ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

インド2~ヒンドゥー教の人口・分布・性格

2019-09-29 13:42:27 | 心と宗教
●ヒンドゥー教の人口

 百科事典ブリタニカ年鑑の2009年版によると、世界の宗教は信者数の多い順に、キリスト教が22億5,400万人で33.4%、イスラーム教が15億0,000万人で22.2%、ヒンドゥー教が9億1,360万人で13.5%、仏教が3億8,400万人で5.0%である。
 ヒンドゥー教は、世界全体でキリスト教、イスラーム教についで、第3位の信者数を有する。だが、ヒンドゥー教徒うち、91.2%に当たる8億2,760万人がインドに住んでいる。その点から見ると、ヒンドゥー教は、キリスト教、イスラーム教、仏教に比べて、地域的に偏在している。

●分布

 ヒンドゥー教は、インドを中心とし、西アジアから東南アジアに主に分布する。
山下博司+岡光信子の共著『新版 インドを知る事典』(東京堂出版)は、インドのヒンドゥー教徒を人口の81.4%を占める8億2,760万人とし、ネパールでは人口の過半数、バングラデシュでは人口の14%、スリランカでは15%としている。
 インドネシアのバリ島では、人口の約9割を占める約300万人がヒンドゥー教を信仰している。バリ島のヒンドゥー教は、在来の宗教と混淆したもので、バリ・ヒンドゥーと呼ばれる。そのほか、マレーシア、シンガポールにも相当数の信者が住む。
 しかし、ヒンドゥー教は、仏教が西アジア、東南アジアだけでなく、東アジアにも広がっているのに比べれば、分布地域が狭い。

●インドにおける割合

 インドは、2011年の国勢調査で人口12億1,019万人を有する。この調査によると、インドにおける宗教の割合は、ヒンドゥー教79.8%、イスラーム教14.2%、キリスト教2.3%、スィク教1.7%、仏教0.7%である。
 ヒンドゥー教は、インドの人口の約8割を占めるが、国教ではない。インドは、人口で世界最大の民主主義国であり、インド共和国は世俗国家という立場を取っている。国民は、いかなる宗教を信仰してもよく、またいかなる宗教も迫害されることがあってはならないとしている。
 なお、第2次世界大戦後、インドとともに独立したパキスタンは、イスラーム教を国教としている。

●民族宗教だが世界宗教的な性格も

 宗教のうち、主に民族の範囲で信仰されているものを民族宗教、民族を超える範囲に大きく広がった宗教を世界宗教という。
 わが国では、ヒンドゥー教を世界宗教ではなく民族宗教と考え、キリスト教、イスラーム教、仏教を世界の三大宗教とすることが多い。
 確かにヒンドゥー教は、基本的にはインド文明の民族宗教である。だが、同時に、世界宗教としての性格を併せ持っている。まずインド亜大陸に広がるインド文明は、ヨーロッパ文明を超える面積と人口を持つ。また、インド文明は多民族・多文化の社会であり、その多様性は古代ローマ帝国に勝るとも劣らない。古代の地中海地域に広がったキリスト教を世界宗教と呼ぶならば、ヒンドゥー教もインド亜大陸及びその周辺地域の世界宗教と呼ぶことが可能だろう。
 一般に世界宗教としては、キリスト教、イスラーム教、仏教が挙げられる。世界宗教といっても、現実に地球全体に広がった宗教という意味ではない。実態としては、古代の帝国や一つの文明の範囲を超えたものをいう。こうした広域的な宗教は、その地域内及び周辺の諸民族に浸透し得る普及力を持っている。さらに民族や文化を超えた強い普及力を持つ宗教は、世界的に伝播し得る可能性を持つ。その水準に達した宗教こそ、世界宗教と呼ばれるにふさわしい。キリスト教、イスラーム教、仏教はそうである。ヒンドゥー教は、これらの宗教ほどの社会的普及力を発揮できていない。
 もっともヒンドゥー教は、歴史的には、古代からインド文明の拡大に伴って、インドシナ、マレー半島、ジャワ、ボルネオなど広く東南アジアに伝播し、文明間にまたがる世界宗教としての性格を示した時期がある。これは、ヒンドゥー教がその教義において、民族や文化を超えた普遍性を持っていることの証である。だが、13世紀以後、東南アジアではイスラーム教に圧されて、その性格は後退した。再び、インド文明の民族宗教に戻ったとも言える。
 そうしたヒンドゥー教に、19世紀から欧米にその教義を伝える指導者が現れ、積極的にヨーガを広めたりする動きが現れた。また今日、南アジア系移民たちが欧米等に拡散することによって、再びヒンドゥー教は世界的な広がりを見せている。

 次回に続く。

************* 著書のご案内 ****************

 細川一彦著『超宗教の時代の宗教概論』(星雲社)
https://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/d4dac1aadbac9b22a290a449a4adb3a1

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中東がまた面倒な状況に~イランとフーシー派の動き2

2019-09-28 09:29:28 | 国際関係
●イエメンのフーシー派とイラン及びサウディの関係

 イエメンでは、2011年1月「アラブの春」と呼ばれるチュニジアでのジャスミン革命、エジプトでの民衆革命等の影響を受けて、市民による反政府デモが発生した。この結果、サーレハ大統領が退陣し、ハディ副大統領が翌年2月の暫定大統領選挙で当選した。
 ここでその存在が国際社会に広く知られたのが、フーシー派である。公益財団法人中東調査会主席研究員の高岡豊氏によると、フーシー派の組織名は「アンサール・アッラー(アッラーの支持者)」という。シーア派のザイド派の集団である。1986年にイエメンのサアダ県で、フサイン・フーシーが中心となってはじめたザイド派の政治・社会的復興を志す学習サークルが前身である。フーシーらは、イラン革命後のイランの動きに大いに影響を受け、フーシー自身もイランに渡航したことがあるという。
 フーシーは、1990年代半ばに国会議員に選出された。この時点では、彼らの運動は、イエメンの体制内で活動する政治・社会運動だった。しかし、2002年から会合の際に、「神は偉大なり、アメリカに死を、イスラエルに死を、ユダヤは地獄行き、イスラームに勝利を」とのスローガンを用いるようになった。9・11、アフガン戦争、イラク戦争の前後という時代背景がある。サーレハ政権は、対外関係を意識して、このスローガンの使用をやめさせようとした。そのため両者の関係は悪化し、2004年~2010年にかけ、6度にわたり大規模な軍事衝突が発生した。この紛争で、フサイン・フーシーは死亡し、現在の指導者であるアブドゥルマリクが指導者となり、組織名は「アンサール・アッラー」となった。
 ザイド派は、シーア派の宗派の一つとみなされが、イランの国教とされる十二イマーム派とは、歴史上のどの人物をイスラーム共同体の指導者(イマーム)とみなすかについて見解が異なる。また、十二イマーム派が信じる第12代イマームの「隠れ(ガイバ)」と終末時の再臨を否定するなど、シーア派の諸宗派との違いがある。
 高岡氏によると、ザイド派は抑圧などに対する積極的な武装闘争を奨励する傾向がある。
 フーシー派が武装勢力として顕在化したのは、イエメン政府と最初に軍事衝突した2004年である。高岡氏によると、正確な兵力は不明だが、10万~30万人との推計がある。装備については、イランから調達している、イランが提供しているとたびたび指摘されており、イエメン政府などによる摘発事例もあるという。
 2004年の最初の軍事衝突の時点では、「反米・アル=カーイダ系」と位置付けられることがあったが、「イスラーム国」や「アラビア半島のアル・カーイダ」は宗派主義的二元論に基づいてフーシー派を攻撃する傾向にある、と高岡氏は指摘している。
 高岡氏は、「フーシー派を単に『イランの代理・傀儡』とみなすことにより、ザイド派という宗派集団や、サアダ県やその周辺の地域が置かれている被抑圧状況を見落とすことになりかねない。特に、フーシー派も2012年からのイエメンの政治的移行の過程に当初は参加していたことから、彼らの政治・経済・社会的な要求が何処にあるのかを見極め、イエメン全体で適切な国政運営や権益配分を追求することが紛争打開の基礎となろう。そうした中で、宗派主義的発想や善悪二元論的発想に基づいて彼らを敵視するだけでは問題解決どころか一時的な停戦の実現もおぼつかないだろう」と書いている。
https://news.yahoo.co.jp/byline/takaokayutaka/20171207-00078991/

 次回に続く。

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インド文明のダルマ~ヒンドゥー教を中心に1

2019-09-27 09:33:22 | 心と宗教
 インド亜大陸に展開するインド文明は、現代世界の主要文明の一つである。インド文明は、古代インダス文明の滅亡後、インドに侵入したアーリヤ人が主体となり、先住民族の文化を摂取しながら創造した文明である。インド文明においては、ヴェーダの宗教、ジャイナ教、仏教、ヒンドゥー教等の宗教が発達し、また他の文明からイスラーム教やキリスト教が流入した。それらの中で文明の宗教的中核となっているのは、ヒンドゥー教である。
 本稿は、ヒンドゥー教を中心にインド文明の諸宗教を概説するものである。70回ほどの予定である。私の個別宗教論の一環を成すもので、神道、イスラーム教、ユダヤ教、キリスト教に続く5作目となる。本稿の後に、別途仏教について掲載する。本稿は、その前段となるものでもある。

●ヒンドゥー教とは

 ヒンドゥー教は、アーリヤ人の文化と先住民族の文化が混淆することによって生まれた宗教である。アーリヤ人は、ヴェーダ(Veda)という聖典を持っていた。その聖典に基づく宗教的な思想や祭儀・慣習・制度等の体系を、欧米ではヴェーディズム(Vedism)と名づける。本稿では、これをヴェーダの宗教と呼ぶ。ヴェーダの宗教は、バラモン(Brahman)が祭儀を執り行ったことから、ブラーフマニズム(Brahmanism)とも呼ばれる。わが国では、バラモン教と訳す。バラモンは、祭官、祭司、司祭等と訳されるが、本稿では、祭官とする。
 アーリヤ人の宗教について、最古の時代のものをヴェーダの宗教とし、それを基礎に発展したものをバラモン教と分ける考え方もあるが、本稿では、これらを時代によって区別せずに、ヴェーダの宗教と呼ぶ。
 インド文明では、紀元前5世紀頃、形式化したヴェーダの宗教を批判して、ジャイナ教や仏教が興った。ヴェーダの宗教は、これらの宗教に対抗するため、先住民族の宗教との融合を進めた。本稿では、それによって生まれたものをヒンドゥー教と呼ぶ。すなわち、ヒンドゥー教とは、インド文明において、紀元前5世紀頃以降にヴェーダの宗教が先住民族の宗教との融合を通じて発達したものをいう。
 学者の中には、ヒンドゥー教の母胎となったヴェーダの宗教と、ヒンドゥー教を分けることなく、古代からのインドの宗教を一貫してヒンドゥー教ととらえる見方もある。この場合は、ヴェーダの宗教及びバラモン教は、原始ヒンドゥー教ないし初期ヒンドゥー教と呼ばれる。それゆえ、ヒンドゥー教という語は、狭義の場合はヴェーダの宗教と区別して使用され、広義の場合にはヴェーダの宗教を含めて使用される。この点に注意を要する。
 本稿では、アーリヤ人のもともとの宗教については、時代によってヴェーダの宗教とバラモン教と区別することなくヴェーダの宗教と呼ぶ。またヒンドゥー教の語は狭義で用い、ジャイナ教や仏教の出現後にヴェーダの宗教が先住民族の宗教と融合して発展したものを意味する。

●宗教とダルマ

 ここまでの記述で、宗教という言葉を断りなく、使ってきたが、実はインドの諸言語には、西洋文明における「宗教(religion)」に対応する言葉がない。インド人は、近代になって西洋文明が入ってくると、religionに dharma(ダルマ)という語を当てた。そして、インド文明の固有の宗教にあたるものを「ヒンドゥー・ダルマ」と呼ぶようになった。
 「ヒンドゥー」は、インド人やヒンドゥー教徒を意味する言葉である。もとは、インダス河を意味するサンスクリット語の「スィンドゥ」が、ペルシャに入って「ヒンドフ」となり、これがインドに逆輸入されて「ヒンドゥー」になったものとされる。インドより西方の人々が、インダス河以東に住む人々を「ヒンドゥー」と呼んだものを、インド人が自らの呼称にしたのである。インド人のいう「ダルマ」は、religionより意味が広い。宗教だけでなく、文化的な慣習や社会制度など多くの意味を持つ。これらの「ヒンドゥー」と「ダルマ」を結合した言葉が、「ヒンドゥー・ダルマ」である。
 インドでは、キリスト教を「クリスティ・ダルマ」と呼んでいる。これは、西洋的な宗教(religion)をインドの側からダルマ(dharma)と呼ぶものである。このことから、ダルマの核心的部分は宗教であり、宗教を核とする文化的・社会的複合体がダルマであると見ることができる。そこで本稿では、ヒンドゥー・ダルマをヒンドゥー教というインド的な宗教として扱う。
 ヒンドゥー・ダルマは、西洋的な宗教が持つ教義や儀礼、信仰の体系だけでなく、文化的な慣習や社会制度等を含む。欧米人は、ヒンドゥー・ダルマを呼ぶために、ヒンドゥーにイズムをつけて、ヒンドゥイズム(Hinduism)という語を作った。「イズム(ism)」は、主義・思想・学説・宗教等を幅広く表す接尾語である。仏教はブッディズム、神道はシントウイズム、資本主義はキャピタリズム、共産主義はコミュニズムなどという具合である。ヒンドゥイズムは、単にヒンドゥーの宗教だけでなく、インド文明の文化的・社会的な諸要素を一括して総称する言葉である。
 わが国では、ヒンドゥー・ダルマとヒンドゥイズムをともに、ヒンドゥー教と訳している。これが通例なので、本稿でもこれに従う。
 なお、現在のインドという国家の英語名は、Republic of Indiaであり、日本ではインド共和国と呼ぶ。だが、ヒンディー語によるインドの正式な国名は、バーラト・ガナラージヤという。バーラトは、聖典『マハーバーラタ』に出てくるバーラタ族に由来する。本稿では、現在のインド共和国をインドと呼び、歴史的にインド亜大陸に発生・発展した文明をインド文明と呼ぶ。インド文明は、ヒンドゥー教を宗教的な中核とする文明である。

●ダルマと生き方

 ダルマという言葉について先に簡単に述べたが、ダルマは「保つ」「支える」を意味する動詞の語根から作られた名詞である。わが国では「法」と訳すが、ダルマは極めて多義的な言葉である。宗教、慣習、社会制度、真理、教説、事物の本質・特性など多くの意味をもつ。また、宇宙を保ち、支える秩序や原理、理法、その理法に沿った生き方、さらにその生き方における行為の規範や義務、道徳等をも意味する。
 東洋思想研究の泰斗・中村元は、「ダルマは必ずしも宗教ではなくて、人間の道なのである」(『ヒンドゥー教史』)と述べている。ここで「道」とは、東アジアの精神文化の核心を表す言葉である。シナでは「タオ」、日本では「みち」という。「道」もまた真理、理法、生き方、道徳等を幅広く意味する言葉である。宗教を意味することもあり、仏教を仏道といったり、神道を神教ではなく神道といったりする。それゆえ、ヒンドゥー・ダルマは、インドの「道」と考えることができる。
 ヒンドゥー教に特徴的なのは、身分や職業に関するカーストの制度や、人生の諸段階を定めるアーシュラマの制度など、人間生活の全般を規定する制度が高度に組織化されていることである。
 それゆえ、ヒンドゥー教は、狭い意味の宗教というより、民族に特有の生き方であり、宗教・文化・制度等を含む総合的な生活様式と見ることができる。

 次回に続く。

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中東がまた面倒な状況に~イランとフーシー派の動き1

2019-09-26 13:37:51 | 国際関係
 令和元年(2019年)9月14日サウディアラビアの石油施設が何者かによって攻撃された。米国はイランの関与を強調しており、米国とイランの緊張関係が再び高まっている。中東がいよいよ面倒な状況になりそうである。わが国の対応態勢の確立が急がれる。本件について、短期連載する。

●サウディアラビアの石油施設が攻撃を受ける

 各種報道によると、攻撃を受けたサウディアラビアの石油施設は2カ所で、そのうち、サウディ東部アブカイクの施設は、世界最大とされるガワール油田の原油を精製する同国石油産業の「心臓部」といわれる。国営石油会社サウディアラムコは、国全体の日量生産能力の半分以上に当たる570万バレルの生産を停止している。この量は、世界の原油生産量の5%に相当する。原油価格が高騰しており、米国は必要に応じて戦略石油備蓄を放出して価格の安定に努める考えである。
 イラン革命防衛隊の支援を受けるイエメンのイスラーム教シーア派民兵組織、フーシー派が犯行声明を出し、無人機10機による攻撃だったと主張している。これに対し、米国高官は、攻撃はイエメンのある南からではなく、イランに近い西北西から実施され、サウディ当局が巡航ミサイルが使用された証拠を確認していると説明した。ポンペオ国務長官は、「イエメンからの攻撃だという証拠はない」と述べ、攻撃はイランの仕業だと名指しし、「世界のエネルギー供給に対する前代未聞の攻撃を仕掛けた」と非難した。トランプ大統領は当初、14日には米国は「臨戦態勢」にあると述べたが、その後、慎重な姿勢を示し、16日には「戦争は望んでいない」「イランによるものかどうかは調査中」と述べた。イラン側は、関与を否定している。ロウハニ大統領は、16日「イエメンの人々は自衛権を行使している。やられたらやり返すわけで、肝要なのはイエメンへの攻撃を止めることだ」と述べ、攻撃はフーシー派によるものだと主張した。また、フーシー派の報道官は、ツイッターで、同じ施設に対するさらなる攻撃を予告、外国企業に対して近づかないよう警告を発した。
 17日の米国メディアの報道によると、米国の当局者は、攻撃は巡航ミサイルと無人機を使ってイラク国境に近いイラン南西部から行われたという見方をしている。攻撃前にイラン国内で待機しているミサイルと無人機をとらえた衛星写真があると伝えられる。
 イランへの軍事的な報復措置の選択肢として、トランプ大統領に対して、イランの石油施設の破壊、イラン軍のミサイル基地への空爆、これらの施設や基地へのサイバー攻撃等が示されていると伝えられる。イランは、中東一の強国である。軍事的な報復は、反撃に次ぐ反撃によって、大規模な紛争に拡大する可能性がある。国家間の紛争にとどまらず、イスラーム過激派のテロを誘発する可能性もある。トランプ大統領は、慎重にならざるを得ず、軍事力の行使を自制していると見られる。
 トランプ米政権は20日、イランへの対抗措置として、サウディアラビアの防衛体制強化に向けた米軍増派や兵器供与等の軍事的支援策、イラン中央銀行と国立開発基金等への新たな経済制裁を発表した。イランとの軍事衝突は避ける姿勢は維持しつつ、軍事と経済の両面で圧力を強める構えである。トランプ大統領は、9月24日に国連総会に参加し、一般討論や各国首脳との個別会談で、サウディへの攻撃を「イランによる国際経済秩序に対する挑戦」と位置づけ、関係諸国による制裁圧力や軍事的牽制による「イラン包囲網」の強化を働きかけた。だが、仮に包囲網が強化されたとしても、イランは容易に屈服しないだろう。

 次回に続く。

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 細川一彦著『超宗教の時代の宗教概論』(星雲社)
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「キリスト教の運命」をアップ

2019-09-24 09:55:36 | 心と宗教
 平成30年(2018年)1月25日から令和元年(2019年)9月23日まで、1年8カ月間、ブログとMIXIに連載したキリスト教に関する拙稿をまとめて、マイサイトに掲示しました。通してお読みになりたい方は、下記へどうぞ。

■キリスト教の運命~終末的完成か発展的解消か
http://khosokawa.sakura.ne.jp/opinion12-5.htm

(註 第3版としているのは、部分的に掲示した後に若干修正した個所があり、版の混乱を避けるためです)

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 細川一彦著『超宗教の時代の宗教概論』(星雲社)
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キリスト教255~宗教の改革と進化が求められている

2019-09-23 08:47:07 | 心と宗教
 最終回。

●宗教の改革と進化が求められている

 21世紀には、科学と宗教が融合する新しい時代が実現すると予想される。また、そうした時代の実現を加速するために、人類の精神的進化を追及するプロジェクトの推進が求められている。
 ここにおいて、既成の宗教には大きな改革が求められる。われわれの目を自然の世界に転じれば、そこでは様々な生命体が共存共栄の妙理を表している。人智の限界を知って、謙虚に地球上で人類が互いに調和し、また動植物とも共存共栄できる理法を探求することが、人類の進むべき道である。宗教にあっても科学・政治・経済・教育等にあっても、指導者はその道を見出し、その道に則るための努力に献身するのでなければならない。特にセム系一神教は、これまでの固い殻を破って脱皮しなければならない時期にある。なかでもキリスト教には、この脱皮を先導すべき役割がある、と私は考える。そして、宗教における変化は、科学・政治・経済・教育等にも大きな変化を促すだろう。キリスト教には、世界最大の宗教として、率先してこうした変化を推進することが期待される。
 現代は科学が発達した時代である。従来の宗教では人々の心は満たされない。従来の宗教は、天動説の時代に現われた宗教である。今では、地球が太陽の周りを回っていることは、小学生でも知っている。パソコンやスマートフォンや宇宙ステーション等がないどころか、電気や電燈すらなかった時代の宗教では、到底、現代人の心を導けない。
 伝統的宗教の衰退は、宗教そのものの消滅を意味しない。むしろ既成観念の束縛から解放された人々は、古代的な宗教から抜け出て、精神的に成長し、さらに高い水準へと向上しようとしている。また、より高い精神性・霊性を目指す人々が増えている。
 「近代化=合理化」が一定程度進み、個人の意識が発達し、世界や歴史や宇宙に関する知識が拡大したところで、なお合理化し得ない人間の心の深層から、新しい精神文化が興隆しつつある。新しい精神文化は、既成宗教を脱した霊性を発揮し、個人的(パーソナル)ではなく超個人的(トランスパーソナル)なものとなる。それに応じた政治・経済・社会への改革がされていくだろう。
 いまや科学が高度に発達した時代にふさわしい、科学的な裏付けのある宗教の出現が求められている。また、宗教には、人類が核戦争と地球環境破壊の危機を乗り超えるように精神的に導く力が期待されている。21世紀に現れるべき新しい宗教に求められる特長とは、次のようなものとなるだろう。

◆実証性 実証を以て人々の苦悩を救う救済力を有すること
◆合理性 現代科学の知見と矛盾しない合理性を有すること
◆総合性 政治・経済・医学・教育等のすべてに通じる総合性を有すること
◆調和性 人と人、人と自然が調和する物心調和・共存共栄の原理に基づくこと
◆創造性 人類普遍的な新しい精神文化を生み出す創造力を有すること

 これからは、こうした特長を持った新しい精神科学的な宗教を中心とした、新しい精神文化の興隆によって、近代文明の矛盾・限界を解決する道が開かれるだろう。
 人類は、この地球において、真の神を再発見し、宇宙・自然・生命・精神を貫く法則と宇宙本源の力にそった文明を創造し、新しい生き方を始めなければならない。そのために、今日、科学と宗教の両面に通じる精神的指導原理の出現が期待されている。世界平和の実現と地球環境の回復のために、そしてなにより人類の心の成長と向上のために、近代化・合理化を包越する新しい精神文化の興隆が待望されているのである。

●結びに~キリスト教は終末的完成ではなく発展的解消へ向かう

 本稿の「はじめに」に書いたように、本稿は、キリスト教の概要を記し、その歴史と現在を考察し、この21世紀にキリスト教は終末的完成に至るのか、それとも発展的解消を遂げるのか、その将来を予測することを目的とするものである。
 人類は、21世紀において飛躍的な発展を遂げるべき段階に近づいている。間近に迫ったその段階までの歴史を人類の前史と呼ぶならば、キリスト教は人類の前史を導いてきた世界の諸宗教のうち最大のものである。
 イエスが誕生したとされる西暦紀元前後頃から現在までの約2000年間、キリスト教では、だいたい500年目ごとに新しい動きが現れた。紀元30年頃のイエスの死から最初の約500年間に、主流となる教義が形成され、それと異なる思想を持つアリウス派、ネストリウス派、単性論派などは異端とされた。その後、約500年経つと、西方のローマ・カトリック教会と東方の正教会が分れて、それぞれ独自の道を歩み始めた。またその約500年後、西方キリスト教では、プロテスタンティズムが登場した。さらにその約500年後となる20世紀には、教会合同運動が起こり、またローマ・カトリック教会では過去の誤りを認めたり、他宗教とも対話したりする動きが現れた。
21世紀の今日、キリスト教は、人類が核戦争と地球環境破壊による自滅の危機を生み出した責任の一端を負っている。核兵器はキリスト教徒による世界大戦の中で開発された。キリスト教の自然を征服・支配する思想が環境の悪化をもたらした。この責任をどのように果たしていくのか。それが、現代のキリスト教の最も大きな課題である。
 キリスト教は、終末論を説く宗教である。世の終わりにキリスト教が世界に広まり、イエス・キリストが再臨し、最後の審判が行われる際、イエスが創建した教会が完成すると説く。これを「終末的完成」という。
 果たして、イエス自身が実際に再臨するのか、それともイエスの再臨は壮大な誤報または誤解だったのか、人類はその問いの答えを2000年近く待っている。キリスト教は、その教えのように終末的完成に至り、世界史を救済と審判によって終結させるのか、それともより高い次元のものに融合して発展的に解消し、それによって新しい世界が始まることに協力するのか。21世紀においてキリスト教は、終末的完成か発展的解消かーーこの大きな岐路に立っている。
 私は、イエス自身の再臨を信じる者ではない。彼自身の役割は、2000年前に終了している。また、キリスト教には終末的完成に至る力はないと判断している。キリスト教を始めとする仏教、イスラーム教等の伝統的宗教は、紀元前から古代・中世にかけて現れた宗教であり、科学が発達し、人々の意識が向上するにつれて、その役割を終える、と私は考える。そしてキリスト教は、他の既成の宗教とともに、より高次元の新たな精神的な指導原理のもとで発展的に解消していくことになるだろう、と考える。(了)

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 細川一彦著『超宗教の時代の宗教概論』(星雲社)
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「文在寅は日米に背き、北朝鮮との合体を目指す」をアップ

2019-09-22 08:51:39 | 国際関係
 9月6日から21日にかけて、ブログに連載した韓国に関する拙稿をまとめて、マイサイトに掲示しました。通してお読みになりたい方は、下記へどうぞ。

■文在寅は日米に背き、北朝鮮との合体を目指す
http://khosokawa.sakura.ne.jp/
 NEWの案内から
または
http://khosokawa.sakura.ne.jp/opinion12.htm
 目次からB45へ
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文在寅は日米に背き、北朝鮮との合体を目指す6

2019-09-21 13:29:52 | 国際関係
●文在寅は朝鮮労働党の秘密党員か

 先に文在寅大統領について、朝鮮労働党の秘密党員であるという疑惑があると書いた。ジャーナリストで元日本共産党国会議員秘書の篠原常一郎氏は、月刊誌「Hanada」(令和元年10月号)に、「文在寅に朝鮮労働党秘密党員疑惑」という爆弾記事を載せた。
 記事によると、2014年6月15日、韓国にいる朝鮮労働党の秘密党員が、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長宛に忠誠を誓う誓詞文を送っていた。誓詞文には40個人、団体の名前が添えられている。その中に、文在寅大統領の名があるという。
 篠原氏によると、2000年6月15日、韓国の金大中大統領と北朝鮮の金正日総書記が首脳会談を行い、連邦制での南北統一を互いに協力することで共同声明を出した。その14年後に『南北首脳会談14周年』を記念して、韓国の朝鮮労働党秘密党員が、金正恩委員長に祝意と忠誠を示す誓詞文を送った。
誓詞文は「敬愛する金正恩将軍様に謹んで捧げます」という書き出しで始まり、10箇条の誓約を立てている。その内容に次のような文章がある。

 「栄光の朝鮮労働党に限りなく忠実な南の地の革命戦士である我々は偉大な指導者金正恩将軍様に次のように固く盟誓いたします」
「1.歴史的な6・15北南共同宣言発表14周年を迎えて、我々南朝鮮の革命戦士は(中略)共和国南半分で朴槿惠傀儡徒党の自由民主主義体制を叩き潰し、全朝鮮半島に主体思想を実現するのに、一命を藁のように捧げます」
「5.我々は、南側政府の警察、検察など司法部と行政部に浸透し、政府の行政機能を麻痺させ、金正恩将軍様の指導と領導に従うようにいたします」
「9.我々は、いったん有事にはまず第一に軍および警察の武器庫を襲撃し、銃を奪って南朝鮮の国軍、警察、情報機関などを襲撃し、右翼反動勢力を射殺し、金正恩将軍の挙族的な南朝鮮革命と統一戦争に合勢します」

 以上の主旨は、革命によって自由民主主義体制を倒し、主体思想の下で南北統一を目指すということである。この誓詞文に、文在寅大統領の名前が記されている。その他、国情院院長の林東源、盧武鉉政権時代の法務部長官の康錦肅、オーストリア代理大使の李相哲、著名な学者、芸術家、歌手等が名を連ねているという。
 篠原氏は、「すでに、誓詞文に掲げられた誓約は実行に移されつつあるとみています。娘の大学不正入学疑惑が報じられた法務部長官のチョグク氏は文大統領の側近ですが、彼も主体思想の信奉者と言われています。現在、裁判官や判事に主体思想派が送り込まれています。検察解体を狙っているのです」と述べている。
 篠原氏の記事は、ハングル語に訳されて韓国内で読まれており、衝撃が走っているという。今後、韓国の保守系メディアが報道し、韓国国会で追及が行われることが期待される。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190919-00583558-shincho-kr&fbclid=IwAR1GZQoZPMD8GITbqFeMZNAC-IjBu_K8YopJZSJNsmYKjCUIXmRWfefPHaY

●防衛ラインが38度線から対馬海峡まで下がる

 今、東アジアでは、南方で香港の自由を中華共産主義から守れるか、北方で韓国の民主主義を中朝全体主義から守れるかという歴史的な戦いが繰り広げられている。この戦いは、10年から30年後の日本の運命に関わる戦いである。日本人は長期的な展望を持って、香港の民主化勢力を応援し、韓国の反北反共勢力と連携すべきである。
 文大統領は、8月15日、光復節の演説で、「任期内に(南北)統一に向けて歩む」「2032年にはソウル-平壌共同五輪を成功開催し、45年には1つになった国(One Korea)として世界に位置づけられる」と宣言した。中国で作成された2050年の東アジアの予想地図では、朝鮮半島は「朝鮮省」として、中国の一部になっている。文氏の構想のように2045年に北朝鮮との統一国家が出来たならば、その後、統一朝鮮は中国に併合されてしまうだろう。
日本人は、近いうちに、わが国の安全保障の防衛ライン、すなわち非武装地帯(DMZ)は38度線から対馬海峡まで下がるということを想定して、わが国は自国の国防体制をしっかり整える必要がある。
 わが国の国民の多くは、韓国は反日ではあっても、北朝鮮に向かっては、ともに自由とデモクラシーを守る友好勢力と考えて来た。冷戦終了後、韓国軍が常に日本を「仮想敵」として軍備の増強を進めてきたことは、よく知られていない。この点について、軍事ジャーナリスト・田岡俊次氏が「AERA」2019年9月2日号の記事に、詳しく書いている。要点を抜粋する。
 「たとえば韓国海軍が87年、ドイツに209型潜水艦(潜航時1300トン)3隻を発注した際には、議会で『日本の通商路を遮断するため』と説明した。07年には1万9千トン級のヘリコプター空母を就役させ、『独島(ドクト)』(竹島の韓国名)と命名。日本との対決姿勢を示している」
 「また韓国空軍は1千キロ圏での制空権確保を目標としており、その圏内には東京が入る。韓国空軍の代表が米国防総省を訪れ、空中給油機の売却を要請したこともある。米国側が『北朝鮮の奥行きは300マイル程度。給油機は不要では』と問うと、『東京を爆撃する際に必要だ』と言い放ったという。国防総省の担当者は驚いて日本側にそれを伝え、給油機は売らなかった。
 だが韓国空軍は欧州のエアバス社製のA330給油機4機を発注、最初の1機は昨年11月に到着した。韓国空軍は『独島防衛に有効』と言っている。このほか、爆弾や対地ミサイルを最大11トン積める複座の戦闘爆撃機F15E(韓国用はF15K)59機を保有する。かのB29の最大9トンを上回る積載能力で、戦闘行動半径は1250キロ。空中給油無しでも東京を爆撃できる。
 現在韓国空軍は戦闘機、戦闘爆撃機計590機を持ち、航空自衛隊の330機をはるかにしのぐ」
 「さらに韓国は、射程800キロで名古屋まで届く弾道ミサイル『玄武2C』や射程1500キロの巡航ミサイル『玄武3C』を開発している。北朝鮮の奥行きは500キロ、韓国から北京までは900キロあまりだから、1500キロの射程は日本全土を射程内に入れるためと考えられる」
 「韓国陸軍は人員49万人で、米陸軍の46万7千人を上回り、陸上自衛隊の3.6倍だ」
https://dot.asahi.com/aera/2019090200053.html?page=1

 日本人は、日本を「仮想敵国」として強大な攻撃的戦力を持つ韓国が、今後、北朝鮮と合同して日本に牙をむく日が近づいていることを、真剣に考える必要がある。核兵器を持った統一朝鮮が、日本に強大な圧力をかけてくるという危険を、日本人は感知しなければならない。現行憲法を改正することなくして、日本を守れない。日本人の生命も財産も守れない。誇りも文化も守れない。日本人は、そのことに目ざめるべきである。(了)

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キリスト教254~「心のアポロ計画」を推進する

2019-09-20 09:24:56 | 心と宗教
●「心のアポロ計画」を推進する

 大脳にホログラフィー理論を応用したことで知られる大脳生理学者・カール・プリブラムは、次のように語っている。
 「従来の科学は、宗教で扱う人類の精神的側面とは相容れないものだった。いま、これが大きく変わろうとしている。21世紀は科学と宗教が一つとして研究されるだろう。このことはあらゆる面でわれわれの生き方に重大な影響を及ぼすだろう」(プリブラム他著『科学と意識』)
 科学と宗教が一つのものとして研究され、それが私たちの生活に大きな影響をもたらすーーこうしたことを唱えているのは、カプラやプリブラムだけに止まらない。物理学や生物学や認知科学など、さまざまな分野の科学者が、科学と宗教の一致を語っている。
 われわれは、科学と宗教が分離し対立した近代を経て、改めて科学と宗教がより高い次元で融合すべき新しい段階に入っているのである。
 ここにおいて、再評価されつつあるのが、宗教の存在と役割である。カプラは、次のように書いている。「われわれが豊かな人間性を回復するには、われわれが宇宙と、そして生ける自然のすべてと結びついているという体験を回復しなければならない。宗教(religion)の語源であるラテン語のreligareはこの再結合を意味しており、それはまさに精神性の本質であるように見える」と。(『ターニング・ポイント』)
 まさしく、われわれは、科学の時代から精神の時代、物質科学文化の時代から精神科学文化の時代への転換期にある。この時代の方向指示者の一人として、数理科学者のピーター・ラッセルは、「心のアポロ計画」という注目すべき提案をしている。ラッセルは、名著『ホワイトホール・イン・タイム』(1992年)で、次のように言う。
 「今日、人類はまっさかさまに破局へ突っ込んでいく事態に直面している。もし本当に生き残りたかったら、そして私たちの子供や、子供の子供たちに生き残ってほしかったら、意識を向上させる仕事に、心を注ぐことこそが最も大切なことである。破壊的な自己中心主義から人類を解き放つための全世界的な努力だけが必要である。つまり、人類を導くための地球規模のプログラム、”心のアポロ計画”が要求されているのである」
 アポロ計画とは、1960年代に宇宙時代を切り拓いた米国の宇宙開発計画である。それは、物質科学文化のピークを歴史に刻んだ。人類が月に着陸し、月面から撮った宇宙空間に浮かぶ地球の写真は、人々に地球意識を呼び起した。これに比し、「心のアポロ計画」は、この宇宙時代にふさわしい精神的進化を追及するプロジェクトである。
 このプロジェクトでは、心理的な成熟や内面の覚醒を促す技術の研究開発に焦点が当てられる。そこに含まれるテーマは、次のようなものである。

◆神経科学と心理学に焦点を当て、心の本質を理解する。
◆自己中心主義の根拠をもっと深く研究する。
◆霊性開発のための現在ある方法を全世界的に調査する。
◆新しい方法を探すとともに、現在ある方法の協同化を進め、発見されたものの応用と普及を図る

 提唱者ラッセルによると、この計画に巨額な資金は必要としない。
 「毎年全世界が“防衛”に費やしている1兆ドルの1パーセント足らずで、すべてがうまくいくはずである」と、ラッセルは言っている。
 私は、1990年代半ばからこの「心のアポロ計画」に賛同してきた者である。世界の有識者は、早急にこの計画を実施すべきである。だが、ラッセルが「心のアポロ計画」を提唱してから、既に30年近く経っているが、世界規模での具体的な取り組みはされていない。国連等の国際機関で、すみやかにその取り組みを開始すべきである。そして、世界最大の宗教であるキリスト教には、積極的にこの提案に応じることが期待されるのである。

 次回が最終回。

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文在寅は日米に背き、北朝鮮との合体を目指す5

2019-09-19 10:21:42 | 国際関係
●最大の問題は、GSOMIA破棄

 韓国政府は、8月22日に軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄を発表した。大統領府国家安保室の金有根第1次長が、日本政府が「ホワイト国」からの韓国除外を決めたことを挙げ、「両国間の安保協力環境に重大な変化をもたらした」と指摘し、協定維持が「われわれの国益にそぐわないと判断した」と主張した。日本はもとより、米国にも、そして韓国内にも衝撃が走った。
 GSOMIA(General Security of Military Information Agreement)は、主に北朝鮮等の脅威に対応することを想定して、日韓双方が機密情報をやり取りする際のルールを定めたものである。日韓の間で軍事に関する秘密情報を提供された場合、その情報を他国に漏らさないということを約束するものである。
 GSOMIAは、事実上日米韓の枠組みである。日米と米韓はそれぞれ軍事同盟を結んでいる。だが、日韓には同盟関係がない。米国としては、日韓の間にGSOMIAを結ばせることで、3カ国の連携を強化しようとしたものである。韓国は、アメリカからの強い要請を受けた朴槿恵大統領が2016年11月に締結した。効力は1年間で、以後毎年更新されてきた。GSOMIAには、なにより日米韓の連携のシンボル的な意味がある。
 今回韓国は、このGSOMIAを破棄するという衝撃的な発表をした。だが、これは、突然の決定ではない。文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、就任初期にGSOMIAの見直しを政策に揚げていた。親北容共の文政権は、北朝鮮との統一国家を目指しており、そのためには日本との安全保障の相互関係を切る必要があると考え、時期と内外の状況を見て、GSOMIAの破棄に至ったものだろう。
 わが国政府の輸出管理強化、日本が韓国を「ホワイト国」から除外、これに対抗して、韓国も日本を除外という展開の過程で、韓国ではGSOMIA破棄を求める声が上がった。すると、北朝鮮は、メディアで日本とのGSOMIAは「売国協定、戦争協定」だと主張し、GSOMIAの維持を訴える韓国の野党を「親日売国逆賊」だと非難し、韓国の保守派糾弾に利用した。韓国の親北団体はこれに呼応し、反日・反安倍デモで「GSOMIA破棄」を主なスローガンにしてきた。文政権は、もともとGSOMIAを見直し、破棄する方針を持っていたが、文政権の背後にいる北朝鮮と韓国内の親北勢力の動きを見て、破棄を決定したと見られる。
 韓国のGSOMIA破棄の狙いは三つという説がある。韓国大統領府の事情に精通した韓国の関係者の見方として、JBpressの近藤大介氏が伝えた。

(1)反日を利用して自らの政権のスキャンダルを回避すること。後継者・曹国(チョ・グク)氏のスキャンダル(娘の高麗大学不正入学、奨学金の不正受給、息子の兵役5度延期、家族による投資への疑惑等)を緩和するため。
(2)北朝鮮の金正恩政権に対して、恩を売ること。北朝鮮の暴発(短距離ミサイル発射等)を喰い止め、再び韓国側に振り向かせ、韓国の真の敵は北朝鮮ではなく日本であることを、北朝鮮に認めさせるため。
(3)八方塞がりの韓国経済をV字回復するため、韓国の輸出の25%を占める中国を振り向かせること。THAADは撤去できないので、その代わりに中国を喜ばすため。
http://www.msn.com/ja-jp/news/world/%e9%9f%93%e5%9b%bdgsomia%e7%a0%b4%e6%a3%84%e3%81%ae%e7%8b%99%e3%81%84%e3%81%af%e9%86%9c%e8%81%9e%e9%9a%a0%e3%81%97%e3%81%a8%e5%aa%9a%e6%9c%9d%e3%83%bb%e5%aa%9a%e4%b8%ad/ar-AAGeH8i?ocid=iehp

 この三点にないもの。それは、韓国が日米と連携して、朝鮮半島とアジアの自由と平和を守るという意志である。文在寅大統領は、共産中国の後ろ盾で北朝鮮との統一を目指しており、その実現のために政権の継続と長期化を目論んでいる。北朝鮮等への戦略物資の横流しをしてきたと見られる文政権は、今回、GSOMIAの破棄によって、日米の側から中朝の側に移るという旗色を鮮明にしたと言えよう。これを最も喜んでいるのは、中国共産党政府である。
 GSOMIA破棄について、わが国の政府や安全保障の専門家の多くは、わが国への影響はほとんどないと言っている。協定の締結後、日韓双方の情報提供は29回行われた。すべて北朝鮮のミサイルに関するもので、電波情報や情報収集衛星の画像のやりとりがされてきた。わが国は北が打ち上げたミサイルを発射から着弾まで、すべての情報を収集・獲得している。一方、韓国は発射から途中までしかデータを得られない。とりわけ北朝鮮は5月以降、繰り返し日本海に向けて短距離弾道ミサイルを発射している。超大型の多連装ロケット砲も発射した。北のミサイル技術は、低高度で飛行するなど高度化している。日本よりも韓国にとって、日韓の情報共有は有益である。それゆえ、GSOMIA破棄は、韓国側のほうがデメリットが大きい。
 これとは異なる情報もある。日本経済新聞は8月24日の記事で、韓国の情報機関、国家情報院の幹部が定期的に北京を訪れ、日本や米国が提供した機密情報を中国に漏らしているようだと報じた。これが事実であれば、韓国・文政権は、もともと日米と連携して中朝に対峙する意思はなく、日米から得た情報を中国に流すというスパイ行為を行なってきたことになる。
 だが、米国政府のポンペオ国務長官、エスパー国防長官は、韓国のGSOMIA破棄に「失望した」と語った。北朝鮮は核・弾道ミサイルの開発を進めて来た。その後ろ盾には中国がある。ロシアも東アジアでの影響力拡大を図っている。こうしたなかで、韓国がGSOMIAを破棄することは、対北・中・露の日米韓の軍事的連携に重大な支障が生じる恐れがあるとして、トランプ政権は懸念を強めている。現在有効のGSOMIAは11月23日以降に破棄されることになる。米国は、韓国に協定の破棄をやめて更新するよう求めて、働きかけを続けている。

●曹国氏の疑惑追及と親北左翼革命の阻止

 韓国内にも、GSOMIA破棄を批判する動きがある。8月23日、GSOMIA破棄を批判し、文在寅大統領の退陣を求める保守派の集会が数万人規模で行われた。文大統領が自らの後継者と画策する曹国(チョ・グク)氏のスキャンダルへの批判がらみだった。文氏は曹氏を次期法務部長官(法相)に指名し、来年4月の総選挙までに警察・検察改革を断行し、保守派の政敵たちを一網打尽にし、選挙後に曹氏に政権を引き継ぎ、自分はキング・メイカーの座に着く考えと見られた。これが実現すれば、韓国に媚中親北の左派長期安定政権が誕生することになる。それゆえに、保守派は大統領を強く批判し、曹氏の疑惑を厳しく追及している。しかし、文大統領は9月9日曹氏の法相指名を強行した。現在、検察は曹氏の疑惑への捜査を進めており、妻や娘、親戚に続いて本人にも捜査が及んでいる。いくつもの法に違反するとして立件される可能性が高くなっている。
 曹国法相は、自身の疑惑を追及されながらも、警察・検察改革を進めようとしている。警察・検察改革は、表向きは強大な警察・検察の権力を縮小しようとするものである。韓国の警察・検察は、でっち上げによる捜査・起訴等が多く、その横暴が批判されてきている。それゆえ、一面では民主化を進める取り組みのようだが、真の目的は、文大統領が退任後、歴代大統領のように起訴・有罪とされないように、司直の牙を抜くことにあると見られる。親北左翼勢力にとっては、司直の牙を抜くことで、自分たちの活動を思うように行えるようになる。そういう極めて政治的な闘争が行われていると見られる。もっと言えば、韓国で、国家権力による親北左翼革命を合法的に強行するために、この警察・検察改革の成否が決定的に重要なのだろう。それゆえ、文大統領は、いかに疑惑が噴き出ていようとも曹国氏の法相指名を強行し、曹氏に警察・検察改革をやらせようとしていると見られる。曹氏が法相の権限で、自身に関わる検察の動きを強引に封じる可能性もある。逆に、韓国の保守派にとっては、ここで曹氏を退任に追い込まないと、文=曹親北左翼政権による親北左翼革命を許すことになってしまう。
 文在寅大統領については、朝鮮労働党の秘密党員であるという疑惑が出ている。ジャーナリストの篠原常一郎氏は、文氏が朝鮮労働党に忠誠を誓った誓詞文を入手したとして、これを公表した。その誓詞文には、有事には軍および警察の武器庫を襲撃し、南朝鮮の国軍、警察、情報機関を襲撃する旨がと記されている。詳しくは、次の項目に書く。曹氏も、革命を行なう時には、反対派を200万人殺害すると発言していると伝えられる。文氏・曹氏は、日本でいえば、武装闘争を行なう共産党員に近い左翼の闘士である。民主的な政治家として政権に就き、合法的に獲得した権力を振って、革命を進める。そういう目的を持って、親北左翼革命を強行しようとしていると見ることができる。彼らが、日米に背いてGSOMIAを破棄するのは、その点で、当然の行為といえる。

 次回に続く。

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