオウム事件の調査を行い、アメリカの上院で、大部の報告書が出されていることを知れば、わかるだろう。
 しかし、事件の真相は、日本の警察・司法によって、ほとんど何も明らかにされていない。オウム事件は深い闇に閉ざされたまま、次々に判決が出されている。徹底的に事実を追及していけば、類例を見ない大スキャンダルが暴露され、また国際的な大問題となる可能性があるのだろう」
 「今後、国際的な赤軍派の活動を解明してゆけば、オウム事件とそれに関わる外国勢力の存在に、ぶつかるにちがいない。そこにメスを入れるとき始めて、真相が見えてくるのではないか。これは外交問題となることは必至である。
 いずれにせよ、やがて日本の政界・官界の恥部や、暴力団などのからむ闇の権力が、光にさらされるだろう。日本の背骨まで蝕む、ガンの病巣は、皮膚の下で、破裂寸前にまで、膨れ上がっているからだ」と。

 拙稿の全文はマイサイトの「共産主義」のページに掲載している。
http://homepage2.nifty.com/khosokawa/opinion07.htm
 目次から14へ。

 拙稿を掲載してから、11年経った。オウム裁判は終結したが、拙稿に書いたような事件の疑惑の核心部分は、ほとんど何も解明されていない。これは事件の真相を解明をさせまいとする意思、何らかの力が働いているものと考えざるを得ない。オウム事件は、現代において、9・11アメリカ同時多発テロ事件と並ぶ真相未解明の大事件である。
 以下は関連する報道のクリップ

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●産経新聞 平成23年11月21日

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/111121/trl11112110430000-n1.htm
遠藤被告の死刑確定へ オウム裁判は事実上、全面終結
2011.11.21 10:42

 地下鉄サリン事件のサリンを製造したなどとして殺人罪などに問われ、1、2審で死刑判決を受けたオウム真理教元幹部の遠藤誠一被告(51)の上告審判決で、最高裁第1小法廷(金築誠志裁判長)は21日、「科学的知識を利用してそれぞれの犯行に関与し、重要な役割を果たしており、刑事責任は極めて重大」として被告側の上告を棄却した。死刑が確定する。
 これで、平成7年の地下鉄サリン事件発生や教団施設への強制捜査から約16年半を経て、計189人が起訴された一連の事件の裁判は、全て終結した。死刑確定は、首謀者と認定された元教祖の麻原彰晃(本名・松本智津夫)死刑囚(56)ら13人となる見通し。(略)
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トッドの移民論と日本110

2011-11-25 09:22:27 | 国際関係
●国籍に関する日独の比較

 わが国は国籍について血統主義を取っている。ドイツももともと血統主義だった。国籍における血統主義は、父子の関係を重視する直系家族型社会の考え方に即している。近年ドイツはこの伝統的な考え方を捨てつつある。トッドはこれをよく評価しているが、私は意見が違う。ドイツは移民政策で多文化共生主義を取ったことで大失敗をした。いまやドイツはヨーロッパ最大の多民族国家に変貌しており、移民問題に触れることは最大のタブーになっている。そのドイツは、同じ直系家族型社会であるわが国にとって、前車の轍を踏まないようにするために学ぶべき事例である。
 ドイツでは、19世紀から血統権、つまり「血の権利」を定め、ドイツの国籍法は、1913年以来、血統権原則を堅持していた。しかし、今日ではフランスの影響で血統主義から脱却しつつある。
 トッドによると、「ドイツは1999年に国籍法が改正され、ドイツ国内で生まれた子供は両親のいずれかが8年以前より合法的にドイツ国内に居住する場合、ドイツ国籍を取得することができることになった。ただし二重国籍は認めない。移民の子供は18歳になると、ドイツ国籍と出身国の国籍のどちらを保持するか、5年以内に決定しなければならない」(「世界像革命」所収の「グローバリゼイション下の世界を読み解く」)
 当時与党社会党が二重国籍を認める法案によって、これを改訂しようとしたが、保守政党の拒否にあい、ヘッセン州議会選挙での保守政党の勝利などで、この計画は頓挫した。
 トッドは、「ドイツは国籍問題について従来の血統主義から脱却することに成功した。しかし今度は二重国籍の問題をめぐって論争が起こっている。フランス人は二重国籍を気にしない。ドイツは出生地主義を受け入れたが、ある程度の人種的純粋性を護ろうとしている。二重国籍の拒否というのはそういうことである」と言っている(同上)
 このようにドイツは、血統主義から脱却しつつも、二重国籍を認めないことで、民族性をかろうじて保とうとしている。ここでフランス流に二重国籍を認めたら、ますますドイツは民族性を失うことになる。 
 ところで、法制度を改めたからといって、国民の意識が変わるとは限らない。トッドは、ドイツでは「アングロ・サクソンやフランスの影響で法律的には改善が実現しても、例えばトルコ人の隔離は進行している。法律とは無縁のところで、社会そのものの中において進行している。その一方でユーゴスラヴィア人の方は同化が進んでいる」と言う。そして、「私は日本のことについて何かを言う能力も資格もないが、この問題がドイツにとってよりも日本にとって簡単な問題であるとは考えられない」と語る。(同上)
 トッドの価値判断によれば、血統主義の脱却と出生地主義への転換は望ましいことであり、改善ということになる。しかし法制度を変えても、人々の心性は容易に変わらない。トッドの触れているトルコ人に対する対応とユーゴスラビア人への対応の違いは、宗教的な違いである。ユーゴスラビア人はドイツ人と宗派は違うものの同じキリスト教徒であり、ドイツ人は彼らを同化し得るものとして選り分けた。ドイツに流入したトルコ人は西欧化的な近代化が進み、宗教への関心が薄かったが、ドイツ人は彼らをイスラムを信じる異教徒と見て、差異の対象として隔離した。こうした行動は、人々の心理に深く根ざしたものであって、法制度を変えても、簡単に変わるものではない。
 私は、国籍付与に関しても、こうした国民的な心理が働くと思う。トッドは「フランスは二重国籍を許容するが、ドイツは拒否する」という言い方をする。ここには、フランスの普遍主義とドイツの差異主義、及びその根底にある平等主義核家族の価値観と、直系家族の価値観の違いが現れている。ドイツは直系家族的価値観から、核家族的価値観に一部変化しつつも、もともとの価値観を一部保持しようとしている。私は、トッドと異なり、ドイツは二重国籍を認めるべきでないと思う。二重国籍を認めるならば、ドイツは多文化主義の方向にさらに大きく進むことになる。すでにメルケル首相は「多文化主義は失敗だった」と公言している。その失敗を踏まえ、国民の統合を進める施策へと転じなければ、ドイツはさらに大きな失敗をすることになるだろう。

 次回に続く。

■本稿を含む「トッドの移民論と日本の移民問題」は、下記に掲示しています。
http://khosokawa.sakura.ne.jp/opinion09i.htm

TPP~参加問題と尖閣事件

2011-11-24 08:44:59 | 時事
 私は、このたびのAPECから東アジアサミット(EAS)への展開を見て、尖閣事件とTPP参加問題について想像してきたことを、より強く思うようになった。その点について書くことにする。

 オバマ大統領は、平成21年11月に来日した際、東京・サントリーホールで行った講演で、アメリカはこれからTPPに参加すると表明した。この時点で、アメリカは今日概要が明らかになりつつあるアジア太平洋、及び日本に対する外交と経済と安全保障の方針を構想していたものと思われる。
 昨22年9月7日、尖閣諸島沖で中国漁船衝突事件が起こった。菅政権の対応は、実に情けないもので、中国に対し、及び腰の外交だった。それを見た中国は、さらに強硬な姿勢を取り、わが国は世界に恥を晒した。その状態を見たロシアは北方領土の実効支配を、露骨に進めるようになった。この時、菅前首相は、わが国の安全保障の危うさを感じただろう。
 民主党政権は、鳩山内閣の時に、普天間基地移設問題をめぐって、日米関係をギクシャクしたものとしてしまい、移設問題は、まだ解決の目途が立っていない。こういう状態で、中国に尖閣諸島を侵攻されたら、どうなるか。政権が揺らぐという危機感が強まったことだろう。
 わが国は中国軍の尖閣侵攻作戦に対し、現状では自力で防衛できない。沖縄や東京が攻撃される可能性もある。尖閣及び日本の防衛には、米軍の協力が必要である。クリントン国務長官は、尖閣が日米安保第5条の適用範囲と明言してはいる。だが、そのことは無条件で、アメリカが尖閣防衛に行動することを意味しない。
 私は、昨年9月、アメリカはわが国政府に対し、安全保障に関する問題を持ち出し、中国の尖閣侵攻の際、防衛に具体的に協力する条件として、TPPへの参加を求めたのではないか、と想像する。尖閣事件でビビッた菅前首相は、TPPの中身をほとんど理解していないまま、YESと言ったのではないか。
 昨年10月1日突然、菅前首相はTPP参加を目指すと表明した。首相は国会でTPPについて質問されても、まともに説明できない。それでいて、参加する方針だけは表明した。非常に不自然だった。アメリカ頼みの安全保障のために、わが国の国家最高指導者は、わが国の主権の重要な一部である関税自主権を放棄し、伝統・文化・国益を守るための規制を撤廃するという愚かな判断をしたのではないか、と私は疑っている。

 菅前首相のTPPに関する発言以後、わずか1年余りで、わが国はTPPに事実上参加することを表明した。後継者の野田首相は、アメリカの圧力のもと、前任者の密約に従って、TPPへの参加を進めているのではないか。
 アメリカでは昨22年秋の中間選挙で民主党は大敗した。今年1月26日、オバマ大統領は2度目の一般教書演説を行った。演説は5年間で輸出を倍増する。それによって雇用を創出することを最大の狙いとするものだった。オバマ大統領は、再選のためには、雇用を創出するしかない、それには、日本を標的にするしかないとして、TPP参加の圧力を強めたのだろう。
 わが国では、TPPに参加しなければ、アメリカとの同盟関係に影響し、参加すれば同盟の強化になるという意見がある。本来TPPは経済協定であって安全保障条約ではない。だが、アメリカは経済と安保を合わせて外交の材料に使ってくる。わが国は自分で自分の国を守ることのできない状態であるがために、本来経済協定と軍事安保は別問題なのに、アメリカから安全保障を切り札にして強く押されると、わが国の国家指導者は妥協・譲歩・追従を選択するのだろう。TPPの参加問題は、そこがポイントだと思う。
 今年11月12日から行われたAPECで、野田首相は、TPPの協議に参加することを表明した。その後、19日からのEASで、アメリカは中国をけん制し、アジア太平洋諸国をアメリカ寄りに引き付ける強力な外交を行った。日本のTPP協議参加表明がきっかけになって、こういう流れができたかのように見える。私が思うに、これはアメリカのシナリオ通りで、アメリカはAPECで日本に参加表明をさせ、EASで中国に外交攻勢をかけて、アジア太平洋地域における主導権を固めようと計画していたのだろう。

 尖閣問題は、わが国にとっては、自国の領土と資源の防衛である。しかし、インド洋からアジア太平洋地域に広がる地域における尖閣諸島の位置を確認するならば、尖閣は、アメリカと中国のパワーバランスの拮抗点の一つである。南沙諸島をめぐっては、フィリピン、ベトナム、マレーシアが中国と係争中である。中国はミャンマーに港湾を作って、中東と自国を結ぶルートを築いており、インドとの間にも徐々に緊張を高めている。インド洋からマラッカ海峡を通って、フィリピン沖、台湾沖を北上する道は、日本のシーレーン、石油輸送の生命線である。尖閣だけでなく、シーレーンの防衛問題も、アメリカはわが国に強く押し出しているはずである。
 わが国にとっては、シーレーンを抑えられれば、のどもとに手をかけられたと同然となる。それゆえ、わが国の安全と繁栄を維持するためには、同盟国アメリカとの連携とともに、南シナ海で中国と緊張関係にあるASEAN諸国との連携が重要である。さらに加えて、南方のオーストラリア、西方のインド等との連携を拡張していくことが、わが国の外交・安全保障政策の中期的課題とされねばならない。だが、その課題をアメリカに押しまくられ、アメリカに経済的・金融的に決定的に従属する形で実現するとなれば、独立した主権国家としての主体性や誇り、気概は自ら捨て去るに等しい。
 東南アジアでは、近年中国が外交的な影響力を強めている。オバマ政権は、当初の中国への融和路線から、強力に対抗して巻き返す方針に転換した。アメリカは、アジア太平洋地域を世界で最も重要な地域と位置付け、積極的に関与し、地域大国としての中国の海洋進出を制止しようとしている。こういう方針のもとに、アメリカは日本をTPPに参加させ、まず経済的な従属国として利用する。リーマンショック後の深甚なダメージから回復するために、日本に関税自主権の放棄と自主規制を撤廃させて、日本市場を食い物にする。それと同時に、日本を利用して中国に対抗し、アジア太平洋地域での主導権を確保し、安全保障の強化を図る。日本はこれに献身的に協力して、アメリカに奉仕する形になりつつある。アメリカの世界戦略に日本は利用され、協力させられている。アメリカにとっては、リーマンショック後の経済的回復と雇用創出・ドルの防衛、アジア太平洋地域への本格的関与による経済的利益の拡大、中国の地域覇権主義への対抗という一石三鳥になっている。
 わが国が憲法を改正して独立自尊の国家を目指すのでない限り、アメリカに経済的・金融的に従属する状態を脱しえない。また独自の外交方針をもって、国益を追求する外交を行うことができない。日本は、アメリカの軍事力によって保護され、当面の平和を与えられる。だが、国民及びその代表者である政治家が、日本という国のあり方を根本的に考えて決起しないと、日本はアメリカへの従属を深め、経済的に収奪されつつ、固有の伝統・文化を失い、亡国に向かうだろう。仮に今後、アメリカが経済的・軍事的に衰退し、中国が東アジア、南アジア、インド洋に覇権を拡大した場合も、今のままでは日本は、似たような運命をたどる。国の半分ないし全部が中国の自治区のようになり、日本がシナ化していくだろう。

 以上は多くの点で想像に基づく見方である。TPPの参加問題と尖閣事件について、私は現在、このように考えている。
 以下は、東アジアサミットに関する報道記事のクリップ。

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●産経新聞 平成23年11月20日

http://sankei.jp.msn.com/world/news/111119/amr11111921110010-n1.htm
【東アジアサミット】
中国を揺さぶる オバマ大統領、圧倒的な外交攻勢
2011.11.19 21:06

 【ヌサドゥア(インドネシア・バリ島)=佐々木類】オバマ米大統領の初参加で、米中両国が主導権争いを演じた東アジアサミット。米国に日本、韓国、オーストラリアなどの同盟国や友好国が同調し、南シナ海の通商、航行の自由をめぐって中国の温家宝首相と対峙(たいじ)する構図となった。
 米中両首脳は、全体会議に入る前から激しく火花を散らした。ホワイトハウスは19日、急きょ中国との首脳会談を行うと発表。前夜に中国側からあった申し入れに応じたものだ。
 両首脳はバリ島入りした後、南シナ海問題をめぐって「外部は干渉してはならない」(温首相)、「われわれ全員の問題。米国は多大な関心がある」(オバマ大統領)と激しい前哨戦を繰り広げていた。それだけに、会談冒頭の取材もカメラとテレビだけが取材を許され、ペン記者は取材不可。双方とも、神経質になっていることをうかがわせた。
 2国間交渉による解決を主張する中国と、多国間協議の枠組みでの解決を目指す米国、日本、オーストラリアと、中国と係争中のベトナムなど一部ASEAN加盟国の主張は鋭く対立したまま平行線をたどった。
 ドニロン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は会談後、記者団に「ハワイで大統領が胡錦濤国家主席に伝えたのと同様、温首相にも(アジア太平洋地域における)米国の国益を明白かつ直接伝えた」と語った。
圧倒的な外交攻勢をかけたのはオバマ大統領だ。オーストラリア連邦議会の演説で、アジア太平洋を最優先する新外交・安保戦略を表明。将来的に南シナ海をにらむ同国北部ダーウィンに米海兵隊2500人規模を駐留させると発表した。
 日本やインドなど同盟国や友好国と事前に個別会談をこなし、海洋安保で歩調を合わせることを確認した上、議長国インドネシアのユドヨノ大統領との共同声明で新型F16を24機供与することを電撃的に発表するなど、全体会議直前まで中国側を揺さぶった。
 ハワイのアジア太平洋経済協力会議(APEC)から9日間にわたったオバマ米外交から浮かび上るのは、ホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)を中心に練り上げた新外交・安保戦略の確立と、周到な中国包囲網の構築だった。
 「中国は、(アジア太平洋に深く関わる)われわれの戦略を知っている」。ドニロン補佐官は米側の主張を「遠慮なく」中国側に伝えたと明言した。

http://sankei.jp.msn.com/world/news/111120/chn11112000270000-n1.htm
【東アジアサミット】
米参入で中国“孤立” 南シナ海問題、焦りと危機感
2011.11.20 00:27

 【ヌサドゥア=青木伸行】中国は、東アジアサミット(EAS)に米国が加わり、南シナ海問題を含む海洋の安全保障問題でかつてない守勢に立たされた。
 会議でオバマ大統領が南シナ海問題を持ち出すと、温家宝首相はすぐさま手を挙げ発言を求め、反論した。会議筋によると、EASで扱うべき問題ではなく、関係当事国が直接交渉を通じ解決すべきだ、と従来の主張を展開した。多国間のアプローチをとる米国を牽制(けんせい)したこの発言は、危機感の裏返しだといえる。
 これまで、中国にとっての「要注意国」は主に、南沙(英語名・スプラトリー)諸島などの領有権を争うフィリピンと、ベトナムだった。とりわけフィリピンは、台湾を含む関係当事者6カ国による多国間交渉や、紛争海域を「平和、自由、友好、協力地域」とする構想を打ち出すなど、“目の上のこぶ”だった。
 だが、フィリピンの働きかけに、ASEANは結束できずにいる。加盟国のうち領有権問題の当事者ではなく、しかも中国に配慮するカンボジアやラオスが事実上、反対しているためだ。こうした加盟国に中国は「水面下で働きかけている」(交渉筋)という。
 そこへ「外部勢力」(温家宝首相)の米国が前面に押し出てきて、フィリピンとも“共闘”し、情勢は大きく変わった。
 フィリピンは、国連などの関与を模索してもいる。中国にとり、国際機関が新たな「外部勢力」となることは避けたい。しかも、米国などは「国際法の順守」を強く求め、南シナ海のほぼ全域の領有権を主張する中国の「違法性」を、切り崩そうとしている。
 サミットに先立つ米中会談は、温家宝首相が急遽(きゅうきょ)、呼びかけた。これも「焦りと危機感の表れ」(会議筋)と観測されている。
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靖国神社に関する動画

2011-11-23 18:23:56 | 靖国問題
 友人のチョックリーさんが、以前紹介した靖国神社に関する動画を完成しました。

【ゆっくり動画】 靖国誕生 -前編-
http://www.nicovideo.jp/watch/sm15816729
【ゆっくり動画】 靖国誕生 -中編-
http://www.nicovideo.jp/watch/sm16006349
【ゆっくり動画】 靖国誕生 -後編- (画質改善)
http://www.nicovideo.jp/watch/sm16205825

 靖国神社の由来を先祖崇拝・祖霊崇拝から深く掘り下げて研究し、わが国における靖国神社のかけがえのない意義を、わかりやすく表現しています。
 視聴をお勧めします。

トッドの移民論と日本109

2011-11-23 08:39:50 | 国際関係
●改正国籍法の問題点

 平成20年(2008)12月、当時与党だった自民党・公明党と野党・民主党の賛成多数で、改正国籍法が可決された。法案は、国会議員が地方遊説に出た隙を狙って提出された。マスコミは取り上げず、法案の危険性を知った人々がインターネットで反対するなか、わずか3時間の審議で採決し成立した。
 これは、結婚の有無にかかわらず、日本国籍の母親か父親が認知すれば、DNA鑑定抜きで日本国籍の取得が認められるというものだった。外国人女性が日本人男性と性的関係を持って妊娠した場合、日本人男性との結婚を条件としなくても、その子供は日本人である父親の認知だけで日本国籍を取得することが可能になったわけである。
 妊娠中の外国人女性が合法滞在者なら、日本人男性の認知さえ獲得すれば、その時に所持していた滞在資格が切れる前に、日本人である子供の養育者として永住資格も可能である。また、不法滞在者であっても、生まれた子供が日本国籍となれば、その女性も特別滞在許可を申請取得することが可能なのである。子供を認知する男性に扶養義務さえも明記されていない。
 国籍法の改正以降、偽装認知が横行するようになった。22年(2010)3月9日付の産経新聞によると、改正国籍法の施行以降、21年(2009)の1年間に699人の認知届け出があり、うち548人が既に日本国籍を取得しているという。改正国籍法を悪用した事件も発生している。例えば日本人男性を父親とする虚偽の認知届を提出し、子供に日本国籍を取得させようとした例がある。類似の犯罪行為が多発することが懸念されている。
 だが、これが偽装認知とわかっても、新しく定められた罰則は最高で1年以下の懲役もしくは20万円以下の罰金にすぎない。坂東忠信氏は、著書『日本が中国の自治区になる』で次のように書いている。「この法律を悪用すれば、ちょっとした行動力とパソコン1台で、巨額の利益を生む合法売国ビジネスが可能」「この合法売国ビジネスが国内に拡大すれば、性病が蔓延し、家族制度は崩壊し、ヤクザが介入すれば覚せい剤市場が拡大します」と。

●中国人と国籍問題

 在日韓国・朝鮮人の多くは国籍にこだわり帰化に抵抗するが、中国人はむしろ日本国籍を積極的に欲しがる。中国人は、日本を嫌っているにもかかわらず、日本国籍をノドから手が出るほど欲しがる。関岡英之氏は、著著『中国を拒否できない日本』で次のように言う。
 「日本のパスポートを持っていれば、大概の先進国は査証なしで出入国が可能である。中華人民共和国のパスポートしか所持していて歓迎されるのは、アフリカの一部の国ぐらいであろう。また本国では一人っ子政策で子供を一人しかつくれないが、日本国籍を取得すれば何人でも増やせる。日本には自由も民主主義も、手厚い社会保険制度もある。中国人は、必要とあらば国籍を変えることになんの痛痒も感じない」と。
 外国籍を取得したシナ人、つまり華人は、国籍上は日本人であるため、国政でも地方政治でも、選挙権はもちろん被選挙権も既に手に入れている。ただし、外国籍を取っても、中国人は国籍にかかわりなく「自分は栄光ある中華民族の一員だ」という強烈な中華思想を持っている。日本に帰化していてもアイデンティティはあくまでも中国人である。
 わが国は国家安全保障のため、一般永住外国人の国籍取得は条件を厳しくすべきである。関岡英之氏は、著書『中国を拒否できない日本』で次のように言う。
 「中国の情報機関の工作員が偽装帰化して、わが国の自衛隊、治安当局、司法当局などの公的部門に、長期潜入工作するという事態も想定し、防諜(カウンターインテリジェンス)策を講じなければならない。国籍取得要件はむしろ厳格化すべきだ。帰化を安易に認めるべきではない」
 ところが、わが国は、先に触れた改正国籍法のように、ますます危機管理を緩める方向に暴走している。坂東忠信氏は『日本が中国の自治区になる』で次のように書いて、警告している。「中国政府はすでにこの法律の利用を計画していて、日本に渡航予定の就学生や留学生や起票派遣女性には、この法改正を紹介し、『妊娠したら日本人に認知させて、子供を日本国籍にするように』『国籍取得後は子供を中国で養育すること』と指導しているという情報が入っています」「日本国籍を持ち、中国人の血を引く子供を中国で養育すれば、身分以外はほとんど中国人。反日教育と諜報活動に必要な訓練を施し、成長後来日すれば、完全無欠の工作員になるからです」と。
 ところで、国籍取得とは違う事柄だが、平成21年(2009)10月29日の朝日新聞によると、最高裁は司法研修生の選考要項から、日本国籍を必須とする国籍条項を削除した。これは現状を追認したもので、すでに140人以上の外国籍の司法試験合格者が司法修習を受け、弁護士に任用されている。外国籍のままでは国家公務員たる検察官や裁判官にはなれないが、日本国籍を取得すればそうした進路も開ける。このことは日本の法秩序を徐々に変質させ、外国人や帰化人に有利な方向に変えようとする動きである。国籍付与の条件の厳格化とともに、わが国の法秩序の再構築を行わないと、わが国は日本人自らの判断で、日本を徐々に解体させることになる。

 次回に続く。

尖閣諸島を守る全国国民集会が開催

2011-11-22 10:42:57 | 尖閣
 11月21日、東京・砂防会館大ホールで、「尖閣諸島を守る全国国民集会」が開催された。私は同僚とともに参加した。
 主催者である本集会の実行委員会の発表によると、わが国の領土領海を守る署名は212万名に達し、国会請願紹介議員は240名を超えた。また石垣市長の尖閣上陸を支持する地方議員の署名は3,377名となった。この集会は、こうした署名をもとに、政府・国会に対し、わが国の領土領海の主権と国益を守るための警備強化を求めるために開催された。
 以下、メモをもとに概要を記す。

●開会の挨拶 三好達氏(日本会議会長)

●来賓挨拶 松原仁国土交通副大臣

●各界からの提言
 比嘉康雅氏(沖縄県漁業士会会長)、桜井よしこ氏(ジャーナリスト)、香田洋二氏氏(元自衛隊司令官)、中山義隆氏(沖縄県石垣市長)の4名が提言をした。それぞれ深い感動を与える訴えだった。Youtube等に動画が掲示されることと思う。ぜひ視聴をお勧めする。

 中山石垣市長の提言の後、石垣市長の尖閣上陸を支持する地方議員の署名が、代表の松田良昭神奈川県議から手渡された。

●各党代表挨拶
 集会に参加した国会議員を紹介。
 国民新党:亀井静香衆議院議員、たちあがれ日本:平沼赳夫衆議院議員、民主党代表:馬淵澄夫衆議院議員(元国土交通大臣)、自民党代表:新藤義孝衆議院議員(党領土に関する特命委員会委員長代理)、赤松正雄衆議院議員(党政調副会長)
 これらのうち、平沼氏と新藤氏の発言は、録画の視聴が可能であれば、視聴をお勧めする。平沼氏は尖閣を守るには憲法の改正が必要と日本の根本課題を説いた。一方、新藤氏は国会で尖閣が灯台・気象台・避難港等の適地か調査することを、氏が委員長を務める決算行政監視委員会で進めると報告した。

●決議
 決議文が採択された。本稿の最後に掲載する。

●安倍晋三元総理大臣挨拶
 遅れて来場した安倍氏が紹介され、挨拶を行った。元総理大臣が集会に駆けつけ、演壇に立ち、予定外の挨拶を行ったことは、本集会の意義を高めるとともに、尖閣を守る運動の国民的な広がりを確認させることとなった。

●国民署名並びに決議文の各党への手交
 212万名の署名と採択された決議文が、国境離島から参集した代表者5名から、各党代表に手渡された。

●「守ろう」「頑張ろう」シュプレヒコール
 参加者全員で、尖閣を守ろう、頑張ろうというスローガンに合わせて、「守ろう」「頑張ろう」と唱和。

●閉会挨拶 下村博文氏(日本会議国会議員懇談会幹事長・衆議院議員)
 この発言は、録画の視聴が可能であれば、視聴をお勧めする。下村氏は、中国側に本年6月17日尖閣支配の計画があり、大震災で延期されたが、今後の計画実施し備えを急ぐべしと訴えた。

 以上が概要である。
 次に、決議文を掲載する。

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決議文

 昨年九月の尖閣諸島沖事件は、近隣の国家によって我が国の国境離島と領海の安全が脅かされていることを、全国民に知らしめる大きな契機となった。
とりわけ尖閣諸島海域では、多くの中国漁船が我が物顔で違法操業を繰り返し、いまや日本の漁業関係者は尖閣海域で漁業ができない状態に追い込まれている。
 漁業関係者など沖縄からの切実なメッセージに呼応して「尖閣を守れ」「日本の海を守れ」という声が全国各地から沸き起こり、昨年十一月より領土領海を守るための署名運動が繰り広げられた。全国各地で集められた国民署名は、実質一年にも満.たない僅かな期間で実に二百万を超え、請願署名の紹介議員も二百名を突破した。また、石垣市長の尖閣諸島上陸視察を支持する地方議員署名も三千三百名を上回り、国会では、議員による尖閣上陸調査に向けた動きが生まれている。
 こうした世論の盛り上がりの中、石垣市議会は昨年十二月、一月十四日を「尖閣諸島開拓の日」とする条例を可決した。また、海上保安庁は海上警察権の強化に向け一月に発表された国交大臣の基本方針に基づき、この八月、中間報告を発表し、来年の通常国会に関連法案を提出する意向を表明している。一千トン級の巡視船も新たに石垣島へ配備された。
 このように領海警備体制の強化については前進をみせているが、政府は、石垣市長の尖閣諸島上陸を認めないばかりか、尖閣諸島での灯台建設や避難港整備といった実効支配強化策も未だ講じていない。
 さらに、沖縄海域を通過した中国軍艦が近海で軍事演習を実施する一方、中国は、尖閣諸島の領有権を主張して、漁業監視船による領海侵犯や、海洋調査船による違法調査を繰り返すなど、尖閣海域の実効支配に向け着々とステップアップを図ってきているが、これに対し我が政府は、何ら有効な措置をとっていない。よって尖閣諸島を含む国境離島と領海の安全を守るため、我々は政府に対し、二百万署名をもとに以下の三点の実現を強く要望する。

一、石垣市長による上陸調査を速やかに認め、灯台や避難港を建設するなど尖閣諸島の実効支配を強あるとともに、国境離島については安全確保・経済振興に向けた特別な対策を打ち出すこと。
二、現在鋭意検討準備が進められている海上保安庁の領海警備に係わる法案を、次期通常国会に提出し、速やかに成立させること。
三、領海の安全を守ることができるよう、国際法に基づいて領海侵犯を取り締まる法律を制定するとともに、自衛隊法を中心とした法整備を早急に進めること。
 右、決議する。

平成二十三年十一月二十一日
尖閣諸島を守る全国国民集会
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関連掲示
・拙稿「尖閣諸島、6月17日に備えよう」
http://homepage2.nifty.com/khosokawa/opinion12i.htm

トッドの移民論と日本108

2011-11-21 08:42:00 | 国際関係
●国民の資格と参政権

 先に、永住外国人への地方参政権付与について書いた。参政権の問題は、国籍の問題と深く関係しているので、ここで改めて欠くこととする。
 現行憲法は、第十五条に「公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である」と定めている。国民とは日本国籍を持つ者のことだから、日本国籍を持つ者のみが、公務員の選定と罷免の権利を持つということである。ここにいう公務員とは、国会議員、地方首長、地方議員、最高裁判所裁判官等を含む。これらの公務員の選定・罷免の権利が、参政権である。参政権には選挙権・被選挙権、国民投票、国民審査で東京する権利等を含む。憲法は、こうした参政権を「国民固有の権利」とし、日本国の国籍を持つ者のみが参政権を持つことを規定している。
 日本国籍を持たない非国民は、日本の参政権を持たない。仮に外国籍の人間に参政権を一部といえども与えようとするのであれば、憲法の改正が必要である。日本の参政権を得る唯一の道は、日本の国籍を取得することである。
帰化による国籍取得については、住所・能力・素行・生計・重国籍防止・憲法遵守の6つの一般的な条件がある。これらの条件を満たせば、帰化の道が開かれている。日本に帰化することなく参政権を得ようとする外国人に、参政権を与えてはならない。
 私は、特別永住外国人については、外国人参政権は付与せず、帰化を促進すること、また一般永住外国人に対しては、参政権を与えないのは同様だが、帰化の条件を厳しくするとともに、移民の量的制限をすることが必要だと考える。
 こうした考え方のもとに、外国人に日本国籍を与える際の条件を強化する必要がある。それには、日本国民とは誰か、どういう人間が日本国民になれるのか、日本国籍を持つ人間は何をなす人間か、ということを明確にしなければならない。日本国籍取得を希望する外国人には、日本語能力の試験をし、日本の伝統・文化・国柄への理解、法制度への理解等につき、学習と試験を行なうべきである。そして、国民的アイデンティティを共有し、日本国民になりきるように教育する。これは出自の文化、言語、習慣を捨てることを意味しない。シナ系日本人、コリア系日本人、ブラジル系日本人等として、日本の言語・文化・慣習を主としつつ、出自の文化、言語、習慣を副として保持すればよい。それは自由である。
 仮にこのようにしても、なお国籍を取得して帰化した渡来系日本人が、日本国よりも出身国への忠誠を心に抱き、出身国及び同じ民族の利益のために行動することが考えられる。実際、わが国では、帰化して日本名を使用しているコリア系日本人が、韓国または北朝鮮の国益や同じ民族の利益を追求して、活発に政治活動をしている。帰化した者と帰化しない者が連携して、法制度が自分たちに有利になるように、日本の政治を変えようと活動してきた。それゆえ、日本国への忠誠・義務は絶対条件である。そして、そのためには、日本人がまず自国への忠誠・義務を明確化することが必要である。特に国防の義務がポイントとなる。私は、憲法を改正し、国民に国防の義務と国家忠誠の義務を定め、刑法の通牒利敵条項を回復し、スパイ防止法を制定するまで、移民の量的制限は厳しくすべきと考える。

 次回に続く。