ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

「待ったなし! 憲法改正の国会論議」全国大会の報告

2018-12-07 14:26:20 | 憲法
 憲法改正をめざす国民運動を展開している「美しい日本の憲法をつくる国民の会」は、12月5日都内の砂防会館で、「待ったなし! 憲法改正の国会論議」と題して全国大会を開催しました。私は一賛同者として参加しました。

 「国民の会」は平成26年に憲法改正賛同者拡大運動を開始し、本年1月に目標の1,000万人署名を達成しました。この度の集会では、署名1,005万人、国会議員署名408名、地方議会決議36都府県議会と報告され、衆参国会議員110名、同代理123名、全国からの賛同者約1,100名が参集しました。



 同会の共同代表を務める櫻井よしこ氏は、基調提言で「憲法改正の発議を国会議員にお願いする時期は過ぎた。お願いする立場から要請する立場に移り、国民投票を一日も早く実現したい。今日の大会は、その第一歩としたい」と訴えました。
 自民党、公明党、日本維新の会、希望の党、未来日本の代表が挨拶し、憲法改正に向けての各党の考え方や取り組みを述べました。各党は、憲法改正に向けてさまざまな改正・新設の項目を揚げましたが、最大の焦点である9条について、改正を具体的に訴えたのは、自民党と希望の党のみでした。維新の会は、9条に関する議論を進めることを明らかにするに留まりました。
 これに対し、民間団体や地方議会の代表者から、憲法改正・国民投票の実現を求める熱いメッセージが発せられました。

 満場一致で採択された声明文は、「今後、衆参憲法審査会での憲法論議の充実と超党派による合意形成、さらに早期の国会発議と国民投票実現をめざし、次のことに取り組む」として、下記の二項目を掲げました。

一、各党が、政局を離れて憲法審査会での審議を促進し、改正原案作成に向けた合意形成に努めるよう要望する。
一、全国の選挙区に、国民投票に向けた啓発活動の推進拠点を設立し、憲法改正の国民的論議を地方から醸成する。

 まずは、第一項の通り、憲法審査会がまともな議論の場として機能し、国家の根本問題がまともに議論されるようにならねばなりません。次に、第二項について補足すると、全国289ある衆議院小選挙区のすべてに国民投票の連絡会議を設立するというもので、既に202が開設されており、年内に全区での達成が目指されています。

 現在、国会では、具体的な改正案を作成したり、積極的に議論に臨もうとする政党がある一方、野党のうち6党は憲法審査会の開催自体に反対しています。こうした国会の現状は国民の現状の表れであり、戦後日本人の多数が自己本来の日本精神を失って、精神的に分裂状態に陥っていることの反映です。
 今後、日本精神の復興が進めば、国民の意識が変わり、国会議員の議論も変わるでしょう。これから、どこまで国民及び国会議員の意識を高められるか。それによって憲法改正の成否が決まり、また改正内容も変わってくると思います。私たち日本を愛する日本人は、最善の努力をすべき時にあります。頑張りましょう。
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安倍首相が自民総裁三選と憲法改正に意欲

2018-07-22 13:44:51 | 憲法
 安倍首相が7月20日の記者会見で、自民党総裁3選に意欲を示し、憲法改正への強い意志を表すとともに、憲法改正が総裁選の大きな争点になると明言しました。

 「本日も3万人を超える自衛官の皆さんが今般の豪雨災害(註 西日本豪雨)の被災地において行方不明者の捜索や、あるいは給水、入浴、そしてまたゴミの処理などに本当に懸命にあってくれています。連日猛暑が続く過酷な現場でも被災者の皆さんのために、黙々に献身的に任務をまっとうする自衛隊の諸君はまさに国民の誇りだと思います」
 「私は毎年、防衛大学校の卒業式に総理大臣と出席し、そして任官したばかりの若い自衛官たちから『事に臨んでは危険を顧みず、責務の完遂に務め、もって国民の負託に応える』。この重たい宣誓を総理大臣として、そして最高指揮官として受けます。彼らは国民を守るために命をかけます」
 「しかし、近年でも自衛隊は合憲と言い切る憲法学者は2割にしかなりません。その結果、違憲論があることについての記述がほとんどの教科書には載っています。自衛隊の、自衛官たちの子供たちもその教科書で勉強しなければならないわけでありまして、この状況に終止符を打つのは今を生きる私たち政治家の使命であると、こう思っています」
 「憲法にわが国の独立と平和を守ること、そして自衛隊をしっかりと明記し、その責任を果たしていく決意であります。そうした思いのもと、先の昨年の総選挙では初めて選挙公約の柱、主要項目のひとつとして憲法改正を位置づけ、4つの項目の一つとして自衛隊の明記を具体的に掲げました。その上で私たちは国民の信を得て、また選挙に勝利をして、政権与党として今の立場にいるわけであります」
 「本年の党大会では、党の運動方針として公約に掲げた4項目の議論を重ね、憲法改正案を示し、憲法改正の実現を目指すとの方針を決定したところであります。これに沿って意見集約に向けた党内議論が精力的に行われてきました」
 「自民党というのは自由闊達な議論を行いますが、さまざまな意見が出ますが、いったん結論が出れば一致結束してその目標に向かって進んでいく。それが政権与党としての責任感であり、矜持でもあります。私としては、これまでの議論の積み重ねの上に自民党としての憲法改正案を速やかに国会に提出できるよう取りまとめを加速するべきと考えております」
 「その上で、9月に総裁選挙が行われますが、憲法改正は立党以来の党是であり、自民党としても長年の悲願でありますし、今申し上げましたように4項目を掲げ、われわれはみんなで選挙を戦ったわけであります。そして、それはまさに党としての公約であります。当然ですね、候補者が誰になるにせよ、次の総裁選においては当然、候補者が自分の考え方を披瀝する、大きな争点となると考えます」
 「憲法改正は衆議院、参議院、両院の3分の2を得て発議をし、そして国民投票において過半数の賛成を得なければ実現できません。政治は結果であります。つまり発議できる3分の2を得ることができるかどうか、そして国民投票でそれを成立させることができるかどうか、賛成を得ることができるかどうかという現実にしっかりと目を向けながら結果を出していく。そういう姿勢を私たちには求められている。先ほど申しあげました、今を生きる私たちの責任とは何かということを念頭に議論が行われるものと思います」

 この希にみる政治家が率いる政権で憲法改正を成し遂げることができなければ、再び日本の再建の道を開くチャンスは、容易に訪れないでしょう。まさに日本人の正念場です。

 憲法と自衛隊、自民党の改正案、憲法改正への動き等については、下記の拙稿をご参照下さい。
 「いまこそ憲法を改正し、日本に平和と繁栄を」
http://khosokawa.sakura.ne.jp/opinion08q.htm
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改憲論28~日本を愛する国民は、どう考えるとよいか

2018-06-25 12:52:37 | 憲法
 最終回。

結びに~日本を愛する国民は、どう考えるとよいか

 現在のわが国の国民及び政治家の状態では、一気にめざすべき内容の憲法に改正することはできない。その理由は、日本国民の多くがまだ日本精神を取り戻していないからである。理想を明確にするとともに、現実をしっかり見据える必要がある。
 国会は、昨29年の衆院選後、いわゆる改憲派が8割超となっているが、第9条の改正には、発議の可能な衆参両院で総議員の3分の2以上が賛成するかどうかは微妙な状況である。賛成は自民党と維新の会と一部野党の議員のみ。連立与党の公明党が賛成しないと、自公による発議は難しい。
 また、国民の現状は、憲法改正に反対の人たちが3割以上いる。9条改正に反対の人たちは、4割以上いると見られる。態度がはっきりしない無党派層は、マスメディアやその時の雰囲気の影響を受けやすい。こうした中で、改正しようとするには、国民投票で過半数を得られるような案を追求せざるを得ない。
 日本を愛する人々の活動によって日本精神の復興が進めば、国民の意識が変わり、国民が選ぶ国会議員も変わる。これから、どこまで国民及び国会議員の意識を変えられるか。それによって、憲法改正の成否、また改正内容が変わる。
 特に国民の半分を占める女性の賛否が、改正を左右する。女性が国防の重要性を理解し、家族を守るため、平和と安全を守るために、9条を改正しようという意識を高めることに、日本の運命がかかっている。そうしたなか、「国防女子」を名乗る女性たちによる、女性を対象とした啓発活動が広がっている。(葛城奈海、川添恵子、赤尾由美氏等)また、女性による「憲法おしゃべりカフェ」が全国で展開されている。日本を愛する女性たちの活動が、日本の国と国民を救う可能性がある。
 もし9条1項、2項維持で3項に自衛隊を明記という案が、国会で成立し、これに賛成か反対かという国民投票が行われることになった場合、日本を愛する国民はどうすればよいか。
 私はもし先の案が発議された場合は、これに賛成するのが適当であると考える。理想的な案でないからと反対したり、棄権するのは、結果としてよくない。というのは、その案が国民投票で否決されれば、現状のままとなる。現状維持を望むのは、共産党、社民党、立憲民主党、旧民進党の一部等の左翼や左派の政党であり、それらと同じ側に立つことになってしまう。また、仮に国民投票で9条改正が否決された場合、もう一度やり直すのは、極めて難しい。国民投票に諮る以上は、過半数を獲得しないと、その後の全面改正への道も、非常に険しいものになる。失敗は許されない。また、9条改正が否決されれば、自衛隊は違憲だという主張が強まり、これまで統治行為論によって明確な判断を避けてきた裁判所が、国民投票の結果を受けて違憲の判決を出す可能性もある。それによって、自衛隊の解散という事態になったら、日本は諸外国に侵攻・占領されて、自滅する。
 まずは現状を打破するため、現実に可能な案で憲法を改正し、それを第一歩として、あるべき憲法を目指していく。そういう考え方が必要な状況である。
 繰り返しになるが、日本国憲法は全面的な改正が必要であり、数項目の改正や新設は、全面改正に向けた第一歩にすぎない。できるだけ早く憲法を本格的に改正し、日本の再建を進めなければならない。(了)
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改憲論27~護憲派の主張の誤り(続き)

2018-06-21 09:31:28 | 憲法
11.護憲派の主張の誤り(続き)

 次に、護憲派の主張に関連することを、補足として3点述べる。

 第一に、憲法改正反対派の中には、「安倍政権における改憲に反対」という主張がある。安倍政権でなければ改憲に賛成するのかわからないが、憲法改正はどの政権ならよく、どの政権ならダメというような課題ではない。国家の根本的なあり方に関する課題だからである。反安倍派は、安倍政権への不信感を駆り立て、政権の支持率を下げ、それによって憲法改正を阻止しようとしているのである。憲法改正という重大な課題を、政局の問題にし、政党間の闘争に使っているものであり、立法府のあるべき姿から大きく外れている。

 第二に、自衛隊を支持する人々の中には、自衛隊が軍隊になると暴走するのではないかという不安の声がある。わが国では、戦前軍部が暴走し、政治家を暗殺したり、政府の命令を受けずに行動したりして、不幸な戦争に突入した歴史がある。それゆえ、こうした不安を持つ人は少なくないだろう。しかし、軍隊を持てば軍隊が暴走するのであれば、世界中の国々がそうなっているだろう。先進的な民主国家である米国、英国、フランス等の国ではそういうことは起っていない。民主主義が発達している国では、シビリアン・コントロール(文民統制)が行われ、政府が軍隊を統制している。戦前、わが国が軍事同盟を結ぶ枢軸国だったドイツ、イタリアは敗戦後も軍隊を持っているが、軍隊の暴走は起っていない。軍隊が暴走するのは、民主主義が発達していない国や、独裁者のいる国、全体主義の国である。
 戦前のわが国では、天皇が軍隊の統帥権を持っていたことを理由にして、軍部が政治の介入に反発した。また憲法に内閣総理大臣の記載がなく、政府の中心が不明確だった。そのため、軍部の暴走を招いてしまった。戦後のわが国では、シビリアン・コントロールが憲法に定められており、憲法改正の際には、これをさらに明確に定めることで、政府による統制をよりしっかりとしたものにできる。また、国民が政治に関心を持ち、日本の平和と繁栄を維持できるような政治が行われるように選挙等で自らの意思を示し、民主主義がより良く機能するように努力することが必要である。
 
 第三に、現行憲法が改正されぬままの状態で、他国の侵攻を受けた場合、武力行使と交戦権の行使ができるのかという問題についてである。護憲派は、こういう事態において、どうやって国民の生命と財産、国家の主権と独立を守るかを、まともに考えていない。また、国民に考えさせないようにしている。
 他国の侵攻を受けた場合、わが国は自衛権を行使して、武力行使することができる。他国の侵攻を受けた場合、内閣総理大臣は自衛隊に防衛出動を命じる。ただし、武力行使は「我が国に対する武力攻撃が発生」し、「これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある」と判断された存立危機事態に限る。存立危機事態と認定すれば、内閣総理大臣は自衛隊に武力行使を命令する。
 次に、武力行使以外の交戦権についてはどうか。交戦権は、国家が交戦国として国際法上有する権利であり、戦争の際に行使し得る権利である。その権利の中に、武力行使を含む。同時に交戦権は、敵国との通商の禁止、敵国の居留民と外交使節の行動の制限、自国内の敵国民財産の管理、敵国との条約の破棄またはその履行の停止が、合法的な権利として含まれている。これらを行使し得るかという点が問題になる。
 9条1項は侵攻戦争のみを放棄したものとし、2項の「前項の目的を達するため」という文言は侵攻戦争の放棄という目的を意味し、自衛のための戦力は保持できるという解釈に立てば、9条2項の後半は自衛戦争に関する交戦権までを否認したものではない。だが、わが国の政府は、9条1項は侵攻戦争のみを放棄したものとし、2項の「前項の目的を達するため」という文言は侵攻戦争の放棄という目的を意味するとしながら、自衛のために持てるのは戦力ではなく「最小限度の実力組織」であるという立場を取っている。その場合、わが国はこの「最小限度の実力」の行使を含む交戦権を行使し得るのかが問題となる。一方、左翼勢力は交戦権を国家が戦争をなし得る権利と解釈し、自衛戦争も含めて交戦権を否認したのだと主張する。ここにも解釈上の対立や混乱がある。
 こうした状態において、わが国に対して他国が武力攻撃をして存立危機事態が発生した場合、内閣総理大臣は武力行使以外の交戦権についてどのように判断して、対処するのか。私は、憲法学者や野党等に憲法解釈上異論があることは承知しつつ、国民の生命と財産、国家の主権と独立を守るために、国家最高指導者の責任において判断し、勇断を振るうべきと考える。
 存立危機事態における交戦権の行使は、憲法の規定に違反したり、規定を無視した超法規的措置ではない。憲法解釈上の問題であり、その解釈権は行政において内閣総理大臣にある。内閣総理大臣は、自信を以て国家国民のために、自衛の権利を行使すればよいのである。

 次回に続く。
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改憲論26~護憲派の主張の誤り

2018-06-19 12:20:23 | 憲法
11.護憲派の主張の誤り

 第9条の改正に反対する護憲派の人々は、次のように主張する。

 (1) 9条が日本の平和を守ってきた
 (2) 軍隊を持ったら戦争が始まる。
 (3) 日本を戦争の出来る国にするのか
 (4) 9条改正は徴兵制につながる

 このように主張して9条改正の危険性を説く人たちは、ただ、恐怖心を煽って、国民に国防の大切さを考えさせないようにするものである。
 これらの主張について反論する。

 (1)の「9条が日本の平和を守ってきた」という人たちは、外国との紛争は話し合いで解決すべきという。すべての紛争を話し合いで解決できるなら、各国は軍隊をなくすだろう。
実際に日本の平和が守られてきたのは、9条があったからではなく、自衛隊を持ち、日米安保を結んでいるからである。
 旧ソ連から日本が守られたのは、北海道に自衛隊の精鋭の部隊を置き、「北の守り」を怠らなかったからである。もし自衛隊を解体し、日米安保も破棄していたら、非武装中立路線をとっていたら、敗戦前後にソ連軍が満州や樺太等に侵攻した際の惨事が繰り返されただろう。
 もっとも悲惨なのは、仏教国で平和を愛し、小さな軍隊しか持たなかったチベットは、中国の人民解放軍に侵攻され、多数のチベット人が虐殺や迫害を受けている。
 中国は尖閣諸島周辺で領海侵犯を繰り返しているが、尖閣諸島を守ることができているのは、海上保安庁が警備し、後ろに海上自衛隊が控え、また日米安保によって米軍が存在するからである。
 憲法に9条を規定すれば平和が守られるのならば、どうして日本にこの憲法を押し付けた米国は、自国の憲法に9条の内容を取り入れないのか。米国以外の国も平和を愛する国は、どうして9条の内容を取り入れないのか。現実の国際社会では、9条の内容は空想的な理想論にすぎず、そのような規定では自国を守ることができないことがわかっているからだろう。

 (2)の「軍隊を持ったら戦争が始まる」――護憲派はこのように言って、特に女性の意識を改正反対に誘導している。だが、軍隊を持てば戦争が始まるというなら、世界中で軍隊を持つ国同士が絶えず戦争を行っているだろう。ヨーロッパ諸国は、イギリス、フランスをはじめみな軍隊を持っているが、第2次大戦後、平和を保っている。第2次世界大戦の枢軸国だったドイツ、イタリアも軍隊を持っているが、軍隊を持ったからといって周辺国に侵攻していない。戦争を仕掛けて領土を略奪する国は、独裁者のいる国や全体主義の国が多い。これに対し、自由民主主義国は、戦争抑止力として、近隣諸国から侵略されないように軍隊を持っている。また、国連を通じて平和を守るために協力し合っている。
 また、国連憲章は、第51条に自衛権を規定し、各国の自衛権を認めている。そのために軍隊を持つことを当然のこととして認めている。そのうえで国際平和を維持しようというのが、国連である。
 護憲派は、具体的にどのように国を守るのかという疑問に、答えようとしない。ただ戦争になると、人々に不安を煽っており、無責任である。

 (3)の「日本を戦争の出来る国にするのか」ということについては、日本の周辺のことを見て、考えてもらいたい。
 まず中国である。日本から中国に戦争を仕掛けたらどうなるか。中国は、核兵器・ICBM・空母等を持っている。「待ってました」とばかりに叩き潰されるだけである。北朝鮮についても、もし日本から攻め入ったら、中距離ミサイルをしこたま打ち込まれる。大都市を中心にサリン等の毒ガスを大量に散布され、大悲劇を招くだろう。ロシアについてもそうで、ロシアは米国に次ぐ世界第二の核大国であり、世界最先端の最新兵器を開発している。徹底的に国土を破壊され、占領・支配を受けるだろう。韓国は日米と連携している国だが、もし日本が韓国に侵攻したならば、韓国は徴兵制の国であって国民は北朝鮮の侵攻に備えて軍事訓練をしているうえに、強い反日感情を持っている。こちらから攻めたら、烈しくやり返されることは、火を見るより明らかである。
 このように日本の周りの国々を考えると、日本がこちらから戦争して得になるような国はない。

 (4)の「9条改正は徴兵制につながる」という主張については、9条改正と徴兵制は直接関係がない。
 最も重要なことは、まず国民が自ら国を守るという意識を持つことである。護憲派には、日本人として自ら日本を守ろうという姿勢がない。外国が侵攻してきたら、無抵抗で降伏することは、国民を略奪・虐待の危険にさらすことになる。むしろ日本が外国に征服・支配されることを望んでいるような倒錯した心理が感じられる。護憲派には、在日韓国人・中国人や韓国・中国からの帰化人が多い。彼らは、母国または精神的な母国の利益のために、日本を丸裸にして侵攻しやすいように図っているものと見るべきである。
 国民が国防の義務を負うことと徴兵制を定めることは、別である。軍隊には、徴兵制と志願制がある。国によって、志願制を採用している国と徴兵制を採用している国がある。それはその国の事情によって国民が選択することである。憲法に国防の義務を定めているが、徴兵制を敷いていない国もある。米、カナダ、英、仏、独、オランダ、ベルギー、イタリア、スペイン、ポルトガル、ポーランド等は、徴兵制を廃止して志願制に変更したが、憲法で国民に祖国防衛の義務を課している。
 世界的な傾向としては、志願制を採用する国が多くなっている。理由の一つは、軍事技術がハイテク化し、現代の軍隊は全職種・全部隊が最新の技術と武器を用い、高度に専門化されていることである。そのため、専門的な訓練を受けていない者は役に立たないという考え方が主流になっている。
 そうしたなかで徴兵制を維持している国もある。韓国は北朝鮮から国を守るため、徴兵制を続けている。また、注目すべきは長く永世中立国だったスイスは、徴兵制を採っていることである。スイスでは数年前に一部の国民が徴兵制廃止を求め、国民投票が実施されたが、徴兵制廃止は反対多数で否決された。国民多数が徴兵制の維持に賛成したのである。
 徴兵制を採っている国においては、良心的兵役忌避を権利として認めたり、兵役の代わりに社会奉仕活動を選択することができるようにしている場合がある。本人の意思と権利を尊重しているものである。
 国防の義務というと、強制的な徴兵制をイメージし、子供が戦争に生かされるのではないかと心配になる親がいるだろう。だが、もし外国の侵攻を受けた時には、外敵から自分や家族を守るための訓練を受け、そのために必要な装備を持っていなければ、多くの人が殺されるのである。子供であれば、親や家族を守るために必要な技術と武器を備えていなければ、何もすることもできずに愛する人々の生命を奪われるのである。その点で、国民全体が自国を守る意識を持ち、基礎的な訓練を受け、必要な装備をすることは、自分と家族を守るために必要なことである。
 私が日本にとって最も参考にすべきと思うのは、先に触れたスイスである。スイスは永世中立国として知られる。近年国連に加盟したので、永世中立国ではなくなったが、スイスは非武装中立ではなく、国民皆兵の国である。国民が一致団結して、国家を防衛することを徹底している。国民が一致団結して外敵に対処する国は、容易に攻め込めない。ヒトラーでさえ、スイスには攻め入らなかった。スイス政府は、国民に『民間防衛』という冊子を配布している。国民は常に訓練を怠らない。道路・施設等のすべてが、いざ外敵が侵攻してきたときには、国を守るために使用できるようになっている。また、小学校など様々の施設の地下に、核シェルターがあり、仮に核戦争になっても国民のほとんどが生き残れるように備えている。こうしたスイスの例から、日本人が国防のあり方を学ぶことのできることは多い。
 9条を改正したうえで、国を守るためにどういう制度にするかは、国民の意思で決定すればよいことである。9条を改正すれば、いつの間にか徴兵制が敷かれるということはない。まず国民が自ら国を守るという意思を持ち、国を守るためにはどういう体制にするのがよいかを国民全体で考えていけばよいのである。

 次回に続く。
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改憲論25~目指すべき第9条の内容

2018-06-16 08:51:47 | 憲法
10.目指すべき第9条の内容

 国家であれば国防は当然整えなければならないものである。国防を完備してはじめて真の平和が得られる。一国として立つ以上は、独力で防備を確立すべきである。外国との条約は、その上で安全保障を強化するためのものでなければならない。また、自分の国を一致協力して守ることは、国民の当然の義務である。
 こうした本来の国家と国防のあり方から考えると、現在の自民党や国会の9条論議はまだかなり議論の水準が低い。それは、国民の3割以上が憲法改正に反対し、特に第9条の改正には4割ほどが反対しているという現実があるからだろう。
 国防は国を守るためのものであって、他国を侵攻するような軍事力を持つこととは違う。国防とは、川で言えば万が一の災害に備えて築く堤防のようなものである。その備えを怠ったならば、大雨になった時、村も田んぼも皆流されてしまう。
 家で言えば、万が一のためにかける鍵のようなものである。「人を疑うのはよくない」といって鍵をかけるのをやめたら、泥棒に狙われる。泥棒に入られてからあわてても、後の祭りである。非武装主義を説く人々は、泥棒が入ったら、「ようこそいらっしゃいました。何でも取っていってください。家も土地もどうぞ、お取り下さい」とでも言うのだろうか。愚かなことである。
 国防において最も大切なことは、国民が自ら国を守るという意識を持つことである。
 独立主権国家において、国防は国民の当然の義務である。人々は普段の生活において、助け合いや協力を行う。災害が起きた時には、特にそれが必要になる。そして、外国の侵攻は、国民が互いに団結すべき最大の危機である。その危機に対処するために、互いに協力することは、国民としての義務である。
 しかし、現行憲法には国防の義務がない。憲法に定められている義務は、納税・勤労・教育の三つである。それらのうち、勤労と教育は権利の側面が大きく、実質的な義務は納税のみである。税金さえ納めていれば、基本的人権を保障されるというのが、戦後の日本である。だが、国民の権利は誰が守るのか。日本人以外は誰も守ってくれない。国民が互いの権利を互いに守る。そこにお互いの義務が生じる。権利と義務の両面のバランスが必要である。
 平成29年6月にNHKが「平和に対する意識調査」を行った。「いま日本が他の国から侵略を受けて戦うことになったら、あなたはどうしますか」という質問に対して、18~19歳の回答者では、「自衛隊に参加して戦う」が3.8%、「物資の輸送や負傷者の看護など後方支援活動には参加する」が41.6%、「すべて政府と自衛隊に任せる」が34.2%、「海外に逃げる」が10.2%だった。最後の「海外に逃げる」が1割以上いることが、戦後の日本、そして現状の日本をよく表している。
 戦後の日本では、国民の多くが国家として最も重要な国防に関する意識を失ってしまった。自民党案においても、国防の義務を定めていない。そういう議論すら、呼びかけようとしない。それは、反発する国民が少なくないからだろう。だが、独立主権国家では、国民が国民の権利の保障を受ける一方で、国防の義務を負うことは当然である。わが国で国防の義務のないことは、独立主権国家として致命的な欠陥である。国民が一致団結して国を守るという精神を取り戻さないと、他国の侵攻から自分や家族の生命や財産を守ったり、国家の独立と主権を守ることはできない。
 また、独立主権国家が独立と主権、国民の生命と財産を守るために軍隊を持つのは当然のことである。日本の国家としてあるべき姿は、今の自衛隊をそのまま維持するのではなく、日本を守るための軍隊を設けることである。その軍隊は、自国を防衛するために必要な戦力を持つとともに、国際的な平和維持活動を担う日本軍となる。また、自衛のために行う戦争や国際平和維持活動において、交戦権を行使するのは、当然である。
 私は、目指すべき憲法には、安全保障の章を設け、以下のような要素を盛り込む必要があると考える。
 国際平和の希求/侵攻戦争の否定/平和的解決への努力/個別的・集団的を含む自衛権の保有と行使/国民の国防の義務と権利の一時的制限/国軍の保持/国際平和維持のための協力/最高指揮権の所在/軍の活動への国会の承認/軍人の政治への不介入/軍人の権利の制限/軍事裁判所等である。これらを盛り込んだ条文案は、先に記載したとおりである。

 次回に続く。
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改憲論24~民間における憲法改正運動

2018-06-14 09:33:37 | 憲法
9.民間における憲法改正運動

 政界の動きに続いて、次に、民間の動きについて述べる。民間の動きのうち、最も注目すべきものは、平成28年(2016年)10月に設立された「美しい日本の憲法をつくる国民の会」である。憲法改正を目指す国民運動を展開する最大の民間団体となっている。ジャーナリストの櫻井よしこ氏、杏林大学名誉教授の田久保忠衛氏、日本会議名誉会長・元最高裁判所長官の三好達氏が共同代表を務めている。
 同会は、設立以来、下記の方針を掲げて活動を続けている。

一、 憲法改正の早期実現を求める国会議員署名及び地方議会決議運動を推進する。
一、 全国47都道府県に「県民の会」組織を設立し、改正世論を喚起する啓発活動を推進する。
一、 美しい日本の憲法をつくる1000万人賛同者の拡大運動を推進する。

 本年3月14日「美しい日本の憲法をつくる国民の会」は、都内の憲政記念館で中央大会を開催した。私は一賛同者として参加した。
 同会は本年1月に憲法改正賛同者拡大運動の目標である1000万人署名を達成した。この度の集会では、衆参国会議員71名、約800名が参集する中で、その報告が行われた。
共同代表の櫻井よしこ氏は、基調提言で「日本の憲法に日本の心を書き込むために、変えることのできるところから変えていかねばならない」と訴えた。
 続いて、平成30年度の国民運動方針として、

(1)国民の9割が支持する「自衛隊」の根拠規定を憲法に明記する
(2)大規模災害に際し、国民の生命と安全を守る緊急事態条項を憲法に新設する

などを掲げ、国民運動をさらに推進することが発表された。
 これを受け、自民党、公明党、希望の党、日本維新の会の代表が憲法改正の国会発議へ向け、各党内での改正論議の実情や改憲項目について語った。
 自民党憲法改正推進本部顧問の古屋圭司氏は、党内で9条、緊急事態条項等の4項目が議論されていることを報告し、「改憲の提案は憲法審査会しかできない。各党はしっかり意見を出して議論しようではないか」と呼びかけた。公明党の斉藤鉄夫憲法調査会会長代理は、党内に自衛隊について「明記すべきだという意見と、必要ないという2つの意見があることを正直に申し上げる。一生懸命議論しているところだ」と説明した。他党代表者も国会で積極的に議論を進めていく決意を表明した。
 満場一致で採択された大会決議文は、「極東情勢が緊迫し、大規模災害が予想される今、各党は国民の生命と安全を守るため、憲法改正原案を速やかにとりまとめ、年内の発議を実施すべきである」とし、上記(1)(2)の2項目を国会議員に強く要望した。
https://kenpou1000.org/news/post.html?nid=63
 私見を述べると、(1)は、9条改正の具体的な条文案を提示するものではなく、自衛隊明記であれば、1項2項そのままの案も2項削除の案も許容、簡単な規定も詳細な規定も許容というストライクゾーンの広い要望である。(2)もまた条文案を示すことなく、条項の新設を要望するという大まかな要望となっている。
 幅広い国民運動として、憲法改正を推進し、国民投票で過半数が賛成して改正を実現し得る案を国会議員に求めるには、現状の日本ではこのような要望の仕方になるものと私は理解している。
 3月25日に自民党大会で発表された改正案は、(1)(2)をクリアーする案になっている。仮にこの案が発議されて、国民投票となった場合、過半数の賛成が得られなければ、否決される。一度否決されたなら、もう一度やり直しということは、極めて難しい。
 そこで「美しい日本の憲法をつくる国民の会」は、国民投票で必ず過半数を取るために、次のような運動方針を立てて活動している。(1)全国289の小選挙区ごとに国民投票連絡会議を作る。(2)1000万人署名運動で署名した人々を連絡会議に組織し、改憲賛同者を拡大する。(3)本年5月3日に、全国各地で憲法フォーラムを行う。新作のDVD「今そこにある自衛隊」を映写する。(4)このフォーラムの開催を通じて、10月までに各地で連絡会議を結成する。10月に国民投票連絡会議全国大会を開催する。――年内のスケジュールは、自民党が年内発議を目指していることに対応するものである。もし国会から年内に発議がされた場合、国民投票が本年(30年)12月から31年3月の間に実施される可能性がある。
 現状に鑑みると、国民投票で過半数の賛成を得られるかどうかは、決して容易ではない。各政党の支持層は、国民投票においても、大体それらの政党の考えを支持すると考えられる。昨年10月衆議院選挙での得票率は、自民・公明で49.32%だった。自民・公明・維新では52.5%だった。連立与党の支持層だけでは、過半数に達しない。これに維新の支持層が加わって、ようやく過半数になる。ただし、選挙では、時の状況によって数パーセントの変動は生じ得る。それゆえ、国民投票で過半数を取れるかどうかはギリギリである。左翼や偏向したマスメディアは、大衆、特に無党派層に働きかけて、世論を改正反対に誘導することが予想される。
 また、選挙と違って国民投票では、何でもありである。現金を配っても、物を配っても、戸別訪問をしても違法ではない。憲法改正反対勢力は、国民投票の告知期間になったら、何でもありで活動するだろう。
 憲法改正を目指す勢力は、国民投票で確実に過半数を得ることが、相当厳しい課題であるという認識を持たねばならない。それとともに、改正案は理想目標は明確にしつつも、現実に過半数を取り得る最大公約数的な案を追求せざるを得ないのが、日本の現状である。
 私見を述べると、今回の自民党の改正案は、本来目指すべき条文には程遠い。公明党・維新の会等との協議では、さらに内容のレベルを下げないと、三党以上での合意は難しくなる可能性がある。また、一部の世論調査によると、国民の4割以上が9条の改正に反対している。その中で、国民投票で過半数を得られなければ、憲法は変えられない。
 こうした現状は、戦後日本人の多数が、自己本来の日本精神を失ってしまい、精神的に分裂状態に陥っているからである。敗戦による自信喪失、占領下における日本弱体化政策、左翼や偏向したマスメディアの影響等によって、国民が一致団結して日本を守るという団結心が失われているのである。
 今後、日本精神の復興が進めば、国民の意識が変わり、国会議員の議論も変わる。これから国会発議・国民投票までの間に、どこまで国民及び国会議員の意識を高められるか。それによって、憲法改正の成否が決まり、また改正内容が変わる。日本を愛する人々は、最善の努力をすべき時にある。

 次回に続く。
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改憲論23~今回の自民党の改正案(続き)

2018-06-12 09:30:02 | 憲法
7.今回の自民党の改正案(続き)

 自民党の9条追加の改正案は、9条は変えないということで、改正に反対する心理を考慮したものと思われる。現行9条の規定は「必要な自衛の措置」を取ることを妨げないとし、戦力不保持に関しては、自衛のための戦力の保持ではなく、現状の自衛隊を「必要な自衛の措置を取る」ための「実力組織」として盛り込み、文民統制を定めるものである。
 この案の狙いは、次の点にあると見られる。「自衛の措置」という表現で自衛権を行使できることを明確化しつつ、「自衛権」明記の声にも理解が得られやすい「必要な自衛の措置」という表現を採用した。代わりに「前条の規定は~」と前置きすることで、既存の9条2項との連関性を担保した、と。
 交戦権については、「妨げない」規定によって、戦力ではない実力組織の行動を国際法上有する交戦権の行使と認めることになるのかどうか、この文言だけではわからない点がある。
 しかし、自衛隊を違憲とする解釈の余地のないように根拠規定を設けるとともに、現在は法律上の組織である自衛隊を憲法上の組織に格上げすることにはなる。単なる法律上の組織であれば、左翼政党が政権を取った際、法の改正によって自衛隊を解散することが出来てしまう。憲法上の組織であれば、国会発議と国民投票という手続きを要するから、その地位は法的に安定したものとなる。
 また、山田宏参議院議員は、上記の改正案について次の旨を述べている。「9条2項はそのままでこれまでの政府解釈が維持されるので、『必要な自衛の措置』の範囲は、これまで通り『自衛のための必要最小限のもの』、つまり『個別的自衛権』と『限定的な集団的自衛権』となる」と。
 山田氏の理解が正しければ、改正案の狙いは、現行9条と改正自衛隊法を含む安保関連法の関係を強化することもあると理解される。野党の一部に集団的自衛権の行使を認めた安保法制は違憲だとして改正を求める主張があるからである。
 3月25日の自民党大会で安倍晋三首相兼総裁は、演説で憲法改正について、大意次のように述べた。
 「私は防衛大学校の卒業式に出席した。陸海空の真新しい制服に身を包んで、任官したばかりの若い自衛官たちから『ことに臨んでは危険を顧みず、身をもって責務の完遂に努め、もって国民の負託に応える』と重い宣誓を最高指揮官、首相として受けた。
 彼らは国民を守るために命を懸ける。しかし、残念ながらいまだに多くの憲法学者は彼らを憲法違反だと言う。ほとんどの教科書にはその記述があり、自衛官の子供たちもこの教科書で学ばなければならない。
 このままでいいのか。憲法にしっかりとわが国の独立を守り、平和を守り、国と国民を守る。そして自衛隊を明記し、違憲論争に終止符を打とうではないか。これこそが今を生きる政治家、自民党の責務だ」と。
 二階俊博幹事長は、党憲法改正推進本部が9条を含む「改憲4項目」の「条文イメージ・たたき台素案」をまとめたことを説明。「衆参の憲法審査会で議論を深め、各党の意見も踏まえ、憲法改正原案を策定し、憲法改正の発議を目指す」と明言した。
 同党は、本大会で平成30年度運動方針案を採択。運動方針は、最初の項目に改憲を掲げて「改憲の実現を目指す」とうたい、「憲法審査会での幅広い合意形成を図るとともに、改正賛同者の拡大運動を推進する」と記した。
http://www.sankei.com/politi…/…/180325/plt1803250049-n1.html

 なお、第9条の改正ととともに、早急に新設すべき緊急事態条項については、次のような改正案が示された。

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【緊急事態条項】
第73条の2
大地震その他の異常かつ大規模な災害により、国会による法律の制定を待ついとまがないと認める特別の事情があるときは、内閣は、法律で定めるところにより、国民の生命、身体及び財産を保護するため、政令を制定することができる。
2 内閣は、前項の政令を制定したときは、法律で定めるところにより、速やかに国会の承認を求めなければならない。
(※内閣の事務を定める第73条の次に追加)

第64条の2
大地震その他の異常かつ大規模な災害により、衆議院議員の総選挙又は参議院議員の通常選挙の適正な実施が困難であると認めるときは、国会は、法律で定めるところにより、各議院の出席議員の3分の2以上の多数で、その任期の特例を定めることができる。
(※国会の章の末尾に特例規定として追加)
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 参議院の合区解消と広域地方公共団体の明記、教育の充実に関する条文案は、憲法改正において憲法の根幹に関わるものではなので省略する。
 私は、自民党の今回の改正案は、GHQから押し付けられた現行憲法の呪縛のもとで、国家として生き延びるために、とりあえずのうえに、とりあえずを重ねたような弥縫策だと思う。いずれにしても、日本国憲法は全面的な改正が必要であり、全面改正に向けた第一歩にすぎない。
 さて、自民党は上記のような改正案を以て、各党との議論に臨もうとしている。本年(30年)4月中旬に全国各支部に対して、憲法改正を目指す運動方針を通達し、年内の発議を目指すと聞く。年内発議が実現した場合、単独の国民投票が平成30年12月から31年3月の間に行われる可能性がある。
 だが、まず大きな関門が、連立与党の公明党である。公明党はもともと加憲の立場を取り、9条改正には消極的である。昨29年10月の衆院選での議席減を受け、9条改正には一層消極的な姿勢をみせるようになった。まだ態度がはっきりしない日本維新の会が賛同の方向で議論するかも注目される。自民党の提案を真摯に受け止め、国家国民のために積極的かつ建設的な議論をしてほしいものである。
 立憲民主党など他の野党は改正に反対を唱える者が多く、改正への動きに烈しく抵抗・反発することは確実である。昨29年から野党の多くが森友学園問題、加計学園問題を安倍政権の支持率低下、憲法改正阻止に利用しているが、今年30年に入って浮かび上がった森友文書書き換え問題や自衛隊のイラクでの日報問題も、これと同様にして政治的に利用している。さらに財務事務次官のセクハラ疑惑が重なり、野党の多くは国会で審議拒否の方針を打ち出し、国会が空転する事態となった。こうしたなか、左翼やマスメディアの影響を受けやすい無党派層は、9条改正の危険性を煽る論調や報道に触れると、改正反対に向く可能性がある。それゆえ、なんとか国会で改正案の発議にこぎ着けても、国民投票で過半数の賛成を得られるかどうかは疑わしいという見方もある。そこで重要なのが、国民の側の取り組みである。その点について、次の項目に書く。

 次回に続く。
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改憲論22~今回の自民党の改正案

2018-06-10 06:43:26 | 憲法
8.今回の自民党の改正案

 自民党憲法改正推進本部は、第9条について党内から出された110件の意見をとりまとめ、3月15日の全体会合に、7つの条文案を提示した。それらは、2項削除案と2項維持案の二つに大別された。2項削除案は国防軍保持案と自衛隊保持案に、また2項維持案は自衛隊明記案と自衛権明記案に分かれる。それらは、次のように整理できた。

―――――――――――――――――――――――――――
●2項削除案
(1)総理を最高指揮官とする国防軍を保持(9条の2) <自民党H24改憲草案>
(2)国際社会の平和と安定を確保するため、陸海空自衛隊を保持(9条2項)<石破茂氏らの案>

●2項維持案(自衛隊を明記)
(3)必要最小限度の実力組織として、内閣の首長たる内閣総理大臣を最高の指揮監督者とする自衛隊を保持(9条の2)<執行部が有力とする案>
(4)前条の範囲内で、行政各部の一として自衛隊を保持(9条の2)
(5)前条の規定は、自衛隊を保持することを妨げない(9条の2)

●2項維持案(自衛権を明記)
(6)前2項の規定は、自衛権の発動を妨げない(9条3項)<青山繁晴氏らの案>
(7)前2項の規定は、国の自衛権の行使を妨げず、そのための実力組織を保持できる(9条3項)
―――――――――――――――――――――――――――

 推進本部の3月15日の全体会合では、上記の7つの条文案をめぐって議論された。執行部は、(3)を軸として意見集約を図った。(3)は、①1項、2項を維持、②9条の二を新設、③必要最小限度の実力組織として自衛隊を保持、④首相を最高指揮官とするとして文民統制を明記ーーこれら四点を主たる方針とすると理解されるものだった。
 方針の①は、安倍首相が昨年5月3日に出した考え方で、加憲を原則とする公明党の賛同を求める狙いがある。②は、第9条とは別条を新設することで、第9条は変えないと他党や国民にアピールする思惑による。③は、従来の政府の自衛隊は戦力ではないとの位置づけを維持し、自衛隊の現在の権限や任務が拡大するとの懸念を防ぐ意図がある。④は、憲法に自衛隊をそのまま位置づけると、自衛隊が内閣から独立した存在とみなされる懸念があるので、内閣に属することを明確にする。主旨と見られた。
 執行部は、こうした特徴を持つ(3)で意見集約し、細田博之本部長に今後の対応の一任を取り付ける予定だった。しかし、石破茂元幹事長らを中心に2項削除を強く主張する意見があり、結論を先送りしたと報じられた。
 石破氏は「必要最小限度だから(自衛隊は)戦力でない、戦力でないから軍隊ではない、という論理が分かる人はほとんどいない」と執行部案を強く批判した。「必要最小限度」という表現に関し、松川るい参院議員(元外交官)は「絶対にやめてほしい。何ができる、できないと(解釈論争が)続く」と指摘した。宇都隆史参院議員(元航空自衛官)は「これは政治用語。誰がどのタイミングでどういう根拠で限度を判断できるというのか」と疑問を呈した、と伝えられた。
 3月22日推進本部は、再度全体会合を開いて改正案を議論し、改憲4項目についての意見集約を終了した。第9条の改正案について、執行部が戦力不保持を定めた9条2項を維持し、自衛隊を明記する案でまとめることになった。細田本部長が各党との協議で「9条2項を削除し、新しい規定を設ける有力な意見があることは付記したい」と、石破氏らに配慮する考えを示し、一任を取り付けた。
 その後、25日に行われた自民党の党大会で4項目の憲法改正案が発表された。9条については、現行9条はそのままで、9条の2を新設する案である。現行及び新設の条文を合わせると、次のようになる。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
第9条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

第9条の2 前条の規定は、我が国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保つために必要な自衛の措置をとることを妨げず、そのための実力組織として、法律の定めるところにより、内閣の首長たる内閣総理大臣を最高の指揮監督者とする自衛隊を保持する。
2 自衛隊の行動は、法律の定めるところにより、国会の承認その他の統制に服する。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 度重なる党内論議を経て、自民党は、30年3月下旬に、先の私の分類によれば、Aの「自衛隊は合憲である」の立場に立ち、A2の「憲法上の根拠が弱いので、改正して根拠を明確にする」、また(1)の「最小限度の実力組織で良い」という考えに基づいて、ウの「1項、2項はそのままで、9条の二に自衛隊を明記する」という改正案を提示したのである。

 次回に続く。
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改憲論21~第9条と自衛隊に関する意見の整理

2018-06-08 09:25:15 | 憲法
7.第9条と自衛隊に関する意見の整理

 憲法第9条に関して、自衛隊は合憲か違憲か、改正に賛成か反対かをめぐって、いろいろな意見がある。私は、平成30年3月7日の時点でそれらを次のように整理してみた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
<A 自衛隊は合憲である>

A1 9条改正の必要はない、今のままの最小限度の実力組織で良い〔公明党の現在の考え〕

A2 憲法上の根拠が弱いので、改正して根拠を明確にする
(1)最小限度の実力組織で良い
ア 1項、2項はそのままで3項に自衛隊を明記する〔安倍首相案〕
イ 1項、2項はそのままで3項に自衛権を明記する〔青山繁晴氏らの案〕
ウ 1項、2項はそのままで、9条の二に自衛隊を明記する〔西修氏の案〕
(2)戦力または軍隊とする
ア 1項、2項はそのままで3項に自衛隊(軍隊)を明記する〔篠田英朗氏の案〕
イ 1項はそのまま、2項を削除して改正する
ウ 1項を改正して放棄したのは侵攻戦争のみとし、2項を削除して改正する〔石破茂氏の案、名称は自衛隊〕
エ イのうえで9条の二等を加える〔自民党H24年草案、名称は国防軍。細川の案、名称は国軍、国防の義務を規定〕

<B 自衛隊は違憲である>

B1 解散しなければならない。非武装中立とする。〔旧社会党左派等の案〕

B2 改憲して、合憲にしなければならない
(1)最小限度の実力組織で良い
ア 1項はそのまま、2項を削除して改正し、自衛隊を明記する
イ 1項を改正して放棄したのは侵攻戦争のみとし、2項を削除して改正し、自衛隊を明記する
(2)戦力または軍隊とする
ア 1項はそのまま、2項を削除して改正する
イ 1項を改正して放棄したのは侵攻戦争のみとし、2項を削除して改正する〔高乗正臣氏の案、名称は国軍〕
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 論理的にはさらにバリエーションがあり得るが、実際にある主な意見として、このように整理してみた。
 当時(30年3月7日現在)、自民党内で議論されていたのは、A2の(1)ア、イ、(2)ウの3つの案を中心とするものだった。B2の(2)イは、左翼ではなく、保守派の憲法学者の案である点が注目される。
 自衛隊を合憲とするか違憲とするかは、第9条をどう解釈するかによって分かれる。また、1項をすべての戦争を放棄したものと取るか、侵攻戦争のみを放棄したものと取るかによって、1項の改正の要否が分かれる。
 こうした状況で9条改正を目指すには、まず改正派の中で多数意見を形成しなければならない。そのために民主的な議論を積み重ねる努力が必要である。

 次回に続く。
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