ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

今年の10大ニュース

2012-12-30 11:03:55 | 時事
 今年も残すところわずかになった。この一年いろいろなことがあった。私にとっては、国内では12月の衆院総選挙の結果、安倍晋三内閣が成立したこと、海外では中国で習近平主導体制が始動したことが、最も大きなニュースだった。
 わが国は本年、東日本大震災からの復興、デフレからの脱却が遅々として進まず、厳しい社会状況が続いた。欧州債務危機が深刻化し、その影響もあって中国の経済成長が減速し、わが国も大きな影響を受けている。そのうえ、韓国大統領の竹島への不法上陸、尖閣諸島の奪取をめざす中国の策動等により、国際環境は一段と厳しさを増している。そうしたなか、12月16日に衆議院総選挙が実施され、政権交代が起こり、安倍晋三氏を首班とする「危機突破内閣」がスタートした。それにより、わが国に明るい兆しが表れている。日本の再建に向けて、国民の力を結集することが求められている。
 海外に目を転じると、昨年末、北朝鮮は最高指導者が金正恩氏に替わった。今年は、中国は習近平氏が総書記、韓国は朴槿恵氏が大統領になった。東アジアでは、最高指導者が次々に代わっている。またロシアでは、プーチン氏が大統領に復帰した。指導者の交代は、政治・外交の変化をもたらす。中国では来春、習氏が国家主席となり、本格的に習主導体制が確立される。それによって、一段と覇権主義が強化されるだろう。再選されたオバマ米大統領はアジア太平洋地域最重視の方針を堅持しており、東南アジア等で中国に対抗する外交を展開している。経済危機の長期化のなかで、米中の競い合いは、より激しさを増していくだろう。
 来年は、尖閣諸島や朝鮮半島をめぐって、激動の年となるやも知れぬ。日本の危機を乗り越えるには、日本人が日本精神を取り戻し、一致協力するしかない。日本を愛する人々の心をつなぎ合って、日本を明るく元気にしていこう。
 皆様、よいお年をお迎えください。

 以下は、共同通信社による今年の国内・国際10大ニュース。

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●共同通信社 平成24年12月28日

http://www.47news.jp/47topics/e/237216.php
【2012年 十大ニュース決定】自公政権奪還、尖閣が上位/ロンドン五輪でメダル最多/オバマ米大統領再選 
 
 共同通信社と全国の加盟新聞社、民放契約社の編集・論説担当者らが、現場のジャーナリストの目で選んだ今年の十大ニュースが決まった。
 国内ニュースでは、衆院選での自民、公明両党の政権奪還、消費税増税法成立と、混迷する政治をめぐるニュースが1位と3位に入った。2位は尖閣、竹島問題。原発利用で国論は二分され(5位)、東京電力の実質国有化(10位)とともに、東日本大震災の影響が続く。オスプレイの沖縄配備(7位)は激しい反対を呼び起こし、超円高は家電メーカーに大打撃を与えた(9位)。
 明るい話題では、 山中伸弥京都大教授のノーベル賞受賞が4位、ロンドン五輪でのメダル38個獲得が6位に入った。
 国際ニュースでは、オバマ米大統領の再選、中国の 習近平 (しゅう・きんぺい) 氏、北朝鮮の 金正恩 (キム・ジョンウン) 氏の新体制発足が上位3位まで占めるなど、選挙や指導者の交代が5項目選ばれた。昨年2位の欧州危機は今年も4位に。泥沼化するシリア内戦でジャーナリストの 山本美香 さんが銃撃死する悲劇(5位)もあった。

◆国内項目別解説 

(1)衆院選で自公が政権奪還、第2次安倍内閣発足へ
 8月の民主、自民、公明の3党首会談は、野田佳彦首相が示した「近いうちに信を問う」で合意し、解散に注目が集まる中、11月の党首討論で野田首相が突如、解散時期を表明した。12党が乱立した12月16日の衆院選で自公が圧勝して政権を奪還し、26日に第2次安倍内閣発足が誕生した。注目を集めた第三極「日本維新の会」は民主党と僅差の第3党に大躍進した。

(2)尖閣、竹島の領有権問題で日中、日韓関係が悪化
 4月に石原慎太郎東京都知事が沖縄県・尖閣諸島の都による買い取りを表明、最終的に国が9月に国有化した。中国側は「自国固有の領土」と強く反発して大規模な反日デモが起き、領空、領海侵犯も頻発。国交正常化40周年の記念式典も中止され、日中関係は急速に冷え経済への悪影響も目立った。日韓両国が領有権を主張する島根県の竹島を8月、韓国の 李明博 (イミョンバク) 大統領が初めて訪問、日本側は駐韓国大使を一時帰国させた。

(3)消費税増税法が成立、2段階で10%へ
 民主、自民、公明3党などの賛成多数で8月に消費税増税法が成立、現行5%の税率は2014年4月に8%、15年10月に10%へ。引き上げは付則で示した「名目3%、実質2%の経済成長」が条件で、13年秋ごろ最終判断する。社会保障関係費が毎年1兆円ずつ増え、財政再建も急務で、さらに一段のアップも。

(4)iPS細胞の山中教授にノーベル賞
 さまざまな組織の細胞になる能力がある「人工多能性幹細胞(iPS細胞)」を開発した 山中伸弥 京都大教授が12月10日、ノーベル医学生理学賞を授与された。開発から6年のスピード受賞で、日本人の受賞は2年ぶり19人目。再生医療や創薬への利用が期待される。

(5)原発利用で国論二分、敦賀原発は廃炉濃厚
 11年3月の東京電力福島第1原発事故以降、原発の安全性への信頼性が失われ、今年5月に国内の商業用原発50基が42年ぶりに全停止。脱原発デモも国会前などで行われ、関西電力の大飯原発3、4号機(福井県)が再稼働した夏には20万人規模に。総選挙でも脱原発が争点になり、国論は二分された。9月発足の原子力規制委員会は12月10日、日本原子力発電敦賀原発(同)の原子炉直下に活断層がある可能性が高いとの見解で一致、廃炉の可能性が濃厚に。

(6)ロンドン五輪でメダル最多の38個
 夏にロンドンで開かれた五輪で、日本選手団は金7、銀14、銅17と過去最多のメダル38個を獲得。3大会連続で優勝したレスリング女子の 吉田沙保里 選手には11月、国民栄誉賞が授与された。

(7)新型輸送機オスプレイを沖縄配備
 米軍の新型輸送機MV22オスプレイが10月、沖縄県の普天間飛行場に初めて配備された。開発段階や実戦で墜落事故を起こし、安全性への懸念から沖縄県や住民が反発。米兵による事件も相次ぎ、沖縄と、政府や米軍との関係悪化が際立った本土復帰40周年だった。

(8)尼崎連続変死事件、主犯格容疑者は留置場で死亡
 兵庫県尼崎市の貸倉庫で昨年11月に女性遺体が見つかった事件が始まり。傷害致死罪などで起訴された主犯格の 角田美代子容疑者(64)の周辺では、親族や同居人など計6人の遺体が見つかる異様な展開に。殺人容疑などで今年12月に再逮捕された角田容疑者は県警本部の留置場で死亡。自殺したとみられ、全容解明は難しくなった。

(9)家電メーカー総崩れ、エルピーダは破綻
 超円高や世界景気の減速、海外メーカーとの販売競争でパナソニック、ソニー、シャープの3社は12年3月期に巨額赤字に。半導体大手エルピーダメモリは、2月に会社更生法の適用を東京地裁に申請し経営破綻した。

(10)東電が実質国有化、電力各社料金値上げへ
 東京電力は7月、破綻を回避するため政府から公的資金1兆円の資本注入を受け、実質国有化された。火力発電の燃料費増加で電力10社中8社が9月中間連結決算で赤字。東電は9月に家庭向け料金を32年ぶりに値上げし、関西、九州など原発依存の各電力も追随へ。

◆国際項目別解説 
 
(1)米大統領選でオバマ氏再選
 11月6日投開票された米大統領選で、民主党現職のオバマ大統領が共和党のロムニー候補を破り再選された。来年1月にスタートする政権2期目は、減税失効と歳出削減が年明けに重なる「財政の崖」を回避できるかどうかが最大の課題。失敗すれば景気後退は必至で、世界経済にも深刻な影響を与えかねない。

(2)中国で習近平氏の新指導部発足
 中国共産党は第18回党大会を受けた11月15日の第18期中央委員会第1回総会で、 胡錦濤 (こ・きんとう) 国家主席の後任となる党総書記に 習近平 (しゅう・きんぺい) 国家副主席を選出、習新指導部が発足した。指導部交代は10年ぶり。「中華民族の復興」をスローガンに経済発展戦略を打ち出すが、格差是正や政治改革への取り組みも課題となりそうだ。

(3)北朝鮮で金正恩氏の新体制発足、ミサイル発射強行
  金正日総 (キム・ジョンイル) 書記の死去を受け後継者となった 金正恩 (キム・ジョンウン) 氏が4月に朝鮮労働党第1書記、国防委員会第1委員長に就任し、新体制が発足。同月に「人工衛星」と称して事実上の長距離弾道ミサイルの発射実験を行い失敗したが、12月に国際社会の警告にもかかわらず再発射を強行、脅威を高めた。

(4)欧州債務危機深刻化、ギリシャ総選挙で緊縮派政権発足
 欧州債務危機の震源地となったギリシャで5月に行われた総選挙で、緊縮策を推進してきた連立2与党が過半数割れ。6月の再選挙で緊縮派が復活し連立政権が発足、ユーロ圏離脱は回避された。しかし、ユーロ圏の失業率は10月に11・7%と過去最悪を更新、ユーロ圏の景気低迷は長期化。

(5)シリアの内戦状態泥沼化、邦人ジャーナリストが銃撃死
 中東民主化の影響を受けアサド政権への反体制運動が高まったシリアで、政府側と反体制派の戦闘が激化し内戦状態に。国連の調停活動は不調に終わり、8月に国連シリア監視団が解散。同月、北部アレッポで取材中のジャーナリスト、 山本美香 さん(45)が銃撃戦に巻き込まれ死亡。

(6)スー・チー氏国会議員当選、ミャンマーで民主化進む
 ミャンマーで4月に実施された連邦議会補選に民主化運動指導者アウン・サン・スー・チー氏が出馬し当選した。スー・チー氏率いる最大野党、国民民主連盟(NLD)も圧勝。欧米は民主化進展を評価し制裁を一部解除、オバマ米大統領は11月、米大統領として初めてミャンマーを訪問。

(7)ロシアで大統領選、プーチン氏が4年ぶり復帰
 3月4日行われたロシア大統領選で、前大統領のプーチン首相が当選、5月に4年ぶりに大統領に復帰した。9月に極東ウラジオストクでアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議を主催し、アジア重視の姿勢を示したが、国内では強権的手法に不満もくすぶっている。

(8)中国の経済成長率減速、対日関係悪化の影響も
 中国の第3四半期(7~9月期)の実質国内総生産(GDP、速報値)は前年同期比7・4%増と、第2四半期(4~6月期)に続き8%を割り込んだ。四半期ベースの経済成長率としては、3年ぶりの低水準。尖閣諸島をめぐる対日関係悪化で全体の貿易総額が減速したとの指摘もある。

(9)日本含むチームがヒッグス粒子とみられる新粒子発見
 欧州合同原子核研究所は7月4日、自然界の最も基本的な粒子の一つで物に重さ(質量)を与えるとされる「ヒッグス粒子」とみられる新粒子を発見したと発表。理論的には存在が予言されていたが、唯一発見されていなかった。国際研究チームには東大、東工大など日本の研究機関も参加。

(10)韓国で5年に1度の大統領選、保革候補が対決
 韓国の大統領選が12月19日に投開票。 李明博 (イ・ミョンバク) 大統領に続く5年任期の大統領職を目指し、与党セヌリ党の 朴槿恵 (パク・クンヘ) 候補と野党、民主統合党の 文在寅 (ムン・ジェイン) 候補が対決。若い有権者の支持を集めていた無所属の 安哲秀 (アン・チョルス) 候補は野党一本化のため告示直前に出馬を断念、文候補の支援に回った。
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人権26~自由と平等

2012-12-29 08:47:05 | 人権
●自由と平等

 1870年代以降の西欧では、自由と平等という価値の対立軸をめぐって、政治や社会運動が行われた。重点のありかを自由から平等の方へと順に並べると、古典的自由主義、修正的自由主義、社会民主主義、共産主義になる。西欧は、平等主義核家族、絶対核家族、直系家族が多く、家族的な価値観が共産主義の価値観と相違している。そのため、共産主義は一部の共同体家族の地域を除いて浸透しなかった。共産主義がもっと深く浸透し、定着したのは、権威・平等を価値観とする共同体家族が支配的なロシアにおいてだった。
 第1次世界大戦末期の1917年10月、ロシアでレーニン・トロツキー等による共産革命が起こった。ロシア革命の衝撃は大きく、西欧では共産化を防ぐために、労働者の権利を容認・拡大する動きが進んだ。それによって社会権が発達した。社会権は、基本的な権利を労働者階級に広げるとともに、勤労権、生存権、教育を受ける権利等を新たに定めたものである。1919年、ドイツで制定されたワイマール憲法は、社会権的な権利を多く定めた。一方、共産主義を世界に輸出する根拠地となったソ連の実態は、労働者の国家ではなく、共産党官僚が労働者や農民を支配する官僚専制国家だった。秘密警察と強制収容所で人民を管理・抑圧する自由も平等もない社会だった。
 1920年代以降、西欧は古典的自由主義、修正的自由主義、社会民主主義、共産主義の四つに、さらにファシズムが加わった。これらの思想のぶつかり合いにおいて、自由と平等という価値の相克が繰り広げられた。第2次世界大戦は、その最大の闘争の場となった。
 第2次大戦中、連合国は戦後の世界秩序の構想を進めた。その一環として、戦後、1948年、連合国すなわち国際連合の総会において、世界人権宣言が採択された。「宣言」は、1920~40年代の価値の相克の結果、生まれたものである。そこには、米英が主導し、自由を中心とした形での自由と平等の両立が盛り込まれている。
 「宣言」は、第1条に、次のように謳った。
 「すべての人間は、生まれながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等である。人間は、理性と良心(reason and conscience)とを授けられており、互いに同胞の精神(a spirit of brotherhood)をもって行動しなければならない」と。
 冒頭の「生まれながらにして自由であり、かつ、尊厳と権利とについて平等である」という文言には、人間は生来自由であり、平等であるという人間観が打ち出されている。また第2条1項に次のように定めている。「すべて人は、人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治上その他の意見、国民的若しくは社会的出身、財産、門地その他の地位又はこれに類するいかなる事由による差別をも受けることなく、この宣言に掲げるすべての権利と自由とを享有することができる」と。
 ここに近代西洋文明が生み出した人間観が、非西欧社会にも広く摂取されるものとなったのである。
 「宣言」はまた社会保障の権利や労働の権利、生活水準の権利、教育の権利などの社会権も規定している。社会権は、平等に配慮する思想に基づく権利である。例えば、第22条に「すべて人は、社会の一員として、社会保障を受ける権利を有し」、第23条1項に「すべて人は、勤労し、職業を自由に選択し、公正かつ有利な勤労条件を確保し、及び失業に対する保護を受ける権利を有する」、第25条1項に「すべて人は、衣食住、医療及び必要な社会的施設等により、自己及び家族の健康及び福祉に十分な生活水準を保持する権利並びに失業、疾病、心身障害、配偶者の死亡、老齢その他不可抗力による生活不能の場合は、保障を受ける権利を有する」、第26条1項に「すべて人は、教育を受ける権利を有する」などと定めている。
 このようにして西欧発の価値である自由は、平等に一定の配慮をする形で、国際的な人権文書に表現されることになった。そして、単なる「宣言」ではなく、より具体的に規定されるものとなったのが、国際人権規約である。その根底にあるのは近代西洋的な人間観であり、象徴的に言えばロック=カント的な人間観である。ロック=カント的な人間観とは、人間は、生まれながらに自由かつ平等であり、個人の意識とともに理性的かつ自律的な人格を持つ、という人間観である。その人間観のもとに、自由と平等の両立が、各国が署名する国際文書に、記されたのである。

●西洋文明から非西洋文明への自由の展開

 第2次世界大戦後、アジア・アフリカの有色人種が独立と解放を勝ち取り、自由の希求はアジア・アフリカへと広がった。国連で加盟する発展途上国の数が増え、発言力が増していく中で、国際人権規約は、西欧発の自由権・社会権を制定し直した。自由権規約も社会権規約も第1条で、人民(peoples)の自決権を定めた。すなわち、「すべての人民(peoples)は、自決の権利を有する。この権利に基づき、すべての人民は、その政治的地位を自由に決定し並びにその経済的、社会的及び文化的発展を自由に追求する」が、その条文である。ここで自決の権利とは、自由に物事を決定する権利として、自由権に含まれるものである。人民の自決権は、集団の自決権である。集団の権利が確立されてこそ、個人の権利が保障されるという思想が、国際人権規約に盛り込まれた。人民の独立がなければ個人の人権なし、という原則が打ち立てられたのである。
 これによって、西欧発の個人中心的な自由権を、集団の権利の中に位置付け直す必要が生じた。自由権の上に拡張された社会権も同様である。自決権は政治的側面だけでなく経済的、社会的、文化的側面にも拡大された。国際人権規約は、自由権・社会権を制定し直しただけでなく、「発展の権利」を条文に定めた。先に引いた第1条の後半の通りである。「発展の権利」は、集団が発展する自由への権利と理解することができる。自由と平等という対立軸は、個人と集団という対立軸と組み合わせて考えねばならない状況になっている。
 第2次大戦後、米ソ2大超大国が自由主義圏・共産主義圏と世界を二分し、冷戦を続けた。この間、自由と平等はイデオロギーの対立に含まれる形で、価値の対立を続けた。1990年前後、ソ連・東欧の共産政権が崩壊し、冷戦は終焉した。その結果、アメリカが世界唯一の超大国となった。アメリカは、自由の理念を世界に広めることを、国家戦略の要としている。アメリカの外交・軍事・金融によって今日、国際社会は自由の理念をめぐって展開している。また一般にいう人権の観念は、近代西欧的な個人の自由を最高価値とする傾向を色濃く持っている。だが、アメリカが宣布する自由の理念は、主に経済活動の自由であることに注意しなければならない。アメリカ及び巨大国際金融資本は、世界各地で市場の開放と自由な投資を求める。そのための自由が最優先されているのでる。
 かくして、今日の世界では、発展途上国を中心とした独立・発展の自由と、アメリカ及び巨大国際金融資本の開放・投資の自由という二つの異なる自由が、互いに実現・拡大を目指して衝突している。ここにおいて人権は、しばしば後者の側が開放・投資の自由の実現・拡大を進めるための手段として使われている。そして、そのための手段として有益でない場合は、人権をめぐる問題は軽視され、または政治的判断によって無視されるのである。
 これまで書いてきたように、人権は自由と平等という二つの理念のもとに発達してきた。自由権に対して、社会権及び「発展の権利」は、自由を中心とする価値観に対し、個人間及び集団間の平等を重視する価値観によって成立した権利である。ここで自由と平等という二つの理念を結ぶ概念として、正義がある。正義は「正しいこと」「正しい状態」「正しさ」「正当性」である。宗教的・道徳的・法的な規範に沿っている状態またはその規範を実現する行為に関する概念である。正義は個人の考え方や行為に関して使われるとともに、社会関係や社会制度に関しても使われる。個人の考え方や行為に関する正義は、人間の徳として目指すべきものとされる。社会関係や社会制度に関する正義は、社会のあり方として目指すべきものとされる。平等への配慮によって社会のあり方に関する正義の概念が世界的に重要性を増しており、特に第2次世界大戦後の世界では、正義の概念を欠いては人権の思想を深く検討することができない。そこで正義については、第2部以降で人権の歴史、思想、20世紀以降の展開を述べた後に、現代の人権を論じる際に、主題的に書くこととする。

 次回に続く。
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他人事でない英国の移民と人権の問題

2012-12-27 10:02:29 | 人権
 私は、拙稿「トッドの移民論と日本の移民問題」をサイトに掲げ、また現在「人権――その起源と目標」というシリーズをMIXIとブログに連載しているところである。
http://homepage2.nifty.com/khosokawa/opinion09i.htm
http://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/df06780f00ced3812d367cb5562b2fb6
 前者の拙稿においては、イギリスを含む欧米諸国の移民問題を概観したうえでわが国の移民問題を論じ、その中で人権の問題に触れた。後者の拙稿は、前者の問題意識を保ちつつ、「発展する人間的な権利」としての人権について書いているところである。
 最近、ある記事が目に留まった。産経新聞ロンドン支局長の内藤泰朗氏が、同紙24年10月21日号に「人権に押しつぶされる英国」と題して書いた記事である。
 内藤氏は「人権はいまや、国外追放を免れようとする不法移民の最大の武器となっています」と語る英国人男性の話を伝える。英国の不法移民の多くは、インドやパキスタンなど南アジアやアフリカの国々の若者である。彼らは、英国に入国して滞在期間が過ぎても滞在し続けており、見つかれば、不法滞在者として強制送還される。だが、内藤氏の伝えるところでは、母国が紛争や独裁政治でその人の身に危険が及ぶと判断された場合は別であり、まして子供が生まれ、長期間、英国で暮らしていれば、不法移民でも人権擁護の観点から強制送還されることはまずない。しかも、医療費は無料で、子供が生まれて働けないと、生活保護や児童手当を受け取ることができるという。
 ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)のチームが平成22年(2010)にまとめた推計によると、英国の不法移民は41万7千人から86万3千人に上る。「仮に中間値で計算すると、英国の人口約6180万(2010年現在)の約1%、100人に1人が不法移民という恐ろしい結果になる」と内藤氏は言う。しかも「亡命者を含む外国人たちへの行政サービスなどの年間諸経費の総額は200億ポンド(約2兆6千億円)以上」という試算があり、これは「昨年度の国家支出の約3%に相当する」という。
 冒頭の「人権はいまや、国外追放を免れようとする不法移民の最大の武器となっています」という英国人男性の話は、こうした英国における移民問題と人権問題を端的に示したものだろう。これらの問題が合体した場合、危機管理上最も難しくなるのは、テロ対策である。欧州人権裁判所では、テロ容疑者の国外への送還が、人権擁護という観点から差し止められるという判例が出された。その外国人が一時的な滞在者であっても、対処は容易でない。「ましてや、英国生まれの子供たちを持つ不法移民たちを強制送還するのは事実上、不可能だ」と内藤氏は書いている。
 「増大する不法移民は英国だけでなくドイツやフランスでも、多かれ少なかれ社会問題となりつつある。一方で、人権は欧州が最も重視する価値観であり、不法移民にも寛容政策をとらざるを得ないジレンマを抱えている」「欧州はいまだ出口の見えない債務危機の中、このまま人権に押しつぶされるのか、あるいは人権の中身を問い直すときがくるのか。英国を含む欧州の移民国家の苦悩には続きがありそうだ」と内藤氏は述べている。
 折しも12月12日NHKのニュースは、ロンドンでは、白人が50%を切り、少数派になったという英国の国勢調査結果を伝えた。
 内藤氏の記事は、遠い外国におけるわが国とはかけ離れた事情を書いたものと、多くの人は思われるかもしれない。だが、「このまま人権に押しつぶされるのか、あるいは人権の中身を問い直すときがくるのか」という問いは、日本人にとって、決して他人事ではない。下手をすると、10年後、20年後には、わが国も同じような隘路に入り込んでしまう。しかも、わが国の移民問題には、西欧諸国にはない要素がある。西欧にはイスラム圏からの移民が多いが、イスラム圏には中核国家がない。これに対し、わが国には、中国という世界最多の人口を持ち、唯物的な共産主義を保持し、覇権主義を展開する国家から、最も多くの移民が押し寄せてきている。詳しくは、拙稿「トッドの移民論と日本の移民問題」に書いたが、すでにわが国は中国人移民に係る深刻な問題を抱えている。中長期的な観点に立って、いま有効な対策を打たないと、問題は拡大し続け、また深刻化する。そして、人権を保障されない国から来た中国人移民をめぐる人権問題で、わが国の社会は苦境に立ち至る。内藤氏の英国に関する記事を読んで憂慮を覚える方は、拙稿の移民問題論を参考にしていただきたい。
 以下は、内藤氏の記事とNHKのニュース。

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●産経新聞 平成24年10月21日

http://sankei.jp.msn.com/world/news/121021/erp12102103160002-n1.htm
【土・日曜日に書く】
ロンドン支局長・内藤泰朗 人権に押しつぶされる英国
2012.10.21 03:16

 「人権はいまや、国外追放を免れようとする不法移民の最大の武器となっています」
 先日、知人の日本人女性が英国人と結婚し、友人たちが集まってロンドンで小さなお祝いの会が開かれた。その席で、花婿さんが、こんな話を始めた。移民が多い英国で、国際結婚は珍しくはない。だが、宴席で不法移民が話題に上ったのは、それだけ英国でこの問題が大きな関心を集めているからだろう。
 花婿氏いわく、不法移民の多くはインドやパキスタンなど南アジアやアフリカの国々からの若者たちだ。留学生になったり、知人のつてをたどったりして英国に入国し、滞在期間が過ぎても滞在し続けている。見つかれば、不法滞在者として強制送還される。
 だが、母国が紛争や独裁政治でその人の身に危険が及ぶと判断された場合は別だ。ましてや、子供が生まれ、長期間、英国で暮らしていれば、不法移民でも人権擁護の観点から強制送還されることはまずない。しかも、医療費は無料。子供が生まれて働けないと、生活保護や児童手当を受け取ることができるというから驚きである。
 途上国の人々は、「天国」のような英国に危険を冒してでも潜り込みたくなるわけである。

◆重くのしかかる経費
 ただ、不法移民の数は当局も正確には把握していない。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)のチームが一昨年まとめた推計では、その数は41万7千~86万3千人。仮に中間値で計算すると、英国の人口約6180万(2010年現在)の約1%、100人に1人が不法移民という恐ろしい結果になる。
 しかも、亡命者を含む外国人たちへの行政サービスなどの年間諸経費の総額は200億ポンド(約2兆6千億円)以上に上るという試算もある。これは、昨年度の国家支出の約3%に相当するというからなおさらである。
 「このまま不法移民が増加したらどうなるのか」「いったい誰が重くのしかかるツケを払うのか」…。将来に危惧を抱く声が出てきてもおかしくない。
 不法移民の増加が英国の安全保障にも影響を与えると警鐘を鳴らす専門家もいる。英国政府が入国管理や移民の受け入れを近年厳しくして対処しているのには、そうした理由があるのだと、前出の花婿氏は説明した。

◆テロ容疑者までも悪用
 今月6日、国際テロ組織アルカーイダと近い関係とされ、米国からテロ容疑で指名手配されていたイスラム過激派指導者、アブ・ハムザ・マスリ受刑者(54)ら計5人が米国に身柄を移送された。
 異教徒殺害を扇動していたテロ容疑者は、「米国の人権違反」を欧州人権裁判所に訴え、身柄引き渡しに応じないよう求めていた。その法廷闘争に8年もの歳月と数百万ポンドの費用がかかったのは、皮肉としか言いようがない。
 英国のキャメロン首相は追放に歓迎の意を示し、こうした事例への対処法を今後改善することを約束した。
 だが、欧州人権裁判所は今年、2001年の米中枢同時テロの実行犯に影響を与えたとされ、05年から英国で収監されていたヨルダン人のイスラム過激派説教師、アブ・カタダ師(51)の送還を差し止める判決を下し、今月13日、同師は刑務所から釈放された。「ヨルダンでは公正な裁判が受けられない可能性がある」というのがその理由だ。人権のよろいをまとったテロ容疑者たちとの戦いは容易ではない。

◆寛容政策のジレンマ
 ましてや、英国生まれの子供たちを持つ不法移民たちを強制送還するのは事実上、不可能だ。
 英オックスフォード大学の移民・社会政策センター(COMPAS)が今年5月に発表した報告書では、強制送還が「約12万人とされる不法移民の子供たちの人権を踏みにじるもので、社会も子供も彼らの家族も誰の利益にもならない」と指摘。「政策決定者がこうした子供たちの法的地位を確立することが重要だ」と提言している。
 増大する不法移民は英国だけでなくドイツやフランスでも、多かれ少なかれ社会問題となりつつある。一方で、人権は欧州が最も重視する価値観であり、不法移民にも寛容政策をとらざるを得ないジレンマを抱えている。
 「5年前には、この問題は話題にもならず、誰も関心を示さなかったが、風は大きく変わった」。前出の花婿氏はこう強調した。
 欧州はいまだ出口の見えない債務危機の中、このまま「人権」に押しつぶされるのか、あるいは「人権」の中身を問い直すときがくるのか。英国を含む欧州の移民国家の苦悩には続きがありそうだ。(ないとう やすお)

●NHKニュース 平成24年12月12日

ロンドン 白人のイギリス人が5割切る
2012年12月12日 6時29分
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20121212/k10014124401000.html

 イギリスの首都ロンドンでは、海外からの移民が増えた結果、これまで多数派だった白人のイギリス人が人口に占める割合が初めて50%を割り込み、少数派となったことが分かりました。
 イギリスの国家統計局が11日に発表した国勢調査によりますと、去年のロンドンの人口は820万人で、10年前より12%増加しました。
 人種ごとに見ますと、これまで多数派だった白人のイギリス人が人口に占める割合は45%となり、10年前の58%から大幅に減って、初めて少数派となりました。
 こうした背景には、イギリスとの結びつきが強いインドやパキスタンからの移民に加え、2004年にEU=ヨーロッパ連合に加盟したポーランドなどからの移民が増えたことがあるとみられています。
 ロンドン市民からは、「イギリスは開かれた社会であり、よいことだ」とする声が聞かれる一方で、「人口のバランスが崩れるので、これ以上移民を受け入れるべきではない」といった否定的な声も上がっています。
 イギリス政府は、移民の受け入れは、有能な労働力を確保するために欠かせないとしながらも、一定の歯止めをかけるため、EU以外からの移住者の数を制限する政策を導入しています。
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「尖閣を守り、沖縄を、日本を守れ」をアップ

2012-12-26 08:41:27 | 尖閣
 ここ2年ほどの間、私は尖閣諸島と日中関係についてしばしば書いてきました。それらの拙稿を編集して、マイサイトに掲載しました。尖閣を守り、沖縄を、そして日本を守るために役立つ情報と、日本が取るべき方策を記しています。
 下記へどうぞ。

■尖閣を守り、沖縄を、日本を守れ
http://homepage2.nifty.com/khosokawa/opinion12o.htm

<目次>

はじめに

第1章 尖閣国有化と中国の策動
(1)尖閣国有化と中国の反応
(2)中国の出方を読んで対抗策を打つべし
(3)習近平主導体制への備えを
(4)中国は軍の意向が党を通じ国家を動かす
(5)中国の侵攻から尖閣を守れ

第2章 中国の主張に根拠なし
(1)中国外相らが国連で日本が尖閣を盗んだと主張
(2)1960年代の中国製地図では尖閣は日本領
(3)琉球帰属を正式に認める史料が明代に
(4)CIAが尖閣は日本領と大統領に報告
(5)アイク、ケネディは尖閣を日本領と認識
(6)中国が依拠するカイロ宣言には署名がない
(7)海外メディアが日本の主張を掲載
(8)まだ発信力が足りない

第3章 尖閣を守る具体的方策を実施すべし
(1)尖閣には軍事的な観点が必要
(2)中国への対抗の仕方は南シナ海に学べ
(3)尖閣の守りに自衛隊を
(4)米国の「空海戦闘」戦略に応じた防衛努力を
(5)井上成美の国防構想に学ぶ
(6)米国の専門家の見方も参考になる

第4章 中国の無法暴虐に挫けるな
(1)中国の罠にはまるな
(2)中国公船に対抗せよ
(3)中国海軍の示威に屈するな
(4)中国は沖縄をも狙っている
(5)沖縄に独立宣言をさせる
(6)ハワイの領有も主張できると発言
(7)米上院が「安保適用」を決議
(8)中国の「旧敵国条項」悪用に備えよ

第5章 国を守りつつ、日本の再建を急げ
(1)尖閣が占領されて奪還するというシナリオ
(2)領域警備法の制定を急げ
(3)集団的自衛権の行使を可能とせよ
(4)専守防衛という誤った概念を改めよ
(5)憲法を改正せねば、日本は滅ぶ

結びに~24年衆院選から憲法改正へ
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中国が「旧敵国条項」を悪用する可能性

2012-12-24 08:44:07 | 国際関係
 産経新聞12月12日号に、東京特派員の湯浅博氏が「日米安保は無効? 国連の『敵国条項』かざす中国の危険」という記事を書いた。この記事は、私が長年書いてきた懸念に触れている。戦勝国が、国連憲章の旧敵国条項を悪用する可能性への懸念である。
 「国連=連合国」は、第2次大戦の戦勝国が作った軍事同盟である。設立は日米戦争中から進められた。軍事同盟であるから「敵国」と戦うための同盟である。そこで、「国連憲章=連合国憲章」には、「旧敵国条項」が定められている。
 この条項は、第2次世界大戦中に連合国の敵国であった国々に対し、地域的機関などが、安全保障理事会の許可がなくとも、経済的・軍事的に強制行動を取り得ること等が記載されている条項である。第53条と第107条である。条文には明記されていないが、旧敵国とは、日本、ドイツ、イタリア、ハンガリー、ルーマニア、ブルガリア、フィンランドの7か国を指すと考えられてきた。
 わが国は、「国連=連合国」に加入後、その一員として誠実に役割を果たし、経済復興後は、巨額の分担金を払って、組織を支えてきた。しかし、半世紀以上もの間、一貫して「旧敵国」の地位のまま、現時点でも条文の上では、そうである。アメリカも中国も、ロシアもフランスも、いざとなれば自由に日本に攻め入ってもいいということを堂々と決め、それを半世紀以上も、そのままにしてきたのである。
 昭和45年(1970)の第25回国連総会以来、わが国は、たびたび総会などの場で、国連憲章から「旧敵国条項」を削除すべしとの立場を主張してきた。ようやく平成7年(1995)12月、第50回国連総会において憲章特別委員会の検討結果を踏まえて、削除へ向けての憲章改正手続きを開始する決議が採択された。憲章の改定には3分の2以上の賛成が必要なために、決議によって条項を死文化することにしたものである。しかし、そこから17年もたっているが、削除は実行されていない。旧敵国条項は未だ存在している。わが国は、「連合国=国連」に対する旧敵国という地位に置かれたままである。それゆえ、第2次世界大戦の戦勝国が、この条項を悪用して、日本に対する敵対的な外交や武力侵攻を行う可能性があるのであるーーそこに私の懸念がある。
 冒頭に書いた湯浅氏は、その可能性について書いている。習近平主導体制の中国による悪用の可能性である。
 大意を示すと、次のようになる。

 ――中国の習近平総書記は、就任時の11月15日、復古調の「中華民族の復興」を掲げた。習氏の「中華民族の復興」発言は、楊潔●外相が9月の国連総会で述べた異様な罵(ののし)りの演説に通じる。外相は日本による尖閣国有化に関連し、日清戦争末期に「日本が中国から盗んだ歴史的事実は変えられない」と述べた。「この時、中国側が歴史カードを使ったのは、国連そのものが日独を封じる戦勝国クラブとして発足したことに関係する。国連憲章には日本を敵国と見なす「敵国条項」が残されたままである」「中西輝政氏は、中国がこの敵国条項を『日米安保を無効化する“必殺兵器”と考えている可能性が高い』と見る」「国連憲章の53条と107条は、旧敵国が侵略行動や国際秩序の現状を破壊する行動に出たとき、加盟国は安保理の許可なく独自の軍事行動ができることを容認している」「日本の尖閣国有化を憲章の『旧敵国による侵略政策の再現』と見なされるなら、中国の対日武力行使が正当化されてしまう。中国はこの敵国条項を援用して、日米安保条約を発動しようとする米国を上位の法的権威で封じ込めようとする策謀だ」「中国は国際法上、尖閣が日本の領土であることを覆すことが困難とみたか、国連憲章の盲点を突いて武力行使を正当化しようとする」「習新体制が日本に『華夷秩序』を強要しようとするなら、日本は同盟国と結束して中国を断固抑止する決意を固めたい」―――

 私は、中西氏の洞察は、おそらく当たっていると思う。楊外相が国連総会で日本による尖閣国有化について、日清戦争末期に「日本が中国から盗んだ歴史的事実は変えられない」と述べたことは、単に国連総会の場を使ったプロパガンダではない。周到な研究と計画あってのものと見て、わが国は外交的な対抗策を講じるべきである。
 以下は、湯浅氏の記事。

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●産経新聞 平成24年12月12日

http://sankei.jp.msn.com/world/news/121212/chn12121207530002-n1.htm
【湯浅博の世界読解】
日米安保は無効? 国連の「敵国条項」かざす中国の危険
2012.12.12 07:53

 何げなく聞き流した中国の習近平総書記が発したスローガンと、その後の行動がどうも気にかかる。
 習氏は総書記就任時の11月15日、復古調の「中華民族の復興」を掲げた。かの中華帝国の伝統理念は「華夷秩序」であり、帝国は外縁に向かって序列の低くなる異民族を統治していく。さらに先月29日、政治局常務委員を引き連れ、北京の国家博物館で列強帝国主義の展示を視察した。この時に習氏は「中華民族復興の目標に近づいている」と巻き返しを宣言した。
 その威勢をかって、軍上層部の発言が強硬になってきた。尖閣諸島も日本の総選挙後に危険度が増してこよう。選挙中は自重して、日本の反中勢力を有利にさせないためだ。
 習氏の「中華民族の復興」発言は、楊潔●外相が9月の国連総会で述べた異様な罵(ののし)りの演説に通じる。外相は日本による尖閣国有化に関連し、日清戦争末期に「日本が中国から盗んだ歴史的事実は変えられない」と述べた。しかし、日本が無主の尖閣諸島を領有したのは1895年4月の下関条約より前のことで、清国が日本に割譲した「台湾および澎湖列島」にも尖閣は含まれない。
この時、中国側が歴史カードを使ったのは、国連そのものが日独を封じる戦勝国クラブとして発足したことに関係する。国連憲章には日本を敵国と見なす「敵国条項」が残されたままである。この時の楊外相発言は、主要国に日本が「戦犯国家」だったことを思い出させ、日本たたきの舞台とみていたのではないか。
 ところが、京都大学名誉教授の中西輝政氏はさらに踏み込んで、中国がこの敵国条項を「日米安保を無効化する“必殺兵器”と考えている可能性が高い」と見る。国連憲章の53条と107条は、日独など旧敵国が侵略行動や国際秩序の現状を破壊する行動に出たとき、加盟国は安保理の許可なく独自の軍事行動ができることを容認している。
 日本の尖閣国有化を憲章の「旧敵国による侵略政策の再現」と見なされるなら、中国の対日武力行使が正当化されてしまう。中国はこの敵国条項を援用して、日米安保条約を発動しようとする米国を上位の法的権威で封じ込めようとする策謀だ。
 この敵国条項については1995年12月の国連総会決議で、日独が提出して憲章から削除を求める決議が採択されている。憲章の改定には3分の2以上の賛成が必要なために、決議によって条項を死文化することにした。確かに、この決議はいつの日か憲章を改定するときがあれば「敵国条項を削除すべきだと決意された」のであって、厳密にはいまも残っている。
問題は中国が同床異夢のまま国際法や国連憲章を勝手に解釈していることである。楊外相は9月の国連総会に続く11月6日のアジア欧州会議(ASEM)首脳会議でも「反ファシズム戦争の成果を日本が否定することは許されず、日本は戦後の国際秩序を否定してはならない」と布石を打つ。
 中国は国際法上、尖閣が日本の領土であることを覆すことが困難とみたか、国連憲章の盲点を突いて武力行使を正当化しようとする。恐ろしいほど冷徹な権謀術数ではないか。習新体制が日本に「華夷秩序」を強要しようとするなら、日本は同盟国と結束して中国を断固抑止する決意を固めたい。(東京特派員)

●=簾の广を厂に、兼を虎に
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コメント (2)

天皇誕生日を寿ぐ

2012-12-23 08:48:17 | 皇室
 本日は、天皇誕生日。
 世界に比類ない長い歴史をもつ日本皇室の「仁」の伝統を体現される今上陛下は、「民の父母」として国民の安寧に心を砕かれつつ、世界の平和と万民の幸福を願い、ご公務に専心しておられます。
 天皇は日本国の象徴、日本国民統合の象徴であるとともに、日本国民の誇りです。
 陛下が79歳の誕生日を迎えられたこの佳き日に当たり、聖寿の万々歳を祈念申し上げ、併せて皇室の弥栄、日本国の繁栄、世界の平和を祈願いたします。

関連掲示
・マイサイトの項目「君と民」
http://homepage2.nifty.com/khosokawa/j-mind10.htm
・マイサイトの項目「天皇と国柄」
http://homepage2.nifty.com/khosokawa/opinion05.htm
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人権25~個人の自由の限界

2012-12-23 08:34:59 | 人権
●自己決定権と個人の自由の限界

 自由には、内心の自由と行為の自由があると先に書いた。この区別を用いると、17世紀から西欧で発達した自由権には、内心において自由な状態を確保する権利と、行為において自由な状態を確保する権利がある。内心の自由に関する権利は、他者に干渉・制約されることなく、自分の信教・思想・信条を自分の意思で決定できる権利である。行為の自由に関する権利も同様に、自分の表現や行動、所有物の扱いを自分の意思で自由に決定できる権利である。それゆえ、自由権は、自己決定の自由に関する権利であり、自己決定権を含む。近代西欧においてとりわけ強く希求されたのは、政府の干渉・制約を受けることなく、自己の意思で自由に物事を決定できる権利だった。
 近代西欧的な個人は、政治的・社会的に自分の意思で物事の多くを決定する権利を得た。同時に自分が決定したことの結果に責任を求められることとなった。自己決定の主体は、自己責任の主体でもある。自己決定の権利を行使するとともに、自己責任を負うのが、近代西欧的な個人である。自分の自由意思による行為の結果に社会的な責任を負うということは、結果から自由ではないということである。因果律という自然法則にして社会法則でもある法則から、人間は逃れることができない。そのことは、人間の自由は無条件・無制約の自由ではないということである。人間は全知全能ではなく、また死すべきものである。
 自由についてもう一つ重要なことは、自己と他者の関係である。自己は自由を持ち、他者もまた同じ自由を持つ。自他の関係において、個人の自由には、一定の制限が必要となる。すなわち、他者の自由と権利を侵害しない限り、という条件が付く。この点をJ・S・ミルは、19世紀の半ばに、『自由論』で次のように述べた。「その名に値する唯一の自由は、われわれが他人から彼らの幸福を奪おうとしたり、幸福を得ようとしたりする彼らの努力の邪魔をせぬ限り、われわれ自身の幸福をわれわれ自身の仕方で追求する自由である」と。
 これは個人の自由の条件と限界を定式化したものである。社会において自他が相互の幸福追求を承認し合うところに、個人の自由が相互的に成立する。このことは本来、自由権は、人間が個人的存在であるとともに社会的存在であり、集団で共同生活を営んでいることを前提とするものであり、また集団の共同性を保つ範囲で認められる個人の権利であることを示している。この点は、自他を抽象的な個人と個人の関係ではなく、親子・夫婦・兄弟・姉妹・祖孫等の家族関係に置き換えれば、一層明確になる。また、自由は根本的に共同性を持つ自他の間で、相互的に成立するものであり、ある程度、平等に配慮したものでなければならない。
 人間の個人性と社会性という両面の中間に、家族がある。個人は単に社会的な存在ではなく、家族的な存在である。家族における人間関係において、権利のあり方の基本的な形態が示されており、家族型に基づく家族における権利のあり方が、社会における権利のあり方に深く影響を与えている。この事実を軽視した個人の自由の追求は、自由の限界に突き当たる。自由は、個人と集団という主体の対立軸と、自由と平等という価値の対立軸とが交差する空間において、一定の条件のもとに実現が図られるものでなければならない。

●自由を主とする価値観の広がりと変化

 自由と権利は、イギリス・アメリカ・フランス等の核家族的な価値観を持つ諸国を中心に、拡大されていった。一方、直系家族が支配的なドイツ・オーストリアや共同体家族が支配的なロシアは、核家族的な価値観とは異なる価値観を持っていた。直系家族は権威・不平等、共同体家族は権威・平等の価値観であるから、自由を主とする価値観への抵抗は大きかった。だが、19世紀に入ると、産業革命の進む先進国の経済力・技術力・軍事力が、他のヨーロッパ諸国に近代化の波を広げた。それとともに、自由の思想が浸透していった。
 これと併行して、自由の思想の側にも変化が現れた。イギリスで発達した自由主義は、国家権力の介入を排し、個人の自由と権利を守り、拡大していこうという態度のことである。これを古典的自由主義と私は呼ぶ。古典的自由主義は、個人の自由を中心価値とする。これに対し、19世紀イギリスで新たな自由の思想が出現した。それまでの自由主義を修正したもので、修正的自由主義と私は呼ぶ。修正的自由主義は、社会的弱者に対し同情的であろうとし、社会改良と弱者救済を目的として自由競争を制限する。名前は同じ自由主義だが、古典的自由主義は国権抑制・自由競争型、修正的自由主義は社会改良・弱者救済型で、思想や政策に大きな違いがある。先に引用したミルは、修正的自由主義を発展させた思想家である。
 修正的自由主義が現れた背景には、自由とともに平等を求める思想・運動の広がりがある。極少数の人間の自由と大多数の人間の不自由の対比の中で、自由は拡大されてきた。不自由な状態にある大多数の側が自由を求めるとき、それは平等への志向となる。17世紀イギリスの市民革命では、急進的に平等を求める水平派と呼ばれる集団があった。18世紀後半のイギリスやフランスでは平等を暴力的に実現しようとする共産主義の思想が出現した。イギリスに始まった産業革命は、それまでの社会を大きく変え、階級分化を促進した。フランス革命では、共産主義者が革命運動に加わり、1848年には、マルクスとエンゲルスが「共産党宣言」を発表した。共産主義は、社会の不平等は私有財産制によるとし、階級闘争によって私有制を廃止し、平等な社会を実現しようとする。これに対抗して、労働条件や社会的格差を改善し、平等に配慮するところに、修正的自由主義が現れた。修正的自由主義は、議会を通じて漸進的に社会を改良しようとする社会民主主義と親和的であり、自由を中心としながら自由と平等の両立を図ろうとする態度である。

 次回に続く。
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安倍新内閣は女性宮家を検討しない方針

2012-12-21 08:51:52 | 皇室
 昨20日朝、「女性宮家に反対意見が多数」と題した拙稿を掲示したが、その後、毎日新聞が次のように伝えていることを知った。
 「自民党の安倍晋三総裁は、女性皇族が結婚後も皇室にとどまる『女性宮家』創設を新内閣では検討対象としない方針を固めた。民主党政権下で進んだ『女性宮家』創設に向けた議論をいったん白紙に戻す」「毎日新聞のアンケートでは当選した新議員の59%が女性宮家創設に反対し、自民党に限ると反対は74%に上った」「新政権は、戦後の連合国軍総司令部(GHQ)占領下で皇籍離脱した旧11宮家の子孫(男系男子)の皇籍復帰を探るとみられる」
 大方予想されていた姿勢である。伝えられる通りであれば、非常に喜ばしい。ただし、この記事は直接、安倍総裁や自民党幹部の発言を引用しておらず、「方針を固めた」「~とみられる」といった観測的な表現の記事なので、どこまで確かな内容か分からない。安倍新政権の公式発表を待ちたい。
 以下は、報道記事。

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●毎日新聞 平成24年12月19日

http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=2&id=2263280&from=home&position=2
<安倍政権>「女性宮家」撤回へ にじむ保守色
毎日新聞 - 12月19日 21:17

 自民党の安倍晋三総裁は、女性皇族が結婚後も皇室にとどまる「女性宮家」創設を新内閣では検討対象としない方針を固めた。民主党政権下で進んだ「女性宮家」創設に向けた議論をいったん白紙に戻す。安倍氏は連立を組む公明党に配慮し、来夏の参院選までは保守色を可能な限り封印する構えだが、男系維持へのこだわりの強い皇室問題では独自色を出す。
 政府が検討してきた「女性宮家」は一代限りの皇族となる前提で、子どもが生まれても皇位継承権はない。しかし、保守派には「将来なし崩し的に子どもにも皇位継承権が与えられ、女系天皇が誕生する懸念がある」として、根強い反対論がある。毎日新聞のアンケートでは当選した新議員の59%が女性宮家創設に反対し、自民党に限ると反対は74%に上った。
 女性宮家の検討を中止するのは、こうした保守層にアピールし、安倍氏の「保守色封印」への不満をなだめる狙いがある。
 ただ、「女性宮家」創設は、自民党政権下での検討も踏まえたうえで出てきた案だ。小泉純一郎首相(当時)の私的諮問機関「皇室典範に関する有識者会議」が05年11月にまとめた報告書は、当時、天皇陛下の孫の世代に女性しかいなかった状況を踏まえ、女性・女系天皇の容認を提言した。民主党政権は、世論が割れる皇位継承問題には踏み込まなかったものの、この報告書を議論の下敷きにしている。
 安倍氏は当時、小泉内閣の官房長官として報告書に関与した。「女系天皇は皇室の意向だ」という小泉氏の意向で男系維持の持論を封じていたとされる。しかし、06年9月に秋篠宮さまの長男悠仁さまが誕生したことで状況が変化。直後に首相に就任すると、皇室典範改正問題を先送りした。周辺によると、安倍氏は「05年の報告書も含めて見直さなければならない」と考えているという。
 しかし、幼少の男系男子は悠仁さまだけ。未婚の女性皇族8人のうち6人は成人しており、結婚すれば近い将来に皇族数は激減する。民主党政権の案を撤回しても公務停滞という懸案は安倍政権も避けては通れない。
 新政権は、戦後の連合国軍総司令部(GHQ)占領下で皇籍離脱した旧11宮家の子孫(男系男子)の皇籍復帰を探るとみられる。その場合も、誰を皇籍に復帰させるのか、継承順位をどうするかなど課題は多い。中長期的にみて、男系による皇位継承が不安定な状況は大きく変わらない。【野口武則】
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コメント

女性宮家に反対意見が多数

2012-12-20 10:15:33 | 皇室
 野田政権は、本年2月より、女性宮家創設に係る有識者ヒヤリング(6回、12人)を行った。有識者では、女性宮家創設は賛成・反対で意見が分かれた。その中で多くの有識者より対案として、女性皇族が御結婚後も尊称を保持する案が提案された。尊称保持案は、女性皇族が婚姻により皇籍離脱した後もご公務を継続していただけるよう、内親王・女王の敬称を保持していただけるようにするという案である。内親王は天皇の孫まで。天皇の3世以下の女子は女王(じょおう)。この方策であれば、危険性を孕む女性宮家を創設しなくとも、女性皇族のご公務分担が可能となる。
 10月5日、政府は「女性宮家」創設をめぐり有識者12人に対して行ったヒアリングをもとにまとめた「論点整理」を公表した。女性宮家創設案は「検討を進めるべき」とする一方、尊称保持案は「実施困難」と事実上否定し、ヒアリングで全く議論されなかった女性皇族がご結婚後、国家公務員として公的な立場を保持するという案を独自に提起した。そして10月9日から12月9日まで、国民に「論点整理」についての意見公募(パブリックコメント)をしたうえで、来年の通常国会に皇室典範改定案の提出する方針を打ち出した。だが、11月16日衆議院が解散、12月16日に総選挙が行われ、民主党は大惨敗し、自民党を中心とする政権に交代することとなった。
 選挙後の18日、野田政権は女性皇族の結婚後の皇室活動に関する論点整理を受けた国民からの意見公募で、「女性宮家」創設に「反対する意見が極めて多く寄せられた」とする結果を発表した。次にその報道記事を掲載する。

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●産経新聞 平成24年12月19日

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/121219/plc12121900220000-n1.htm
女性宮家案に反対多数 皇室典範改正論議は中止見通し

2012.12.19 00:21 [皇室]

 政府は18日、女性皇族の結婚後の皇室活動に関する論点整理を受けた国民からの意見公募で、「女性宮家」創設に「反対する意見が極めて多く寄せられた」とする結果を発表した。次期首相に就任する自民党の安倍晋三総裁は女性宮家創設に反対の立場で、「男系で紡いできた皇室の長い歴史と伝統の根本原理が崩れる」としてきた。そのため、野田佳彦政権が目指してきた皇室典範改正論議は中止となる見通しだ。
 政府は10月に公表した論点整理で、女性皇族が結婚後も皇室にとどまる女性宮家創設案について「検討を進めるべきだ」と明記。これに対する意見公募には、10日までの2カ月間で約26万7000件が寄せられた。
 内閣官房によると、女性宮家について「安定的な皇室活動のため自然な流れだ」との賛同意見がある一方、「将来、女系天皇につながる恐れがある」などと反対する意見が多数を占めた。旧宮家の男系男子孫による新宮家創設を求める意見も多かった。
 ただ、内閣官房では意見公募について「問題意識を幅広く把握するため行ったもので、意見の分類は極めて困難だ」として、賛否の内訳を集計しなかった。
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 次期首相となる自民党の安倍晋三総裁は、女性宮家創設に反対し、明確に男系継承を堅持する姿勢ゆえ、野田政権が目論んできた皇室典範改正は事実上中止となる。だが今後も油断できない。一部の官僚、学者等はこれまで女系天皇容認や女性宮家創設等、次々に皇位継承の伝統を改変する案を出してきた。そうした動きが再び、国会や世論を惑わすことのないように、啓発活動を継続が必要である。また女性宮家創設の動きが止まったところで、今度は積極的に男系継承堅持による皇室繁栄の道を開く方策を推進すべきである。
 皇統の血筋を引く元皇族男系男子孫が、皇籍復帰、皇族との養子、女性皇族との婚姻などの方策によって、男系男子皇族となる制度を整えれば、皇族の人数は増加し、かつ安定的な皇位継承が可能になる。これを旧皇族活用策と呼ぶとすれば、旧皇族活用策以外に、皇室の繁栄と皇位の安定的継承を可能とする根本的な改善策はない。旧皇族の活用を先送りすれば、皇室の命運は先細りする。だが、いまこの根本的改善策を実施すれば、悠仁親王殿下が皇位を継承される将来、天皇を支える宮家が数家維持されて、皇室の弥栄は確かなものとすることができる。目の前に最善にして最も確実な方策がある。国民の英知を結集して、その方策を断行すべきである。

関連掲示
・拙稿「女性宮家より尊称保持を」
http://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/a020e7fc6fa3992075e4cdd36c115557
拙稿「皇室制度:政府の「論点整理」を批判する」
http://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/049a285977e5628b8969b0ebb7da28b1
コメント

衆院は憲法9条改正に賛成の議員が70%超に

2012-12-19 09:08:23 | 憲法
 自民党の安倍晋三総裁は12月17日、党本部で記者会見し、憲法改正の要件を定めた憲法第96条の改正について、「日本維新の会とみんなの党も基本的に一致できるのではないか」と述べ、連携を模索する考えを示した。憲法改正について安倍氏は、「発議のために必要な3分の2の議席は(公明党と合わせ)衆院では確保したが、参院ではほど遠い」と述べ、96条改正に賛成の立場を示している維新、みんなの協力を得たいとの考えを示した。これに対し、維新幹事長の松井一郎大阪府知事は記者団に、96条改正を自民党が提案した場合は「賛成する」と明言したと伝えられる。
 今回の衆院選では、当選者の多くが憲法改正に賛成し、また集団的自衛権行使に賛成している。わが国は憲法改正、国防強化の好機を迎えつつある。
 毎日新聞社は12月17日、衆院選の全候補者アンケートを基に、当選した新議員の回答を再集計した。定数480人のうち473人が回答し、回答率は98.5%だった。憲法第9条改正は、72%の342人が賛成。改憲の発議に必要な「衆参両院の3分の2」のうち、衆院側の条件を満たすことになる。また、集団的自衛権の行使を認めていない政府の憲法解釈について「見直すべきだ」と答えたのは370人で78%を占め、「見直す必要はない」(82人)の17%を大きく上回った。
 毎日の記事によると、平成21年(2009)衆院選の当選者の回答では、9条改正は反対が51%と過半数で、賛成は34%。集団的自衛権の憲法解釈を「見直す必要はない」が50%で、「見直すべきだ」の37%を上回っていた。しかし、自民党が大勝した今回、衆院の新議員の志向は前回選挙と大きく変わっていると指摘している。
 共同通信社も、12月17日、衆院選当選者のうち立候補者アンケートで回答を寄せていた議員について分析した。定数480人のうち94.6%に当たる454人が回答していた。分析によると、憲法第9条改正派は75.6%に当たる343人で、改正発議に必要な480議員の3分の2以上だった。9条改正派の内訳は、憲法の「全面的改正」が45・6%、「9条を含め部分改正」が30・0%だった。また、自民党圧勝や日本維新の会の議席増を受け、集団的自衛権行使については、容認派が81.1%を占めたという。
 これら2社のアンケート結果をまとめると、憲法第9条の改正に賛成が、毎日では72%、共同では75.6%、集団的自衛権の行使については、毎日で「見直すべき」が78%、共同で「容認」が81.1%となる。
 2つのアンケートの欠陥は、96条の憲法改正規定の改正について、調査していないことである。だが、既に衆議院だけであれば、憲法改正、集団的自衛権行使が可能な状況となったことは分かる。憲法改正の発議には、参院でも3分の2以上の賛成が必要である。参院は定数242ゆえ、162以上がラインとなる。現状は、自民・維新・みんなを中心に憲法第9条改正に賛成の議員を推計すると、最大で95人程度と思われる。来年夏参議院議員の半分が改選されるが、仮に改選後121人のうち衆院選同様75%を改正賛成派が占めたとしても、90人。これも仮に非改選の議員の47人が賛成として、合計137人。まだ25人足りない。それゆえ、来夏の参院選挙だけでは、憲法第9条改正の実現はかなり難しい。その3年後の選挙で現状の傾向が継続していれば、その時初めて実現が可能になると思われる。
 集団的自衛権の行使については、憲法改正は必須の条件ではない。権利を保有するが、行使はできないという内閣法制局の解釈を改めれば、行使は可能となる。現在の状況及びこの先3年半ほどの見通しを踏まえると、憲法改正の前に、まず集団的自衛権の行使を実現することが必要である。中国の侵攻から尖閣諸島を守り、沖縄を守るには、集団的自衛権が行使できるようにしなければならない。行使は政府が解釈を変えれば、それで実現できる。安倍首相は、断固解釈変更を決断すべきである。

関連掲示
・拙稿「憲法第9条は改正すべし」
http://homepage2.nifty.com/khosokawa/opinion08m.htm
・拙稿「集団的自衛権は行使すべし」
http://homepage2.nifty.com/khosokawa/opinion08n.htm
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