ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

インド76~マハリシ・マヘーシュ・ヨーギー

2020-04-30 10:31:03 | 心と宗教
●マハリシ・マヘーシュ・ヨーギー

 マハリシ・マヘーシュ・ヨーギーは、1918年にマディヤ・プラデーシュ州に生まれた。本名はマヘーシュ・プラサード・ヴァルマーという。
 イラーハーバード大学で物理学の学位を取った後、ヒマラヤ山脈のウッタルカーシーの洞窟で隠遁生活を行った。その後、1955年に、超越瞑想(transcendental meditation、TM)の指導を開始した。
 超越瞑想は、シャンカラ派のブラフマナンダ・サラスワティの教えを受け継ぐものとされ、マントラを心の中で唱える瞑想法の一種である。集中せずに、1日に20分づつ2回実行する。それによって、神経活動を抑え、意識を深みに導く。ストレスの解消、それによる健康増進、能力開発、自己実現等の現世的・実用的な効果を謳い、悟りと世界平和を目的とする。
 マヘーシュは、「人は悟りを達成するために聖人になる必要はない」「生命はその本質において至福であり、すべての人間は何物にも縛られない至福の意識を経験することができる」「生きることは神意識と一体になることである」と説いた。超越瞑想によって自己の本性が至福に他ならないことを経験し、神意識に到達し、それを日常生活に貫徹することができると教えた。現代文明は物心の両面が不調和であり、超越瞑想を行うことで、それが完全に調和されて物心両面の幸福が得られるとした。
 マヘーシュは、人類の10分の1が超越瞑想を実践すれば、世界に平和と調和を生み出せると考え、1959年カルフォルニアに精神復活運動の法人を設立した。また、1960年代に、ヨーロッパ諸国で講演を行った。すると、超越瞑想は欧米で瞬く間に広まり、マヘーシュはヒッピーたちの尊敬の的となった。1968年にビートルズがインドを訪問し、ヒマラヤ山麓にあるマハリシ・アーシュラムに滞在したことは、世界的なニュースになった。1970年代前半には、超越瞑想を支持する科学者たちが権威ある科学雑誌にその効果を認める論文を寄稿した。これによって超越瞑想が社会的に広く受け入れるようになった。
 マヘーシュは、1972年に、「世界計画」と呼ぶ運動を始めた。この運動は、次の7つの目標を掲げる。(1)個人の可能性を十分に開発すること。(2)行政の成果を高めること。(3)思考の教育理念を実現すること。(4)人類を不幸にしているあらゆる行動や犯罪の問題を解決すること。(5)知性ある環境の用い方を最大限に行うこと。(6)個人と家族と社会に充実感をもたらすこと。(7)人類のあらゆる精神的目標を現在の世代において達成することーーである。
 1975年に、マヘーシュは「マハリシ効果」について発表し、「悟りの時代の夜明け」を宣言した。TMの団体のサイトによると、マハリシ効果とは「人口の1%の平方根に当たる人数が同時に超越瞑想を実践すると、社会の秩序と調和が激的に増進する相転移という現象が起こり、気候、作物の収穫、人間の寿命、世界平和が著しく向上し、犯罪、事故、疾病、ストレスが明らかに減少し、その地域に平和をもたらすことができる」というものである。
 1980年代の日本では、超越瞑想がサラリーマンを中心としたストレス解消法として広まり、ソニー、京セラ等の企業が福利厚生に導入した。米国では、IBM、ゼネラルモーターズ等が瞑想を研修として採用した。
 マヘーシュは、ヴェーダに盛られた古代インドの医学、食事療法、建築術、天文学、音楽等を再評価し、これに現代の科学や医学の知見を取り入れた「ヴェーダ科学」を提唱した。マヘーシュは、自らの瞑想法や思想を広めるため、2000年に「世界平和のグローバル・カントリー」という非営利の世界的組織を設立した。また、2001年に、米国アイオア州フェアフィールドに「マハリシ・ヴェーディック・シティ」(ヴェーダ都市)を設立した。これは「ヴェーダの原理に基づいて行政が行われ、自然法によって統治される完全な共同体」(TM団体のサイト)とされる。ヴェーダに基づく有機農法で作物が生産され、ヴェーダに基づく健康管理が行われているという。
 マヘーシュは、2008年にオランダで亡くなった。現在、超越瞑想の実践者数は、世界全体のおよそ300万~500万人といわれる。メディア王ルパート・マードック、映画監督ジョージ・ルーカス、俳優クリント・イーストウッド、女優キャメロン・ディアス等の著名人が実践者として知られる。
 マヘーシュの超越瞑想は、ヒンドゥー教に伝統的な世俗を離れて厳しい修行生活を送るのではなく、現代人が日常生活で簡単に実践できるものとされる。それが果たして解脱に到達できる道であるかどうかは、大安楽往生の体験報告が多数あるかどうかで判断する必要がある。

 次回に続く。

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 『人類を導く日本精神~新しい文明への飛躍』(星雲社)
https://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/cc682724c63c58d608c99ea4ddca44e0
 『超宗教の時代の宗教概論』(星雲社)
https://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/d4dac1aadbac9b22a290a449a4adb3a1

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インド75~パラマハンサ・ヨガナンダ

2020-04-29 13:15:28 | 心と宗教
●パラマハンサ・ヨガナンダ

 パラマハンサ・ヨガナンダは、1893年にインド北東部のゴーラクプルに生まれた。本名はムクンダ・ラル・ゴーシュという。
 17歳の時に、ヨーガ行者スリ・ユクテスワギリと出会い、弟子入りしてクリヤー・ヨーガを学んだ。カルカッタ大学を卒業後、僧侶として正式な誓いを立て、ヨガナンダという名前を授かった。
 1920年、米国のボストンで開催された宗教指導者国際会議に、インド代表として参加して講演を行って、聴衆に感銘を与えた。その後、東海岸を中心に講演し、続いて大陸横断の講演旅行を行った。1925年に古代インドの科学、ヨーガの哲学、瞑想の伝統を広めるために、ロサンゼルスに自己実現同志会(the Self-Realization Fellowship)の国際本部を設立した。続いて、1927年に姉妹団体の全宗教自己実現教会(Self-Realization Church of All Religions)を設立した。これらの団体は、ヨガナンダの指導の下で活動し、その思想を広めた。彼の活動に関する報道に関心を持ったカルビン・クーリッジ大統領から、公式に大統領官邸に招かれた。
 当時、彼の弟子になった者には、ジャガイモの品種改良で有名な植物学者ルーサー・バーバンク、イーストマン・コダック社の創業者ジョージ・イーストマン、社会派の詩人エドウィン・マーカム、人気指揮者のレオポルド・ストコフスキーなど科学・経済・芸術等の分野の著名人が多くいた。イギリスの植民地から来た宗教家に、西洋の知識人が帰依したのである。
 ヨガナンダは、諸宗教の根源的な共通性を強調し、誰でも実践できる直接、個人的に神を経験するための方法を説いた。さらに真剣に学ぼうとする者には、クリヤ―・ヨーガの行法を伝授した。
 クリヤー・ヨーガは、「神の理解と内なる平安の達成のための科学的技法」とされる。ヨガナンダによると、クリヤー・ヨーガによって、身体に大量の酸素を取り込まれ、これが「生命の流れ」に変わり、脳と脊髄が活性化される。実践者は、カルマから解き放たれ、心身の衰えが止まり、心の平安を達成し、神とその愛を会得することができる。ヨガナンダは、クリヤー・ヨーガを西洋に広めることが使命であると信じて活動した。
 ヨガナンダは、次のように説いている。「瞑想によって、脳の周囲を認識する領域が弱まる。壁が取り除かれる」「行動を繰り返せば、心にパターンができる。脳にわずかな電気の道が作られるのだ。レコードのような溝だ。自分で作った溝をたどって生きるのが人生である。それに沿って生きていくようになる。ヨーガはその溝をつくり直す、思考・行動のパターンを変えるものである」
 1946年にヨガナンダの生涯を描いた『あるヨギの自叙伝』が出版された。ロング・セラーとなり、歌手のエルヴィス・プレスリー、ビートルズのジョージ・ハリソン、アップル社の共同創業者の一人、スティーヴ・ジョブズらの座右の書となった。18の言語に翻訳され、20世紀屈指の宗教書となっている。
 ヨガナンダは、1952年3月7日に死去した。遺体は埋葬まで20日間安置されたが、その遺体が腐敗しなかったという。ロサンゼルスのフォレスト・ローン墓地の遺体仮安置所の所長ハリー・ローは、次のように証言している。「彼の肉体は死後20日に及んでもまったく分解の色が見えなかった。死体がこのように長い間、完全な状態を保持した例は、この遺体安置所が始まって以来、類例のないことである」と。
 遺体が長い日数、腐敗しないという状態は、大安楽往生の現象の一つである。ただし、その一事のみを以って、大安楽往生とは認定できない。大安楽往生は、腐敗しないということの他に、死後硬直がない、体温が冷めない、死斑がない等を特徴とする。ヨガナンダの場合、腐敗がなかったとすれば死臭はなかったと考えられるが、それ以外の点は不明である。仮にヨガナンダ自身は、自分一人が大安楽往生をして、解脱できたとしても、他の多くの弟子や信者をも大安楽往生させ得たという報告はない。その点が、大塚寛一先生とは格段の違いである。
 現在、ヨガナンダが設立した自己実現同志会は、世界各国に500以上の施設があり、175以上の国に会員がいるとされる。

 次回に続く。

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金正恩が死去か、北朝鮮の新たな体制への備えを1

2020-04-27 12:32:44 | 国際関係
 4月25日の篠原常一郎氏の情報によると、北朝鮮の最高指導者・金正恩の脳死が確認されたとのことです。

・昨年10月脂肪吸引手術失敗により心臓血管詰まる
・4月12日心臓手術失敗
・4月15日脳死確認
・金与正らがトランプ大統領に金正恩脳死の親書。大統領は重体説を否定したのは"もっと重い"という事
・4月25日中国医師団も脳死確認

 詳細はこちらにある。
https://www.youtube.com/watch?v=xBOjbeaJP_4

 次に、河添恵子さんの4月25日午後6:34からの3本のツイートが詳細を伝えています。

「(略)金正恩の死去に関する中国語メディアの内容。
 金正恩が(平壌の)郊外を視察している最中に心筋梗塞で倒れた。北朝鮮が中国に連絡。中国医学院の国立循環器病センターと人民解放軍301病院から50人近い医療チームが平壌に派遣されることに。
 医療チームが来るのを待つ間、北朝鮮の医師が緊急の心臓ステント手術を行った。執刀した医師は中国で医療を学んだ北朝鮮の外科医。「心臓ステント手術」は本来、難易度の高い手術ではないが、オペを担当する外科医は非常に緊張し、何よりも金正恩ほどの肥満の人のオペをした経験がなく、ステントを入れるまでに8分かかった。 この間、金正恩は植物人間になった。
 中国の医師チームは到着後、金正恩を診療したが結論的になす術がなかった。」

 金正恩が死去か再起不能の場合、金一族の支配体制は、妹の金与正(キム・ヨジョン)体制に移行するだろう。だが、現体制を支えている勢力にとって、32歳の与正は「完全にひよっ子」。「他のオプションとしてわれわれが押さえておくべき」なのは、金正恩の叔父で金正日の異母弟の「金平一(キム・ピョンイル)の存在」だ、と脱北した元駐英北朝鮮公使は語っています。

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太救民氏「金与正はひよっ子、金平一に注目すべき」
4/23(木) 20:41配信

 脱北した元駐英北朝鮮公使で、先日の総選挙で当選した未来統合党の太救民(テ・グミン)氏(本名=太永浩〈テ・ヨンホ〉)が23日、金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の重篤説がささやかれる状況に関連し「(金正恩氏の妹の)金与正(キム・ヨジョン)体制に移行するだろうが、現体制を支えている60―70代の勢力にとって、金与正(32)は完全にひよっ子」だとして「他のオプションとしてわれわれが押さえておくべきなのは金平一(キム・ピョンイル、66)の存在」と話した。
 金平一氏は、故・金正日(キム・ジョンイル)総書記の異母弟で、金正恩委員長の叔父に当たる。金平一氏は金正日総書記との権力争いに敗れ、1979年以降はハンガリー、ブルガリアなどの海外公館で勤務し、昨年チェコ大使としての勤務を最後に40年ぶりに平壌に戻った。
 与正氏が金正恩委員長の有力後継者ではあるものの、あまりに若いため、事態が急変した場合に新たな指導者として認められるのは容易ではなく、むしろ同じ白頭血統(金一族の血筋)で一時は故・金日成(キム・イルソン)主席の後継者と目された金平一氏が再び浮上する可能性があるというわけだ。
 太救民氏はこの日、KBSラジオの『最強時事』に出演し、このような分析を示した。太救民氏は「仮に金正恩が重体に陥ったとか死亡したとしても、それがすぐに北朝鮮内部の混乱につながることはないだろう」として「北朝鮮の住民は数十年にわたり、盲目的に上層部の指示に従うことが習慣になっているからだ」と述べた。金与正氏による新たな指導体制になっても、ひとまず北朝鮮の住民は新体制をそのまま受け入れるだろうと主張したわけだ。
 しかし、太救民氏は「金与正体制になった後どのくらい長く続くのか、金与正の最側近の補佐陣がどれほど金与正を新たな指導者として支えていくのかは問題」だとして「金正恩のように長くは続かないと思う」と述べた。金与正氏は権力基盤が弱く、一部勢力によって交替させられる可能性があるというわけだ。
 金正恩委員長は昨年末、金平一氏を平壌に召還したのに続き、先月には故・金日成主席の娘婿、金光燮(キム・グァンソプ)駐オーストリア大使も27年ぶりに帰国させた。金光燮氏は金平一氏の姉キム・ギョンジン氏の夫だ。故・金正日総書記とは義理の兄弟という関係にある。
 金光燮氏は1970年代初め、金正日氏が後継者に内定して以降、金平一氏と同様に権力中枢から外され、海外に追いやられた。金正恩委員長が、長い間海外を転々としていた金平一氏と金光燮氏を北朝鮮に呼び戻したことをめぐっては、万が一の政治的リスクに備え始めたのではないかとの分析も示された。しかし、太救民氏の主張通り「金平一オプション」が現実になれば、金正恩委員長が金平一氏と金光燮氏を帰国させたことが、むしろ妹の金与正氏を窮地に追いやったことになる。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl…
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 金正日との権力争いに敗れて40年間、海外勤務をさせられてきた金平日を、金正恩は昨年平壌に戻したとのこと。「僕に何かあったら、妹をよろしく」とでも言ったのか。金正日の権力を継ぐ金正恩に忠実な指導部に対し、非主流派の金平日には、どれくらいの支持者がいるのか。金正恩は、後継体制について、方針を示しているのか。反金正恩の軍部不満分子によるクーデタの動きはあるか。権力の空隙をついて中国がどう動くか。米国はどうけん制するか、そして日本は・・・。

 4月22日の段階で産経新聞は、社説「主張」に次のように書いていた。

「北朝鮮の体制は独裁者を守り、その意向を実現するためにのみ存在する。金委員長が死亡または再起不能になれば動揺は避けられず体制の崩壊や、軍が対外的に暴発することにも警戒が必要だ。
 権力闘争や、これに伴う内戦が起きてもおかしくない。混乱を受けて北朝鮮の核・ミサイルが国内外に向けて発射されないという保証はない。北朝鮮の核施設を押さえるため、関係国が特殊部隊を派遣する可能性もある。
 ウイルス禍のさなかだが生活苦にあえぐ北朝鮮国民が何十万人、何百万人も難民化して韓国や中国へなだれ込む恐れさえある。
 北朝鮮という国家が存続するかどうかも含め、激変は避けられない。その近隣に位置し、自国民が拉致されたままの日本はあらゆる危機に備える必要がある。」

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 『人類を導く日本精神~新しい文明への飛躍』(星雲社)
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新型コロナウイルスは、武漢ウイルス研究所の石正麗らが開発した

2020-04-27 10:33:45 | 時事
 4月20日のフランス発のニュースによると、エイズウイルス(HIV)を発見したことで2008年にノーベル生理学医学賞を受賞したフランスのリュック・モンタニエ博士が、「新型コロナウイルスは中国武漢にあるウイルス研究所から事故的に漏洩してしまった、人工操作されたウイルスだ」と発言した。
 博士は発表の中で、新型コロナウイルスSARS-CoV-2の中にエイズウイルスが含まれている、と説明している。この報告は、本年1月末にインドの研究者たちが発表したが、すぐさま削除されたものだった。
 モンタニエ博士は、生物兵器説ではなく、エイズのワクチンを作る研究をしていて、ウイルスが漏出したという見方である。
 トランプ米大統領は、モンタニエ博士の発表を取り上げて、中国共産党政府の責任を追及するか。マクロン仏大統領は、どう対応するか。また、安倍首相は、こういうレベルの情報を知り得ているかどうか。ちゅうもくされるところである。

 武漢ウイルスを開発したのは、武漢ウイルス研究所の石正麗らのチームと特定されている。2月22日の bookservice の記事が詳しく書いている。

 「コロナウイルスは王冠のような突起が存在していて、その突起が人間と結合すれば感染する仕組みで、もともと、コウモリの中にいたコロナウイルスは人間と結合できなかった状態だった。
 インドとイスラエルの、遺伝子配列を研究する専門家からも、表面にある4つのタンパク質が自然界には存在しえない配列を持っており、SARSにエイズウイルスが合成されているものだと指摘をしている。エイズウイルスの治療薬が効いたのはそのための可能性も…。患者の状態も、コロナよりエイズに近い症状が出ていると…。
 2015年の論文に石正麗が「SARSウイルスとコウモリウイルスを組み合わせることによって、最初に、ヒトの気道に感染する新しいタイプのコロナウイルスを作成したと」掲載されている。
 実は、今年1月下旬に中国共産党の公式軍事ページの西陸網で「人工的に作成したもので、武漢ウイルス研究所の石正麗研究員とそのチームがコロナウイルスを生成し、流出させた」と記事が掲載され、新コロナウイルスが、人工的に作られてたものであることを認めていた。※後日削除された。
 1/24日の、ワシントンポストでも、間違いなく武漢のP4研究所で作成流出したものと断言できるとも専門家が語っている。他にもハーバード大学の教授は間違いなく細菌兵器だと語っている」
https://www.bookservice.jp/2020/02/22/post-41435/



 武漢”人工”ウイルスを作成した石正麗の論文が、科学雑誌「Nature」のサイトに掲載されている。
https://www.nature.com/articles/nm.3985…
 また、昨年(2019)年2月7日に、中国共産党の公式軍事ページ「西陸網」は、石正麗がウイルスの作成に成功したことを伝えた。また「西陸網」は、本年1月26日に「武漢ウイルスの4つの主要蛋白質が交換され、中国人を正確に狙い撃ちできる」という文章を発表した。この文章には、武漢ウイルスが人工合成であることが書かれていた。
https://note.com/hoshi19/n/nb26e3099c341



 更に詳しいことを、下記のサイトが伝えている。
https://kakuyomu.jp/works/1177354054881040030/episodes/1177354054894226881

 これらの情報の他、私がマイサイトのドキュメント1・2に掲載した中国内部から漏れ伝わってくる数々の情報を総合すると、この人工的に作成されたウイルスが、モンタニエ博士がいうようなエイズのワクチンを開発するための研究で作られた、いわば平和利用のためのウイルスとは、到底思えない。
http://khosokawa.sakura.ne.jp/opinion12.htm
 目次からB48とB49

 4月15日、Foxニュースは、感染拡大の初期段階における中国当局の行動に詳しいとされる「多数の消息筋」の話として、ウイルスはコウモリから研究所の職員の1人に感染したと報じた。その後、この研究者から、近くにある武漢の市場を含め、武漢市の住民に広がったという。
https://jp.sputniknews.com/covid-19/202004167368444/?fbclid=IwAR0ip9hEaMYAsE0btLnT6pqVXUoW8JxCh2kMb0CTW8KmUZR7lrwsjbFEK3o
 この最初の感染者が昨年12月に感染し、既に死んでいると伝えられる黄という女性かどうかは不明である。中国共産党政府は、研究所職員から感染が広がったことを隠蔽し、偽の情報を流す宣伝工作を行った模様である。生物兵器の開発・研究でなければ、隠蔽をする必要はなく、まして偽宣をする必要は全くない。
 米国政府の調査機関は、上記のような様々な情報を当然持っているだろう。それらの情報の裏取りをして、トランプ大統領に報告するかどうか。大統領は、科学的・客観的な事実を発表するか、それとも政治的な配慮で外交的な駆け引きに利用するか。今後の展開を見守りたい。

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インド74~シュリ・オーロビンド・ゴーシュ

2020-04-25 08:39:16 | 心と宗教
●シュリ・オーロビンド・ゴーシュ
 
 ラーマクリシュナの影響を受けた宗教家の一人に、オーロビンド・ゴーシュがいる。
 ゴーシュは、1872年カルカッタに生まれ、7歳よりイギリスで教育を受けた。ケンブリッジ大学のキングス・カレッジを卒業して帰国し、教職にたずさわり、カルカッタのナショナル・カレッジの学長となった。1903年ベンガル分割反対闘争に参加し、ティラクらとともに反英運動を展開した。インドの独立を主張し、目的達成のためには暴力の行使も厭わない急進的なナショナリスト・グループのリーダーとして活動し、イギリス官憲に逮捕・投獄された。
 獄中で『バガヴァッド・ギーター』について熟考し、ある時、突然啓示を受けたという。釈放されると政治運動から身を引き、ヨーガの行者となって、インド南部のポンディシェリーに隠退した。1925年その地にオーロビンド・アーシュラムを建設した。アーシュラムは、道場を意味する。ゴーシュは、以後、そこを拠点にヴェーダ、『ウパニシャッド』、『バガヴァッド・ギーター』等を研究して、数多くの著作を発表する一方、ヨーガの実習・指導を行った。
 ゴーシュは、不二一元論の世界幻影論に異を唱えた。世界はブラフマンの自己展開によって顕現する。世界の中に魂が内在化して、徐々に霊的な進化を遂げる。霊的進化には物質・生命・精神の段階があり、それは意識の発展段階でもある。意識が発展し上昇するにつれて、梵我一如の真理に近づいていくと説いた。ここには、西洋の進化思想の影響が見られる。
 ゴーシュは、新しいタイプのヨーガであるインテグラル・ヨーガを唱えた。インテグラル・ヨーガは、神的な生命に相当する「スーパーマインド(超越心)」と呼ばれる高いレベルの霊的意識を確立することによって、地上での生活の進化を促進することを目的とする。その実修を通して、究極的な神的実在を体験することにより、自己は全人格的に変容し、聖化されて、超人になることができるという。
 ゴーシュのいう超人は、ニーチェが説いた超人とは違う。悪魔的な巨人型のアスラ(魔神)ではなく、ヨーガによって絶対者(神)の力、愛、英知を体得した聖なる人格である。伝統的には生前解脱者に相当する。
 ゴーシュは、普遍主義的な思想を説きながら、シヴァ宗の信仰対象であるシヴァを絶対者とする。シヴァと個我は本質的に同一である。物質世界において、シヴァの神の力を自由に駆使し得る人は、超人であるとする。そして、ゴーシュは、そうした精神的に高いレベルの人間の養成を試みた。超人の出現によってのみ、人類の政治的・社会的・経済的な諸問題を解決することができると考えた。
 ゴーシュは、インド思想こそが世界を導き、人類を救う思想であると力説した。同時に、すべての宗教は同一の道に通じるものであるとも主張した。
 「あなたの生命は、ただ神の道具として与えられたものであり、ひとえに、聖なる神の顕現を助けるためにのみ与えられたものであるということを、よくよく心得ておくことだ」と人々を諭した。
 ゴーシュの弟子の一人に、『告日本国』で知られる詩人ポール・リシャールがいる。また、ゴーシュの思想と行動は、クリシュナムルティ、マハリシ、ラジニーシ等の宗教指導者に影響を与えているとされる。
 ゴーシュは、1950年に亡くなった。フランス人女性、ミラ・アルファサがアーシュラムを継承した。1968年にポンディシェリー近郊に、国際的な村落共同体オーロヴィルが建設された。そこでは、民族・思想・信条等を超えたヒューマン・ユニティー(人間の和合)の実現を目指し、持続可能な自然循環型社会の創造に取り組んでいると伝えられる。

 次回に続く。

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「つくる会」系の教科書は狙い撃ちされた~藤岡信勝氏

2020-04-24 11:28:02 | 教育
 安倍首相は、教科書の内容の是正を含む教育改革を積極的に進めてきた。現文科大臣の萩生田光一氏は、安倍氏の側近として、安倍氏の政治を支えてきた政治家である。だが、その安倍政権、萩生田文科省のもとで、驚くべきことが起こった。教科書改善の先頭を切ってきた「新しい歴史教科書をつくる会」が推進する自由社の中学校歴史教科書が、教科書検定で「一発不合格」となったのである。また、「従軍慰安婦」という文言が教科書に復活するなど、歴史教科書の内容が反日自虐主義に逆戻りしている。
 藤岡信勝氏が詳細な経緯を下記の記事に書いているが、文科省には、左翼・リベラルの学者や教育者に同調している官僚が多くいて、巻き返しを図ってきたのだろう。
 藤岡氏は、次のように書いている。「今回の自由社不合格と『従軍慰安婦』復活は、歴史教育の改善に取り組んできた安倍政権へのあてこすりであり、文科官僚の反政権クーデターである。中国の習近平国家主席の国賓招待や武漢肺炎への対処に表れた安倍政権の対中姿勢が最大限利用され、つけ込まれている。
 安倍政権はこのクーデターを適切に鎮圧するのか、それとも官僚のいいなりになってクーデター勢力に加担するのか、瀬戸際だ。関係者からの事情聴取を必ず行っていただきたい。もし、安倍政権が今回の教科書検定結果をこのまま容認するならば、安倍政権の掲げた理念の死を意味することは疑いがない」と。
 なお、「つくる会」から分かれたグループが関わっている育鵬社の中学社会科の歴史及び公民は、ともに検定を合格した。これらの教科書の採択率が増加することを期待したい。
 以下は、藤岡氏の記事の全文。

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●産経新聞 令和2年4月10日

【正論】つくる会狙い撃ちの「不正検定」 教育研究者・藤岡信勝
2020.4.10

 令和元(2019)年度の文部科学省による中学校歴史教科書の検定結果は、この制度始まって以来の一大スキャンダルを明るみに出した。過去に3度も検定に合格し、少部数といえども実際に教室で使われてきた自由社の教科書が、平成28(2016)年に新設された「一発不合格」制度によって葬り去られたのである。
 まことに異例な、異様な検定であった。

≪中学で「従軍慰安婦」復活≫
 また、産経新聞の報道によれば、合格した教科書には「従軍慰安婦」という言葉が復活し、南京事件についての中国人の怪しげな、毒々しい証言が長々と引用され、沖縄戦は「捨て石」だったと記述された。これらがすべて検定意見を付けられることなくノーマークで通ったのである。
 平成9年、「従軍慰安婦」強制連行説に基づく記述が中学校のすべての歴史教科書に記載されたことに対する国民的な憤激を背景に「新しい歴史教科書をつくる会」が結成された。その後「従軍慰安婦」は中学校の歴史教科書からはほぼ一掃されていた。安倍晋三首相も平成28年1月の国会答弁で、強制連行、性奴隷、20万人の3つのポイントを明確に否定した。
 今回、つくる会が推進する自由社の歴史教科書が狙い撃ちされたのと、政府見解に反して「従軍慰安婦」の用語が復活したのとはコインの表裏の関係にある。「自虐史観」の克服を目指す教科書改善の流れに対する逆流が奔流となって押し寄せてきたのである。
 時代を20年前に引き戻す動きは今突然始まったものではない。5年前の26年度検定で、中学校歴史教科書に新規参入した左翼偏向の著しい学び舎の教科書が合格した。しかし、検定審議会の委員で歴史小委員会の委員長だった上山和雄氏は任期終了直後の27年4月24日付朝日新聞に登場し、学び舎の教科書が学習指導要領の「枠に沿っていない」ものであったことを明らかにした。
 それが事実なら、不合格になるはずのものだが、上山氏は、一方の極にある自由社は連続性の観点から落とせないので、バランスを取って学び舎も合格にしたという趣旨の発言をしていた。検定が実際は政治的判断で行われるということの告白である。

≪「一発不合格」の制度≫
 そして、次に狙われたのが自由社の抹殺である。26年度の検定では、自由社と学び舎が検定意見が多かったことを口実に、検定審議会は指摘数が総ページの1・2倍を超えると「一発不合格」とする制度をつくり、28年4月から施行した。こうした準備の上に、今回の検定が行われたのである。
 自由社は過去に今回を上回る多数の検定意見がついたことがあったが、70日以内に教科書を作り替えて再申請し合格してきた。今回は念には念を入れて校正したから、405箇(か)所もの「欠陥」を指摘されたのは心外であった。
 しかし、指摘された内容をみると、前回合格した記述が今回は不合格にされたほか、他社の教科書では合格しているのに、自由社であるが故に欠陥箇所とされたものが多数判明した。また、仁徳天皇が古墳に「祀(まつ)られている」を欠陥とするなど、極めて理不尽な言いがかり、こじつけ、揚げ足取りによって、意図的に「欠陥箇所」を水増しし、積み上げられていた。
 こうして、ページ数の1・2倍未満の376を29個上回る405箇所の欠陥箇所を無理やり製造したのである。これはもはや「不正検定」と断じざるを得ない。
 405箇所を検定基準の項目別に統計をとると、誤記・誤植などの単純ミスは少数で、「生徒が誤解するおそれのある表現である」などの、教科書調査官の恣意(しい)、主観、思い込みが入り込める項目によるものが292件もあり、全体の72%を占めた。ことの本質は、政治的判断による特定教科書の意図的な排除にほかならない。

≪歴史教育の改善に逆行≫
 個人の恣意に生殺与奪の権力を付与する「一発不合格」制度は憲法の禁ずる検閲である。また、国家公務員が特定の教科書会社を差別的に扱うことは、憲法第15条の「すべて公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない」という規定に明白に違反する。
 さらに深刻な問題は、このことがほかならぬ安倍政権のもとで起こったことである。今回の自由社不合格と「従軍慰安婦」復活は、歴史教育の改善に取り組んできた安倍政権へのあてこすりであり、文科官僚の反政権クーデターである。中国の習近平国家主席の国賓招待や武漢肺炎への対処に表れた安倍政権の対中姿勢が最大限利用され、つけ込まれている。
 安倍政権はこのクーデターを適切に鎮圧するのか、それとも官僚のいいなりになってクーデター勢力に加担するのか、瀬戸際だ。関係者からの事情聴取を必ず行っていただきたい。もし、安倍政権が今回の教科書検定結果をこのまま容認するならば、安倍政権の掲げた理念の死を意味することは疑いがない。(ふじおか のぶかつ)
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 『人類を導く日本精神~新しい文明への飛躍』(星雲社)
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 『超宗教の時代の宗教概論』(星雲社)
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インド73~ラーマクリシュナ・パラマハンサとヴィヴェーカーナンダ

2020-04-23 10:11:21 | 心と宗教
●ラーマクリシュナ・パラマハンサ

 ローイが亡くなった3年後の1836年、ラーマクリシュナ・パラマハンサが、ベンガルの貧しいバラモンの家に生れた。本名はガダーダル・チャットーパーディヤーヤという。パラマハンサは、サンスクリット語で「至高の白鳥」を意味し、世間にあって真理を体得した覚者への尊称である。
 ラーマクリシュナは、類まれな宗教的な資質を持ち、幼時からさまざまな神秘体験をした。10歳代後半からヒンドゥー教の神殿で働き、20歳代の初めにトータープリという遊行者の弟子となって、本名からラーマクリシュナへと改名して修行生活に入った。世俗を離れて、ヨーガとタントラの行法を修め、ヒンドゥー教の神々との合一を体験した。その後、イスラーム教やキリスト教に接近し、スーフィズムの行法に従ってイスラーム教の奥義に触れたり、キリスト教の修行によってイエス・キリストの幻視を見たりしたという。
 こうした様々な神秘的な体験を通じて、ラーマクリシュナは、ヒンドゥー教、イスラーム教、キリスト教の精髄は一つであるという確信に達した。彼によれば、すべての宗教は、礼拝の方法や教義の言葉は違うが、突き詰めれば同じ一つの神を礼拝し、信仰する道である。各々の宗教は、真理の異なった局面を示しているにすぎない。
 ラーマクリシュナの思想は、すべての人やものの中に神が存在するという汎神論的一元論である。彼によると、従来の諸宗教は、神を人間から離れた遠い彼方に求めた。しかし、それは誤りであり、神は人間の内に存在する。そして、彼は、次のように説いた。
「必要なことはただ一つ、神を知ることである。 なぜ、あなたは世界、宇宙の創造、科学等に首を突っ込んで、 人生を無駄にしてしまうか。(略)人はこの世に、神を知るために生まれるのだ。他のことに心を奪われて、それを忘れてはいけない」と。
 ラーマクリシュナは、このように普遍的・原理的な神を説きながら、シャクティ派の信仰対象である女神カーリーを特別に重視し、その信仰はカーリーへの信愛を中心としたタントリズムの傾向があることが指摘されている。
 ラーマクリシュナは、宗教の本質は教義のうちにあるのではなく、愛情を持って人々に奉仕することのうちにあると説いた。彼がこうした教えを説くと、多くの民衆が集まり、1875年頃にはベンガル地方の大きな宗教勢力となった。その後、1886年にカルカッタで没した。この間、ムガル帝国は滅亡し、インドはイギリスの植民地と化した。
 ラーマクリシュナは、生家が貧困のため正規の教育を受けておらず、ベンガル語しか話さなかった。英語やサンスクリット語は満足にできなかった。そのため、彼の影響力は、一地方にとどまりがちだった。その教えが世界に広まったのは、弟子のヴィヴェーカーナンダによる。

●ヴィヴェーカーナンダ
 
 ラーマクリシュナの弟子、ヴィヴェーカーナンダは、1863年カルカッタに生まれた。本名はナレーンドラナート・ダッタという。
 ヴィヴェーカーナンダは、師とは対照的に、イギリスによる近代的な教育を受け、カルカッタ大学を出て西洋的な知識と教養を身に付けていた。ラーマクリシュナの教えを西洋人にも受け入れられる形で伝えたのは、彼の優れた才能と尽きることのない情熱による。
17歳の時、ラーマクリシュナと会って、その人格に打たれて帰依し、彼の下で学んだ。修行と托鉢の生活を行い、1892年からスワミー・ヴィヴェーカーナンダを名乗るようになった。
 ヴィヴェーカーナンダは、1893年に米国のシカゴで開催される世界宗教会議に参加した。キリスト教のユニテリアンが中心となって企画したもので、インドからは神智学協会、ブラーフマ協会、グジャラート州のジャイナ教、セイロンの仏教が参加した。彼が、この会議で講演を行うと、予期せぬほどの大反響を呼んだ。その内容は、ラーマクリシュナの教えに基づくものだった。
 ヴィヴェーカーナンダは、講演において、次のように説いた。「ヒンドゥー教のブラフマン、ゾロアスター教のアフラ・マズダ、仏教のブッダ、ユダヤのヤーウェ、キリスト教の天の父は、同じである。世界には様々な宗教があり、それぞれ道が定まっており、それを混ぜ合うことはできない。しかし、目指す方向は、みな同じである。あらゆる宗教の人々は最高の目的に向かって協力すべきである」、と。
 このような思想は、欧米人にとって初めて聴く思想であり、人々に強い感銘を与えた。
ヴィヴェーカーナンダは、世界宗教会議後、1897年まで、欧米各地で講演をつづけた。彼の雄弁で理路整然とした話は、聴衆を魅了し、啓発した。
 「すべての宗教の理想はひとつ、自由を得ることと、不幸のなくなることである」「人類の究極目標、すべての宗教の目的はただひとつ――神との、つまり各人の本性であるところの神聖との再結合である」
 ヴィヴェーカーナンダはこのような思想を以って、普遍宗教を説いた。しかしながら、普遍主義によってヒンドゥー教を解消するのではなく、ヒンドゥー教を中心とする姿勢を貫いた。彼は、あくまでヒンドゥー教の唱道者だった。基本にあるのは、シャンカラの不二一元論に基づくヴェーダーンタ哲学である。ラーマクリシュナと違って理論的に、伝統的なヒンドゥー教の梵我一如の哲学を説いた。
 彼によると、ヴェーダーンタ哲学は様々な思想や宗教に根拠を与えるものであり、他とは異なる原理に基づく。他の思想や宗教は互いに対立・矛盾するが、ヴェーダーンタ哲学は、どのような説とも矛盾せず、対立を超越している。彼はこのようにヴェーダーンタ哲学の優越を説き、その理論的な枠組みに基づいて、他の思想・宗教を位置づけようとした。
 帰国後、ヴィヴェーカーナンダは、ラーマクリシュナの教えを宣揚し、それを社会に活かすため、1897年にラーマクリシュナ・ミッションを設立した。
 ヴィヴェーカーナンダは、この団体を通じて出版、教育、厚生等の事業を行い、社会の向上に努めた。また、インドを訪れた岡倉天心と親交を結んだり、横山大観らにも精神的な感化を与えた。
 ヴィヴェーカーナンダは精神的には高邁な理想を説いたが、糖尿病、気管支喘息、慢性の不眠症等に苦しんだ。1902年に、わずか39歳で亡くなった。
 ラーマクリシュナ・ミッションは、今日も災害救助、学校や慈善病院等の事業を行う組織として世界的に活動している。

 次回に続く。

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中国はコロナ危機で失業者2億人になる?~石平氏

2020-04-21 12:04:21 | 国際関係
 シナ系日本人評論家・石平氏が産経新聞令和2年4月10日付の記事に書いたところによると、中国では新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、中小企業の倒産・閉鎖が相次ぎ、「倒産ラッシュ」が起きている。特に状況が悪いのは、輸出向けとサービス業の中小企業である。大量失業の発生は必至である。
 石氏は、次のように述べる。「『中国首席経済学者フォーラム』のメンバーである劉陳傑氏が3月31日『財新網』で発表した論文で驚くべき数字を披露した。新型コロナウイルスの影響で中国全体の失業者数が何と2億人以上に上ることになるだろう、というのだ。中国の労働人口は約8億人だから、4分の1が失業する計算だ。そうなれば、深刻な経済問題であると同時に深刻な社会・政治問題になって、政権の命取りにもなりかねない」と。
 失業者が4人に1人というのは、1929年の世界大恐慌の際、米国の失業率のピーク時が24.9%だったので、それに匹敵する失業率である。米国の場合はF・D・ルーズベルト政権が大規模な公共事業等を行って景気の回復を図ったが、結局経済政策だけでは経済の立て直しができず、第2次世界戦争への参入による戦時景気で立て直しが出来たのだった。共産中国の場合、もともと基本な統制主義経済だから、公共事業の拡大には限界がある。そこで考えられるのが、積極的な戦争政策である。大量の失業者、政権への反発者たちを対外的な侵攻に向けて、政権の維持と経済の回復を図るという最悪のシナリオを想定しておく必要がある。
 実際、既に徴候が現れている。石氏は、4月19日のツイートで、次のような動きを伝えている。「中国軍東部戦区の公式微博(ミニブログ)は4月13日から連続三日間、『戦争の準備』を叫ぶ狂気の論説を掲載。深刻な内憂外患の中で、習近平政権が国内危機回避のための対外冒険に走る気になったのか。今後は中国政府と中国軍の動向を大いに注目し警戒すべきであろう。」と。
 石氏は「狂気の論説」と書いているが、狂気と断じるのは一般人の理性によるからであり、軍事力によって危機の打開を図るのは軍人の理性による論理的な思考なのである。世界コロナ危機への対応は、共産中国の軍事的冒険主義をいかに封じるかということにも、意識を置いて進めなければならない。そして、中国が軍事行動を起こす対象には、必ず台湾と尖閣諸島が上位に入ることも。
 以下は、石平氏の記事の紹介。

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●産経新聞 令和2年4月10日

https://special.sankei.com/a/international/article/20200416/0001.html
「倒産ラッシュ」恐れる習政権
2020.4.16

 今月5日、中国財政科学研究院・財政と国家治理センター副主任で経済学者の陳龍氏は、「新浪財経」で論考を発表した。「中小企業の“倒閉潮”(倒産・閉鎖ラッシュ)防止は最喫緊の任務」というタイトルである。
 論述によると、今の中国では1月からの新型コロナウイルス感染拡大の影響で、中小企業の倒産・閉鎖が相次ぎ、「倒産ラッシュ」が起きているという。特に状況が悪いのは輸出向けとサービス業の中小企業で、よほど政策手段を講じない限り、2つの分野における大量倒産・失業は避けられない、というのである。
 陳氏の指摘は、国内の実情を実に正しくとらえている。まず輸出向けの中小企業に目を向けると、1月下旬からの全国的な交通封鎖・都市部封鎖の中でほとんどの生産メーカーが操業停止に追い込まれ、大きな損失をこうむった。
 3月になって封鎖が解除され、やっとの思いで生産再開に取り掛かろうとした途端、今度は輸出先の欧米諸国が新型コロナの感染蔓延(まんえん)で消費市場が止まったため、海外からの中国企業への発注が取り消されたり、途切れたりして、輸出向けの中小企業は仕事を失い、大変な窮地に立たされた。こうした中で企業の倒産・休業の動きが全国規模で始まったのである。
(※リンク先に続きあり)
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インド72~ラーム・モーハン・ローイとブラーフマ協会

2020-04-20 13:01:59 | 心と宗教
●「西洋の衝撃」とインドからの発信

 ヨーロッパ諸国のインド進出は、インド文明に「西洋の衝撃」を与えた。
 クシティ・モーハン・セーンは、18世紀から19世紀初頭の時期を、西洋がインドに衝撃を与えた第1期としている。この時期には、ヒンドゥー教からキリスト教への改宗がかなりの数にのぼった。しかし、その期間は長くは続かず、衝撃の大きさの割に、改宗者は少なかった。
 現在も、インドのキリスト教徒は、人口の2.3%に過ぎない。日本よりは比率が高いが、西洋文明諸国の直接的な支配を受けたにもかかわらず、キリスト教はそれほど浸透していない。
 セーンによると、この第1期において、ヒンドゥー教の指導者たちは、キリスト教への改宗を防ぐために、儀礼の大幅な改革やヒンドゥー教各派で忘れ去られていた多くの古い思想の復興を余儀なくされた。そして、19世紀前半から第2期に入り、ヒンドゥー教の信仰復興運動または改革が行われた。特にイギリスの植民地にされた後は、キリスト教からの刺激とキリスト教への反発によって、ヒンドゥー教改革が進められた。
 次に、ヒンドゥー教の改革者及びヒンドゥー教を世界に広めてきた指導者について述べる。ラーム・モーハン・ローイ、ラーマクリシュナ・パラマハンサ、ヴィヴェーカーナンダ、シュリ・オーロビンド・ゴーシュ、パラマハンサ・ヨガナンダ、サティヤ・サイ・ババらである。

●ラーム・モーハン・ローイとブラーフマ協会

 西洋の衝撃の第2期において、ヒンドゥー教改革の先頭に立ったのが、ラーム・モーハン・ローイである。ローイは、生涯を通じて、インドの宗教的・社会的・政治的な改革に取り組み、近代インドの父と呼ばれる。インド独立の父・ガンディーの先駆者といえる。
ローイは、1772年にベンガルの裕福なバラモンの家に生まれた。家はヴィシュヌ宗だったが、若い時にイスラーム教のスーフィズムに触れ、唯一神の信仰を知った。その後、ヴェーダーンタ哲学を学び、ヒンドゥー教にも一元論的な思想があることを確認した。またキリスト教や西洋哲学をも学び、すべての宗教は共通の神を各々の仕方で礼拝するものであるという思想に到達した。
 ローイは、インド社会の停滞と腐敗は、ヒンドゥー教の偶像崇拝や因習、迷信にあると見て、その弊害の除去に努めた。教育・新聞等を通じて民衆の啓発を行った。キリスト教・イスラーム教のような一神教を意識して、ヒンドゥー教を改革すべきだと考え、唯一の神としてブラフマンのみを崇拝すべきだと説いた。キリスト教の宣教師と教義論争を行い、ヒンドゥー教の宗教と哲学を断固として擁護した。
 1828年に、ブラーフマ協会(ブラーフマ・サマージ)を設立した。同会は、『ウパニシャッド』の一元論的な思想に基づく合理的な有神論を唱道した。その一方、ヒンドゥー教以外の宗教に対しては、友好的な姿勢を取った。これは、根底に、あらゆる宗教の根本にあるのは、同じ神への信仰であるという信念に基づくものである。
 ローイは、ヒンドゥー教正統派から、その思想や行動を非難された。また、自分の家族、地主、宣教師、高官等と衝突することも度々あった。だが、それに怯むことなく、自分の信念を貫いた。
 ローイは、ヒンドゥー教の改革を進める一方、社会改革運動を指導した。インド人は西欧の科学を学ばねばならないと主張し、科学を教育する必要性を説き、科学教育を奨励した。また、カースト制や幼児婚の廃止を主張した。寡婦の再婚を認め、寡婦殉死の風習の廃止を呼びかけた。ローイは兄の死による義姉の殉死に立ち会い、生きながら焼死する惨たらしい光景を見て、寡婦殉死の廃止を決意した。20年に及ぶ請願運動を続け、1829年にイギリス人ベンガル総督にサティー禁止の条例を出させることに成功した。以後、寡婦殉死の禁止が各地に広がった。
 1830年にインドの知識人として初めてイギリスに渡り、議会でインドの現状について発言し、独立を訴えた。だが、道半ばで1833年に客死した。
 ローイによるブラーフマ協会の活動は、ドワルカナート・タゴールによって継承された。アジアで最初にノーベル賞を受賞したラビーンドラナート・タゴールの祖父である。ドワルカナートは、インドの近代企業の最初の経営者として成功し、巨万の富を築いた。ローイの親友として彼の宗教改革・社会改革運動に協力し、ブラーフマ協会の創設者の一人となり、ローイの死後はその活動を拡大した。
 その子デベーンドラナート・タゴールは、ブラーフマ協会の最高指導者となり、「偉大なる聖者」といわれた宗教家・哲学者だった。カースト制の因習を改革する運動を行うなどインドの社会改革にも重要な役割を果たした
 その息子のラビーンドラナート・タゴールも、ブラーフマ協会の会員だった。彼は、インドが生んだ偉大な詩人であり、1913年にノーベル文学賞を受賞した。インドの近代化を促すとともに、東西文化の融合に努めた。インドの独立運動にも貢献し、ガンディーらの独立運動の精神的支柱となった。日本に4回来訪し、日本の知識人にも大きな影響を与えた。1924年(大正13年)には、インドの独立に協力した頭山満と会談し、頭山について、「インド古代の聖者を目のあたりに見る感じである」と語った。
 ブラーフマ協会の会員には、タゴール一族以外にも知識人が多かった。また、次に述べるラーマクリシュナも会員だった。

 次回に続く。

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チャイナ・マネーの感染で日本が亡国の危機に~楊海英氏

2020-04-19 09:59:39 | 時事
 静岡大学教授の楊海英氏は、産経新聞令和2年3月24日付に、「チャイナ・マネーに感染するな」という記事を書いた。楊氏は、中国内モンゴル自治区出身で日本に帰化した文化人類学者である。
 楊氏は、「世界規模で中国・武漢発の新型コロナウイルスが猛威をふるうなか、日本の政官財界とメディアがチャイナ・マネーに汚染されている実態があぶり出されている」という。
 第一に、政官界である。楊氏は、IR(統合型リゾート施設)誘致に関わる汚職事件で複数の与野党国会議員が中国企業から金銭を受け取っていたと見られることを挙げる。「IR事業をめぐる日本の国会議員らに対する侵食は氷山の一角ではないのか」と指摘する。
 第二は、財界である。楊氏は、「多くの大手企業は中国に合弁・合資企業を有しており、日本のサプライチェーン(供給網)を脆弱(ぜいじゃく)にしてしまった」ことを挙げる。また、「中国に依存する経済界と地域は後援会等のルートを通して、国会議員にも影響を与える。何らかの形で中国からの金銭的な援助を受けている議員たちはさらに地元後援会からの要請に積極的に呼応し、国家全体として親中体制が形成されている」と指摘している。
 第三に、メディアである。楊氏は、「新疆ウイグル自治区の強制収容所にまで新型肺炎が流行(はや)っているにもかかわらず、独自の取材で被害状況を明らかにしようとする勇気ある日本のジャーナリストは今のところ現れていない」という。そして、中国共産党政府が「ウイルス発生源と人権弾圧のイメージを隠蔽(いんぺい)するのに手を貸すことはない。露骨なプロパガンダは自省を美徳とする日本人の精神構造と相いれない」と述べている。また「テレビ局の周辺に巣くう中国系宣伝機関の工作にも注意が必要だ」と指摘する。NHKがそのテレビ局の代表的存在であることは明らかである。
 このように書いたのち、楊氏は「政官財界とメディアが中国共産党によって侵食されたなら、コロナウイルスの被害状況に関する正確な情報も伝わらない。国民が本当に知りたい、真実の中国の姿も遠ざかっていくばかりである。政府が新型コロナウイルスに対し、有効な措置を早い段階で取れなかったのも、政権中枢部に媚中派がおり、チャイナ・マネーに『感染』していたからであろう。このままではオリンピックの開催が危うくなるだけでなく、亡国の危機も訪れる危険性がある」と結んでいる。
 新型コロナウイルスの感染は健康と生命と経済に甚大な被害をもたらしているが、チャイナマネーの感染は日本に亡国の危機を生み出している。新型コロナウイルスは、中国共産党政府がつくり出した生物兵器である。この兵器は人間の身体に作用する強力な毒性を持つ。チャイナマネーは、中国共産党政府が駆使する金融兵器である。この兵器は人間の精神に作用する強力な毒性を持つ。ともに中華共産主義による世界制覇、中国共産党による人類支配のための危険な道具である。
 いま人類は、中国を共産党政府から解放し共存共栄の道を開くことができるか、それとも中華共産主義の蛮行とともに自滅への道を歩むかの決定的な岐路にある。
 以下は、楊氏の記事の全文。

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●産経新聞 令和2年3月24日

https://special.sankei.com/f/seiron/article/20200324/0001.html
チャイナ・マネーに感染するな 文化人類学者・静岡大学教授・楊海英
2020.3.24
 世界規模で中国・武漢発の新型コロナウイルスが猛威をふるうなか、日本の政官財界とメディアがチャイナ・マネーに汚染されている実態があぶり出されている。

≪亡国の中国依存の現状≫
 まずは政官界である。昨冬からIR(統合型リゾート施設)誘致に関わる汚職事件で国会議員が逮捕されるなど捜査が行われている。複数の与野党議員の名が挙がり、彼らの何人かは中国企業に招待される形でマカオ等を視察し、講演料と称される高額の金銭を受け取っていた、と報道されている。中国企業が数人にしか接近しなかったとは考えられない。共産党を除く議員らに何らかの形で近づき、金銭的アプローチを行ってきただろう、と市民はみている。
 というのも、似たような事例があるからだ。モンゴル国は1990年代に旧ソ連の桎梏(しっこく)から離脱して自由主義陣営に加わった当初は人権弾圧を緩めない中国に厳しい態度を取っていた。内モンゴル自治区に暮らす同胞の境遇にも同情を示していた。しかし中国はモンゴルの国会議員らに働きかけ、様子が一変した。
 中国の強権に関しては何ら有効な措置が取れなくなっただけでなく、自国の経済まで完全に北京に牛耳られてしまった。モンゴルは今や、ラオスとキルギスと並んで、習近平政権が進める巨大経済圏構想「一帯一路」の債務国に陥ってしまった。ラオスとキルギスに対しても北京は金銭外交を展開してきた。IR事業をめぐる日本の国会議員らに対する侵食は氷山の一角ではないのか。
 次は財界だ。多くの大手企業は中国に合弁・合資企業を有しており、日本のサプライチェーン(供給網)を脆弱(ぜいじゃく)にしてしまった。なかには新疆ウイグル自治区のホップを利用した大手飲料会社もあれば、同自治区で栽培されている綿花を原材料とする新興企業もある。ホップにも綿花にも、強制収容所内のウイグル人の血と涙が滲み込んでいるが、その経営者たちは決して中国当局に対し、人権弾圧の中止を訴えようとしない。

≪宣伝工作と親中体制形成≫
 大手だけではない。日本国内の中小企業まで中国に依存するように変質してしまった。原材料を中国から取り寄せ、そしてかの地に製品を出荷する。観光業界は中国人客の財布に頼っている。筆者の住む静岡県の旅館業界だけでも、中国人観光客が来なくなったことによる損失は数十億円に上ると伝えられている。いかに他者依存体制に甘んじてきたかを如実に示す惨状である。
 中国に依存する経済界と地域は後援会等のルートを通して、国会議員にも影響を与える。何らかの形で中国からの金銭的な援助を受けている議員たちはさらに地元後援会からの要請に積極的に呼応し、国家全体として親中体制が形成されている。
 世界中が中国のウイグル弾圧と香港民主化鎮圧を非難しても、日本だけが馬耳東風の現状がその一端を表している。中国に宥和(ゆうわ)的な姿勢を取るだけでなく、場合によっては与党の幹部自らが千人単位の訪中団を連れて北京に「朝貢」し、日本の品位を落としてまで、独裁者の国賓招聘(しょうへい)に加担しているのではないか。
 最後はメディアである。新疆ウイグル自治区の強制収容所にまで新型肺炎が流行(はや)っているにもかかわらず、独自の取材で被害状況を明らかにしようとする勇気ある日本のジャーナリストは今のところ現れていない。テレビ電波でシルクロードや奇観・張家界の映像をのんびり流している。張家界は湖北省の隣、湖南省にあるし、シルクロードは新疆が舞台の一つであることを知っているだろうか。

≪正確な情報も伝わらない≫
 「美しい中国の山河」をアピールして、ウイルス発生源と人権弾圧のイメージを隠蔽(いんぺい)するのに手を貸すことはない。露骨なプロパガンダは自省を美徳とする日本人の精神構造と相いれない。テレビ局の周辺に巣くう中国系宣伝機関の工作にも注意が必要だ。
 IR関連で国会議員らを買収した者も、財界やメディア工作を行った者も企業関係者で、中国政府の姿はなかろう、と思う日本人もいる。しかしその善意も中国には通じない。中国には真の意味での民間企業はない。習近平政権になってから民営企業内にも共産党支部が設置されるようになり、経営者は軒並み共産党員である。民間企業が自分の意思で日本の政界工作を進めることはまずない。背後に中国共産党の対日宣伝戦略があると理解しなければならない。
 政官財界とメディアが中国共産党によって侵食されたなら、コロナウイルスの被害状況に関する正確な情報も伝わらない。国民が本当に知りたい、真実の中国の姿も遠ざかっていくばかりである。
 政府が新型コロナウイルスに対し、有効な措置を早い段階で取れなかったのも、政権中枢部に媚中派がおり、チャイナ・マネーに「感染」していたからであろう。このままではオリンピックの開催が危うくなるだけでなく、亡国の危機も訪れる危険性がある。(よう かいえい)
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