後期高齢者医療制度は、施行後国民の多くの不満を集め、見直しとなった。
私の母も70歳代後半なので、後期高齢者として、医療費の負担増を強いられる立場である。わずかな年金から、相当額の医療費を天引きで引かれるのは、ショックが大きいようだ。
しかし、国家財政はきわめて厳しい状態にあり、健康医療制度の見直しをしないと、早晩国自体が破綻する。そうなると、あらゆる公的制度ともに医療制度も機能しなくなる。
私は、この問題は、もっと根本的なところから考えないとだめだと思う。誰が負担するか、いくら負担するかという議論では、根本解決に向いていかない。
●健康に関する意識と生活を変える
世界保健機構(WHO)は、「健康とは、完全な肉体的、精神的及び社会的福祉の状態であり、単に疾病又は病弱の存在しないことではない」(1951年)と定義している。「健康」とは身体的にも精神的にも社会的にも調和のとれた状態にあることである。
国民は、自らの健康の維持・増進に努めなければならない。なぜこんな当たり前のことをあえて言うのか。
多くの人は病気になったら薬を飲む。薬が病気を治すと思っている。実はそうではなく、自然治癒力を備えているから、病気は治る。薬は自然治癒力を補助するに過ぎない。現代人は、不健康な生活をして、病気になり、安易に薬や医者に頼る。そのため、いくら病院を建てても、病院が満杯になり、医者や看護士は過重労働で、自分のほうが健康を損ねるほどになっている。
わが国は、健康保険制度が発達しているが、その弊害として、国民が過度に医療に頼る傾向に陥り、医療費の支出が国家財政を病気になれば、医者にかかり薬を飲むのが当然と考えている人は、年間に相当額の医療費を支出している。医療費は、各世帯の家計を圧迫しているだけではない。国家財政をも圧迫している。わが国の財政は今日、4分の1が社会保険給付費となっているが、その相当部分を占めるのが、医療費である。医療費は、欧米諸国に比べるとまだ低いもののGDPの8%にも上っている。
これは、個人としても、国家としても、健康な状態ではない。個人としても、国家としても健康な状態を追求しなければ、病人だらけの財政破綻国家になってしまう。
すでにわが国は、実質1,000兆円以上の財政赤字を抱える世界最大の赤字国家である。その中で、国民の健康管理の怠慢が、財政赤字を増やす一要因となっている現状は、改善されねばならない。年金制度はすでに実質的に破綻しているが、完全に崩壊する。年金収入を見込んで設計している高齢者医療制度や介護保険制度は機能しなくなる。
まず自分に生まれつき与えられている生命力を維持・増進するよう努力すること。そういう考え方を、個人も社会も国家も基礎に置くことが必要である。国家の安泰、民族の繁栄は、健康・生命に基礎をおいてこそ実現・維持できる。自分の健康は自分で守る生活が、医療費の縮小、財政の健全化にもつながる。そのことを国家的に推進しなければならないところに来ている。
●アメリカの圧力に対抗・自衛するためにも
そのうえ、アメリカの強烈な圧力がかかってきている。アメリカは、平成6年(1994)から毎年わが国に「年次改革要望書」を突きつけ、日本の国家・社会の変革を求めてきた。既に金融、商法、郵政、保険、司法制度等の分野で、アメリカ企業が日本に進出し、日本経済を支配するための改革が推し進められている。「第二の占領」といえるほどの動きだが、アメリカによる日本占領は、健康の分野にも及びつつある。
わが国は、国民皆保険制度で、国民の健康を維持してきたが、アメリカは日本政府にこの制度をやめるよう迫っている。医療に市場原理を導入させ、医療の民営化を推し進めようとしている。目指すのは、アメリカの保険会社が日本の病院を経営し、日本の医療をビジネスの対象とすることである。アメリカ保険業界の要望を容れて、公的保険と自由診療を組み合わせる「混合診療」を取り入れると、富裕層は高度な医療を受けられるようになるが、貧困層は高額の自己負担に耐えられず、まとも医療を受けられなくなる。現在の日米関係では、このアメリカの攻勢を防ぐことは難しい。
この点からも、国民は、自分の健康を自分で管理し、家族の健康は家族で守ることが、ますます必要となる。食を含む生活の全般について、健康の維持・増進という考え方をしっかり持つことが生活の防衛ともなる時代が確実に来る。今から価値観、考え方を改めることをお勧めしたい。また一人一人の国民の行動が変わらなければ、国家としての取り組みも成功しない。日本を愛する人は、このことを心に銘記したいものである。
●憲法に健康条項を
人間は体が資本である。それは個人にとっても、国民にとっても同じである。国民は、自らの健康の維持・増進に努めなけばならない。そのことを、私は憲法に規定すべきだと思う。
現行憲法の定める「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を真に意義あるものにするために、私は、憲法に、健康に関する条項を新設し、国民の健康に基礎を置いた国づくりをすべきと考えている。
以下のような条文を提案している。
――――――――――――――――――――――――――――――
(健康を求める権利と責務)
第四十四条 国民は、自ら及び相互に、健康の維持・増進に努めなければならない。
2 政府は、国民が精神的、身体的、社会的に健康な生活が出来るよう支援するものとする。
http://homepage2.nifty.com/khosokawa/opinion08h.htm
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私の母も70歳代後半なので、後期高齢者として、医療費の負担増を強いられる立場である。わずかな年金から、相当額の医療費を天引きで引かれるのは、ショックが大きいようだ。
しかし、国家財政はきわめて厳しい状態にあり、健康医療制度の見直しをしないと、早晩国自体が破綻する。そうなると、あらゆる公的制度ともに医療制度も機能しなくなる。
私は、この問題は、もっと根本的なところから考えないとだめだと思う。誰が負担するか、いくら負担するかという議論では、根本解決に向いていかない。
●健康に関する意識と生活を変える
世界保健機構(WHO)は、「健康とは、完全な肉体的、精神的及び社会的福祉の状態であり、単に疾病又は病弱の存在しないことではない」(1951年)と定義している。「健康」とは身体的にも精神的にも社会的にも調和のとれた状態にあることである。
国民は、自らの健康の維持・増進に努めなければならない。なぜこんな当たり前のことをあえて言うのか。
多くの人は病気になったら薬を飲む。薬が病気を治すと思っている。実はそうではなく、自然治癒力を備えているから、病気は治る。薬は自然治癒力を補助するに過ぎない。現代人は、不健康な生活をして、病気になり、安易に薬や医者に頼る。そのため、いくら病院を建てても、病院が満杯になり、医者や看護士は過重労働で、自分のほうが健康を損ねるほどになっている。
わが国は、健康保険制度が発達しているが、その弊害として、国民が過度に医療に頼る傾向に陥り、医療費の支出が国家財政を病気になれば、医者にかかり薬を飲むのが当然と考えている人は、年間に相当額の医療費を支出している。医療費は、各世帯の家計を圧迫しているだけではない。国家財政をも圧迫している。わが国の財政は今日、4分の1が社会保険給付費となっているが、その相当部分を占めるのが、医療費である。医療費は、欧米諸国に比べるとまだ低いもののGDPの8%にも上っている。
これは、個人としても、国家としても、健康な状態ではない。個人としても、国家としても健康な状態を追求しなければ、病人だらけの財政破綻国家になってしまう。
すでにわが国は、実質1,000兆円以上の財政赤字を抱える世界最大の赤字国家である。その中で、国民の健康管理の怠慢が、財政赤字を増やす一要因となっている現状は、改善されねばならない。年金制度はすでに実質的に破綻しているが、完全に崩壊する。年金収入を見込んで設計している高齢者医療制度や介護保険制度は機能しなくなる。
まず自分に生まれつき与えられている生命力を維持・増進するよう努力すること。そういう考え方を、個人も社会も国家も基礎に置くことが必要である。国家の安泰、民族の繁栄は、健康・生命に基礎をおいてこそ実現・維持できる。自分の健康は自分で守る生活が、医療費の縮小、財政の健全化にもつながる。そのことを国家的に推進しなければならないところに来ている。
●アメリカの圧力に対抗・自衛するためにも
そのうえ、アメリカの強烈な圧力がかかってきている。アメリカは、平成6年(1994)から毎年わが国に「年次改革要望書」を突きつけ、日本の国家・社会の変革を求めてきた。既に金融、商法、郵政、保険、司法制度等の分野で、アメリカ企業が日本に進出し、日本経済を支配するための改革が推し進められている。「第二の占領」といえるほどの動きだが、アメリカによる日本占領は、健康の分野にも及びつつある。
わが国は、国民皆保険制度で、国民の健康を維持してきたが、アメリカは日本政府にこの制度をやめるよう迫っている。医療に市場原理を導入させ、医療の民営化を推し進めようとしている。目指すのは、アメリカの保険会社が日本の病院を経営し、日本の医療をビジネスの対象とすることである。アメリカ保険業界の要望を容れて、公的保険と自由診療を組み合わせる「混合診療」を取り入れると、富裕層は高度な医療を受けられるようになるが、貧困層は高額の自己負担に耐えられず、まとも医療を受けられなくなる。現在の日米関係では、このアメリカの攻勢を防ぐことは難しい。
この点からも、国民は、自分の健康を自分で管理し、家族の健康は家族で守ることが、ますます必要となる。食を含む生活の全般について、健康の維持・増進という考え方をしっかり持つことが生活の防衛ともなる時代が確実に来る。今から価値観、考え方を改めることをお勧めしたい。また一人一人の国民の行動が変わらなければ、国家としての取り組みも成功しない。日本を愛する人は、このことを心に銘記したいものである。
●憲法に健康条項を
人間は体が資本である。それは個人にとっても、国民にとっても同じである。国民は、自らの健康の維持・増進に努めなけばならない。そのことを、私は憲法に規定すべきだと思う。
現行憲法の定める「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を真に意義あるものにするために、私は、憲法に、健康に関する条項を新設し、国民の健康に基礎を置いた国づくりをすべきと考えている。
以下のような条文を提案している。
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(健康を求める権利と責務)
第四十四条 国民は、自ら及び相互に、健康の維持・増進に努めなければならない。
2 政府は、国民が精神的、身体的、社会的に健康な生活が出来るよう支援するものとする。
http://homepage2.nifty.com/khosokawa/opinion08h.htm
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