ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

小沢氏不出馬? 談合は御免だ

2010-08-31 11:00:02 | 時事
 民主党の代表選は、最終局面で、小沢氏が出馬しない可能性が出てきたという。鳩山前首相が菅首相と小沢氏の間を仲介し、代表選での対決とそれによる党の分裂を避ける方向で調整。菅氏、鳩山氏、小沢氏に輿石参院議員会長を加えた「トロイカ+1」の体制を取り、菅政権の「脱小沢」路線を主導してき仙谷官房長官と枝野幹事長は更迭。小沢氏は処遇次第で出馬を見送るという観測である。
 仮にそうなった場合、民主党の代表選はどうなるのか。民主党は与党である。菅氏以外に立候補者が出ず、党幹部の話し合いで事実上代表が決まるのは、デモクラシーの精神に反する。談合に等しい。党幹部が密室で話し合い、要職を分配することで権力を維持しようとするのは、政党を私物化し、政権をも私物化するものと言わざるを得ない。国民不在のご都合主義である。かつての自民党にも劣る。
 しかもこの談合を進めているのが、わずか3ヶ月前に、普天間基地問題等の責任を取って首相を辞任した鳩山氏である。節操がない。鳩山氏には、責任の重みを感じる感性がないのか。小沢氏は、菅氏との代表選に出たいなら出たらよい。代表となり、総理大臣となって何をしたいのか。国民に所信を明らかにし、国民の前で菅氏と政策論争を行うべきである。最終的には「政治とカネ」の問題を含めて、国民が審判を下す。その審判を受ける勇気があるなら、代表選に出ればよいだろう。

 以下は報道のクリップ。

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●読売新聞 平成22年8月31日

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20100831-OYT1T00009.htm?from=top
民主党分裂に危機感…小沢氏出馬見送り論浮上
 民主党代表選(9月1日告示、14日投開票)は、菅首相と鳩山前首相の30日夜の会談で「トロイカ体制」の構築で一致したことにより、首相と小沢一郎前幹事長の全面対決回避に向けて最終的な局面に入った。
 党内は、小沢氏の最終判断を注目している。
 鳩山氏は首相と首相公邸で会談後、記者団に「(鳩山、小沢、菅の3氏に輿石東参院議員会長を加えた)『トロイカ+1』で行こうではないか、という思いを首相からいただいたので、明日、私が責任を持って小沢先生に伝え、首相と会談していただく」と述べ、「菅・小沢会談」での事態打開に期待を示した。
 鳩山氏が調整役を務めるのは、党内に「小沢氏の出馬は党分裂につながりかねない」という懸念が強まっているためだ。
 一方、首相が鳩山氏との会談で「トロイカ+1」という表現で小沢氏の処遇に含みを持たせた背景には、いくつかの伏線があった。
 輿石氏は30日午後、党本部でひそかに首相と会談し、「トロイカ復活が必要だ」と首相に求めた。
 民主党の有力支援者で、小沢氏にも近い稲盛和夫・京セラ名誉会長(内閣特別顧問)の意向も影響したとみられる。鳩山氏は30日夜、首相との会談に先立ち、稲盛氏と会食した。関係者によると、稲盛氏は「対決を回避すべきだ」という考えを鳩山氏に伝えたという。
 小沢グループでは、「鳩山・菅会談」まで主戦論が強かった。山岡賢次副代表は30日夕、国会内で開いた会合で、「小沢氏と首相の話し合いがあるといううわさが流れているが、そういうことはない。明日(31日)、各グループ一斉に足並みをそろえて選対を発足させる」と述べ、小沢氏の出馬の流れは止められないという見方を強調していた。
 しかし、菅・鳩山会談の後、小沢グループ内には戸惑いが生じている。小沢氏の側近は30日深夜、「不出馬の可能性もある。相当高いポストでの処遇ということかもしれない」と語り、小沢氏がポスト次第では出馬を見送るという見方を示した。一方で、30日夜、都内のホテルで開かれた小沢グループの会合では、「鳩山氏の調整には応じず、小沢氏は出馬するべきだ」とする中堅議員もいた。
 首相を支持する前原国土交通相のグループも30日夜、都内のホテルに集まったが、前原氏は「首相と小沢氏の対応を見守ろう」と呼びかけるにとどめた。首相の側近議員は「トロイカ体制ということは、小沢グループも含む『派閥均衡』の人事になるだろうが、了とするしかない」と語った。「国会議員票では小沢氏が上回るのではないか」という見方も出ていたためだ。
 ただ、首相を支持する枝野幹事長は周辺に「譲れたとしても代表代行までだ」と語り、党の資金や公認権を預かる幹事長ポストは渡せないという考えを示している。
(2010年8月31日07時12分 読売新聞)

●産経新聞 平成22年8月31日

http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/100831/stt1008310256002-n1.htm
【主張】民主党代表選 密室談合決着に反対する
2010.8.31 02:55

 民主党代表選で、鳩山由紀夫前首相は30日夜、菅直人首相と会談し、両氏と小沢一郎前幹事長を柱とする「トロイカ体制」で合意した。これに先立ち鳩山氏は輿石東参院議員会長を交えて「密室談合」を続けた。
 トロイカ体制の意味は不明だが、首相が人事面で「脱小沢」路線を放棄し、小沢氏の出馬取りやめに加え、小沢、鳩山、輿石各氏を要職で処遇することなどが想定されるという。これで「挙党一致」の態勢をとるというが、菅首相への国民の信頼を裏切るものといえ、受け入れられない。
 こうした「密室談合」で取引しようというのは、民主党がかねて政治理念としてきた自民党の「古い体質」の払拭(ふっしょく)というテーマとまったく矛盾している。政権交代の意義すら否定しかねず、情けないとしか言いようがない。
 代表選は菅首相と小沢氏の一騎打ちとみられていた。内政・外交の懸案をいかに解決するか、政策で競い合うべき舞台だ。
 焦点は政権公約(マニフェスト)の取り扱いだ。参院選で消費税増税を提起した菅首相は、財政再建に取り組む姿勢を見せている。財政状況や今後の野党との政策面での連携を考慮して、マニフェストの一部修正も避けられないという立場をとっている。
 これに対し、小沢氏は「国民との約束」であるマニフェストが原点であり、その実現を最重視する姿勢を強めている。消費税増税については、国民と約束していない課題だとして否定的だ。
 だが、ムダの排除で財源を生み出すと主張していた小沢氏の論拠は、もはや崩れている。どのようにマニフェストの財源を捻出(ねんしゅつ)するかという具体論を語っていないことに小沢氏の問題がある。
 さらに国民の政治不信を高めているのは、鳩山氏の動きだ。民主党と自由党の合併を提唱した鳩山氏は、小沢氏とともに政権交代を実現したことで「小沢氏への恩義」を繰り返している。
 これは政党を私物化するような発想にほかならない。政治とカネの問題でけじめをつけ、自浄作用を発揮すると約3カ月前に約束したことをやすやすと踏みにじった。無責任と自己保身の民主党政治の転換が図れるのか。
 無投票決着で表向きの対立を回避したとしても、得られるものはなにもない。

http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/100831/stt1008310255001-n1.htm
【正論】京都大学大学院教授・中西寛 小沢氏勝利で政治は重大局面に
2010.8.31 02:54

 民主党政権発足から約1年となったが、その間の実績は、衆院で圧倒的多数を与えた国民の期待とはほど遠い。鳩山前政権は普天間基地移設問題で混乱を招いたうえに、首相、幹事長という2大リーダーが政治資金問題で批判を浴び、わずか8カ月で退陣した。
 代わった菅政権も、参院選で敗北して参院での過半数を失うと意気消沈し、思考停止状態に陥っているように見える。経済、外交いずれも重大な課題を抱えている時に、民主党では代表選で首相と小沢前幹事長が激突するという構図にわき立っている。

◆参院敗北は前政権にも責任
 実際に一騎打ちになるか否かは別にして、代表選にこれだけ振り回される中で、民主党そのものの政権政党としての資質を疑わざるを得ない。野党なら党首選は政策論争の場としても意味があるが、政権党での党首選は首相の座を争うことを意味する。
 党内事情で政権を左右すること自体、国民をないがしろにするものである。政策論争なら党内機関でやれば済むことで、政策に根本的に相違があるなら同じ党にいる意味がない。
 まして今回は、就任わずか3カ月の首相に対して、職を辞したばかりの小沢氏が対抗し、鳩山前首相が仲介の前面に立っていることは筋が通らない。参院選の敗北に対しては現政権執行部とならんで、両氏も前政権責任者として責任を負うべき立場にいるはずだからである。かかる無軌道を批判する声も出ない民主党の体質そのものが相当おかしいと考えざるを得ない。

◆「痛み」なく解決できぬ問題
 代表選で小沢氏が勝利すれば、日本政治は重大な局面を迎えよう。小沢氏の首班指名をめぐり民主党が分裂するかもしれないし、仮に小沢政権ができれば検察審査会の決定をめぐり大きな不確実性が生まれる。そもそも新政権は極端な低支持率で発足することが見込まれ、「ねじれ国会」において民主党の政権運営はより一層困難となるだろう。
 要するに政治の現状は行き詰まり、政界再編の機運が高まるだろう。しかし政争に端を発した政界再編ですぐに政治が安定した形をとることはありそうになく、日本政治はさらに混迷を深めることになる可能性が高い。
 しかし動き出した政治の流れは止まらないだろう。菅政権が続くにせよ、小沢政権に変わるにせよ、政界再編の動乱になるにせよ、国民は日本政治が新たな体制を築くために乗り越えねばならない試練と覚悟を決めるほかない。最後には政治家を選んだ国民が責任を負わねばならないのである。
 問題の原点は、冷戦終結と高度成長の終焉(しゅうえん)という日本の置かれた客観状況と、過去20年間の政治の「民主化」のミスマッチにある。客観的には、冷戦と高度成長期に日本が享受した平和と繁栄をそのまま維持することは不可能な状況となった。しかし政治の民主化の波は政治家が競って国民に甘い約束を振りまく構造をもたらしたのである。
 結果として自民党政権下で巨大な政府債務の累積と外交的な行き詰まりとが生じることになった。小泉政権は確かに「痛みを伴う」改革をやろうとしたが、優勝劣敗の市場主義の結果、全体のパイが縮小する中で勝者と敗者が分かれる政策は日本人には合わず、「格差」論の反動をもたらした。
 代わった民主党政権は、自民党の失政をなじり、自分ならうまくやれると空約束をしていたが、過去1年の経験は、日本が抱えている問題を小手先の技術で痛みなく解決する方策はないということを教えた。そのように理解しなければ、民主党の「実験」に意義はなかったということになろう。

◆将来への甘い見通しを捨て
 15年前、10年前、いや5年前であっても多少のリスクの増大と生活水準の低下によって平和と繁栄はおおむね維持できたかもしれない。しかし「古き良き時代」に固執し、じり貧を避けようとしてきたためにもはや事態はかなり切迫することになった。
 バブル崩壊以降の20年間、日本経済はデフレといわれ続けてきた。経済学的にはそうかもしれないが、20年もある状態が続くならそれが「常態」であり、経済学の方を考え直さねばならないのではないか。かつて日本を笑っていた欧米の経済学者も、そのことを認め始めているようである。
 今の政治の役割は、将来に対する甘い見通しを捨て、厳しめの予測に立って国民に負担を率直に求めることである。基地や費用負担なしに日米同盟はあり得ない。同盟がなければ防衛費は今よりはるかに大きくなり、しかも日本の安全は低下するだろう。苦しくともそのことを説かねばならない。
 経済政策については甲論乙駁(おつばく)の論争が続くが、ハイリスク・ハイリターンの選択をしている余裕はないのではないか。堅実に考えれば、経済成長が回復したら増税といって先延ばしをしている暇はない。国民は怒るだろうが、政治家が保身を捨てて説得するほかない。(なかにし ひろし)
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政権交代1年、不毛な代表争い

2010-08-30 11:03:25 | 時事
 民主党の代表選は、管首相と小沢前幹事長の一騎打ちとなる形勢である。読売新聞の全国世論調査では、菅氏と小沢氏のどちらが次の代表にふさわしいと思うかを聞いたところ、菅氏と答えた人は67%、小沢氏は14%だった。民主党の代表は、ほぼ次期首相となるので、この結果は、次期首相にふさわしいのは、管氏が67%、小沢氏は14%と読み替えられる。
 両氏のどちらが次期首相にふさわしいかを質問したフジテレビ系「新報道2001」の首都圏世論調査、毎日新聞の全国世論調査も、結果はほぼ同じ傾向である。報道2001は、管氏が63%、小沢氏は16・6%。毎日は、菅氏が78%で、小沢氏の17%だった。
 世論がそのまま代表選に反映させるのであれば、管氏の圧勝となる。しかし、民主党の代表選に投票権を持つのは、同党所属の国会議員や党員、サポーター等である。各種報道の伝えるところによれば、国会議員票は小沢氏が有利だが、党員、サポーター等の支持がどちらに多くなるかは、予測が難しいという。
 私は、小沢首相は望まない。小沢独裁は絶対防がねばならない。また小沢氏を中心とした政界再編も望まない。数と力をめざす野合は、国政を迷走させるだけである。とはいえ、私は、管氏を支持する者ではない。国民の間には、小沢氏よりは管氏がましとか、首相が余り短期間に変わるのはよくないからとかいう消極的な理由で、菅氏でよしとする意見が多いのだろう。しかし、管政権は経済政策も外交安全保障政策も、ほとんど機能していない。やったのは、日韓100年の首相談話のような余計なことだけではないか。
 管氏、小沢氏のどちらが首相になっても、昨年8月の衆議院選挙以来、国民に直接信を問うことなく、政権が継承されることになる。こうした政権の保持はよくない。解散総選挙をして、国民に信を問うことべき時である。

 昨年の政権交代から1年がたった。えらく不毛な1年だった。しかも、まだまだこの不毛が続きそうである。その点にふれた記事を二つクリップしておく。 

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●産経新聞 平成22年8月30日

http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/100830/stt1008300321004-n1.htm
【主張】政権交代1年 未熟さが作り出した惨状

 昨年8月30日の衆院選で民主党が308議席を獲得し、政権交代を実現してから1年が経過した。政権が交代することに意味はあるが、今の日本の惨状の多くは、政権担当能力が欠如している政党が国政を担ったことによるといえる。
 ばらまきによるポピュリズム政治、急激な円高に何ら有効策を打てないでいる対応のまずさ、米軍普天間飛行場移設問題の迷走と日米同盟の空洞化などをみれば、政権交代に裏切られた思いを抱く国民も少なくないだろう。
 外交・安全保障の基軸を共有してこなかった、この国の二大政党制が、いかに問題をはらんでいたか。自民党政治を踏襲しないとした民主党は未熟さを直視し、国益と国民の利益を実現する現実路線に大きく転換することが求められている。
 だが、その民主党の代表選は、不毛な選択ともいえる様相を見せている。
 ばらまき政治の張本人であり、政治とカネの問題で開き直っている小沢一郎前幹事長と、参院選大敗の責任を取らずに政治空白をつくり上げている菅直人首相との一騎打ちの構図は、日本を再生する道をふさいでいる。
 なぜ候補は、この2人だけなのか。とくに、検察審査会で刑事責任の有無が検討されている小沢氏は、候補者としての適格性が疑われる。それぞれの支持勢力は、何の疑問も抱かずに代表選へ臨む愚かさに気付くべきだ。「恩返し」などの発言には耳を疑う。
 多くの失政の一方、予算執行のあり方に迫った事業仕分けは注目を集めた。不十分な知識による独断的な結論や、パフォーマンス先行の印象を与えた点は問題だが、予算の使い方を公開の場で議論する手法は、国民と政治の距離を近づけたともいえる。
しかし、どのような国家戦略に基づいて予算を配分するかという根本は定まっていない。「政治主導」の象徴ともいえる国家戦略室を、菅首相は提言機関に格下げした。国をどうするかを明確にしない限り、この政権の政治主導は空回りを続けるだろう。
 参院選で勝利した自民党も、政権復帰が近づいたとは言い難い。受け皿となるよう信頼回復に全力を挙げるしかない。健全な保守勢力を再結集する核となることに強く期待する。

http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/100830/stt1008300324005-n1.htm
【正論】拓殖大学大学院教授・遠藤浩一 国民に信を問うのが誠実な選択
2010.8.30 03:23

 「政権交代」から1年が経(た)った。(略)1年弱政権を担当させてみて、有権者は民主党に圧倒的多数を与えたことを後悔した。それが参院選結果にはっきりとあらわれた。かくて、ねじれ国会の下、民主党は野党の協力なしには法案を成立させることが困難になった。政権基盤は一気に不安定になってしまった。
 そしていま、民主党では奇妙な現象が起こっている。昨年衆院選のマニフェストの取り扱いをめぐる対立だ。小沢一郎前幹事長・鳩山由紀夫前首相を中心とするマニフェスト原理主義派と菅直人総理などマニフェスト修正主義派が鍔(つば)迫り合いをしているそうな。
 しかし、そもそもこうした対立構図が成立するものだろうか? 参議院で民主党が多数派を形成していない以上、何が何でもマニフェストを実現しようとしても、土台無理な話である。にもかかわらずマニフェストの完全実現を訴えるのは空論でしかない。
 他方菅総理は、衆参1年生議員を集めた会合で「3年間腰をすえてやりたい。3年後にダブル選挙でやればいい」と述べたという(23日)。このまま3年間「ねじれ国会」を続けるという宣言だが、これも政治家として不誠実ではないか。本気で腰をすえて政権を運営しようというのならば、連立の組み替えが求められる。
 党代表選で菅、小沢両派が対決するが、問われているのは、実は政策論争などではなく、政権構想なのである。麻生内閣がねじれ国会における政権構想を示せぬまま政権から追われたことを思いだすがいい。マニフェストを実現するためにも、あるいは今後3年間政権を担い続けるためにも、まずは政策をいかに実現するかという政権構想を示さなければならない。
 民主党内の2派は、いずれも根拠のない論点を打ち出して、対立しているかのように見せかけているだけである。「次の総理大臣」を選ぶ代表選としては、あまりにお粗末な実態ではないか。

≪大連立は自民など保守に危険≫
 ところで、ねじれ国会を打開するための方途の一つとして「大連立」が取り沙汰(ざた)されている。政権を握っている民主党にすれば利点は小さくないが、自民党側に立つと、懸念すべき点がある。
 第1に、仮に大連立が小沢氏に主導されるものになるとするならば、政界再編も同氏がイニシアチブを握ることになる。それでいいのか。第2に、現状で大連立が成ったところで左翼などノイジー・マイノリティーが分不相応に自己主張を通す構造は温存される。第3に、自民党が真に反省せぬまま政権復帰することで、保守政党再建の芽が摘まれてしまいかねない。自民党ないし保守勢力全体にとって、これは危険な選択といわなければならない。
 要するに民主党にとっても自民党にとっても、早期に解散して国民の信を問い直すのが、最も誠実な選択である。その際、民主党は理不尽な再分配重視主義や空疎な国防・安全保障政策など見直すべきは見直さなければならない。他方自民党には分散した保守勢力を糾合して、民主党に対抗しうる受け皿を構築する責任がある。そのとき「自民党」という看板に拘(こだわ)るべきかどうか、今一度真剣に問い直すべきだろう。
 有権者も、昨年の政権交代の意味について自ら真剣に問い直さなければならない。(えんどう こういち)
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韓国保守派が菅首相談話に危惧

2010-08-29 09:44:58 | 国際関係
 日韓併合は、国内の腐敗した事態に手をやいた当時の朝鮮の指導者層と日本の指導者たちが合意して行なったものだった。日本は決して武力で朝鮮を侵略したのではない。そして欧米の植民地政策と異なり、日本は朝鮮で学校をつくり、河川工事をし、植林等を行なった。そのため、併合前と比べて朝鮮では生活が大きく向上し、庶民の多くは喜んでいた。しかし、旧支配階級、すなわち併合前は特権をほしいままにし庶民の生活を顧みなかった貴族・両班(ヤンパン)階層は、それができなくなったため、日本に恨みを抱いていた。とくに戦後、支配層に属していた李承晩が大統領になってから、反日的な姿勢が強くなった。李承晩は日本統治時代の大半を海外で過ごし、日本の統治時代を実際には知らなかったのだが、自身の勢力基盤を築くために反日政策・反日教育を行なった。今日、問題となっている竹島問題も彼が仕掛けたものである。

 今日、反日教育を受けた若い世代の韓国人は、過去の真実を知らずに、為政者に教えられたまま日本に反発している。またわが国では、偏向マスコミの代表である朝日新聞・岩波書店が盛んに自虐的な報道・出版を行っており、国民を惑わせている。NHKも近現代史に関する限り、かなり自虐的である。これは日韓両国民にとって不幸なことである。
 ここにおいて近年、韓国人の中からも日韓併合や日本の統治を評価する人たちが出てきている。呉善花氏、金完燮氏、崔基鎬氏、韓昇助氏等である。とりわけ、崔基鎬氏の本(「日韓併合ーー韓民族を救った『日帝36年』の真実」(祥伝社)等)は、詳細なデータをもとにしており、説得力がある。崔氏は、過去500年以上の朝鮮の歴史がいかに悲惨だったかから書き起こし、日本のお陰で韓国がいかに助けられたかを力説している。彼らが掛け橋となって、歴史の真実が知られ、日韓関係が好転することを願いたい。

 日本統治時代を知る韓国人の中には、日本を悪く言わず、日本に感謝し、日本統治時代を懐かしがる人がいる。そうした人々にとって、日本が朝鮮を植民地支配したと謝罪することは、自分の実体験と合わない行為である。元韓国空軍大佐の崔三然氏が日本のジャーナリストのインタビューに応じた記事が産経新聞に載った。崔氏は、菅首相の談話はかえって日韓の「互いの信頼を失う結果になる」と危惧の念を表わす。
 以下、その記事を転載する。

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●産経新聞 平成22年8月28日

http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/100828/plc1008280701006-n1.htm
【日韓併合談話】日本の謝罪などいらない 韓国保守派の嘆きと憤慨
2010.8.28 07:00

 日韓併合100年にあたっての菅直人首相の談話について、日本統治時代を知る元韓国空軍大佐の崔三然氏(81)がインタビューに応じ、「これは日本の首相としては失格だ。かえって互いの信頼を失う結果になる」と危惧の念を表明した。主なやりとりは次の通り。(聞き手 軍事ジャーナリスト・鍛冶俊樹氏)

――8月10日に菅首相が日韓併合100年にあたっての談話を発表しました。これについての考えは
 「これは日本の首相としては失格ですよ。日本人としての立場を弁えていない。併合から100年、戦後65年も過ぎたのに、今さらどういうポジションでああいうことをしゃべっているか、さっぱりわかりません。もうこれは日本の終末ですね」

――内容的には1995年の村山富市首相談話の繰り返しだとも言われるが
 「いやもっとひどいですよ。村山談話は単なる謝罪であって、そこから共生を目指すともいえる。菅談話は、その次に出て来るものは日韓基本条約の無効ですよ。そもそも植民地というのは15世紀から始まりました。近現代史というのは人類における植民地時代だともいえる。世界中至る所、植民地だらけでした」

――確かに世界史の地図帳を見るとその通りですね
 「アフリカなどは植民地時代が終わっても貧困からなかなか抜け出せない状態です。では植民地から近代的な経済発展を遂げたのはどこですか。韓国と台湾ですよ。ともに日本の植民地だった所です。他に香港とシンガポールがありますが、ここは英国のいわば天領でした。インドは英国の植民地として代表的ですが、インフラが整備されておらず、なかなか経済発展ができなかった。今、インドは経済発展しているといわれますがそれでも1人当たりのGDPは890ドル、識字率も64%に過ぎません」

――韓国と台湾は日本統治時代にインフラが整備されていたと
 「戦前、鉄道、水道、電気などの設備は日本国内と大差なかった。これは諸外国の植民地経営と非常に違うところです。諸外国は植民地からは一方的に搾取するだけでした。日本は国内の税金を植民地のインフラ整備に投入したのです。だから住民の生活水準にも本土とそれほどの差がありませんでした」

――教育はどうでしたか
 「私は日本統治時代の教育も受けました。当時、日本国内で行われていた学校教育と差がありませんでした。また日本の陸軍士官学校には朝鮮人の入学を認めていました。当時の諸外国では自国の陸軍士官学校に植民地の人間の入学を認めたりしませんでした。つまり日本は教育においても差別をしていなかった。当時の諸外国は本国と植民地を明確に差別していました。植民地とは搾取の対象として経営するものであって差別されて当然でした。日本は差別をしないように併合したわけで、いわゆる諸外国の植民地支配とはまったく違っていた」

――諸外国こそ謝罪すべきなのに日本ばかりが謝罪しなければならないのはどういう訳でしょうか
 「今ごろになって植民地だとか侵略だとか言っていますが、これには中国の戦略が背景にあるのです。中国の戦略は日本の再起を不能にし、日本が韓国や台湾と連携するのを阻止することです」

――そういえば日米同盟や米韓同盟はあるのに日韓同盟や日台同盟はありません。日韓などは米軍基地の位置関係からみれば事実上同盟国といっていいほど近接しているのに同盟条約は結ばれていません
 「日韓同盟こそ中国や北朝鮮が最も恐れている同盟です。だからこれを抑制し妨害するために中国は全力を挙げています。それに対して日本は対応を誤っていると言わざるをえません」

――日本が謝罪をしないから両国の溝は埋まらないなどと言っていますが、村山談話以降も日韓関係も日中関係もかえって悪化しました。韓国は竹島の領有化を進めてきましたし、中国も前よりも一層、歴史認識問題を持ち出すようになりました
 「日本人は謝れば、韓国や中国、北朝鮮が許してくれると思い込んでいるようですが、大きな間違いです。はじめから狙いは別の所にありますから、もともと許す気などない。中国の大戦略は日米韓の連携を極力抑え込むことです。だから歴史問題をことさら大きく見せかけて大ぼらを吹く。私が勉強した所ではそのどれも大した問題ではない。たとえば東京裁判のA級戦犯は日本の国内法で赦免されている。赦免された以上、もはや犯罪人ではありません。つまり日本にはA級だろうとB級、C級だろうともはや戦犯はいないのです。にもかかわらず、A級戦犯が合祀(ごうし)されているから靖国神社に行くなと言うのはこじつけです。
 講和というのは過去とけじめをつけることです。日中平和友好条約とか日韓基本条約を結ぶということはこれで過去の問題を清算し仲直りをするという約束であり、過去を蒸し返したりするのはおかしいのです」

――日本政府は韓国への「補償」問題を見直そうとしているようです
 「日韓についていえば、過去のあらゆる補償問題は解決済みです。だから見直す必要などない。ところが日本人は潔癖症だから相手が少しでも文句をいうと、また謝って金を出そうかという話になる」

――潔癖症がかえってあだになっているわけですね
 「日本人の道理とか正義感は大陸ではまったく通用しません」

――具体的にはどういうことでしょう
 「日本人の持っている倫理、正義、道徳、順法精神などは人類普遍の価値であり、とても秀でています。日本国内ではこれらの価値は尊重されよく守られています。ところが日本を一歩外に出ると泥棒や詐欺師がいっぱいですよ。そのことに日本人は気付いていない」

――韓国では、どうですか
 「朝鮮半島はいまだに南北に分断されたままです。つまりいまだに戦争状態です。だから北朝鮮はしきりに韓国に対し政治工作を仕掛けます。そういう状態を日本の政府はどれだけ理解しているのか。そこを理解せずにただ日本が頭を下げても日韓は決して仲良くなれません。日本が頭を下げると日本の体面は丸つぶれになります。大陸や半島では体面やメンツはとても大切なものでこれを失えばどんどん侮辱されます」

――日本では体面とかメンツという言葉はもはや死語ですね
 「日本では頭を下げれば謙虚な人だと尊敬されますが、大陸や半島ではどんどんやられます。結局日本人は内心、韓国人を嫌うようになります。かえって互いの信頼を失う結果になります」

――そういえば最近のことですが、こんな話を聞きました。ある日本人の女性社員ですが、韓国の会社との契約をまとめるのに成功しました。それは良かったのですが、商談が成立した途端、韓国人の男性社員が『日本は過去の問題について謝罪していない。けしからん』とまくしたてたそうです。相手は大事なお客さまですから言い返すわけにもいかず、黙って聞くより仕方がなかったけれど、内心韓国をとても嫌いになったそうです。そのことを年輩の日本人男性に話したところ『だから韓国とは付き合わない方がいいんだ』といわれたそうです
 「それこそまさに中国の思うつぼです。中国の戦略の狙いはそこにあるのですから」

――日本はやたらに頭を下げるべきではないわけですね
 「世界的にみると植民地支配を受けた側には恨みや憎悪もありますが、逆に宗主国に尊敬の念を抱く場合もあります。インド人が英国文化に尊敬の念を抱いたりします。台湾や韓国でも『あの時代はカギも掛けずに夜寝られた』という年輩の人はたくさんいます。しかし若い世代はそんな時代は知りませんから、憎悪の感情だけが先走ってしまう。つまり日本が謝罪するとこうした日韓の根底にある古き良き思い出が消されて、憎悪だけが残るのです。日本だって米国に原爆を落とされ、占領されて米国に対する憎悪の感情はあるでしょう。しかしそんな過去の恨み節ばかり言っていたらどうなりますか。日米関係は悪くなりますよ」

――そういえば最近、米国に原爆投下の謝罪を求める動きがありますね
 「中国はとにかく日本を孤立させようと躍起です。ああいうやり方は結局中国のためにもならないと思いますが、中国は外国を抑え込むことばかり考えていて、自国を改革しようとはしません」

――中国国内にも問題山積なのに、その認識すら危うい感じですね
 「北朝鮮問題でも陰にいるのは中国です。中国は6カ国協議の議長国ですが、この協議で何の成果がありましたか。北朝鮮に核ミサイルを開発する時間と支援を与えただけです。そして北朝鮮が韓国の哨戒艦を撃沈して40人以上の韓国人が犠牲になったのに、中国の反対で国連で制裁も課せられない。こんなやり方をしていたらやがてどこの国も中国を信用しなくなりますよ。こんなやり方はかえって中国の足かせになるのですが、そこを中国は理解できない」

――そういえば米国の中国への対応も変わってきたように感じます。南シナ海でベトナムと合同軍事演習をやり今度は黄海で韓国と合同軍事演習をやると言っています。中国は反発していますね。ついこの間まで中国に気を使っていた米国ですが、ここに来て様変わりです
 「韓国でも実際は中国の脅威をひしひしと感じているのですよ」

――北朝鮮と中国の関係はどうなんでしょうか
 「今北朝鮮を支配している連中は、要するに中国の馬賊・匪賊(ひぞく)ですよ」

――そうなんですか
 「金正日の父親の金日成は戦前、満州人として育ったのです。本名は金聖柱、朝鮮語よりも中国語の方が堪能で、匪賊として荒らしまわっていた。1945年に朝鮮北部を占領したソ連軍によって、すでに抗日の英雄として伝説になっていた金日成将軍に仕立て上げられたのです。つまり偽金日成です。本当の金日成将軍は私たちが少年時代に朝鮮北部でうわさを耳にした人物ですが、当時33歳の若造だった金聖柱のはずはない。本当の金日成は日本の陸軍士官学校を21期で卒業して後に独立運動に転身した金光瑞だといわれています」

――旧ソ連が抗日英雄伝説を利用したわけですね
 「中国にいたチンピラみたいのが今の北朝鮮を支配しているのです。だからまともな政治などできるわけはないし、経済はメチャメチャです。ところが韓国の今の若者の中には北朝鮮にだまされて正しい政権だと信じている者が少なくないのです。嘆かわしい限りです」

――親北派ですね
 「そうです。世論の動向次第では親北派が主導権を握り北朝鮮中心の南北統一もありうる情勢です。もしそうなったら大変なことです。これを阻止するためにも日韓は連携を強めなければいけないと思います」

――今日はありがとうございました

〈崔氏のプロフィル〉
 崔三然(さい・さんぜん) 1928年、朝鮮半島北部の感興生まれ。戦後、韓国空軍に入隊、朝鮮戦争を戦った。大学では英文学、大学院で行政学を専攻。軍の要職を歴任して1971年、空軍大佐で退役。その後、オーディオ部品メーカーの経営に参画。工業商品の品質管理機関役員、潤滑油工業協会副会長を歴任し、世界各国の経済、政治状況を視察し、韓国工業の基盤確立のため尽力した。現在、日韓両国をはじめとする幅広い世界的人材交流に取り組んでいる。

〈聞き手のプロフィル〉
 鍛冶俊樹(かじ・としき) 昭和32年、広島県生まれ。埼玉大学教養学部卒業後、航空自衛隊に幹部候補生として入隊、11年間勤務し、1等空尉で退職後、文筆活動に転身。平成7年、論文「日本の安全保障の現在と未来」が第1回読売論壇新人賞入選。主著に「戦争の常識」「エシュロンと情報戦争」(いずれも文春新書)がある。
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トッドの移民論と日本18

2010-08-29 08:53:53 | 国際関係
●個人主義と集団主義の家族型的基礎

 先に私は、個人主義に対する概念として集団主義という用語を使った。その点について補足する。これは、人類学システムを近代社会の政治の分析にも適用するものとなる。
 トッドは、『移民の運命』で普遍主義/差異主義の対のほか、自由主義/権威主義、平等主義/不平等主義の対を使い、個人主義という概念も使う。個人主義は核家族社会から発生した。この事実は重要である。核家族の親子関係・兄弟関係が、個人主義を生む。個人主義は集団より個人を重視する価値観であり、個人を原理とする思想である。個人の自由と権利を正当化し、その獲得と拡大をめざす。
 個人主義には、家族型が平等主義核家族か絶対核家族かによって違いがある。フランス中心部は、平等主義核家族の社会である。トッドは、そこに生まれた個人主義を、平等主義的個人主義という。私見では、イギリスは絶対核家族が主ゆえ、そこに生まれた個人主義を、自由主義的個人主義と呼ぶことができる。平等主義的個人主義は、自由とともに平等を価値とし、自由主義的個人主義は、自由のみを追求し、不平等には無関心である。より具体的に言えば、自由=平等的個人主義(自由主義的かつ平等主義的な個人主義)と、自由=不平等的個人主義(自由主義的かつ不平等主義的な個人主義)という言い方ができる。
 イギリスの自由=不平等的個人主義は絶対核家族に基づくものであり、徹底した個人主義である。子供は早くより親から自立し、結婚後、親子は別の家族となる。同時に兄弟のつながりも弱い。それゆえ、親族のつながりも弱い。自由競争をよしとし、自己責任を当然とする。
 トッドは、個人主義と対になる反対語を使っていない。直系家族については、統合的と表現する。個人を家族という集団に、よく統合するだろう。統合は、権威の働きによる。直系家族は、主に父権によって家族員が統合される。私は、個人主義に対比して、集団主義という概念を使う。集団主義は、個人より集団を重視する価値観であり、集団を原理とする思想である。集団主義は、家族・民族・国家の団結や利益を追求する。家族における親子の居住関係が、社会における個人主義/集団主義に影響する。結婚後、親子が別居するか、結婚後も親子が同居するかによって、自由か権威かという価値観の違いとなる。その違いが個人主義/集団主義を生む。

●二つの個人主義と二つの集団主義

 上記の私見を、個人主義/集団主義の対比をもとに整理すると、次のようになる。

 個人主義
  自由=平等的個人主義  フランス 平等主義核家族
  自由=不平等的個人主義 イギリス・アメリカ 絶対核家族
 集団主義
  権威=不平等的集団主義 ドイツ・日本 直系家族
  権威=平等的集団主義  ロシア・中国 共同体家族

 これを自由主義/権威主義の対比をもとに整理すると、次のようになる。
 
 自由主義の中で個人主義が発達
  自由=平等的個人主義
  自由=不平等的個人主義
 権威主義の中で集団主義が発達
  権威=不平等的集団主義
  権威=平等的集団主義

 トッドは、『新ヨーロッパ大全』で近代ヨーロッパに現れたイデオロギーが家族制度に影響されていることを示した。四つの家族型が生んだイデオロギーを、社会主義、民族主義、反動的宗教の三つに分けて詳細に分析している。詳細は、本稿の目的に外れるので、立ち入らない。なお、私の観点から近代西洋思想史を見ると、自由=不平等的個人主義のイギリスにはロック、自由=平等的個人主義のフランスにはルソー、権威=不平等的集団主義のドイツにはヘーゲル、権威=平等的な集団主義のロシアにはレーニンが出た。それぞれの家族型に典型的な思想だと思う。

 以上で、移民問題のための人類学の基礎知識、及び若干の私見の記述を終える。続いて、『移民の運命』の内容に入りたい。ところどころにトッド特有の概念が出てくるが、確認を要する時は、ここまでの記述を参照してほしい。

次回に続く。
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「『太陽の時代』のギガトレンド」をアップ

2010-08-28 08:39:08 | 経済
 最近連載した「『太陽の時代』のギガトレンド」を編集して、私のサイトに掲載しました。通してお読みになりたい方は、次のページへどうぞ。

■「太陽の時代」のギガトレンド~21世紀の産業革命を促進しよう
http://homepage2.nifty.com/khosokawa/opinion13g.htm

 目次は次の通りです。

 はじめに~世界経済危機から「太陽の時代」へ
 第1章 島田晴雄氏は「太陽経済の時代」を告げる
 第2章 山崎養世氏が「太陽経済」を提唱
 第3章 村沢義久氏の呼びかける「太陽エネルギー革命」
 第4章 太陽が照らす共存共栄の道
 結びに~日本からアジア、世界へ
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小沢氏が出る~民主党代表選

2010-08-27 10:38:24 | 時事
 小沢一郎氏が民主党代表選に出る。6月に鳩山首相、小沢幹事長(当時)が「政治とカネ」の問題等でダブル辞任した。首相は菅直人氏に替わり、菅氏は「脱小沢」を図り、小沢氏は要職から外れた。これに対し、私は小沢氏は巻き返しに努め、9月の代表選に自分が出るか、傀儡を立てると予測してきた。結果、小沢氏自身が出馬することになった。
 「政治とカネ」の問題は、疑惑に包まれたままである。小沢氏は、国民に説明責任を果たしていない。検察審査会は審査を続けている。鳩山氏、小沢氏という民主党の最高幹部が、「政治とカネ」の問題で、国民の政治に対する信頼を損ねた。失われた信頼の回復をせずして、クリーンな政治など実現できるわけがない。
 菅首相は、鳩山氏、小沢氏を問責していない。その点で菅氏は、政治倫理において同程度の意識を持った政治家である。また菅首相は、最近の円高・株安への無為無策、普天間基地問題での進展のなさ等を見ても、到底わが国の舵取りのできる政治家ではない。さらに党内から反発を買い、小沢氏から挑戦を受けるに至った。小沢支持の国会議員の発言には、菅氏・仙谷氏らに冷遇されていることへの私的な怨恨、感情的反発が色濃い。国民不在の党内権力抗争に堕している。
 
 代表選後の展開については、次のようなシナリオが考えられる。

<菅氏が勝利した場合>
 シナリオ1: 脱小沢路線の堅持、小沢グループは党離脱、民主党分裂
 シナリオ2: 挙党態勢、小沢氏は党要職に復帰、小沢グループを厚遇

<小沢氏が勝利した場合>
 シナリオ3: 小沢氏が首相に、小沢独裁体制の始動、反小沢の一部勢力が党離脱
 シナリオ4: 小沢氏が首相に、挙党態勢、菅氏支持グループを厚遇
 シナリオ5: 小沢氏は党代表、首相は小沢氏の傀儡を擁立、反小沢の一部勢力が党離脱
 シナリオ6: 小沢氏は党代表、他党との「大連立」を図る、首相は他党から出す(みんなの党・渡辺氏を首相、新党改革・舛添氏を入閣、自民党リベラル派を抱き込み等)

 私としては、菅氏が勝利の場合はシナリオ2、小沢氏が勝利の場合はシナリオ5が最もあり得ると思う。小沢氏が勝利の場合は、シナリオ6の可能性もあり得る。
 どのシナリオで展開しても、日本及び日本国民にとって、不幸な状況であることは変わらない。国民の支持率はシナリオ3・4が最低となるだろう。国会運営は混乱し、解散総選挙で政権再交代の可能性が出てくるだろう。しかし、民主党に替わって政権の軸になる政党がまだ存在しないという苦境に、わが国はある。
 わが国の政治は、過去約20年間、小沢一郎という政治家を中心に、親小沢VS反小沢という構図で展開してきた。その構図が終了しない限り、真っ当な政治は行われない。私はそう思っている。
 小沢氏を不世出の大政治家であり、小沢氏でなければ日本の改革はできないと評価する人がいるが、買いかぶりである。小沢氏は著書「日本改造計画」に実行すべき計画を掲げた。ところが、いつの間にか政策を変え、見解を改めている。一貫性がなく、確かな見識がない。政権を取るために、選挙目当てで変貌しているだけである。労働組合や在日韓国人団体に擦り寄っている。アメリカに対抗し、日本の自立を進めるナショナリストだと見る識者(副島隆彦氏等)もいるが、小沢氏は、日本人に日本精神の復興を進める政治家ではない。小沢氏は韓国に行って日本人を軽蔑する発言をし、中国共産党に対しては迎合を隠さない。天皇陛下に特例会見をゴリ押しし、自分の権力を中国にアピールすることに政治利用した。そういう政治家のどこがナショナリストか。
 今回の民主党代表選がどういう結果となり、その後、どういう展開になるかわからないが、小沢一郎という政治家の実態が国民に明らかにされ、日本が「脱小沢」すべき時に来ていると私は思う。

 今朝の全国紙は、4紙とも社説で小沢氏代表選出馬について書いた。
 読売のみが「日本の針路を競う代表選に」として、親小沢の論調。背後にあるのは、民主・自民の「大連立」を目指すナベツネの意向だろう。他の3紙は小沢氏の出馬に批判的。産経は小沢氏を「国の指導者に不適格」と最も強く批判。毎日は小沢氏の出馬は「大義欠く」とし、朝日は「あいた口がふさがらない」として共に批判的。

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●読売新聞 平成22年8月27日

http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20100826-OYT1T01194.htm
小沢氏出馬表明 日本の針路を競う代表選に(8月27日付・読売社説)

 民主党代表選は、再選をめざす菅首相と小沢一郎前幹事長との、事実上の一騎打ちになることが固まった。
 与党第1党の党首選は首相選びに直結する。「脱小沢」か「親小沢」かという権力争奪の多数派工作に堕することなく、あるべき日本の針路を論じ合って雌雄を決してほしい。

◆分裂、政界再編の芽も◆
 小沢氏は、9月1日告示、14日投開票の党代表選に出馬する意向を表明した。
 党内の幅広い支持を得られることを前提に出馬を検討していた小沢氏は、鳩山前首相の支持をとりつけた上で立候補に踏み切った。だが、支持の大勢が固まっているわけではない。
 今回の対決の背景には、小沢氏と、「脱小沢」を掲げる菅首相や仙谷官房長官、枝野幹事長らとの強い軋轢(あつれき)がある。
 鳩山氏は、党の亀裂が深まる事態を避けるため、菅首相と小沢氏との仲介に動いた。だが、鳩山氏が小沢氏の要職起用を含む挙党態勢の構築を求めたのに対して、菅首相は難色を示した。
 小沢氏は反発し、菅首相の無投票再選を容認すれば、党内で孤立しかねず、窮余の決断になったものとみられる。
 挙党態勢を条件に「菅氏支持」を表明していた鳩山氏は、一転して「小沢氏支持」に変わった。参院選前、政局混迷の責任をとってともに辞任した小沢氏を代表に推すのは、納得し難い行動だ。
 鳩山氏の調停失敗を受け、小沢氏が正面突破を図ったことで、代表選は党を二分する争いになる見込みだ。党分裂含みの展開も予想され、今後、野党を巻き込んだ政界再編の動きも出てこよう。

◆「政治とカネ」説明を◆
 小沢支持グループは、参院選の敗北が衆院選の政権公約(マニフェスト)から逸脱した結果だとして、「原点回帰」を唱えている。菅首相の消費税率引き上げ検討発言も批判してきた。
 しかし、子ども手当などのバラマキ政策は、当初の極めて甘い財源見通しにより、公約通りに実行できないのは明らかだ。
 小沢氏が原点回帰路線に立つなら、公約実施に向けた現実的な財源と、工程表を早急に提示することが肝要だ。
 小沢氏がなすべきことは、それだけではない。「政治とカネ」の問題について、きちんと説明責任を果たすことが欠かせない。
 自らの資金管理団体の土地購入をめぐる政治資金規正法違反事件について、小沢氏は先の通常国会では、衆院政治倫理審査会で弁明せず、証人喚問からも逃れた。
 しかし、参院選の結果、与党が過半数を失ったことによる「衆参ねじれ国会」の下で、野党側の厳しい追及を乗り切っていくことは極めて難しい。
 今秋、検察審査会が再び、「起訴すべき」と議決すれば、本来なら小沢氏の強制起訴は免れない。ただ、憲法には「国務大臣は在任中、総理大臣の同意がなければ訴追されない」との規定がある。
 菅支持派からは「小沢氏は起訴を逃れるため、首相をめざすのではないか」との声も聞かれる。
 実際、「起訴議決」の場合、小沢氏はどう対処するのか。事前に明らかにする責任もあろう。
 一方、菅首相は、小沢氏の出馬が確定したことを、重く受け止めなければならない。
 菅首相以下、民主党執行部は、参院選敗北について明確な責任をとらず、敗因についても十分な総括をしてこなかった。これらが党内に不満を醸成した。

◆政治空白の余裕はない◆
 党運営や政策遂行をめぐる首相の指導力や判断力に、民主党の多くの議員が不安を抱いていることも否定できない。
 最近の円高や株安など、経済危機への対応一つとっても、菅内閣の動きは鈍い。代表選の最中にあっても、首相は国政を預かる責任を果たさなければならない。
 首相は、政権公約の修正を図ろうとするなら、政権交代以降の政策を再点検し、今後、何を変え、何を継続するのかを明確にすることが大事だ。
 消費税率の引き上げ問題も、右顧左眄(うこさべん)せず、所信を正面から訴えるべきである。
 現在の民主党は2003年、当時の菅民主党代表と小沢自由党党首が、政権交代を旗印に、両党を合併して生まれた。
 当初から「選挙互助会」とか、「理念なき合併」との指摘があった。憲法改正や安保政策、消費税問題など党の基本政策は、今もって確立していない。これが、政権担当政党として政策を進める上の障害になっている。
 この際、両氏は、党分裂や政界再編に至る可能性に臆することなく、党の基本政策について徹底した議論を展開すべきだ。
(2010年8月27日01時23分 読売新聞)

●産経新聞 平成22年8月27日

http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/100827/stt1008270317008-n1.htm
【主張】小沢氏出馬 国の指導者に不適格だ 「政治とカネ」で信頼失った
2010.8.27 03:17

 「とことんクリーンな民主党」を実現すると鳩山由紀夫前首相が、小沢一郎前幹事長とともに身を引いてから2カ月余りで再び小沢氏を担ぎ出す所業には、開いた口がふさがらない。
 小沢氏は東京第5検察審査会から「起訴相当」の議決を受け、再度同じ議決が出れば強制起訴される。一連の疑惑を晴らそうとせず、国政の最高指導者を目指す姿には、強い疑問を呈さざるを得ない。25日の講演でモラルの破綻(はたん)に言及したが、信なくば政治は成り立たない。日本の最高指導者として不適格なことは明白である。

■「訴追逃れ」では論外
 代表選は小沢氏と菅直人首相の一騎打ちになる情勢だ。首相も参院選で大敗したのに、なぜ続投するのか。説得力ある説明に欠ける。さらに両氏以外の選択肢もなさそうな点に、日本が滅亡の淵(ふち)に立つ窮状が示されている。
 小沢氏は野党の再三の証人喚問要求を拒み、説明責任を果たしてこなかった。役職辞任というけじめはつけても議員辞職に相当するとの厳しい批判があるなか、政治的・道義的責任を取り切ったとは言い難い。そのうえ刑事責任の有無を今も審査されている。
 小沢氏の出馬について、強制起訴を逃れることが目的ではないか、との指摘が党内外にある。憲法75条が「国務大臣は首相の同意がなければ訴追されない」と定めていることから、首相になることで「政治とカネ」の問題に決着をつけようというものだ。
 だが、憲法は「すべて国民は法の下に平等」(14条)ともうたっている。そのような意図を疑われること自体、為政者たる資格はないだろう。
 小沢氏サイドから「仮に首相になったとしても東京地検特捜部の再聴取に応じる」との考え方が示されているが、そもそも捜査の対象となる人物を首相に押し立てること自体、理解しがたい。
 小沢氏が中央突破の姿勢を貫こうとすることは、法治制度の根幹を揺るがしかねない。小沢氏とすべての民主党議員が、はっきりと認識すべき点だ。
 小沢氏は出馬を固めた理由の一つに、首相が挙党態勢作りを拒否したことを挙げた。「小沢氏はしばらく静かにしていた方がいい」と述べた首相が、党人事などを通じて実際に「脱小沢」の姿勢をとったことへの不満である。
 小沢氏側の意向を鳩山氏が菅首相に伝えたものの受け入れられず、代表選での対決に踏み切った。このような主導権争いや政治的地位を保つための権力闘争は「私闘」ともいえ、情けない。
 昭和60年、衆院議院運営委員長だった小沢氏は政治倫理審査会の「生みの親」だ。同時に政治倫理綱領を「疑惑をもたれた場合にはみずから真摯(しんし)な態度をもって疑惑を解明」すると定めた。平成5年の著書「日本改造計画」では、政治資金規正法の違反者に対して「言い逃れを封じるための連座制の強化」などを挙げ、規正法改正を実現してきた。
 その小沢氏が国会で説明もせず、規正法の網を巧みにすり抜けているのでは、国民の政治不信が強まるのは当然だ。

■早急に国民の信問え
 密室談合による調整を進めてきた鳩山氏の行動も、あきれ果てる。鳩山氏は母親からの巨額の提供資金の取り扱いをめぐる疑惑を招き、その使途に関する説明をまったく果たしていない。「政治とカネ」で国民の信を失った当事者だ。首相退陣後は政界を引退すると述べたこともあるが、一体どうなったのか。
 日本はいま、内政、外交ともに国難ともいえる状況に直面している。経済面では急速な円高・株安への対応で、政府はなすすべもない。さらに、中国の軍事力の強大化が日本周辺で脅威になっているにもかかわらず、米軍普天間飛行場移設問題の解決はいまだめどが立っていない。日米同盟関係の空洞化は、日本の平和と安全を危険にさらしている。
 党内の権力闘争に血道を上げている状況ではない。参院選での敗北以降、責任を取らず、けじめもつけようとしない菅首相が、2カ月以上にわたる政治空白を作っている。その政治責任は重い。
 小沢、鳩山、菅3氏による政権たらい回しと無責任な対応は許されない。だれが民主党代表となり、首相になっても早急に国民の信を問うことを強く求めたい。

●毎日新聞 平成22年8月27日

http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20100827k0000m070120000c.html
社説:民主党代表選 大義欠く小沢氏の出馬

 党分裂の可能性もはらむ、重大な岐路である。9月の民主党代表選は動向が焦点となっていた小沢一郎前幹事長が出馬を表明、続投を目指す菅直人首相との全面対決が確実な情勢になった。
 最大グループを率いる小沢氏の出馬で党は二分されそうだが「政治とカネ」の問題を抱えたまま、首相の「脱小沢」路線に反発しての出馬は大義を欠くと言わざるを得ない。政権交代を実現したさきの衆院選からわずか1年、むき出しの闘争が党を分裂状態に追い込み、経済が混迷を深める中で政治の混乱に一層、拍車をかける懸念は深刻である。

◇党分裂の危機はらむ
 つい2カ月半前のあの光景はいったい何だったのだろう。小沢氏と鳩山由紀夫前首相は「政治とカネ」の問題をめぐる政権混乱の責任を取り、「クリーンな政治」の実現に向け、互いに手を取り合って政権の表舞台から去ったはずではないか。
 ところがその2人が会談し、小沢氏は「不肖の身であるが出馬の決意をした」と鳩山氏の支援を出馬の理由として語り、鳩山氏は「小沢氏は(政治とカネの)問題を背負いながらも国のため命をかけたいと決断をした」と持ち上げた。多くの国民の目に異様に映ったに違いない。
 党首選びを機に実力者が名乗りを上げ、政策論争を通じ競うことは本来、望ましい姿だ。しかし、事実上の首相選びと重なる今代表選に関しては、小沢氏の出馬が抱える問題は大きいと言わざるを得ない。
 小沢氏の資金管理団体による土地購入をめぐる政治資金規正法違反事件は、まだ決着していない。この問題で小沢氏による国会での説明は一度も行われておらず、政治的な説明責任が果たされたとは到底、言えない状況である。
 しかも、小沢氏自身を東京第5検察審査会が一度「起訴相当」と議決しており、2度目の議決次第では強制起訴される可能性がある。憲法の規定により閣僚の訴追(起訴)には首相の同意が必要とされ、首相の起訴も自身の同意が必要とみられる。「推定無罪」が原則とはいえ、こうした問題に直面しかねない小沢氏は首相候補として適格性が問われる。各種世論調査で小沢氏が要職に就くことに世論の風当たりがなお強いことは当然である。
 小沢氏擁立に至るまでの、かつての自民党に勝るとも劣らない国民不在の調整ぶりも問題だ。鳩山氏や小沢氏を支持するグループは「挙党態勢」の構築を首相らに求めたが、要するに幹事長人事などを通じての「脱小沢」路線の転換要求である。
 小沢、鳩山氏は衆院選公約(マニフェスト)修正などをめぐる首相の対応に不満を募らせていたというが、議論する機会はいくらでもあったはずだ。結局、このまま党中枢から排除される危機感から小沢氏が権力闘争に踏み切り、それを鳩山氏が後押ししたのが実態ではないか。
 軽井沢で開いたグループの会合に小沢氏を招くなど、出馬に至る過程で大きな役割を果たしたのは鳩山氏だ。首相退陣だけでなく一度は今期限りの議員引退まで表明しながら菅、小沢両氏の仲介役として動き、「脱小沢」見直しが首相に拒まれると小沢氏支援に回った。一連の言動はあまりに節度を欠いている。

◇競うべきは政策だ
 選挙戦は党を二分する激しいものとなる。小沢氏自身を対立軸とする戦いが泥沼化した場合、仮に選挙で勝敗を決しても修復できないしこりが残り、党分裂や解体の過程に向かう可能性は否定できない。財政危機が深刻な中で急激な円高、株安で経済が動揺するかつてない厳しい状況に日本は追い込まれている。そんな中で政治の混乱が加速し、限られた貴重な時間が空費されるならば、政治の自殺行為に等しい。
 混乱を招いた菅首相の責任は重大である。「脱小沢」路線を堅持したことは理解できるが、そもそも参院選の敗北後、政権を立て直す方向を明確に示さなかったことが小沢氏擁立の動きを加速した側面がある。
 今代表選では党員・サポーター票も大きな比重を占める。首相は財政再建、社会保障の再構築に向けたビジョンはもちろん、マニフェストのどの部分を維持し、見直すかの方向性を勇気を持って語る必要がある。財務省主導となってきた政権運営、「脱官僚」路線の見直しにみられる改革マインドの後退についても真剣な再点検を迫られよう。
 一方で、小沢氏も出馬するのであれば、自身の「政治とカネ」をめぐる問題について最低限、国民に改めて説明すべきだ。マニフェスト順守など原点回帰を訴えるにしても、どう財源を捻出(ねんしゅつ)するかを具体的に語らねばならない。仮に「小沢首相」が誕生した場合、衆院解散で民意を改めて問うことが筋である。
 政権交代の果実よりも混乱が目立つ中、首相、小沢氏、鳩山氏という新鮮味に乏しい3氏が主役を演じた抗争劇に国民の目は冷ややかだろう。政策不在の多数派工作が過熱すれば失望感はいよいよ深まり、党の政権担当能力への疑問も強まろう。民主党のみならず、日本政治が転落の間際にある中での代表選であるという自覚を強く求めたい。

●朝日新聞 平成22年8月27日

http://www.asahi.com/paper/editorial.html#Edit1
小沢氏出馬へ―あいた口がふさがらない

 どうしてここまで民意とかけはなれたことができるのか。多くの国民が、あぜんとしているに違いない。
 民主党の小沢一郎前幹事長が、党代表選に立候補する意向を表明した。
 政治とカネの問題で「責任を痛感した」と、幹事長を辞して3カ月もたっていない。この間、小沢氏は問題にけじめをつけたのか。答えは否である。
 いまだ国会で説明もせず、検察審査会で起訴相当の議決を受け、2度目の議決を待つ立場にある。
 鳩山由紀夫前首相にも、あきれる。小沢氏率いる自由党との合併の経緯から、この代表選で小沢氏を支持することが「大義だ」と語った。「互いに責めを果たす」とダブル辞任したことを、もう忘れたのか。
 二人のこのありさまは非常識を通り越して、こっけいですらある。
 民主党代表はすなわち首相である。党内の多数派工作に成功し、「小沢政権」が誕生しても、世論の支持のない政権運営は困難を極めるだろう。
 党内でさえ視線は厳しい。憲法の規定で、国務大臣は在任中、首相が同意しない限り訴追されない。このため「起訴逃れ」を狙った立候補ではないかという批判が出るほどだ。政治とカネの問題をあいまいにしたままでは、国会運営も行き詰まるに違いない。
 より重大な問題も指摘しなければならない。
 自民党は小泉政権後、総選挙を経ずに1年交代で首相を3人も取りかえた。それを厳しく批判して政権交代に結びつけたのは、民主党である。
 今回、もし小沢首相が誕生すれば、わずか約1年で3人目の首相となる。「政権たらい回し」批判はいよいよ民主党に跳ね返ってくるだろう。より悪質なのはどちらか。有権者にどう申し開きをするのか。
 それとも小沢氏は代表選に勝っても負けても、党分裂といった荒業もいとわずに大がかりな政界再編を仕掛けようとしているのだろうか。
 金権腐敗政治と決別し、2大政党による政権交代のある政治、有権者が直接政権を選ぶ政治を実現する――。そんな政治改革の動きの中心に、小沢、鳩山両氏はいた。20年余の歳月を費やし、ようやく目標を達成したと思ったら、同じ二人がそれを台無しにしかねないことをしようとしている。
 ほぼ1年前、新しい政治が始まることを期待して有権者は一票を投じた。その思いを踏みにじるにもほどがあるのではないか。しょせん民主党も同じ穴のむじな、古い政治の体現者だったか――。政党政治自体への冷笑がさらに深まっては取り返しがつかない。
 代表選をそんな場にしてはならない。有権者は政権交代に何を託したのか、根本から論じ直し、古い政治を乗り越える機会にしなければならない。
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関連掲示
・拙稿「小沢流に国民は盲従しない」
http://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/d/20100216
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「太陽の時代」のギガトレンド5

2010-08-27 08:50:27 | 経済
 最終回。

●太陽エネルギーの活用は、日本が世界に貢献する道

 日中印の共存共栄の道は、日本が現在抱えている諸問題の解決にもなると山崎氏は述べる。
 「日本には優れた技術、企業、社会制度があります。その一方で、国土と資源には恵まれず、少子高齢化で人口が減ります。社会は安定していますが、活力がありません。中国とインドは高い経済成長を続け、人口も国土も巨大です。その一方で、農村は貧しく、格差が広がり、さまざまな社会制度が未整備です。中印両国が不安定になれば、アジアの隣人である日本はもろに影響を受けます。このように日本と中印両国は対照的です。それだけに、協力すれば、弱点を補い、強みを生かす共存共栄関係になりうるのです」。そして、「お互いに困った問題を解決することがビジネスにつながる、この関係が築ければ日中印の三角形が世界経済の繁栄の軸になるでしょう」と。
 そして、アジアへの開国を「第三の開国」と呼ぶ山崎氏は、次のように主張する。
 「『第三の開国』を成功させれば、たとえ人口が減り、高齢化が進んで国内市場が縮小していったとしても、日本はその悪影響を跳ね除け、国家として安定的な成長軌道に乗っていけるのです。そしてそれによって中国やインド、アジア全域、さらに人類そのものが、成長の限界を乗り越えて未来に存続できるようになるのです」と。
 私が山崎氏の所論において最も注目するのは、「太陽経済」の実現は日中印の共存共栄だけでなく、人類全体のためにもなるという点である。
 「中国とインドの抱えているエネルギー、資源、環境、格差問題を解決することは、二つの国だけの話ではなく、人類全体の課題を解決する道でもあります。人類の生存の危機を救う知恵を、日本から世界に提供していく。(略)アジアの国々とともにその経済、その社会を変えていくことによって、人類全ての方向を変えていくのです」と山崎氏は述べる。「日本のため、中国のため、インドのため、それが日中印のためになり、人類のためになる」というわけである。これは日本自体が生き延びるための戦略でもある。
 「世界の人々が望んでやまない人類文明の危機への解決策を、優れた技術やそれをより効果的にする『すり合わせ力』によって供給していくことこそ、21世紀における日本の生存戦略といえるでしょう。アジアの経済大国がお互いに利益のある対等な枠組みをつくり、それによって自分たちだけでなく世界全体に、安定的に持続する国際関係を構築していく。孤立せず、多くの仲間を得、最終的に正しいことをお互いに追求していく。それが世界にとっての利益となり、日本にとっての利益となっていくのです」と山崎氏は説く。
 「世界中の人たちが生きるのに十分なエネルギーと食べ物を得られるよう、人々の人権が守られ、人間性が守られるよう、日本が貢献していく。日本経済の新たな成長の原動力はそこから生まれてきます」と、
 繰り返しになるが、山崎氏は「太陽経済」に移行する21世紀の世界の中で、日本が「『第三の開国』を成功させれば、たとえ人口が減り、高齢化が進んで国内市場が縮小していったとしても、日本はその悪影響を跳ね除け、国家として安定的な成長軌道に乗っていけるのです。そしてそれによって中国やインド、アジア全域、さらに人類そのものが、成長の限界を乗り越えて未来に存続できるようになるのです」と強調するるのである。
 以上紹介した山崎氏の意見と提案は、示唆に富むものと思う。先に書いたように、私は、「21世紀は、日本を中心として東洋・アジアの文明が興隆する」「世界平和の実現のためには、日中の協力が不可欠」「中国の環境問題を解決できなければ、人類は自滅に至る」「中国の改革には、民主化とともに伝統的な思想・文化の復興が必要」「日本は、中国共産党に追従せず、インドへの協力・連携を拡大すべし」「日本人が日本精神に目覚めることに、日本と人類の存亡がかかっている」等を持論とする。
 日本の現状、中国の体質、中印を含むBRICSの動向、アメリカの余力等、検討すべき点はいろいろある。しかし、大局的な観点に立てば、太陽エネルギーの活用によって、日本は生き延びる戦略を立てることができ、かつアジア、そして世界に貢献することができる。太陽が日本を照らし、共存共栄の道へと導いているのである。

●結びに~日本からアジア、世界へ

 日本は戦後、アメリカの価値観を押し付けられ、西洋文明を模倣して物質的な繁栄を追い求めてきた。敗戦によるドン底から復興し、高度経済成長を成し遂げた。しかし、政治的・軍事的にアメリカに従属し、主権と国防を制限されたままの日本は、アメリカによって金融的にも従属させられた。仕掛けられたバブルによって経済成長を挫かれ、深刻な不況に陥った。さらに1990年代後半から、アメリカの圧力のもと、新自由主義、市場原理主義を導入した。2001年(平成13年)4月に発足した小泉内閣は、構造改革を進めることにより、日本の経済を悪化させ、同時に日本の社会を悪化させた。家庭・学校・企業・地域で、人と人の信頼関係が壊れ、悲惨な事件が多発している。こうした日本を、世界経済危機が襲った。世界各国と同じくわが国も大きな打撃を受けた。
 ここにおいて、ようやくわが国のあり方が見直されるようになった。そして、日本的な価値観の再評価が行なわれつつある。日本の家庭・学校・企業・社会を立て直すには、日本的な価値観を取り戻し、人と人、人と自然の調和を再構築しなければならない。
 エネルギー面においては、わが国においても、石油を中心とした化石燃料に依存した産業のあり方を改めようとする動きが活発になっている。日本は、1975年(昭和50年)の第1次石油危機以降、世界最先端の省エネ技術を開発し、また環境を汚染しないクリーン・エネルギーの研究にも取り組んだ。その時代の日本人の努力が、いよいよ実を結ぶ時を迎えている。
 人類の文明は、西洋から東洋へと中心を移動しつつある。欧米諸国は、長期的に衰退に向かい、アジア諸国が興隆している。この文明の地理的変化の中で、日本は、固有の文明を発揮し、東洋・アジアの隆盛を人類全体の調和と発展に役立つように仕向けていく役割がある。日本にとって、太陽エネルギーの活用とそれによるアジア、そして世界の共存共栄は、実現すべき大きな課題である。
 「太陽の時代」が始まっている。
 「日の丸」を国旗とする日本から、新しい人類の文明が生まれようとしている。わが国は政府・国民を挙げて、「太陽の時代」のギガトレンドを押し進めていくべきである。(了)
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「太陽の時代」のギガトレンド4

2010-08-26 10:13:03 | 経済
●日中印の共存共栄を

 先に触れた山崎養世氏は、著書『日本「復活」の最終シナリオ 「太陽経済」を主導せよ!』で、太陽経済の実現を目指すだけでなく、アメリカからアジアへと世界経済の重心が移動する潮流をとらえ、日本は「日中印の共存共栄関係を作れ」と主張している。
 私は、「21世紀は、日本を中心として東洋・アジアの文明が興隆する」「世界平和の実現のためには、日中の協力が不可欠」「中国の環境問題を解決できなければ、人類は自滅に至る」「中国の改革には、民主化とともに伝統的な思想・文化の復興が必要」「日本は、中国共産党に追従せず、インドへの協力・連携を拡大すべし」「日本人が日本精神に目覚めることに、日本と人類の存亡がかかっている」等を持論とする。
 それゆえ、山崎氏の「日中印の共存共栄関係を作れ」という主張にも注目している。氏の『日本「復活」の最終シナリオ 「太陽経済」を主導せよ!』から該当する部分を抽出し、編集を加えながら紹介したい。
 まず山崎氏は、日本の将来を次のように予測する。
 「日本では少子高齢化が進み、今後、人口が減少していきます」。このままでは国内市場は縮小の一途。企業は海外に出て国内の産業は空洞化し、雇用が失われる。貿易黒字はなくなり、税収も落ち込む。「食糧やエネルギーの自給率が低いままに経済が衰えれば、食糧や資源を輸入できなくなって日本人は生きていけなくなります」と。
 そこで山崎氏は、日本人が生き延びていくためには、第一に「戦後のアメリカ一辺倒の経済システムを根本的に変革しなくてはならない」と言う。
 「明治維新は西洋への開国でした。第2次大戦後はアメリカに開国して日本は発展しました。いまはアジアに向けた『第三の開国』が必要です。日本は戦後営々として築いてきたアメリカ中心の経済体制を根底から改め、目をこれから世界経済の中心となるアジアに向け直さなければなりません」「それをやらない限り、日本は次の100年を生きていくことができないでしょう。逆にそれをすれば、いまは停滞している日本の社会と経済に新たな成長と飛躍が始まるでしょう」として、山崎氏は「第三の開国」を提唱する。
 アジアへの開国と氏が言うとき、主たる対象は、中国とインドである。山崎氏は言う。
 「これからの世界経済に占めるアメリカ、ヨーロッパのシェアは低下し、代わって伸びていくのは、中国・インドというアジアの大国と予想されます」「ところが、中国やインドの経済成長も、実は大きな危機に直面しているのです。それは資源とエネルギー、さらには、水と食糧の限界です」「中国やインドは多くの問題を抱え、変革を必要としています。最大の問題は(略)エネルギー、環境、食糧、水、そして格差解消です」と。
 たとえば、「中国が日本やアメリカと同じ程度の自動車保有率に達したら、今の世界の石油産出高では、それだけで足りなくなってしまう」。だから、中国が石油依存の経済に猛進すれば、世界全体が石油危機に陥ることになる。同時にそれは、地球環境を格段と悪化させることにもなるだろう。
 山崎氏は、中国の動向について、次のように書く。中国では、「エネルギー価格の高騰に対する省エネ技術、鉱物資源逼迫に対するリサイクル技術、自然破壊に対する環境技術、さらにアメリカ型の格差容認ではなく、一億総中流社会を実現した政治と経済のシステム。そうした日本の得意とする分野に焦点が当たり始めているのです」「工業化のため『日本に学べ』を合言葉にしていた1980年代のように、中国にとって日本が必要である時代が戻ってきたのです」と。
 インドもまた日本をこれまで以上に必要とするようになるだろう。産業の発達による急速な経済成長は、日本が直面してきたのと同じ課題を、その国に投げかけるからである。
 山崎氏は言う。「中国・インドを中心として新興国が世界の経済を支える新しい時代に、日本は真に必要とされる国家にならなければなりません」「アジアの大国がこれらの問題の解決に取り組む中で、その力になっていくことが巨大なビジネスを生み、日本の安全保障も確保してくれる。つまり日本と日本人の生存につながっていく」と。
 そして、日本は中国・インドから真に必要とされる国になるには、太陽エネルギーの活用を措いてない。山崎氏の説く「太陽経済」の実現が、日中印の共存共栄を可能にすると山崎氏は洞察する。
 「太陽経済の時代にはおそらくアジア諸国、中でも日中印の三国が共同主役になれると思います。日本が技術やノウハウを提供し、中国とインドで実用化され普及する、30億人の人口を抱える広大なアジア世界が主役となる経済なのです」
 「太陽経済を日中印の共存共栄関係の基軸とし、中国やインドに不足している技術やノウハウ、社会保障などの社会制度も含めて、日本が中印に提供したり、日中印で共同開発する。それによって、中国とインドの高度経済成長を助け、日本自身の持続的経済成長にもつながる」
 だから、「今こそ、アジア世界の一員として、日本は持続可能な共存共栄モデルを築いていかねばなりません」と山崎氏は主張する。

 次回に続く。

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「太陽の時代」のギガトレンド3

2010-08-25 08:44:54 | 経済
●村沢義久氏の呼びかける「太陽エネルギー革命」

 山崎養世氏が「太陽経済」を主唱する一方、太陽光発電と電気の新技術による「太陽エネルギー革命」を提唱しているのが、村沢義久氏である。村沢氏は経営学者、環境学者である。山崎氏と村沢氏の主張は、かなり重なり合っている。山崎氏は経済政策を多く提案し、村沢氏は科学技術的な検討結果を提示している。両氏が示す方向性は、同一である。私はそれを「太陽の時代」へ、と称する。
 次に村沢氏の著書『日本経済の勝ち方 太陽エネルギー革命』(文春新書、2009年3月刊)から、氏の提言の要旨を紹介する。
村沢氏は、これまでの文明を「燃やす文明」ととらえる。
 「我々のこれまでの文明は、CO2や有害物質を撒き散らし、資源を枯渇させる文明であった。その原動力となったのは、1700年代末から1800年代半ばに起こった産業革命であった。その本質は『化石燃料革命』であり、それは人類が過去100万年続けてきた『火を使う文明』すなわち『燃やす文明』の集大成であった。
 200年前から始まった、化石燃料を『燃やす文明』が資源を枯渇させ、CO2を撒き散らしている。産業革命以来続けてきた化石燃料産業が、環境と資源の枯渇という二つの制約から、いよいよ限界が見えてきた」と言う。
 「燃やす文明」に対し、村沢氏が提唱するのが、「燃やさない文明」である。
 村沢氏は、「化石燃料に頼らない文明、さらに言えば『燃やさない文明』を興せば、この問題は一挙に解決できるのではないか。これが21世紀に必要とされる発想の大転換である。本書が提言する21世紀の産業革命は、身近なソーラー・ハウスから始まって、電気自動車、さらには大規模ソーラー・パークなどを含んでいる。それは、これまでの産業のあり方から180度発想を転換した『太陽の産業革命』とも言えるものであり、『燃やさない文明』への幕開けを告げるものである」と説く。
 「太陽の産業革命」とは、太陽エネルギーの活用を中心とした産業革命である。
 「21世紀の人類は、最近非常に強力な切り札を手に入れた。それが太陽光発電と電気の新しい応用技術の組み合わせである」「この組み合わせこそが、200年前の『燃やす産業革命』の呪縛から人類を解放し、新しい『燃やさない産業革命』への扉を開く鍵となる」と村沢氏は言う。
 私見を挟むと、もともと地球の生命は、太陽のエネルギーを受けて発生した。人類の文化は、太陽エネルギーを受けて生長する植物を栽培することで、大きく進歩した。都市が発展し、高度宗教や哲学が誕生し、知識が蓄積された。こうして発達した文明が飛躍的な変化を遂げたのは、ヨーロッパで近代化が進み、科学革命、ついで産業革命が起こったことによる。動力は馬力や水力から蒸気力に替わり、石炭が利用されるようになった。これにより動力革命・エネルギー革命が起こった。さらに交通革命を引き起こした。人類は19世紀後半から電気を利用するようになり、石油を主要な燃料にした。
 村沢氏は言う。「振り返れば200年以上にわたって、『化石燃料革命』は我々に豊かな生活を提供してくれたが、地球上に60億もいる人類が同じような生活を望み、何十億台の自動車が走り回ることになれば、地球環境そのものが限界を迎え、悲鳴を上げることは明らかである。誰もが感じている『行き詰まり感』の本質はここにあると考える。
 そのアルマゲドンを避けるために、様々なエコ活動が展開されているが、それらは資源を節約し、CO2排出を削減するという手立てであり、後ろ向きの『化石燃料革命』の延命策でしかない。ならば、『燃やす文明』を止めるしかないわけだが、繁栄を豊かさは維持したい。かくして世界各国はCO2排出の権利を奪い合うことにもなっている」と。
 そこで村沢氏は、「21世紀の産業革命は、クリーンなものでなくてはならない。これが絶対の課題である。そして、その中核をなすのが持続可能なエネルギーの開発である」と人類の課題を確認する。

 では、どのようなエネルギーが「21世紀の産業革命」の中核となり得るか。村沢氏は「根元的かつ抜本的な解決策はないものか、この10年、その問いをずっと思案し続けてきた」と言い、著書『日本経済の勝ち方 太陽エネルギー革命』で様々なアプローチについて検討している。村沢氏によると、バイオ・エタノールは効率が悪く、しかも食料生産と競合する。水素はコストが高すぎ実用化まで時間がかかる。そして、「あらゆる可能性を探ってみて、行き着いた答えは、太陽光と風力をエネルギー源とする電気社会であった」と述べる。「『太陽で電気を作れば無尽蔵かつクリーン』。実に身近なところに解決のキーがあったのだが、これは単なる思いつきやひらめきではなく、最近の技術的ブレークスルーによる必然の方向である」と言うのである。
 私見を述べると、化石燃料も元は太陽のエネルギーである。太陽が育てた植物や動物等が何億年もの時間の中で、人類が利用可能な資源に変化したのである。言い換えれば、遠い昔に地球に降り注いだ太陽エネルギーが凝縮されたものが、化石燃料である。産業革命後の人類は、こうした過去に蓄積された太陽エネルギーを利用して、経済活動をしてきたのである。そして、今日人類は、技術の進歩により、太陽エネルギーを直接、大規模に利用できるようになった。それによって、新たな産業革命が始まっている。村沢氏は、それを「太陽の産業革命」というわけだろう。
 考えてみれば、風力発電のもとになる風も太陽のエネルギーによって起こるものであり、潮力発電のもとにある潮流も太陽エネルギーで起こる。バイオ・エタノールのもとになる植物は、言うまでもなく太陽エネルギーで育つ。それゆえ、こうしたクリーン・エネルギーを、総括的に太陽エネルギーと呼ぶことが可能だろう。なかでもやはり地球に毎瞬降り注いでいる太陽光を直接大規模に利用することができれば、エネルギー問題とそれに伴う環境汚染の問題は、概ね解決に向う。

 村沢氏は太陽エネルギーの活用につき、具体策を提示している。日本の環境対応の「旗印となるのが、『耕作放棄地ソーラー化』プロジェクトである」と言う。耕作放棄地は33万haある。その全部を大規模太陽光発電に使うと、「ざっと100兆円」のプロジェクトとなる。「このプロジェクトを10年でやるとすると年間10兆円(GDPの2%)」である。「年間10兆円規模の投資によって日本の総発電量の半分をソーラー発電し、年間4億トンのCO2(日本の総排出量の30%)の削減を目指す。障害は多いし、時間はかかるが、純国産のエネルギー源を確保し、CO2を削減、更に『21世紀の産業革命』において世界のリーダーとなる。一石三鳥、実行しない理由はない。これ以上の実体経済に対する活性化策もあるまい」と村沢氏は主張している。
 そして、村沢氏は、次のように提案している。
 「環境を保護し温暖化を抑えながら、新たな産業を育て実体経済の成長を推進し、同時に眼前の危機をも打開する。その方法がようやく見えてきた」「今こそ日本経済は産業大革命を目指し、国家的なレベルでアクションを起こすべきときではないか」と。

 島田晴雄氏、山崎養世氏、村沢義久氏の三氏の主張を概観した。三氏は共通して、太陽光を中心としたクリーン・エネルギーの活用は、わが国の政府が推進すべきとしている。政府が「戦略的主導と支援」(島田氏)をし、「太陽経済を強く後押し」し、「国家レベルでアクションを起こす」ことを求めている。
 私は、三氏の主張に基本的に同意する。わが国は「太陽の時代」に向けて、国家戦略を策定し、政府の主導のもとに、官民を挙げて長期計画を実行すべきである。そして、この取り組みは、大きな需要を生み出すことにより、現在の需要不足によるデフレからの脱却を可能にし、かつ日本が新しい文明を創造する道を切り開くものとなる、と考える。

 次回に続く。
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「太陽の時代」のギガトレンド2

2010-08-24 08:49:53 | 経済
●山崎養世氏は「太陽経済」を提唱

 山崎養世氏は「太陽経済の会」を設立し、2009年(21年)3月4日に一般社団法人として活動を開始した。山崎氏は同会の代表理事、島田氏は理事を務めている。
 島田氏は「太陽経済の会」について、「この会は、企業や産業人、政治家、官僚、メディア、研究者などの会員を糾合、もしくはネットワークし、太陽経済に関する情報を集積・分析し、政策や企業戦略に資する提言や研究を発表してゆく。活動は国内だけでなく、中国、インドあるいはアラブ諸国などとも密接に連携して進める。こうした組織の活動が発展し情報集積が進むと、知的な価値創出の凝集力と発信力が高まり、太陽経済実現の有力な核に育つ可能性がある。」と紹介している。(産経新聞「正論」2009年(21年)5月6日) 
 次に、「太陽経済の会」の設立趣意書を引用する。
 
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●「太陽経済の会」の設立趣旨

http://www.taiyo-keizai.com/organizational/index.html

 産業革命以降、続いてきた石炭経済、石油経済に終りが見えてきました。21世紀の半ばには石油が枯渇に向かうと予測されるのに、石油消費が増え続けるからです。しかも、化石燃料の消費で温暖化ガスが増え、異常気象が発生しています。氷河が溶け、大河が干上がり、地下水が涸れ、水と食糧不足が始まり、砂漠が広がり難民や内乱や戦争を誘発しています。CO2を出さない原子力発電も限界があります。管理や廃棄物処理が難しく、事故やテロや核兵器転用のリスクも無視できません。
 この21世紀には石油経済から「太陽経済」へ、新しい産業革命が始まります。太陽経済とは、技術と英知によって、人類が毎年の太陽の恵みで暮らすことを可能にする新しい経済です。太陽からのエネルギーを活用し、資源とエネルギーを節約し、水と食糧を確保して、人類は自らを救い、人間性を守ることが可能になります。
 太陽経済は電気が中心です。太陽光や風力、水力、海水熱などで発電します。その電気で、水を分解してできる水素もクリーンな燃料です。
太陽経済は平等です。埋蔵が限られる石油と異なり、太陽は世界中を照らします。石油は使えば使うほど値上がりしますが、風力や太陽光発電は普及すればするほどコストが下がります。
 太陽経済は、節約して豊かになる、節約経済でもあります。例えば、電気自動車は必要エネルギーが大きく減ります。家電や住宅、オフィス、工場も、省エネ・省資源型に変えられます。携帯電話やパソコンや自動車からは、貴重な金属資源が回収できます。
 また日本は世界の農村と農民を助け、水と食糧問題を解決する力もあります。優れた農業関連技術とインフラ整備、砂漠緑化や淡水化や浄水化などで最先端の技術があります。我々が世界で活躍し、日本の技術と社会の仕組みが世界の標準にならなくては、宝の持ち腐れです。
 まず日本社会が真っ先に太陽経済に変わらなくてはいけません。国民が主役です。個人と企業が実行する、地域で取り組む、そして政府が太陽経済を強く後押しすることが不可欠です。
 私たちは日本で太陽経済を実現する大きな共同体を創り上げたいと思います。知恵を出し合い、お互いに高め合って、世界に発信します。埋もれた技術や努力を発掘し、政策を提言し、様々な結びつきを作ります。実践が日本各地で始まり、世界に広がり、人類の共有財産として活かされることを目指します。
 できることから、できるひとから、太陽経済の輪を広げるために、我々は活動します。エネルギーの枯渇、水と食料の不足、争いと戦争の恐怖から解放されるために。日本が尊敬される国家として繁栄するために。

 ~Save Humanity~ 人類を救い、人間性を守る。この志を実行することが、当会の目的です。
 
 太陽は、地球に降り注ぐエネルギーの5000分の1で人類の必要消費が賄えるうえ、世界の人口増加とともにこれからますます重要になる食糧生産などにも不可欠です。
 「太陽経済」とは、このエネルギーの利用とその周辺に生まれる新しい経済であり、「太陽・水・緑」をキーワードに、単なる発電にとどまらず、さまざまな技術と制度との組み合わせによって、電気自動車の普及や農業による地域活性化、リサイクルといった社会システムを含む概念となっています。
 また「太陽経済社会」とは、太陽経済によって経済と環境が両立し、地域格差が小さく、少ない資源で効率的な生活が送れる社会を指しており、循環型社会、環境社会、共生社会などと共通するコンセプトです。
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 山崎氏は「太陽経済の会」の発足に先立ち、『日本復活の最終シナリオ 「太陽経済」を主導せよ!』(朝日新聞出版、2009年2月刊)を刊行し、太陽経済の実現による日本復活のシナリオを発表している。本書は同会の設立趣旨と同じ方向を示す意見を詳しく述べたものである。その内容については、後に改めて紹介したい。

次回に続く。
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