ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

医療制度は根本から論ずべし

2008-05-31 07:02:32 | 時事
後期高齢者医療制度は、施行後国民の多くの不満を集め、見直しとなった。
 私の母も70歳代後半なので、後期高齢者として、医療費の負担増を強いられる立場である。わずかな年金から、相当額の医療費を天引きで引かれるのは、ショックが大きいようだ。
 しかし、国家財政はきわめて厳しい状態にあり、健康医療制度の見直しをしないと、早晩国自体が破綻する。そうなると、あらゆる公的制度ともに医療制度も機能しなくなる。
 私は、この問題は、もっと根本的なところから考えないとだめだと思う。誰が負担するか、いくら負担するかという議論では、根本解決に向いていかない。

●健康に関する意識と生活を変える

 世界保健機構(WHO)は、「健康とは、完全な肉体的、精神的及び社会的福祉の状態であり、単に疾病又は病弱の存在しないことではない」(1951年)と定義している。「健康」とは身体的にも精神的にも社会的にも調和のとれた状態にあることである。
 国民は、自らの健康の維持・増進に努めなければならない。なぜこんな当たり前のことをあえて言うのか。

 多くの人は病気になったら薬を飲む。薬が病気を治すと思っている。実はそうではなく、自然治癒力を備えているから、病気は治る。薬は自然治癒力を補助するに過ぎない。現代人は、不健康な生活をして、病気になり、安易に薬や医者に頼る。そのため、いくら病院を建てても、病院が満杯になり、医者や看護士は過重労働で、自分のほうが健康を損ねるほどになっている。
 わが国は、健康保険制度が発達しているが、その弊害として、国民が過度に医療に頼る傾向に陥り、医療費の支出が国家財政を病気になれば、医者にかかり薬を飲むのが当然と考えている人は、年間に相当額の医療費を支出している。医療費は、各世帯の家計を圧迫しているだけではない。国家財政をも圧迫している。わが国の財政は今日、4分の1が社会保険給付費となっているが、その相当部分を占めるのが、医療費である。医療費は、欧米諸国に比べるとまだ低いもののGDPの8%にも上っている。
 これは、個人としても、国家としても、健康な状態ではない。個人としても、国家としても健康な状態を追求しなければ、病人だらけの財政破綻国家になってしまう。

 すでにわが国は、実質1,000兆円以上の財政赤字を抱える世界最大の赤字国家である。その中で、国民の健康管理の怠慢が、財政赤字を増やす一要因となっている現状は、改善されねばならない。年金制度はすでに実質的に破綻しているが、完全に崩壊する。年金収入を見込んで設計している高齢者医療制度や介護保険制度は機能しなくなる。
 まず自分に生まれつき与えられている生命力を維持・増進するよう努力すること。そういう考え方を、個人も社会も国家も基礎に置くことが必要である。国家の安泰、民族の繁栄は、健康・生命に基礎をおいてこそ実現・維持できる。自分の健康は自分で守る生活が、医療費の縮小、財政の健全化にもつながる。そのことを国家的に推進しなければならないところに来ている。

●アメリカの圧力に対抗・自衛するためにも

 そのうえ、アメリカの強烈な圧力がかかってきている。アメリカは、平成6年(1994)から毎年わが国に「年次改革要望書」を突きつけ、日本の国家・社会の変革を求めてきた。既に金融、商法、郵政、保険、司法制度等の分野で、アメリカ企業が日本に進出し、日本経済を支配するための改革が推し進められている。「第二の占領」といえるほどの動きだが、アメリカによる日本占領は、健康の分野にも及びつつある。
 わが国は、国民皆保険制度で、国民の健康を維持してきたが、アメリカは日本政府にこの制度をやめるよう迫っている。医療に市場原理を導入させ、医療の民営化を推し進めようとしている。目指すのは、アメリカの保険会社が日本の病院を経営し、日本の医療をビジネスの対象とすることである。アメリカ保険業界の要望を容れて、公的保険と自由診療を組み合わせる「混合診療」を取り入れると、富裕層は高度な医療を受けられるようになるが、貧困層は高額の自己負担に耐えられず、まとも医療を受けられなくなる。現在の日米関係では、このアメリカの攻勢を防ぐことは難しい。
 この点からも、国民は、自分の健康を自分で管理し、家族の健康は家族で守ることが、ますます必要となる。食を含む生活の全般について、健康の維持・増進という考え方をしっかり持つことが生活の防衛ともなる時代が確実に来る。今から価値観、考え方を改めることをお勧めしたい。また一人一人の国民の行動が変わらなければ、国家としての取り組みも成功しない。日本を愛する人は、このことを心に銘記したいものである。

●憲法に健康条項を

 人間は体が資本である。それは個人にとっても、国民にとっても同じである。国民は、自らの健康の維持・増進に努めなけばならない。そのことを、私は憲法に規定すべきだと思う。
 
 現行憲法の定める「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を真に意義あるものにするために、私は、憲法に、健康に関する条項を新設し、国民の健康に基礎を置いた国づくりをすべきと考えている。
 以下のような条文を提案している。

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(健康を求める権利と責務)
第四十四条 国民は、自ら及び相互に、健康の維持・増進に努めなければならない。
2 政府は、国民が精神的、身体的、社会的に健康な生活が出来るよう支援するものとする。
http://homepage2.nifty.com/khosokawa/opinion08h.htm
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中国への自衛隊機派遣は見送り

2008-05-30 14:13:16 | 国際関係
 今月28日、中国共産党政府が、日本政府に対し追加支援を要請し、その際に「自衛隊であっても構わない」として、自衛隊の受け入れを表明してきた、という報道が流れた。同日、町村官房長官は、記者団の質問に対し、「中国政府の方から要請がありました。救援物資およびその輸送手段について、自衛隊によるものを含めて要請があったところであります。今、これを受けて政府内で検討しているところであります」「自衛隊のテント、毛布等をですね、自衛隊機で、まあ中国の空港まで運んでもらいたいと。こういう趣旨と私は理解しております」と答えた。
 結局、中国政府が受け入れに難色を示したことにより、わが国の政府は航空自衛隊機の派遣を見送る方針を決めた。被災者への支援と日中関係の好転という点では残念だが、現状ではやむをえない結論だと思う。

 私は、派遣に期待は持ちつつも、実現の可能性は低いのではないかと思っていた。
 まず人民解放軍の反発が予想された。中国政府のトップが自衛隊の派遣で反日的な世論に変化を期待したとしても、軍の上層部の意識を変えることが出来なければ、政治だけで事は進まないだろう。まだ軍の掌握に弱い胡錦濤主席―温家宝首相に、軍の対日強硬派を従わせるだけの指導力があるようには思えない。
 次に世論の反発が予想された。インターネットに受け入れを拒否する書き込みが多くあがったという。それが果たして、どこまで一般国民の自由な意思表示なのかわからないのが今の中国である。日本の国内でメディアが自衛隊機派遣について報道したものが、中国の一般国民にいったいどこまで伝わるのだろう。私には、一般国民をよそおった軍の関係者や政府内の反主流派の書き込みがあっただろうと思う。いずれにせよ、ネットの書き込みが政府の政策に影響を与えたことは事実だろう。

 自衛隊機の派遣が実現しなかったのは残念だが、そういう緊急支援が可能になるには、まだいくつか段階を踏んでいかなければならないだろうと思う。

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●読売新聞 平成20年5月30日付

自衛隊機派遣を見送り、世論配慮の中国側が受け入れ難色
(読売新聞 - 05月30日 03:03)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=502947&media_id=20

 政府は29日、四川大地震の被災者に向けた緊急支援物資の輸送について、航空自衛隊機の派遣を見送る方針を決めた。
 世論の反発に配慮した中国政府が、受け入れに難色を示したためだ。日本政府は民間のチャーター機による輸送を検討する方針だ。実現すれば自衛隊部隊の戦後初の中国派遣だったが、見送りとなったことで過去の歴史に対する中国国内の複雑な感情を浮き彫りにした。
 政府は中国側の物資提供の求めを受け、自衛隊派遣の準備を進めるとともに、中国側との調整を続けていた。29日午前には、斎木昭隆・外務省アジア大洋州局長が北京市内の中国外務省で武大偉外務次官と協議した。武次官は席上、自衛隊機派遣に対する中国国内の厳しい空気を伝えたと見られる。

●産経新聞 平成20年5月30日付

http://sankei.jp.msn.com/world/china/080530/chn0805301211006-n1.htm
自衛隊機受け入れはマイナス効果と判断 中国、日本の報道に困惑
2008.5.30 12:10

 【北京=野口東秀】中国・四川大地震の被災者支援として、日本政府が準備を進めてきた自衛隊機の派遣が“幻”となった。日本が自主的に見送るとの形こそとったが、中国側が「日本の報道の過熱ぶりに困惑」(外交筋)し、自衛隊機の派遣に難色を示した結果ともいえよう。
 中国側が27日に自衛隊派遣を含めて支援を要請したのは、被災地のテント不足という問題とともに、中国重視の福田康夫政権下で、国際社会に対し協調姿勢を示すだけでなく、日中関係をさらに強化したいとの意向があったためだ。「対日感情を更に好転させる機会」(対日研究者)との期待もあった。
 しかし、中国側は「自衛隊機派遣に関する日本の報道の扱いの大きさにとまどった」(外交筋)という。インターネット上で、自衛隊機派遣に対する拒否姿勢と批判が目立ち始め、「関係が改善方向に向かっている日中双方がともにリスクを背負う結果となりかねない。プラス面もあるが、胡錦濤政権への批判にもつながりかねない」(外交筋)と判断したとみられる。
 外務省の秦剛報道官は29日、定例記者会見で「中国政府は、世界の国と軍隊がわれわれに救援物資を提供してくれることを歓迎する」との原則論は示したが、自衛隊機派遣について、「まだ両国間の防衛関係部門の具体的な協議が必要だ」と述べた。すでにこの時点で、日本側に難色を示していたようだ。
 日本の外交筋によると、中国側は27日、「自衛隊機も含めて支援のプランを出してほしい」と打診した。他国の軍用機利用はいいが、「日本だけは民間機で」と言えなかったとの見方もあるが、中国筋によると、胡指導部は、自衛隊機派遣での政治的効果をも期待したようだ。
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G8環境相会合の不調を超えて

2008-05-28 17:56:40 | 地球環境
 7月に北海道で開催される洞爺湖サミット(主要国首脳会議)では、地球温暖化対策が主要議題となる。その前段階の会議となる主要8カ国(G8)環境相会合が神戸で開かれ、26日、閉幕した。
 残念ながら討議は不調に終わった。7月の洞爺湖サミットでどこまで合意に達することができるか、見通しには厳しいものがある。京都議定書の第1約束期間が終了した後の平成25年(2013)以降の具体的な行動計画は、まだ形をなしていない。サミットの議長国であるわが国は、断固として取り組む決意と指導力、調整力を求められていると思う。

 鴨下環境相は25日の基調講演で、温室効果ガス排出量の半減目標に言及し、「洞爺湖サミットでは、この目標が目指すべきビジョンとして共有されることを期待する」と表明した。そのうえで「今後10年から20年の間に世界全体の排出量を減少に転じさせるという共通認識がサミットで形成されることを期待する」とも述べていた。

 討議において、鴨下環境相は「2050年に世界の温室効果ガス排出量半減」との長期目標について、7月の洞爺湖サミットで合意を目指すことを提唱した。昨年ドイツで行われたハイリゲンダム・サミットでは、2050年までの半減を「真剣に検討する」という合意がされていた。しかし、今回の環境相会合では、各国の思惑の違いが浮き彫りとなった。

 G8と中国、インドなど主要排出国を含む18か国の環境相の共通認識をまとめた議長総括では、「世界の排出量を半減するために、先進国が大幅な削減を達成する」としたのみで、明確な数値や基準年は示されなかった。また「多くの国は、洞爺湖サミットで(ドイツでの)合意より踏み込み、長期目標に関する共有ビジョンに合意することについて強い意志を表明した」という表現が記された。「多くの国は」と言うのは、全部の国ではないからであり、「強い意志を表明した」と言うのは、まとまらなかったということである。
 また中期目標についても、「IPCCの科学的知見を考慮して、実効的な目標を設定する」との表現にとどまった。具体的数値も排出量を頭打ちにするための方策も示されていない。

 このような結果となった最大の要因は、アメリカの姿勢である。アメリカは長期目標は「法的拘束力をもたない方向性」という消極的な姿勢を貫いた。本年に入ってブッシュ政権に温暖化への取り組みに変化が出ていたのだが、まだこの状態である。合意を求めて強く押せば、アメリカが反発する、アメリカを話し合いの場に取り込んでおくために譲歩・妥協したというのが、議長総括の表現と思われる。
 それとともに環境相会合が不調に終わった要因には、議長国であるわが国の側の弱さもあるだろう。排出削減をめぐって、環境省と経済産業省や産業界が対立しており、それをまとめ上げる政治のリーダーシップが発揮されていない。
 私は環境問題において、わが国の役割は極めて重要だと思う。今後、アメリカでは誰が大統領になるにせよ、地球温暖化の取り組みにおいて、ブッシュ政権より積極的な政策に転じるだろう。わが国は、アメリカ政府に強く働きかけ、政策の大規模な変更を推進する役割がある。また、わが国が開発した環境保全技術を、アメリカの産業と生活の転換にも提供できる。日米が共同で、持続可能な発展をめざせば、国際社会を力強くリードすることができるだろう。
 日本には、人と人、人と自然が調和して生きる精神が伝わっている。その精神が、21世紀人類の衰亡か飛躍かの岐路において、大きな役割を果すと思う。日本を再建し、日本文明の持つ潜在力を発揮することが、世界平和の実現と地球環境の保全の鍵となると私は考える。私が日本精神の復興を呼びかけるゆえんである。

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●毎日新聞 平成20年5月26日付

<G8環境相会合>閉幕 温室ガス削減数値盛らず
(毎日新聞 - 05月26日 11:41)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=498633&media_id=2

 神戸市で開催中の主要8カ国(G8)環境相会合は最終日の26日、地球規模の環境問題に先進国が協調して取り組むよう促す議長総括を採択し、閉幕した。先進国が2050年に「50%減を大幅に上回る温室効果ガスの削減」を目指すよう促した当初案のうち、目標数値は削除された。一方、世界全体の排出量を「今後10~20年間で減少に転じさせる」との道筋を示し、先進国が今後、国別数値目標を設けて削減を強化することで米国を含む各国が一致した。7月の北海道洞爺湖サミットでの合意を求める。
 総括では、中期目標について「国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の知見を考慮した実効的な目標が設定されるべき」との抽象的な表現にとどまった。IPCCは昨年の報告書で、先進国に20年に1990年比25~40%減を求め、会合でもドイツなどは同じ数値を提案。しかし、米国は「実現可能な数字を掲げるべきだ」と反対し、総括には盛り込めなかった。
 また、排出量取引など炭素に価格をつけることの有効性を指摘した。また、途上国を含めた主要排出国の対話の場「神戸イニシアチブ」が今年後半に英国、来春にイタリアで開催されることが盛り込まれた。
 一方、廃棄物対策では、レジ袋などの使い捨て商品を減らしたり、有害廃棄物の国際的な資源循環を進める「神戸3R行動計画」を提唱。生物多様性では、森林の違法伐採への取り組みや、里山など生活の糧となる自然の「持続可能な利用」の重要性を訴えた。【山田大輔、足立旬子】

■G8環境相会合の議長総括の要旨■

◇気候変動◇

・「50年までに世界の温室効果ガスを半減」より踏み込んだ長期目標を設定すべき。そのため先進国は大幅な削減が必要。
・税や排出量取引は削減のための有効な手段
・IPCCの知見を考慮し実効的な中期目標を設定すべき
・今後10~20年間で世界の排出量を減少に転じさせるには、先進国が国別総量削減目標を掲げて取り組むべき。途上国の行動も必要
・セクター別アプローチは国別総量目標の代替ではない
・主要国の対話の場「神戸イニシアチブ」を設ける

◇生物多様性◇

・「生物多様性の損失速度を顕著に減少させる」との10年目標の達成に一層の努力
・気候変動が生物多様性に深刻な影響、人類の生存基盤に脅威
・輸入国と輸出国が連携し違法伐採材を市場から排除

◇3R、ゴミ削減、再利用、再資源化の推進◇

・日中韓でレジ袋の削減を呼びかけ
・世界的なゴミゼロ社会を目指す神戸3R行動計画の策定

●産経新聞 平成20年5月26日付

http://sankei.jp.msn.com/life/environment/080526/env0805261905003-n1.htm
「埋まらぬ溝」サミットでの合意、困難さ浮き彫りに G8環境相会合
2008.5.26 19:03

 7月の北海道洞爺湖サミット(主要国首脳会議)の前哨戦と位置づけられた主要国(G8)環境相会合で、議長を務めた鴨下一郎環境相は「G8でより連携が深まり、方向性は一致した」と成果をアピールした。だが、米国への配慮から、議長総括は草案段階から大幅に後退し、地球温暖化問題をめぐり、合意形成に向けたハードルの高さを改めて浮き彫りにした。

長期目標

 「自信はない…」。議長総括で、2050年に世界の温室効果ガス排出量半減での合意を盛り込めるか、の問いに政府関係者は25日夜、こうつぶやいた。
 「50年半減」は昨年、ハイリゲンダムサミット(ドイツ)で日本が提案し、参加国は「真剣に検討する」ことを申しあわせた。この流れを受け、神戸でのG8議長総括の草案では「洞爺湖サミットでの合意を望む」との表現を軸に調整が続けられた。
 しかし、温室効果ガス削減に消極的な米国への配慮から、最終的には「多くの国は」と総意ではないことを断ったうえで、「強い意思を表明した」というあいまいな表現にせざるを得なかった。さらに、先進国の責務についても草案にあった「50%を上回る」を削除して「大幅な削減」となり数値目標が消えた。温室効果ガス排出量世界1位の米国を、なんとしてでも排出削減の枠組にとどまらせるための苦渋の決断だった。
 米国は最終日の共同記者会見で「この会合は交渉の場ではない。あくまでも意見交換の場だ」と訴えた。

内憂外患?

 2013年以降の国際的枠組み(ポスト京都議定書)に向けて日本が主張する、産業や分野別に削減可能量を積み上げるセクター別アプローチ。鴨下環境相は25日夕の討議終了後、報道陣に「理解が進んだ」と胸を張った。
 しかし、欧州連合(EU)欧州委員会のデルべーケ環境総局副総局長は「まず、国の削減目標を決め、その後に産業別に配分するものだ」と日本提案にくぎを刺す。一方、日本の産業界や経済産業省は、セクター別アプローチを使うことで「公平な国別総量目標が決まる」と考えている。
 議長総括では、排出削減に向けた経済的手法にも言及したが、環境税や排出量取引には踏み込めず。「それぞれの国情があって、完全に意見が一致していない」(鴨下環境相)からだ。もっとも日本でも、経済的手法については環境、経産両省で意見が異なっており、議長国・日本は国内外で困難な調整を迫られる。
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関連掲示
・拙稿「地球温暖化~『不都合な真実』を知ったら」
http://homepage2.nifty.com/khosokawa/opinion09d.htm

「A級戦犯」を東郷神社に分祀?

2008-05-26 09:43:35 | 靖国問題
 毎日新聞によると、前東郷神社宮司の松橋暉男(てるお)氏が、来月出版する著書で、靖国神社に祀られているいわゆる「A級戦犯」を東郷神社に分祀すべきだという提言をするという。
 松橋氏は、小泉政権の時代に、この分祀論を唱えたことがある。その時にも書いたが、そもそも神道には、神社に祀られている神(人霊を含む)を分離して、別に祀るという考え方がない。分祀する場合は、もとの神社(本社)には引き続き祀られ、別の神社(分社)にも祀られることになる。これが、神社本庁の見解である。
 これを例えて言えば、ろうそくに灯っている火を、別のろうそくに移しても、元のろうそくの火は消えず、新たなろうそくと両方に火が灯るようなものである。それゆえ、分祀という考え方は、神道と相容れない。
 松橋氏の主張は、到底受け入れられるものではない。しかも、松橋氏は、分祀した霊を、東郷神社の「海の宮」に合祀するよう提唱している。東郷神社は、東郷平八郎元帥を祀る神社である。いわゆる「A級戦犯」が全員海軍軍人だったというなら、一つの発案ではあろう。しかし、靖国神社が「昭和殉難者」として合祀したいわゆる「A級戦犯」14人のうち大多数は、陸軍軍人と政治家である。海軍軍人は1人しかいない。その1人の海軍軍人とは、永野修身である。
 彼以外の板垣征四郎、梅津美治郎、木村兵太郎、小磯国昭、土肥原賢二、東條英機、松井石根、武藤章の8人は、陸軍軍人である。また、白鳥敏夫、東郷茂徳、平沼騏一郎、広田弘毅、松岡洋右の5人は、政治家または官僚である。
 こうした内訳をみても、どうして彼ら14柱を合祀する先が、東郷神社なのか。私は松橋氏の主張は支離滅裂な思いつき、と断ぜざるを得ない。

 毎日の記事によると、松橋氏は著書で、「A級戦犯」合祀が中国などの反発を招いた問題は、首相参拝が行われなくても解決しないと指摘し、論争が収まった「今こそ真剣に取り組むべき時だ」と訴えているという。つまり実態は、中国共産党政府の批判をかわすために、こんな思いつきはどうかと言っているにすぎない。
 松橋氏の背後には、靖国神社に「A級戦犯」を分祀せよと迫る政治家や親中派の知識人がいるのではないか。
 私は「A級戦犯」の分祀を説く政治家や知識人は、中国の外圧に気圧されて、中国指導層の言いなりになっているように見える。仮にA級を分祀したとすれば、中国指導層は、今度はBC級を外せ、次は中国に「侵略」した兵士を全部外せと、要求してくるだろう。「A級戦犯」分祀論は、小手先の発想による愚かな主張なのである。

 詳しくは、拙稿「慰霊と靖国~日本人を結ぶ絆」をご参照願いたい。
http://khosokawa.sakura.ne.jp/opinion08f.htm

 以下は、当該記事のクリップ。

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●毎日新聞 平成20年5月25日付

<A級戦犯>「東郷神社が受け入れを」前宮司、著書で提言へ
(毎日新聞 - 05月25日 02:41)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=497824&media_id=2

 靖国神社に祭られているA級戦犯を、旧海軍ゆかりの東郷神社(東京都渋谷区)に分祀(ぶんし)すべきだ--。東郷神社前宮司の松橋暉男(てるお)氏が来月出版する著書「幻の揮毫(きごう)」(毎日ワンズ)で、神社関係者では異例の提言を行う。
 全国8万神社をまとめる神社本庁は「分祀は神道の教義上できない」との見解をとっているが、傘下の有力神社の「A級戦犯受け入れ」表明は、分祀論議に拍車を掛けそうだ。
 同書は、A級戦犯合祀が中国などの反発を招いた問題は、首相参拝が行われなくても解決しないと指摘。論争が収まった「今こそ真剣に取り組むべき時だ」と訴える。そのために、東郷神社境内の「海の宮」にA級戦犯を合祀するよう提唱。神社本庁などの主張通り靖国神社に「御霊(みたま)」が残っても、東郷神社に「移った」と見なして「ご遺族は心おきなく新しい座にお参りすることができる」ようになるとしている。
 中国などにも「誠意ある対応をしたことになる。靖国参拝のカードは有効でなくなる」ため、外交問題を沈静化できるという。
 松橋氏は「私は靖国神社に代わる新たな国立追悼施設反対の立場で、神社本庁と一致している。後任の東郷神社現宮司も私の考えをわかってくれると思う」と話している。
 松橋氏は小泉純一郎元首相の参拝が問題になった05年にも分祀論を試みたが、神社本庁から「発言を慎むように」と注意され断念。07年4月に名誉宮司に退き、提言に踏み切った。旧知の南部利昭・靖国神社宮司にも分祀の必要性を説いているという。
 分祀論は、日本遺族会の古賀誠会長も賛同。遺族会は07年5月に検討の勉強会を設けている。【野口武則】

◇東郷神社
 日露戦争の日本海海戦で勝利した連合艦隊司令長官の東郷平八郎元帥を軍神として祭る。戦前、靖国神社と同格の別格官幣社に列せられることが決まっていたが、1945年に空襲で本殿が焼失したため取りやめになった。現在、崇敬会「東郷会」の名誉会長は旧皇族の東久邇信彦氏。
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ミャンマー軍政が支援受け入れ

2008-05-24 20:21:35 | 国際関係
 中国四川省での大地震も大変な災害だが、その前にミャンマーを襲ったサイクロンの被害はそれを上回る大災害だった。ミャンマーの国営テレビは、死者7万7738人、行方不明者5万5917人と報じているが、国際赤十字などは、死者は約12万8000人と推計している。
 国連は被災者の数を240万人と推計しているが、家を失い、食料を欠き、非衛生的な環境に多くの人が置かれている。そこに伝染病の感染が広がっている模様である。
 中国共産党政府は、遅ればせながら国際社会の支援を受け入れたが、ミャンマーの軍事政権は、かたくなに支援を拒否してきた。しかし、国連の潘基文(バンギムン)国連事務総長がミャンマーを訪問し、23日タンシュエ国家平和発展評議会(SPDC)議長と会談した。事務総長の説得により、ようやく軍事政権は外国の人的支援の全面受け入れを表明した。
 ただし、どれくらいの規模で受け入れるのか、受け入れ期間など、実際どのように実行されるのか、明らかにされていない。
 こうした中で、軍事政権は、被災地での国民投票を強行し、その結果を集計発表する前に、新憲法案が承認されたと発表した。新憲法案は、議会定数の4分の1を軍人議員とするなど、軍部の支配継続を図る内容という。強権的な弾圧と、国民の苦悩はまだまだ続きそうだ。
 国際支援が本格的に受け入れられ、それがきっかけとなってミャンマーの政治体制に変化が起こることに期待したい。

 ミャンマーは、旧名ビルマ。わが国では、竹山道雄の名作「ビルマの竪琴」で知られる。ビルマは、イギリスの植民地だったが、大東亜戦争においてわが国がビルマ独立義勇軍の結成を指導し、独立運動が行われた。わが国の敗戦後、ビルマはイギリスの復帰を経て、1948年に独立した。こうした経緯により、ビルマは当初親日的であり、わが国もそのような国として関係を続けてきている。
 しかし、国軍の最高指揮官だったネ・ウィン将軍が、1962年に軍事クーデターを起こし、憲法と議会を廃止して実権を握った。以来、ネ・ウィンは、独自の軍部専制的な社会主義政策を行っている。反政府運動に対しては、厳しい弾圧をしてきており、1998年に民主化運動が高揚した時には、軍事クーデターを決行して、1000人以上の国民を虐殺した。軍が全権を握った2年後の総選挙では、民主勢力が圧勝したのに、軍政は政権移譲を拒み、民主化運動指導者アウン・サン・スー・チー氏らの拘束・軟禁を続けている。

 国連やミャンマーが加盟するASEANは、軍政に弾圧をやめるよう求めている。欧米諸国は経済制裁を続けている。しかし、ミャンマーと関係が深い中国やロシアは制裁に消極的であり、国際社会の足並みはそろっていない。
 中でも急激な経済成長でエネルギー確保に躍起となっている中国は、ミャンマーの資源と地政学的重要性に目をつけ、軍政との関係を深めている。 ミャンマーは、東南アジアでインドネシア、マレーシアに次ぐガス資源保有国で、ベンガル湾でも大規模ガス田が発見され、今後も新たなガス田発見が有望視されている。中国はこうした天然ガスや原油鉱区の開発権を獲得し、ミャンマーを経由して雲南省とインド洋を結ぶ石油パイプラインの敷設を推進している。
 また、中国は海軍力を増強して海洋へ進出しつつあるが、ミャンマーには、サウジアラビアの資金でインド洋に出る軍港を作った。ミャンマーは、中国を中東の油田に結ぶ戦略的に重要な国になっている。
 チベット問題ではもちろんのこと、ミャンマー問題においても、中国の世界戦略が強く影響しているのである。

 以下は報道のクリップ。

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●産経新聞 平成20年5月17日付

http://sankei.jp.msn.com/world/asia/080517/asi0805170132000-n1.htm
サイクロン死者7万8000人に ミャンマー国営テレビ
2008.5.17 01:31

 【バンコク=菅沢崇】ミャンマー国営テレビは16日、サイクロンによる死者が7万7738人、行方不明者が5万5917人に達したと報じた。前日の発表からたった1日で、死者は約3万3000人も増加、行方不明者も2倍に跳ね上がった。
 ロイター通信によると、国営テレビは突然の数字の増加を「サイクロン被害とその後の厳しい天候のため」と述べているが、詳しい説明はしていない。国際赤十字などは、死者は約12万8000人と推計している。
 一方、世界保健機関(WHO)は同日、バンコクで記者会見し、被災地でデング熱やマラリアの罹患(りかん)者が増加しており、コレラ患者も確認されたと発表した。

●産経新聞 平成20年5月22日付

http://sankei.jp.msn.com/world/europe/080522/erp0805221039009-n1.htm
サイクロン最大被災地140万人が被害 国連推計
2008.5.22 10:37

 国連報道官は21日の記者会見で、ミャンマーのサイクロンの被害について、被災者数は約240万人で、うち140万人が最大被災地のイラワジ川デルタ地帯で被害に遭っているとする緊急援助調整官室(OCHA)の推計値を明らかにした。
 また、ミャンマー政府が、支援物資を輸送する世界食糧計画(WFP)のヘリコプター1機に新たに飛行許可を与えたことを明らかにし、これで現地で活動できるWFPのヘリは計10機となった。最初の1機が22日にマレーシアからミャンマー入りする予定で、数日以内にほかの機も到着するという。
 ヘリはデルタ地帯の遠隔地に、食料30トンと緊急に必要とされている人道支援物資を輸送する。(共同)

●毎日新聞 平成20年5月23日付

<ミャンマー>軍事政権が人的支援の全面受け入れ表明
(毎日新聞 - 05月23日 20:11)

 【バンコク藤田悟】ミャンマーを訪問中の潘基文(バンギムン)国連事務総長は23日、軍事政権トップのタンシュエ国家平和発展評議会(SPDC)議長と首都ネピドーで会談した。潘事務総長は会談後、サイクロン「ナルギス」被災での国際支援について「議長は、国籍を問わずすべての救援要員を受け入れることに合意した」と同行記者団に語った。軍事政権が外国の人的支援の全面受け入れを表明したのは初めて。

 国連関係者によると、議長は「純粋な救援要員であれば活動を制限する理由はない」と述べ、外国人の救援要員の被災地入りも認める考えを示した。

 軍事政権はこれまで、一部友好国からの医療チーム以外の人的支援受け入れを拒否し、被災地への外国人の立ち入りも厳しく制限してきた。

 25日にはミャンマーの最大都市ヤンゴンで、サイクロン被災への国際支援を協議する支援国会合が開かれる。軍事政権は「117億ドル(約1兆2000億円)の援助が必要」と表明しており、援助獲得に向けて会合前に柔軟姿勢を打ち出したとみられる。

●産経新聞 平成20年5月24日付

http://sankei.jp.msn.com/world/asia/080524/asi0805241000001-n1.htm
被災地でもミャンマー国民投票強行 軍政、憲法承認は覆らず
2008.5.24 10:00

 ミャンマー軍事政権は24日、最大都市ヤンゴンなどサイクロンの被害を受けた被災地の一部で、延期していた新憲法案の是非を問う国民投票を強行した。
 軍政は、ほかの地域では予定通り今月10日に国民投票を実施。その後、延期した地域での投票を待たずに、圧倒的多数の賛成で憲法案が承認されたと発表した。24日に投票が行われたのは、ヤンゴン、エヤワディ両管区の一部で、有権者数は約470万人。
 軍政によりヤンゴン市内の自宅に軟禁されている民主化運動指導者アウン・サン・スー・チーさんも、23日に事前投票を済ませた。
 新憲法案は、議会定数の4分の1を軍人議員とするなど、軍部の支配継続を図る内容。米国は「国民投票に正当性はない」として承認は無効との認識を示している。(共同)
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中国大地震、死者5万人超える

2008-05-23 10:33:29 | 国際関係
 中国共産党政府は22日、四川大地震の死者が5万1151人に達したと発表した。地震が発生して10日以上経ってなお行方不明者が2万9328人というから、犠牲者が10万人規模の大災害となる可能性がある。負傷者も28万8431人に上るという。日本の国際緊急援助隊の医療チームが訪中し、医療活動を開始したが、一人でも多くの人が救われることを願うばかりである。

 ここ数日、感じたことを記す。
 一つ目は、全体主義国家の限界である。
 中国共産党指導部は、当初、外国の緊急救助活動の申し出を拒否していた。国際世論の批判を受けて、ようやく受け入れを決め、最初にわが国の国際緊急援助隊が入国した。しかし、生存率が大きく下がる72時間を過ぎてからの援助活動となったため、国際緊急援助隊は訓練・装備を発揮できずに帰国した。
 これは、事実上の一党独裁による全体主義国家の限界を表わしたものだと思う。閉鎖的・排外的・高慢的・独善的な指導層の思想が犠牲者を拡大した。人命・人権を軽視する官僚独裁体制への国民の不満が高まることだろう。

 二つ目は、不正横行社会の暴露である。
 災害には天災と人災という両面がある。今回の大地震では、建築物の脆弱さが多数の犠牲者を生み出している。「おから工事」というずさんで安易な工事による建物が損壊・倒壊し、多くの人が生き埋めになってしまった。特に学校の損壊・倒壊による児童・生徒の犠牲は痛ましい。
 ウソ・騙し・袖の下が横行する中国社会の道徳喪失が、人災の背景にある。こうした社会の再建こそ、中国共産党のいう「精神文明」の興隆が目指すべきものだろう。再建には、シナの伝統的な道徳・自然観の復活が必須だと思う。
 
 三つ目は、中国社会の動向の節目となる予兆である。
 中国では、被災地を応援する声が全国から巻き起こった。ボランティア活動や献血など、人々の行動は、政府による指揮統制を破る自発的な精神の現われだろう。これに対し、共産党政府は、被災を国民団結に利用しようとしているようである。
 自発的な行動が拡大し国家社会を変えていく力になるか、それとも政府による政治支配の強化に結果するか、今回の大地震は、共産中国の動向において大きな節目になるような気がする。

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●毎日新聞 平成20年5月22日付

<四川大地震>死者5万人超に 日本の医療チームが治療開始
(毎日新聞 - 05月22日 22:02)

 【成都(中国四川省)西岡省二】中国政府は22日、四川大地震の死者が5万1151人に上ったと発表した。負傷者は28万8431人、行方不明者は2万9328人。日本政府が派遣した国際緊急援助隊の医療チーム(田尻和宏団長、23人)はこの日午後、四川大学華西病院(成都市)の緊急外来などで実際の医療活動を開始、治療にも当たった。
 医療チームは病院敷地内に待機・連絡場所のテントを設営、▽緊急外来▽集中治療室(ICU)▽人工透析--の3部門にスタッフを配置した。日勤帯で勤務する。日本政府が緊急援助として中国側に供与した人工透析機7台も配備された。
 スタッフは同病院の白衣を着用し、肩などに日の丸のワッペンをつけた。緊急外来では救急車両が到着すると、中国人看護師らとともに患者を収容。重傷患者の中年男性の足の裏を触り、神経の状態を確認するなど、治療にも携わった。
 一方、中国外務省の秦剛副報道局長は22日、外交ルートを通じた海外からの資金援助が約4億9200万元(約73億円)、それ以外の資金援助が約6億1500万元(約92億円)に達したと公表した。だが、被災者用のテントは必要な330万張りのうち40万張りしかなく、「テントと仮設住宅が緊急に必要だ」と訴えた。(略)

類似記事:
<四川大地震>死者ついに5万人超に―中国
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=495559&media_id=31

●時事通信社 平成20年5月22日付

四川聖火リレー、五輪直前に延期=寧波で再開、震災克服の象徴に-中国
(時事通信社 - 05月22日 13:01)

 【北京22日時事】北京五輪組織委員会は22日、聖火リレーの日程を調整し、大地震で4万人以上の死者を出した四川省の通過を6月15~18日から開幕直前の8月3~5日に延期すると発表した。
 一方、震災犠牲者を悼むため「全国哀悼日」の3日間中断していた聖火リレーは22日、浙江省寧波で再開した。地震発生後、リレーの規模は縮小されている。
 組織委は四川大地震後、現地の聖火リレーを予定通り実施するか慎重に検討。その結果、延期した上で敢行すると決定した。被災地を応援する声が全国に巻き起こったことから、中国政府は四川の聖火リレーを「震災克服」のシンボルとしたい考えとみられる。
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麻生太郎氏の講演寸感2

2008-05-21 09:51:04 | 時事
 日本の底力は、勤労の価値観、美学、哲学にある、と麻生太郎氏は強調する。実業家・経営者としての経験のある氏だからこその見方だろう。それとともに、氏の見方は、昭和戦前期生まれの保守系の知識人に多く見られるものでもある。

 例えば、再び渡部昇一氏の著書「人生観・歴史観を高める事典」から引くが、渡部氏は、ユダヤ教、キリスト教、イスラムが共通して経典とする旧約聖書では、楽園は労働なき世界であったが、アダムとイブが禁断の果実を食べて神の怒りに触れ、楽園を追い出され、罰として男には労働が、女には出産が課せられることになったと述べている。
 これに対し、日本では古来神々ですら働く。それが国民の刷りこみになっているから、決して労働が罰だとか卑しいとかいうイメージが無い。「日本では古事記を読むと、天照大神が機織り小屋を持って機を織られていたと書かれており、ほかの男神たちも田畑を耕していたことが記されているのです」と渡部氏は書いている。現代でも、象徴的な行事ではあるが、天皇は田植えをし、刈り取りをされる。一国の君主が泥田に入るということは、西欧では一般に見られない現象である。
 
 さて、麻生氏が力説する日本人の勤労については、山本七平氏に「勤勉の哲学」(PHP)という名著がある。山本氏は日本人の勤勉の精神が、「日本資本主義の精神」になったと主張した。氏は、そうした精神の形成において、鈴木正三と石田梅岩が大きな影響を与えたという説を唱えた。
 鈴木正三(しょうさん)は江戸時代初期17世紀前半の禅僧である。正三は、「農業即仏行なり」と説いた。「農業は仏行であり、一心不乱に行なえばそれは自らを成仏させるだけでなく、社会を浄化し得る。職人が一心に働けば、品々が限りなく出て世のためとなるが、これも一心の徳用であり、それを行なっている者はありがたき仏性を具足しているのである。商人が需要と供給の間をつなげば、それは世の人を自由にし、同時に自らも成仏できるのである」との旨を民衆に語った。
 山本氏は次のように記している。「農工商は、正三の教えをそのまま守れば否応なく富は蓄積し、豪農・豪商へと発展していく者を生ずるであろう。そしていかに豪農・豪商となっても、すべてをひたすら修行と考え、得た富のことは一切考えずに働きつづけることによって成仏しようと願うなら、否応なく資本は蓄積していく」と。
 私は、鈴木正三の「農業即仏行なり」という思想は、仏教の神道化であり、神道の仏教的表現と見るべきだと思っている。仏教はもともと現世を否定し、戒律によって解脱をめざす道である。修行者は修行のために、労働をせずに喜捨を受ける。それが日本に来て千年を経ると、勤労が成仏への修行だという思想にまで変化した。
 むしろ正三の思想は、本来の仏教より、神道の「よさし」の観念に通じている。神道は、現世と労働を肯定する。神々すら働く。人は神の子であり、神々の子孫だから、働くことは「神ながらの道」となる。
 正三は農業即仏行というが、この農業とは稲作であり、集約的灌漑稲作である。そこでは、農業即神事であり、田植えや収穫の祭りを行い、神に稲穂を捧げる。神々は天で稲作をする。神が耕すように、地を耕す。高天原を地上とする。お天道様とご先祖様への感謝と奉仕で労働する。人々はみなのため、村のために働いて年を取り、死ぬと神=祖霊になる、つまり成仏するというのが、日本人の生き方だった。

 鈴木正三の思想に強く共感し、これを継承したのは町人だった。18世紀前半に現れた町人学者・石田梅岩は、正三の思想を脱仏教化した勤勉の哲学を説いた。梅岩の教えを心学という。心学には、神道・儒教・仏教が採りこまれており、これら三教を融合した三教一致の道徳が説かれている。
 梅岩は、「本然の性」すなわち「本性」の通りに生きれば、天理にかなった生き方になると考えた。天理にかなった生き方とは、宇宙の秩序通りに生きることである。馬は馬と言う形を与えられているから、草を食うことを実践する。畜類鳥類は私心がないから、自然に与えられた本性の通りに生きている。人間は労働して食を得るのが、本性ゆえ、その本性に従って、ひたすら働けば天理にかない、安心立命の状態になる。そうすることが自然の秩序に従うことになり、同時にそれが社会秩序の基本、すなわち「礼」になっていると梅岩は説いた。
 梅岩はここで儒教の用語を用いているが、彼にとっての儒教は、日本化された儒教である。また神道・仏教と分ちがたく融合されている。これはむしろ一個の日本思想であり、外来の概念を借りて日本人のものの考え方を表わしたものといったほうがよい。
 山本七平氏は、「正三ー梅岩の思想が日本人に与えた影響はきわめて大きく、後に日本人の常識のようになり、日本資本主義の基礎となった」と主張した。氏は氏の日本学を集大成した著書「日本人とは何か。」に、次のような主旨のことを書いている。
 「どのような国であっても、『何の事業も皆仏行なり』という考え方をして、世俗の業務に宗教的意義を感じ、すべてを度外視してこれに専念し、同時に合理性の追及を人間の踏むべき『道=倫理』と考えて、これを実行することで良心を満足させ、さらに倹約について、倹約による修身斉家で大きな精神的安定を感ずるならば、その国にはいや応なく資本が蓄積し、その『結果としての利潤』が世界最高になってしまっても、不思議ではないのである」と。

 麻生太郎氏が、山本氏の著書に親しんでいるかは存じないが、今日も我々日本人には、勤勉の哲学、勤労の美学が受け継がれている。麻生氏は、日本の底力は勤労にあるという。確かに勤労こそ、日本人が幾度もの危機を乗り越え、国を維持・発展、復興・再生させてきたものだった。国家衰亡の危機にある日本人は、勤勉の哲学、勤労の美学を、振り起こしていくべきと思う。
 同時に、勤労の問題は、単に意欲や創意や美学の問題ではないことを忘れてはならない。働く意欲は、雇用と結びつかないと現実化されない。高齢者だけでなく青年を含む国民全体を対象とした労働政策が提示されねばならない。また教育や科学技術、家族、脱少子化等に関する政策が総合的に計画・推進されないと、個々人の勤労が結集され、国家国民の発展・繁栄に結実するものになっていかないだろう。この点、麻生太郎氏の講演は、大いに元気を与えてはくれるが、政策としてはまだあまり具体的でない。今後、日本の底力を引き出すような、どういう政策を氏が提示するか期待したい。

 次回に続く。

麻生太郎氏の講演寸感1

2008-05-20 10:25:43 | 時事
 麻生太郎氏の講演の大要を記したが、次に氏の講演を聴いて連想・想起したことを書きたい。

 講演で麻生太朗氏は、確固とした国家観、歴史観を語った。氏の国体4回変化説は、多くの人に受け入れられるものだろう。私は麻生氏の主張は、渡部昇一氏の国体5回変化説をアレンジしたものではないかと感じながら聴いた。渡部氏の国体5回変化説は有名なものだが、20~30歳代の人は知らない人が多いようである。この機会に概要を記して参考に供したい。

 まず麻生氏もいうところの国体についてだが、渡部氏は「歴史の読み方」(祥伝社)で次のように定義している。
 「個人に体質があるように、国にも体質がある。英語ではコンスティチューションと言う。国の場合は、体質は国柄と言う意味であり、憲法と訳されることが多い。しかし、イギリスは、明文化した憲法を持たす、国の体質そのものが成文化されざる憲法である。コンスティチューション=国の体質=国体といってもよい。」
 日本の体質、国柄、成文化されざる憲法が、国体だというのが、渡部氏の定義である。
では、日本の国体の特徴は何か。渡部氏は、次の3つを挙げる。

1 王朝が一つであること(万世一系の皇室の存在)
2 随神の道(神道)
3 血族意識(先祖意識)

 さて、渡部氏の国体5変化説は、渡部昇一著「人生観・歴史観を高める事典」(PHP)に載っているものがよくまとまっている。それをもとに紹介する。

 第1回目の変化は、用明天皇の時に起こった。この変化は、祭りごとの変化であり、神を祀る代表者としての変化ということもできる。それまで天皇は日本の神を祀る代表者だったが、天皇が仏教という新しい宗教を受け入れ、仏教に改宗したことは、国家の建前に重大な変化を生じさせたことだった。
 ただし、日本書紀に「(用明)天皇は仏法を信じ神道を尊ぶ」と記されているように、神道と仏教が共存した。これを渡部氏は「妙なる共存」と呼んでいる。これにより、わが国では、外国に見られるような凄惨な宗教戦争が起こらなかったことを、渡部氏は強調している。

 第2回目の変化は、後鳥羽天皇の時に起こった。この変化は、政りの主体の変化であり、頼朝の鎌倉幕府の樹立による。
 幕府を開いたことは、「政治原理の根本的な変化」だったと渡部氏は指摘する。しかし、頼朝は、律令制度は変えずそのままおいておき、天皇にとって代わろうともしなかった。天皇は、「武力はないが、律令制度によって官位を出すという不思議な状態」となり、「日本の天皇はローマ法王とよく似た性質を持つ存在となった」と渡部氏は主張する。

 第3回目の変化は、仲恭天皇の時に起こった。天皇の廃立が民の意思で行なわれた。執権・北条義時の承久の変による。イザヤ・ベンダサン(山本七平が編著者)は、この時を境に、「前期天皇制」と「後期天皇制」に分ける。
 承久の変の際、義時は、天皇の廃位、即位を勝手に決めている。権力の出所が下、それも地方の武家の総代としての意思によって天皇の廃立が決定された。このことを渡部氏は「主権在民」となったのであり、「天皇は天皇としたままでの主権在民である」としている。
 義時の時には、最初の武家法である御成敗式目(貞永式目)が制定された。その後、明治維新まで、武家法と律令が並立した。

 第4回目の変化は、明治天皇の時に起こった。この変化は、明治維新と明治憲法による。
 明治維新は、単に武家社会が始まる前の政体に戻すというのではなく、用明天皇以前の「神の時代」に戻すという、とてつもなく古い時代への復古運動だった。また律令も廃止された。明治憲法により、わが国は、立憲君主制の国となった。
 明治憲法を諸悪の根源のように考え、明治時代を半封建社会と否定的に考えるのは、誤解だと渡部氏は主張する。渡部氏の見方では、明治天皇は日本の近代化のために尽力された、日本を悲惨な戦争に駆り立てていったのは、明治憲法の欠陥を悪用した一部の軍人将校や右翼社会主義者だったとする。

 第5回目の変化は、昭和天皇の時に起こった。大東亜戦争に敗れたことにより、天皇が人間宣言をされ、憲法によって日本国の象徴となった。
 渡部氏は「日本の天皇が有史以来、ゴッドであったことは一度もありません。天皇は常に国民の代表として、日本人の先祖の霊をまつる方だったのです」と言う。
 また、天皇は昔から「日本国の象徴であり日本国民統合の象徴」としての存在であり、「そういう変わらない永続的な存在として意味があったのです。そこに日本のアイデンティティがあり、シナや西欧からどんな才を採り入れても、変わらない日本、つまり国体という和魂があると固く信じてきたわけです。それが見方を変えれば、正統を抱く国の強みなのです。正統と言いものが国家の中心にどんとすわっているから、どんな新しいことも採り入れられ、また時に正統を振り返って道を確かめることができたのです」と渡部氏は、わが国の国体=体質=憲法を論じている。

 渡部氏の国体5回変化説は、大略以上のようなものである。比較すると麻生氏は、渡部氏の5回のうち第3回目を変化と認めていないことがわかる。承久の変における天皇の廃立を国体の変化ととらえるかどうかは議論のあるところで、私は麻生氏の考えの方が常識的な見方だと思う。

 次回に続く。

麻生太郎氏の講演再び4

2008-05-19 09:26:48 | 時事
(麻生太郎氏の講演大要の続き)

 高齢者は働く、ということを考えたほうがいい。働かせた方がいい。高齢者は金を持っている。それに元気だ。寝たきりは一部だけだ。遊ぶ金を持っている。高齢者がやりたくなるようなことを開発するといい。どこの会社でも開発というと若いやつばかり働いている。そんな会社の経営者はたいしたことがない。高齢者が増えていくんだから、高齢者が喜ぶことを考えろ。
 65歳以上が今から一挙に増える。団塊の世代が高齢者になっていく。若い人は減っていく。金も持っていない。高齢者は金を持っていて、元気だ。

 新宿の京王デパートに行ったことのある人はいるか。行ってみて下さい。ここは高齢者しか来ていただかなくていいというところ。店内が全部高齢者向けにしてある。
 エスカレーターは遅い。通路は広い。正札は上から下がっていない。ふんどし(註 吊り広告)がない。高齢者は上を見ないから、全部下に張ってある。店員が全部、客に声をかける。売り子が客の名前を覚えている。売り子をずっと替えない。替えると高齢者はわからなくなってしまう。デパートなのに、商店と同じにしている。店員は客の名前を覚えると、点数がつく。
 このデパートの店長が2ヵ月半、毎日巣鴨の刺抜き地蔵の商店街に通った。どうして他の商店街はさびれていくのに、ここばかりどんどん伸びているのか。高齢者は金を持っている。元気だ。だけど寂しい。だから巣鴨の商店街では、売り場を変えない。変えると高齢者は迷ってしまうから。ずっと同じにしている。客の名前を覚えて声をかける。
 新宿の京王デパートは、日本中のデパートで、15年間増益をやっている。増収だけでなく、増益をやっているのは、ここだけだ。 
 
 ホンジュラスに青年海外協力隊が行った。子供たちは学校に来ない。勉強が出来ない。ひどい状態だった。海外協力隊の青年たちはその様子を見て、結論を出した。教科書が悪い。もちろんスペイン語で書いてある。みなで算数の本を作り、先生向けの副読本も作った。それを寄付した。すると3年で子供たちが学校に行くようになり、成績が上がった。
 それを見た周囲の国が、その教科書を売ってくれと言ってきた。20~30代の日本の青年たちは、版権をホンジュラス政府に渡してあると答えた。ホンジュラス政府は、この本をはじめての国定教科書にした。

 BBCが国際調査をして、2万7800人に聞いた。世界に最もよい影響を与えている国はどこかという質問だ。3年間やって、3回連続、日本が一番だ。
 なぜ一番か。ODAの額ではない。日本はODAの額では5番に落ちている。ドイツより下だ。金ではない。インドネシアに行って交番を広めた日本人女性がいる。女性のおまわりさんを置いた。女性に仕事を与えた。それが評判がいい。その女性も自ら行って現地で働いた。それが日本の勤労の哲学、美学だ。

 日本は5番目の大変化の時にある。日本人は国体の大変化に対応できると私は信じている。みなさんが、経営者やそれぞれの立場で、きちんと腹に収めてやってほしい。
 この国の将来は明るい。暗くない。明るいと私は確信している。(了)
 
 感想・私見は次回に。

麻生太郎氏の講演再び3

2008-05-18 08:21:10 | 時事
(麻生太朗氏の講演大要の続き)

 なぜ日本人だけが働くのか。他の国は働かないのに、何故働くのか。皆当たり前と思っているが、外国とは全然違う。
 インドのデリーでメトロ(註 地下鉄)を見てきた。入口に巨大な看板が出ていた。日本のODAで作られたと堂々と書いてある。どこかの国のように、ODAをもらっているのを国民に知らせないようなことはしていない。エスカレーターで地下に降りると、巨大な円グラフがある。4分の3が緑で塗ってある。そこに日の丸が書いてある。言葉がわからない人でも、見れば日本のお陰だとわかる。
 地下鉄工事の副総裁をしていた人にお礼を言ったら、是非話を聴いてほしいと言う。その人は、我々はこの地下鉄はベスト・アンバサダー(註 最高の大使)だと言っているという。オレは工事の時、現場の責任者をやっていた。最初、現場説明会に行くと、8時集合だというので、8時2~3分前に行ったら、日本人は全員作業服を着て、ヘルメットをかぶって並んでいた。インド人がそろったのは、8時17分か18分だった。自分は指差されて、「お前、背広着て作業するのか!」と言われた。それで、次の日は、7時45分に行ったら、日本人はもうみな来ていた。また次の日は、7時30分に行ったら、ようやく日本人と一緒に着替えができた。

 彼らが学んだ日本語は、ただひとつ。「ノーキ」。農機具ではない。納期だ。納期を徹底して守ること。それで、予定より2ヵ月半も早く工事が終わった。インドで予定より早く終わった工事は、これだけだという。
 日本人は、何月何日までにやると約束したのだから、必ずやれと言った。毎日8時、9時まで残って、今日中にやると約束したのだから、今日中にやれ。必ずやれといわれた。日本人は一緒に働いた。働くということの美学を日本人は見せた。それで2ヵ月半も早く工事が終わった。
 この工事に参加したインド人が各地に散らばって、働く美学を伝えた。ノーキという言葉は、今ではインドでどこでも伝わる言葉になっている。
 勤労の哲学を語れるようなゼネコンのアンちゃんは、いないだろう。日本でやっているのと同じことを、やっただけだ。

 何故日本では、こういう勤労の美学、哲学が生れたのか。
 私は、宗教だと思う。
 ユダヤ教、キリスト教、イスラムの三つの宗教は、旧約聖書をもとにしている。アダムが神との契約を破った。その罰として、労働を与えられた。イブには、夫に仕え、子を産み、育てることを罰として与えたと聖書に書いてある。
 日本は神道だ。経典がない。一番古い本は、古事記だ。古事記を見ると、天照大神が中心になっている。女が一番偉かった。天照大神は機織小屋から出て見ると、高天原では神々が働いていた。神道は多神教で八百万の神々の元締めが、天照大神だ。大神も機を織って働いている。
 働くということは善行だということがインプリンティングされて、刷り込まれている。これが価値観になっている。退職祝いの時、外国人はえらい騒ぎをする。出所祝いと同じ。罰から解放されたと同じ。方や、日本では神から見放されたようなもの。とぼとぼと役所を去っていく。

(次回に続く)

参考資料
・インド・デリーの地下鉄
http://doraku.asahi.com/earth/abroad/column/060920.html