ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
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現代世界史45~新しい精神文化の興隆

2014-09-18 08:17:14 | 現代世界史
 最終回。

●日本から新しい精神文化の興隆が待望されている

 精神科学発達のための計画は、従来の宗教や霊的伝統の再評価にとどまるものであってはならないだろう。私は、拙稿「心の近代化と新しい精神文化の興隆」において、西欧発の近代化の進行を、心の近代化という観点からとらえ、人々の心は全面的に「近代化=合理化」するのではないことを論じ、21世紀における新しい精神文化の興隆について書いた。
 キリスト教、イスラム、仏教等の伝統的宗教は、紀元前から古代にかけて現れた宗教であり、科学が発達し、人々の意識が向上するにつれて、その役割を終え、発展的に解消していくだろう、と私は考える。
 現代は科学が発達した時代である。従来の宗教では人々の心は満たされない。従来の宗教は、天動説の時代に現われた宗教である。今では、地球が太陽の周りを回っていることは、小学生でも知っている。パソコンやスマートフォンや宇宙ステーション等がないどころか、電気や電燈すらなかった時代の宗教では、到底、現代人の心を導けない。
 伝統的宗教の衰退は、宗教そのものの消滅を意味しない。むしろ既成観念の束縛から解放された人々は、より高い精神性・霊性を目指すようになり、従来の宗教を超えた宗教を求めるようになると考える。近代化の指標としての識字化と出生調節は、人々が古代的な宗教から抜け出て、精神的に成長し、さらに高い水準へと向上する動きの一環だろうと私は思う。
 「近代化=合理化」が一定程度進み、個人の意識が発達し、世界や歴史や宇宙に関する知識が拡大したところで、なお合理化し得ない人間の心の深層から、新しい精神文化が興隆する。新しい精神文化は、既成宗教を脱した霊性を発揮し、個人的(パーソナル)ではなく超個人的(トランスパーソナル)なものとなる。それに応じた政治・経済・社会への改革がされていく。
 いまや科学が高度に発達した時代にふさわしい、科学的な裏付けのある宗教の出現が求められている。これからは、新しい精神科学的な宗教を中心とした、新しい精神文化の興隆によって、近代文明の矛盾・限界を解決する道が開かれるだろう。(註1)
 人類は、この地球において、真の神を再発見し、宇宙・自然・生命・精神を貫く法則と宇宙本源の力にそった文明を創造し、新しい生き方を始めなければならない。そのために、今日、科学と宗教の両面に通じる精神的指導原理の出現が期待されている。世界平和の実現と地球環境の回復のために、そしてなにより人類の心の成長と向上のために、近代化・合理化を包越する新しい精神文化の興隆が待望されているのである。
 今後、現れるべき精神文化は、自然と調和し、太陽光・風力・水素等の自然エネルギーの活用による「21世紀の産業革命」と協調するものとなるだろう。こうした動きが拡大していって、初めて世界の平和と人類の繁栄を実現し得ると私は考える。
 新しい精神文化の出現が最も期待される地域は、精神文化の豊かな伝統を持ったアジアである。ここにおいて日本文明が担うべき役割には、まことに大きなものがある。西欧において始まった近代化を、非西洋社会で初めて成し遂げ、独自の展開をしてきた日本文明は、新しい精神文化の興隆が待望される時代に、大きな貢献を果たす可能性を秘めている。

 現代世界人類の二大課題は、世界平和の実現と地球環境の保全である。そのためには、核戦争を防ぎ、また環境と調和した文明を創造しなければならない。これらの課題を実現するうえで、日本には重要な役割がある、と私は確信している。人と人、人と自然が調和する日本精神には、人類の文明を転換し、この地球で人類が生存・発展していくための鍵があると思う。
 人類は、21世紀に物心調和・共存共栄の新文明を地球上に創造できるかどうかに、自らの運命がかかっている。日本人は、人類の一員として、自らの特徴を発揮し、物心調和・共存共栄の新文明の実現に貢献することによってのみ、自らの運命を切り開くことができる。
 すべては、日本及び日本人の自覚と行動にかかっている。日本及び日本人は、自らに与えられた使命を担い、自己の本質に沿って進まないと、逆に混迷・衰亡の方向に陥ってしまうことになるだろう。
 私たち日本人は、この21世紀において、日本精神を取り戻し、世界的にユニークな日本文明の特長を活性化し、新しい世界秩序の構築と、新しい人類文明の創造に寄与したいものである。(了)

註1 「新しい精神科学的な宗教」と「新しい精神文化の興隆」については、次のサイトをご参照下さい。
http://www.srk.info/

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