少し前の事になるが、昨年11月25日、長野県松本文化会館で、「明けゆく世界セミナー2006 in 松本」が行われた。「『食』を通じて"日本の心"を考える」が主題だった。
食育についての取り組みは、国民的な運動として推進されている。日本の心を取り戻すためにも、食の問題は大切なものの一つである。
今回のセミナーでは、最初に「ごはんとパン~日本型食生活が見直される理由」と題して、相川りゑ子氏(大妻女子大学短期大学部教授・管理栄養士)が基調講演をした。米を中心とした日本食の献立の素晴らしさについて、詳しい説明がされた。続いて、相川氏に私が加わって、「"食育"から学ぶ日本の心」と題した対談を行った。その後、日本の食文化を踏まえた提言がなされた。
私が登壇した対談の部分は、来場者参加型の企画だった。来賓の地方議員に自治体での食育への取り組みについて話してもらったり、小学校・中学校の先生や福祉施設で働く人からの現場報告があったり、参加者の質問に相川氏や私が答えたりというトークセッションのような形で進んだ。
このセミナーでの対談の内容をご紹介したい。以下は要旨を記すものであって、細部は必ずしも正確な文言ではない。その点はご容赦願いたい。掲載は7回に分けて行う予定である。
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【司会】 このコーナーでは「〝食育〟から学ぶ日本の心」をテーマに対談を行っていきたいと思います。
相川先生は、大学教授でもあり、お母さまでもあり、奥さまでもいらっしゃいます。相川家では食育といったことで、実際にされていることをお聞かせいただけますか。
【相川】 私の家のことですが、食の部分だけは専門家という意識がありますので適当にしたくないと思い、睡眠時間を削ってでも、食の場面には気を配ってきました。
一番に野菜をどう食べさせようかということを考えてまいりました。お肉とか魚とか卵などはどこでもおいしいものがたくさん食べられますけれども、ややもするとお野菜や海藻は食べ方を上手にしないと、おいしくないということになりますから、これがどう体に力を与えてくれるもので、どんなふうに食べたらいいかということを、いつも作って、食べながら話をしました。
長女が結婚してから、ときどき電話がかかってきて、「お母さん、あの料理はどうやって作るんだっけ」と言ってくるので、記憶のどこかにとどめてもらったことと、ほっとしています。
【司会】 娘さんは家で毎日大学の講義を聞いていたような状態ですね。細川さん、昨今食育といわれて久しくなりますけれども、感想はいかがでしょうか?
【細川】 戦後わが国は、非常に豊かになり、世界中から食べ物を集めて、好きなものをいつでも食べたいだけ食べられるという世の中になっています。
ところが、その反面では、食の乱れが起きています。生活習慣病が増え、また、子供たちの心身の健全な発達に問題が起きています。そのほかいろいろな面で食に関する私たちの在り方が崩れてきていると思います。
そういう中で昨年(註 平成17年のこと)の6月に食育基本法という法律ができ、国を挙げて食の乱れを立て直そうという運動を行っています。長野県でも食育推進会議が作られて、計画が練られていると思います。
日本人の食を立て直さないと、食が原因で多くの国民が病気になるということになってしまいます。実際、医療費が増大して財政を圧迫するという事態になっています。そこで、食育への関心が高くなっているのです。
わが家は三年前から、朝食を日本食に切り変えました。そうしたところ体の調子もいいですし、自分の体のことを考えて食生活をコントロールするのは、とても大事だと昨今強く感じています。
【司会】 ありがとうございます。対談を進めるに当たりまして、これから先は、今日ご来場の皆さんのご参加・ご協力をお願いします。
次回に続く。
食育についての取り組みは、国民的な運動として推進されている。日本の心を取り戻すためにも、食の問題は大切なものの一つである。
今回のセミナーでは、最初に「ごはんとパン~日本型食生活が見直される理由」と題して、相川りゑ子氏(大妻女子大学短期大学部教授・管理栄養士)が基調講演をした。米を中心とした日本食の献立の素晴らしさについて、詳しい説明がされた。続いて、相川氏に私が加わって、「"食育"から学ぶ日本の心」と題した対談を行った。その後、日本の食文化を踏まえた提言がなされた。
私が登壇した対談の部分は、来場者参加型の企画だった。来賓の地方議員に自治体での食育への取り組みについて話してもらったり、小学校・中学校の先生や福祉施設で働く人からの現場報告があったり、参加者の質問に相川氏や私が答えたりというトークセッションのような形で進んだ。
このセミナーでの対談の内容をご紹介したい。以下は要旨を記すものであって、細部は必ずしも正確な文言ではない。その点はご容赦願いたい。掲載は7回に分けて行う予定である。
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【司会】 このコーナーでは「〝食育〟から学ぶ日本の心」をテーマに対談を行っていきたいと思います。
相川先生は、大学教授でもあり、お母さまでもあり、奥さまでもいらっしゃいます。相川家では食育といったことで、実際にされていることをお聞かせいただけますか。
【相川】 私の家のことですが、食の部分だけは専門家という意識がありますので適当にしたくないと思い、睡眠時間を削ってでも、食の場面には気を配ってきました。
一番に野菜をどう食べさせようかということを考えてまいりました。お肉とか魚とか卵などはどこでもおいしいものがたくさん食べられますけれども、ややもするとお野菜や海藻は食べ方を上手にしないと、おいしくないということになりますから、これがどう体に力を与えてくれるもので、どんなふうに食べたらいいかということを、いつも作って、食べながら話をしました。
長女が結婚してから、ときどき電話がかかってきて、「お母さん、あの料理はどうやって作るんだっけ」と言ってくるので、記憶のどこかにとどめてもらったことと、ほっとしています。
【司会】 娘さんは家で毎日大学の講義を聞いていたような状態ですね。細川さん、昨今食育といわれて久しくなりますけれども、感想はいかがでしょうか?
【細川】 戦後わが国は、非常に豊かになり、世界中から食べ物を集めて、好きなものをいつでも食べたいだけ食べられるという世の中になっています。
ところが、その反面では、食の乱れが起きています。生活習慣病が増え、また、子供たちの心身の健全な発達に問題が起きています。そのほかいろいろな面で食に関する私たちの在り方が崩れてきていると思います。
そういう中で昨年(註 平成17年のこと)の6月に食育基本法という法律ができ、国を挙げて食の乱れを立て直そうという運動を行っています。長野県でも食育推進会議が作られて、計画が練られていると思います。
日本人の食を立て直さないと、食が原因で多くの国民が病気になるということになってしまいます。実際、医療費が増大して財政を圧迫するという事態になっています。そこで、食育への関心が高くなっているのです。
わが家は三年前から、朝食を日本食に切り変えました。そうしたところ体の調子もいいですし、自分の体のことを考えて食生活をコントロールするのは、とても大事だと昨今強く感じています。
【司会】 ありがとうございます。対談を進めるに当たりまして、これから先は、今日ご来場の皆さんのご参加・ご協力をお願いします。
次回に続く。