ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

今年の10大ニュース

2015-12-31 09:45:05 | 時事
 本年は、世界各地でイスラム過激派のテロが横行した年だった。1月にパリで風刺週刊紙が国際テロ組織アルカイダに共鳴するイスラム過激派に襲撃された。またISILによって邦人名が殺害された。11月13日にはパリで同時テロ事件が発生し、130人が死亡した。犯行声明を出したISILに対し、フランスを中心に、米英露等が連携して空爆を行うなど、国際社会の対応が強化されている。そこにロシア、トルコ等の思惑が絡み、国際社会は激動の中で新しい年を迎えようとしている。
 パリ同時多発テロ事件では、容疑者の一部が難民に紛れて欧州入りしたことが判明した。シリア、北アフリカ諸国等から欧州を目指し、既に100万人以上の移民・難民が流入している。そうした中にテロリストが紛れていたわけで、流入対策の不備が顕在化した。
 来年伊勢志摩サミット等を控えるわが国も、テロ対策の整備が急がれる。そうした中で、集団的自衛権の限定的行使や自衛隊の国際貢献の拡大等を可能にする安全保障関連法が9月19日に成立したことは、大きな前進である。次の大きな課題は憲法改正である。日本人の手で、日本の歴史・伝統・文化・国柄に基づき、独立主権国家にふさわしい憲法を作り上げてこそ、国家の安泰と持続的な発展を確かなものにできる。
 戦後70年となった本年、8月14日、安倍晋三首相は戦後70年の談話を発表した。子孫に「謝罪を続ける宿命を背負わせてはなりません」として、謝罪の歴史に終止符をうち、未来志向に立つことを世界に対して発信したことは、高く評価できる。その一方、中国・韓国は、戦後70年を節目として南京事件、慰安婦問題等で、日本への非難を国際的に展開した。
 12月28日日韓外相会談で慰安婦問題の解決に合意したとして共同発表がされた。両国外相はこの妥結が「最終的かつ不可逆的な解決」であり、日韓関係が未来志向の新時代へ発展すると述べた。しかし、共同文書化はされず、今後韓国民の反発が出たり政権が替わったりすると、反故にされる可能性が高い。慰安婦像の撤去についても、韓国政府が民間の行動を制止できる保証はない。仮に韓国が慰安婦問題を自制したとしても、中国が慰安婦問題を反日工作に使うのは確実である。日本側が「軍関与」という誤解を生む表現を使ったのは、大きな問題を残した。河野談話の見直しのされないまま、韓国側設立の財団にわが国が10億円規模の予算を投じることも、大いに疑問である。「次世代に謝罪を背負わせない」ためには、これを「決着」ではなく、「謝罪」と受け止めないよう、しっかりとした教育をしなければならない。来年は、わが国政府の対韓外交がどういう結果と影響を生むか、しっかり見ていかなければならない。
 中国は、南シナ海で人工島を造成し、その軍事基地化を進めている。これに対し、10月、米海軍のイージス駆逐艦が人工島から12カイリ以内の海域を通過する「航行の自由作戦」を行った。米中間の緊張が高まるとともに、東南アジア諸国の多くが中国に懸念や批判を現す表すようになった。
 本年は中国の株バブルが破裂し、中国経済の崩壊が進んだ。だが、その一方、中国共産党政府は、危機打開に躍起となっており、中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)の創設が決まり、英仏独伊等G7からも参加国が出た。また、国際通貨基金(IMF)は11月、中国の人民元を「特別引き出し権(SDR)」の構成通貨に加えることを決定した。
 地球環境に関しては、パリ郊外で11月30日から開かれた国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)で、2020年以降の地球温暖化対策の新たな国際枠組み「パリ協定」が採択された。京都議定書以来、18年ぶりの枠組みの設定であり、196の全締約国に温室ガス削減目標の提出や5年ごとの見直しを義務付けた。
 イスラム教過激組織への対応にしても、地球温暖化対策にしても、国際社会が幅広く連携・協力しないと、人類の平和と繁栄は維持できないことは明らかである。今ほど、日本に伝わる大調和の精神が人類にとって必要なことは、かつてないことである。日本人が日本精神を取り戻し、一致協力することが、国民一人一人の幸福と発展につながり、また日本を再建することが、世界の平和と発展への貢献となる。日本を愛する人々は、心をつなぎ合って、日本を明るく元気にしていこう。
 皆様、よいお年をお迎えください。

 以下は、時事通信社による今年の10大ニュース日本編及び海外編。
 おおむね良いと思うが、日本編は、慰安婦問題での日韓外相合意、産経新聞元ソウル支局長無罪判決を入れるべきである。

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●時事通信社が選ぶ10大ニュース

http://www.jiji.com/jc/v?p=10bignews-2015domestic01

<国内>

1位 安全保障関連法が成立

 集団的自衛権の行使を可能にすることや、米軍への後方支援を大幅に拡大することなどを柱とする安全保障関連法が9月19日、成立した。「国の存立が脅かされる明白な危険」などの要件を満たす場合、自衛隊が海外で武力を行使できることになり、日本の安全保障政策は大きく転換された。安倍政権は「抑止力の強化につながる」と強調しているが、野党や憲法学者らからは「憲法違反」との指摘も出ている。
 安保関連法は、自衛隊法など計10本の改正法と、自衛隊の海外派遣を地理的制約なく随時可能にする新法で構成。日米両政府が4月に再改定した防衛協力指針(ガイドライン)と表裏一体の関係を成す。安倍内閣は、集団的自衛権行使を容認した昨年7月の閣議決定を踏まえ、今年5月に国会に関連法案を提出。衆参両院通算で約216時間にわたり審議が行われた。

2位 ISが邦人人質殺害

 過激派組織「イスラム国」(IS)は1月、シリアで行方不明になった湯川遥菜さん=当時(42)=とフリージャーナリストの後藤健二さん=当時(47)=を人質に取り、殺害した。ISはそれまで欧米人を殺害したとする動画を公開してきたが、邦人が犠牲になった事件は初めてだった。
 ISは、安倍晋三首相がIS対策として2億ドルの人道支援を表明した後、2人の殺害を警告するビデオ映像を公開。72時間以内に同額の身代金を支払うよう要求した。期限切れ後、ISは湯川さんを殺害したとする画像をネットに投稿し、要求を身代金からヨルダンで収監中のイラク人女死刑囚の釈放に切り替えた。日本政府はヨルダンなどに協力を求め、人質解放に努めたが、その後後藤さんを殺害したとする動画が公開された。

3位 TPP交渉が大筋合意

 日本や米国、オーストラリアなど12カ国による環太平洋連携協定(TPP)交渉が10月5日、5年半に及ぶ協議の末、大筋合意した。各国の議会承認を経てTPP協定が発効すれば、共通の貿易・投資ルールを持つ人口8億人、国内総生産(GDP)3100兆円の巨大市場が誕生。アジア・太平洋地域の成長を取り込み、日本経済の活性化につながるかどうかが注目される。
 日本は工業製品や農林水産物など全貿易品目(9018品目)のうち約95%で輸入関税を撤廃し、貿易の自由化を促進する。国会決議で関税維持を求められたコメなど農産物重要5項目は完全自由化の対象から除外された。コメについては計7万8400トンを上限に無税輸入枠を創設、牛肉は38.5%の関税を協定発効から16年目に9%まで削減するなど部分的な譲歩で決着した。

4位 川内原発が再稼働

 九州電力は8月11日、川内原発1号機(鹿児島県薩摩川内市)の原子炉を起動し、再稼働させた。9月10日には営業運転に移行した。2011年3月の東京電力福島第1原発事故を受け、原子力規制委員会が策定した新規制基準に基づく原発の稼働は初めてで、国内で原発が運転されるのは13年9月に関西電力大飯原発(福井県おおい町)が停止して以来。「原発ゼロ」は1年11カ月で終わった。10月15日には川内2号機が再稼働した。
 九電は13年7月、川内1、2号機の審査を申請。規制委は昨年9月、新基準を満たすと判断した。事故に備えて住民の避難を準備する半径30キロ圏には9市町の約21万人が住み、各自治体は避難計画を策定したが、住民の間には実効性を疑問視する意見も残る。

5位 戦後70年で安倍首相談話

 政府は8月14日、戦後70年の安倍晋三首相談話を閣議決定した。談話は先の大戦について「わが国は繰り返し、痛切な反省と心からのおわびの気持ちを表明してきた」と指摘した上で「こうした歴代内閣の立場は今後も揺るぎない」と表明。1995年の村山富市首相談話や2005年の小泉純一郎首相談話に明記された(1)植民地支配(2)侵略(3)痛切な反省(4)おわび-のキーワードについても、引用など間接的表現ながら、談話に盛り込んだ。
 安倍首相は当初、国会で村山談話について「安倍内閣としてそのまま継承しているわけではない」と答弁するなど、独自色を反映させることにこだわりをみせていた。しかし、中韓両国の反発や連立を組む公明党の要請も踏まえ、歴代内閣の姿勢を引き継ぐ考えを明確にした。政府は談話の真意が伝わるよう中国語と韓国語の翻訳も作成した。

6位 東芝不正会計で歴代社長辞任

 日本を代表する電機メーカー、東芝で利益を意図的にかさ上げする不正会計が発覚した。社外の弁護士らで構成する第三者委員会は7月、経営陣が関与し、パソコンやテレビなど幅広い事業で不正な会計処理が組織的に行われたと認定。田中久雄氏ら歴代社長3人が引責辞任する事態に発展した。利益かさ上げ額は過去約7年間で累計2248億円に上った。
 証券取引等監視委員会は12月、有価証券報告書に虚偽記載があったとして、過去最高額となる約73億円の課徴金を科すよう金融庁に勧告。個人株主は、株価下落で損害を受けたとして同社や旧経営陣に賠償を求める訴訟を相次ぎ起こしているほか、同社自身も旧経営陣を提訴。東芝は不正会計の一因となったパソコンなど不採算事業の見直しや人員削減に迫られている。

7位 新国立競技場建設、エンブレム白紙に

 2020年東京五輪・パラリンピックのメーン会場となる新国立競技場の建設計画や大会エンブレムが相次いで見直しを迫られた。新競技場は整備費が当初の予定を大幅に上回ったことに批判が集中。7月に安倍晋三首相の指示で旧計画は白紙撤回された。エンブレムは、佐野研二郎氏の作品に対し他のロゴとの酷似を指摘され、選考し直す事態に発展。五輪ムードに水を差す結果となり、国際的な信用も損なった。
 新競技場をめぐっては、8月に総工費の上限を1550億円に設定した新計画がまとまった。事業者2グループから提出された技術提案書が公開され、今月中に業者を決める。一方、エンブレムは五輪組織委員会が応募資格を大幅に緩和して再募集、今月上旬までに1万4599件の応募があった。来春に新デザインが決まる予定だ。

8位 辺野古移設、国が着工

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設計画で、政府は10月29日、本体工事に着手した。移設反対を掲げる同県の翁長雄志知事が辺野古沿岸部の埋め立て承認を取り消すなどして対抗措置を講じる中、政府側が押し切った。政府は11月、県を相手取り、埋め立て承認取り消しの撤回を求める代執行訴訟を福岡高裁那覇支部に提起。国と県の対立は法廷闘争に発展した。
 昨年11月の知事選で初当選した翁長氏は、移設反対は「民意」と訴え、仲井真弘多前知事による埋め立て承認には「法的瑕疵(かし)」があるとして今年10月に取り消しを決定した。これに対し、政府側は前知事の承認を「有効」と主張し、取り消し決定の効力を一時停止。海底ボーリング調査や護岸工事に向けた資材置き場建設を進めている。県も近く国側を提訴する方針だ。

9位 日本人科学者2人がノーベル賞

 アフリカや中南米の寄生虫病特効薬の開発に貢献した大村智・北里大特別栄誉教授がノーベル医学生理学賞を、素粒子「ニュートリノ」に質量があることを初めて確認した梶田隆章・東京大宇宙線研究所長がノーベル物理学賞をそれぞれ受賞。日本人のノーベル賞受賞者は計24人になった。
 大村さんは抗生物質「エバーメクチン」を発見。この物質に基づく抗寄生虫薬「イベルメクチン」は寄生虫病への効果が確認され、幅広く使われている。物質を構成する素粒子の一つニュートリノは質量ゼロと考えられてきたが、梶田さんは素粒子観測装置「スーパーカミオカンデ」を使い、ニュートリノがごくわずかな質量を持つ証拠となる「ニュートリノ振動」という現象を初めて確認した。

10位(1)ラグビーW杯で歴史的勝利

 9月から10月にかけて開催されたラグビーのワールドカップ(W杯)イングランド大会で、日本代表が大躍進して世界を驚かせた。過去7大会で白星は1991年のジンバブエ戦だけだった日本が、1次リーグ初戦で南アフリカを34-32で破る歴史的な勝利を挙げた。W杯で2度の優勝を誇るラグビー強国の南アを、試合終了直前の逆転トライで倒す大金星だった。
 続くスコットランド戦は完敗したが、サモア、米国に快勝。五郎丸歩(ヤマハ発動機)は正確なゴールキックを武器に計58得点をマークした。エディー・ジョーンズ・ヘッドコーチの指導の下、積み重ねてきた猛練習が実を結んだ。3勝1敗で並んだ南ア、スコットランドに勝ち点で及ばず3位にとどまり、準々決勝進出はならなかった。それでも、19年W杯日本大会につながる活躍だった。

10(2)外国人観光客激増、爆買いも

 2015年1~11月の訪日外国人数は、日本政府観光局の推計で前年同期比47.5%増の1796万4400人に達した。円安に加え、日本発着の国際航空路線の拡充、査証(ビザ)発給要件緩和などを背景に、過去最高だった14年の年間実績(1341万人)を既に上回った。15年年間では1900万人台に達する見込みだ。
 訪日観光客が日本を訪れ、炊飯器やカメラ、薬、化粧品といった家電やブランド品などを大量に購入する「爆買い」も注目を集め、今年の流行語大賞にも選ばれた。日本百貨店協会によると、外国人観光客向けの免税売上高(1~10月)は前年同期と比べ、約3.1倍の1609億9600万円。ただ、中国を含む新興国経済の減速に伴い、爆買いの勢いが鈍る可能性も指摘されている。

<海外>

1位 世界各地でイスラム過激派のテロ

 1月にパリで風刺週刊紙が国際テロ組織アルカイダに共鳴するイスラム過激派に襲撃されて以降、過激派組織「イスラム国」(IS)などによる大規模テロが各地で多発した。チュニスで3月に起きた博物館襲撃では、邦人3人も犠牲になった。10月にはアンカラで自爆テロがあり、エジプトではロシア旅客機が爆破された。11月もベイルートの自爆テロに続き、パリで同時テロが発生し、130人が死亡。いずれもISが犯行声明を出した。米国でも12月にカリフォルニア州で過激思想に染まった夫婦による銃乱射事件が起きた。
 パリ同時テロを受け、英仏がシリアのIS拠点への本格空爆に踏み切った。こうした米主導の有志連合に加え、ロシアもアサド政権を支援する立場からシリア空爆を9月に開始。ISに対する国際的包囲網が強まっている。

2位 中東難民、欧州に殺到

 シリアを中心に中東やアフリカの紛争や迫害を逃れ、欧州を目指す難民が急増した。粗末な船などに乗った難民が連日大量に押し寄せ、国境にフェンスを設けて流入を抑える国も。9月にトルコの海岸に打ち上げられた3歳男児の遺体写真が報じられると、世界的に受け入れの動きが広がり、欧州最大の受け入れ国ドイツのメルケル首相はノーベル平和賞候補になった。
 欧州連合(EU)は加盟国全体で16万人を分担して受け入れることを決めたが、既に100万人以上が欧州入りし、対策は追い付いていない。11月のパリ同時テロでは、一部の容疑者が難民に紛れて欧州入りしたことが判明し、テロリスト流入対策の不備が顕在化した。欧州各国は国境審査を相次いで強化しており、欧州統合の柱である「域内移動の自由」も揺らいでいる。

3位 COP21でパリ協定採択

 パリ郊外で11月30日から開かれた国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)は、2020年以降の地球温暖化対策の新たな国際枠組み「パリ協定」を採択した。新枠組みの合意は現行の枠組みである京都議定書以来、18年ぶり。京都議定書が先進国だけに温室効果ガスの削減義務を課すのに対し、パリ協定は、途上国を含む196の全締約国に温室ガス削減目標の提出や5年ごとの見直しを義務付ける。
 COP21では、初日に安倍晋三首相、オバマ米大統領、習近平中国国家主席ら約150カ国の首脳が参加する会合を開き、温暖化対策への決意を確認。協定には、産業革命前からの世界の平均気温の上昇幅を2度未満に抑えることを目標とし、1.5度未満にするよう努力する方針なども盛り込んだ。

4位 中国経済にブレーキ

 高度成長が続いてきた中国経済に陰りが見え始め、世界の金融市場に動揺が広がった。2015年7~9月期の経済成長率は6.9%と、リーマン・ショックの直撃を受けた09年1~3月期以来、6年半ぶりの低さ。景気減速を背景とした上海株急落に加え、中国人民銀行(中央銀行)による突然の人民元切り下げもあり、東京やニューヨーク市場を巻き込んだ世界同時株安が起きた。
 中国は利下げや減税、公共投資拡大などを通じて景気下支えを図り、乗用車販売が急回復するなど、一定の効果は表れている。ただ、個人消費が経済全体を引っ張るほどの勢いはなく、製造業の低迷や不動産市場不振が重くのしかかる。習近平国家主席の指導部は高度成長を追求しない新時代を「新常態(ニューノーマル)」と呼び、急減速を回避しながら安定成長への移行を目指している。

5位 ギリシャ金融危機

 欧州連合(EU)や国際通貨基金(IMF)などから金融支援を受けているギリシャで1月、支援条件である緊縮財政の破棄を掲げた急進左派連合(SYRIZA)中心の連立政権が誕生し、ユーロ導入後初の参加国離脱が一気に現実味を帯びた。支援継続をめぐるEUとの交渉は難航を極め、世界の金融市場に激震が走った。
 ギリシャのチプラス首相はぎりぎりまで緊縮に抵抗したものの、国民投票を経てEUが交渉の最終期限とした7月に緊縮策の受け入れを決断。両者は新たな支援策で合意し、ギリシャの脱ユーロという最悪の事態は土壇場で回避された。ただギリシャはこれまでにも巨額支援を受けており、EUなどに債務負担の軽減を求めている。債権団はギリシャが改革を遅滞なく実行すれば、2016年にも軽減策の協議に応じる姿勢を示している。

6位 米軍、南シナ海で「航行の自由作戦」

 中国が人工島を造成し、軍事拠点化を進める南シナ海で10月、米海軍のイージス駆逐艦「ラッセン」が人工島から12カイリ(約22キロ)以内の海域を通過する「航行の自由作戦」を行った。これに対し、南シナ海の島々は固有の領土だと主張する中国は「強烈な不満と断固たる反対」を表明。米中のせめぎ合いに緊張が高まった。
 中国は南シナ海・南沙(英語名スプラトリー)諸島の人工島周辺を「領海」と主張している。しかし、米艦が今回接近した人工島は、埋め立て前は満潮時に水没する暗礁で、周辺海域は国際法上、領海と見なされない。米国は軍艦派遣により、中国の主張は認められないとの立場を内外に示した。米軍は艦船・航空機の派遣を繰り返す考えで、南シナ海問題をめぐり、米中の駆け引きが続きそうだ。

7位 アジア投資銀と人民元SDR

 中国主導の国際金融機関、アジアインフラ投資銀行(AIIB)の創設が決まった。北京に本部を置き、初代総裁も中国人が就く。途上国のインフラ整備を資金面で支援する。米国を中心とする現在の国際金融秩序に対抗する狙いがあると言われ、日米は参加を見送った。英国、ドイツ、フランス、イタリアは加わり、先進7カ国(G7)内で対応が割れた。6月に開かれた設立協定署名式には、57カ国の代表が集まった。
 また、国際通貨基金(IMF)は11月、中国の人民元を「特別引き出し権(SDR)」と呼ぶ準備資産の算定基準通貨に2016年10月に加えると決定した。元はドル、ユーロ、日本円、英ポンドと並ぶ国際通貨に躍り出る。日米は、中国の台頭を警戒していたが、中国との経済関係強化を望む欧州諸国が支持に回り、押し切られる形となった。

8位 VWが排ガス不正

 ドイツ自動車大手フォルクスワーゲン(VW)が排ガス検査をすり抜けるため、検査時のみ窒素酸化物(NOx)の排出量を少なくする不正なソフトウエアを一部ディーゼル車に搭載していたことが、米環境保護局(EPA)の調査で9月に発覚した。問題車両は世界で最大1100万台に達する。当時のウィンターコルン会長は引責辞任に追い込まれ、後任にVW傘下のポルシェ社長だったミュラー氏が就任した。
 VWへの非難の声が噴出し、震源地の米国をはじめ各国で賠償請求訴訟などが相次ぐ一方、独検察当局は本社の家宅捜索に着手、刑事責任追及の動きも進む。リコール(回収・無償修理)対策費の損失に加え、ブランド価値の失墜から販売面にも影響が出始め、VWの経営を揺るがす事態に発展した。

9位 イラン核協議最終合意

 欧米など主要6カ国とイランが7月、同国の核開発能力の制限と国際原子力機関(IAEA)による査察の受け入れ、欧米側による経済制裁の段階的解除に取り組む「包括的共同行動計画」で最終合意した。合意は10月に発効し、イランは遠心分離器の撤去に着手。IAEAは12月、過去のイラン核疑惑の解明に終止符を打つ決議を採択した。日本もイランとの関係強化へ動き始めている。
 核兵器開発疑惑は2002年に顕在化。イランは03年にウラン濃縮活動停止に同意したが、保守強硬派アハマディネジャド政権下の06年に再開し、欧米は経済制裁で応じた。13年に本格化した核協議も長期化した。最終合意は「核なき世界」を訴えるオバマ大統領にとって大きな実績。今後は対イラン制裁解除など合意内容の着実な履行に焦点が移る。

10位(1)米・キューバ国交回復

 米国とキューバは7月、54年ぶりに国交を回復した。両国はキューバ革命後の1961年に断交したが、中南米での影響力再構築を目指す米国と、経済苦境からの脱却を急ぐキューバの思惑が一致。米ソ冷戦の遺物だった対立の歴史は、半世紀超を経て大きく転換した。
 オバマ大統領とカストロ国家評議会議長は4月、両国首脳として、59年ぶりに会談。米国は5月にキューバのテロ支援国家指定を解除したほか、8月にはハバナで米大使館の再開式典を開いた。ただ、米国が62年から科している経済制裁については、キューバの人権改善などの状況に応じて解除を検討する。これに対し、キューバ側は「(完全な)正常化は経済、商業、金融の封鎖が終わってのみ達成される」(カストロ議長)と反発している。

10位(2)米、9年半ぶり利上げ

 米連邦準備制度理事会(FRB)は12月、リーマン・ショック後の金融危機に対応して導入した事実上のゼロ金利を解除し、2006年6月以来9年半ぶりに利上げすることを決定した。政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標水準は、従来の0~0.25%から0.25~0.5%に引き上げられ、異例の緩和策に終止符が打たれた。
 米国で雇用の改善や景気回復が進んだほか、2%の物価目標を達成できる見通しが強まったことが利上げの背景。金融緩和を続ける日欧との違いが鮮明となった。ただ、これまでのゼロ金利政策と量的緩和策で金融市場に供給された大量の資金の流れが今後急激に変化し、各国に打撃を与える恐れもある。FRBは市場の動向や経済情勢を注視しながら、今後の追加利上げを緩やかに進める方針だ。
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コメント

人権246~国際人権規約の制定の経緯と現状

2015-12-30 10:33:13 | 人権
●国際人権規約の制定の経緯と現状

 世界人権宣言は、単なる宣言であって、法的拘束力を持つものではなかった。そこで人権に関する条約を作って拘束力を持つものにしようとする動きが、まずヨーロッパで起こった。1950年に、「人権及び基本的自由の保護のための条約」、いわゆる欧州人権条約が締結されたのである。
 当時、西欧諸国は、共産主義陣営と厳しく対峙していた。同条約の当初の目的の一つは、共産主義との闘争の中で、自由民主主義の諸国が国民に対して保障する権利を明確な形で示すことだった。それは、各国において共産化を防ぐものとなった。欧州人権条約は、歴史的に人権の中心だった自由権に限定したものだったが、そのもとに欧州人権委員会と欧州人権裁判所が設けられた。
 ヨーロッパで人権を条約化し、法的拘束力を持たせる動きに続いて、1966年、一気にこれを全世界に広げたのが国際人権規約である。国際人権規約の成立の背景には、第2次世界大戦後のアジア・アフリカの動きがある。第2次世界大戦後、アジア・アフリカの有色人種が独立と解放を勝ち取り、自由の希求は諸大陸に広がった。1960年に「植民地独立付与宣言」が国連総会で採択された。同宣言は、「外国による人民の征服、支配および搾取は、基本的人権を否認し、国際連合憲章に違反し、世界の平和及び協力の促進に障害となっている」と明言し、「すべての人民は自決の権利を有する。この権利に基づき、すべての人民はその政治的地位を自由に決定し並びにその経済的、社会的および文化的発展を自由に追及する」と宣言した。
 1960年代には、国連に加盟する発展途上国の数が急増した。国際連合は、第2次大戦の戦勝国による国際秩序の固定化を目指す組織だが、新興国が大挙して加盟したことにより、その性格を変えてきた。アジア、アフリカで増加する国民国家は発言力を増し、旧宗主国と旧植民地、白人諸国と有色人種諸国、大国と中小国等の間の強力や調整が求められるようになった。国際社会の多数派を占めるに至った有色人種新興国は、人権を享有する上で民族自決は前提条件であると主張した。この大きな流れの中で、国際人権規約が、1966年12月16日に、国連総会で採択された。
 国際人権規約は、世界人権宣言のもとで、人権の理念を具体化し加盟国を直接に拘束する効力を持つ条約である。国際人権規約は、A規約・B規約という二つの規約の総称である。A規約は社会権規約、B規約は自由権規約である。これらの規約は基本的に世界人権宣言を条約化したものであり、人権の国際的保障の仕組みにおいて、最も重要な位置を占めるものとなっている。
 A規約・B規約は、共通の第1条に「すべての人民は、その政治的地位を自由に決定し並びにその経済的、社会的及び文化的発展を自由に追求する」と定めた。これは、人権の発達史において、画期的な規定だった。自由権を中心とした段階を人権の発達史の第1段階、社会権が加わったのが第2段階とすれば、国際人権規約は、第2段階を確立すると同時に人権発達史の第3段階を開くものだった。そこにおける新たな権利は「連帯の権利」と呼ばれる。その代表的なものが「経済的、社会的及び文化的発展」を自由に追求する権利、すなわち「発展の権利」である。「発展の権利」は、発展途上国の主張が反映したものであり、欧米中心に発達してきた人権の思想は、ここで人類的な次元に進み入った。
 国際人権規約は、A・B両規約とも1976年に発効した。そして、それ以後の様々な国際人権条約のもとになるものとなっている。

●国際人権規約の概要

 国際人権規約は多くの日本人が思っているより、はるかに重要な条約である。いわゆる人権派、左翼人権思想の信奉者は、しばしば人権の文言を振りかざす。だが、多くの日本人は国際人権規約等の人権条約を読んでいないのか、有効な反論ができていない。
 国連広報センターのサイトは、「世界人権宣言、2つの国際人権規約、市民的、政治的権利に関する国際規約への第一及び第二選択議定書はともに、国際人権章典(International Bill of Human Rights)を構成する」としている。これらを論じることなく、人権は語れない。わが国では、国際法学者を除くと政治学者、憲法学者、哲学者、評論家等の有数の知識人でさえ、国際人権規約を立ち入って考察している人は少ない。保守の論者には、マグナ・カルタ、ホッブス、ロック、ルソー、フランス革命、アメリカ独立宣言あたりで歴史的な考察がとまってしまい、後は日本国憲法の問題点を論じるという傾向がある。それでは、考察の範囲が狭すぎる。現行憲法の改正を目指す取り組みにおいても、人権の発達史を批判的に検討しなければならない点がある。憲法改正を唱えながら、国際人権規約はおろか世界人権宣言すら論じることなく、「反人権論」を説く保守の論者もいる。国際社会では通用しない島国学者になってはいないか。
 国際人権規約は条約だが、大切な誓約であることを強調するために、規約 Convenant という名称が使われている。国際人権規約は、「経済的、社会的、文化的権利に関する国際規約」(A規約、社会権規約)、と「市民的、政治的権利に関する国際規約」(B規約、自由権規約)の二つの条約として採択された。国際人権規約の起草・協議において、自由権のみとすべきか、社会権を含めるべきか、一本化すべきか等の議論があり、自由権と社会権を分け、二つの規約にすることになった。直ちに実現することが比較的容易な権利と、それが難しい権利とでは、同一の義務づけをすべきでないという主張が採用されたためである。参政権は、自由権規約の方に含まれた。
 自由権規約は即自的実現を求めるが、社会権規約は締約国は権利の「完全な実現を」「漸進的に」達成するため、国際協力も用いながら、「行動(措置)を取る」(第2条1項)としている。国際人権規約は、締約国が規約の内容を実施するように、国際的な監視機関を設けている。それが人権委員会である。通称で自由権規約委員会・社会権規約委員会という。これらの委員会は、締約国の状況について総括所見を出す。委員会の総括所見は、法的拘束力はないが、勧告的な効果を持つ。また国際的実施制度として、自由権規約は、加盟国の政府が報告の義務を負う国家報告制度を定めるとともに、別に選択議定書に入ることによって、人権を侵害された個人が委員会に申し立てのできる個人通報制度を適用することも可能になっている。社会権規約は当初、国家報告制度だけだったが、2008年に総会で個人通報制度を設置する選択議定書が採択された。その結果、現在は、両規約とも個人通報制度を取り入れている。

 次回に続く。
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人民元のSDR入り決定は重大脅威3

2015-12-29 08:47:34 | 経済
 中国の挑戦を受ける米国は、IMFが人民元のSDR入り決めた11月30日、財務省がこれを追認するコメントを発表した。もはや抵抗する構えは、見られない。オバマ政権は本年9月中旬ごろまでは、人民元の国際通貨化の動きに対して中国を強く牽制し、ルー米財務長官が中国の改革姿勢への不信感をあらわにしていた。だが、イギリスのオズボーン財務相やフランスのサパン財政相が人民元のSDR採用を支持すると、欧州諸国が雪崩を打ったように中国寄りに動いた。こうした動きを見て、オバマ政権は中国への徹底抗戦を断念したものと見られる。
 今年3月AIIBに対して、英国が参加を表明すると、4月までには日米を除く独仏伊等のG7の構成国が参加を表明した。この時に続いて、今回は人民元のSDR入りでも、先進諸国が米国の意思と異なる動きをした。国際社会に対する米国の重しが利かなくなってきている。その一方、欧州諸国は自由、デモクラシー、法の支配、人権等の価値より、中国から得られる経済的利益を優先する傾向が露わになってきている。理想の追求より、利益の獲得というわけである。
 ただし、習政権の野望がそう簡単に実現するとは思われない。まず指摘されるのは、米国の利上げ観測と元の下落リスクである。国際金融市場は、中国の実体経済の悪化と経済成長の減速を見て、元安を懸念している。米連邦準備制度理事会(FRB)は、12月16日9年半ぶりの利上げを決定した。今後も利上げを続ける方針と見られる。それが続けば、ドル買いが進み、元は暴落する可能性がある。
 また、人民元が実際にSDRに組み入れられる来年10月まで、中国経済が安定成長を保てるかどうかに、大きな疑問符がつく。既に中国経済はバブルが破裂し、経済崩壊が進みつつある。貿易は前年割れし、投資と消費の不振が露わになっている。共産党政権が発表するGDP等の数値は、国際市場で信用されていない。習政権は、株バブルが破裂すると躍起になって市場に介入したが、ほとんど効果がなかった。今後、経済崩壊がより本格化すれば、中国市場からの資本の逃避が加速する。その時には、本当に打つ手がなくなるだろう。政府の権力で、市場を強権的に管理することはできない。それが市場だからである。
 中国経済の崩壊が本格的に進行すれば、来年10月の時点では人民元は暴落し、SDR入りによる中国共産党の野望は潰えることになる可能性は、小さくない。
 だが、仮に中国が人民元のSDR入りで党主導経済を延命でき、経済覇権の追求を進めた場合、日本経済にどういう影響が出るか。SDRを構成する比率で、人民元はドル、ユーロに続く3番目の大きさとなる。円は人民元より下位になる。これによって、円の存在感が薄れるだろう。
田村氏は、次のように見る。「日本にとって、『SDR元』は重大な脅威となる。習指導部は国際通貨としてパワーアップした元を大いに刷って、アジア各国を元経済圏に組み込む」「日本の銀行や企業は元なくしてビジネスできなくなる。すでに金融界は浮足立ち、中国嫌いが評判の麻生太郎財務相ですら、中国側に東京に元決済センター設置を要望する始末だ。中国との通貨スワップに頼る韓国はますます北京に頭が上がらなくなるだろう」「日本が環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)で対中国包囲をもくろんでも、中国はマネーパワーで日本排除に向かうだろう」
 では「対抗する秘策はあるのか」。田村氏は「米国の対中警戒派と結束し、元の変動相場制移行と金融自由化を早期に実行させることだ。為替や金融自由化が党体制を無力化させる」と述べている。
 国際社会の圧力によって、習政権が金融・資本取引の自由化を進めるならば、共産党による事実上の一党独裁体制は、土台から揺らぐだろう。自由化の促進によって共産中国を解体できるかどうか、これは中国に呑み込まれるか、中国を呑み込むかのどちらかに結果する戦いになるだろう。
 このいわば世界規模の戦いにおいて、日本が安全と繁栄を確保するには、日本経済の再生が不可欠である。その再生の道は、アベノミクスを成功させ、潜在する成長力を力強く発揮できるようにしていくこと以外にない。(了)

関連掲示
・拙稿「増税デフレの愚を繰り返すな~田村秀男氏」
http://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/4c5c833ade2a3d7289f06fe077528dd8
・拙稿「山場に来た人民元のSDR通貨認定~田村秀男氏」
http://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/d40ef69b12734cd989c71bac32b51436
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「人権~その起源と目標」第3部第8章をアップ

2015-12-28 17:56:52 | 人権
 拙稿「人権~その起源と目標」の第3部「人権の現状と課題」の第8章をまとめて、マイサイトに掲載しました。第8章は「世界大戦の時代と人権の世界化」です。第9章以降は、ブログとMIXIに連載中です。
http://www.ab.auone-net.jp/~khosoau/opinion03i-3.htm
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人権245~世界人権宣言後の人権の展開

2015-12-27 08:56:19 | 人権
 今回から「人権~その起源と目標」の連載は、第9章「現代世界における人権の課題」に入る。


●世界人権宣言後の人権の歴史的展開

 2度にわたる悲惨な世界大戦を経験した人類は、世界人権宣言の前文で、その教訓を次のように述べた。「人類社会のすべての構成員の固有の尊厳及び平等で奪い得ない権利を認めることが世界における自由、正義及び平和の基礎をなすものである」と。この認識のもとに、国際社会は国際人権保障制度を創設した。
 人権思想の発生の地であり、人権の先進的な地域である西欧諸国は、第2次世界大戦後まもなく、共産主義化した東欧諸国に対抗して、世界人権宣言の定める自由権の保障を目指した。1950年には欧州人権条約が調印された。また西欧諸国は人権保障を国際的に監視するため、欧州人権委員会・人権裁判所を設けた。一方、国連は総会、経済社会理事会、人権委員会を軸として、国際人権文書の起草、啓発・教育・訓練といった人権の促進活動、個人通報の処理、国別・テーマ別人権問題の研究と決議など人権の保護と促進のための活動を強化した。1966年には、国際人権規約が採択され、世界人権宣言の思想が条約へと具体化された。社会権規約、自由権規約のもとに、国際的な人権保障の実施制度の整備が図られてきた。
 しかし、冷戦体制下では、人権保障をめぐる議論は、ともすると東西両陣営及び南北諸国のイデオロギー対立の影響を免れることはできなかった。資本主義諸国と社会主義諸国の人権観には根本的な認識の違いがある。そのため、国連の人権活動のあり方や条約・制度の実施のあり方についても、人権はしばしば外交とイデオロギー闘争の手段となった。共産主義諸国は大規模あるいは系統的な人権侵害の批判に対し、しばしば内政干渉と非難した。そのため、国際人権保障制度は、実際の人権問題に直面してたびたび機能マヒに陥った。
 1980年代末、ソ連・東欧における共産主義体制が崩壊し、冷戦が終結した。それによって、状況がかなり大きく変化した。旧共産主義体制との相違を示すために、ロシア、東欧諸国の新政権は個人通報手続をはじめ、人権条約の実施及び国連の人権活動に対して、積極性を見せるようになった。
 冷戦の終焉によって、イデオロギー対立が後景に退く一方、経済のグローバリゼイションの進展と社会的格差の拡大、民族・宗教その他の理由に基づく集団間の抗争が顕著になった。いくつかの国および地域では、人種的、民族的及び宗教的対立が激化して、双方の当事者の間で、集団殺害罪や「人道に対する罪」が問われる大規模な人権侵害が行われたり、大量の難民及び国内避難民を発生させたりする事態が相次いだ。
 これは冷戦終結後に始まったものではない。実は、第2次大戦後、国家間の戦争による被害や死者よりも、内戦による民間人の被害や政府による人権弾圧の死者の方が、圧倒的に多くなっているのである。特定の人種、民族、宗教等に属する人たちに対する残虐行為や大量虐殺、強制移住、拷問、強姦等が目立つ。政府自身が行ったものがあるほか、政府が軍や警察による侵害を黙認し、あるいは不処罰によって事実上黙認し、また事実上政府とつながる私兵による侵害の支援を行った例がある。政府に治安維持能力がなかったり、司法が十分機能しなかったりして、人権侵害が野放しになっていた例もある。
 こうした問題が冷戦終焉後、露わになり、それに伴って1990年代には人権侵害の加害者である個人を確実に処罰することによって、人権を保障しようとする動きが急速に広がった。1991年に旧ユーゴスラビアで戦闘が激化すると、国連安保理は93年に旧ユーゴ国際刑事裁判所を設立した。また1994年に起こったルワンダ内戦の惨状に対処するため、ルワンダ国際刑事裁判所を設置した。また国連内で国際刑事裁判所設置の気運が高まり、1998年に国際刑事裁判所設立条約が採択され、常設的な国際刑事裁判所(ICC)が誕生した。
 冷戦時代には、資本主義国は自由権を、社会主義国は社会権を強調し、互いに批判し合う傾向があった。だが、実際にはどちらが欠けても人間は有意義に生きていくことができない。冷戦終焉後の1993年、ウィーンで行われた世界人権会議は、「ウィーン宣言及び行動計画」を採択した。宣言は「すべての人権は、普遍的、不可分、相互に依存し、関連している」と定めた。これは、自由権と社会権の一体性を打ち出したものとされる。
 世界人権宣言から国際人権規約へ、さらに「ウィーン宣言及び行動計画」への展開は、私の見るところ、人間が生まれながらに平等に持つ普遍的・生得的な権利が表現されてきたものではなく、さまざまな権利が歴史的・社会的・文化的に発生・発達してきたものを、その段階、その段階において人権と呼んでいるのである。
 21世紀に入り、2001年9月11日にアメリカ同時多発テロが起こると、アメリカは「テロリズムとの戦争」を宣言した。このテロと対テロ戦争によって、市民的自由への規制等、人権を脅かす新たな事態が出現している。国連人権委員会を中心とした国連憲章に基づく従来の機関では、状況の変化に十分対応できなくなってきた。こうした背景の下、2006年に総会の補助機関として国連人権理事会が設置され、国連の人権活動は新たな局面に入った。国連では、人権の主流化が進んだ。
 今日、国連には人権理事会と人権高等弁務官事務所が置かれ、すべての国連加盟国の人権問題を定期的に審査する普遍的定期審査(UPR)が行われている。人権問題は、もはや国内問題ではなくなっている。世界的な人権条約に加えて、ヨーロッパ、米州、アフリカの地域的人権条約も、人権の内容と保障の仕組みを大きく発達させてきた。また、人種差別、女性、子ども、障害者等に係る個別的な人権条約が制定され、より詳細に権利を保障する方向に進んできた。
だが、人権の思想が広範囲に発達する一方、肝心の人権の定義及びそれの基づく人間観については、根本的な合意はまだ形成されていない。また国連体制は戦勝国による支配の秩序であり、「国際連合=連合国」とそれに基づく「国際連合憲章=連合国憲章」及び「世界人権宣言」は、一面で画期的だが、一面で欺瞞的である。国連、「憲章」「宣言」には矛盾と限界があり、人類の歴史において過渡的なものと見るべきものである。今日の人類は、これを少しづつ改善していくしかない。
 本章では、こうした認識のもとに世界人権宣言後の人権の歴史的展開をたどり、今日の人権状況を概観したのち、現代の世界と日本における人権の課題を検討する。

 次回に続く。
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人民元のSDR入り決定は重大脅威2

2015-12-26 08:44:50 | 経済
 IMFはSDRの構成通貨に加えることで、人民元をドル、ユーロ、円、ポンドと並ぶ国際通貨に引き上げることを決めた。
 IMFは本年8月、習政権が6月の上海株暴落以降、党・政府指令による経済支配を強化しているにもかかわらず、元をより大きく市場実勢を反映させる改革案を示せば、SDR通貨に加えてもよい、というシグナルを送った。10月にはSDR入りを方針として決めていたた。
 IMFのSDR認定条件は、その国の貿易規模が大きく、通貨が国際的に自由利用可能であることである。人民元は貿易条件を満たしてはいるが、元は党と政府ががんじがらめに管理する不自由通貨である。ところが、IMFは、中国政府が時間をかけながら市場実勢を反映させるよう外国為替制度を改革すると同時に金融・資本市場を段階的に自由化していくと声明すると、この方針を受け入れた。田村氏は、「IMFの判定はいかにも不自然である」と言う。英フィナンシャル・タイムズ紙や米ウォールストリート・ジャーナル紙は「政治的な決定」と称した。「政治的とは、筋が通らないケースによく使われる欧米流マスコミ用語だ」と田村氏は解説する。
 「米欧にとってみれば、元をSDR通貨に加えることは、国益になる。英国の政府と金融界はロンドン金融市場を香港と並ぶ規模の元決済センターにしようとして、10月に訪英した習近平国家主席を大歓待した。ニューヨーク・ウォール街も負けてはいない。シティグループ、JPモルガン・チェース、ゴールドマン・サックスらが中国の大手国有商業銀行と組んでウォール街を元決済センターにする準備を早々と進めている。その旗振り役がポールソン、ガイトナーの元・前財務長官であり、両氏ともウォール街出身だ。
 2008年9月のリーマン・ショックのために、収益モデルが破綻した国際金融資本が目をつけたのはグローバル金融市場の巨大フロンティア中国である。中国の現預金総額をドル換算すると9月末で21兆ドル(約2580兆円)超、日米合計の約20兆ドルを上回るのだから、その取引で莫大(ばくだい)な手数料が稼げる。こうして中国は『金融自由化』を口先に済ませるだけで、国際金融の元締め、IMFから『国際通貨元』の称号を取り付けた」と田村氏は書いている。
 IMFが人民元のSDR入り決定を発表すると、12月1日中国共産党管理下の中央銀行である中国人民銀行は、「中国の経済発展と改革開放の成果が肯定された」という声明を出し、「金融改革と対外開放を加速し、世界の経済成長と金融安定に貢献する」と強調した。日米欧の通貨で構成されてきた国際金融秩序に風穴を開けたつもりだろう。
 中国は、第2次大戦後の国際金融秩序を切り崩し、通貨によって経済覇権を狙うという計画を立てて、相当前から実行してきたと見られる。人民元の国際化は中国の悲願なのである。日本のある政府高官は、2005年に中国人民銀行から呼び出された際、中国側から「10年内に人民元は円を追い越し、IMFのSDR構成通貨入りする」と聞いたという。この証言によれば、少なくとも10年前から、中国は人民元の国際通貨を目指して着々と手を打ってきたということである。それが実現したわけである。
 中国の計画実行は、米国の覇権への挑戦である。田村氏によれば、「通貨とは、覇権国通貨ドルが示すように、国家そのものであり、経済のみならず政治・外交・軍事すべてを根底から支える」ものである。国際社会の基軸通貨ドルへの依存を低下させ、人民元による新たな金融秩序を構築することは、中国の経済覇権の追求に欠かせない。中国は人民元の国際通貨化と、本年内に設立される中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)とを合わせて、世界のドル支配体制を覆そうとしている。
 「中国は固定資産投資による高成長路線が限界にきており、経済崩壊しかねない。手っ取り早い挽回策は、対外投資を増やして、輸出を増強することで成長率を引き上げる方法だ。その決め手とするのが、中国とユーラシア大陸および東南アジア、インド、中東・アフリカを結ぶ、陸と海の『一帯一路』のインフラ・ネットワーク整備構想だ」と田村氏は言う。
 この担い手がAIIBである。「AIIBは国際金融市場でドルなど外貨を調達してインフラ資金とする計画で、英独仏など欧州や韓国、東南アジア、ロシアなどが参加したが、世界最大の債権国日本と国際金融シェアが最大の米国が参加しないこともあって、AIIBの信用力は弱い。このために、国際金融市場での長期で低利が必要となるインフラ資金の調達は困難だ」。しかし「元が国際通貨になれば、その障害は解消に向かう」と田村氏は解説する。
 人民元は共産党が支配する通貨である。習近平政権は、元が国際通貨となることで破綻間際の党主導経済を延命させようとしている。
 これまで、主として国内およびごく限られた国でしか通用しないローカル通貨だった元が国際通貨に化けると、「ドルなどと自由に交換できるので、元決済を受け入れる国・地域は格段に広がる。人民銀行が党の戦略に応じて元を刷る。政府と金融機関、国有企業がその資金で石油など戦略物資を入手し、空母など大型兵器を購入、南シナ海の岩礁の埋め立てに先端技術を導入する」と田村氏は予想する。
 国際通貨となった元を印刷することで、中国は軍事的な覇権の追及を加速できるのである。
また人民元は、SDR入りすることで、欧米国際石油資本がドル建てで支配し続ける世界の石油市場に切り込む刃になる。中国は、まず産油国や周辺国に外貨準備の構成通貨への元組み入れを要請する。さらにAIIBを利用して、元建てによる低利の融資でインフラ建設を提案する。その過程で中国は原油の輸入代金を元建てで支払うルートを確立し、石油メジャーが仕切るドルの国際石油秩序に対抗する戦略を実行する。こうすることで、中国は金融大国としての地位を固めていく。それはとりも直さず、中国が米国を押しのけて世界の覇者となる道を進むことである。

 次回に続く。
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人権244~戦後世界とユダヤ人の人権

2015-12-25 09:26:45 | 人権
●第2次大戦後の世界とユダヤ人の人権

 先に書いたように国連及びそれに基づく世界人権宣言は、矛盾と限界を持つものである。しかし、それらが人権の発達に寄与してきたこともまた間違いのない事実である。特に大戦終結の直後にはユダヤ人の権利の確保に大きな貢献をした。また1960年代以降は、欧米の植民地から独立した国々の有色人種の権利の獲得・拡大に貢献してきた。
 本章を結ぶに当たって、第2次世界大戦後の人権の国際的保障とユダヤ人の関係について述べておきたい。旧植民地の人民については、次章で述べるつもりである。
 国連憲章と世界人権宣言は戦勝国による力の秩序を前提としているが、世界的な人権の実現は、その秩序のもとにユダヤ人の自由と権利を保障することを、一つの目的とするものだったと私は考える。そして、その目的の追求において、ユダヤ人の国際社会における権利の確保、地位の向上を求める働きかけがあっただろうと推測する。
 第2次大戦後の人権問題への取り組みの重要な動機の一つは、ナチスによるユダヤ人への迫害だった。ユダヤ人の生命と尊厳、自由と権利を守るにはどうすべきか。外国に亡命を希望する者、国籍を失った無国籍者、彼らの権利とは何か、誰がどのように守るか。これらの課題について、ナチスの脅威にさらされたユダヤ人自身が、国際社会で自己防衛のために行動しただろうと想像する。
 私の思うに、働きかけは二つの方向で行われた。一つは、シオニズムが目的の地としたパレスチナに、ユダヤ人国家を建設すること。もう一つは、主権国家による国際社会の相対化を図り、ユダヤ人の生命と安全、財産と経済活動が守られるように、世界を変えることである。これら二つは、どちらも欠かせないものだった。
 イスラエルの建国は、ユダヤ民族の集団としての権利の決定的な実現となった。国家なき流浪の民が、希望の土地に国家を建設し、定住地を得た。大戦後、世界各地からユダヤ人がイスラエルに移住した。また各国に居住し続けるユダヤ人は、イスラエルを故国として連携した。ここで私が重要な役割を果たしたと考えるのが、ユダヤ人最高の実力者ロスチャイルド家である。ヒトラーによってフランクフルトとウィーンのロスチャイルド家、ムッソリーニによってナポリのロスチャイルド家が滅ぼされ、第2次大戦後、生き残ったのは、ロンドンとパリの二家のみとなった。だが、欧州の支配者集団の構成員であるロスチャイルド家は、英国政府等に働きかけ、イスラエル建国を推進した。ロスチャイルド家は、イスラエル建国に多額の資金を提供し、イスラエルの盟主のような存在となっている。
 ロスチャイルド家は、またユダヤ人の生命と安全、財産と経済活動が守られるように、国連の設立や世界人権宣言の実現を図り、働きかけをしたと思われる。イギリスは、アラブ対ユダヤの対立に手を焼き、1947年(昭和22年)、パレスチナの委任統治権を国際連合=連合国に返上した。以後、ユダヤ人国家を建設しようとするシオニズムの後ろ盾となる国家は、アメリカに替わった。ここで重要な役割を担うことになったのが、ロックフェラー家である。ロックフェラー家はユダヤ系ではないが、ロスチャイルド家とは深い関係にある。ロックフェラー家は国連の設立を促進し、本部の建設用地として土地を提供するなどした。アメリカは、イスラエル以外で、世界で最も多くのユダヤ人が住む国家である。アメリカのユダヤ人の6~7割はニューヨークに住む。ニューヨークの人口の3~4割はユダヤ人といわれ、世界の金融を支配するウォール街は、ロンドンのシティとともに、ユダヤ人が活躍する舞台である。それゆえ、英米両政府は、ロスチャイルド家とロックフェラー家の要望と支援を受けて、ユダヤ人の権利が保障されるような国際社会を実現しようとしたと考えられる。
 ユダヤ教を信じるユダヤ人にとって、18世紀以降啓蒙化されてきたキリスト教は、許容できるものである。ユダヤ教徒とキリスト教徒は、共通の神を信じ、共通の書物を啓典とし、共通の場所を聖地とする。キリスト教徒にユダヤ人を迫害させない仕組みをつくれば、人権思想はユダヤ人にとっても有益なものとなる。国連の組織や「憲章」「宣言」の思想によって、彼らの経済力や科学・思想・芸術等に示す優れた能力を発揮できる社会を実現することができる。
 私は、イスラエル建国後のユダヤ教社会をユダヤ文明とし、キリスト教文明群の周辺文明の一つと位置づける。しかも、もともと「ディアスポラ(diaspora、離散民)」だったユダヤ人は世界各地に広がっており、文明間・国家間を自由に行動し、ネットワークを広げている。ユダヤ民族には、他の民族と同様、生存と繁栄の権利がある。しかし、彼らが中東でアラブ民族との和解・共存に努めない限り、彼らの行動はアラブ民族の自由と権利を侵害する。また、ユダヤ的価値観による強欲的な利益の追求は、世界の調和的な発展の阻害となっており、価値観の転換が求められている。第2次世界大戦後、世界的に人権が発達したのは、ナチスの迫害を受けたユダヤ民族の人権の保障のためでもあったが、21世紀の世界で人権を拡大するには、ユダヤ民族が自己中心主義を打ち破ることが必要なのである。
 国家を喪失した民族は、ある国の国民となっていても、国内で自由と権利を差別されたり、迫害を受けたりする。ユダヤ人はその最も深刻な例である。1930~40年代、ナチスの支配するドイツで虐待を受けたユダヤ人の中には、国外に逃避して無国籍状態となり、保護を受ける国家を失った者がいた。こうしたディアスポラ、特に無国籍者と主権国家の関係は、20世紀に現れた新たな人権問題となった。ユダヤ人に限らず、自分が国籍を失ったり、あるいは祖国が消滅したりした無国籍者は、居留している国の政府から強制退去を命じられると、受け入れる国がないということが起きる。第2次大戦後、無国籍は個人の重大な不利益を招くため、無国籍者に関する条約が結ばれるなど、国際社会の取り組みがされてきている。
 第2次大戦を通じて生まれた国連と「宣言」は、戦後、欧米の植民地だった地域の諸民族が独立を勝ち取ると、それらの人民の権利を確保・拡大することに貢献するものともなった。そのことによって、人権は世界的な発達を見せた。本章では20世紀以降の人権をめぐる歴史と人権の発達について書いてきたが、続いて章を改めて人権に関する世界の現状と課題について書く。

 次回に続く。
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人民元のSDR入り決定は重大脅威1

2015-12-24 08:48:34 | 経済
 11月30日国際通貨基金(IMF)理事会は、通貨危機などに備えた準備資産「特別引き出し権(SDR)」の構成通貨に中国の人民元を加えることを決定した。実施は来年(2016年)10月からとなる。この決定は予想されていたこととはいえ、今後、世界経済と国際関係に大きな影響を与える重大な出来事である。
 12月2日産経新聞の1面トップは本件の記事であり、人民元のSDR入りについて警告を発してきた田村秀男氏の署名入り記事だった。非常に重要な記事であり、どの部分も要約を許さないほど、濃密な文章である。そこで、まず全文を掲載する。

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●産経新聞 平成27年12月2日

http://www.sankei.com/economy/news/151201/ecn1512010043-n1.html
2015.12.2 00:00更新
【人民元SDR入り】
IMFは「悪貨が良貨を駆逐する」という法則を忘れたのか? 田村秀男

 「悪貨が良貨を駆逐する」とは、金本位制の時代に限らない。いつの世も似たような法則が働く。現代版悪貨とは人民元である。
 元は中国共産党の支配下にある中国人民銀行が基準相場を設定し、変動を基準値の上下2%以内に限って許容している。元の金融・資本市場は制限だらけで、取引不自由だ。公正に開かれた金融市場を基盤とし、為替レートが自由に変動する先進国通貨とは対極にある。ところが、国際通貨基金(IMF)は円を押しのけて元にドル、ユーロに次ぐ特別引き出し権(SDR)シェア第3位のお墨付きを与えた。
 IMFを背後から突き動かしたのは国際金融界である。2008年9月のリーマンショックでバブル崩壊、収益モデルが破綻した国際金融資本が目をつけたのはグローバル金融市場の巨大フロンティア中国である。その現預金総額をドル換算すると9月末で21兆ドル超、日米合計約20兆ドルを上回る。
中国の習近平党総書記・国家主席は元の国際通貨化工作に大号令をかけてきた。対外膨張戦略のためには国際通貨元が欠かせないからだ。ラガルドIMF専務理事は3月下旬に訪中して「元のSDR入りは時間の問題よ」と李克強首相らにささやいた。元決済機能誘致を北京に陳情してきた英国を始め、欧州主要国はこぞって支持に回った。
 米オバマ政権の中枢はニューヨーク・ウォール街出身者が占める。同政権は当初こそ態度を留保したが、北京がこの夏、金融の部分自由化を約束した途端、「IMFの条件に合えばSDR入りを支持する」(ルー財務長官)と豹変した。ウォール街ではシティ、JPモルガン、ゴールドマン・サックスら大手が中国の大手国有商業銀行と組んで元決済センター開設準備がたけなわだ。
 今後、世界では何が起きるか。元は世界最大の通貨発行量を誇る。国際通貨になれば、元は国際市場でドルとの交換が保証される。経済面ばかりでなく、政治、軍事の分野で元の威力はさらに増すだろう。
 北京は最近、元の国際通貨化をうたい文句に、国際的な元決済システム「CIPS」を構築した。ドル決済システムの代替で、米情報当局による監視から逃れたい「ならず者国家」は元を使えばよい。党支配下の企業はカネにモノを言わせて、日本を排除しては東南アジアのインフラを手中に収めている。日米欧のハイテク企業などを対象に「爆買い」攻勢をかけている。
 悪貨の膨張を防ぐ手段はただ一つ。元の為替制度と金融市場を他のSDR通貨と同程度に完全自由化させることだ。党による支配は自由市場から嫌われ、資本の逃避や元の暴落を招く。
 ところが肝心のIMFは「市場改革が進むかどうか今後も監視していく」(ラガルド氏)と弱々しい。約束違反しても罰則はない。IMFへの資金の貢ぎぶりでは世界一の日本は、もういい加減、口くらい出したらどうか。(編集委員 田村秀男)
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 田村氏は、IMFが理事会決定に至る前、11月22日の産経新聞、12月4日の夕刊フジの記事でも、人民元のSDR入りについて書いていた。それらの記事から引用しながら、続いて本件の経緯と課題を記したい。
http://www.sankei.com/premium/news/151122/prm1511220007-n1.html
http://blogs.yahoo.co.jp/sktam_1124/41241911.html

 次回に続く。
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人権243~「宣言」採択の状況と目的(続き)

2015-12-23 08:48:27 | 人権
●わが国から見た「宣言」採択の状況と目的(続き)

 世界人権宣言の起草の中心となったのは、エレノア・ルーズベルトだった。彼女は、対日戦争を指導した米国大統領F・D・ルーズベルトの夫人である。ルーズベルトは、人種差別主義者だった。日本人を野蛮人とみなし、有色人種を白色人種より進化の段階の低い劣等民族だとみなしていた。ルーズベルトは、対独参戦を実現させるために、日本を追い詰め、対米攻撃に仕向けた。日本は、その罠にはまって、無謀な戦争に突入した。ルーズベルトこそ、日米戦争の仕掛け人である。こうした大統領が一方では、国連の生みの親でもあった。ルーズベルトは、容共的でスターリンに対し幻想を抱いていた。スターリンは、ルーズベルトの周囲にスパイを送り込み、日米を戦わせるように画策し、国際情勢をソ連に有利に持っていこうとしていた。ルーズベルト夫人のエレノアも夫同様、社会主義に共鳴していた。彼女が、国連の人権委員会の議長として、「宣言」の立案を進めた。
 当然のこととして、世界人権宣言は、敗戦国に関する人権の問題を無視する形で、起草・採択された。なにより人類史上最悪の兵器、原爆の非人道性に目をつぶって、人権を宣言した点に欺瞞性は極まる。現在も、アメリカの原爆投下をはじめ、東京大空襲、東京裁判、シベリア抑留等の不当性は、問い直されていない。本当に人権の実現を目指すなら、連合国の行為も問われなければならない。戦勝国による戦争犯罪を不問にしたままで、人権を謳う姿勢は偽善である。
 日本は1956年(昭和31年)に「国際連合=連合国」に加盟した。しかし、国連に加入した後も、未だ戦勝国によるこれらの非違行為の再審査を求める機会がない。それどころか、国連憲章には、旧敵国条項があり、日本は「旧敵国」とされてきた。旧敵国に対しては、他の国連加盟国は、国連安全保障理事会の許可なしに経済的にも軍事的にも強制行動をとってよいということが定められている。つまり、アメリカも中国もロシアもフランスも、いざとなれば自由に日本に攻め入ってもいいということである。しかし、旧敵国とされていた国はすべて国連加盟国となり、「旧敵国条項」がそのまま国連憲章上に存在することは実態と合わなくなっている。「憲章」第2条1項に「加盟国の主権平等の原則」が定められていながら、このような差別待遇を半世紀以上も放置しているところに、国連の体質がある。
 わが国は、1970年(昭和45年)の第25回国連総会以来、たびたび総会などの場で、国連憲章から「旧敵国条項」を削除すべしとの立場を主張した。94年(平成6年)12月、総会において憲章特別委員会に対し「旧敵国条項」の削除の検討を要請する決議が採択され、95年(平成7年)12月の第50回総会において憲章特別委員会の検討結果を踏まえて、削除へ向けての憲章改正手続きを開始する決議が採択された。2005年(平成17年)9月に行われた国連特別首脳国連総会特別首脳会合が採択した「成果文書」に、ようやく敵国条項を削除することを「決意する」と盛り込まれた。しかし、いつまでにという期限は定められていない。今も削除は実行されていない。
 こうした歴史的事実がありながら、国連に対して、「平等」「平和」「正義」「人道」というイメージを抱いている日本人が多い。その心理には、日本国憲法を無批判に受容している心理と共通したものがある。国連幻想と憲法信奉は、一対の幻想である。これらは、戦勝国による東京裁判史観で植え付けられたものである。このマインド・コントロールから脱却しなければ、日本の真の独立と再建は成し遂げえない。また公正と信義に基づく世界の建設も為しえない。マインド・コントロールからの脱却のために必要なことは、歴史の真相を学び、国際社会の現実を見すえることである。そうすれば、おのずと呪縛から「自由」になることができる。
 第2次世界大戦の悲惨な体験を通じて、「人間的な権利」としての人権は大きく発達した。ただし、第2次大戦及びその戦後処理には、「人間的な権利」の発達に関して重大な問題点が残されている。その反省と総括なくして、「人間的な権利」の健全な発達はないと私は考える。だが、大戦後、これらに関する国際的な反省と総括のなされないまま、人権の国際的保障が進められた。第2次大戦後、制定された世界人権宣言やこの後に述べる国際人権規約等が真に「人間的な権利」の発達に寄与するものとなるのは、これらの問題点について、反省と総括が徹底的に行われたうえでのことになるだろう。

 次回に続く。
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中台首脳会談は台湾総統選に影響を与えるか

2015-12-22 08:49:23 | 国際関係
 台湾の総統選が12月18日に公示された。来年1月16日の投票日まで約1カ月間の選挙戦に入った。世論調査では野党、民主進歩党の蔡英文主席が他の候補に大きく水をあけており、8年ぶりに政権が交代し、また初の女性総統が誕生する可能性が高い。同日行われる立法委員(国会議員に相当)選挙で民進党が過半数を取れるかどうかによって、新政権の安定性が決まってくる。
 今回の総統選及び国政選挙は、かつてなく増大している中国の圧力のもとに行われる。ここで、台湾の動向に大きな影響を与えつるある11月に行われた中台首脳会談を振り返っておきたい。
 11月7日、中国の習近平国家主席と台湾の馬英九総統とがシンガポールで会談した。「中台首脳の会談は1949年の分断以来、初めてのことであり、歴史的な会談となった。
 中台は互いの統治権を認めておらず、これまで現職の首脳同士の会談は困難だった。会談は中台の「指導者」の身分で行われた。双方が「総統」「主席」の肩書を避けた形である。
 台湾の総統選は、来年1月に行われる。総統選まで約2カ月と迫った時期の中台首脳会談に対し、台湾内部には賛否両論があった。国民党は昨年末の統一地方選で惨敗した。馬総統の任期が残り約7カ月となった中での「国共会談」に、台湾の野党は反発した。
 この会談に関して、拓殖大学総長で開発経済学者の渡辺利夫氏は、「来年5月に退任する馬英九総統の性急な要請に習近平国家主席が応じて、後者に有利な形で終始したのが今回の中台首脳会談だった」という見方をしている。妥当な見方と思う。
 今回の歴史的な会談に至った台湾・馬総統側の狙いは何か。馬総統は、来年5月に退任する。会談を自身の政治的遺産(レガシー)として示すという意図が指摘される。また来年1月の総統選で独立志向が強い野党、民主進歩党が8年ぶりに政権を奪還する可能性が高まっている中で、与党の国民党だけが中台関係を安定させうるとアピールする意図があるともみられる。
 馬総統は会談前の5日の記者会見で、「現状と平和の維持」のためだとしつつも、「次の総統が誰でもこの基礎の上に両岸(中台)関係を進める」と述べ、首脳会談の定例化を目指している考えを明らかにした。また、「台湾の次世代に有利なことを行わないのは(職務)怠慢になる」と述べて、政治的遺産作りだとの批判を意識した発言をした。
 一方、習近席主席の側の会談への狙いは何か。習主席は「中華民族の偉大な復興」を掲げ、中台統一の実現を悲願としている。2008年に発足した馬政権の下で、中台間の直行便就航や貿易・投資の拡大など経済関係は飛躍的に緊密化した。また台湾は、中国主導のアジア・インフラ投資銀行(AIIB)に参加を表明した。中国は、人民元がIMFによって国際通貨に認定されるよう画策している。習主席には人民元の力による中台関係の現状変更の狙いがあるだろう。こうした時、中台首脳会談を実現させ、中台交流は「一つの中国」の原則に基づくと確認することは、「台湾独立派」の民進党を牽制する意図があると見られる。
 そもそも、今回の会談は急遽決まったものだった。月刊『正論』1月号の記事で、産経新聞中国総局の矢板明夫氏は、次のように書いた。 
 「発表から実施まで、わずか4日間しかなかった。内部で議論が深まらないのも当然である。台湾では民意を完全に無視した馬氏が周辺だけで決めたといわれている。中国側も『習近平氏と側近数人で決めた』(共産党幹部)という。そのため、今回の会談は二つの政権の会談というより習氏と馬氏による政治パフォーマンスに近い。馬氏が習氏と会う最大の理由は『自分の任期の残りはすでに少なく、自らの歴史的評価を高くしたいため』と台湾メディアが分析している。これに対し習氏が会談に応じた理由について、ある共産党幹部は『外交が最近、連続して失敗したことへの焦りがある』と説明した」と。
 この外交の失敗とは、9月3日に北京で行われた軍事パレードでは招待したほとんどの主要国の首脳にボイコットされたこと。9月末に習氏が訪米してオバマ大統領と首脳会談を行ったが、その約1カ月後に中国が造成する人工島の12カイリ内に米国の軍艦が入るなどメンツが丸つぶれとなったことなどである。矢板氏は「習氏の外交手腕を疑問視する声は党内からも聞かれ、習氏は史上初の中台トップ会談を実現させたことを大きな成果として国内外に宣伝し、求心力につなげたいとの思惑があるとみられる」と書いている。
 会談では、「一つの中国」という原則に基づき、馬政権下での中台交流の基礎となってきた「92年コンセンサス」が再確認された。「92年コンセンサス」について、渡辺氏は次のように述べている。
 「これは、台湾側窓口機関『海峡交流基金会』と中国側窓口機関『海峡両岸関係協会』の双方が、1992年の香港での協議において口頭で交わした合意であり、台湾・行政院大陸委員会の蘇起主任委員(当時)により『九二共識』として2000年に公表されたものである。台湾側はこの合意の内容を『双方が“一つの中国”を堅持するものの、その解釈は各自異なることを認める』(『一中各表』)ものだとし、中国側は『双方が“一つの中国”を堅持する」(『一中』)としており、中台の思惑には大きな懸隔がある。台湾においては、国民党が『一中各表』原則に立つ一方、民進党はそのような合意は存在しないと主張する。実際、当時の総統、李登輝氏はかかる合意がなされたとの報告は受けていないといい、香港協議に出席した当時の海峡交流基金会理事長の辜振甫氏自身が合意の存在を認めていない」と。
 そして、渡辺氏は、「台湾統一工作の場を求める中国側はこの『幻の合意』を利用して中台交流を正当化してきたのだが、中国が『一中各表』を認めて『一中』原則を放棄することなどありえない。ただコンセンサスがあったふうに装って行動してきたというにすぎない」と指摘している。
 しかしながら、今回こうした「92年コンセンサス」に基づいて、習主席と馬総統は「一つの中国」の原則を確認した。このことは、これまで台湾側窓口機関「海峡交流基金会」と中国側窓口機関「海峡両岸関係協会」の代表者レベルで交わした口頭の合意が、中台の首脳レベルでの合意に高められたことを意味する。
 次期総統選で、国民党は劣勢に立たされており、民進党に政権が交代する可能性があり、中台は駆け込みの首脳会談で「92年コンセンサス」の再確認による格上げを図ったものと見られる。
 「一つの中国」の原則確認の経緯について、小笠原欣幸・東京外国語大准教授は、次のように述べている。
 「馬英九総統の事前の演説原稿には『92年コンセンサス』の部分で『一つの中国』の中身についてそれぞれが述べ合うという『各表』の文字が入っていた。しかし、先に発言をした習近平国家主席が台湾を刺激する発言を避けたことから、馬氏はその場の判断で中国側が嫌う『各表』を言わず、中国側と同じ解釈だけを述べた。その結果、取材カメラが入った会談冒頭での両者の発言を基に『中台は一つの中国を確認した』と世界で報じられた。国際的には『一つの中国』は中国の主張を意味し、台湾に『中華民国』が存在するという『各表』はないがしろにされやすい。馬氏はその後の非公開の会談の中で『各表』を語ったが、後の祭りである」と。
 民進党の蔡英文主席は、当然のことながら「92年コンセンサス」の存在自体を否定している。そうした蔡氏に対し、中台首脳はコンセンサスの意義を強調して、その受け入れを迫る構えである。台湾の独立を希求する人々は、今回の中台首脳によるコンセンサスを認めてはならない。

 私は、中台首脳会談は中国有利に終わったと考える。台湾側に具体的な成果があったかというと、一部の中国追従の勢力を利するのみで、台湾人民にとっては、ほとんど成果のない会談だったと思う。
 渡辺利夫氏は、次のように見ている。「馬氏が『東アジア地域包括的経済連携』(RCEP)交渉への参加の意向を訴えれば習氏はこれに前向きの姿勢を示しはした。しかし、習氏はそれと引き換えに中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)と『一帯一路』建設への台湾加盟を歓迎する旨を表明した。馬氏は台湾に向けて中国が配備するミサイル撤去を求めた。しかし習氏は『台湾住民に向けられたものではない』とそっけなく答えただけだという。台湾も領有権を主張する南沙諸島を擁する南シナ海問題については、馬氏はこれを協議のテーマに取り上げることさえせず、中台首脳会談に寄せる周辺諸国のせめてもの期待に応えることもできなかった」と。台湾側が「対等な立場」と繰り返し強調した会談は、ほぼ中国ペースで進められたといえる。
 台湾では、馬総統が進めた急速な対中接近の結果、中国に経済的にのみ込まれ、自らの将来をめぐる議論も中国に主導権を握られるとの警戒論が高まっている。昨年3月、台湾では「両岸サービス貿易協定」に反対する大学生が大挙して立法院(国会)を24日間にもわたって占拠した。「ひまわり学生運動」と呼ばれる。「両岸サービス貿易協定」が成立すると台湾の中国依存が一段と深まり、政治的にも中国にのみ込まれてしまいかねないという危機感が、学生たちから台湾人民の多くに広がった。昨年11月に行われた地方選では、与党の中国国民党が惨敗し、最大野党である民進党や無所属候補が躍進する結果となった。来年1月に予定される総統選でも、国民党が後退し、民進党が伸長すると予想されている。
 こうした中で行われた中台首脳会談は、中国による台湾の選挙への介入と受け止められ、有権者の反発を招く可能性が高い。
 かつて中国共産党政権は、1996年の台湾総統選挙では、圧力をかけるべく台湾海峡でミサイル発射試験を行った。これに対し米国は空母2隻を派遣して中国を牽制した。この中国の脅迫は裏目に出て、総統選で李登輝候補が当選し、米国内では台湾支援の動きが加速した。
 2000年3月の総統選の際には、民進党・陳水扁候補の当選を阻もうと朱鎔基首相が脅迫めいた発言をした。それが逆効果となり、陳氏への支持が増加した。陳氏の当選は、50年にわたる中国国民党の一党統治体制に終止符を打ち、台湾において初めて選挙による政権交代が実現したという意義があった。
 これに対し、中国は台湾民衆の反中感情が高まるのを警戒し、経済、文化分野を中心に交流を進めてきた。政治的分野については介入してこなかったが、今回の中台首脳会談の実現によって、習政権は従来の政策を変更し、台湾への統一工作を加速することが予想される。
 最も注意すべきは、中国は台湾を核心的利益とし、台湾統一のためには、武力行使も辞さないという原則を掲げていることである。習主席は会談のなかで、米国の関与を排す姿勢をとり、独立派を牽制した。今後、中国は台湾に対して強大な軍事力で圧力をかけ、また人民元の威力を用いて、台湾への影響力増大を図っていくだろう。
 ただし、習主席の対台湾外交は、当面の選挙には逆効果になる可能性が高い。月刊『正論』の記事で矢板明夫氏は、次のように書いた。
 「台湾では2016年1月、総統選と立法委員選のダブル選挙が行われる。その直前に会談を実施したことが、台湾で『中国による露骨な干渉』と受け取られかねない。台湾の有権者が中国国民党への不信を募らせる展開になれば、習氏の意に反して台湾の独立勢力が勢いづく可能性もある。そうなれば、『会談は逆効果だった』といった批判が中国国内で噴出しかねない。習氏の権威が傷つく可能性がある」と。
 迫りくる中国の脅威を跳ね返し、自由で民主主義的な社会を守るには、台湾人民が目先の経済的利益に惑わされず、中国の野望を見抜いて、自らの意志を明確に示すことが必要である。
日本にとって台湾の運命は、決して他人ごとではない。日本と台湾は、わが国が大東亜戦争の敗戦まで56年間にわたって台湾を統治し、台湾の経済的・文化的発展に寄与したという歴史を持つ。大戦後も日本と台湾は、自由・デモクラシー・人権・法の支配等の多くの価値を共有している。台湾が共産中国に実質的に併合されてしまったら、わが国の安全保障は、今より格段と厳しい状況に置かれる。台湾人民の賢明なる選択に期待したい。

関連掲示
・拙稿「台湾は確かに自由民主主義国家である」
http://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/b871e4d199516180daab3391d745d593
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