ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

イスラーム35~フランスのISILへの対応

2016-03-31 08:45:20 | イスラーム
●フランスのISILへの対応

 戦後、フランス政府は、移民として流入するマグレブ人イスラーム教徒に対して、フランス社会への統合を重視してきた。だが、彼らの中には、差別や就職難などで不満を持つ者たちがいる。そうした者たちの中から、ISILなどが流し続ける「自国内でのテロ」の呼び掛けに触発される者が出てきている。こうした「ホームグロウン(自国育ち)」と呼ばれるテロリストの増加が、パリ同時多発テロ事件によって浮かび上がった。
 フランスでは、移民の多くが今日、貧困にさらされている。失業者が多く、若者は50%以上が失業している。イスラーム教徒には差別があると指摘される。宗教が違い、文化が違い、文明が違う。そのうえ、イスラーム教過激派のテロが善良なイスラーム教徒まで警戒させることになっている。
 貧困の中で生活し、失業と不安にさらされている若者たちに、ISILが近づき、イスラーム教過激思想を吹き込む。シリアへと勧誘する。また、自国でのテロを呼びかける。ある者は、シリアに行って軍事訓練を受け、戦闘にも参加する。ある者は自国でテロを起こす。若者たちの不満は貧困層だけでなく、インテリ層にも広がっている。
 フランスやベルギー等の社会である程度、西洋文明を受容し、ヨーロッパの若者文化に浸っていた若者が、ある時、イスラーム教の過激思想に共鳴し、周囲も気づかぬうちに過激な行動を起こす。貧困や失業、差別の中で西洋文明やヨーロッパ社会に疑問や不満を抱く者が、イスラーム教の教えに触れ、そこに答えを見出し、一気に自爆テロへと極端化する。
 こうした文明の違い、価値観の違いからヨーロッパでイスラーム教過激思想によるテロリストが次々に生まれてくる。これを防ぐには、貧困や失業、差別という経済的・社会的な問題を解決していかなければならない。これは根本的で、また長期的な課題である。
 同時多発テロ事件後、フランスが移民政策の見直しをするかどうかが、注目されている。フランス人権宣言による個人を中心とした自由・人権等を価値とする普遍主義的な価値観を信奉する限り、移民の受け入れはその価値を堅持するものとなる。移動の自由の保障も同様である。だが、この価値観とは異なる主張もフランスにはある。
 2015年(平成27年)12月にフランス全土で実施された地域圏議会選挙で、極右政党といわれる国民戦線(FN)は、年間20万人の移民受け入れを1万に減らす、犯罪者は強制送還する、フランス人をすべてに優先、社会保障の充実等を訴え、支持率を伸ばした。多くの地域圏で勝利確実とみられるなか、危機感を持った右派・共和党と左派・社会党が共闘して、FNの躍進を阻んだ結果、FNは全選挙区で敗北した。だが、マリーヌ・ルペン党首は次期大統領選挙の有力候補であり、大多数の世論調査において第1回投票で最多票を獲得することが確実視されている。FNが大統領選挙及び今後の国政選挙の台風の目となることは確実とみられる。
 フランスは、同時多発テロ事件後、すみやかにISILに反撃を開始し、米露等と国際的な連携の拡大を進めた。オランド大統領は、事件をISILによる「戦争行為」だと非難した。事件の2日後の11月15日、フランス空軍は、ISILの拠点であるシリア北部ラッカを激しく空爆し、テロに屈しない断固たる姿勢を行動で示した。
 オランド大統領がISIL掃討作戦で米露との協力態勢を強化すると表明すると、オバマ米大統領は直ちに「フランスとともにテロや過激主義に立ち向かう」と表明した。安倍晋三首相は、テロの未然防止に向けて国際社会と緊密に連携する決意を示した。英国のキャメロン首相もシリア空爆に参加する意向を示した。またロシアのプーチン大統領は、テロリストへの対抗に関してフランスとの連携を発表した。
 とりわけオランド大統領がISILに対する攻撃で、ロシアとの協力に乗り出したことが注目された。フランスは、アサド政権との対決を後回しにして、まずISILを殲滅するためにロシアとの協力を選択した。フランスは、ロシアとの連携を得るや原子力空母シャルル・ドゴールを派遣して艦載機による激しい攻撃を浴びせた。ISILの二大拠点である北部のモスルとラッカ、戦略的要衝の中部ラマディ等への空爆を実施し、ISILの司令施設や整備施設を破壊した。
 パリ同時多発テロ事件は、フランスでの出来事であるだけでなく、欧州の中心部で起こった事件でもある。2014年(平成26年)から欧州では、中東や北アフリカから流入する移民や難民が急増している。その49%がシリアから、12%がアフガニスタンから、その他の多くがリビア等のアフリカ諸国からといわれる。それぞれ内戦と政情不安が原因である。こうした移民・難民に紛れてイスラーム教過激派のメンバーが欧州諸国に潜入している。パリ同時多発テロ事件で、そのことが浮かび上がった。事件が起こったのはパリだが、テロリストはベルギーやオランダ等にネットワークを広げていた。
 EUの場合、域内での「移動の自由」が保障されている。テロリストは、EUの域内に入ってしまえば、各国の国境を越えて自由に移動できる。地球上でこれほどテロリストが行動しやすい地域はない。こうしたEUの「移動の自由」が、パリ同時多発テロ事件のテロを許した背景にある。
 パリ同時多発テロ事件後、「移動の自由」を定めたシェンゲン協定の定期用を停止して、国境の検問等を再開した国は、8カ国に上る。中東や北アフリカからの難民・移民の受け入れに最も積極的なドイツも、国境検問を行っている。
 EU諸国には、フランスの国民戦線と同様に、移民政策の見直しを主張する政党が存在する。そうした政党への支持が増加傾向にある。EUは、国民国家(nation-state)の論理を否定する広域共同体の思想に基づく。だが、異文明からの移民を抱えて社会問題が深刻化し、さらに国境の機能を低めたことでテロリストの活動を許していることによって、広域共同体の思想そのものが根本から問い直されつつある。

 次回に続く。
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人権286~外国人住民基本法案は日本解体法案の一つ

2016-03-30 08:48:52 | 人権
●外国人住民基本法案(続き)

 外国人住民基本法案は、いとも簡単に外国人が永住資格を取れるようにする。第5条に次のようにある。

 「① 永住資格を有する外国人住民の子孫は、申請により永住資格が付与される。
 ② 外国人住民の子として日本国内において出生した者は、申請により永住資格が付与される。
 ③ 日本国籍者または永住資格を有する外国人の配偶者で、3年以上居住している外国人住民は、申請により永住資格が付与される。
 ④ 外国人住民で引き続き5年以上居住している者は、申請により永住資格が付与される」

 外国人住民は、一度永住権を取得すれば、子々孫々まで永住権が与えられる。不法入国であろうと、5年以上に日本に居住すれば、永住資格が得られる。日本人なり永住外国人なりの配偶者であれば、3年以上でよい。しかも第6条③に次のように定める。

 「永住資格を有する外国人住民は、いかなる理由によっても追放されることがない。」

 一度永住資格を取れば、どんな理由でも追放されないというのだから、したい放題となる。第7条には、次のようにある。

 「すべて外国人住民は、日本においてその家族構成員と再会し、家庭を形成し維持する権利を有する」

 国外にいる家族をどんどん呼び寄せ、家族も一定期間を経れば簡単に永住資格を得ることができる。
 ここまでの内容は、日本が外国人を無制限に受け入れ、彼らの「人権」なるものを保障し、容易に永住資格を与えることで日本を開放し、外国人が多数流入し、日本人と混住する地域に変えようという内容である。
 外国人住民基本法案は、ここで終わらない。この先に最も重要な規定が続く。 第8条は「基本的自由・市民的権利」と題して、次のように定める。

 「すべて外国人住民は、日本国憲法および国際人権法が保障する基本的自由と市民的権利、とくに次の自由と権利を享有する。
(略) i.直接に、または自由に選んだ代表者を通じて政治に参与し、公務に携わる権利。(略)」

 日本国憲法が、政治に参与したり、公務に携わる権利を保証しているのは、日本国民に対してである。日本国民とは、日本国籍を有する者である。日本国籍を有しない外国人住民は、日本国民ではない。ところが、「外国人住民基本法案」は、憲法の規定を無視して、「直接に、または自由に選んだ代表者を通じて政治に参与し、公務に携わる権利」を外国人住民に与えようとする。これは憲法違反である。しかし、もしこの法案が成立すれば、憲法の規定は空文化する。憲法を改正せずに、日本という国家が骨抜きにされる。骨抜きにして、国民の意識を変えた後に、憲法を実態と意識に合わせて改正しようと謀るものだろう。
 第11条は「公務につく権利」と題して、次のように定める。

 「永住資格を有する外国人住民は、日本の公務につく権利を有する」

 条文案は「公務」とのみ言っているから、地方公務員のみならず、国家公務員になることも出来るようにする。定住するだけで永住資格を取った外国人住民が、外国籍のまま日本の公務員となり、国家の重要機密や地域住民の個人情報に触れることになる。これは危機管理上、由々しき事態である。
 第20条は「政治的参加」と題して、次のように定める。

 「地方公共団体に引き続き3年以上住所を有する外国人住民は、地方自治法が住民に保障する直接請求ならびに解散および解職の請求についての権利を有する」

 そして、第21条に「参政権」が出てくる。

 「永住の資格を有し、もしくは引き続き3年以上住所を有する外国人住民は、当該地方公共団体の議会の議員および長の選挙に参加する権利を有する」

 外国人住民に、地方参政権を与えることをはっきり規定している。「選挙に参加する権利」というから、ここは選挙権だけを言うものと理解される。被選挙権については明示的でないが、第11条に「公務につく権利」を定めている。国会議員や地方議会の議員、知事・市長・区長・裁判官等も、公務員である。永住外国人に、外国籍のままで被選挙権を与えるという意図が込められているだろう。
 鳩山前首相は、「日本列島は日本人だけの所有物じゃない」と言った。その思想を法案の形にすれば、外国人住民基本法案となるだろう。
 今日イギリス、フランス、オランダ、ドイツ等の移民政策の失敗を見ると、移民の人口比が高くなると、その社会の家族型による価値観が差異主義であれ普遍主義であれ、また地方参政権を与えようが与えまいが、そして二重国籍を許可しようがしまいが、社会的な危機が増大するということである。そこにこそ問題の核心がある。だが、トッドはこの最重要点を指摘していない。
 わが国には、少子高齢化、それによる人口減少への対応のために、移民を1000万人受け入れるべきだという主張がある。自民党・民進党や財界の一部を中心に盛んに唱えられている。そのような政策を行ったら悲惨な結果になることは、ドイツの例を見れば、明らかである。まして、地方参政権を与えれば、オランダの悲劇以上のことが起こるだろう。移民の多くが共産中国から流入し、移民の行動を中国共産党が指示するだろうからである。
 国家とは何か、国民とはどうあるべきものか、わが国はどういう外国人なら受け入れ、また国籍を与えるべきなのか。こうした問題を掘り下げて考えることなく、生産年齢人口、特に労働力人口の減少を、外国人労働者で埋め合わせようという発想は、安易かつ極めて危険である。
 一方に移民1000万人受け入れ政策がある。また一方に外国人住民基本法案がある。同法のもと、日本という国家は、押し寄せる外国人に圧倒され、他国との境がなくなり、同時に国家としては、事実上消滅していく。卵は孵化する前に、殻を割ると、中身が流れ出る。割れた卵は、元には戻らない。外国人住民基本法を制定すれば、日本という国家は、割れた卵のように崩れて、もとには戻らない。
 外国人移民の増大と彼らの権利の拡大は、日本の解放・解体である。破局を避けるにはどうすべきか。日本人が自己本来の日本精神を取り戻し、国家意識・国民意識を確立することが急務である。

 夫婦別姓法案、嫡出子・非嫡出子の相続の均等化、永住外国人への地方参政権付与法案、人権侵害救済法案、外国人住民基本法案等は、日本の家庭、社会、国家を解体する強力な爆弾である。
 夫婦別姓法や相続均等化の民法によって日本の家庭が解体され、人権侵害救済法によって日本の社会が解体され、永住外国人地方参政権付与法と外国人住民基本法によって、日本の国家が解体される。その後に立ち現われるのは、中国人・韓国人等の外国人移民が無制限に増加し、外国人が外国籍のまま日本の政治を左右する、今とはまったく異なった日本である。私は、これら日本の家族と国民を解体する動きに強く反対する者である。
 これらは、人権という概念のあいまいさ、人間の権利と国民の権利の区別の不十分さ、日本人の国家・国民の意識の希薄さ等を利用した極めて巧妙な日本解体戦術である。こうした戦術による攻撃から日本の伝統・文化・国柄を守るためには、人権について徹底的な考察が必要である。個人の権利と集団の権利、人権と主権の関係も明確にしなければならない。私が、本稿「人権――その起源と目標」を書くに至った一つの動機は、この点にある。

 次回に続く。
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イスラーム34~パリ同時多発テロ事件

2016-03-29 09:36:47 | イスラーム
●パリ同時多発テロ事件

 2015年(平成27年)11月13日パリで同時多発テロ事件が起こった。130人が死亡し、約350名が負傷した。フランスでは第2次世界大戦後、最悪のテロ事件となった。何よりISILへの空爆に参加している主要国の首都で大規模なテロが起こったことが、世界に衝撃を与えた。
 ISILが犯行声明を出した。ISILの壊滅をめざし、国際社会は連携して対応を行っている。本件については、拙稿「パリ同時多発テロ事件と国際社会の対応」に詳細を書いた。
http://www.ab.auone-net.jp/~khosoau/opinion12-1b.htm
 実行犯は少なくとも10人に上るとみられる。彼らは、コンサートホールやカフェで自動小銃を乱射し、一般市民を無差別に殺戮した。その犯人たちは自爆死した。サッカー競技場でも爆弾を爆破したテロ犯も、自爆死した。
 テロリストたちは、最大限の被害をもたらすため、同一の爆発物を身に着けていた。自動小銃の扱いに慣れているようにみえ、身のこなしも軽かったと伝えられる。計算し尽くした作戦とみられる。
 主犯格は、ベルギー国籍のアブデルハミド・アバウドというモロッコ系のベルギー人で、2014年(平成26年)に内戦中のシリアに渡航し、ISILに参加した。フランス警察が、犯行グループの潜伏先の拠点を急襲して銃撃戦を行った際、アバウドは死亡した。
 犯人のうち少なくとも2名は、シリアのパスポートで難民の波に紛れてヨーロッパに渡っていたことがわかった。そのことによって、フランスやEUで移民政策の見直しが活発に議論されるようになった。
 パリ同時多発テロ事件後、フランスは速やかに非常事態宣言を発令し、国内の警備を強化した。ISILのテロリストは、劇場やカフェなど文化的・思想的に象徴的な場所で大量殺戮を企てただけではない。フランス経済の心臓部であるパリ西郊のデファンス地区への攻撃も画策していた。この地区は、フランスの石油や電力、保険、銀行など、同国を牽引する大手企業が本社を置く経済の中心地である。こうした計画は、イスラーム教過激派のテロは、無差別殺戮で人々を恐怖に陥れるだけでなく、国家の経済的中心部を破壊しようとしていることを意味する。このことにより、ISILによるテロは、テロというより戦争というべき水準、テロリストというより都市ゲリラというべき水準に来ていると考えられる。

●フランスにおけるイスラーム関係の事情

 拙稿「家族・国家・人口と人類の将来」に詳しく書いたが、家族人類学は、人類の家族型には平等主義核家族、絶対核家族、直系家族、共同体家族の四つがあることを明らかにしている。
http://www.ab.auone-net.jp/~khosoau/opinion09h.htm
 トッドによると、これらの家族型には、主に相続の仕方に違いがある。親が慣習に従って長子相続等を行うか、自由意思で子のうちから相続者を指名するか、兄弟間で特定の者が相続するか、平等に相続するか。こうした相続の仕方の違いが、価値の違いを生む。平等核家族は自由と平等、絶対核家族は自由と不平等、直系家族は権威と不平等、共同体家族は権威と平等を価値観とする。また、遺産相続における兄弟間の平等・不平等から、普遍主義と差異主義という二つの態度が生まれる。兄弟間の平等から諸国民や万人の平等を信じる傾向を普遍主義という。兄弟間の不平等から諸国民や人間の間の差異を信じる傾向を差異主義という。前者は、世界中の人間はみな本質的に同じという考え方であり、後者は、人間は互いに本質的に異なるという考え方である。
 フランスには、平等主義核家族と直系家族という二つの家族型がある。これら二つの家族型には、共通点がある。ひとつは、女性の地位が高いことである。フランスの伝統的な家族制度は、父方の親族と母方の親族の同等性の原則に立っており、双系的である。双系制では、父系制より女性の地位が高い。もう一つの共通点は、通婚制度が外婚制であることである。フランス人は普遍主義的だが、移民を受け入れるのは、双系ないし女性の地位がある程度高いことと、外婚制という二つの条件を満たす場合である。この最低限の条件を満たさない集団に対して、フランス人は「人間ではない」という見方をする。第2次世界大戦後、フランスに流入した移民の中で最大の集団をなすマグレブ人は、この条件を満たさない。マグレブ人とは、北アフリカ出身のアラブ系諸民族である。アルジェリア人、チュニジア人、モロッコ人の総称である。宗教は、イスラーム教徒が多い。マグレブ人の社会は共同体家族の社会である。女性の地位が低く、また族内婚である。フランス人が要求する最低条件の正反対である。そのため、フランス人は、マグレブ人を集団としては受け入れない。
 マグレブ人は共同体家族ゆえ、権威と平等を価値とする。フランスは、主に平等主義核家族ゆえ、自由と平等を価値とする。ともに平等を価値とするから、普遍主義である。世界中の人間はみな本質的に同じだと考える。フランス人が人間の普遍性を信じるように、マグレブ人も人間の普遍性を信じる。ただし、彼らが持つ普遍的人間の観念は、正反対のタイプの人間像なのである。フランス人もマグレブ人も、それぞれの普遍主義によって、諸国民や万人を平等とみなす。しかし、自分たちの人間の観念を超えた者に出会うと、「これは人間ではない」と判断する。双方が自分たちの普遍的人間の基準を大幅にはみ出す者を「非人間」とする。ここに二種類の普遍主義の「暗い面」が発動されることになった、とトッドはいう。
 第2次世界大戦後、フランスの植民地アルジェリアで独立戦争が起こった。戦争は、1954年(昭和29年)から62年(昭和37年)まで8年続いた。アルジェリア人の死者は100万人に達した。その悲劇は、正反対の普遍主義がぶつかり合い、互いに相手を非人間扱いし合ったために起こった、とトッドは指摘する。
ただし、フランス人には、集団は拒否しても、その集団に属する個人は容易に受け入れる傾向がある。実際、マグレブ人は婚姻によって、個人のレベルではフランス人との融合が進んでいる。
 今日、フランスは、欧州諸国の中でもイスラーム教徒の絶対数が多いことで知られる。比率も、人口の8%ほどを占める。トッドは、フランスは普遍主義に基づく同化政策を取るべきことを主張しているが、私は、どこの国でも移民の数があまり多くなると、移民政策が機能しなくなって移民問題は深刻化すると考える。その境界値は人口の5%と考える。フランスの人口比率は、その境界値を超えてしまっている。

 次回に続く。
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人権285~外国人住民基本法案はさらに危険

2016-03-28 08:50:37 | 人権
●外国人住民基本法案はさらに危険

 この項目では、夫婦別姓法案、嫡出子・非嫡出子の相続の均等化、永住外国人への地方参政権付与法案、人権侵害救済法案について書いてきた。これらの法制度化は、日本を解体する危険な行為である。民法は既に一部改正されたが、他の新法案を成立させてはならない。しかも、これらの法案よりさらに危険な法案が準備されていることを知らなければならない。それが、外国人住民基本法案である。
 外国人住民基本法案は、法案の全体が移民の増大、権利拡大を目的としている。私は、夫婦別姓法案、永住外国人への地方参政権付与法案、人権侵害救済法案は、この法案の成立のための準備的・階梯的なものではないかと考えている。
 平成21年(2009)4月17日、当時民主党幹事長だった鳩山由紀夫は、インターネット動画サイト「ニコニコ動画」の番組に出演し、永住外国人に参政権を付与すべきとの持論を繰り返した。その上で、鳩山は「日本列島は日本人だけの所有物じゃない。仏教の心を日本人が世界で最も持っているはずなのに、なんで他国の人たちが、地方参政権を持つことが許せないのか」と発言した。鳩山は、その7年前、平成14年(2002)8月8日の夕刊フジのコラムで、民主党代表として、「日本列島は日本人の所有物と思うなという発想は、日本人の意識を開くことであり、死を覚悟せねば成就は不可能であろう。私はそこまで日本を開かない限り、日本自体の延命はないと信じる。だから私はその尖兵を務めたいのだ」と書いていた。
 こういう思想を持った人物が、21年9月の政権交代後に民主党の首相となった。鳩山は、首相の座にあった間、参政権について地方参政権の付与のみを述べていた。だが、本音は、死を覚悟してでも国政参政権を外国人に与えたい、と思い込んでいるのである。鳩山は、いのちをかけてでも「日本を開きたい」という衝動に駆られている。鳩山だけでなく、民主党には、彼と共通した考えを持った国会議員が少なくない。鳩山と民主党については、拙稿「友愛を捨てて、日本に返れ~鳩山政治哲学の矛盾・偽善・破綻」に書いた。
http://www.ab.auone-net.jp/~khosoau/opinion13b.htm
 旧民主党、現民進党の中には、日本という国家を外国人に開放するための法案を制定しようと動いているグループがある。そのグループは、国会の法務委員会に「外国人住民基本法の制定に関する請願」を提出し、平成21年(2010)3月4日に受理された。
 請願は、国会に対し、「外国人住民に対する総合的な人権保障制度を確立するための特別委員会を設け、外国人住民公聴会を各地で開くとともに、自治体・市民団体・弁護士の提言を尊重し、外国人法制度の根本的な改正を行うこと」、及び「日本国憲法及び国際人権条約に基づいて外国人住民基本法を制定すること」を求めている。
 ここにも人権が出てくる。現代日本で支配的な個人主義的かつ普遍主義的な人権思想を極度に推し進めると、この請願のような主張となるのである。彼らが制定を求めている外国人住民基本法案は、真に恐るべき法案である。まさに日本という国家を破壊する最も強力な爆弾である。私は、外国人住民基本法案は、合法的に日本を開放・解体する「亡国の移民国家法案」だと見ている。
 外国人住民基本法案において、「外国人住民」とは、何か。第1条に「外国人住民」とは、在留資格、滞在期限その他在留に伴う条件の如何に関係なく、日本国籍を保持することなく、日本国内に在住する者をいう」と定義される。
 「在留資格、滞在期限その他在留に伴う条件の如何に関係なく」という点が重要である。不法入国者や不法滞在者も、すべて「外国人住民」とする。
 この法案は、こうした「外国人住民」の権利について、次のように第2条①に定める。
 「すべて外国人住民は、その国籍、人種、皮膚の色、性、民族的および種族的出身、ならびに門地、宗教その他の地位によるいかなる差別も受けることなしに、日本国憲法、国際人権法、およびこの法律が認める人権と基本的自由を享有する権利を有する」
 ここに言う「外国人住民」には、共産中国から来た者も、北朝鮮から来た者も、国際テロ活動を行っている国から来た者も、すべて含まれることになる。
 この法案は、国及び地方公共団体に対して、第3条②にて次のような義務を課す。
 「国および地方公共団体は、人種主義、外国人排斥主義、および人種的・民族的憎悪に基づく差別と暴力ならびにその扇動を禁止し抑止しなければならない」
 これは重大な問題である。法案は「人種主義、外国人排斥主義、および人種的・民族的憎悪」というが、「主義」だ「憎悪」だというものは、いかようにも規定できてしまう。外国人のマナー違反を注意したり、反日的な言動に反論したりすることも、外国人の権利の侵害であり民族差別だとされる可能性がある。日本国において、日本国民の「言論の自由」が制限され、日本の文化・習慣・公序良俗を守ろうとする言動が差別だ、扇動だと規制されかねない。
 この内容が先に書いた人権侵害救済法案の内容に通じるものであることは、明らかである。人権侵害救済法案は、外国人住民基本法案を成立させるためのステップとして企図されていると考えられる。

 次回に続く。
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イスラーム33~チュニジア国立博物館襲撃事件

2016-03-27 07:05:55 | イスラーム
●チュニジア国立博物館襲撃事件

 2015年(平成27年)3月19日北アフリカの地中海岸にあるチュニジアの首都チュニスで、武装したイスラーム教過激派集団が国立バルドー博物館を訪れた外国人観光客を襲撃し、観光客21人が死亡した。うち日本人は3人が犠牲になり、他に3人が負傷した。
 ISILは事件当日、インターネット上で音声による犯行声明を公表した。声明は、「十字軍と背教者どもを多数殺傷した」とテロの成果を誇示し、新たなテロを予告した。
 テロを実行したのは、ISILにつながる「アンサール・シャリーア」とみられる。チュニジアではジャスミン革命後、独裁政権時代には厳しく監視されていた過激なイスラーム教勢力が活動の自由を得て、武装組織を結成し、国内外の組織と連携を深めてきた。その中心的存在が、「アンサール・シャリーア」である。厳格なイスラーム法解釈による原理主義的な統治を目指す過激組織で、組織名は「イスラーム法の支援者」を意味する。チュニジアやリビア、イエメン等に同名を称する組織があり、ISILやアルカーイダに忠誠を誓うグループもあるという。
 イスラーム教過激派は、西欧発の現代国家を非イスラーム教的なものであり、破壊対象とする。イスラーム教過激派の論理では、非イスラーム教的な政府を支える外国人観光客を殺害することは、ジハード(聖戦)として正当化される。国立博物館を訪れた多数の国々からの外国人観光客を無差別に射殺すれば、世界各国に事件が報道され、過激組織が注目を浴びる。それによって、過激派内での評価や地位を高めたり、戦士や資金を多く集められたりするという効果をもたらす。こうした狙いをもって、襲撃事件は行われたと考えられる。
 チュニジアからは約3000人がシリアに渡り、そのうちの多数がISILに参加している。500人ほどがすでに帰国したとされる。東側に隣接するリビアが内戦状態にあることなどから、戦士や武器の流入を防ぐことは難しい。
 外国人観光客襲撃事件は、欧米諸国に衝撃を与えた。米国にとって、「アラブの春」による民主化が唯一成功しているチュニジアが不安定化することは、中東・アフリカ政策に大きな痛手となる。
 欧州ではこの年、1月のフランス風刺紙襲撃事件後、同月に再びフランスで、また2月にデンマークで連続テロが起きており、欧州連合(EU)域内の対策強化に努めていた。チュニスでの襲撃事件では、域外で多くのEU出身者が犠牲となった。EUは、中東などの戦闘に参加した欧州出身の若者が帰国後にテロを起こすことへの警戒を高め、これへの対処のため、中東や北アフリカ諸国との協力を強化する方針を決めた。だが、地中海の対岸にある北アフリカが不安定化すると、その波は地中海からアルプスを越えて、ヨーロッパを深く浸食するおそれがある。
 特にリビアでは、2014年(平成26年)以降、イスラーム教勢力を中心とする軍閥とこれに対抗する勢力との戦闘が激化し、多数の難民が発生し、欧州等へ流入している。地中海を粗末な船で渡ろうとして、沈没・水死する者も多数出ている。内戦状態で政府が機能しておらず、多くの武装組織の武器調達ルートとなっている。また、リビアでもISIL系過激組織が勢力を拡大している。ISILは、世界中のジハード戦士たちにリビアに集まるように呼びかけている。リビアには石油資源があり、ここを活動の拠点とすることを狙っている。ISILは、既にリビアの首都トリポリからスィルトを含む広範なエリアを「タラーブルス州」と勝手に宣言している。今後、混乱が続けば、リビアが欧米に対するテロの拠点となり、地中海を渡る難民に過激派が紛れ込んで欧州に侵入するおそれもある。
 また、ISILは、リビアで勢力を伸ばす一方、リビアに影響力を振るい得るエジプトをも標的にしている。同時にシナイ半島でのテロを活発化させており、東西の両側からエジプトのシーシー政権を揺さぶっているとみられる。

 次回に続く。
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人権284~人権侵害救済法案を阻止すべし

2016-03-26 08:41:57 | 人権
●人権侵害救済法案(続き)

 ここでこの項目の冒頭に触れたことに補足すると、政党のもとで具体的に法案を作るのは、国家官僚である。国家官僚は、現行の日本国憲法に従って法整備を行おうとする。彼らの中には、左翼的な思想を持った者が少なくない。官僚の背後には、彼らに思想的な影響を与えた学者がいる。東京大学等の権威ある学者が左翼人権主義の理論を説くと、官僚はその理論の実現のために行政の実務を進める。政党が法案を進めているようでいて、それを誘導しているのが、官僚であり、学者であり、特殊な思想を持つ政治団体なのである。ついでに言えば、この人的ネットワークは、国際的な左翼人権主義の団体や外国人活動家につながっている。そして、彼らの活動の主要領域は、国際連合の中にある。
 わが国の人権侵害救済法案の場合、その実現を進めているのは、法務省である。法務省は、平成23年(2011)12月、「人権救済機関設置法案」(仮称)の概要を発表した。この法案の最大の問題点は、依然として人権侵害の定義が曖昧なことである。人権侵害とは「不当な差別、虐待その他の人権を違法に侵害する行為」とするが、これではどうとでも拡大解釈ができてしまう。人権侵害だという主張が乱用される危険性がある。それまでの法案には「差別的言動」という文言があったが、これに代えて「差別助長行為」を禁じるとした。だが、実体は変わっていない。差別を受けたという主張によって憲法で保障された他の基本的権利、表現の自由等を侵害し、ひいては自由民主主義の社会を崩壊させる危険がある。また、それまでの法案には、令状なしの「強制調査」が盛られ、警察権を超えるものとして批判を受けていた。そこでこれをなくし、調査を拒否した場合の「過料」も見送った。だが、そもそも現在の法制度の下でも、法務局は人権侵害の訴えがあると任意の呼び出しを行っている。あえて新法を作り、権限を拡大する必要はない。法案は、人権侵害救済機関を「三条委員会」として設置するというが、任意調査しか行わない組織を「三条委員会」にしようとするのは、将来、強制調査権を付与できるようにしたいがためだろう。
 法務省の統計によれば、毎年、約2万件の「人権侵犯事件」が発生しているが、99%つまりそのほとんどは現在の法制度の下で救済されている。法案は、人権侵害の救済方法として、新しい人権委員会制度の下では、「援助」「調整」「説示」「勧告」「要請」等が行われるとされている。だが、現在でも法務省訓令に基づき「援助」「調整」「説示」「勧告」「要請」等が行われている。新たに人権委員会を設置する必要はない。現行制度の運用で足りる。
 仮に人権委員会が強大な権限を振るうようになると、言論統制や密告等によって国民の権利の侵害が深刻化するあろう。さらに、市町村に置く人権擁護委員には日本国籍の有無について規定がなく、地方参政権が付与されれば外国人でも就任できる仕掛けになっている。人権侵害救済法案を推進する勢力と、外国人地方参政権付与の実現をめざす勢力は重なり合っている。もし地方参政権を得た在日韓国人や在日中国人が人権擁護委員に就任すれば、本国政府の指示のもと、人権侵害を自国の国益のために利用することは目に見えている。人権侵害救済法案をめぐる人権問題は、わが国と周辺諸国との間の独立と主権の問題となっているのである。
 平成24年(2012)9月民主党・野田佳彦内閣は、人権救済機関設置法案を閣議決定した。そして、その年秋の臨時国会への提出を目指した。だが、同年12月の衆院選で再び政権交代が起き、自民党が政権に返り咲いて安倍晋三内閣が成立した。これによって、人権救済機関設置法案提出の動きは止まった。かつて人権擁護法案を準備していた自民党では、人権侵害救済設置法案の危険性を理解し、法案に反対する意見が増えている。
 平成28年(2015)3月現在、本格的保守政権である安倍内閣が続いているが、今後、再び旧民主党である民進党を中心とする政権に代わったり、あるいは自民党内で左翼人権主義と親和的なリベラル勢力が大きくなると、また人権侵害救済法案が提出される可能性がある。自由民主主義を守り、日本国民の権利を保持するためには、左翼人権主義による人権侵害救済法の制定を阻止しなければならない。それには、人権という魔術的な言葉のからくりを見破ることが必要である。

 次回に続く。
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イスラーム32~ISILがシャルリー、ケンジ、中尉らを殺害

2016-03-25 10:00:54 | イスラーム
●ISILが各国で連続テロ

 2014年(平成26年)8月以来、米国を中心とする有志連合によるISILへの空爆は、2015年初頭の時点で、2000回以上に及び、打ち込まれたミサイルは7000発以上に上った。ISILは拠点を攻撃され、戦闘員が数千名死亡し、戦闘員の士気が低下したり、残虐な行為に疑問を感じて離反する者が出たりしているとみられた。空爆で原油関連施設が破壊されていることにより、資金源である原油の輸出量が減少した。石油市場での原油の値下がりも、資金獲得にマイナスになった。追い込まれたISILは、外国人を人質にとって脅迫したり、有志連合の結束を乱そうと揺さぶりをかけたりする新たな行動を起こした。
 2015年(平成27年)1月から2月にかけてISIL及びそれに繋がりがある者によるテロ事件が世界を震撼させた。1月7日のフランス風刺週刊紙襲撃事件、1月20日の日本人人質斬首事件、その後明らかになったヨルダン軍中尉焼殺事件である。

●フランス風刺週刊紙襲撃事件

 2015年(平成27年)1月7日フランスの風刺週刊紙「シャルリー・エブド」のパリ市内の本社が銃撃され、同紙の編集者や風刺画家を含む12人が死亡、20人が負傷した。
 「シャルリー・エブド」は、たびたびイスラーム教の預言者ムハンマドの風刺画を掲載し、イスラーム教徒の反感をかっていた。事件当日発売された最新号は、イスラーム教の聖戦を風刺する漫画と記事を掲載していた。また襲撃を受ける直前には、ISILの指導者バグダーディーを風刺する漫画をツイッターに掲載していた。
 犯人らはフランス生まれのイスラーム教徒で、アルカーイダ系武装組織が事件に関与しているとともに、犯人らはISILへの忠誠を表明してもいた。
 フランスは、米国を中心とする有志連合の一員としてISILへの空爆に参加している国の一つである。それがイスラーム教過激派の襲撃を受ける理由の一つである。
 風刺週刊紙銃撃事件によって、宗教への批判を含む表現の自由を重んじる欧米諸国の価値観と、神や預言者のあらゆるものへの優先性を認めるイスラーム教の価値観の対立が、改めて鮮明になった。事件によって、テロの連鎖的な発生、報復に継ぐ報復、キリスト教とイスラーム教との文化的摩擦等の増大、EU諸国における移民政策の見直し等が起こった。

●日本人人質斬首事件

 続いて、2015年(平成27年)1月20日、ISILのグループが日本人2人の殺害を警告するビデオ声明を発表した。人質の身代金として、3日間の期限で日本国政府に2億ドルを要求した。わが国政府は、人質の解放を目指して努力したが、ISILは湯川遥菜氏、次いで後藤健二氏を斬首して殺害した。残念な結果となったが、日本国政府はテロに屈しない姿勢を貫いた。身代金の要求を拒否し、友好諸国の協力を得ながら人質解放のために可能な限りの努力をしたと評価できる。
 2月1日に公開した映像で、ISILは、日本国民へのテロ攻撃宣言を行った。この宣言は、極めて独善的かつ激しく狂信的なものだった。破壊衝動、殺戮願望に取り憑かれた異常な集団心理の表現と思われる。わが国は、仏教やヒンズー教の教えと全くかけ離れた思想でテロを正当化したオウム真理教の事件を経験している。宗教的な文言によって破壊・殺戮を説く指導者と、それに同調して集合し、サリンを撒くなどして無差別大量殺人を行う者たち。私はISILにオウム真理教と同じ異常心理を感じる。人間の心の中に潜む悪魔性が活動しているとも言える。

●ヨルダン軍中尉焼殺事件

 わが国は、先の日本人人質事件の際、ヨルダンに協力を求めたが、そのヨルダン軍のパイロット、カサスベ中尉が生きたまま火を付けられて殺害された映像が、2015年(平成27年)2月3日に公開された。
 ヨルダンは、米国を中心とするISILへの空爆に参加し、ISILの殲滅を図っている。その空爆に参加したカサスベ中尉は、ISILの人質にされていた。ISILは、中尉とテロリストの交換を求めていたが、中尉は既に約1か月前の1月3日に殺害されていたことが判明した。
 中尉の殺害は、欧米や日本等の異教徒ではなく、敬虔なムスリムを処刑するものだった。ISILの戦いは米欧の西洋文明に対する戦いとして、アラブ諸国をはじめ世界各国のイスラーム教徒の一部に共感を呼んできた。だが、カサスベ中尉の焼殺は、多くのイスラーム教徒の反感を買った。生きたまま焼殺するという方法は、アッラー以外に火あぶりの刑を認めないイスラーム法に反する。
 ヨルダン政府は、ISILへの報復を行うことを発表し、ヨルダン空軍は、2月5日から3日間集中的に空爆を行い、「復讐」を実行した。アブドゥッラー国王が自ら空爆に参加した。国王はヨルダン軍の特殊部隊のコマンダーの経験もあり、また攻撃ヘリのパイロットでもある。
 ヨルダンでは、「アラブの春」の影響でムスリム同胞団による反王制デモが起こり、その後もデモが頻発している。ISILへの断固たる処置は、国内の統治のためにも必要とみられた。
 ヨルダンは、イスラエル、パレスチナ暫定自治区、サウディアラビア、イラク、シリアと隣接しており、中東の心臓部ともいえる地政学的位置にある。中東の国ではあるが、石油は少量しか産出していない。経済は、リン鉱石やカリ鉱石の輸出、海外からの送金等に多くを負っており、米国・日本・EU等の財政支援なしには、国力を維持できない。最大の援助国である米国の意向を無視することはできない。空爆への参加には、そうした事情もあるだろう。
 ヨルダンは、ハーシム家の王制国家だが、人口の7割近くを王家と関係のないパレスチナ人が占めている。さらに、この人口約630万人の小国に、近年イラクから約40万人、シリアから約70万人、合わせて100万人を超える難民が流入している。政権は民主化を求めるパレスチナ人の宥和を図りながら、統治の安定を目指している。それに失敗すれば、王制が揺らぐ可能性がある。
 ISILは内政不安定な国を狙って戦略的にテロを行っている。ヨルダンは、そのような国の一つあり、テロの標的にされかねない。もしISILの攻撃で穏健親米国のヨルダンが崩れれば、ISILは、次にヨルダンの西側に位置し、長い国境で接するイスラエルに攻撃を仕掛けるおそれがある。

 次回に続く。
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人権283~人権侵害救済法案の危険性

2016-03-24 08:54:33 | 人権
●人権侵害救済法案の危険性

 わが国では、21世紀に入ったころから、人権侵害救済法を制定しようとする動きが続いいている。人権侵害を救済するのだから、人権擁護のため、良い法案だろうと多くの人は思うだろう。だが、この法案は、人権という美名に隠れて、逆に国民の権利が侵害される危険性が非常に高いものである。私は、先に述べた永住外国人への地方参政権付与とともに、日本国民の解体を図る者と見ている。
 人権関連法案は、もともと自民党が、法務省の官僚の誘導によって、成立を図ったものだった。今もまだまだそうだが、当時の自民党は、考え方がかなりおかしくなっていた。平成14年(2002)、自公政権時代に法務省が示した人権擁護法案には、メディア規制条項があり、マスメディアが批判した。その後、メディア条項を凍結する修正案などが示され、マスメディアの多くは、人権侵害救済法案の危険性について報道しなくなった。そうした中で、自民党は平成20年(2008)に、与党として人権擁護法案をまとめた。だが、この法案はなにより人権侵害の定義があいまいであり、また救済機関の権限が強大であることや、公権力による民間の言論活動への介入の根拠となるおそれのあることなどにより、党内でも異論が多く出て、国会には提出されなかった。
 当時野党の民主党(現・民進党)は、自民党に対抗して独自の人権侵害救済法案を作った。民主党案は、自民党案より、一層問題が大きかった。民主党の法案の原案は、同党の支持団体である部落解放同盟の要望が、ほぼそのまま取り入れられたものだったからである。部落解放同盟は、被差別部落出身者の人権を守る団体のはずだが、左翼的・反日的な団体と化しており、過激な行動で知られる。そういう団体が政党を動かして人権侵害救済法案の成立を図っているのである。ここにわが国における人権をめぐる動きの問題点が集約的に表れている。
 民主党は、平成21年(2009)9月の衆議院議員総選挙で、自民党を破り、政権交代を成し遂げた。選挙戦で民主党は、選挙公約に当たるマニフェストに「人権侵害救済機関を創設し、人権条約選択議定書を批准する」と記し、「内閣府の外局として人権侵害救済機関を創設する」こと等を謳った。民主党は、以後、政権にあった3年間、人権侵害救済法案の成立を図る動きを熱心に続けた。
 平成23年(2011)7月、民主党は、法案に人権侵害救済機関を内閣府ではなく、法務省の外局に設置するという修正を行った。内閣府だと、政権政党の意向が強く反映されると懸念されたので、野党・自民党の案に譲歩したものだろう。救済機関を、公正取引委員会と同等の政府から独立した強力な権限を持つ「三条委員会」とし、また中央だけでなく、各都道府県に置くとした。
 当初人権侵害救済法案は、人権委員に国籍条項がなく、外国人も就任可能であり、外国人が自国民の人権を守るために利用し、日本国民の自由と権利が侵害される危険性があると指摘された。この点の指摘を受けて、民主党の修正案は、中央の人権委員は日本国籍を持つ者に限定した。だが、各都道府県の人権擁護委員は「地方参政権を有する者」とした。これが問題である。旧民主党や公明党等は永住外国人に地方参政権を付与しようとしており、地方参政権が与えられれば、外国籍の外国人が人権擁護委員に選ばれる可能性がある。外国人への地方参政権付与とセットになって働くとき、人権侵害救済法案は劇的な効果を生み出すのである。
 日本人が在日韓国人・朝鮮人や在日中国人の言動を批判した場合、それが「人権侵害」として訴えられ、出頭が命じられ、捜査・家宅捜索・押収が行われたり、罰金が科せられる。歴史認識の問題だけでなく、領土や資源等をめぐる国益に関することであっても、訴える側の外国人が「人権侵害」だと主張すれば、人権委員会が動く。そして、「人権」という普遍的・生得的な権利の観念に隠れて、外国人の民族的な利益やその所属国の政治的利益が主張され、「人権」として「擁護」されるという事態が生じるだろう。
 また、民主党の人権侵害救済法案は、当初から部落解放同盟の意向が強く反映していた。維新の党を吸収した民進党が今後、この法案をどのように扱うかは不明だが、もし旧民主党が作成した法案が成立すると、部落解放同盟のような団体の行動を批判することを言えば、「人権侵害」だと言って、取り締まられるおそれもある。部落解放同盟と在日韓国人・朝鮮人は、組織的につながっている。人権という理想の旗の下に、合法的に国家権力を簒奪しようとする政治団体・外国人組織が暗躍しているのである。

 次回に続く。
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イスラーム31~クルド人がISILに対抗

2016-03-23 08:50:17 | イスラーム
●クルド人がISILに対抗

 2014年(平成26年)6月中旬、イラクではISILが進撃するだけでなく、その混乱に乗じて、イラク北部のクルド自治政府(KRG)が、近隣の油田都市キルクークを掌握し、勢力圏を広げた。またISILの「イスラーム国」樹立宣言を受けて、KRGはイラクからの独立を目指す住民投票を行うと発表した。
 ISILのカリフ制国家樹立宣言、クルド自治政府の独立に向けた住民投票の実施発表によって、イラクの統治体制は大きく揺らぎ出した。宗派間・民族間の内戦が拡大し、イラクが3つに分裂しかねない状況が生まれている。
 イラク情勢が複雑なのは、シーア派とスンナ派の対立、各宗派内の対立だけでなく、アラブ人とクルド人の対立があることである。イラクは、宗派的にはシーア派が約60%、スンナ派が約35%といわれるが、民族的にはアラブ人が80%に対し、クルド人が約15%を占める。アラブ人のシーア派が南部、同じくスンナ派が西部に、クルド人が北部に分布する。
 クルド人はイラク北部の他、トルコ南東部、イラン西部、シリア北部にまたがる地域に居住する民族である。ヨーロッパに名をとどろかせたサラディンを民族の英雄に持つ。宗教は大半がイスラーム教スンナ派だが、一部はシーア派に属している。イスラーム文明におけるイスラーム教徒間の最大の民族問題が、クルド問題である。
 第1次世界大戦後、中東では英仏等により、新たな国境線が引かれた。そのため、クルド人が住む地域は分断された。それぞれの国では少数派だが、民族全体では2000万人以上いるとされ、「国家を持たない世界最大の民族」といわれている。クルド人は、連携しながら各国で自治や分離・独立を求める運動をしている。イラクでは、北部3県で自治政府を構成し、自治権を行使している。
 クルド人は、フセイン政権時代には、虐殺や差別の対象とされた。今は、ISILと敵対関係にある。シーア派主導のマリーキー政権、その後継のアバディー政権と同じく、クルド人にとって、ISILは共通の敵となっている。
 もしイラクの中央政府側が巻き返してISIL側が後退した場合、クルド自治政府と中央政府またはスンナ派の諸勢力との緊張が高まる可能性がある。また、仮にクルド自治区がイラクからの独立を宣言すれば、トルコ、イラン、シリア各国に住むクルド人が編入を求める動きを活発化するだろう。

●アメリカがISILに限定的空爆を開始

 イラクでISILが台頭し、クルド人の活動も活発化するという状況において、オバマ米大統領は、2014年(平成26年)8月有志連合を形成し、ISILが自称する「イスラーム国」に対する限定的な空爆を開始した。
 オバマ大統領は、その4年前の2010年(平成22年)8月にイラクでの「戦闘終結宣言」を出し、軍の撤退を始め、2011年12月に完全撤収し、同月14日大統領はイラク戦争の終結を正式に宣言していた。
 この撤退の背景には、米国が経済的にも軍事的にも、中東に本格的に介入する力がなくなってきていることがある。米国は2008年(平成20年)のリーマン・ショック後、それまでの財政悪化が一層進み、海外で大規模な軍事作戦を展開する力を失いつつある。オバマ大統領が「世界の警察官」を辞めると表明したことは、このことを象徴的に示している。
 米軍のイラク撤退後、イラクでイラク人自身の手で民主化が進み、中東が安定するようになるかどうかについては、当初から否定的な予想が多かった。フセイン独裁政権を倒した米国には、その後、米国の指導で築いた政権を支え、イラクの民主化と安定化を実現する責務がある。だが、それはうまくいっていない。
 アメリカが去った後、イラクの内政は安定せず、マリーキー政権への反発が強まり、治安は再び悪化し、小規模な戦闘が続くことになった。オバマ政権は、イラクの政権が自らの手で民主化を進め、社会的な統合を行えるようにするという構想の実現に失敗した。
 2014年(平成26年)8月、失政で支持を失ったマリーキー政権が退陣し、アバディー政権に替わった。これもシーア派の政権である。この政権が内戦を終息し得るかどうか、国際社会の期待は高まらなかった。逆にイラクの内戦が深刻化し、大規模な中東紛争に拡大する可能性が懸念される状況だった。
 アメリカは再びイラクに軍事的に関与せざるを得なくなった。それが同年8月に開始されたISILへの限定的空爆である。空爆にはサウディアラビア、ヨルダン、アラブ首長国連邦等の中東諸国も加わった。重要なのは、アメリカ単独ではなく、サウディをはじめとするイスラーム教諸国、しかもイラクのシーア派政権とは宗派の異なるスンナ派の諸国が参加したことである。だが、地上軍を投入しない限定的空爆で、どの程度の効果が上がるかは疑問視された。

●イランとイラク及びISILの関係

 イラク戦争でフセイン政権が崩壊した後、多数派を占めるシーア派が政治の主導権を握ったことで、イラクではイランが影響力を増した。米国はフセインを叩いたことで、より強大なイランを勢いづけたことになる。
 イランは中東最大の地域大国である。独自に核開発を進めており、米国の盟友イスラエルとは、敵対関係にある。だが、米国としては、イラク国内ではイランと立場を同じくしなければならない。その一方、シリア国内では反イランの行動を取らなければならないという複雑な立場にある。
 イランは、同じシーア派であるイラクのアバディー政権と緊密な協力関係にある。また、シリアのシーア派系アサド政権やレバノンのシーア派組織ヒズブッラとは同盟関係にある。「シーア派三日月地帯」と呼ばれるその影響範囲で、イラクは枢要部をなす。
 シーア派を「信仰上の敵」として、イラクやシリアでジハード(聖戦)を展開するISILは、イランにとって自らの勢力圏を脅かす存在となっている。イランは、ISILの攻勢でシ-ア派政権が揺らぐことを何としても阻止しようとしており、イラクへの関与増大を図っている。だが、その動きは、サウディアラビアなどスンナ派湾岸諸国から強い反発を受けることが確実であり、事態をさらに複雑化させることになる。

 次回に続く。
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人権282~国籍付与は各国が判断

2016-03-22 08:50:46 | 人権
●外国人への国籍付与は各国が独自に判断

 外国人がわが国で参政権を望むならば、日本国籍を取得して日本国民となればよいのである。その道は開かれている。
 日本の場合、永住資格を与える外国人には、2種類ある。特別永住者は、敗戦後、サンフランシスコ講和条約の発効で日本国籍を失った者とその子孫である。一般永住者は、経済的基盤が日本にあること等を条件に法相が永住許可を与えた外国人である。
 特別永住者については、帰化を望まない者には、本国への帰国の道もあるから、一定の期間を決めて、どちらかを選択してもらい、その後、入管特例法を改正して「特別永住者」の制度を廃止することを、私は主張してきた。帰化によって日本国籍を取得した元特別永住者は、基本的に日本国民と同じ権利に限定する。参政権は与えるが、各種の特権、いわゆる在日特権は廃止する。引き続き外国籍のままで日本に在留したい者は、一般永住者の地位で居住を許可する。当然、参政権は与えない。このようにするのがよいと考える。特別永住制度をやめ、すべての在日特権を廃止することが必要である。
 どの範囲の者をその国の国民として認めるかという事柄は、その国の歴史・伝統・政治・経済情勢等によって異なり、それぞれの国が自ら決定することができる。わが国では国籍法で、日本国籍の取得及び喪失の原因を定めている。集団はその構成員を集団の意思で決定できる。構成員の決定は、集団の自決権の最も重要な事項である。
 日本国籍を取得する原因には、出生・届出・帰化の3つがある。出生による国籍の取得は、出生の時に父または母が日本国民であるとき、 出生前に死亡した父が死亡の時に日本国民であったとき、日本で生まれ、父母がともに不明のとき、または無国籍のときがある。届出による国籍の取得は、一定の要件を満たす者が法務大臣に届け出ることによって日本国籍を取得する制度である。これには、認知された子の国籍の取得、国籍の留保をしなかった者の国籍の再取得、その他の場合がある。帰化による国籍の取得は、日本国籍の取得を希望する外国人からの意思表示に対して、法務大臣の許可によって、日本の国籍を与える制度である。
 これら3つのうち最も代表的なのは、出生による国籍付与である。出生による国籍付与には、血統主義と出生地主義がある。政府が親の血統と同じ国籍を子に与える、つまり自国民から生まれた子に自国の国籍の取得を認めるのが、血統主義である。これに対し、政府が出生地の国籍を子に与える、つまり自国で生まれた子に自国の国籍の取得を認めるのが、出生地主義である。前者を「血の権利」、後者を「土地の権利」ともいう。
 血統主義は、直系家族の価値観を法的に制度化したものであり、出生地主義は、核家族の価値観を制度化したものである。前者の例は1999年(平成11年)以前のドイツ等、後者の例はフランス、イギリス、アメリカ等である。わが国は直系家族の社会であり、出生による国籍付与は、血統主義を原則としている。わが国は血統主義において父系主義を採ってきたが、昭和59年(1984)の国籍法改正の際に、父母両系主義を採用した。なお、出生による国籍付与の例外として、日本で生まれたが父母の身元が分からなくなった子や、無国籍の両親から生まれた子には日本国籍を与えている。
 次に重要な国籍取得の原因は、帰化である。わが国の国籍法は、帰化による国籍取得について、住所・能力・素行・生計・重国籍防止・憲法遵守の6つの一般的な条件を定めている。これらの条件を満たせば、帰化することが可能になる。
 外国人に日本国籍を与える際の条件は強化する必要がある。それには、日本国民とは誰か、どういう人間が日本国民になれるのか、日本国籍を持つ人間は何をなす人間か、ということを明確にしなければならない。日本国籍取得を希望する外国人には、日本語能力の試験をし、日本の伝統・文化・国柄への理解、法制度への理解等につき、学習と試験を行なうべきである。そして、国民的アイデンティティを共有し、日本国民になりきるように教育する。これは出自の文化、言語、習慣を捨てることを意味しない。シナ系日本人、コリア系日本人、ブラジル系日本人等として、日本の言語・文化・慣習を主としつつ、出自の文化、言語、習慣を副として保持すればよい。それは自由である。
 仮にこのようにしても、なお国籍を取得して帰化した渡来系日本人が、日本国よりも出身国への忠誠を心に抱き、出身国及び同じ民族の利益のために行動することが考えられる。実際、わが国では、帰化して日本名を使用しているコリア系日本人が、韓国または北朝鮮の国益や同じ民族の利益を追求して、活発に政治活動をしている。帰化した者と帰化しない者が連携して、法制度が自分たちに有利になるように、日本の政治を変えようと活動してきた。それゆえ、国籍付与において、日本国への忠誠・義務は絶対条件である。そして、そのためには、日本人がまず自国への忠誠・義務を明確化することが必要である。特に国防の義務がポイントとなる。私は、憲法を改正し、国民に国防の義務と国家忠誠の義務を定めるべきと考える。
 上記に関連して二重国籍の問題がある。この事案については、昭和59年(1984)の国籍法改正において、二重国籍の事後的解消のための国籍選択制度が導入された。例えば、日本人の子供がアメリカのような出生地主義の国で出生した場合は、日米両方の国籍を取得することもでき、二重国籍という現象が生ずる。これを解消するため、一定の期間内にいずれかの国籍を選択させる制度である。
 わが国においては、帰化しようとする者は無国籍であるか、原則として帰化によってそれまでの国籍を喪失することを必要とする。本人の意思によってその国の国籍を喪失することができない場合は、例外として対応する。国によっては、外国人に二重国籍を認めているところがある。出生地主義の国のうち、フランス、アメリカ等は二重国籍を認めている。ただし、アメリカはやむを得ず認めているものであり、二重国籍は国家安全保障上望ましくないという見解を政府が示している。
 私は、わが国において、外国人への二重国籍許可に反対する。外国籍を持ったまま、日本国籍も与えるとすれば、その人は、二つの国家に帰属することになる。この場合、わが国がその国と戦争になったら、二重国籍者は相手国を利する行為を行なう可能性があるから、国家安全保障上、二重国籍を認めるべきでない。また、国益に係る重大な問題が生じた場合、二重国籍者はもう一つの祖国の利益のために行動する可能性があるから、国益確保上、二重国籍を認めるべきでない。
 とりわけわが国は、現状、憲法に国民に国防の義務がなく、国家忠誠の義務もまた憲法に規定されていない。また刑法は外患援助罪のうち、第83条から89条の通謀利敵に関する条項が、敗戦後GHQにより削除されたままである。スパイ防止法も制定されておらず、日本は「スパイ天国」といわれる。このような状態で、外国人に地方参政権を付与したり、二重国籍を認めたりすることは、危機管理上、危険である。
 わが国は、日本列島から外国人を排斥したり、追放したりはしていない。日本国は帰化したいという外国人には門戸を開いている。ただし、その国籍付与は安易に行ってはならない。外国人の個人の権利よりも、日本国民の集団の権利を尊重するのは、当然の態度である。それは集団の自決権の行使であり、集団の自決権は「発展する人間的な権利」としての人権の重要な要素である。

 次回に続く。
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