ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

今年の10大ニュース

2014-12-31 09:40:43 | 時事
 本年は、冷戦終結後最も国際的な緊張が高まった年だった。3月にロシアがウクライナのクリミア自治共和国を併合したことにより、欧米等の諸国との対立が続いている。中東ではイスラム国を名乗るイスラム過激派が勢力を拡大した。中国は南シナ海でベトナム・フィリピン等の周辺諸国と摩擦を起こしている。とりわけ我が国にとっては、中国の傍若無人の振る舞いに対応を要する状況となっている。

 中国は、尖閣諸島周辺の海域で公船がわが国の領海への侵入を繰り返してきた。尖閣諸島はわが国固有の領土だが、中国は自国領だと主張して、尖閣の奪取をもくろんでいる。中国人民解放軍は25年秋、尖閣奪取のための大規模な軍事訓練を行った。それを知った米国指導層は中国が本気であることを悟り、態度を硬化させた。本年4月23日オバマ大統領が来日し安倍首相と会談し、日米共同声明を発表した。声明は、尖閣諸島は日米安全保障条約の適用範囲に含まれるとした。また東シナ海及び南シナ海への領土拡大を進める中国を批判し、同時に中国の一方的な防空識別圏設定を批判した。
 わが国の政府は、ようやく本年7月1日、従来の憲法解釈を変更して限定的に集団的自衛権の行使を容認することを閣議決定した。ただし、閣議決定だけで、集団的自衛権の行使ができるのではない。今後、国会で審議がされ、関連法案の整備が進められなければならない。グレーゾーンの問題の対処や領域警備法の制定等を急ぐ必要がある。
 多くのマスメディアや有識者が集団的自衛権を行使できるようにすると、外国の戦争に巻き込まれるなどと報道している。だが、自衛力を持つことは、国連でも自然権と認めている。国連憲章は、個別的自衛権と集団的自衛権をともに国家の固有の権利と認めている。集団的自衛権の行使容認は、日本が侵攻戦争を始める準備として行うことではなく、日米の絆を強めることによって、外国の侵攻への抑止力、戦争抑止力を高めるために必要なことである。戦争を起こすためではなく、戦争を防ぎ、平和を守るために、自衛権の整備が必要なのである。
 本年9月から11月にかけては、小笠原諸島および伊豆諸島周辺海域に中国漁船団が出没し、赤サンゴの密漁をした。わが国はほぼなすすべなく、サンゴを採り尽くされてしまった。魚も大量に乱獲された。日本人が守ってきた世界自然遺産、海の生態系を破壊された。
 海上保安庁は、中国によって、尖閣と小笠原の二正面作戦を強いられた。尖閣諸島の領海警備に十数隻の大型巡視船を振り向けているため、小笠原諸島沖に出せる巡視船は4隻に限られた。とても広大な海域に来る多数の中国密漁船に対応しきれない。10月30日には、212隻もの中国船が来た。これほど多数になると単なる密漁とは考え難い。中国からは燃料代だけで300万円ほどかかる。背後に中国共産党政府の指示・支援があると専門家は見ている。
 わが国の政府は重い腰をあげ、違法操業の取り締まりを強化し、国会は罰金引き上げの法改正を行った。だが、泥棒が宝物を奪い、荒らしまわった後に、法律を厳しくしても遅い。他国であれば、外国船が領海に侵入して密漁している疑いがあれば、当然拿捕し、指示に従わねば威嚇射撃、場合によっては撃沈するところである。広大な日本の海を守るには海保だけでは不十分であり、海保と海上自衛隊が連携して対応できるようにする必要がある。

 日本人は、今回の中国密漁船「サンゴの海」強奪事件を手痛い教訓とし、サンゴや魚だけではなく、日本そのものを奪われないようにしなければ、いけない。
 中国は尖閣を奪取したら、次に沖縄を狙う。沖縄を押さえられたら、わが国は窮地に陥る。サンゴ密漁船の来襲の最中、11月16日に沖縄で知事選が行われ、親中派で辺野古移転反対の翁長雄志氏が当選した。政府は計画どおり辺野古移設を推進するだろうが、工期の遅れや反対運動の激化が予想される。日米関係にも深刻な影響が出る。中国は沖縄を中国の属地にすれば、米軍基地を追い出すことができる。その次に狙うのは日本の属国化である。だから、尖閣を守ることは、沖縄を、そして日本を守ることになる。日本人は国防の重要性を理解し、西南の守りを固める必要がある。
 12月14日に行われた衆議院総選挙は、アベノミクスについて国民の信を問う選挙として行われた。その結果、与党の自公が3分の2以上の議席を確保して圧勝した。アベノミクスを国民多数が支持するとともに、実質賃金の上昇や地方創生の具体化を伴う、さらなる成果が期待されている。わが国の当面の課題は、デフレを脱却し、経済成長の軌道に戻ることである。だが、それ以上に重要なのが、憲法改正による国家の立て直しである。アベノミクスの完遂の次は、憲法の改正が課題である。
 本年6月、改正国民投票法が成立した。戦後初めて、国会の発議を受けて、国民投票で憲法改正を決するという手続きが具体化した。安倍首相は、憲法改正は自分の「歴史的使命」とし、衆院選後、「最も重要なことは国民投票で過半数の支持を得なければならない。国民の理解と支持を深め、広げていくために、自民党総裁として努力したい」と述べ、憲法改正に意欲を示している。物質的な繁栄を追い求めるだけでは、国家の安泰と持続的な発展は得られない。日本人の手で、日本の歴史・伝統・文化・国柄に基づき、独立主権国家にふさわしい憲法を作り上げてこそ、国家の安泰と持続的な発展を確かなものにできる。

 厳しい国際環境のなか、国家の再建を進めていくには、国民の団結が必要である。日本人が日本精神を取り戻し、一致協力することが、国民一人一人の幸福と発展につながる。また、日本を再建することが、世界の平和と発展への貢献となる。日本を愛する人々は、心をつなぎ合って、日本を明るく元気にしていこう。
 皆様、よいお年をお迎えください。

 以下は、時事通信社による今年の10大ニュース日本編及び海外編。

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●時事通信社が選ぶ10大ニュース

http://www.jiji.com/jc/v?p=10bignews-2014domestic01

<国内>

1位 解釈改憲で集団的自衛権容認

 政府は7月1日、集団的自衛権の行使を容認する憲法解釈の変更を閣議決定した。自衛隊の海外での武力行使につながるもので、「専守防衛」を基本方針としてきた戦後日本の安全保障政策は大きく転換した。安倍晋三首相は来年の通常国会に関連法案を提出。日米防衛協力の指針(ガイドライン)再改定作業も進め、自衛隊による米軍支援を拡充する。
 首相が憲法改正ではなく憲法解釈の変更という手法を選んだことに対し、野党や言論界からは議会制民主主義の否定だとの批判が出ている。自公両党の間では、中東での機雷掃海活動など自衛隊が新たに行う活動をめぐって温度差が生じている。

2位 衆院選で与党圧勝

 安倍晋三首相は11月21日に衆院を解散、第47回衆院選が12月14日に投開票され、自民党が291議席を獲得した。公明党と合わせると、与党で衆院定数の3分の2を上回る326議席を維持。経済政策「アベノミクス」継続の是非が争点となった衆院選は、与党が圧勝した。投票率は52.66%で戦後最低を更新した。
 民主党は公示前勢力を上回ったが、海江田万里代表が落選し代表辞任を表明した。「第三局」勢力では維新の党は1議席減だったが、次世代の党は惨敗。生活の党も議席を減らした。共産党は現行制度が導入された1996年以来、18年ぶりに選挙区で議席を獲得するなど躍進した。

3位 消費税率10%への引き上げ延期

 安倍晋三首相は、2015年10月に予定していた消費税率10%への引き上げを17年4月に1年半延期することを決めた。14年4月に税率を5%から8%に引き上げた後、個人消費が低迷。夏の天候不順もあって、7~9月期の実質GDP(国内総生産)が2期連続のマイナスとなるなど、景気が腰折れし、デフレから脱却できなくなる恐れが出てきたためだ。
 先送りに伴い、景気が悪い場合には増税を先送りする「景気条項」を消費税増税法から削除し、再度の延期は行わない。ただ首相は、リーマン・ショック級の経済危機などの際には再延期もあり得るとの考えを示している。

4位 御嶽山が噴火、57人死亡6人不明

 9月27日午前11時52分、長野、岐阜県境の御嶽山(3067メートル)が噴火した。紅葉シーズンの週末だったため被害は大きく、逃げ遅れた登山客に噴石が直撃するなどして57人が死亡、6人が行方不明になった。1991年に起きた雲仙・普賢岳の火砕流での死者・不明者43人を上回り、戦後最悪の火山災害となった。
 火山噴火予知連絡会の各検討会は、噴火を数分以内にメールなどで登山客に知らせる「火山速報」の導入や、気象庁が常時観測する火山を47から50に増やすことなどを提言。入山者特定に手間取ったことを踏まえ、活火山や遭難多発の山を持つ自治体では、登山届義務化の動きも出た。

5位 広島で土砂災害、住宅流され74人死亡

 8月20日、広島市北部で豪雨に伴う土石流が複数箇所で起き、多数の住宅が流された。未明の発生で被害実態がすぐに把握できず、断続的に降り続いた雨のため捜索も難航。最終的には安佐南区の八木、緑井の2地区を中心に死者は74人に達した。避難指示・勧告は一時15万人以上に出され、全面解除までに3カ月かかった。
 広島地方気象台は災害当日の午前1時49分に非常に激しい雨を示す「1時間70ミリ」の予測を発表するなど、広島県全域に土砂災害への警戒を促していた。しかし、広島市は災害発生後の同4時すぎに避難勧告を出すなど、情報が生かされず対応の遅れが指摘された。

6位 朝日新聞が記事取り消し、社長が引責辞任

 朝日新聞社は8月、従軍慰安婦問題を取り上げた自社報道を検証し、証言に虚偽があったとして一部の記事を取り消すとした特集を掲載。9月には東京電力福島第1原発事故をめぐる吉田昌郎元所長(故人)の聴取記録を基に、「所員が吉田氏の命令に違反し撤退した」などと報じた記事も誤りと認めた。
 また記事取り消しだけではなく、謝罪を欠いたことを指摘しようとしたジャーナリストのコラム掲載を、一時見合わせた姿勢も強い批判を浴びた。一連の問題はトップの辞任劇に発展。新社長は就任会見で「手法や意識を根本的に見直す改革が不可欠だ」などと述べ、改めて謝罪した。

7位 日本人3人にノーベル物理学賞

 青色発光ダイオード(LED)の開発で、赤崎勇名城大教授と天野浩名古屋大教授、中村修二米カリフォルニア大サンタバーバラ校教授がノーベル物理学賞を受賞した。世界の消費電力の4分の1が照明に使われる中、LEDが資源節約に貢献したと高く評価された。
 赤崎さんは基礎研究をリード。天野さんは開発のカギ「窒化ガリウム」の結晶を作製、中村さんは実用化を推進した。「20世紀中は不可能」とされた青色LEDの登場で、光の三原色がそろい用途が拡大。消費電力が少なく、白熱電球や蛍光灯に代わる照明のほか、携帯電話のディスプレー、交通信号などに広く使われている。

8位 STAP細胞論文に捏造や改ざん

 理化学研究所の小保方晴子氏らは1月、生後1週間のマウスの細胞を弱酸性液に浸すなどの簡単な方法で、多様な細胞に変わる能力を持つ万能細胞を作製したと、英科学誌ネイチャーに発表した。しかし論文の実験画像に疑義が浮上。理研調査委員会が捏造(ねつぞう)や改ざんがあるとして不正を認定した。
 ネイチャーは7月、小保方氏らの論文撤回を決定、執筆を指導した理研発生・再生科学総合研究センターの笹井芳樹副センター長が8月、自殺した。小保方氏は検証実験でSTAP細胞を再現できず、12月に退職。理研調査委はES細胞(胚性幹細胞)混入の可能性が高いと結論付けた。

9位 7年ぶりの円安・株高

 東京外国為替・株式市場では、10月末の日銀による追加金融緩和を機に円安・株高が急速に進んだ。12月に円相場は一時1ドル=121円台に下落し、日経平均株価は取引時間中に1万8000円を回復した。いずれも2007年7月以来、約7年5カ月ぶりの水準だ。
 4月の消費税増税後、日本経済がもたついている一方、米国は景気回復で金融の量的緩和策を終了した。米国につられる形で日本の株価も上がり、外為市場ではドル買いが優勢となった。ただ、円安で原材料・燃料の輸入価格は上昇し、食品や日用品が値上がりするなど、家計や中小企業に対するマイナスの影響も広がっている。

10位 テニスの錦織、全米準優勝

 男子テニスの錦織圭(日清食品)が9月、全米オープンで快進撃を見せ、アジア選手初の四大大会男子シングルス決勝進出を果たした。決勝ではマリン・チリッチ(クロアチア)に敗れたが、準決勝で世界ランキング1位のノバク・ジョコビッチ(セルビア)を倒した。
 これまでは2012年全豪8強が最高だった。リターンの精度や軽快な動きを生かし、元全仏優勝者のマイケル・チャン(米国)コーチの指導で強さを増して年間4勝。日本男子初の世界ランクトップ10入り。上位8人のATPツアー・ファイナル(11月)に初出場して4強に進出し、同ランキング5位に躍進した。

<海外>

1位 ウクライナ危機

 ウクライナで2月に親ロシア派のヤヌコビッチ政権が反政権デモで崩壊し、親欧州連合(EU)派政権が発足したのを受け、ロシア系住民が多数を占める南部クリミア半島にロシアが軍事介入し、3月に編入に踏み切った。武力を背景に領土拡大を強行したロシアの行動に、冷戦後の国際秩序は大きく揺らいだ。
 その後ウクライナ東部でも、ロシアが後ろ盾の親ロ派武装勢力と政府軍が激しい戦闘を続け、死者は4000人を超えた。7月には東部上空でマレーシア機が撃墜され、298人が死亡する悲劇も起きた。欧米や日本は、ロシアが事態収拾に応じていないとして、制裁を発動している。

2位 「イスラム国」が勢力拡大、有志連合空爆

 イスラム過激組織「イラク・シリアのイスラム国」が6月、イラク第2の都市モスルを制圧し、指導者のバグダディ容疑者をカリフ(預言者ムハンマドの後継者)とする「イスラム国」の樹立を宣言した。シリア内戦でアサド政権の統治が及ばない北東部やイラクの北西部で活動し、少数派や他宗派の迫害などの残虐行為を続けた。
 米軍は8月、イラク領内でイスラム国を標的とした空爆を開始。オバマ政権は有志連合を形成し、9月に開始したシリア空爆にはサウジアラビアなどの中東諸国も加わった。イスラム国は3万人超の戦闘員を擁するとみられ、壊滅には数年を要する見通しだ。

3位 エボラ出血熱感染拡大、死者6000人

 西アフリカのエボラ出血熱感染拡大は、ギニア政府が3月、「最初の患者が2月に確認され、既に59人が死亡した」と発表して世界が知ることになった。瞬く間に国境を越え、隣国のシエラレオネ、リベリアに飛び火。世界保健機関(WHO)は12月に入り、死者は6000人を超えたと発表。感染者は2万人に迫ろうとしている。流行は史上最悪の規模になった。
 感染は10月になってアフリカ大陸以外にも広がり、スペインや米国で隔離治療が相次いだ。パニックに近い過剰反応もみられたが、欧米では大半が完治。日本でも西アフリカからの帰国者が隔離されたものの、感染はしていなかった。

4位 韓国旅客船事故で304人死亡・不明

 韓国南西部の珍島沖で4月16日、旅客船「セウォル号」が沈没し、乗客乗員304人が死亡・行方不明となった。事故は船体の改造や過積載で復原力が低下した状態で、急にかじを切ったため発生。犠牲者の多くは修学旅行中の高校生だった。
 乗客を残したまま真っ先に脱出したイ・ジュンソク船長ら乗員だけでなく、利益優先の船会社の経営体質やずさんな行政の監視・救助体制も問題視され、関係者約400人が立件された。一審の光州地裁は船長に対し、遺棄致死罪などで懲役36年の判決を言い渡した。事故直後の政府の対応は世論の批判を浴び、朴槿恵大統領の支持率低下につながった。

5位 米、キューバが国交正常化へ

 冷戦時代から対立してきた米国とキューバは12月17日、国交正常化交渉の開始で合意したと発表した。オバマ米大統領はキューバを孤立させ民主化実現を目指すこれまでの政策を「50年間機能しなかった」と判断、数カ月以内にキューバに大使館を置くことや経済制裁の解除などに踏み切ることを目指している。
 オバマ大統領は2016年の退任までに、歴史的な政策転換を実現し自らの業績としたい考えだ。ただ、米国は、キューバをテロ支援国に指定し、人権状況などを問題視してきた。キューバは北朝鮮との武器取引を続けてきており、米国内では国交正常化への反発も根強い。

6位 米中間選挙で共和が過半数奪還

 11月4日の米中間選挙は野党・共和党が上院の過半数を奪還し、下院でも多数派を維持した。共和党は2016年の大統領選に向け、オバマ大統領との対決姿勢を強めるとみられ、過激組織「イスラム国」への対応や移民制度改革など、国内外の重要課題にも影響を与えつつある。
 オバマ大統領は中間選挙後、主要政策の一つで共和党が反対している移民制度改革について、議会の承認を得ない大統領権限の行使を表明。民主、共和両党は予算案では妥協したものの、共和党は年明けの新議会でオバマ大統領に移民制度改革で方向転換を迫る方針で、激しい攻防が再燃する可能性もある。

7位 英スコットランド住民投票で独立否決

 英北部スコットランドで9月18日、英国からの分離・独立の是非を問う住民投票が行われた。事前の世論調査では賛否が伯仲していたが、開票の結果、独立賛成44.7%、反対55.3%で独立は否決。英国分裂という歴史的事態は、かろうじて回避された。
 投票は世界的な注目を集め、投票率は85%近くに達した。与党・保守党など主要各党は投票日直前、独立阻止のため自治政府への大幅な権限移譲を発表。独立派が唱えた英国との通貨ポンド共有が英政府に拒絶されるなど、独立後の国の在り方で現実的な青写真を示せなかったことも、独立への支持が伸び悩んだ一因とみられる。

8位 ノーベル平和賞にマララさん

 子供の教育の権利を訴えてきたパキスタンの教育活動家マララ・ユスフザイさんがインドの児童人権活動家カイラシュ・サティヤルティさんとともに、ノーベル平和賞を受賞した。17歳での受賞はノーベル賞全部門を通じて史上最年少。
 マララさんは、女性の社会進出を否定するイスラム武装勢力タリバンに抑圧された学校生活をブログにつづり、女性の教育の権利を訴えてきた。2012年10月、タリバンに銃撃されて頭部に重傷を負ったが、奇跡的に回復。受賞演説では、全ての子供が学校に行くまで活動を続けると誓い、「これが子供の教育のための最後の闘いとなるよう望む」と述べた。

9位 パキスタンで学校襲撃、140人超死亡

 パキスタン北西部ペシャワルで12月16日、イスラム武装勢力「パキスタン・タリバン運動」(TTP)が軍運営の学校を襲撃し、生徒ら140人超が死亡した。パキスタン軍は6月以降、北ワジリスタン地区でTTP掃討作戦を展開しており、学校襲撃はその報復とみられる。シャリフ首相は「子供を標的とした残忍な事件だ」と非難。「テロ組織を駆逐するまで軍事作戦を継続する」と述べ、掃討作戦を強化する意向を示した。
 TTPと関係が深い隣国アフガニスタンの反政府勢力タリバンも「罪のない人々、子供や女性を故意に殺害することはイスラムの基本に反する」と異例の非難をした。

10位(1)香港民主派デモ隊、幹線道路を占拠

 中国全国人民代表大会(国会)常務委員会が2017年の香港行政長官「普通選挙」で中国当局に批判的な民主派を締め出す方針を決めたのを受け、「真の普通選挙」実施を求める学生らが9月28日から香港中心街の幹線道路を占拠。デモ隊は一時約10万人に膨れ上がり、1997年の香港返還以降、最大の政治的混乱となった。警察の催涙スプレーを傘で防いだことから、「雨傘革命」とも呼ばれた。
 ただ、道路占拠が長期化するにつれ、市民の支持は低下。警察は12月11日、政府本部に近い金鐘(アドミラルティー)に陣取る学生らを強制排除し、道路占拠は2カ月半でほぼ終結した。

10位(2)白人警官不起訴、米各地で暴動

 米国で黒人男性を死亡させた白人警官が相次いで不起訴となり、これに反発する抗議デモや暴動が各地に広がった。黒人初の大統領として人種問題への深入りを避けてきたオバマ大統領も「人々が公正に扱われていると自信が持てなくなる例があまりに多い」と苦言を表明。米社会に今も根強い人種差別意識を浮き彫りにする結果となった。
 中西部ミズーリ州ファーガソンでは8月、丸腰の黒人青年が白人警官に射殺された。ニューヨークでも7月、白人警官が黒人男性を取り締まり中に首を絞め、死亡させた。白人警官の不起訴を決めた大陪審はいずれも、白人の陪審員が半数を超えていた。
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コメント

慰安婦問題:「史実を世界に発信する会」が英文冊子を送付

2014-12-30 10:02:24 | 慰安婦
 世界に向けて英文で日本の事実を伝える「史実を世界に発信する会」は、先ごろ「慰安婦の真実 売春婦に過ぎない」と題した英文の小冊子を作製し、米上下両院議員や慰安婦像が設置された米カリフォルニア州グレンデール市の市長と市議会議員、米主要紙などに送付した。
 そのことを伝える報道記事を、次に転載する。

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●産経新聞 平成26年12月26日

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20141226-00000088-san-soci
「慰安婦の真実」英文の小冊子を作製 米議員・主要紙などに送付

 外交評論家の加瀬英明氏が代表を務める「史実を世界に発信する会」はこのほど、「慰安婦の真実 売春婦に過ぎない」と題した英文の小冊子を作製、米上下両院議員や慰安婦像が設置された米カリフォルニア州グレンデール市の市長と市議会議員、米主要紙などに送付した。
 同会は、欧米諸国で流布されている反日プロパガンダに反論するため、近現代史に関する日本語文献を英訳し、ウェブ上などで公開している。



 小冊子はA5判30ページ。1944年に米陸軍がビルマで朝鮮人慰安婦を尋問し、「慰安婦は単なる売春婦にすぎない」と結論づけた米国立公文書館所蔵の調書を紹介。元ニューヨーク・タイムズ東京支局長の英国人記者、ヘンリー・ストークス氏は「韓国人は日本と日本人を尊敬していた。日本の植民地政策は白人優位で人種差別があった欧米とは異なり、平等で差別がなかった。日本軍による性奴隷は歴史の捏造(ねつぞう)」との手記を寄せた。
 「テキサス親父」の呼び名で知られる米テキサス州在住の評論家、トニー・マラーノ氏は「米国は片方を毀損(きそん)する一方的な主張に同意すべきではない」、加瀬氏も「韓国における慰安婦が、朝鮮戦争の勃発から国連軍(米軍)と韓国政府によって管理されたことが韓国人の研究で明らか」との文章を寄稿している。
 同会事務局長の茂木弘道氏は「英語版のほかに日本語版も作成し、『慰安婦問題の真実』を広く伝えていきたい」と話している。
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 「史実を世界に発信るする会」は、平成18年(2006)3月、私の知人である茂木弘道氏(世界出版社長)が、加瀬英明氏を会長として発足した。日本語及び英語のサイトを開設している。わが国最高の対外発信サイトである。国際啓発活動において、大いに活用すべきサイトである。
http://hassin.org/
http://www.sdh-fact.com
(現時点で冊子そのもののデータは掲示されていない。)
 同会は、「当会の目的は、欧米諸国で流布されている反日プロパガンダに英文で反駁するため、その土台となる『英文Web資料館』を構築することにあります。活動の中心は、近現代史に関する有用な日本語文献を英訳し、これをWeb上で無料で公開することです。」と記している。
 南京事件、慰安婦問題等、わが国の歴史については、事実と異なる英文情報がインターネットの世界に氾濫している。その多くは誇張・ねつ造によるものである。
 日本人が正しい史実を英文で発信していかないと、日本語の読めないネット利用者は、情報の多いものを事実として誤認してしまう。現状は、残念ながらほとんどやられ放題であった。 これではいけないと立ち上がり、活動をされているのが、茂木氏らである。
 茂木氏によると、このサイトは、オピニオン・論争のサイトではなく、資料提供をしていくことに特化したサイトである。いわば、論争の前のインフラつくりをしようというものという。問題が起こったときに、論争をしようにも、こちらの依拠するデータ、資料が英文で存在していないところでそれを行っても、ほとんど相手にならない。いわば武器を持たないで素手で戦いをするようなものとなる。そのような状況に実際日本はおかれている。そこのところを何とかしようというのが今回の事業の目的とするところだという。世界の人々が参考にするArchivesにしていこうと思っているとのことである。
 多くの方々がこのサイトを訪れ、英語の読める友人・知人・外国人にも紹介することによって、質の高い情報を広く提供できることと思う。

 今回、同会は慰安婦問題に関する冊子を作成・配布したが、同会は既に慰安婦問題について、積極的な広報活動を行ってきている。この点は以前、ブログに書いたので、下記のリンク先をご参照いただきたい。

関連掲示
・拙稿「旧日本軍の慰安婦問題2~3」
http://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/e5668dcbd11fe492281f457ed3b49f17
http://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/97bda60046133e237685a0025ad64037
コメント

中国で夜逃げ事件が多発している~石平氏

2014-12-29 08:53:40 | 国際関係
 現在の中国事情を知るのに、石平氏の記事に優るものはないと思う。氏の中国レポートは、政治・経済・外交・軍事・社会・文化等、あらゆる分野・方面にわたっている。このブログでは、氏の文章で特に注目すべきものをたびたび紹介している。
 今回は、産経新聞【石平のChina Watch】11月27日版について書く。キーワードは、「失聯(しつれん)」である。
 失聯は、中国の新聞に今、頻繁に登場する新造語であり、「連絡を絶つ」という意味という。石氏によると、多用されるのは「倒産寸前の企業の経営者が突然連絡を絶って夜逃げする」場合である。今や企業の借金や未払い賃金などが踏み倒される失聯事件が、中国各地で世間を騒がしている。
 多くの業界で経営者たちによる夜逃げ事件が多発している大きな原因には、経済環境全体の悪化とともに、「高利貸」と呼ばれる闇金融の氾濫がある。石氏は、次のように書いている。「金融不安が高まってきている中で、保身に走る国有銀行が民間中小企業への融資を渋った結果、多くの中小企業が生き延びるために闇金融に手を出すことになった。だが、借りた金の法外な高金利に耐えられなくなると、経営者たちは結局、元本を踏み倒して失聯を選んでしまうのである」と。
 夜逃げが多発すると、高利貸をやっている民間金融業者が、貸金を踏み倒される。今度は、破綻に追い込まれた民間金融業者が失聯する。ドミノ現象である。こうした悪循環が始まっている。石氏は、言う。「民間金融から大量の資金を調達しているのは不動産開発業者だから、現在進行中の不動産バブル崩壊はまた、悪循環に拍車をかけることとなろう。バブル崩壊後にやってくるのは金融の崩壊であるから、中国経済の末日が確実に近づいてきているのが分かる」と。そして、次のように結論する。「習近平国家主席がアピールしてきた『大国中国』の経済という名の土台はすでに崩れかけている」と。
 不動産バブルの崩壊が進行する中で、企業の倒産が多発し、これに連動して民間金融業者の破綻が広がっているとすると、バブルの崩壊が金融業界にも及んできているということだろう。今はまだ地方の中小の民有金融業者の破綻だが、それがより広域的でより大規模な金融機関へと波及していくだろう。波及の先には、シャドーバンキングがある。金融規模が中国の国内総生産の4割以上にも相当する「影の銀行」、信託会社やファンドなどのノンバンクである。  
 10月8日の「中国経済に死期の前兆が現れている」と題した日記に、次のような石氏の言葉を掲載した。
 「経済全体が既にマイナス成長となっているかもしれない、という深刻な状況の中で、不動産バブルの崩壊が目の前の現実となっていれば、それが成長率のさらなる下落に拍車をかけるに違いない。しかも、不動産バブルの崩壊で銀行が持つ不良債権の急増も予想されるが、それはまた、中国の金融システムが抱えているシャドーバンキングという『時限爆弾』を起爆させることになるかもしれない。そうなると、中国経済は確実に破綻という名の『死期』を迎えるのであろう」と。
http://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/6114d7de9f61d6da850d49bcc10f78d9
 上記の中国各地で多発する失聯事件は、この「時限爆弾」の時計の音が段々、高くなってきていることの証だろう。
 以下は、石氏の記事の全文。

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●産経新聞 平成26年11月27日

http://www.sankei.com/column/news/141127/clm1411270009-n1.html
2014.11.27 08:56更新
【石平のChina Watch】
金融不安、貸し渋り、ヤミ金融…「失聯=夜逃げ」ドミノに見る中国経済の末日

 中国の新聞に今、頻繁に登場する新造語に「失聯」というのがある。「連絡を絶つ」という意味だが、多用されるのは企業経営者の場合である。
 倒産寸前の企業の経営者が突然連絡を絶って夜逃げする、それが失聯事件となって世間を騒がすのだ。もちろんその際、企業の借金や未払い賃金などが踏み倒されるのは普通である。
 たとえば最近、新聞に報じられた失聯事件を拾ってみよう。
 10月22日と24日、広東省にある2つの照明器具企業の経営者が相次いで失聯した。そのうちの1つの企業の場合、踏み倒された借金は7千万元(約13億4千万円)に上る。
 23日、陝西省の企業経営者が数億元の借金を踏み倒して失聯。25日、山東省でも企業経営者が従業員の未支払い給料45万元を踏み倒して失聯。
 11月5日、雲南省では、不動産開発会社の経営者が県の「重点開発プロジェクト」の工事の途中で失聯している。13日、中国中古車のトップブランドとされる「易車匯」の経営者が失聯、全国に点在する数多くの店舗が閉鎖された。
 同じ13日、河南省の物流大手「東捷物流」の経営者が失聯、同社に商品を供給している数百の企業は売掛金の回収ができなくなってしまった。
 そして14日、大連市で前代未聞の失聯事件が起きた。中之傑物流と邁田スーパーという2つの会社の経営者が同時に失聯したのだが、この2人は実は夫婦だったのである。
 このように多くの業界で、経営者たちによる夜逃げ事件が多発しているが、経済環境全体の悪化以外に、「高利貸」と呼ばれる闇金融の氾濫も、失聯事件を多発させた大きな原因である。
 金融不安が高まってきている中で、保身に走る国有銀行が民間中小企業への融資を渋った結果、多くの中小企業が生き延びるために闇金融に手を出すことになった。
 だが、借りた金の法外な高金利に耐えられなくなると、経営者たちは結局、元本を踏み倒して失聯を選んでしまうのである。
 このような現象が広がると、窮地に立たされるのは高利貸をやっている民間金融業者である。貸金が踏み倒された結果、破綻に追い込まれるのは彼らの方だ。そうすると今度は、民間金融業者の失聯も始まる。
 たとえば、四川省の成都市では10月20日、民間金融業者、創基財富会長の段家兵氏の失聯が発覚したが、それに先立って、9月4日には聯成●という民間金融の経営者が姿をくらまし、同12日には、内江聚●融資理財公司の経営者が飛び降り自殺した。
 そして10月初旬、地元民間金融大手の四川財富聯合が破綻して、経営者の袁清和氏は夜逃げ先で拘束された。9月からの一連の破綻・失聯事件で焦げ付きとなった融資総額は百億元にも上ったという。
 かくして今の中国では、多業界にわたる「失聯」が各地で広がり、そのドミノ現象で民間金融の破綻を誘発するという悪循環が始まっている。
 民間金融から大量の資金を調達しているのは不動産開発業者だから、現在進行中の不動産バブル崩壊はまた、悪循環に拍車をかけることとなろう。バブル崩壊後にやってくるのは金融の崩壊であるから、中国経済の末日が確実に近づいてきているのが分かる。
 習近平国家主席がアピールしてきた「大国中国」の経済という名の土台はすでに崩れかけている。

●=晶の三つの日を金に
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コメント

人権128~ラテン・アメリカの独立

2014-12-27 09:22:15 | 人権
●周辺部におけるラテン・アメリカの独立

 西欧諸国は15世紀末以降、ラテン・アメリカ、アジア、アフリカを植民地とし、白色人種が有色人種を征服・支配していった。近代世界システムの中核―半周辺―周辺の構造において、中核部の繁栄は、周辺部からの収奪の上に実現した。中核部を上層、半周辺を中層、周辺を下層と垂直的にとらえると、上層の白色人種が自由と権利を獲得・拡大していくのと並行して、下層の有色人種は白色人種によって権利を侵害され、剥奪されていった。各地で有色人種は多数虐殺されたり、奴隷として強制労働をさせられたり、固有の文化を奪われたりした。
 こうした支配・収奪の構造において、上層=中核部で発生したのが、人権の観念である。近代西欧に現れた人権の観念と、各地域の固有法における権利との違いは、前者は人間が生まれながらに平等に持つ権利という思想を初めて打ち出した点にある。ただし、近代西欧の人権は、もともと非西洋人・非白人・植民地人民を対象としていなかった。生まれながらに平等に持つ権利とは、近代西欧の白人を前提とするものだった。古代ギリシャのポリスに比すならば、貴族や市民に当たるのが西欧社会の人間、奴隷に当たるのが非西欧社会の人間だった。
 ラテン・アメリカは、スペイン・ポルトガルによって植民地にされた。銀山や農産物のプランテーションから富が収奪された。アメリカ独立革命やフランス市民革命が起こると、本国からの独立の気運が高まった。1810年代から20年代にかけて、18もの独立国家が誕生した。ポルトガルからブラジル、スペインからアルゼンチン、チリ、メキシコ等が独立した。これらは、近代世界システム中核部での国民国家の形成に対抗して、周辺部に建設された国家である。中核部の国家とは出生が異なり、周辺部=下層に位置する国家としての特徴を持っている。
 北米では、対英独立戦争によって13の植民地が結びついて、独立国家が建設された。独立国家の建設を推進したのは、自由を求めるリベラリズムだった。それが、独立を求めるナショナリズムに発展した。
 本国と植民地の間で、言語はスペイン語またはポルトガル語が共通する。北米では、宗派の多様性があったが、中南米では、ほぼ全面的に本国と同じカトリックである。ヨーロッパにおけるネイションの形成は、言語・宗教が重要な要素となったが、ラテン・アメリカはこの点が違う。
独立運動は言語や宗教とは関係なく、政治的な動機で行われた。
 ラテン・アメリカは広く言語・文化が共通だったにもかかわらず、単一の国家ではなく、多数の国家が誕生した。その理由は、植民地時代の行政区画を基盤としたからである。広域に及ぶ言語・宗教共通のエスニック・グループの中で、多数の独立国家が行政区画に分かれて誕生したのである。政治学者ベネディクト・アンダーソンは、著書『想像の共同体』で、ナショナリズムはヨーロッパではなく新大陸で18世紀末から19世紀初めに誕生したという説を唱えている。
 植民地で生まれ育った白人種の子孫である現地生まれの官僚が中心となって独立を目指した。イベリア半島出身の官僚は、本国の王都マドリードや複数の植民地を転勤したが、現地生まれのスペイン系を意味するクリオーリョの官僚は、メキシコならメキシコ、チリならチリの区画内を転勤した。本国に栄転することはなかった。アンダーソンはで、こうした職歴を「巡礼の旅」と呼んだ。アンダーソンは「巡礼の旅」を共にする人たちの間で「われわれ」意識が生まれ、それがそれぞれのネイションの基礎となったという。
 独立は、一つのネイションの中の支配者集団が本国と植民地に分かれたものである。いわば現地生まれ官僚による植民地の分離・領有である。本国との関係を絶って、新たな支配者集団となった現地生まれ官僚は、植民地を国王のものではなく、自分たちのものにした。国王から植民地を簒奪した。
 新たな国家権力のもとで国民の形成がされた。かつての行政区画を踏まえてできた独立国家は、個々にエスニック・グループがネイションに発展したものではない。形式的に国民となった人々は、集団としての一体感を持っておらず、国家の中に様々なエスニック・グループが併存・対立していた。白人種による支配的なエスニック・グループのほかに、先住民族のインディオとアフリカから強制連行された黒人奴隷等がいた。支配者集団のエスニックな文化が、国民の実質化に用いられた。
 現地生まれの白人種に対し、世代を重ねるにつれ、混血(メスティーソ)が増加していった。今日クレオールと言えば、混成語・混成文化・混血の人等を意味するようになっている。だが、ラテン・アメリカにおける国家形成・国家発展のナショナリズムは、個々の国家ごとの現象であり、一つのスペイン語圏というようなエスニックな広がりを持っていない。その点では、エスニックではなく、シビックなナショナリズムである。
 一個の集団が集団としての権利を確保し、拡大し得てこそ、その集団における個人の権利が発達する。それが、いわゆる人権の発達である。ただし、その集団内の小集団すなわち階層・性別・地域等によって、権利の保有の度合いは異なる。ラテン・アメリカの場合、西欧宗主国から独立し、主権国家は建設されたものの、植民地時代の大土地所有制が存続し、リベラル・デモクラシーは、大きく発達しなかった。ラテン・アメリカのナショナリズムは、リベラル・デモクラシーと結びついた形へと発達しなかった。そのため、人権の思想も発達しなかったのである。

 次回に続く。
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憲法改正へ積極的に議論すべき時~百地章氏

2014-12-26 08:54:30 | 憲法
 私は、アベノミクスの完遂の次は憲法改正へ、と訴えている。衆院選の結果、与党で3分の2以上の議席を確保した安倍首相は、歴史的使命を自覚し、憲法改正の道を切り開いていくことだろう。
 日本大学教授の百地章氏は、憲法改正の早期実現を求める有識者の一人である。百地氏は、産経新聞12月18日の記事で、憲法改正に向けて国会で積極的な議論を行うことを求める記事を書いている。
 安倍首相は「戦後レジームからの脱却」を主張しているが、百地氏は、憲法改正こそ、脱却すべき「戦後レジーム」の「本丸」だという。安倍首相は、第1次安倍内閣で、憲法制定後60年も放置されてきた憲法改正国民投票法を成立させた。第2次安倍内閣では、4年後に投票年齢を18歳以上に引き下げる国民投票法の改正を行った。「となれば」として、百地氏は言う。「次の第3次安倍内閣において、本丸の憲法改正実現を目指すであろうことは疑いない」と。
 百地氏は、衆院選の結果を受け、ここで必要なのは「憲法改正に向けた周到な戦略と今後のスケジュール」だと主張する。まず必要なのは、「国民の高い支持率」である。それなくして、憲法改正の実現に伴う困難を克服していくことはできない。「それゆえ、当面はアベノミクスを成功させることによって日本経済を活性化させ、国民を元気づけることが緊要である」と百地氏は認める。次に必要なのは、「より積極的に憲法改正の必要性を国民に訴えていく」ことであるとして、首相からのさらなる発信を期待する。また「この点、自公連立合意で『憲法改正に向け国民的議論を深める』ことが謳(うた)われたのは画期的だ」と評価する。
 現行憲法は、全般的に改正が求められる。だが、衆参両院で3分の2の改憲勢力を結集するためには、改憲のテーマを絞ることが必要だ、と百地氏は言う。絞り込みの仕方については、「第1に国家的に重要な課題であること、第2に国家、国民にとって緊急の必要性があること、第3が国民にとって分かりやすく、多数の支持が得られそうなものであること」を挙げる。そして、「真っ先に考えられるのがいつ発生するか分からない首都直下型地震などの非常時に備えて、憲法に緊急事態条項を定めることであろう」と説く。
 11月6日に開催された衆院憲法審査会では、共産党を除く与野党7党が大規模災害や感染症拡大などの緊急事態に対処するための規定を憲法に盛り込む必要性に言及しており、改憲の優先テーマに浮上する可能性が強まった。これには「加憲」の立場を取る公明党も賛成している。百地氏は「来年の通常国会では具体的な憲法改正原案作りに向けて、積極的な議論が交わされることを期待したい」と述べている。
 私見を述べると、今回の衆院選で選挙された国会議員は、戦後日本が67年以上放置してきた憲法の改正を具体的に論じ、条文の改正を進めるという重要な役割を担うべき立場にある。政治家としてこの時に国会議員を務めることは、実にやりがいのあることだろう。日本の再建と、日本の将来の開拓のために、積極的に改正論議を行ってもらいたいものである。
 一方、国民の側にも重要な役割がある。現行憲法は、国民主権を謳い、憲法の改正は国民投票の過半数で決すると定めている。国家の根本を定める憲法について、最終的な判断をするのは、一人ひとりの国民である。この点、先の衆院選は、投票率が戦後最低となり、国民の主権者意識、政治的自覚の低下が目立った。国民一人ひとりが日本の現在と将来を考え、自ら主体的に日本を変える活動に参加することが求められている。
 百地氏は、「既に大阪府議会を含む24の府県議会で憲法改正促進の議会決議がなされ、『美しい日本の憲法をつくる国民の会』(共同代表・櫻井よしこ氏、田久保忠衛氏、三好達氏)が1千万人署名運動を始めたことを挙げ、「2年後の憲法改正実現に向け、民間レベルでも力強い歩みが始まっていることは間違いなかろう」と書いている。「2年後」とは、28年7月の参議院選挙の時に憲法改正の国民投票を行うことを意味するものだろう。正確には、1年7か月後とすべきところである。その時点が最速となる。拙速は慎まねばならないが、国会における議論と国民における圭亜発運動が相俟って、できるだけ早期に日本人自身の手になる新しい憲法を制定し、日本の根本的な再建を成し遂げたいものである。
 以下は、百地氏の記事の全文。後半に緊急事態条項に関する記事を付す。

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●産経新聞 平成26年12月18日

http://www.sankei.com/column/news/141218/clm1412180001-n1.html
2014.12.18 05:02更新
【正論】
憲法改正へ積極的議論の時だ 日本大学教授・百地章

≪精神的レジームから脱却へ≫
 先の総選挙は自民党が圧勝して終わった。昨年末に安倍晋三首相が靖国神社を参拝してから間もなく1年になるが、安倍政権が国民の信任と圧倒的支持を得たことの意味は極めて大きいと思われる。
 安倍首相は、かねて「戦後レジームからの脱却」を主張してきた。「戦後レジーム」とは、制度的には憲法を中心とする戦後体制そのものであり、精神的には東京裁判に起因する「自虐史観」や精神的自立性の喪失ということになろう。
 首相の靖国神社参拝は、「精神的戦後レジーム」から脱却するための力強い第一歩となった。当初、中韓両国から激しい批判があり、米国まで「失望」を表明したため、日本が孤立化するのではと危惧する向きもあった。しかし首相の地球儀を俯瞰(ふかん)する精力的な外交によって誤解は解消され、逆に今では日本を非難し続ける中国や韓国の方が国際社会から厳しい目を向けられているではないか。
 先の大戦が終結してから、来年は70年という節目の年に当たる。中国は再び虚構の「南京事件」を持ち出して日本批判を始めたが、これに対抗するためにも、積極的に反論していく必要があろう。
 そして、精神的戦後レジームからの完全な脱却を図るためにも「強い日本」を作り上げることが不可欠である。懸案の日中首脳会談が終わった今、安倍首相には新内閣成立後、ぜひもう一度、靖国神社参拝を行っていただきたい。

≪第3次安倍内閣に期待≫
 「戦後レジーム」の本丸はもちろん憲法改正である。選挙後の記者会見において安倍首相は「憲法改正は自民党の悲願であり、立党以来の目標である」と明言したが、心強い限りである。
 首相は憲法改正が「私の歴史的使命」と公言しており、憲法制定後60年も放置されてきた憲法改正国民投票法を成立させたのは、第1次安倍内閣であった。そして先の第2次安倍内閣では、4年後に投票年齢を18歳以上に引き下げる国民投票法の改正を行っている。
 となれば、次の第3次安倍内閣において、本丸の憲法改正実現を目指すであろうことは疑いない。総選挙での圧勝により、首相の党内基盤は強化され、来年の総裁選挙で再選されることは間違いなかろうし、憲法改正に必要な時間も与えられた。残るは、憲法改正に向けた周到な戦略と今後のスケジュールであろう。
 憲法改正の実現のためには、さまざまな困難が待ち受けており、これを克服していくためには国民の高い支持率は不可欠である。それゆえ、当面はアベノミクスを成功させることによって日本経済を活性化させ、国民を元気づけることが緊要である。
 しかし、自民公明の両党で改憲の発議に必要な3分の2の改憲勢力が維持できた以上、より積極的に憲法改正の必要性を国民に訴えていく必要があろう。首相からのさらなる発信を期待したい。
 この点、自公連立合意で「憲法改正に向け国民的議論を深める」ことが謳(うた)われたのは画期的だ。

≪緊急事態条項なら発議可能か≫
 改憲のテーマとしては、占領下においてGHQ(連合国軍総司令部)から強いられた憲法制定の事情から、前文、天皇、第9条2項といった具合に、憲法全体について国民に幅広く改正の必要性を訴えていく必要がある。他方、衆参両院で3分の2の改憲勢力を結集するためには、改憲のテーマもおのずから絞られてこよう。
 その絞り込み方については以前、指摘したとおり、第1に国家的に重要な課題であること、第2に国家、国民にとって緊急の必要性があること、第3が国民にとって分かりやすく、多数の支持が得られそうなものであることだ。
 このように考えれば、真っ先に考えられるのがいつ発生するか分からない首都直下型地震などの非常時に備えて、憲法に緊急事態条項を定めることであろう。
 緊急事態条項の意義については本欄(9月25日付)で述べたとおりだが、11月6日に開催された衆院憲法審査会では、共産党を除く与野党7党が大規模災害や感染症拡大などの緊急事態に対処するための規定を憲法に盛り込む必要性に言及しており、改憲の優先テーマに浮上する可能性が強まったという(本紙11月7日付)。
 これには「加憲」の立場を取る公明党も賛成しており、来年の通常国会では具体的な憲法改正原案作りに向けて、積極的な議論が交わされることを期待したい。
 他方、国民投票で過半数を得るためには国民の理解と支持が不可欠だが、憲法改正問題に対する一般の関心はそれほど高いとはいえない。そこで必要なのが国民投票に向けた啓発運動だが、既に大阪府議会を含む24の府県議会で憲法改正促進の議会決議がなされ、「美しい日本の憲法をつくる国民の会」(共同代表・櫻井よしこ氏、田久保忠衛氏、三好達氏)が1千万人署名運動を始めた。
 2年後の憲法改正実現に向け、民間レベルでも力強い歩みが始まっていることは間違いなかろう。(ももち あきら)

●産経新聞 平成26年9月25日

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140925/plc14092505030005-n1.htm
【正論】
憲法の「緊急権」こそ緊急課題だ 日本大学教授・百地章
2014.9.25 05:03

 2年後に好機を迎える憲法改正実現に向けて真っ先に挙げられるテーマの一つが、緊急事態条項である。首都直下型大地震の危機が叫ばれる中、当然といえよう。

≪国家存立と立憲主義かかる≫
 「憲法は平常時においてだけでなく、緊急時および危機的状況にあっても真価を発揮しなければならない。憲法が危機を克服するための配慮をしていないときは、責任ある国家機関は、決定的瞬間において憲法を無視する挙に出るほかにすべはないのである」。これは良く知られたドイツの代表的憲法学者K・ヘッセの言葉である。それ故、超法規という名の無法状態に陥ることを避け緊急事態においても「立憲主義」を維持するため、この条項は不可欠である。
 緊急権は戦争、内乱、大規模災害などの国家的な危機に際し、危機を克服し国家の存立と憲法秩序を維持するために行使される例外的な権限である。もちろん、ここでいう「国家」とは単なる政府や権力機構のことではなく、国民共同体のことである。時の権力のためではなく、「国民共同体としての国家」や憲法秩序が危殆(きたい)に瀕(ひん)しているときに、国民を守るために発動されるのが緊急権である。
 ところが、わが国では「国民共同体としての国家」に対する認識が乏しく、国家を権力としか考えない憲法学者が多い。そのため、緊急権乱用の危険のみが強調されてしまうわけだが、国家の存立なくしてどうして国民の生命や人権が保障されるであろうか。
 諸外国では憲法に緊急権を明記しているのが普通である。

≪法律だけでは対応できない≫
 この点、大災害については、わが国には災害対策基本法、大規模地震対策特別措置法、原子力災害対策特別措置法、さらに首都直下地震対策特別措置法や南海トラフ地震対策特別措置法といった法律が存在する。しかし、法律だけでは対応できないことは、先の東日本大震災で経験した通りである。
 災害対策基本法では「非常災害が発生し、かつ、当該災害が国の経済及び公共の福祉に重大な影響を及ぼすべき異常かつ激甚なものである場合」には、「災害緊急事態」を布告できる旨、定めている(105条)。そして、この「災害緊急事態」が布告されれば、政府は「緊急の政令」を制定し、生活必需物資の統制、物品や役務の価格統制、債務の支払い延期などの緊急措置が実施できることになっている(109条1項)。
 にもかかわらず、菅直人政権は「災害緊急事態の布告」を行わず「緊急政令」も制定しなかった。「緊急政令」は国会が「閉会中」などの場合に限られており、当時は国会が開会中であったことが理由とされたが、「生活必需物資を統制する必要はなかった」という言い訳は通じまい。
 実際には震災直後に、現地ではガソリンが不足したため、被災者や生活必需物資が輸送できなかったりして、助かる命も助からなかった。したがって「物資の統制」は必要であった。それなのに「物資の統制」を行わなかった理由について、国会で答弁に立った内閣府の参事官はこう答えている。「国民の権利義務を大きく規制する非常に強い措置であり、適切な判断が必要であった」と。
つまり、憲法で保障された国民の権利や自由を安易に制限するわけにはいかない、ということであろう。事実、被災地ではガレキの処分をめぐって、財産権の侵害に当たり所有権者の了解が必要だなどという議論もあったという。
 今年2月、山梨県などを襲った大雪の中で、路上に放置された車を自由に撤去することができなかったのも、「財産権の不可侵」(憲法29条1項)との兼ね合いが問題となったからだ。もちろん、財産権といえども「公共の福祉」によって制限することは可能だが(同条2項)、現実にはこの「財産権の不可侵」がネックとなり、土地収用法で定められた強制的な公共事業用地の取得でさえ、実際には「土地所有者等がどうしても用地買収に応じてくれないという極限の場合」しか用いられないという(小高剛『くらしの相談室 用地買収と補償』)。
 こうした大災害時において速やかに国家的な危機を克服し国民生活を守るためにも、憲法に緊急権を定めておく必要がある。

≪「命令」制度の採用を急げ≫
 もう一つは、国会が機能しない時のためである。例えば、首都直下型大地震によって国会が集会できない場合には、新たに法律を制定することもできない。そこで、このような場合には、内閣が法律に代わる「命令」を発することを認め、後で国会の承認を求めようというのが、「緊急命令」制度である。
 これはイタリアやスペインの憲法にも規定され、自民党の憲法改正案や産経新聞の「国民の憲法」要綱でも採用されている。
 先の衆院憲法審査会では、自民、民主、日本維新の会、みんな、生活の各党は緊急事態条項の新設に前向きであった。国会により一日も早く憲法改正の発議が行われることを期待したい。(ももち あきら)
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コメント

慰安婦問題:朝日の第3者委員会が、お手盛りの報告

2014-12-24 08:52:30 | 慰安婦
 朝日新聞社は、慰安婦問題の記事に関して謝罪し、第三者委員会に検証を求めた。12月22日第三者委員会は、報告書を公表した。本件について、まず朝日新聞自身による記事を掲載し、その後、有識者による批判と独立した検証の動きを書く。

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http://www.asahi.com/articles/ASGDQ5TP1GDQUEHF00C.html
慰安婦報道の誤報放置「読者裏切る」 朝日新聞第三者委
2014年12月22日17時50分

 朝日新聞社による慰安婦報道を検証する第三者委員会(中込秀樹委員長)は22日、報告書を公表した。虚偽だった「吉田証言」の誤報を長年放置し、取り消す対応などが遅れたことを「読者の信頼を裏切るもの」と批判し、8月に過去の記事を取り消した際に謝罪をしなかったことは経営陣の判断で誤りだったと指摘。池上彰さんのコラム掲載を見送ったのは、木村伊量前社長が掲載拒否を実質的に判断したと認定した。
 報告書は、吉田清治氏(故人)が朝鮮人女性を強制連行したとする証言以外に確認を取っていなかったと指摘。1992年の研究者の現地調査で吉田証言が疑問視された後も現地取材などをせず、記事を減らしていくような消極的対応に終始したことを「ジャーナリズムのあり方として非難されるべきだ」とした。
 97年3月に慰安婦問題をとり上げた特集記事では、吉田証言について「真偽は確認できない」との表現にとどめ、訂正や取り消しをせず、謝罪をしなかったことは「致命的な誤り」と指摘した。
 今年8月の検証記事まで取り消しが遅れた理由として、①当事者意識の欠如②引き継ぎが十分にない③訂正・取り消しのルールが不明確④社内で活発な議論をする風土が醸成されていなかった――などを挙げた。
 また、8月の検証記事で取り消しが遅れた理由を十分に検証しなかったことを「読者に対する誠実な態度とはいえない」と指摘。検証記事の内容については「自己弁護の姿勢が目立ち、謙虚な反省の態度も示されず、何を言わんとするのか分かりにくいものになった」と批判した。
 さらに検証記事で吉田証言を取り消す際、木村前社長が紙面で謝罪することに反対し、最終的には経営幹部らが決めたと認定。この経営陣の判断について「事実を伝える報道機関としての役割や一般読者に向き合うという視点を欠落させた」と批判した。
 ジャーナリスト池上彰さんの連載コラム「新聞ななめ読み」の掲載を一時見合わせた際も、「過ちは潔く謝るべきだ」との見出しの原稿に木村前社長が難色を示し、「編集部門が抗しきれずに掲載を見送ることになった」と指摘。「掲載拒否は実質的には木村(前社長)の判断によるもの」と認定した。
 慰安婦報道が国際社会に与えた影響については、4委員による三つの報告が併記された。吉田証言については、二つの報告で「韓国に影響を与えたことはなかったことを跡付け」たとし、うち一つは慰安婦報道の記事が「欧米、韓国に影響を与えたかどうかは認知できない」とした。一方、別の2委員による報告は、朝日新聞の報道が「韓国における慰安婦問題に対する過激な言説をいわば裏書きし、さらに過激化させた」などと指摘した。
 第三者委は調査を踏まえた提言で、誤報への対応をまとめて載せる「訂正欄」新設など周知方法▽今後は特集記事取材班の編成やメンバーの開示▽様々な意見をもつ専門家を集めた社内勉強会など意見交換を重ねる仕組みづくり▽経営が編集に介入する可否や程度を聴く常設の第三者機関設置――などとした。
     ◇
 第三者委員会の報告書は、中込秀樹委員長から朝日新聞社の渡辺雅隆社長に手渡された。渡辺社長は「報告を真摯(しんし)に受け止め、改革を進める」などと述べたうえで、26日に記者会見を開いて本社の見解を説明することを明らかにした。
 渡辺社長の発言は以下の通り。
 中込委員長をはじめ、第三者委員会の委員のみなさまには、当社の慰安婦報道について徹底した検証をもとに、詳細な報告書をご提出いただき、大変感謝いたしております。慰安婦をめぐる一連の報道では、みなさまに大変なご迷惑とご心配をおかけし、改めて深くおわび申し上げます。報告書の内容を真摯に受け止め、改めるべき点は誠実に実行してまいります。朝日新聞社を根底からつくりかえる覚悟で改革を進めることを約束いたします。
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 報告書の全文は、下記に掲載されている。
http://www.asahi.com/shimbun/3rd/2014122201.pdf
 上記の朝日記事が書いていないことを補うと、まず大型検証記事が組まれた経緯については、「読者の中にも不信感を抱く者が増加し、これが販売部数や広告にも影響を見せ始めてきたことから、販売や広報の立場からも放置できないという意見が高まった」とした。
 次に、元同紙記者の植村隆氏による「元慰安婦 初の証言」の記事については、「安易かつ不用意な記載であり、読者の誤解を招く」とし、証言者がキーセン学校の出身者であることを知りながらそう書かなかったことにより、「事案の全体像を正確に伝えなかった可能性はある」と述べた。同紙が検証記事で「意図的なねじ曲げはない」とした結論については「さらに踏み込んで検討すべきであった」とし、捏造に当たるとは踏み込んでいない。
 また、朝日新聞がそれまで「狭義の強制性」(直接的な強制連行)を前提として記事を作っていながら、強制連行の証拠が見つからないと分かると本人の意思に反する「広義の強制性」こそが問題だと主張しだしたことについては、「『狭義の強制性』を大々的に報じてきたのは、他ならぬ朝日新聞である」「「『狭義の強制性』に限定する考え方をひとごとのように批判し、河野談話に依拠して『広義の強制性』の存在を強調する論調は、『議論のすりかえ』だ」と指摘した。
 報告書は、朝日新聞社の姿勢を一定程度批判している点は、評価できる。ただし、検証は不十分であり、朝日新聞に対する提言も具体性を欠く。それは、この検証機関は、第3者の委員会のようでいて、朝日新聞の論調に近い有識者を集めたものだからだろう。最初から朝日新聞寄りの人間を集めているから、踏み込んだ検証・指摘がされないのである。
 
 次に報告書に対する有識者の意見を挙げたい。
 現代史家の秦郁彦氏は、「全体として朝日に厳しい態度が見て取れたが、提言部分には具体性が乏しく、慰安婦問題の本質についての統一見解が出てこなかった点に失望した」「会見では、委員個人は真摯に対応していると感じたが、委員長が記者の質問を遮ったり、報告書を読めば分かると突き放したりして印象を悪くした。社長が26日に会見するというのも、第三者委会見への反応を見て、会社としての対応を検討しようという意図が見える」「植村隆元記者が本来無関係な慰安婦と女子挺身隊を混同して執筆したり、慰安所へ連行したのがキーセンハウスの抱え主だったことを伏せて『地区の仕事をしている人』と報じたりした経緯などが明らかになっておらず、調査不足だ」と述べている。
 東京基督教大教授の西岡力氏は、「朝日新聞の姿勢を一定程度批判していることは評価できるが、誤った記事を掲載し、ここまで訂正を遅らせた責任を誰が取るべきかが書かれていない。当然取り上げられるべき問題点も欠落した不十分な報告書だ。例えば、1980年代に日本の学会で女子挺身隊と慰安婦が混同されるようになったのは吉田清治氏の著書がきっかけだが、出版前年に吉田証言を取り上げた朝日の責任には言及していない。クマラスワミ報告に吉田証言が採用されていることにも触れていない」「朝日の検証を検証・批判した私の主張や新聞記事などがほとんど参照されず、朝日への批判や都合の悪いことを無視した報告ではないか」と述べている。
 前衆議院議員の山田宏氏は、「内容は、10月の衆議院予算委員会で私が指摘してきた当然のことばかりで、『なぜ32年も“嘘の記事”を放置したのか』という疑問に答える形で、朝日の体質そのものに迫る切り込みは残念ながらなかった。特に第三者委員会の朝日新聞への提言は、『事実を軽視するな』とか『一方的な見方をするな』とか『間違ったら謙虚に対応しろ』といったものだけで、それなら『こんな当たり前のことができない報道機関は資格なし』『一旦解散して出直せ』くらい言うべきだろう。さらに朝日新聞のこんな報道を続けさせてきている、同社の反日体質、親中親朝体質の根っこにもっと踏み込んでいくべきだった。こんな第三者検証委員会の報告では、朝日は痛くも痒くもないだろう」と述べている。

 上記の批判に、私も基本的に同感である。そもそも朝日新聞社が人選した検証委員会では、適切な検証はできないことが予想された。最初からその点を懸念していた有識者たちは、12月4日外部の立場から独自にこの問題を再検証する「朝日新聞『慰安婦報道』に対する独立検証委員会」を設立した。
 委員長を務める京都大学名誉教授の中西輝政氏は、設立報告の記者会見で「第三者委員会は、朝日新聞のお仲間的、お手盛り的な検証会に終わる可能性があることが論議され、再検証が必要だ」と朝日のお手盛り検証会を徹底批判し、朝日新聞の慰安婦報道が国際社会に与えた影響を「独立した立場から検証する」ことも明らかにした。
 委員会は、西岡力氏が副委員長を務め、ほかに明星大学教授の高橋史朗氏、福井県立大学の島田洋一教授、明星大学戦後教育史研究センターの勝岡寛次氏(事務局長)の5氏で構成されている。
 朝日新聞関係者にも聞き取り調査の可否を打診する予定とのことで、慰安婦報道が国際社会や教育界に与えた影響について、来年1月末をめどに報告書をまとめると報じられている。
 朝日新聞とは一切しがらみのない立場から、徹底的に検証してもらいたいものである。
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天皇陛下、81歳の御誕生日を迎えられる

2014-12-23 09:50:18 | 皇室
 天皇陛下は本日、81歳の誕生日を迎えられた。
 世界に比類ない長い歴史をもつ日本皇室の「仁」の伝統を体現される今上陛下は、「民の父母」として国民の安寧に心を砕かれつつ、世界の平和と万民の幸福を願い、ご公務に専心しておられる。
 本年の天皇誕生日に先立ち、天皇陛下は皇居宮殿で記者会見をされ、お言葉を述べられた。
 来年が戦後70年となるのを前に、先の戦争で300万人を超える人々が犠牲になったことを踏まえ、陛下は次のように語られた。
 「先の戦争では300万を超す多くの人が亡くなりました。その人々の死を無にすることがないよう、常により良い日本をつくる努力を続けることが、残された私どもに課された義務であり、後に来る時代への責任であると思います。そして、これからの日本のつつがない発展を求めていくときに、日本が世界の中で安定した平和で健全な国として、近隣諸国はもとより、できるだけ多くの世界の国々と共に支え合って歩んでいけるよう、切に願っています」
 また、御父君である昭和天皇から学ばれたことについて、次のように語られた。
 「昭和天皇から学んだことは多いと思います。結婚前には葉山の御用邸に昭和天皇、香淳皇后と一緒に泊めていただくこともありましたから、そのような時に昭和天皇から学んだことが多くありました。人のことを常に考えることと、人に言われたからするのではなく、自分で責任を持って事に当たるということは、昭和天皇の御言動から学んだ大きなことであったのではないかと思っています」
 天皇は日本国の象徴、日本国民統合の象徴であるとともに、日本国民の誇りである。
 本日、天皇誕生日の佳き日に当たり、聖寿の万々歳を祈念申し上げ、併せて皇室の弥栄、日本国の繁栄、世界の平和を祈願いたします。

関連掲示
・マイサイトの項目「君と民」
http://www.ab.auone-net.jp/~khosoau/j-mind10.htm
・マイサイトの項目「天皇と国柄」
http://www.ab.auone-net.jp/~khosoau/opinion05.htm
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人権127~仏市民革命と国民国家の広がり

2014-12-21 08:57:21 | 人権
●フランス市民革命と国民国家の広がり

 アメリカの独立によって、イギリスという君主制の国民国家、またアメリカという共和制の国民国家が、大西洋の両岸に並立することになった。これに続いて、ヨーロッパ大陸に、第三の国民国家が誕生した。それが、フランスである。フランス市民革命は、先進国イギリスへの憧れと反発が変革の推進力となった。ディドロ、モンテスキュー、ヴォルテールらの英国かぶれは、半端でない。また、アメリカ合衆国の独立に強い影響を受けた。独立運動の指導者の一人フランクリンは渡仏して、独立戦争に協力を求めた。ラ・ファイエットは渡米して、独立戦争を支援し、帰仏後、アメリカ流のリベラル・デモクラシーをフランスの知識層・市民階級に伝えた。フリーメイソンの活動が強い影響を与えた。
 フランスの場合、市民革命で主権が国王から市民階級を中心とした国民に移った。この時点で、主権国家フランスの国民は、形式的な集団だった。パリの革命政府に参加している集団以外は、多くの国民に国民という意識がなかった。市民革命後のフランスでは、エスニックな一体性という意識より、政治的なネイションの意識が強かった。フランスのネイションは、近代市民社会の普遍的諸理念を共有する個人・市民によって構成される共同体と考えられた。自由・平等・友愛というシビックな理念が、諸階層や諸地方を結びつけた。だが、そのことは、フランスのネイションがエスニックな要素を持っていなかったことを意味しない。パリで政権に参加した市民階級の統治者集団は、自らの使っている言語・文化をもとに国民の実質化を進めた。彼らが、主要なエスニック・グループとなった。
 市民革命当時、後に標準フランス語とされる言語を話す人々は、全人口のおよそ半分だったといわれる。国民の言語は多様だった。この状態から、長い時間を経て、標準フランス語を国語として共有する国民が作られた。政府は公教育を行い、法制度を浸透し、徴兵制を行うなどした。 1804年のナポレオンによる統治改革を以て、国民国家が成立した。
 まず革命によって新たな政治権力が生まれ、その権力によって国民国家が一種の枠組みとして形成された。その後に、政府が国民の言語的統一、文化的同化、思想の共有を進めた。形式的な国民を実質的な国民に変えていった。国民の実質化が進むことによって、フランスの国民は、言語や文化を共有するエスニックな集団としての民族という性格も持つようになった。エスニック・グループは、固定的なものではなく、言語的にも文化的にも社会的にも変化する。
 フランスでは、パリ盆地を中心とする北フランスと地中海海岸部は、平等主義核家族が支配的である。南部のオック語地方は直系家族、ブルターニュ地方は絶対核家族が主である。支配的なエスニック・グループが、自由=平等を価値観することにより、普遍主義的な人間観を持つ。そのため、フランス思想の影響を受けた外国人は、フランス的なものを以て、普遍的と錯覚しやすい。だが、フランスで市民革命から生まれた国家は、国民国家の一つの類型にすぎず、模範でも基準でもない。フランスは、イギリスから政治・経済・思想等を摂取して、先進国イギリスに対抗した。フランスの政府もイギリス同様に植民地を獲得し、有色人種を支配・搾取した。しかもフランスの国民国家は、共和制に始まり、帝政、王政、再び共和制、また帝政等と政体がめまぐるしく変化した。イギリスやアメリカでの政体の安定性と比べると、とても典型的な国家形態とはいえない。だが、1830年の七月革命と48年の二月革命をきっかけに、フランス型の国民国家の思想が、ヨーロッパに広がった。
 注目すべきは、フランスにおける国民意識の形成もまたイギリスの場合と同じく、対外戦争抜きに考えられないことである。市民革命の混乱の中で、フランス国内では対立・抗争が激化していた。そこに諸外国が干渉しようとした。これへの対抗において、階層・地域・思想・利害等を超えたネイションとしての自覚が生まれた。繰り返される対仏大同盟が、フランスのネイションを鍛えた。自由・平等・友愛という普遍的な理念以上に、“共通の敵と戦う友”という運命共同体の意識が、ネイションを強固にした。“敵と友”は、政治学者カール・シュミットが政治的なものの固有の指標としたものである。ここでも、私たちは、対外的に発達するナショナリズムの高揚を見ることができる。しかも、ナポレオンは周辺諸国に侵攻し、フランス的価値観を広めようとした。これは国家発展段階における対外拡張型のナショナリズムである。
 一方、ナポレオン軍に侵攻された諸国、諸地域では、フランスのナショナリズムに対抗するナショナリズムが高揚した。敵の侵入、占領、支配に対し、団結して戦う中で、ネイションが形成された。
 ネイションには、ある普遍的な理念に基づいて形成された政治的な共同体という側面と、歴史・伝統に根ざした民族に基づく文化的な共同体という側面があり、国によって実態は異なる。私は、前者と後者に共通する顕著な傾向として、他の国家との戦いの中で、集団の共同性が強まり、国民の実質化が進んだことを強調したい。そして、人権は、対立・抗争し合う諸国民において、国民の権利として発達した。諸国民は、それぞれの権利をかけて戦った。その過程で国民個人の権利が獲得・拡大された。
 思想史的に見ると、18世紀のルソーは、デモクラシーとナショナリズムを一体のものとして提示する思想を説き、国民国家の理論を提示した。この点は、第9章の思想面の検討の際に述べる。

 次回に続く。
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アベノミクスの円安が中韓に衝撃を与えている~田村秀男氏

2014-12-20 09:26:15 | 経済
 衆院選で、アベノミクスの是非が問われ、信任を受けた。選挙戦で野党は、様々な虚偽を並べてアベノミクスの批判をしたが、長年低迷していた株価が急上昇していることをはじめ、日本経済が力強く回復しつつあることは、明らかである。
 各種経済指標を平成24年11月14日と26年11月14日の間で比較すると、日経平均株価8,665円→17,490円と2倍に、東証1部時価総額251兆円→501兆円と2倍に、有効求人倍率0.82→1.09(9月)へと改善、就業者数6,278万人→6,366万人で88万人増と、株価は驚異的に改善し、雇用は大幅に改善している。
 ただし、この反面、CPI―0.2%→3.2%(9月)と物価が上昇し、名目賃金も上昇してはいるが、物価上昇に追いつかず、実質賃金指数84.0(9月)→80.3(9月)と低下している。野党の多くは、この点を誇張するが、これからデフレ脱却が本格化するに従い、名目賃金が上昇し続ければ、実質賃金指数も向上するだろう。
 日本企業の多くを苦しめていた円高は、急速に改善された。アベノミクスが打ち出された時には1ドル80円前後だったのが、2年で1ドル=120円をつけた。円安は、日本の輸出中心の大企業には追い風だが、多くの中小企業には輸入原材料の値上げとなるため、短期的な効果には正負の両面がある。ただし、長期的には日本経済が活力を発揮することによって、社会全体が繁栄に向かうことになる。
 円安は、国際的な影響ももたらす。アベノミクスによる円安は、中国、韓国に大きな衝撃を与えている。そのことについて書くと、円安の動因は、第1の矢「異次元金融緩和」である。日銀が資金を大量発行すると、ドルに対する円相場は下落が、中国は逆に人民元をドルに対して切り上げざるをえない。田村氏は、これには人民元を切り下げると中国の特権層の投機資金の多くが中国から逃避するという内部事情もあって、中国政府は人民を切り上げざるを得ないのだと説明する。そのうえ、このまま円安人民元高が続けば、賃上げ率が年二けたで上昇する中国に見切りをつけて、日本にUターンする企業が続出してもおかしくない情勢である。中国側は「高度な技術を持つ日本企業を何とかつなぎ留めないことには、将来が危うい」と田村氏は観測する。
 田村氏は、円安人民元高における中国経済を把握する指標として、鉄道貨物輸送量を取り上げる。田村氏によると「中国はGDPにモノが占める比率が5割程度と高い。そのモノの動きを代表する鉄道貨物は経済実態をかなり正確に反映する」という。そして、アベノミクス開始後、「円は急速に下がり続けるのに並行して、中国の鉄道貨物輸送量が急激に落ち込む傾向が顕著だ」と指摘する。
 韓国もまた円安によって打撃を受けている。それを端的に反映しているのが、日韓の対照的な株価動向だと田村氏は言う。「円安・ウォン高が電子・電機や自動車、鉄鋼など日本と競合関係にある韓国大手輸出企業の競争力を低下させるとの不安から、韓国株は低迷を続けている。それを尻目に日本株は順調に上昇気流に乗っている」と説明する。中国と同様、韓国も金融緩和でウォン安に誘導することのできない事情がある。「韓国への外国からの証券投資額はGDPの4割以上に達し、外資への依存度が高い。ウォン安は外資の韓国売りの引き金になりかねない」。それが「致命的な弱点」だと田村氏は指摘する。
 経済政策は本来、自国のために行うものである。田村氏は、これを「国際的な鉄則」だという。田村氏は、次のように主張する。「日本としては国内需要の拡大を通じて、中国や韓国の経済にも好影響を及ぼす結果を出すよう、粛々とアベノミクスを完遂するのみだ」と。
 わが国は、中国や韓国に経済的な打撃を与えるために、「異次元緩和」を行っているのではない。あくまで15年続いたデフレを脱却するために、大胆な金融緩和を行って衣類過ぎない。その結果として、打撃を蒙る国が出るのは、その国の経済事情によるものである。
 ただし、中国・韓国としては、予想外の衝撃をもたらしているアベノミクスをなんとか、やめさせようと躍起になって働きかけているところだろう。当然、先の衆議院総選挙では、親中・親韓の政治家・政党を通じて、アベノミクスは失敗だとか、危険だとか、生活が苦しくなった等との批判をさせ、アベノミクスにブレーキをかけ、さらには安倍政権を転覆させようと画策したことだろう。民主党や社民党等のアベノミクス批判には、こうした国際的な構図が背景にあるのではないか、と私は見ている。
 以下は田村氏の記事の全文。

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●産経新聞 平成26年12月7日

http://www.sankei.com/column/news/141207/clm1412070008-n1.html
2014.12.7 13:30更新
【日曜経済講座】
アベノミクスによる円安に対応できない中国・韓国、その衝撃度は重大 編集委員・田村秀男

 アベノミクスが打ち出されて以来、2年で1ドル=120円をつけた。回復基調の国内経済に比べ、海外への影響はどうか。調べてみると、隣国の中国、韓国への衝撃度はかなり大きいことがわかった。



 不況感が全土に広がっている中国をグラフで見よう。鉄道貨物輸送量というと、唐突かもしれないが、李克強首相が遼寧省共産党書記当時に米国の駐中国大使に向かって「GDPは人為的だが、鉄道貨物輸送データは信用できる」と推奨した。中国はGDPにモノが占める比率が5割程度と高い。そのモノの動きを代表する鉄道貨物は経済実態をかなり正確に反映する。
 アベノミクス開始後、円は急速に下がり続けるのに並行して、中国の鉄道貨物輸送量が急激に落ち込む傾向が顕著だ。輸送量は今年初め以来、マイナス基調が続く。円安・人民元高と中国景気不調がなぜ共振するのか。
 人民元は12月5日までの2年間で円に対して50%以上も上昇した。人民元高は中国の輸出競争力を損なわせる。製造業の新規輸出受注指数はこの11月で前年比2・1%減だ。日本企業は対中投資を削減し、他の生産をアジアへ移す動きも出ている。このまま、円安・人民元高が続けば、賃上げ率が年2ケタの中国に見切りをつけて、日本にUターンする企業が続出しておかしくない情勢だ。
 円安の動因はもちろん、アベノミクス第1の矢「異次元金融緩和」だ。日銀が資金を大量発行すると、ドルに対する円相場は下落する。中国は逆に人民元をドルに対して切り上げざるをえない。
 中国当局は外国為替市場に介入して、人民元を小刻みながら切り上げることで、外部からの資本流入を促している。中国本土にカネを持ち込む勢力の多くは中国の党官僚、国有企業など特権層で、大半は利殖目的であって愛国的ではない。人民元を切り下げると、こうした投機資金の多くが中国から逃避する。すると、不動産や株式相場は暴落する恐れがある。従って、習近平政権は汚職高官の不正蓄財資産の対外持ち出しを取り締まると同時に、人民元相場を引き上げざるをえない。中国は自身の制度と内部事情のためにアベノミクス相場に対応できないのだ。
 習政権が安倍政権との対話再開に動き出した理由の一端は、以上のような中国側の苦境にあるだろう。高度な技術を持つ日本企業を何とかつなぎ留めないことには、将来が危うい。
 一方、韓国の朴槿恵(パククネ)大統領はこのところ、円安の進行に神経をとがらせている。朴大統領は「(世界的に不透明感が強まっているため)株式市場を含む国内の資本市場ではボラティリティーが高まっており、輸出企業の利益が円安のために悪化する恐れがある」(ロイター通信の10月6日電)と述べた。さらに、韓国・中央日報の日本語ウェブ版11月17日付によると、朴大統領はオーストラリアで16日に開かれた20カ国・地域(G20)首脳会合で、「自国の状況だけを考慮した先進国の経済および通貨政策は新興国にマイナスの波及効果を及ぼす」と語り、日本の円安政策を暗に批判した。
 円安による打撃を端的に反映しているのが、日韓の対照的な株価動向である。円安・ウォン高が電子・電機や自動車、鉄鋼など日本と競合関係にある韓国大手輸出企業の競争力を低下させるとの不安から、韓国株は低迷を続けている。それを尻目に日本株は順調に上昇気流に乗っている。
 韓国も金融緩和でウォン安に誘導すればよいのだが、致命的な弱点がある。韓国への外国からの証券投資額はGDPの4割以上に達し、外資への依存度が高い。ウォン安は外資の韓国売りの引き金になりかねない。
 経済政策は本来、自国のために行うのが国際的な鉄則だ。日本としては国内需要の拡大を通じて、中国や韓国の経済にも好影響を及ぼす結果を出すよう、粛々とアベノミクスを完遂するのみだ。
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衆院選:安倍氏は「歴史的使命」を担うべき宰相~櫻井よしこ氏

2014-12-18 08:50:23 | 時事
 ジャーナリストで国家基本問題研究所の理事長でもある櫻井よしこ氏は、今回の衆院選の結果について、産経新聞平成26年12月16日号に意見を書いた。
 櫻井氏は、今回の結果について「民主主義国における選挙結果は国民の意思である」と言う。「それは日本が直面する内外の諸問題-中国の脅威と米国のアジア政策に関する不安、憲法改正の歴史的必然性、皇位継承と皇室問題、経済成長のための改革-これらの重要課題の解決を安倍首相に期待する国民の声に他ならない」という理解を示す。
 現在の日本の状況と、安倍首相の役割について、櫻井氏は、次のように述べている。「戦後体制の病根に本質的に切り込む時期は、今を措いてない。その大事な局面で強固な政権基盤を与えられた首相は、まさに歴史的使命を担うべき宰相なのである」「今回の選挙結果は、アベノミクスを含めた安倍政権2年間への総合評価である。戦後70年の道のりで私たちが置き去りにしてきた大事な価値観を、安倍首相なら取り戻し、国の根幹を正せると、国民が信頼を寄せたのである。内外の執拗な批判に加えて、志を同じくする次世代の党などの敗北という厳しい条件はある。だが、もっと大事なことは、国民が安倍首相を圧倒的に支持した事実である。経済、国防を強化し、憲法改正を説く中で、独立国の宰相としての姿を鮮明にしてほしい」と。
 櫻井氏は、この記事で中国公船の尖閣諸島海域への侵入の日常化や小笠原諸島周辺海域での中国船による海洋資源の強奪の問題について述べ、日本が国家安全保障体制を強化し、「まともな普通の国」「普通の民主主義国」とならねばならないことを説く。そのために「どうしても必要なこと」は「わが国の国柄を認識すること」である、と櫻井氏は言う。「日本国は、祭祀を司り国民と国家の安寧を祈る天皇を国の基とする立憲国家である。国と国民が和の精神に基づいて一体となり、長い歴史を紡いできた」――そうした国柄を認識することである。
 その上で、櫻井氏は、首相の靖国参拝について書いている。櫻井氏は「英霊を慰め、感謝をささげることは国民を代表する首相しか果たせない重要な責務」だとし、これを「日本の精神的支柱のひとつ」であるとする。そして、次のように言う。「日本の精神的支柱のひとつであるその大事な参拝を、中国は日本国内のメディアと連動し、アメリカを巻き込み、対日歴史カードに仕立て上げた。戦後70年の来年を対日全面的歴史戦争の年と定め、12月13日には、南京大虐殺記念館で習主席が日本軍の30万人虐殺説を根拠もなく演説した。中国の仕掛ける政治的歴史戦争に屈服しない道はただひとつ、王道を歩み続けることの中にある。首相は靖国参拝の心を世界に発信し続け、毎年静かに参拝を続けるべきである」「毎年、靖国神社を参拝し、英霊への感謝と礼節を示して国民の誇りを取り戻すことこそ、歴史が安倍首相に託した使命である」と。

 基本的に私は櫻井氏の意見に同感である。単なる経済の再生、また国防の強化だけではなく、日本の国柄を認識し、国民の誇りを取り戻すことが、国家の安泰と持続的な繁栄を確かなものとする。櫻井氏は、安倍首相には「歴史的使命」があると言うが、今この現在、日本の最高指導者として、その使命を担い得る政治家は、安倍晋三氏しかいない。今回の衆院選は、事実上、国民が安倍首相を信任した選挙であり、安倍首相には天が授けた歴史的使命を全うし、日本が大発展し、世界をリードする新時代への道を切り開いてもらいたいものである。
 以下は、櫻井氏の記事の全文。

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●産経新聞 平成26年12月16日

2014.12.16 05:02更新
【正論】
首相は信任で国の根幹を正せ ジャーナリスト・櫻井よしこ

 自民党が圧倒的強さで勝利し、前回選挙で大量当選した1回生議員もほぼ全員再選を果たした。かつてないこの勝ち方は安倍晋三首相と政権への信任を示すもので、政権基盤はさらに強化された。

≪戦後の病根に切り込む時期≫
 民主主義国における選挙結果は国民の意思である。それは日本が直面する内外の諸問題-中国の脅威と米国のアジア政策に関する不安、憲法改正の歴史的必然性、皇位継承と皇室問題、経済成長のための改革-これらの重要課題の解決を安倍首相に期待する国民の声に他ならない。戦後体制の病根に本質的に切り込む時期は、今を措(お)いてない。その大事な局面で強固な政権基盤を与えられた首相は、まさに歴史的使命を担うべき宰相なのである。
 中国の習近平国家主席が11月末の中央外事工作会議で重要方針を発表した。アメリカ一極体制が多極化に向かっており、この流れは変わらない、既存の国際社会の制度や秩序に挑戦し、中国の主張をより強く反映させていくという内容だ。国際法や国際秩序への中国の挑戦は「南シナ海の中国の領有権は2千年前から確立されている」とする主張や、防空識別圏や排他的経済水域に関する彼ら独自の法解釈によっても明らかだ。
にもかかわらず日本の国防意識は、怠惰な眠りの中にあるかのようだ。尖閣周辺海域に彼らは日常的に公船を侵入させ、日本国民がとりたてて反応しない水準まで常態化させた。玄関の鍵をこじ開けられ自宅の中にまで中国人の侵入を許すに等しい異常事態がほぼ毎日発生しているのにまだ、集団的自衛権の、それも極めて制限的な行使容認に反対の世論がある。
 国防へのこの無頓着と非常識が中国の跋扈(ばっこ)を許し、小笠原諸島海域に220隻に上る中国船が押し寄せた。最善を尽くしながらも、海上保安庁は対処できなかった。
 理由は明らかだ。小笠原諸島と、南端の沖ノ鳥島、東の国境の島である南鳥島を結ぶ海域は、世界第6位の広さを有する日本の排他的経済水域の3割強を占める。しかし、その広大な海を守る現地の海保職員はわずか4人、船は小ぶりの1隻しかないのである。中国漁船群は、2012年7月には五島列島福江島の玉之浦湾にも易々(やすやす)と侵入した。彼らは望めばいつでも日本の海に侵入できるのだ。

≪日本の国柄を認識すべし≫
 現在、わが国は尖閣諸島に船も人員も集中して投入しているが、守るべき領土は尖閣だけではない。海洋大国としての防備の力を顕著に増やすべきだ。海保および自衛隊の、装備の充実と隊員増のための予算の大幅増を英断し、国防力を強化することが中国の侵略を思いとどまらせる道である。
 憲法、法律上の空白も急いで埋めなければならない。集団的自衛権に関する7月の閣議決定は、安全保障に関する戦後の無責任体制と決別する偉業だった。
 それはしかし、ポジティブリストの項目を増やし、実際の国防のための運用を複雑にしかねない。ポジティブリストの自衛隊をネガティブリストの自衛隊へと、真の国防に向けた質的変換を図ることを目指すべきだ。一連の作業を経て初めて、日本は歪(いびつ)な非戦国家からまともな普通の国になれる。
 日本が普通の民主主義国となるためにどうしても必要な大事なことは、わが国の国柄を認識することである。日本国は、祭祀(さいし)を司(つかさど)り国民と国家の安寧を祈る天皇を国の基(もとい)とする立憲国家である。国と国民が和の精神に基づいて一体となり、長い歴史を紡いできた。
歴史においては幾度かの戦いもあった。その戦いで日本国に殉じた人々がいて、現在の日本がある。その英霊を慰め、感謝をささげることは国民を代表する首相しか果たせない重要な責務である。

≪戦後70年に国民が寄せた信頼≫
 だが、日本の精神的支柱のひとつであるその大事な参拝を、中国は日本国内のメディアと連動し、アメリカを巻き込み、対日歴史カードに仕立て上げた。戦後70年の来年を対日全面的歴史戦争の年と定め、12月13日には、南京大虐殺記念館で習主席が日本軍の30万人虐殺説を根拠もなく演説した。
 中国の仕掛ける政治的歴史戦争に屈服しない道はただひとつ、王道を歩み続けることの中にある。首相は靖国参拝の心を世界に発信し続け、毎年静かに参拝を続けるべきである。
 今回の選挙結果は、アベノミクスを含めた安倍政権2年間への総合評価である。戦後70年の道のりで私たちが置き去りにしてきた大事な価値観を、安倍首相なら取り戻し、国の根幹を正せると、国民が信頼を寄せたのである。
 内外の執拗(しつよう)な批判に加えて、志を同じくする次世代の党などの敗北という厳しい条件はある。だが、もっと大事なことは、国民が安倍首相を圧倒的に支持した事実である。経済、国防を強化し、憲法改正を説く中で、独立国の宰相としての姿を鮮明にしてほしい。
 毎年、靖国神社を参拝し、英霊への感謝と礼節を示して国民の誇りを取り戻すことこそ、歴史が安倍首相に託した使命である。(さくらい よしこ)
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