●通常取引では考えられない特典つきの叩き売り
旧長銀問題については、浜田和幸著「ハゲタカが嗤った日」(集英社インターナショナル)に詳しい。以下は本書に多くを負っている。
旧長銀は、外資に超破格値で叩き売られただけではない。保有する不良債権は、3年間、無条件で保護するという瑕疵担保契約まで結んでいた。瑕疵担保条項によってリップルウッド側は日本政府に不良債権を押し付けることができる。外資は、絶対に損をしない売買をした。逆にわが国は、絶対に損はさせませんから、どうぞ買ってくださいと、相手に差し出したわけである。
それだけではない。リップルウッドは、オランダに設立した投資組合ニューLTCBパートナーズ(以下、パートナーズ)を通じて旧長銀を買収した。パートナーズは、登記地がオランダであるため、日本では一切、上場益に対して課税されない。そのため、新生銀行の上場によって得られた株式売却益に対して、日本は一円も課税することが出来なかったのである。
どうしてオランダ籍の投資組合が、日本の銀行の買収に登場するのか。後に詳しく触れるが、オランダはビルダーバーグ・クラブ発祥の地であり、旧長銀の買収には、ビルダーバーガーが動いていたのである。
新生銀行の株の保有比率も、おかしな決め方だった。パートナーズは1200億円を出資したが、これは全体の資本勘定の20%にすぎなかった。残りの80%は、日本政府が負担した。そうであれば、持ち株比率は、日本政府が80%、パートナーズが20%となるはずではないか。実際は、日本政府が33%、パートナーズが67%という比率になった。日本側が多くの金を出して、どうぞもらってくださいと差し出したようなものである。
こうして旧長銀は、超破格の安値、瑕疵担保契約、非課税、株式3分の2保有という異常な条件で、旧長銀は売却された。叩き売りの上に、これでもかこれでもかのおまけつきである。それを皮切りに、「日本市場のバーゲン・セール」(浜田和幸氏)に、欧米の投資ファンドが相次いで参入した。掘り出し物の買い捲りである。
●本当に資産を売る売国的行動
旧長銀の売却の際、日本側からは、中央三井信託銀行他のグループが手を挙げていた。外資への売却が決まったのは、競争入札の結果ではあるが、当時の旧長銀は、わが国の国有銀行である。外資から国益を守るという意志が政治家にあれば、自国の投資家に売却しただろう。わずか10億円の売却だったのだから、日本人投資家に買えないわけがない。
それゆえ、旧長銀の一時国有化に始まる一連の展開は、外資に売り渡すための手順だったのだろうと私は考える。旧長銀の買収は、リップルウッドとその背後にいるロックフェラー、ロスチャイルド等、米欧の所有者集団によって、あらかじめ入念にシナリオが練られ、必ず勝負に勝てるやり方を日本政府に押し付けたものだったのだろう。そして、当然、日本側にこのシナリオに沿って、相手の条件を飲み、外資による買収を推進した人間がいたと考えられる。
売国とは、一般に、私利のために、自国の内情や秘密を敵に通牒することをいう。国民を裏切り、国益を損なう行為である。国を「売る」と言うのは、情報を提供することを売買にたとえたものである。しかし、わが国には、本当に国を「売る」人間がいる。ここで国を売るとは、国民の資産を外国人に売り渡すことである。当然、それによって、売国をなした者たちは、私的な利益を得たに違いない。
現代の日本には、国利民益を損なうことで、私腹を満たす者がいる。国を売る政治家・財界人を一掃しなければ、日本の富は奪われ続け、日本は衰亡する。国民が一致団結しなければ、国家は内部から崩壊する。日本人は精神的に団結することが必要である。旧長銀の買収と後に述べる郵政民営化は、この課題を鮮明に浮かび上がらせるものである。
次回に続く。
旧長銀問題については、浜田和幸著「ハゲタカが嗤った日」(集英社インターナショナル)に詳しい。以下は本書に多くを負っている。
旧長銀は、外資に超破格値で叩き売られただけではない。保有する不良債権は、3年間、無条件で保護するという瑕疵担保契約まで結んでいた。瑕疵担保条項によってリップルウッド側は日本政府に不良債権を押し付けることができる。外資は、絶対に損をしない売買をした。逆にわが国は、絶対に損はさせませんから、どうぞ買ってくださいと、相手に差し出したわけである。
それだけではない。リップルウッドは、オランダに設立した投資組合ニューLTCBパートナーズ(以下、パートナーズ)を通じて旧長銀を買収した。パートナーズは、登記地がオランダであるため、日本では一切、上場益に対して課税されない。そのため、新生銀行の上場によって得られた株式売却益に対して、日本は一円も課税することが出来なかったのである。
どうしてオランダ籍の投資組合が、日本の銀行の買収に登場するのか。後に詳しく触れるが、オランダはビルダーバーグ・クラブ発祥の地であり、旧長銀の買収には、ビルダーバーガーが動いていたのである。
新生銀行の株の保有比率も、おかしな決め方だった。パートナーズは1200億円を出資したが、これは全体の資本勘定の20%にすぎなかった。残りの80%は、日本政府が負担した。そうであれば、持ち株比率は、日本政府が80%、パートナーズが20%となるはずではないか。実際は、日本政府が33%、パートナーズが67%という比率になった。日本側が多くの金を出して、どうぞもらってくださいと差し出したようなものである。
こうして旧長銀は、超破格の安値、瑕疵担保契約、非課税、株式3分の2保有という異常な条件で、旧長銀は売却された。叩き売りの上に、これでもかこれでもかのおまけつきである。それを皮切りに、「日本市場のバーゲン・セール」(浜田和幸氏)に、欧米の投資ファンドが相次いで参入した。掘り出し物の買い捲りである。
●本当に資産を売る売国的行動
旧長銀の売却の際、日本側からは、中央三井信託銀行他のグループが手を挙げていた。外資への売却が決まったのは、競争入札の結果ではあるが、当時の旧長銀は、わが国の国有銀行である。外資から国益を守るという意志が政治家にあれば、自国の投資家に売却しただろう。わずか10億円の売却だったのだから、日本人投資家に買えないわけがない。
それゆえ、旧長銀の一時国有化に始まる一連の展開は、外資に売り渡すための手順だったのだろうと私は考える。旧長銀の買収は、リップルウッドとその背後にいるロックフェラー、ロスチャイルド等、米欧の所有者集団によって、あらかじめ入念にシナリオが練られ、必ず勝負に勝てるやり方を日本政府に押し付けたものだったのだろう。そして、当然、日本側にこのシナリオに沿って、相手の条件を飲み、外資による買収を推進した人間がいたと考えられる。
売国とは、一般に、私利のために、自国の内情や秘密を敵に通牒することをいう。国民を裏切り、国益を損なう行為である。国を「売る」と言うのは、情報を提供することを売買にたとえたものである。しかし、わが国には、本当に国を「売る」人間がいる。ここで国を売るとは、国民の資産を外国人に売り渡すことである。当然、それによって、売国をなした者たちは、私的な利益を得たに違いない。
現代の日本には、国利民益を損なうことで、私腹を満たす者がいる。国を売る政治家・財界人を一掃しなければ、日本の富は奪われ続け、日本は衰亡する。国民が一致団結しなければ、国家は内部から崩壊する。日本人は精神的に団結することが必要である。旧長銀の買収と後に述べる郵政民営化は、この課題を鮮明に浮かび上がらせるものである。
次回に続く。