小泉首相の私的諮問機関である「皇室問題に関する有識者会議」は、11月24日、首相に報告書を提出した。その内容に危機をもった人々が、30日「皇室典範を考える集い」に参集した。私も国民の一人として参加した。
以下、この集会の大略をお伝えする。
■「皇室典範を考える集い~「有識者会議」の見識を問う~」
平成17年11月30日 日本消防会館
主催 皇室典範を考える会 代表 上智大学名誉教授 渡部昇一
●会場で配られた資料より抜粋
<有識者会議の答申に接して>
なぜ、これほど急いで決めようとするのか。皇位継承問題について、私たち国民が聞かされたのは、今年になってからではないか。しかも年頭以来、国民とメディアの関心は、郵政民営化論議に注がれ、その上、大旋風を巻き起こした衆議院選挙もあった。国民的関心も論議も全く別のところにあったのであり、事実上、国民はなにも知らされていない中での答申提出である。その答申に見られるのは、単に目先の事象に振り回される姿でしかない。有識者というなら、曇りなき伝統を守るためにこそ知恵を出すべきではないか。政府は拙速を避け慎重に対処することを、強く求める。
平成17年11月24日
皇室典範を考える会 代表 渡部昇一
●登壇者
平沼赳夫衆議院議員・日本会議国会議員懇談会会長
下村博文・日本会議国会議員懇談会事務局長
桜井よし子(ジャーナリスト)
工藤美代子(作家)
田久保忠衛(杏林大学客員教授)
荻野貞樹(国語学者)
小田村四郎(皇室問題研究会顧問)
屋山太郎(政治評論家)
●参加者により採択された声明(政府に提出される)
11月24日、「皇室典範に関する有識者会議」は1年に満たない審議を終えて、「女系天皇容認・長子優先」を柱とする報告書を小泉首相に提出した。これを受けて政府は皇室典範改定案を来年の通常国会に上程する方針である。
報告書の内容を一見し審議の経緯を振り返る時、我々は、有識者会議及びその背後で同会議を方向付けてきた政府の、軽率かつ傲慢な姿勢に強い異議と憤りを禁じ得ない。
報告書は、皇位継承資格を女性・女系皇族にも拡大するために、125代にわたり男系で一貫してきた皇位継承原則の根本的な改変を主張する。改変の最大の理由として皇位継承の安定化をはかることをあげているが、しかし、男系継承の伝統を大転換することは、皇位の正統性への不信の念を生み出し、むしろ皇位継承制度に巨大な不安定要因を持ち込むことになろう。報告書は、改変の根拠としてさらに、近年の少子化傾向や、家族や男女の役割分担についてのい国民意識の変化などをあげているが、これらは皇位継承制度と次元を異にする事象である。我々は、このような報告書に、皇室の歴史や伝統への畏敬、敬慕の情を感じることができない。
また、報告書は、元皇族の皇籍復帰など男系継承の伝統を護持するための方法については、「国民の支持と理解を得ることは難しい」と頭から決めてかかり、これを疎略にしりぞけているが、無謀かつ無責任と言うほかない。
有識者会議の設置にあたっては、政府の皇室典範改正原案なるものの存在が報道されるなど、「はじめに結論ありき」の審議が予想されたが、同時に、案件の重大性に鑑み、それなりに真摯な議論がなされるものとの期待もあった。
しかし、その甘い期待は見事に裏切られた。審議の経過を振り返りつつ報告書の内容を見る時、有識者会議は政府のお膳立ての上での、中身の無い形式的な存在であったことが、明らかである。政府が本気で報告書に基づく皇室典範改正案を来年の通常国会に提出し、その成立を企図しているとするなら、それは皇室の歴史と国民の良識を無視し愚弄するものである。
国民は未だ、皇室典範改定に関する政府の明確な趣旨を聞かされていない。そして、国民の多くが女性天皇と女系天皇の違いを理解していない。その結果として、「女性天皇容認」の世論調査の数値が「女系天皇容認」の根拠として報告書に利用されている。これほどの重要問題に関して説明責任を果たさず、また国民の多様な声に耳を傾けない政府の姿勢、まして皇族方の御意向を一切無視する政府の姿勢は言語道断である。形式的な議論のみでいとも簡単に男系継承の根本原則を改変しようとする政府の方針は、断じて許されない。
以上の通り、皇室典範の改定を急ぐ理由は見当たらないし、決して急いではならない。我々は、政府及び関係機関が、事柄の重大性を十分認識し、取り返しのつかない事態が現出することのないよう慎重の上にも慎重に対処すべきことを強く求めるものである。
平成17年11月30日
「皇室典範を考える集い」参加者一同
●参考
「皇位の正統な継承の堅持を求める会」のホームページ
http://hw001.gate01.com/abc123xyz/
私の皇位継承問題に関する小論
http://homepage2.nifty.com/khosokawa/opinion05b.htm
以下、この集会の大略をお伝えする。
■「皇室典範を考える集い~「有識者会議」の見識を問う~」
平成17年11月30日 日本消防会館
主催 皇室典範を考える会 代表 上智大学名誉教授 渡部昇一
●会場で配られた資料より抜粋
<有識者会議の答申に接して>
なぜ、これほど急いで決めようとするのか。皇位継承問題について、私たち国民が聞かされたのは、今年になってからではないか。しかも年頭以来、国民とメディアの関心は、郵政民営化論議に注がれ、その上、大旋風を巻き起こした衆議院選挙もあった。国民的関心も論議も全く別のところにあったのであり、事実上、国民はなにも知らされていない中での答申提出である。その答申に見られるのは、単に目先の事象に振り回される姿でしかない。有識者というなら、曇りなき伝統を守るためにこそ知恵を出すべきではないか。政府は拙速を避け慎重に対処することを、強く求める。
平成17年11月24日
皇室典範を考える会 代表 渡部昇一
●登壇者
平沼赳夫衆議院議員・日本会議国会議員懇談会会長
下村博文・日本会議国会議員懇談会事務局長
桜井よし子(ジャーナリスト)
工藤美代子(作家)
田久保忠衛(杏林大学客員教授)
荻野貞樹(国語学者)
小田村四郎(皇室問題研究会顧問)
屋山太郎(政治評論家)
●参加者により採択された声明(政府に提出される)
11月24日、「皇室典範に関する有識者会議」は1年に満たない審議を終えて、「女系天皇容認・長子優先」を柱とする報告書を小泉首相に提出した。これを受けて政府は皇室典範改定案を来年の通常国会に上程する方針である。
報告書の内容を一見し審議の経緯を振り返る時、我々は、有識者会議及びその背後で同会議を方向付けてきた政府の、軽率かつ傲慢な姿勢に強い異議と憤りを禁じ得ない。
報告書は、皇位継承資格を女性・女系皇族にも拡大するために、125代にわたり男系で一貫してきた皇位継承原則の根本的な改変を主張する。改変の最大の理由として皇位継承の安定化をはかることをあげているが、しかし、男系継承の伝統を大転換することは、皇位の正統性への不信の念を生み出し、むしろ皇位継承制度に巨大な不安定要因を持ち込むことになろう。報告書は、改変の根拠としてさらに、近年の少子化傾向や、家族や男女の役割分担についてのい国民意識の変化などをあげているが、これらは皇位継承制度と次元を異にする事象である。我々は、このような報告書に、皇室の歴史や伝統への畏敬、敬慕の情を感じることができない。
また、報告書は、元皇族の皇籍復帰など男系継承の伝統を護持するための方法については、「国民の支持と理解を得ることは難しい」と頭から決めてかかり、これを疎略にしりぞけているが、無謀かつ無責任と言うほかない。
有識者会議の設置にあたっては、政府の皇室典範改正原案なるものの存在が報道されるなど、「はじめに結論ありき」の審議が予想されたが、同時に、案件の重大性に鑑み、それなりに真摯な議論がなされるものとの期待もあった。
しかし、その甘い期待は見事に裏切られた。審議の経過を振り返りつつ報告書の内容を見る時、有識者会議は政府のお膳立ての上での、中身の無い形式的な存在であったことが、明らかである。政府が本気で報告書に基づく皇室典範改正案を来年の通常国会に提出し、その成立を企図しているとするなら、それは皇室の歴史と国民の良識を無視し愚弄するものである。
国民は未だ、皇室典範改定に関する政府の明確な趣旨を聞かされていない。そして、国民の多くが女性天皇と女系天皇の違いを理解していない。その結果として、「女性天皇容認」の世論調査の数値が「女系天皇容認」の根拠として報告書に利用されている。これほどの重要問題に関して説明責任を果たさず、また国民の多様な声に耳を傾けない政府の姿勢、まして皇族方の御意向を一切無視する政府の姿勢は言語道断である。形式的な議論のみでいとも簡単に男系継承の根本原則を改変しようとする政府の方針は、断じて許されない。
以上の通り、皇室典範の改定を急ぐ理由は見当たらないし、決して急いではならない。我々は、政府及び関係機関が、事柄の重大性を十分認識し、取り返しのつかない事態が現出することのないよう慎重の上にも慎重に対処すべきことを強く求めるものである。
平成17年11月30日
「皇室典範を考える集い」参加者一同
●参考
「皇位の正統な継承の堅持を求める会」のホームページ
http://hw001.gate01.com/abc123xyz/
私の皇位継承問題に関する小論
http://homepage2.nifty.com/khosokawa/opinion05b.htm