今年も残すところわずかになった。この一年いろいろなことがあった。私にとっては、国内では12月の衆院総選挙の結果、安倍晋三内閣が成立したこと、海外では中国で習近平主導体制が始動したことが、最も大きなニュースだった。
わが国は本年、東日本大震災からの復興、デフレからの脱却が遅々として進まず、厳しい社会状況が続いた。欧州債務危機が深刻化し、その影響もあって中国の経済成長が減速し、わが国も大きな影響を受けている。そのうえ、韓国大統領の竹島への不法上陸、尖閣諸島の奪取をめざす中国の策動等により、国際環境は一段と厳しさを増している。そうしたなか、12月16日に衆議院総選挙が実施され、政権交代が起こり、安倍晋三氏を首班とする「危機突破内閣」がスタートした。それにより、わが国に明るい兆しが表れている。日本の再建に向けて、国民の力を結集することが求められている。
海外に目を転じると、昨年末、北朝鮮は最高指導者が金正恩氏に替わった。今年は、中国は習近平氏が総書記、韓国は朴槿恵氏が大統領になった。東アジアでは、最高指導者が次々に代わっている。またロシアでは、プーチン氏が大統領に復帰した。指導者の交代は、政治・外交の変化をもたらす。中国では来春、習氏が国家主席となり、本格的に習主導体制が確立される。それによって、一段と覇権主義が強化されるだろう。再選されたオバマ米大統領はアジア太平洋地域最重視の方針を堅持しており、東南アジア等で中国に対抗する外交を展開している。経済危機の長期化のなかで、米中の競い合いは、より激しさを増していくだろう。
来年は、尖閣諸島や朝鮮半島をめぐって、激動の年となるやも知れぬ。日本の危機を乗り越えるには、日本人が日本精神を取り戻し、一致協力するしかない。日本を愛する人々の心をつなぎ合って、日本を明るく元気にしていこう。
皆様、よいお年をお迎えください。
以下は、共同通信社による今年の国内・国際10大ニュース。
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●共同通信社 平成24年12月28日
http://www.47news.jp/47topics/e/237216.php
【2012年 十大ニュース決定】自公政権奪還、尖閣が上位/ロンドン五輪でメダル最多/オバマ米大統領再選
共同通信社と全国の加盟新聞社、民放契約社の編集・論説担当者らが、現場のジャーナリストの目で選んだ今年の十大ニュースが決まった。
国内ニュースでは、衆院選での自民、公明両党の政権奪還、消費税増税法成立と、混迷する政治をめぐるニュースが1位と3位に入った。2位は尖閣、竹島問題。原発利用で国論は二分され(5位)、東京電力の実質国有化(10位)とともに、東日本大震災の影響が続く。オスプレイの沖縄配備(7位)は激しい反対を呼び起こし、超円高は家電メーカーに大打撃を与えた(9位)。
明るい話題では、 山中伸弥京都大教授のノーベル賞受賞が4位、ロンドン五輪でのメダル38個獲得が6位に入った。
国際ニュースでは、オバマ米大統領の再選、中国の 習近平 (しゅう・きんぺい) 氏、北朝鮮の 金正恩 (キム・ジョンウン) 氏の新体制発足が上位3位まで占めるなど、選挙や指導者の交代が5項目選ばれた。昨年2位の欧州危機は今年も4位に。泥沼化するシリア内戦でジャーナリストの 山本美香 さんが銃撃死する悲劇(5位)もあった。
◆国内項目別解説
(1)衆院選で自公が政権奪還、第2次安倍内閣発足へ
8月の民主、自民、公明の3党首会談は、野田佳彦首相が示した「近いうちに信を問う」で合意し、解散に注目が集まる中、11月の党首討論で野田首相が突如、解散時期を表明した。12党が乱立した12月16日の衆院選で自公が圧勝して政権を奪還し、26日に第2次安倍内閣発足が誕生した。注目を集めた第三極「日本維新の会」は民主党と僅差の第3党に大躍進した。
(2)尖閣、竹島の領有権問題で日中、日韓関係が悪化
4月に石原慎太郎東京都知事が沖縄県・尖閣諸島の都による買い取りを表明、最終的に国が9月に国有化した。中国側は「自国固有の領土」と強く反発して大規模な反日デモが起き、領空、領海侵犯も頻発。国交正常化40周年の記念式典も中止され、日中関係は急速に冷え経済への悪影響も目立った。日韓両国が領有権を主張する島根県の竹島を8月、韓国の 李明博 (イミョンバク) 大統領が初めて訪問、日本側は駐韓国大使を一時帰国させた。
(3)消費税増税法が成立、2段階で10%へ
民主、自民、公明3党などの賛成多数で8月に消費税増税法が成立、現行5%の税率は2014年4月に8%、15年10月に10%へ。引き上げは付則で示した「名目3%、実質2%の経済成長」が条件で、13年秋ごろ最終判断する。社会保障関係費が毎年1兆円ずつ増え、財政再建も急務で、さらに一段のアップも。
(4)iPS細胞の山中教授にノーベル賞
さまざまな組織の細胞になる能力がある「人工多能性幹細胞(iPS細胞)」を開発した 山中伸弥 京都大教授が12月10日、ノーベル医学生理学賞を授与された。開発から6年のスピード受賞で、日本人の受賞は2年ぶり19人目。再生医療や創薬への利用が期待される。
(5)原発利用で国論二分、敦賀原発は廃炉濃厚
11年3月の東京電力福島第1原発事故以降、原発の安全性への信頼性が失われ、今年5月に国内の商業用原発50基が42年ぶりに全停止。脱原発デモも国会前などで行われ、関西電力の大飯原発3、4号機(福井県)が再稼働した夏には20万人規模に。総選挙でも脱原発が争点になり、国論は二分された。9月発足の原子力規制委員会は12月10日、日本原子力発電敦賀原発(同)の原子炉直下に活断層がある可能性が高いとの見解で一致、廃炉の可能性が濃厚に。
(6)ロンドン五輪でメダル最多の38個
夏にロンドンで開かれた五輪で、日本選手団は金7、銀14、銅17と過去最多のメダル38個を獲得。3大会連続で優勝したレスリング女子の 吉田沙保里 選手には11月、国民栄誉賞が授与された。
(7)新型輸送機オスプレイを沖縄配備
米軍の新型輸送機MV22オスプレイが10月、沖縄県の普天間飛行場に初めて配備された。開発段階や実戦で墜落事故を起こし、安全性への懸念から沖縄県や住民が反発。米兵による事件も相次ぎ、沖縄と、政府や米軍との関係悪化が際立った本土復帰40周年だった。
(8)尼崎連続変死事件、主犯格容疑者は留置場で死亡
兵庫県尼崎市の貸倉庫で昨年11月に女性遺体が見つかった事件が始まり。傷害致死罪などで起訴された主犯格の 角田美代子容疑者(64)の周辺では、親族や同居人など計6人の遺体が見つかる異様な展開に。殺人容疑などで今年12月に再逮捕された角田容疑者は県警本部の留置場で死亡。自殺したとみられ、全容解明は難しくなった。
(9)家電メーカー総崩れ、エルピーダは破綻
超円高や世界景気の減速、海外メーカーとの販売競争でパナソニック、ソニー、シャープの3社は12年3月期に巨額赤字に。半導体大手エルピーダメモリは、2月に会社更生法の適用を東京地裁に申請し経営破綻した。
(10)東電が実質国有化、電力各社料金値上げへ
東京電力は7月、破綻を回避するため政府から公的資金1兆円の資本注入を受け、実質国有化された。火力発電の燃料費増加で電力10社中8社が9月中間連結決算で赤字。東電は9月に家庭向け料金を32年ぶりに値上げし、関西、九州など原発依存の各電力も追随へ。
◆国際項目別解説
(1)米大統領選でオバマ氏再選
11月6日投開票された米大統領選で、民主党現職のオバマ大統領が共和党のロムニー候補を破り再選された。来年1月にスタートする政権2期目は、減税失効と歳出削減が年明けに重なる「財政の崖」を回避できるかどうかが最大の課題。失敗すれば景気後退は必至で、世界経済にも深刻な影響を与えかねない。
(2)中国で習近平氏の新指導部発足
中国共産党は第18回党大会を受けた11月15日の第18期中央委員会第1回総会で、 胡錦濤 (こ・きんとう) 国家主席の後任となる党総書記に 習近平 (しゅう・きんぺい) 国家副主席を選出、習新指導部が発足した。指導部交代は10年ぶり。「中華民族の復興」をスローガンに経済発展戦略を打ち出すが、格差是正や政治改革への取り組みも課題となりそうだ。
(3)北朝鮮で金正恩氏の新体制発足、ミサイル発射強行
金正日総 (キム・ジョンイル) 書記の死去を受け後継者となった 金正恩 (キム・ジョンウン) 氏が4月に朝鮮労働党第1書記、国防委員会第1委員長に就任し、新体制が発足。同月に「人工衛星」と称して事実上の長距離弾道ミサイルの発射実験を行い失敗したが、12月に国際社会の警告にもかかわらず再発射を強行、脅威を高めた。
(4)欧州債務危機深刻化、ギリシャ総選挙で緊縮派政権発足
欧州債務危機の震源地となったギリシャで5月に行われた総選挙で、緊縮策を推進してきた連立2与党が過半数割れ。6月の再選挙で緊縮派が復活し連立政権が発足、ユーロ圏離脱は回避された。しかし、ユーロ圏の失業率は10月に11・7%と過去最悪を更新、ユーロ圏の景気低迷は長期化。
(5)シリアの内戦状態泥沼化、邦人ジャーナリストが銃撃死
中東民主化の影響を受けアサド政権への反体制運動が高まったシリアで、政府側と反体制派の戦闘が激化し内戦状態に。国連の調停活動は不調に終わり、8月に国連シリア監視団が解散。同月、北部アレッポで取材中のジャーナリスト、 山本美香 さん(45)が銃撃戦に巻き込まれ死亡。
(6)スー・チー氏国会議員当選、ミャンマーで民主化進む
ミャンマーで4月に実施された連邦議会補選に民主化運動指導者アウン・サン・スー・チー氏が出馬し当選した。スー・チー氏率いる最大野党、国民民主連盟(NLD)も圧勝。欧米は民主化進展を評価し制裁を一部解除、オバマ米大統領は11月、米大統領として初めてミャンマーを訪問。
(7)ロシアで大統領選、プーチン氏が4年ぶり復帰
3月4日行われたロシア大統領選で、前大統領のプーチン首相が当選、5月に4年ぶりに大統領に復帰した。9月に極東ウラジオストクでアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議を主催し、アジア重視の姿勢を示したが、国内では強権的手法に不満もくすぶっている。
(8)中国の経済成長率減速、対日関係悪化の影響も
中国の第3四半期(7~9月期)の実質国内総生産(GDP、速報値)は前年同期比7・4%増と、第2四半期(4~6月期)に続き8%を割り込んだ。四半期ベースの経済成長率としては、3年ぶりの低水準。尖閣諸島をめぐる対日関係悪化で全体の貿易総額が減速したとの指摘もある。
(9)日本含むチームがヒッグス粒子とみられる新粒子発見
欧州合同原子核研究所は7月4日、自然界の最も基本的な粒子の一つで物に重さ(質量)を与えるとされる「ヒッグス粒子」とみられる新粒子を発見したと発表。理論的には存在が予言されていたが、唯一発見されていなかった。国際研究チームには東大、東工大など日本の研究機関も参加。
(10)韓国で5年に1度の大統領選、保革候補が対決
韓国の大統領選が12月19日に投開票。 李明博 (イ・ミョンバク) 大統領に続く5年任期の大統領職を目指し、与党セヌリ党の 朴槿恵 (パク・クンヘ) 候補と野党、民主統合党の 文在寅 (ムン・ジェイン) 候補が対決。若い有権者の支持を集めていた無所属の 安哲秀 (アン・チョルス) 候補は野党一本化のため告示直前に出馬を断念、文候補の支援に回った。
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わが国は本年、東日本大震災からの復興、デフレからの脱却が遅々として進まず、厳しい社会状況が続いた。欧州債務危機が深刻化し、その影響もあって中国の経済成長が減速し、わが国も大きな影響を受けている。そのうえ、韓国大統領の竹島への不法上陸、尖閣諸島の奪取をめざす中国の策動等により、国際環境は一段と厳しさを増している。そうしたなか、12月16日に衆議院総選挙が実施され、政権交代が起こり、安倍晋三氏を首班とする「危機突破内閣」がスタートした。それにより、わが国に明るい兆しが表れている。日本の再建に向けて、国民の力を結集することが求められている。
海外に目を転じると、昨年末、北朝鮮は最高指導者が金正恩氏に替わった。今年は、中国は習近平氏が総書記、韓国は朴槿恵氏が大統領になった。東アジアでは、最高指導者が次々に代わっている。またロシアでは、プーチン氏が大統領に復帰した。指導者の交代は、政治・外交の変化をもたらす。中国では来春、習氏が国家主席となり、本格的に習主導体制が確立される。それによって、一段と覇権主義が強化されるだろう。再選されたオバマ米大統領はアジア太平洋地域最重視の方針を堅持しており、東南アジア等で中国に対抗する外交を展開している。経済危機の長期化のなかで、米中の競い合いは、より激しさを増していくだろう。
来年は、尖閣諸島や朝鮮半島をめぐって、激動の年となるやも知れぬ。日本の危機を乗り越えるには、日本人が日本精神を取り戻し、一致協力するしかない。日本を愛する人々の心をつなぎ合って、日本を明るく元気にしていこう。
皆様、よいお年をお迎えください。
以下は、共同通信社による今年の国内・国際10大ニュース。
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●共同通信社 平成24年12月28日
http://www.47news.jp/47topics/e/237216.php
【2012年 十大ニュース決定】自公政権奪還、尖閣が上位/ロンドン五輪でメダル最多/オバマ米大統領再選
共同通信社と全国の加盟新聞社、民放契約社の編集・論説担当者らが、現場のジャーナリストの目で選んだ今年の十大ニュースが決まった。
国内ニュースでは、衆院選での自民、公明両党の政権奪還、消費税増税法成立と、混迷する政治をめぐるニュースが1位と3位に入った。2位は尖閣、竹島問題。原発利用で国論は二分され(5位)、東京電力の実質国有化(10位)とともに、東日本大震災の影響が続く。オスプレイの沖縄配備(7位)は激しい反対を呼び起こし、超円高は家電メーカーに大打撃を与えた(9位)。
明るい話題では、 山中伸弥京都大教授のノーベル賞受賞が4位、ロンドン五輪でのメダル38個獲得が6位に入った。
国際ニュースでは、オバマ米大統領の再選、中国の 習近平 (しゅう・きんぺい) 氏、北朝鮮の 金正恩 (キム・ジョンウン) 氏の新体制発足が上位3位まで占めるなど、選挙や指導者の交代が5項目選ばれた。昨年2位の欧州危機は今年も4位に。泥沼化するシリア内戦でジャーナリストの 山本美香 さんが銃撃死する悲劇(5位)もあった。
◆国内項目別解説
(1)衆院選で自公が政権奪還、第2次安倍内閣発足へ
8月の民主、自民、公明の3党首会談は、野田佳彦首相が示した「近いうちに信を問う」で合意し、解散に注目が集まる中、11月の党首討論で野田首相が突如、解散時期を表明した。12党が乱立した12月16日の衆院選で自公が圧勝して政権を奪還し、26日に第2次安倍内閣発足が誕生した。注目を集めた第三極「日本維新の会」は民主党と僅差の第3党に大躍進した。
(2)尖閣、竹島の領有権問題で日中、日韓関係が悪化
4月に石原慎太郎東京都知事が沖縄県・尖閣諸島の都による買い取りを表明、最終的に国が9月に国有化した。中国側は「自国固有の領土」と強く反発して大規模な反日デモが起き、領空、領海侵犯も頻発。国交正常化40周年の記念式典も中止され、日中関係は急速に冷え経済への悪影響も目立った。日韓両国が領有権を主張する島根県の竹島を8月、韓国の 李明博 (イミョンバク) 大統領が初めて訪問、日本側は駐韓国大使を一時帰国させた。
(3)消費税増税法が成立、2段階で10%へ
民主、自民、公明3党などの賛成多数で8月に消費税増税法が成立、現行5%の税率は2014年4月に8%、15年10月に10%へ。引き上げは付則で示した「名目3%、実質2%の経済成長」が条件で、13年秋ごろ最終判断する。社会保障関係費が毎年1兆円ずつ増え、財政再建も急務で、さらに一段のアップも。
(4)iPS細胞の山中教授にノーベル賞
さまざまな組織の細胞になる能力がある「人工多能性幹細胞(iPS細胞)」を開発した 山中伸弥 京都大教授が12月10日、ノーベル医学生理学賞を授与された。開発から6年のスピード受賞で、日本人の受賞は2年ぶり19人目。再生医療や創薬への利用が期待される。
(5)原発利用で国論二分、敦賀原発は廃炉濃厚
11年3月の東京電力福島第1原発事故以降、原発の安全性への信頼性が失われ、今年5月に国内の商業用原発50基が42年ぶりに全停止。脱原発デモも国会前などで行われ、関西電力の大飯原発3、4号機(福井県)が再稼働した夏には20万人規模に。総選挙でも脱原発が争点になり、国論は二分された。9月発足の原子力規制委員会は12月10日、日本原子力発電敦賀原発(同)の原子炉直下に活断層がある可能性が高いとの見解で一致、廃炉の可能性が濃厚に。
(6)ロンドン五輪でメダル最多の38個
夏にロンドンで開かれた五輪で、日本選手団は金7、銀14、銅17と過去最多のメダル38個を獲得。3大会連続で優勝したレスリング女子の 吉田沙保里 選手には11月、国民栄誉賞が授与された。
(7)新型輸送機オスプレイを沖縄配備
米軍の新型輸送機MV22オスプレイが10月、沖縄県の普天間飛行場に初めて配備された。開発段階や実戦で墜落事故を起こし、安全性への懸念から沖縄県や住民が反発。米兵による事件も相次ぎ、沖縄と、政府や米軍との関係悪化が際立った本土復帰40周年だった。
(8)尼崎連続変死事件、主犯格容疑者は留置場で死亡
兵庫県尼崎市の貸倉庫で昨年11月に女性遺体が見つかった事件が始まり。傷害致死罪などで起訴された主犯格の 角田美代子容疑者(64)の周辺では、親族や同居人など計6人の遺体が見つかる異様な展開に。殺人容疑などで今年12月に再逮捕された角田容疑者は県警本部の留置場で死亡。自殺したとみられ、全容解明は難しくなった。
(9)家電メーカー総崩れ、エルピーダは破綻
超円高や世界景気の減速、海外メーカーとの販売競争でパナソニック、ソニー、シャープの3社は12年3月期に巨額赤字に。半導体大手エルピーダメモリは、2月に会社更生法の適用を東京地裁に申請し経営破綻した。
(10)東電が実質国有化、電力各社料金値上げへ
東京電力は7月、破綻を回避するため政府から公的資金1兆円の資本注入を受け、実質国有化された。火力発電の燃料費増加で電力10社中8社が9月中間連結決算で赤字。東電は9月に家庭向け料金を32年ぶりに値上げし、関西、九州など原発依存の各電力も追随へ。
◆国際項目別解説
(1)米大統領選でオバマ氏再選
11月6日投開票された米大統領選で、民主党現職のオバマ大統領が共和党のロムニー候補を破り再選された。来年1月にスタートする政権2期目は、減税失効と歳出削減が年明けに重なる「財政の崖」を回避できるかどうかが最大の課題。失敗すれば景気後退は必至で、世界経済にも深刻な影響を与えかねない。
(2)中国で習近平氏の新指導部発足
中国共産党は第18回党大会を受けた11月15日の第18期中央委員会第1回総会で、 胡錦濤 (こ・きんとう) 国家主席の後任となる党総書記に 習近平 (しゅう・きんぺい) 国家副主席を選出、習新指導部が発足した。指導部交代は10年ぶり。「中華民族の復興」をスローガンに経済発展戦略を打ち出すが、格差是正や政治改革への取り組みも課題となりそうだ。
(3)北朝鮮で金正恩氏の新体制発足、ミサイル発射強行
金正日総 (キム・ジョンイル) 書記の死去を受け後継者となった 金正恩 (キム・ジョンウン) 氏が4月に朝鮮労働党第1書記、国防委員会第1委員長に就任し、新体制が発足。同月に「人工衛星」と称して事実上の長距離弾道ミサイルの発射実験を行い失敗したが、12月に国際社会の警告にもかかわらず再発射を強行、脅威を高めた。
(4)欧州債務危機深刻化、ギリシャ総選挙で緊縮派政権発足
欧州債務危機の震源地となったギリシャで5月に行われた総選挙で、緊縮策を推進してきた連立2与党が過半数割れ。6月の再選挙で緊縮派が復活し連立政権が発足、ユーロ圏離脱は回避された。しかし、ユーロ圏の失業率は10月に11・7%と過去最悪を更新、ユーロ圏の景気低迷は長期化。
(5)シリアの内戦状態泥沼化、邦人ジャーナリストが銃撃死
中東民主化の影響を受けアサド政権への反体制運動が高まったシリアで、政府側と反体制派の戦闘が激化し内戦状態に。国連の調停活動は不調に終わり、8月に国連シリア監視団が解散。同月、北部アレッポで取材中のジャーナリスト、 山本美香 さん(45)が銃撃戦に巻き込まれ死亡。
(6)スー・チー氏国会議員当選、ミャンマーで民主化進む
ミャンマーで4月に実施された連邦議会補選に民主化運動指導者アウン・サン・スー・チー氏が出馬し当選した。スー・チー氏率いる最大野党、国民民主連盟(NLD)も圧勝。欧米は民主化進展を評価し制裁を一部解除、オバマ米大統領は11月、米大統領として初めてミャンマーを訪問。
(7)ロシアで大統領選、プーチン氏が4年ぶり復帰
3月4日行われたロシア大統領選で、前大統領のプーチン首相が当選、5月に4年ぶりに大統領に復帰した。9月に極東ウラジオストクでアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議を主催し、アジア重視の姿勢を示したが、国内では強権的手法に不満もくすぶっている。
(8)中国の経済成長率減速、対日関係悪化の影響も
中国の第3四半期(7~9月期)の実質国内総生産(GDP、速報値)は前年同期比7・4%増と、第2四半期(4~6月期)に続き8%を割り込んだ。四半期ベースの経済成長率としては、3年ぶりの低水準。尖閣諸島をめぐる対日関係悪化で全体の貿易総額が減速したとの指摘もある。
(9)日本含むチームがヒッグス粒子とみられる新粒子発見
欧州合同原子核研究所は7月4日、自然界の最も基本的な粒子の一つで物に重さ(質量)を与えるとされる「ヒッグス粒子」とみられる新粒子を発見したと発表。理論的には存在が予言されていたが、唯一発見されていなかった。国際研究チームには東大、東工大など日本の研究機関も参加。
(10)韓国で5年に1度の大統領選、保革候補が対決
韓国の大統領選が12月19日に投開票。 李明博 (イ・ミョンバク) 大統領に続く5年任期の大統領職を目指し、与党セヌリ党の 朴槿恵 (パク・クンヘ) 候補と野党、民主統合党の 文在寅 (ムン・ジェイン) 候補が対決。若い有権者の支持を集めていた無所属の 安哲秀 (アン・チョルス) 候補は野党一本化のため告示直前に出馬を断念、文候補の支援に回った。
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