ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

北海道の地震被災地でも自衛隊が救援活動

2018-09-12 09:47:23 | 小沢
 9月6日に発生した北海道胆振東部地震で被災した方々に、お見舞い申し上げます。私は北海道出身で、親族・友人が多数北海道におります。彼等も全域停電やそれに伴う困難を体験しています。政府の迅速な対応、また自衛隊による懸命な救援活動に心から感謝します。
 以下Grapeeのサイトより、転載させていただきます。

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https://grapee.jp/556076
一般公開のため、偶然北海道にいた海上自衛隊 震災後の行動に、称賛の声
By - grape編集部  作成:2018-09-07  更新:2018-09-07

 2018年9月6日、北海道胆振地方を震源として発生した『平成30年北海道胆振東部地震』。
最大で震度7を記録したこの地震によって多くの家屋が倒壊し、土砂崩れを引き起こしました。
大規模な停電によって多くの交通機関がまひし、身動きが取ることができない人も続出しています。

海上自衛隊、艦内でおにぎり千個を握る
 震災発生から2分後、防衛省災害対策本部が設置されました。7日現在、およそ五千人の自衛隊が被災地支援を行っています。
 震災が起こった6日、北海道の苫小牧港(とまこまいこう)に入港したのは海上自衛隊の砕氷艦『しらせ』。
 しらせ乗員は、物流が止まったことで食料不足に陥っている被災者のため、おにぎり千個を艦内で握りました。
 手袋をつけておにぎりを握り、ラップフィルムで包んでいく自衛隊員たち。完成したおにぎりは、ダンボールに詰められます。
 このおにぎり1つひとつで、きっと多くの人が安心できることでしょう。
 自衛隊員が握った千個のおにぎりは、むかわ町と安平町に届けられました。
 ちなみに、この砕氷艦『しらせ』は、本来8日と9日に苫小牧港で一般公開される予定でした。
 震災が発生したことで一般公開を中止し、速やかに被災地支援へ切り替えたのでしょう。
今回の活動が海上自衛隊のFacebookやTwitterに投稿されるやいなや、多くの人から感謝の声が寄せられました。

・私たちには何もできません。自衛隊のみなさんのおかげで、たくさんの人が救われています。
・隊員のかたの気持ちがこもったおにぎりは、力になったと思います!
・いつも本当にありがとうございます!隊員のみなさんも、体調に気を付けてくださいね。

 おにぎりに使用した白米や、ダンボールに入ったたくさんの食料品も、本来は乗員たちの備蓄だったのかもしれません。
 緊急時にいつも多くの人を助けてくれる自衛隊のみなさんには、頭が下がる思いです。
[文・構成/grape編集部]
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 ある自衛隊員が言いました。「被災地で炊き出しをした際、たとえあまっても自衛隊員は絶対食べないで缶詰の冷たいご飯を食べます。被災地の人用にお風呂を用意しても自衛隊員は入りません。そして出来るすべての事をやったらひっそりと帰る。それが自衛隊です。」と。
 自衛隊は、創設以来、多くの災害における救助活動を行ってきました。特に平成23年(2011年)3月11日に勃発した東日本大震災における献身的な救助活動は、国民の多くに感動をもたらしました。本年7月の西日本豪雨の際も、自衛隊は100名以上を救助しています。首都直下型大地震や東海大地震、南海トラフ大地震の発生確率が高まっているなか、国民の安全と安心のために自衛隊の存在は大きさを増しています。
 自衛官は、任官に当たり、「ことに臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に努め、もって国民の負託に応える」と宣誓します。国家の主権と独立、国民の生命と財産を守るために、命をかけて任務に当たっているのが、自衛官です。私たち国民は、敬意と感謝を表すべきです。

小沢氏は「逃げた」と夫人が離縁

2012-06-15 09:46:31 | 小沢
 小沢一郎氏が、離婚していたという。和子夫人は、「週刊文春」6月13日号に載った書簡で、東日本大震災後、放射能が怖くて地元を逃げ出した小沢氏を非難し、小沢氏を支えてきた自分を恥じている。
http://shukan.bunshun.jp/articles/-/1442
 「このような未曾有の大災害にあって本来、政治家が真っ先に立ち上がらなければならない筈ですが、実は小沢は放射能が怖くて秘書と一緒に逃げだしました。岩手で長年お世話になった方々が一番苦しい時に見捨てて逃げだした小沢を見て、岩手や日本の為になる人間ではないとわかり離婚いたしました」
 「3月11日、大震災の後、小沢の行動を見て岩手、国の為になるどころか害になることがはっきりわかりました」
 「国民の生命を守る筈の国会議員が国民を見捨てて放射能怖さに逃げるというのです。何十年もお世話になっている地元を見捨てて逃げるというのです」
 「かつてない国難の中で放射能が怖いと逃げたあげく、お世話になった方々のご不幸を悼む気も、郷土の復興を手助けする気もなく自分の保身の為に国政を動かそうとするこんな男を国政に送る手伝いをしてきたことを深く恥じています」

 小沢氏は東日本大震災後、被災地である地元・岩手に帰らず、被災者の救援・支援にほとんど貢献しなかった。有権者を自分の権力を維持するための票田としか考えていないのだろう。だが、「放射能が怖くて」「地元を見捨てて」「逃げた」とまでは、推察していなかった。和子元夫人の言葉は痛烈である。小沢氏を最も良く知る元夫人ならではだろう。
 和子元夫人の書簡を読んで、私は、小沢氏について長年、自分が感じてきたことに違いがなかったことを改めて確認できた。
 小沢氏に対しては、日本を指導できる政治家と評価し、政治資金問題でも氏を擁護する人たちが少なくない。そういう人たちは、「かつてない国難の中で放射能が怖いと逃げたあげく、お世話になった方々のご不幸を悼む気も、郷土の復興を手助けする気もなく自分の保身の為に国政を動かそうとするこんな男を国政に送る手伝いをしてきたことを深く恥じています」という元夫人の言葉について、じっくり考えてみるとよいだろう。

拙稿「闇の財テク王・小沢一郎の不正・不敬・横暴」
http://homepage2.nifty.com/khosokawa/opinion13m.htm
拙稿「小沢氏控訴と処分解除」
http://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/fd593b623491e0739090c27f84cbd882

小沢控訴審、「違法性の認識」が焦点

2012-05-24 08:43:32 | 小沢
 小沢裁判で、1審の判決は指定弁護士側の主張の大部分を採用し、ほとんど黒に近い灰色という認識を表していながら、「小沢被告が虚偽記載にあたると認識していなかった可能性がある」として無罪とした。これに対し、指定弁護士側は「重大な事実誤認がある」として控訴し、高裁で審理されることになった。このことについて、法律の専門家の間でも意見が分かれている。
 控訴審では、指定弁護士側が「違法性の認識」を立証できるかどうかがポイントになる。1審は指定弁護士側がこの点を立証しきれていないと判断した。だが、小沢氏のようなベテラン政治家が、カネの問題で「違法性の認識」を持っていなかったとは、極めて考えにくい。強く認識していたから注意深く、自分が罪に問われないように巧妙に振る舞ってきたのではないのか、という疑念を私は持っている。
 法律家のうち、元最高検検事で筑波大学名誉教授・土本武司氏は、「(判決は収支報告書の)記載内容について、『元代表が違法と認識していなかった可能性がある』という理由で、共謀を認めなかった。しかし、指定弁護士の指摘のように、小沢元代表が土地購入に伴う銀行融資書類に署名していた事実などを踏まえれば、支払時期をずらせば違法になることを認識していなかったとは到底いえないはずである」と言う。そして「判決が『収支報告書は一度も見ていない』との元代表の法廷証言に関し、『およそ信じられるものではない』『秘書から報告を受けたことは一切ないとの供述は信用性が乏しい』とまで判断しながら、故意、共謀を否定するのは不可解というほかない」「今回の判決で認定された事実関係に基づけば、小沢元代表に「共謀」が存在したとの判断が示されてもよかったのではないか」と言う。
 それゆえ、土本氏は、「検察官役の指定弁護士が、『判決には看過し難い事実誤認があり、控訴審で修正可能だ』として、控訴に及んだのは宜(むべ)なるかなと思われる」と述べている。控訴に賛成する意見である。また土本氏は、「強制起訴の制度の狙いが、有罪を求めるだけではなく、公開の法廷で事実を明らかにする点にあるとすれば、本件の起訴とそれに続く控訴は、そのこと自体に意義があったといえよう」と検審による起訴を含めて、公開の法廷で事実を明らかにすることに意義を認めている。私もそう思う。果たして指定弁護士側が1審判決の指摘する「虚偽記載にあたると認識していなかった可能性」を論理的に否定し、また小沢氏には虚偽記載に関与する動機があったことを示して、共謀の事実を立証できるかどうか。1審判決に事実誤認があれば、公開の法廷で誤認を修正し、裁判所は厳正な審理を行ってもらいたい。
 下記は、土本氏の記事。

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●産経新聞 平成24年5月16日

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/120516/trl12051603520000-n1.htm
【正論】
元最高検検事、筑波大学名誉教授 土本武司
2012.5.16 03:24 [正論]

■小沢氏の「共謀」なぜ認めぬのか
 小沢一郎民主党元代表の資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐり、政治資金規正法違反(虚偽記載)の罪で強制起訴された小沢元代表に無罪を言い渡した1審の東京地裁判決に対して、検察官役の指定弁護士側が控訴した。

≪強制起訴めぐる争点は3つ≫
 一般市民による告発を端緒としたこの事件は、その後、検察官による2度の不起訴処分(嫌疑不十分)→検察審査会による2度の起訴相当議決→指定弁護士による起訴→無罪判決→控訴申し立てという、特異な経緯をたどった。
 起訴事実は、(1)平成16年に陸山会が小沢元代表から借り入れた4億円を、同年分の政治資金収支報告書に収入として記載しなかった(2)土地取得費3億余円を16年分ではなく17年分の支出として虚偽の記入をした-というものであり、衆院議員の石川知裕被告ら元秘書3人が実行行為者として、元代表が共謀者として起訴された。
 実行行為者3被告は有罪とされたものの、小沢元代表は訴訟の前提事実を含めて徹底的に争った。その争点は次の3つである。
 第1は起訴の有効性である。弁護側は、検察官が起訴議決に先立つ再捜査で違法・不当な取り調べによる虚偽の内容の供述調書と供述経過に関する虚偽の捜査報告書を作成するなどして、起訴議決に至ったものであるから、議決は無効であり、それに基づく起訴は棄却されるべきだと主張した。
 第2は、石川被告らによって虚偽記入ないしは不記載がなされたのかどうか、第3は、それが肯定される場合、小沢元代表がその犯意を持ち、石川被告らと共謀したといえるのか否か、である。

≪事実認定しながらの無罪≫
 第1点で、判決は「検察官が任意性に疑いのある供述調書や事実に反する内容の捜査報告書を作成し、検察審査会に送付したとしても、検察審査会における審査手続きに違法性があるとはいえない」として弁護側主張を退けた。
 この判断は正当である。証拠の内容に瑕疵(かし)があることと、手続きに瑕疵があることとは別個の問題であり、当該証拠の証拠能力や証明力に影響することはあっても、起訴の議決や起訴の効力を否定するのは筋違いだからである。
 第2の点についても、判決は、収支報告書への不記載・虚偽記入も、そうするに至った動機・目的も明確に認めた。
 だが、第3点については、理解しにくい理由で、小沢元代表の故意も、石川被告ら実行行為者との共謀も認定できないとした。
 判決は、実行行為者らが、小沢元代表から陸山会への現金4億円の貸し付けを隠すため、土地代金の支払時期をずらすなどの虚偽を収支報告書に記入したことと、元代表も4億円の不記載などの会計処理について報告を受け、了承していたことを認定している。にもかかわらず、その記載内容について、「元代表が違法と認識していなかった可能性がある」という理由で、共謀を認めなかった。
 しかし、指定弁護士の指摘のように、小沢元代表が土地購入に伴う銀行融資書類に署名していた事実などを踏まえれば、支払時期をずらせば違法になることを認識していなかったとは到底いえないはずである。判決が「収支報告書は一度も見ていない」との元代表の法廷証言に関し、「およそ信じられるものではない」「秘書から報告を受けたことは一切ないとの供述は信用性が乏しい」とまで判断しながら、故意、共謀を否定するのは不可解というほかない。

≪事実明らかにする控訴は当然≫
 そもそも、小沢元代表は共謀共同正犯理論における共謀者として罪責を問われた者である。この理論は、大審院時代に判例によって生まれ、自らは実行行為に出ない共犯者の中で主導的な者を、教唆犯、幇助(ほうじょ)犯にとどまらず正犯として処罰できる道を開いた。
 ここでいう「共謀」とは、2人以上の者が、特定の犯罪を行うため、共同意思の下に一体となって互いに他人の行為を利用し、各自の意思を実行に移すことを内容とする謀議であり、共謀者の一部の実行行為があれば、実行行為をしない者についても、共同正犯が成立するという考え方である。
 今回の判決で認定された事実関係に基づけば、小沢元代表に「共謀」が存在したとの判断が示されてもよかったのではないか。
 その意味で、検察官役の指定弁護士が、「判決には看過し難い事実誤認があり、控訴審で修正可能だ」として、控訴に及んだのは宜(むべ)なるかなと思われる。
 ただし、共謀共同正犯も、正犯である以上、他人の犯行を認識ないし傍観するだけではなく、自己の犯罪を遂行するという実質が必要である。本件では、小沢元代表について、そうした主体性や積極性の立証が不十分だと判断された可能性もあり、2審の高裁の判断が注目されるところである。
 そして、強制起訴の制度の狙いが、有罪を求めるだけではなく、公開の法廷で事実を明らかにする点にあるとすれば、本件の起訴とそれに続く控訴は、そのこと自体に意義があったといえよう。(つちもと たけし)
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小沢氏控訴と処分解除

2012-05-10 12:21:19 | 小沢
 小沢一郎氏の裁判は、検察官役の指定弁護士が東京高裁に控訴した。高裁は審理を行うことを決定した。
 指定弁護士3名は全員一致で控訴を決めたという。主任格の大室弁護士は「1審判決には看過しがたい事実誤認」があり、「原判決が論理的にも、証拠に照らしてもおかしな点が多い」「それが修正可能なのか検討を重ねた結果、可能であろうという判断」から控訴することにした旨を述べた。
 1審は指定弁護士側の主張の大部分を採用した。だが、「小沢被告が、虚偽記載にあたると認識していなかった可能性がある」として共謀は否定した。指定弁護士側が小沢氏の「違法性の認識」を立証できていないという判断である。それゆえ、2審は小沢氏の元秘書との共謀、故意の有無を争うことになる。
 1審では「違法性の認識」は主要な争点になっていなかった。被告人質問でもほとんど言及されていない。そのため、指定弁護士側は「争点にもなっていない話の上に、可能性を持ち出して無罪とするのは、納得できない」という不満を持っている。控訴審では、指定弁護士側はこうした判決の指摘は「事実誤認」だと主張する方針と報じられる。
 1審の無罪の判決は重いが、私は判決に不満である。主文は、ほとんど黒に近い灰色という認識を表していながら、「小沢被告が虚偽記載にあたると認識していなかった可能性がある」として無罪とした。だが、小沢氏のようなベテラン政治家が、カネの問題で「違法性の認識」を持っていなかったとは、極めて考えにくい。強く認識していたから注意深く、自分が罪に問われないように巧妙に振る舞ってきたのではないのか。これでもし指定弁護士側が控訴していなかったら、国民は政治に対してだけでなく司法に対しても大きく信頼を失ったところだったろう。高裁では控訴棄却の可能性もあるが、1審の無罪判決が覆る可能性もある。厳正な審理を行ってほしい。

 さて、民主党は、5月10日という控訴の期限を待たず、8日に小沢氏への党員資格停止処分の解除を決定した。同党の資格停止解除の文書には「仮に裁判が継続することになった場合でも判決確定までは1審判決を尊重する」とある。ところが、輿石幹事長は「控訴しようとしまいと変わるわけがない」と公言し、「判決確定まで」という党の規定を覆して、処分解除を決めた。これは何重にも問題がある。公党でありながら、自ら決めたことを都合で変える。わが国の司法制度を軽視している。小沢氏は法的責任とは別に政治的・道義的責任が問われているのに、これを無視している。小沢裁判を通じて、国民多数が政治家に政治倫理の向上を求めているのに、何ら応えようとしない。
 野田首相は組閣・人事を行った際、輿石氏を幹事長に起用した。輿石氏は小沢氏と近い関係にある。幹事長への起用は小沢氏及び小沢グループに配慮し、党内融和を図ったものだろう。それは同時に政治倫理より党の利益を重視するという野田首相の政治姿勢を露呈したものと私は判断した。
 今回の小沢氏の党員資格問題では、野田首相は処分解除の判断を輿石氏に事実上一任していた。その輿石氏が控訴期限を待たずに処分解除を決めた。輿石氏は小沢氏の早期復権を明言してきたので、その判断を容認したものだろう。
 輿石氏があえて控訴期限前に小沢氏の処分解除を決めたのは、消費増税に反対する小沢氏を懐柔し、関連法案の成立を図ったものではないか。
 民主党は、小沢氏の政治資金規正法違反事件だけでなく、鳩山由紀夫氏の母親からの「巨額子ども手当」問題、菅直人氏の東日本大震災・原発事故災禍拡大問題等で、政治倫理が極めて低いことを示してきた。かつて腐敗・堕落を続けて政権から転落した自民党でも、ここまでひどくはなかった。小沢氏の場合は、公党としての規律のため、離党勧告ないし除名を行っていて相当である。民主党はそれを行わなかっただけでない。このたびは、裁判の判決が確定する前に、自ら決めた規定を無視してまで、処分解除を決めた。政治倫理が完全に消失している。権力の保持のためには、なんでもする。このような政党に、日本の政治を委ねておくことはできない。

関連掲示
・拙稿「小沢裁判、1審無罪に係る所感」
http://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/394789e52d4b35a5c6f78fc1bd413928
・拙稿「野田首相と民主党政権の末路」
http://homepage2.nifty.com/khosokawa/opinion13o.htm

小沢裁判、1審無罪に係る所感

2012-04-27 10:50:19 | 小沢
 小沢裁判は、26日東京地裁が無罪判決を下した。政治資金規正法違反の容疑について、直接的証拠がなく、特に共謀が成立しないという判断が判決のポイントとなった。判決文の要旨を読むと、かなり黒に近い灰色だが、有罪とするには決定的な証拠がないという感じである。
 指定弁護士団が原告として控訴するかどうか未定ゆえ、まだ判決が確定したわけではないが、1審無罪の判決は重い。マスメディアは即日無罪確定したかのような報道をしている。
 私は拙稿「闇の財テク王・小沢一郎の不正・不敬・横暴」等で小沢氏について書いてきた。小沢一郎という政治家の問題点を知りたい人は、ご一読いただきたい。
http://homepage2.nifty.com/khosokawa/opinion13m.htm
 本稿では今回の裁判について、私が思うことを書きたい。6点ある。

 第一に、検察のやっていることがひどすぎたこと。見立て捜査、虚偽の報告書等の問題によって、重要な証拠の多くが不採用になった。これがかなり審理に影響を与えたと考えられる。秘書が3人も有罪判決を受けていながら、彼らが忠誠を尽くした小沢氏が無罪になるというのは、常識的に疑問が残る。検察がきちんとした姿勢でやっていれば、裁判所が異なった判断をした可能性はあったと思う。検察の失態により、小沢氏は大きな敵失にきわどいところで助けられた格好だろう。
 第二に、政治家の政治資金に係る法律がザル法であること。現行法は秘書の責任ということで、政治家が法の網を潜り抜けてしまえる。連座制に変えないと、実効性を確保できない。判決のポイントとなった共謀というのは、本当に強く政治家と秘書が結託していれば、阿吽の呼吸で証拠を残さずにできてしまう。今回小沢氏の共謀が成立しないとされたのは、それだけ親分ー子分の関係が強かった証だろう。
 第三に、政治家においては、法的責任と政治的責任・道義的責任は別であること。仮に1審判決が確定したとしても、国会は小沢氏の証人喚問を行い、立法府として小沢氏に説明を求め、政治的・道義的責任を明らかにしなければならない。法に触れなければ政治家が何をやってもよいというような国は、道徳的に崩壊する。小沢問題を通じて、国会は議員立法で政治資金規正法等の改正・強化を行うべきである。
 第四に、小沢裁判は、反米的な小沢氏を潰すために、アメリカが仕掛けたという見方はおかしいこと。アメリカとは誰のことか。オバマかクリントンかガイトナーかバーナンキかデイビッド・ロッフェラーか。現在の日本で最も反米的な政治家は、普天間基地移設問題でアメリカ政府を困惑させた鳩山由紀夫氏であり、菅直人氏である。小沢氏は対米外交を決定できる立場になかった。アメリカの支配層の誰かが反米的な政治家を排除しようとするなら、田中角栄の時のように鳩山氏・菅氏を現職の首相の時に仕掛けただろう。
 第五に、小沢氏の今後の政治活動を、国民がより一層厳しく見ていく必要があること。民主党執行部が小沢氏の党員資格停止処分を解除すれば、小沢氏は自由に政治活動をするようになる。9月の民主党代表選に出馬し、首相の座を狙うかもしれない。小沢氏の「剛腕」に期待する有権者は、今も少なくない。だが、小沢氏は、天皇陛下に中国の次期国家主席と目される習近平氏との御引見をゴリ押しした張本人である。また外国人に参政権を付与しようとしており、韓国で有力者に参政権付与を約束して来たり、日本と日本人を侮辱する演説を行ったりした。そういう政治家であることをしっかり認識する必要がある。
 第六に、小沢氏に最終的に鉄槌を下せるのは、地元の有権者であること。小沢氏は、東日本大震災後、多大な被害を受けた地元・岩手県に何か月も帰らず、被災地の支援に何ら貢献しなかったこと。小沢氏が初めて地元で被災者に復興について語ったのは、震災の約10か月後、今年の1月である。小沢氏にとって地元は票田でしかなく、自己の権力のために利用する対象でしかないのだろう。現行法の下で、小沢氏に最終的に鉄槌を下せるのは、選挙区の有権者のみである。衆議院岩手第4区の有権者は、次の解散総選挙で、小沢氏への幻想を捨て、良識ある判断をしてほしい。

・関連掲示
拙稿「闇の財テク王・小沢一郎の不正・不敬・横暴」
http://homepage2.nifty.com/khosokawa/opinion13m.htm

小沢氏団体が外貨預金損失計上で裏金?

2011-12-18 08:42:43 | 小沢
 小沢一郎氏は、資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる事件で、政治資金規正法違反罪で強制起訴された。裁判は公判が進行中である。
 その最中に、新たな疑惑が浮上した。一つは、小沢氏の岩手県内にある複数の関係政治団体が東京都内の投資運用会社経営の男性から個人献金の限度額である150万円ずつを受領し、政党支部への献金と合わせ計1300万円を受け取っていたという疑い。もう一つは、氏の関係政治団体「誠山会」が保有資産の一部を外貨預金し「換算差額」として損失を計上して都内の銀行支店に支払ったとされる約2千万円は、実際は支払われておらず、資金管理団体「陸山会」の損失計上と合わせて、虚偽記載を禁じた政治資金規正法に抵触し、計約2318万円が裏金化していたという疑い。
 まだまだいろいろ出てきそうである。

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●産経新聞 平成23年11月26日

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/111126/crm11112601350001-n1.htm
小沢氏側に個人献金分割して1300万円 「つじつま合わせ、癒着招く脱法行為」と識者
2011.11.26 01:34

 小沢一郎民主党元代表の岩手県内にある複数の関係政治団体が東京都内の投資運用会社経営の男性(58)から個人献金の限度額である150万円ずつを受領し、政党支部への献金と合わせ計1300万円を受け取っていたことが25日、分かった。
 複数の政治団体で分割して個人献金を受領すれば、同一人物から上限を超える多額の献金が受領できる「抜け道」が露見した形で、識者は「法の網の目をくぐり抜けた脱法行為に近い」と指摘している。
 岩手県選挙管理委員会に届けられた政治資金収支報告書によると、男性は昨年10~12月、小沢氏が代表を務める民主党岩手県第4区総支部に1千万円、関係政治団体の「小沢一郎くらしと政治研究所」と「小沢一郎後援会」にそれぞれ150万円を献金した。
 今後、30日までに総務省届け出分が開示されれば、男性からの献金額がさらに増大する可能性がある。
 民間信用調査会社などによると、男性は首都圏を中心にチェーン展開するスーパーの創業者。投資家に転身後は、都内の超高級マンションなど複数の拠点で活動。今年1月、証券取引等監視委員会から粉飾決算で課徴金納付命令勧告を受けたIT企業の大株主だったこともある。
 政治資金規正法では、多額献金は政治の腐敗や癒着を招くとして、個人献金の上限額を1団体150万円(政党は2千万円)と定めている。
男性の献金は規正法の量的制限規定には抵触しないが、立正大学の浦野広明客員教授(税法学)は「法規制を免れるための分散献金ともいえ、脱法行為に近く、癒着を招きかねない行為」と指摘。政治家が政治団体を複数持っていれば、結果的に多額の献金を受け取ることができる現行制度については「規正法の運用上の解釈を厳しく適用し、献金額を分散した額ではなく、一括して捉えるべきではないか」と話している。

●産経新聞 平成23年12月1日

http://sankei.jp.msn.com/affairs/news/111201/crm11120108380000-n1.htm
【政治資金収支報告】
小沢氏団体、2300万円記載に虚偽 外貨預金損失 裏金化か
2011.12.1 08:36

 民主党の小沢一郎元代表の関係政治団体「誠山会」(解散)が保有資産の一部を外貨預金していた問題で、同会が平成21、22年に「換算差額」として損失を計上し、都内の銀行支店に支払ったとされる約2千万円について、実際は支払われていなかったことが30日、関係者への取材で分かった。小沢氏の資金管理団体「陸山会」でも昨年、損失計上されていたことが新たに判明。虚偽記載を禁じた政治資金規正法に抵触し、計約2318万円が裏金化していた疑いがある。
 これまでの産経新聞の取材で、誠山会は100万米ドル(21年12月28日時点で約9200万円)余りを外貨預金していたことが判明している。
 総務省が30日公開した陸山会の政治資金収支報告書によると、同会は昨年12月31日、その他の経費として、株価や為替の変動によって出た利益や損失を意味する「換算差額」約338万円を計上。「支出を受けた者の名称」として、都内の銀行支店の名前を記載した。また、誠山会が計上した21、22年分の損失計約1980万円についても、同支店に支出したと収支報告書に明記されている。
 ところが関係者によると、両団体から同支店に対し支払いが行われた事実はなく、支出に関する収支報告書の記載に虚偽があったことになる。
関係者の話を総合すると、小沢氏側は誠山会が解散する直前の昨年10月中旬、同会にあった100万ドル余りを、小沢氏が代表の民主党岩手県第4区総支部を経由し、陸山会に移動した。収支報告書には同時期に約9588万円が同ルートを通じて移動したことが記載されており、この大半が外貨だったとみられる。
 関係者はこの100万ドル余りについて「移動のために引き出した以外は、ほぼ手つかずで残っている。円に換金もしていない」と証言。為替の変動による損失は一般に外貨を円に換金した際に生じるため、損失を支出として計上する理由はなかったという。小沢氏側は損失確定前の「含み損」を支出計上した可能性があり、両団体から換算差額名目で引き出された約2318万円が支出先不明のまま、裏金化した恐れがある。
 規正法は収支報告書への虚偽の記載を禁じ、違反すれば、禁錮5年以下または100万円以下の罰金が科される。元最高検検事の奥村丈二中央大法科大学院教授(刑事法)は「支出が行われていないのを知りながら、記載したとすれば虚偽記載にあたる可能性がある。報告書には外貨預金との説明もなく、不合理な記載があること自体が国民の信頼を裏切る行為だ」としている。
 小沢氏の事務所からは30日までに、取材への回答はなかった。
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刑事被告人・小沢一郎氏の今後

2011-02-01 11:02:46 | 小沢
 検察審査会の2度の議決を受けて、小沢一郎氏が強制起訴された。
 私はこれまで「民主党に自浄能力があるならば、すみやかに小沢氏に離党勧告をすべきである。小沢氏が勧告を受け入れない場合は、除名処分にし、政党としての規律を示すことを期待する」という意見を述べてきた。
 同党は依然としてそうした対応をせず、小沢氏強制起訴という段階を迎えた。ここで離党勧告ないし除名を決定できるかどうか、民主党自体の政治倫理が問われている。
 自民党を中心とする野党は、小沢氏の証人喚問を求めている。司法とは別に国会は氏を証人喚問し、事実関係を明らかにすべきである。小沢氏は、これに応じなければならない。裁判は裁判、国会は国会である。
 刑事被告人・小沢氏一郎氏の政治家としての身の処し方には、①現状の地位の維持、②単独離党、③小沢擁護の議員とともに集団離党、④議員辞職の4つがある。現在のところ、小沢氏は、①すなわち民主党に所属し、かつ国会議員という地位を保ちながら、裁判に臨むという姿勢を表明している。そして、裁判で真実を語り無実を明らかにするという。
 だが、私には、小沢氏の姿勢は、自己の保身と権力への執着にしか見えない。自分への嫌疑が本当に根拠なきものと確信しているなら、小沢氏は、とうにメディアを通じて国民への説明責任を果たし、また衆院政治倫理審査会でも証人喚問でも自ら積極的に出て、堂々と弁明しているだろう。それをせずに、強制起訴されたから裁判で争うというのは、そもそも政治家として正しい姿勢ではない。

 小沢氏の政治の師、田中角栄氏は昭和51年、ロッキード事件で逮捕されると、自民党を単独離党した。私は、田中氏なりの倫理があったと思う。田中氏は、離党後外部から自民党に強い影響力を振るい、「闇将軍」と呼ばれた。小沢氏のもう一人の政治の師、金丸信氏は平成4年、東京佐川急便事件で略式起訴された。それをきっかけに金丸氏は議員辞職に追い込まれ、脱税容疑で逮捕された。辞職から3年半後、法廷闘争中に亡くなった。
 小沢氏は田中氏・金丸氏の例を思い返し、自分に最も有利な道を取ろうと考えているに違いない。私は、小沢氏は単独なり集団なりで離党しても、政界を再編して政治を動かす力は残っていないと思う。また「闇将軍」となって民主党を外から操作する力も持っていない。新進党・自由党の時代の小沢氏は、今回明らかになったような手法で資金を集め、資産を増やし、そのカネの力で議員を束ね、動かしていた。しかし、現在の小沢氏は、もはやその手法を使えない。カネの力を失った小沢氏に、他に何の力が残っていると言うのか。権力のためには政治理念や政策を変えて恥じない金権政治家は、カネの力を失ったら、何の力も残りはしないのである。

 今朝の全国紙は4紙とも社説で本件について書いている。読売は、小沢氏に議員辞職や自発的な離党を「真剣に検討すべき」と述べ、産経は「自ら進んで議員辞職すべきだ」、毎日は「最低限離党して、与党と一線を引くのが筋」、朝日は「自らしかるべく身を処すのが筋」と書いている。こうした各紙の見解は、国民の大多数の意見を反映したものだろう。
 しかし、今なお小沢氏に対し、強いリーダーシップで混迷の日本を導いてくれるのではないかという期待を持っている人がいる。小沢氏ならアメリカに対抗して日本の国益を守ってくれるのではないか、国民の生活を第一とした政治をしてくれるのではないか、等々。これらは弱き大衆の願望に過ぎず、根拠なき幻想に過ぎない。
 小沢氏はアメリカに対して多少は物申すだろうが、中国に対しては従中外交をするだろう。約600人を引き連れて訪中した際、民主党議員に胡錦濤主席と握手・撮影をさせ、自分は、人民解放軍の「野戦軍司令官」だと称した。小沢氏には、日本人としての誇りがない。中国の次期最高指導者と目された習近平氏の訪日においては、天皇陛下の特例会見をゴリ押しした。この不敬・横暴について、現在も全く反省がない。国民の生活が第一というのは、政権を取るために大衆をひきつけるキャッチフレーズに過ぎない。それほど国民の生活を思う政治家なら、国民の税金を原資としたカネを政党から政党へと持ち歩かないだろう。
 小沢氏への幻想は、捨てるべきである。

 民主党は、すみやかに小沢氏に離党勧告をすべし。小沢氏が勧告に応じなければ、除名とすべし。小沢氏は、国会議員の地位にとどまりたいのであれば、証人喚問に応じるべし。喚問に応じないならば、議員辞職すべし。

 以下は、今朝の全国紙社説のうち、読売と産経のもの。

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●読売新聞 平成23年2月1日

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20110131-OYT1T01145.htm?from=any
小沢氏強制起訴 政治的なけじめをつける時だ(2月1日付・読売社説)

 元秘書3人に加え、自らも刑事責任を問われる事態は、極めて重大だ。民主党の小沢一郎元代表には、政治家としてのけじめが求められよう。
 小沢氏の資金管理団体「陸山会」の土地取引を巡る事件で、裁判所から検察官役に指定された弁護士が、小沢氏を政治資金規正法違反で強制起訴した。
 検察の不起訴処分に対し、検察審査会が2度にわたり「起訴すべきだ」と議決したことによる。政治家の強制起訴は初めてだ。
 小沢氏の起訴事実は、2004年に陸山会が都内の土地を購入した際の原資の4億円を政治資金収支報告書に記載しないなど、虚偽の記載をしたというものだ。
 実際に会計処理をしたのは石川知裕衆院議員ら元秘書だが、小沢氏も事前に報告を受けて了承しており、共謀が成立する、というのが指定弁護士の主張である。

◆道義的な責任は重い◆
 これに対し、小沢氏は強制起訴後、「何一つやましいことはない」と記者団に語り、法廷で無実を主張し、争う方針を表明した。「引き続き民主党国会議員として誠心誠意取り組む」とも述べ、離党や議員辞職を否定した。
 強制起訴について小沢氏は、「検察によって有罪の確信を持って行われる起訴とは全く異質なものだ」と主張した。
 刑事裁判の「無罪推定の原則」が通常の起訴よりも強く働き、政治活動の自由がより保障されるべきだ、という独自の論法だ。
 しかし、現職の国会議員が法廷に立たされることは重い意味を持つ。刑事被告人が政権党の中で、隠然と影響力を行使することが果たして許されるのか。各種世論調査で、多くの国民は強い疑問を示している。
 特に小沢氏の場合、石川議員を含む元秘書3人が政治資金規正法違反で起訴されている。その政治的かつ道義的な責任は重い。
 石川議員は起訴後、民主党を離党した。小沢氏についても、菅首相が「政治家としての出処進退を明らかにすべきだ」と語るなど、党内外には、議員辞職や自発的な離党を求める声が少なくない。
 小沢氏は、そうした政治的なけじめをつけることを真剣に検討すべき時ではないか。
 小沢氏がこれまで、国会での説明責任を果たそうとしてこなかったことも、問題である。
 小沢氏は昨年末、自ら記者会見し、衆院政治倫理審査会への出席を表明した。ところが、「予算成立が一番大事で、国会審議を促進するなら」といった条件を付け、出席を先送りし続けている。
 結局、自己保身の論理を優先したということだ。
 民主党執行部の対応も、厳しく問われている。

◆証人喚問が欠かせない◆
 菅首相や岡田幹事長は、通常国会召集前の政倫審開催の議決を目指したが、小沢氏を支持する民主党議員らの抵抗などで、断念せざるを得なくなった。
 小沢氏の国会招致は昨年6月の菅政権発足以来の懸案だ。首相は今年の年頭記者会見でも、「政治とカネの問題にけじめをつける年にする」と明言している。
 それなのに、党内の意思統一さえ図れず、政倫審を開けないようでは、まさに「有言不実行」である。政権としての問題解決能力に疑問符がつく。
 小沢氏が政倫審出席という民主党の方針に従わない以上、菅首相は、野党の要求する小沢氏の証人喚問に同意し、国会招致の実現に積極的に動くべきだ。小沢氏に対する離党勧告などの重い処分も、検討に値しよう。
 小沢氏の公判の焦点は、捜査段階で小沢氏の関与を認めた石川議員らの供述調書の評価だ。検察は「具体性に欠ける」と評価しなかったが、検察審査会は「信用性がある」と、起訴議決の根拠として重視している。
 これに対し、石川議員らは「取り調べで誘導があった」と主張し、調書の任意性や信用性を徹底的に争う構えを見せている。

◆法廷で真実を語れ◆
 検察官役の指定弁護士は、供述を補強する状況証拠を積み重ね、示していく必要があろう。
 小沢氏は、検察審査会について「秘密のベールに包まれ、民主主義国家の中で特異な制度だ」などと繰り返し批判している。
 だが、検察審査会は、審査補助員の弁護士の助言を受け、法と証拠に基づいて判断している。3人の指定弁護士も、3か月にわたり補充捜査を重ねてきた。
 小沢氏の批判は、検察審査会制度の趣旨を理解しないもので、行き過ぎだろう。
 小沢氏の公判は、夏以降に始まると予想される。小沢氏は「公開の法廷で全国民が分かるまで真実を述べる」と明言した。その言葉を誠実に実行すべきだ。
(2011年2月1日01時19分 読売新聞)

●産経新聞 平成23年2月1日

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/110201/stt11020103100003-n1.htm
小沢氏強制起訴 やはり議員辞職しかない 国民代表の結論無視するな
2011.2.1 03:09

 小沢一郎・元民主党代表が強制起訴された。自らの資金管理団体「陸山会」の土地購入をめぐる政治資金規正法違反(虚偽記載)罪による。
 国会で疑惑への説明責任を果たさず、政治的かつ道義的責任にも真摯(しんし)に向き合おうとしなかった。国民の判断で刑事訴追されたことを小沢元代表は重く受け止め、自ら進んで議員辞職すべきだ。
 強制起訴は東京第5検察審査会の起訴議決を受けて検察官役の指定弁護士が行った。強制起訴について元代表は「一般の検察、捜査当局の起訴とは異質だ。引き続き民主党の国会議員として誠心誠意取り組む」と述べ、離党や議員辞職を否定した。だが、強制起訴は通常の検察官による起訴と法律上何ら差異はない。

◆検審制度批判は問題だ
 陸山会事件で、元代表の秘書だった石川知裕衆院議員は起訴後に民主党を離党したほか、加藤紘一元自民党幹事長は事務所代表の所得税法違反事件の責任をとって離党、議員辞職した。こうした責任の取り方は政治家として最低限の義務である。
 菅直人首相や民主党は小沢元代表に議員辞職を促すなどし、「政治とカネ」の問題に厳正に対処する姿勢を示さねばならない。
 検審制度は検察官が独占する起訴の権限に民意を反映させる目的で設けられた。強制起訴を可能にする改正検察審査会法は平成21年5月に施行された。民主党も賛成したことを忘れてはならない。
 小沢元代表は検審制度を軽んじる発言を繰り返してきた。昨年9月の民主党代表選では「強制力を持った当局が捜査して何もなかったということについて、一般の素人がいいとか悪いとか言う検審の仕組みがいいのか」と語った。
 明らかな制度批判である。なかでも、国民から無作為に抽出された検審審査員を「一般の素人」と言い切ったのは、国民軽視の発言というほかない。審査員は検察庁から提供されたすべての捜査資料を読み込み、精査し、真剣に討議を重ねたうえで「起訴議決」の極めて重い結論を導いた。決して軽んじられる存在ではない。
 検審は、検察の取り調べを「形式的で、十分な再捜査が行われたとは言い難い」と批判した。「有罪判決を得られる高度の見込みがあることが必要」とする検察側の説明にも「こうした基準に照らしても、本件で嫌疑不十分として不起訴処分とした検察官の判断は首肯し難い」と断じた。これが国民の代表の結論だった。
 今回の事件では虚偽記載が20億円を超えるなどしており、検察の存在意義が問われたことも東京地検特捜部は認識すべきだ。
 検審はさらに、土地購入の原資となった「小沢元代表からの借入金4億円」を平成16年分の収支報告書に記載しなかったことも「犯罪事実」に加え、元代表の説明について「著しく不合理で到底信用できない」と指摘した。
 「4億円」は指定弁護士による起訴事実にも犯罪事実として盛り込まれた。審査員が「信用できない」とした4億円について、納得のいく説明が求められる。

◆証人喚問には応じよ
 加えて小沢元代表には、起訴事実以外にも説明責任を果たす必要がある。例えば一昨年の衆院選で、元代表は陸山会を通じ、民主党の立候補予定者91人に計4億4900万円を資金提供したことが政治資金報告書から判明した。旧新生党の資金が原資に充てられたとみられているが、この疑問にも答えていない。
 政治家としての倫理に時効はなく、法解釈の抜け道もない。今後進められる刑事裁判だけが求められる真相解明の場ではない。議員の立場であろうがなかろうが、証人喚問などで説明責任を果たすことが引き続き求められる。
 元代表は「公開の法廷で真実を述べる」と、証人喚問などには消極姿勢を示した。岡田克也幹事長は党の処分について「元代表自らの判断が前提」と語った。議員辞職どころか離党勧告さえ躊躇(ちゅうちょ)するなら、自浄努力のなさを証明するようなものである。
 問題は菅首相だ。首相は年頭会見で小沢元代表の強制起訴に言及し、「裁判に専念されるべきだ」と述べたが、31日夜には「岡田幹事長を中心に協議する」と語った。自発的に議員辞職を促したことも忘れているようでは、国民は首相に信を置けない。
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関連掲示
・拙稿「小沢氏には最低の倫理もない」
http://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/d/20101010
・拙稿「尖閣~小沢氏の不敬・従中が影響」
http://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/d/20101118

小沢一郎氏を証人喚問すべし

2010-12-21 13:06:43 | 小沢
 小沢一郎氏は、10月4日に検察審議会の2回目の議決により、強制起訴されることになった。その後、民主党は小沢氏を国会に招致することも、離党勧告をすることもなく、もたもたした状態を続けた。尖閣諸島沖中国船衝突事件の対応等で政権への支持率が急落するなか、ようやく岡田幹事長が小沢氏に衆院政治倫理審査会に出席するよう求めたが、拒否された。最後に昨20日菅首相が小沢氏と官邸で会談し、政倫審への自発的な出席を要請したが、小沢氏は拒否。政倫審が招致を議決しても出席しないと明言したという。
 今朝の全国紙は4紙とも社説に、小沢氏の国家招致問題を書いた。読売・産経・朝日は、もはや証人喚問しかないという主張で、ほぼ一致。毎日はトーンが低く、政倫審の議決を求めるだけで、証人喚問は求めていない。下記のごとくである。

 読売新聞「本人が衆院政治倫理審査会への出席をこれだけ強く拒否している以上、残された手段は証人喚問しかあるまい」「重要なのは、小沢氏の国会での説明を実現することだ。民主党は法的拘束力のある証人喚問に同意すべきである」
 産経新聞「「一兵卒」にいつまで振り回されるのか。民主党は証人喚問を決断して自浄能力を発揮するしかあるまい」「首相は「政治とカネ」にけじめをつけるため、必要な政治判断を示さなければ、国民の民主党への不信は払拭できないことを認識すべきである」
 朝日新聞「菅首相と党執行部は、より強い姿勢で小沢氏に対さなければならない。当面、政倫審への出席を求める議決を目指すとしても、小沢氏があくまで出ないという以上は法的拘束力のある証人喚問を実現しなければなるまい」
 毎日新聞「政倫審を招集し、招致の議決を急ぐことが、政党としての意思表示の第一歩だ。小沢氏側近議員たちの抵抗や自民党から「アリバイ的議決」との批判もあろうが、粛々として対処すべきだ。国内外で難問山積の折、日本の政治のノド元に突き刺さるトゲは早く抜くべきだ」
 
 毎日のスタンスは、民主党執行部に近く、読売・産経・朝日のスタンスは自民党中心の野党に近い。
 政治家には、法的責任のほかに、政治的責任、道義的責任がある。小沢氏が司法の場で裁かれるだけでなく、国会で責任を問われるのは当然である。
 民主党執行部が、小沢氏の問題を政倫審に招致することで、けじめをつけられると考えているとすれば、大間違いである。政倫審には強制力はないし、そこで発言しても偽証罪に問われない。鳩山前首相は自身の「政治とカネ」の問題で政倫審が招致を議決したが、出席しなかった。小沢氏も同様の行動をすることは、はなから予想されたことである。
 政治家の倫理を正し、国民の信頼を回復するには、証人喚問の実現以外ない。民主党は小沢氏に離党勧告をし、拒否すれば除名にしたうえで、証人喚問を行うのが、政党としてのあるべき姿である。それのできない政党に政権を担う資格はない。

 以下は、全国紙4紙の社説。

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●読売新聞 平成22年12月21日

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20101220-OYT1T01124.htm
小沢氏国会招致 実現には証人喚問しかない(12月21日付・読売社説)

 本人が衆院政治倫理審査会への出席をこれだけ強く拒否している以上、残された手段は証人喚問しかあるまい。
 菅首相が民主党の小沢一郎元代表と会談し、自発的に政倫審に出席するよう要請した。小沢氏は、これを拒否したうえ、政倫審が招致を議決しても出席しないと明言した。政倫審の議決には法的拘束力がない。
 小沢氏は、近く政治資金規正法違反で強制起訴されるため、政倫審に出席する「合理的な理由はない」とする文書を首相に示した。文書は「政倫審の審査は立法府の自律的な機能で、司法府への介入を避ける」べきだとしている。
 この三権分立を盾にするかのような主張は全く筋が通らない。
 小沢氏の政倫審での発言が、司法の判断に影響することはあるまい。「司法府への介入」の点では、小沢氏が検察審査会を「秘密のベールに閉ざされている」などと批判したことの方が問題だろう。
 小沢氏の出席拒否にこそ、「合理的な理由はない」のである。
 岡田幹事長らが指摘しているように、政治家には、裁判での法的責任以外に、国民に説明するという政治的責任がある。小沢氏も一時は、「国会の決定には従う」と言明していたはずだ。
 政党の執行部が国会招致を求めながら、所属議員が今回ほど徹底抗戦した例はほとんどない。結局、小沢氏の主張は、身勝手な保身の論理と言わざるを得ない。
 首相と小沢氏の会談の決裂を受け、民主党は対応を協議したが、結論を持ち越した。民主党の一連の対応には問題が多い。
 菅・小沢会談はセレモニーの色彩が強い。党執行部にすれば、手順を尽くして、小沢氏の国会招致に努力している姿勢を演出したかったのだろうが、国民にはコップの中の争いとしか見えない。
 臨時国会中に政倫審で議決すべきだったのに、党内対立を恐れて年末まで先送りしてきたのは、党執行部の優柔不断さが原因だ。
 さらに疑問なのは、小沢氏が政倫審の議決を無視した場合の対応を決めかねていることだ。政倫審で議決さえすれば、民主党として責任を果たしたと考えているのだとすれば、甘過ぎる。
 「クリーンな政治の実現」が「国民の強い要望」かつ、「私自身の政治活動の原点」と語った首相の所信表明演説は何だったのか。
 重要なのは、小沢氏の国会での説明を実現することだ。民主党は法的拘束力のある証人喚問に同意すべきである。
(2010年12月21日01時30分 読売新聞)

●産経新聞 平成22年12月21日

http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/101221/stt1012210214006-n1.htm
【主張】菅・小沢会談 もはや証人喚問しかない
2010.12.21 02:14

 「一兵卒」にいつまで振り回されるのか。民主党は証人喚問を決断して自浄能力を発揮するしかあるまい。
 菅直人首相が官邸で小沢一郎元代表と約1時間半会談し、「政治とカネ」の問題をめぐり政治倫理審査会への自発的な出席を要請したものの、小沢氏が拒否したことから決裂した。
 首相は「党としての方向性を決めなくてはならなくなる」と、政倫審での議決に移らざるを得ない考えも伝えたが、小沢氏は「議決があっても出ない」と答えた。
 当事者である小沢氏が拒否する以上、強制力を持たない政倫審の開催はもはや困難だ。そのあと民主党役員会は、政倫審議決を決めることなく、27日の役員会まで意思決定を持ち越した。茶番劇が続いている。
 小沢氏は9月の党代表選で菅首相に敗れた際、「一兵卒として民主党政権を成功させるために頑張りたい」と述べたが、その場限りの発言だったようだ。
 小沢氏はまた、検察審査会の起訴議決の後、「国会が決めれば従う」と国会招致に応じる考えを表明していた。首相は会談でそれを指摘したが、小沢氏は強制起訴による裁判が近づいていることを理由に出席できないと主張した。
 自民党など野党は、偽証罪を伴う証人喚問が疑惑解明に必要だと主張している。また、小沢氏が政倫審に出席しないことを見越し、「アリバイ作りの片棒を担ぐつもりはない」と、政倫審での議決には加わらない構えだ。
 民主党役員会でも証人喚問の必要性を指摘する意見があったという。岡田克也幹事長は記者会見で、証人喚問は「なるべく避けたい」と述べたが、疑惑解明に消極的な姿勢としか映らない。
 小沢氏は首相との会談で、最近の地方選で民主党が惨敗していることなどに関して「政治とカネ以外の影響の方が大きいのではないか」と主張したという。国民の信を失い、説明責任も果たさない小沢氏が政権を批判しても説得力をもたない。その一方で、自衛隊を「暴力装置」と呼び、問責決議を可決された仙谷由人官房長官の責任に首相は頬かぶりしている。
 首相は「政治とカネ」にけじめをつけるため、必要な政治判断を示さなければ、国民の民主党への不信は払拭できないことを認識すべきである。

●朝日新聞 平成22年12月21日

http://www.asahi.com/paper/editorial.html
小沢氏拒否―執行部は強い姿勢で臨め

 民主党の小沢一郎元代表が菅直人首相に対し、自らの政治とカネの問題について、衆院政治倫理審査会での説明を拒否する考えを伝えた。
 予想されたこととはいえ、その重い政治責任を果たそうとしない小沢氏のかたくなさに驚く。
 もう時間を浪費してはいられない。菅首相と党執行部は、より強い姿勢で小沢氏に対さなければならない。
 当面、政倫審への出席を求める議決を目指すとしても、小沢氏があくまで出ないという以上は法的拘束力のある証人喚問を実現しなければなるまい。
 小沢氏は首相の説得を拒んだ理由に、近く強制起訴され、裁判が始まることを挙げた。
 もとより、法廷で「潔白」を訴え、刑事責任のないことを主張するのは、小沢氏に与えられた権利である。
 しかし、法的責任と、政治家が負うべき政治責任とはおのずから異なる。あまりに当然のことを小沢氏に対し、繰り返し指摘しなければならないのは極めて残念だ。
 有権者によって選挙され、政治権力を信託された政治家は、「国民代表」としての政治責任を負う。これは近代国家の統治原理の核にある考え方である。
 立法権を委ねられ、それを行使する国会議員は、単に法律を守っていればそれでいいという立場にはない。
 例えば、長く続く政治とカネの問題をどう解決するのか、政治資金の不透明さをどう解消していくのか。そうした問題に立法府の一員として取り組むべき政治家が、自ら疑惑を招いてしまったとあれば、国会で説明するのは当たり前すぎることだろう。
 思えば小沢氏には、自身の政治責任に自覚的と見られたときもあった。
 2004年には国民年金への未加入を理由に党代表選立候補を見送った。法的には問題ないとしながら、「年金制度改革を国民に理解してもらわなければならない立場」だと言い、政治責任をとったのだった。
 しかし、いかんせん、その政治責任に対する姿勢は著しく一貫性を欠く。
 今年6月の鳩山由紀夫前首相との「ダブル辞任」直後の党代表選出馬。そして今回。かつて政治改革推進の立役者だったとは思えない判断である。
 小沢氏は昨年の総選挙の立候補予定者91人に約4億5千万円を配ったが、その原資に旧新生党の資金を充てていたことが明らかになっている。税金も受ける政党の資金を個人の政治資金として配ってよいのか、小沢氏の説明を聞いてみたい。
 小沢氏の問題にけりをつけなければ、来年早々の通常国会は動くまい。差し迫った多くの政策課題にも手がつけられない。菅首相と民主党執行部に与えられた時間は少ない。

●毎日新聞 平成22年12月21日

http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20101221k0000m070128000c.html
社説:政倫審出席拒否 小沢氏招致の議決急げ

 残念というより、情けないというべきだろう。
 衆院政治倫理審査会に民主党の小沢一郎元代表の自発的な出席を求める菅直人首相の説得は不調に終わった。1時間半にわたる2人だけの会談で、小沢氏は拒絶を貫いた。この際は、政倫審での議決による招致の手続きに入るしかないだろう。年明け通常国会で、この問題が、国政の重要問題の審議の妨げにならないよう、菅執行部には腰を据えての取り組みを望みたい。
 首相が会談後に明らかにしたところによると、小沢氏は先に岡田克也幹事長あてに提出した文書を読み上げ出席を拒否、国会が決めればいつでも出る、としたかつての小沢発言を首相が持ち出し、「(議決の)手続きを取れば出るのか」とただしたところ、これも拒絶した。さらに、小沢氏は国会運営の手詰まりについて、政治とカネ以外の影響の方が大きいのではないか、と述べ、暗に現執行部の野党対策を批判した。
 臨時国会運営の見通しの悪さ、閣僚失言の数々は確かにあった。ただ小沢氏にそう言う資格があるのか。
 先の岡田氏への文書は、出席拒否の理由として、すでに強制起訴される身となり国会での審査は裁判の妨げになる、との理屈をあげている。立法府が司法に介入すべきではない、という小沢氏らしい論法だ。
 だが、この局面で国会が小沢氏に望んでいるのは、法や論理ではなくそれ以前の倫理である。億単位の政治資金を動かし、政治資金規正法違反の虚偽記載で秘書らが起訴された問題で、当の政治家が、自らが所属する国会の場において、求められればそれなりの釈明をする、あるいは、身の潔白を進んで証明する、ということは、最低限のモラルと考える。
 わからないのは、小沢氏がなぜかたくなに出席を拒むのかだ。何度も記者会見に応じ、東京佐川急便事件では証人喚問にも出たことのある小沢氏には小さな譲歩のはずである。菅政権を追い込むカードにしているとすれば、一兵卒として菅政権を支える、との発言は撤回すべきだろう。
 いずれにせよ、通常国会は菅政権が残る力を振り絞って取り組まなければ乗り切れない。ここで、小沢問題が再び障害になるような愚はおかしてはならない。政権与党として政治とカネ問題への最低限の自浄能力があることを国民に示すべきだ。
 政倫審を招集し、招致の議決を急ぐことが、政党としての意思表示の第一歩だ。小沢氏側近議員たちの抵抗や自民党から「アリバイ的議決」との批判もあろうが、粛々として対処すべきだ。国内外で難問山積の折、日本の政治のノド元に突き刺さるトゲは早く抜くべきだ。
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関連掲示
・拙稿「小沢氏には最低の倫理もない」
http://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/d/20101010

小沢氏「起訴相当」は国民の意思

2010-04-28 06:41:36 | 小沢
 検審による小沢氏「起訴相当」の議決は、圧倒的多数の国民の意思の表れである。議決が全員一致だった事実は重い。
 以下は全国紙4紙の社説。これほど4紙の論調が近似していることは珍しい。

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●読売新聞 平成22年4月28日

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20100428-OYT1T00012.htm
小沢氏起訴相当 「公判で真相」求めた審査会(4月28日付・読売社説)

 民主党の小沢幹事長を「不起訴」とした検察の判断に、「善良な市民感覚」が強烈なノーを突き付けた形だ。
 注目されていた検察審査会の議決は、「不起訴不当」から踏み込んで「起訴すべきだ」との結論になった。
 小沢氏に疑わしい事実がある以上、裁判の場で事実関係と責任の所在を明らかにしてもらいたいという、極めて常識的な判断が投影されている。
 検察は、まずは再捜査に全力を挙げるべきだ。
 その結果、再び不起訴でも、2回目の審査で起訴相当なら裁判所指定の弁護士による強制起訴となる。次の節目で検察が、議決を入れて起訴に踏み切るかどうかが注目される。
 小沢氏は、議決を受けて「意外な結果で驚いている。検察が適正に判断すると信じている」と語った。小沢氏は審査会の指摘した疑惑については、説明責任を果たさなければならない。
 審査会の判断のポイントは、小沢氏の資金管理団体「陸山会」の事務担当者だった石川知裕衆院議員(政治資金規正法違反で起訴)らの供述の評価だった。
 石川被告は、陸山会が東京都内の土地代金などに充てた4億円について、収支報告書に記載しない方針を小沢氏に報告、了承を得たと東京地検に供述している。
 これに対し小沢氏は「知らない。担当者が真実を記載したと信じ、了承した」と共謀を否定した。
 地検は、石川供述は具体性を欠くなどとして最終的に小沢氏の起訴を見送ったが、審査会は石川供述などを基に、小沢氏の弁明を「不合理・不自然で信用できない」と言い切っている。
 しかも、小沢氏が「マスコミに騒がれないための手段」として、4億円が自らの資金であることを隠蔽(いんぺい)する「執拗(しつよう)な偽装工作」をしたとも指摘している。
 有罪立証を第一に考える検察官とは違う視点で起訴を求めた。
 審査会の「市民感覚」が端的に表れているのは次の部分だ。
 「秘書に任せていたと言えば、政治家の責任は問われなくて良いのか」「政治家とカネにまつわる政治不信が高まっている状況下、市民目線からは許し難い」
 これらは多くの国民にも共通した思いだろう。
 陸山会事件では「検察リーク」などの捜査批判も起きた。市民感情に流されての捜査は禁物だが、検察にも、国民が納得できる説明が求められよう。
(2010年4月28日01時19分 読売新聞)

●産経新聞 平成22年4月28日

http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/100428/crm1004280340007-n1.htm
【主張】小沢氏「起訴相当」 やはり議員辞職すべきだ
2010.4.28 03:39

■再捜査で問われる検察の責任
 天網恢々(てんもうかいかい)疎にして漏らさず、と形容した方がよいのだろう。
 小沢一郎民主党幹事長の資金管理団体「陸山会」の政治資金規正法違反事件で、東京第5検察審査会が小沢氏の「起訴相当」を議決した意味合いである。
 土地購入をめぐり、21億円余の巨額の虚偽記載で側近議員や秘書らが起訴されたこの事件は、「秘書の犯罪」で済まされる事件ではなく、小沢氏の関与が焦点だった。だが、小沢氏は東京地検特捜部に事情聴取されたものの嫌疑不十分で不起訴となった。
 これに対し、審査会は「共謀共同正犯が成立するとの認定が可能」と断じた。国民から選ばれた11人の検察審査員全員が一致して小沢氏の刑事責任を認めたきわめて重い判断である。
 議決を受けて東京地検は再捜査を行い、3カ月以内に起訴か不起訴の処分を決めなければならないが、小沢氏は「潔白」を主張する根拠を失ったといえよう。刑事責任の問題に加え、政治的さらに道義的責任は明白だ。
 やはり議員辞職を決断すべきときである。
 陸山会の規正法違反事件では、現職衆院議員の石川知裕被告と小沢氏の元公設第1秘書の大久保隆規被告らが起訴された。
 ≪「共謀の認定」は重い≫
 地検特捜部は小沢氏の事情聴取に踏み切ったが、虚偽記載への関与が立証できず、元秘書らの責任を問うにとどまった。その捜査結果が国民の政治不信を募らせる一因になった。
 検察審査会は、法律で定められた国の機関で、以前は議決に法的拘束力がなく参考意見にとどまった。だが司法改革の一環で、裁判員制度導入とともに検察審査会法が改正され、2度の「起訴相当」議決で強制起訴を可能にするなど、民意を反映するために権限が強化された。
 政治資金規正法違反は、政治家が扱う資金の透明性を損ない、国民を欺く重大な犯罪だ。しかも虚偽記載額がきわめて多額で、複雑な資金操作で土地購入の原資を隠そうとした意図がみえる。秘書の独断で行えるものとは考えにくく、東京地検特捜部による捜査結果は到底、納得できるものとはいえない。
 一方、検察審査会の議決内容は明快だ。石川被告らの供述内容や土地購入原資を隠すために行われた銀行融資の申込書などに小沢氏の署名・押印があるなどの状況証拠を踏まえ、小沢氏の共謀が認められるとした。
 小沢氏の説明を「きわめて不合理・不自然で信用できない」と退け、「絶対権力者である小沢氏に(秘書らが)無断で資金の流れの隠蔽(いんぺい)工作などをする必要も理由もない」との疑問も呈した。
 再捜査にあたる検察当局は検察審査会の議決を真摯(しんし)に受け止め、その存在意義をかけて国民が納得できる結果を出す責任がある。未解明であるゼネコンの裏金疑惑なども解明すべきだ。

≪辞任せずと開き直り≫
 小沢氏は不起訴処分を潔白のお墨付きのように強調して開き直り、事件の詳細について説明責任を果たさず、野党の証人喚問要求にも応じなかった。
 そうした姿勢に、国民はきわめて厳しい視線を向けてきた。産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)の世論調査では、小沢氏が説明責任を果たしていないと思う人がほぼ9割に達しているほか、7割の人が幹事長辞任を求めた。
 鳩山由紀夫首相の政治資金問題でも説明責任が不十分との見方が8割を超えている。だが2人とも、政治的、道義的責任をとろうとしていない。
 小沢氏は27日夜、幹事長職を辞任しない意向を示したが、状況は一変した。2度目の「起訴相当」議決を経て強制起訴される可能性も出てきた。
 小沢氏が出処進退を決断しないかぎり、参院選に向かう時期に与党幹事長の起訴の有無が最大の焦点になる。まともな党運営などできる状態ではなかろう。
 民主党内では、小沢氏に近い議員らが押し切る動きをみせている。岐阜県連や連合静岡など地方組織や支持団体から小沢氏の辞職論などが出されても、執行部は封じてきた。
 異論を認めず、体制維持を押し通そうとする発想が、政党の自浄作用さえ働かないことに結び付いている。執行部体制とともに、党の体質を転換することが求められている。

●毎日新聞 平成22年4月28日

http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20100428k0000m070116000c.html
社説:小沢氏「起訴相当」 全員一致の判断は重い
 市民が検察の不起訴処分に強くノーを突きつけた。

 民主党の小沢一郎幹事長が代表を務める資金管理団体「陸山会」をめぐる事件で、東京第5検察審査会が「起訴相当」を議決した。小沢氏を容疑不十分で不起訴処分にした東京地検の判断をひっくり返したのだ。
 小沢氏は検察の処分について「1年間の強制捜査で潔白を証明してもらったと思っている」と主張してきた。だが、検察と全く同じ証拠を基に、審査会は「起訴すべきだ」と議決した。しかも議決は、小沢氏の供述を「信用できない」とまで指摘する。そもそも検察の処分は「容疑は不十分」というもので、潔白の証しとの主張は強引である。小沢氏は議決を重く受け止めるべきだ。
 無作為で選ばれた審査員11人が、検察官の不起訴処分の妥当性を判断する制度である。今回は全員一致で「起訴相当」を議決した。
 事件では、石川知裕衆院議員ら元秘書3人が、土地購入の際に小沢氏から4億円を借りながら、返済分も含め政治資金収支報告書に記載しなかったとして起訴された。議決は、虚偽記載について「絶大な指揮命令権限を有する」小沢氏の共謀が成立するとの認定が可能だと述べる。
 その最大の根拠は、石川被告と元私設秘書の池田光智被告が、報告書の提出前に、それぞれ小沢氏に報告や相談、説明や了承を得ていると供述したことを挙げる。
 検察はこの供述だけでは具体性を欠き、共謀を裏付ける物証もないと結論づけた。裁判で確実に有罪を得るため、いわば「高いハードル」を自らに課したのである。
 これに対し、議決は「秘書に任せていた」と言えば、政治家の責任は問われなくていいのかと批判し、「政治とカネ」で政治不信が高まる中、市民目線からは許し難いと主張する。事実を解明し、責任の所在を明らかにすべき場所は、法廷だというのである。率直な問題提起だろう。
 一義的には地検の処分へのノーである。地検は、議決の趣旨を踏まえ最大限再捜査を尽くし、処分を検討すべきだ。仮に再び不起訴になっても、審査会がもう一度「起訴相当」を議決すれば、小沢氏は「強制起訴」される。その意味からも重い議決だ。
 この議決は、鳩山政権にとっても大打撃だ。そもそも鳩山由紀夫首相本人の偽装献金事件と小沢氏の事件について、国会で説明をせずけじめをつけなかったのがつまずきの出発点ではなかったか。普天間問題もあり、結果的に鳩山内閣の支持率は危険水域にまで下がった。小沢氏は事件について国会で説明すべきである。再捜査を理由に説明しなければさらに傷は深まる。

●朝日新聞 平成22年4月28日

http://www.asahi.com/paper/editorial.html
「起訴相当」―小沢氏はまだ居直るのか

 政治資金規正法違反の疑いで告発されていた民主党の小沢一郎幹事長について、検察審査会が「起訴相当」と議決した。無作為で選ばれた審査員らは議決理由で「起訴して公開の裁判所で事実関係と責任の所在を明らかにするべきだ」とし、「これこそが善良な市民としての感覚」と述べた。
 正式な起訴に至るかどうかは、検察当局の再捜査やそれを受けた検察審査会の2度目の審査を待つ必要がある。予断は控えなければならない。
 ただ、今回の議決は、不透明な金銭の流れなど、疑惑が浮上して以来、多くの人が抱いていたのと同様の疑問を列挙した。そのうえで、小沢氏は秘書らと共謀し、政治資金収支報告書に虚偽の記載をしたと強く推認できると結論づけている。
 議決書だけでは具体的な証拠内容やその評価がいまひとつはっきりせず、検察や裁判所が従来とってきた事実認定の厳格さとは比べられない。
 しかし「『秘書に任せていた』と言えば、政治家本人の責任は問われなくて良いのか」という指摘は、先の鳩山由紀夫首相に対する検察審査会の議決同様、国民の声を代弁するものだ。
 このいら立ちや閉塞(へいそく)感を生んだのはほかならぬ小沢氏である。検察に対し強硬な対決姿勢を見せたかと思うと、不起訴処分が出た後は「公平公正な検察の捜査の結果として受け止める」と述べ、「嫌疑不十分」との裁定を無実の証明であるかのように扱う。国会での説明を求められても一切応じない。
 民意に正面から向き合おうとせず、居直りというほかない態度をとることへの拒否感、嫌悪感が、政策の迷走とあいまって、鳩山内閣や民主党の支持率を押し下げている。時がたてば忘れられるのではなく、時がたっても手を打たず、自浄作用を働かせないことへの不信が深まっているのだ。
 信頼回復のために取り組むべき課題は山ほどある。企業・団体献金の禁止はもちろんだが、それだけではない。政治家が資金管理団体や政党支部など数多くの「財布」を持ち、見えにくくしている資金の流れを透明にするにはどうすればよいか。審査会が問題提起している政治家本人と秘書の関係をどう整理し、責任をいかに果たすのか。
 こうした議論を避け続けてきたことへの怒りは臨界点に達し、政治の足元を掘り崩そうとしている。小沢氏がめざした二大政党による政権交代のある政治も、ようやく形が整ったと思ったとたんに、両党から有権者が離反し、溶解が始まっている。
 議決を受けて小沢氏は幹事長続投の考えを示したが、大局に立った判断をすべきだ。一刻も早く国会で説明する。それができないのであれば、幹事長職を辞し、民主党の運営から手を引く。無駄にできる時間は、もうない。
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天皇陛下を利用する暴君・小沢一郎1

2009-12-19 10:55:01 | 小沢
 『週刊文春』と『週刊新潮』は、取材力に定評のある週刊誌である。『文春』と『新潮』は、ともに平成21年12月24日号で、天皇陛下特例会見ゴリ押し事件(と私は呼ぶ)について、トップで報道した。『文春』は「小沢と鳩山は天皇に土下座して謝れ」、『新潮』は「天皇陛下を中国共産党に差し出した小沢天皇の倣岸」と題して、この事件を速報した。
 『文春』は、リードで「天皇と習近平・中国国家副主席の会見は、民主党の小沢幹事長による前代未聞の『ゴリ押し』によって実現したものだった。もはや『政治利用』ではない。"独裁者"が陛下を『私的利用』したのだ」と糾弾。
 『新潮』も同じく、「『ルール無視』『政治利用』と、囂々たる非難が渦巻く中、天皇陛下との"特例会見"が実現した背景には小沢幹事長の『官邸恫喝』があった」「"1ヶ月ルール"を破り、こともあろうに天皇陛下を中国共産党に差し出した民主党の小沢一郎幹事長(67)。もはや自らを"小沢天皇"と錯誤しているとしか思えない傲岸である。総理はおろか陛下をも意のままに操ろうとする暴君に告ぐ。君、国売りたもうことなかれ!」と忠告した。
 両誌の記事を総合し、また全国紙等のメディアから得た情報を加えると、今回の天皇陛下特例会見ゴリ押し事件の概要は、次の通りである。

●天皇陛下ご会見の「1ヶ月ルール」

 中国の習近平国家副主席は、3年後に国家主席になる可能性が高いと見られる政治家である。
 『文春』によると、天皇陛下と習氏のご会見に関する交渉は、10月下旬ごろから始まっていた。外務省関係者は、次のように憤る。「こちらは1ヶ月ルールを中国側に説明し、早急な日程確定を迫った。しかし中国側は、『12月の中央経済工作会議の日程が決まらないとわからない。来年の経済政策の方針を決定する大変重要な会議で、習副主席は必ず出なければならない。決まったらこちらから連絡しますよ』と真剣に受け取らなかった」
 「1ヶ月ルール」とは、天皇陛下と外国要人のご会見は、1ヶ月前までに相手国が文書で申請を出さなければならないとするもの。「30日ルール」ともいわれる。天皇陛下の御年齢と御体調を考慮し、平成7年(1995)3月にルール化された。宮内庁式部官長が外務省儀典長あてに「原則として希望日の1ヶ月前に要請」という公文書を出している。ルールが作られたのは、自民党・社会党・新党さきがけの連立政権の時代。鳩山首相は当時、与党さきがけの代表幹事だった。鳩山氏は当然、このルールについてよく知っているわけである。
 「1ヶ月ルール」ができてから、政府はこれを守ってきた。平成15年(2003)に陛下は前立腺ガンの摘出手術をお受けになったが、それを機に、陛下の御健康を考慮して、厳格に守られてきた。平成16年(2004)2月3日に式部官長が儀典長あてに「1ヶ月ルール」の徹底を求める公文書を送付している。「1ヶ月ルール」は、内閣総理大臣を首班とする歴代政権が承知し、それを守ってきた以上、下級役人が勝手に決めたというものではない。

●1ヶ月を切ってから、中国外相が小沢氏に要請

 『文春』によると、最終的に中国側が「12月14日から3日間」という習氏の日程を伝えてきたのは、11月下旬になってからのことだった。この時点で1ヶ月を切っていた。中国側は、当然のごとく天皇との会見を求めてきた。この時の中国側の態度について、「ハナから『次の最高権力者が行くんだから、1ヶ月ルールなんて何とでもなるだろう』という態度だった」と外務省関係者は、『文春』に語っている。
 この間、11月19日、楊潔篪外相の随行者が、習氏の12月中旬頃の訪日を内報し、わが国の外務省が宮内庁に会見を要請した。内報とは、内密の知らせを言う。平野官房長官は、この時点で、習氏が来日することを認識した。
 『新潮』によると、翌20日小沢幹事長と中国の楊外相が会談した。その席で楊氏が小沢氏に「習副主席を陛下に会わせて欲しい」と持ちかけた。中国の外務大臣が、日本の一政党の幹事長に、こういうことを頼むのは、異常である。頼むなら、わが国の外務大臣に頼むべきだろう。小沢氏は、何年も政治家をやっているから、「1ヶ月ルール」を知っていたはずである。また習氏の来日予定が30日間を切っているからこそ、楊外相が自分に頼んできたことを理解しただろう。
 その後、小沢氏は、会見の実現に向けて裏で動いた形跡がある。小沢氏は、自分の実力を中国側に示したいと考えたのではないか。それは実力の誇示ではなく、中国共産党指導部への忠誠の証でしかないのだが。
 11月23日、中国側が習氏の訪日日程を正式に伝達してきた。26日、外務省のアジア・大洋州局長が宮内庁式部官長に会見を正式に要請した。宮内庁は「1ヶ月ルールで難しい」と内々に返答したが、翌27日、あらためて外務省に会見は「不可能」と伝達した。これを受け、外務省は都内にある中国大使館に「ほぼ不可能だ」と内報した。外務省は30日に鳩山首相、平野官房長官と協議し、その後、中国側に「不可能」と正式に伝達した。
 ところが、『文春』によると、11月26日以後、中国側はありとあらゆるルートを使って、天皇陛下と習副主席のご会見を実現させるべく工作に奔走していた。

 次回に続く。