ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
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宗教3~神と人間の関係

2017-03-08 10:48:04 | 心と宗教
4.宗教における神概念の違い

 神の概念は、3のように大きく五つに分類できる。宗教によって、それらのうち、何を神と認め、仰ぐかが異なる。
 多数の神々を祀る宗教を、多神教という。多神教では、人間神、自然神を多く祀る。宇宙神を祀る場合もある。アニミズム、シャーマニズム、ヒンドゥー教、仏教、儒教、道教、神道等はこれである。
 多神教には、多元的多神教と一元的多神教がある。前者は、多くの神々が並列しており、そこにそれらを統合する神または原理が存在しないものである。後者は、根源的な神または原理があって、その様々な現れとして多数の神々が存在するととらえるものである。
 神道は、一般に多元的多神教と見られているが、私は一元的多神教ととらえるべきと考える。根本的・本源的な神が多数の神々となって現れているという一即多、多即一の構造が見られるからである。一の側面の神は宇宙神であるが、宇宙の根本原理に関する考察が行われており、理力神に近い性格を持つ。
 一つの神のみを祀る宗教を、一神教という。一神教には、単一神教、拝一神教、唯一神教がある。単一神教は、自己の集団において多くの神々を認め、その中に主神と従属神があるとし、他の集団の神格も認める。拝一神教は、自己の集団において唯一の神のみを認めるが、他の集団における神格をも認める。前者は従属神を認める点において、後者は他の集団の神を認める点において、多神教に近い性格を持つ。
 唯一神教は、唯一の神のみを神とし、自己の集団においても他の集団においても、一切他の神格を認めない。これが純然たる一神教である。唯一神教には、ユダヤ教、キリスト教、イスラーム教がある。ユダヤ教とイスラーム教では、唯一の神しか認めず、その性格は超越神である。キリスト教の三位一体論は、イエス=キリストは人間神であり、かつ超越神であるとする考え方である。
 世界のすべてを神の現れとする宗教を、汎神教という。汎神教は、一切万有は神であり、神と宇宙は同一とする。多数の神々を仰ぐことはしない。その点では、一神教の一種と見ることができる。唯一神教は、神は無から宇宙を創ったとし、宇宙は被造物であり、神は宇宙に超越するとするのに対し、汎神教は神と宇宙は同一とする点が異なる。
 理力神を絶対唯一の神とする宗教は、従来の世界の諸宗教の中には存在しない。理力神を神とする宗教であっても、単に教えを説くだけで、理法にして力である神の実証を伴わなければ、観念的な教えにとどまる。理力神を絶対唯一の神とし、その神の実証を伴う宗教は、従来の宗教を超えたものとなる。

5.神と人間の関係

 神の概念が異なると、神と人間の関係も異なり、人間が神に対して行うことも異なる。

(1) 人間神と人間
 人間神と普通の人間には、神として尊崇される人間と、尊崇する人間という関係がある。普通の人間が将来、生前または死後に、他の人間から仰がれる者となることがあり得る。祖先の霊である人間神に対しては、子孫として崇拝・慰霊することが求められる。首長・偉人・英雄・聖者またはその霊である神に対しては、尊敬し模範とすることが求められる。

(2)自然神と人間
 自然神は、自然の事物・事象を神格化したものであり、人間はそれらの神々を崇めるという関係にある。自然神には、人間から見て位の低いものや位の高いものがある。位の低いものの一例である動物霊の神に対しては、その動物特有の能力による加護を祈る。位が高いものの一例である天空父神に対しては、人間はその意思に従うべきものとされる。

(3)宇宙神と人間
 宇宙神は、宇宙全体、一切万有を神として神格化したものであり、人間はその一部となる。人間は身体によって限定され、また死すべきものであるが、その本質においては宇宙の一部であり、永遠不死であることの自覚が求められる。そして、宇宙の本源・全体への回帰を目指すことを期待される。その到達を梵我一如、神人合一(ヒンドゥー教)という。

(4)超越神と人間
 超越神は、宇宙を無から創造した神であり、人間は神の被造物とされる。神は土からアダムを造り、その鼻から命を吹き込んだ。続いて、男のあばら骨から女(エバ)を造ったとされる。人間は、創造主の意志に従い、律法を実践するか(ユダヤ教)、神の子イエスの教えに従うか(キリスト教)、神の言葉に従うか(イスラーム教)しなければならない。

(4)理力神と人間
 理力神は、宇宙の根本的な原理にして、万有一切を生ぜしめる原動力を神とするものであり、人間はその原理・原動力によって生成消滅するものとされる。神に対して、自己は神の一分子、神の一細胞であるという関係にある。人間は、自らを生み出し、その法則に従って生きるべき神の実在に目指め、神の道に沿った生き方をすることが求められる。

 次回に続く。

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