ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

移民受け入れではなく「1億人目標」の脱少子化政策を

2014-06-23 08:51:58 | 少子化
 政府は今月27日に経済財政運営の指針「骨太方針」の閣議決定を目指している。その方針案に、中長期の課題として人口減問題に対応するため「50年後に1億人程度の安定した人口を保持する」と初めて数値目標が明記された。
 方針案は、平成32年をめどに「人口急減・超高齢化」への流れを変えると強調し、少子化に対応するため子どもを生み育てる環境を整え、第3子以降への重点的な支援を行うなど「これまでの延長線上にない」少子化対策を検討課題とする。少子化対策への予算配分を「大胆に拡充」するとしているほか、女性の活躍促進、出産や育児の両立などを目指すとしている。
 これは政府の経済財政諮問会議の専門調査会の提案に基づくもので、同調査会は、日本の人口は出生率が回復しない場合、現在の約1億2700万人から2060年には約8700万人まで減少する見通しを示した。50年後に人口1億人を維持するには、2030年までに合計特殊出生率を現在の1.3~1.4程度から人口維持が可能な2.07まで回復させ、安定させる必要があると指摘している。2030年までに2・07に回復することを想定している。
 私は、平成18年(2006)に書いた拙稿「少子化・高齢化・人口減少の日本を建て直そう」で、人口目標1億人という政策案を紹介した。これは、北海道大学大学院教授の金子勇氏が提案しているものである。
http://khosokawa.sakura.ne.jp/opinion02g.htm
 金子氏は、従来の政府の少子化対策を次のように批判する。「現今の少子化対策は、最終的な少子化阻止という具体的目標が不鮮明であり、同時に社会全体における世代内・世代間の協力方法が鮮明には描かれていない」。つまり、目標とその達成方法がともにあいまいだというのである。そして、「少子化・高齢化・人口減少という三位一体の人口変化が進む社会すなわち『少子化する高齢社会』を『適正人口社会』に質的に転換する」ことを、大方針として提示する。そして国家全体の目標値として、2040年における人口1億人を「適正人口」と位置づけ、「適正人口1億人」を実現すべき目標とする。「適正人口社会」を目指すために、金子氏は、少子化ではなく「増子化」を唱え、2035年に「合計特殊出生率1.80」を達成することを目標とした増子化を展望したいと述べている。
 私は、金子氏の提案に賛同し、先の拙稿で少子化の原因、従来の政府の政策の欠陥、脱少子化に必要な考え方と具体的方策について書いた。
 今回の政府の「骨太方針」が少子化の原因をどうとらえ、従来の政策をどう反省し、どういう考え方に立って、どういう方策を打ち出そうとしているのか、まだよくわからないが、最も重要なのは、社会のあり方についての根本的な考え方である。
 脱少子化のためには、未婚率の低下と既婚者の出生率の上昇を達成しなければならない。未婚率を下げるには、結婚する人が増えなければならない。未婚者の結婚への意欲を高め、また結婚したいという希望を実現しやすくすることだろう。また既婚者の出生力が上がるには、既婚女性にもっと子供を産むようになってもらわなければならない。仕事中心の生活の人が、子供を生み育て、家庭で保育できるような条件を整えること。専業主婦が、もっと子供を多く産み育てやすい環境を提供することだろう。
 これらを進めるには、生命に基づいたものの考え方、生き方を取り戻すことが、根本的に必要である。そういう考え方、生き方の実践をするには、家族を重視し、家庭の機能を回復・強化する方策が求められる。その方策の実行のために、憲法に家族条項を盛り、教育基本法を再改正し家庭教育・幼児教育を盛る。そのうえで、家庭の機能の回復・強化による脱少子化方策を実行することが必要である。
 また、人口1億人を維持する方針は、脱少子化によって日本人の増加を図るものでなければならない。少子化対策に移民の大量受け入れを組み合わせるようなものであってはならない。移民問題については、平成24年(2012)の拙稿「トッドの移民論と日本の移民問題」に詳しく書いた。
http://khosokawa.sakura.ne.jp/opinion09i.htm
 労働生産人口を確保するために移民を1000万人受け入れるという提案があるが、諸外国の失敗に学び、その道は絶対取ってはならない。特にわが国の場合、流入する外国人の大多数は、共産党支配下の中国人となることをよく認識する必要がある。
 日本人は、民族の自滅となる移民大量受け入れ政策ではなく、家族の回復による脱少子化を進めて日本の人口を維持する道を進まねばならない。安倍政権には、人口問題で「国家百年の計」ならぬ「国家50年の計」を誤らぬようしっかり検討を行ってもらいたいものである。
 以下は関連する報道記事。

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●産経新聞 平成26年6月9日

http://sankei.jp.msn.com/economy/news/140609/fnc14060921210014-n1.htm
骨太方針骨子案 人口減克服「1億人目標」少子化対策 大胆に拡充
2014.6.9 21:21

 政府は9日、経済財政諮問会議を開き、27日の閣議決定を目指す経済財政運営の指針「骨太方針」の骨子案を示した。中長期の課題として人口減問題に対応するため「50年後に1億人程度の安定した人口を保持する」と初めて明記。少子化対策への予算配分を「大胆に拡充」するとした。
 安倍晋三首相は同日、「人口急減、超高齢化への流れを変えるため、従来の枠組みにとらわれない抜本的な取り組みにより、継ぎ目ない支援を行っていくことが重要」として、具体化を急ぐよう指示した。
 骨子案では、安倍政権の経済政策「アベノミクス」の進展で日本経済の現状は力強さがあると分析。デフレから脱却しつつある日本経済の今後の課題として、人口減への対応のほか、消費税率引き上げ後の反動減への対応、経済の好循環の拡大、経済再生と財政健全化の両立を挙げた。
 人口減については、平成32年をめどに「人口急減・超高齢化」への流れを変えると強調。第3子以降への重点的な支援を行うなど「これまでの延長線上にない」少子化対策を検討課題とした。さらに、女性の活躍促進、出産や育児の両立などを目指すとした。
 増税後の反動減への対応では「回復過程を注視し、引き続き『三本の矢』を一体的に推進する」とした。
 経済の好循環を拡大させるための施策としては、医療や農業の成長産業化、規制改革の推進などを盛り込んだ。安価かつ安定的なエネルギーの確保のため、原子力規制委員会が安全と判断した原子力発電所の再稼働も求めた。
 財政健全化では、国と地方の基礎的財政収支の赤字額を27年度に国内総生産(GDP)比で22年度から半減、32年度に黒字化する目標は堅持する。
 個別分野では、医療費や生活保護の見直しなどの社会保障改革や社会資本整備における公共事業の優先順位を明確化することも求めた。

●産経新聞 平成26年5月13日

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/140513/plc14051312320010-n1.htm
日本の人口、50年後も1億人維持へ 政府が初の数値目標、経済財政諮問会議に提出
2014.5.13 12:32

 政府の経済財政諮問会議の下に設置された専門調査会は13日、日本経済の持続的な成長に向けた課題をまとめた中間整理案を公表した。少子化に対応するため子どもを生み育てる環境を整え、50年後に人口1億人程度の維持を目指すとの目標を盛り込んだ。
 政府が人口に関して明確な数値目標を打ち出すのは初めて。
 甘利明経済再生相は会議で、「日本発の新しい成長発展モデルを構築することが可能であるというメッセージを打ち出した」と強調した。中間整理案の内容は、近く行われる諮問会議に提出し、6月に策定する経済財政運営の指針「骨太方針」に反映させる。
 中間整理案では、日本の人口は出生率が回復しない場合、現在の約1億2700万人から2060年には約8700万人まで減少する見通しを示した。50年後に人口1億人を維持するには、2030年までに出生率が現在の1.3~1.4程度から人口維持が可能な2.07まで回復させ、安定させる必要があると指摘。「これまでの延長線上にない少子化対策が必要」と強調した。
 また、当面は人口減少が続くことで、国民生活の悪化を避けるため「経済活動の担い手となる人口をある程度の規模で保持することが必要だ」とも指摘。女性や高齢者の労働力としての活用が必要として、高齢者の身体能力が過去10年あまりで若返っていることをふまえ、生産年齢人口を15歳以上65歳未満から、70歳未満と見直すことも選択肢としてあげた。
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関連掲示
・拙稿「少子化・高齢化・人口減少の日本を建て直そう」
http://khosokawa.sakura.ne.jp/opinion02g.htm
・拙稿「トッドの移民論と日本の移民問題」
http://khosokawa.sakura.ne.jp/opinion09i.htm
コメント (2)

単身世帯の急増は亡国への道~渡辺利夫氏

2012-09-17 08:49:13 | 少子化
 本日は「敬老の日」である。総務省の推計によると65歳以上の人口は3074万人で、初めて3千万人を突破した。総人口に占める割合は24.1%と過去最高を更新した。「団塊の世代」の先頭グループである昭和22年生まれの人が今年65歳となって「高齢者」の仲間入りをしたことが増加の要因である。
 高齢化の一方、わが国は、憂うべき速度で少子化が進行している。少子化の直接原因は、二つ。未婚率の上昇と既婚者の出生力の低下である。結婚しない人が増え、結婚しても子どもを生む数が少ないことである。脱少子化の対策は、これら二大原因を削減するものでなければならない。その立案・実行のためには、日本人は、根本的なところから考え方、生き方を改めなければならない。二大原因には、さまざまな社会的経済的文化的背景があるが、さらにその根底に目をむけ、様々な要因が少子化に結果するところの、国家の基盤的な条件から考察する必要がある。
 私は、まず戦後の日本という国のあり方から考え直すべきだと思う。戦後の憲法や教育、歴史観、価値観等を全体的に見直し、ゆきすぎた個人主義を是正し、家族や民族や国家の意識を高めること。そして、生命に基礎を置いたものの考え方、生き方を取り戻し、家族・民族・国家の存続・繁栄に努めることが、いま日本で必要である。
 この点は拙稿「脱少子化と日本再建は一体の課題」に書いた。
http://homepage2.nifty.com/khosokawa/opinion02f.htm
 残念ながら、わが国の有識者で、私のような意見を明確に主張する人は少ない。そうしたなか、産経新聞平成24年8月9日号に拓殖大学総長・学長の渡辺利夫氏が書いた主張は、注目すべきものである。「終戦67年 単身世帯の急増は亡国への道だ」と題した「正論」欄の寄稿記事である。
 渡辺氏は、わが国は家族が崩壊の危機に瀕し、これによって「共同体と国家が再生不能なまでに貶められかねない不気味な様相」が浮かび上がってくるとし、この危機を象徴するものが「単身世帯の急増による後継世代再生産メカニズムの毀損」である、という。
 平成18年(2006)に単身世帯数が夫婦と子供から成る標準世帯上回って最大の世帯類型となった。配偶者と死別した女性高齢者による単身世帯以外に、未婚と離婚による単身世帯が増えている。渡辺氏は、単身世帯が一般的存在となった要因を、「未婚や離婚に対する人々の規範意識が変化し、結婚・出産・育児といったライフスタイルをどう形作るかは個人の自由な選択によるべきだ、とする考えが定着してしまったということなのであろう」と述べる。
 ここで渡辺氏は、この社会的傾向が現行憲法の影響によることを指摘する。この指摘が重要である。現行憲法は、第13条に「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」、第24条に「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されねばならない」と定めている。渡辺氏は「第13条において、個は絶対的存在である。第24条は、独立した個から構成されるものが夫婦であるというのみ、これが家族共同体の基礎だという語調はまるでない」とし、「単身世帯の広がりは憲法精神の紛れもなき実体化である」と論じる。私はこの意見に同意する。現行憲法が家族を解体し、個人主義を蔓延させ、少子化を助長しているのである。
 渡辺氏は、次に民主党に批判の矢を向ける。民主党政権は平成22年(2010)12月に「第3次男女共同参画社会基本計画」を閣議決定した。この基本計画は個を重要な観念とし、世帯単位から個人単位の制度・慣行への移行を推進しようとしていることを渡辺氏は「家族が流砂のごとくこぼれ落ちていくさまをみつめてこれを何とか食い止めよう、というのではない。逆である。現状を善しとし、さらにこれを促さんというのである」と非難する。そして、渡辺氏は、民主党の中枢部は「日本の伝統を憎悪し、伝統を担う中核的存在たる家族を解体せんと意図する戦闘的な政治集団」だとし、民主党に執権を委ねるわが国は、「亡国への道に踏み込まざるをえない」と主張する。
 私は、民主党中枢部が「日本の伝統を憎悪し、伝統を担う中核的存在たる家族を解体せんと意図する戦闘的な政治集団」だということには同意するが、話はそう単純ではないことを指摘したい。というのは、「男女共同参画社会」を目指す政策は、自民党政権時代から継続的に実施されてきているものであり、民主党が初めて掲げたものではないからである。政権政党が交替しても一貫して個人主義の徹底と家族の解体を進める政策が遂行されているのは、官僚とそのブレーンたる学者の集団が主導権を握っているからなのである。そして、彼らが目指そうとしているものこそ、現行憲法が方向づけている個人主義の徹底と家族の解体なのである。自民党の総裁選が盛り上がっているところだが、候補者たちにはこの点の反省が弱いと思う。
 結婚や子作りを勧めると、個人生活への干渉だとか、「産めよ増やせよ」の人口政策だとか言う人がいるが、私は、若い人たちには、日本の将来、日本人の幸福を思って、結婚や子作りを積極的に考えてほしいと思う。特に日本を愛し、日本の文化や伝統を愛する男性、女性には、そういう観点からも人生を語り合い、自分たちに与えられた命の継承に思いを向けてほしいと思う。
 以下、渡辺氏の記事を掲載する。

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●産経新聞 平成24年8月9日

http://sankei.jp.msn.com/life/news/120809/trd12080903200001-n1.htm
【正論】
終戦67年 単身世帯の急増は亡国への道だ 拓殖大学総長・学長 渡辺利夫
2012.8.9 03:20

 日本の人口動態を多少なりとも子細に観察してみると、社会存立の基礎的単位である家族が崩壊の危機に瀕(ひん)しており、これによって共同体と国家が再生不能なまでに貶(おとし)められかねない不気味な様相が浮かび上がってくる。危機を象徴するものが、単身世帯の急増による後継世代再生産メカニズムの毀損(きそん)である。

≪単身世帯、標準世帯上回る≫
 夫婦と子供から成る家族が標準世帯である。2006年、単身世帯数が標準世帯数を上回って最大の世帯類型となった。日本の人口史上初めての事態である。10年の国勢調査によれば、全世帯に占める単身世帯の比率は31%、標準世帯の比率は29%である。国立社会保障・人口問題研究所は、単身世帯比率が2030年には37%にまで増加すると推計している。
 単身世帯といえば誰しも思い浮かべるのは、配偶者と死別した女性高齢者のことであろう。しかし、これは男性より女性の方が長命であることから生じる生命体の自然現象である。死別以外の単身世帯化の要因は未婚と離婚だが、これが現在ではごく日常的な現象となってしまった。「子供がなかなか結婚しないで困っている」というのはよく聞かされる親の愚痴話である。私の関係している職場でも30~40代の独身者がいっぱいいる。1回もしくは複数回の離婚のことを“バツイチ”とか“バツニ”といって、別段恥ずかしいことでもないような風潮である。  単身世帯がどうしてこうまで一般的存在となってしまったか、その要因を探る人口学的な研究書が私の書棚にも何冊か並んでいる。そこで明らかにされている要因をあえて1つにまとめれば、要するに未婚や離婚に対する人々の規範意識が変化し、結婚・出産・育児といったライフスタイルをどう形作るかは個人の自由な選択によるべきだ、とする考えが定着してしまったということなのであろう。

≪背景には憲法精神の具現化≫
 憲法精神のみごとな「制度化」というべきか。「すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする」「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されねばならない」。前者が現行憲法の第13条、後者が第24条である。第13条において、個は絶対的存在である。第24条は、独立した個から構成されるものが夫婦であるというのみ、これが家族共同体の基礎だという語調はまるでない。
 単身世帯の広がりは憲法精神の紛れもなき実体化である。それゆえであろう。戦後精神の牢固(ろうこ)たる守護者、わが与党民主党は、「第3次男女共同参画社会基本計画」なるものを10年12月に閣議決定し喜び勇んで次のように宣揚する。「多様なライフスタイルを尊重し、ライフスタイルの選択に対し中立的に働くよう社会制度・慣行を見直す。その際、核家族化、共働き世帯の増加、未婚・離婚の増加、単身世帯の増加などの家族形態の変化やライフスタイルの多様化に対応し、男性片働きを前提とした世帯単位から個人単位の制度・慣行への移行」を推進すると。
 個がよほど重要な観念らしい。その観念をもとに配偶者控除の縮小・廃止、選択的男女別姓制度の導入、未婚・離婚の増加などに伴う家族形態の多様化に応じた法制の再検討に入るのだという。家族が流砂のごとくこぼれ落ちていくさまをみつめてこれを何とか食い止めよう、というのではない。逆である。現状を善しとし、さらにこれを促さんというのである。

≪家族解体狙う民主党左派勢力≫
 消費税増税法案をめぐるあの無様(ぶざま)な党内抗争を眺めて、一体民主党とは何を考えている政党なのかとジャーナリズムは嘆くが、見当違いをしてはならない。隠然たる影響力をもつ左派的な政党事務局をも含む党の中枢部は、日本の伝統を憎悪し、伝統を担う中核的存在たる家族を解体せんと意図する戦闘的な政治集団なのである。
 しかし、民主党中枢部のかかる目論見(もくろみ)は、その論理不整合のゆえにいずれ自壊せざるをえまい。単身世帯とは、みずからは後継世代である子供を産み育てず、子供をもつ標準世帯により重く賦課される保険料や税金に依存して老後を凌(しの)いでいく人々のことである。単身世帯の増加は、出産・育児という後継世代を恒常的に再生産する自然生命体としての営為を、あたかもそれが理不尽なものであるかのごとき認識に人々を誘ってしまいかねない。単身世帯という存在は、個々の単身者がそれをどう認識しているかは別だが、結果としては社会的エゴそのものである。かかるエゴを助長する政党に執権を委ねる国家は、亡国への道に踏み込まざるをえない。
 また終戦記念日がやってくる。私どもはもう1つの終戦記念日をつくらねばならないというのか。(わたなべ としお)
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関連掲示
・拙稿「少子化・高齢化・人口減少の日本を建て直そう」
http://homepage2.nifty.com/khosokawa/opinion02g.htm
コメント

出生率は上昇。だが人口は減少

2009-06-05 10:35:28 | 少子化
 昨年の平成20年(2008)の合計特殊出生率は1.37で、前年の1.34を0.03ポイント上回った。平成17年に過去最低の1.26にまで落ち込んだ後、3年連続の上昇となった。ただし、人口の減少傾向は加速しており、減少幅は戦後最大となった。
 わが国は、少子化・高齢化・人口減少の三つが、同時に進行している。その複合的進行は、日本の将来にとって深刻な問題である。
 少子化の直接の原因は、未婚率の漸増と既婚者の出生力の低下の二つである。つまり結婚しない人が増え、結婚しても子供を産む数が少なくなっていることが、少子化の原因である。
 少子化を脱し、日本再建を進めるための改革は、未婚率の上昇を下降に逆転させ、また既婚者の出生力の低下を向上させるものとならねばならない。結婚する人が増え、また子どもを産み育てる人が増えるためには、制度・政策の改善より、もっと根本的なところから取り組まなければならない。
 敗戦による民族の劣化、自虐的歴史観による呪縛、男性の権威と役割の低下、知識の高度化による女性の高学歴化、個人主義ともの中心・お金中心の価値観の結合、フェミニズムの浸透と性の快楽化が、少子化が進行する基盤条件となっている。これらの基盤条件から考えないと、少子化対策は、真に有効なものとならないと私は考える。
 これらの条件の転換には、日本人が、健康と生命に基礎を置いたものの考え方、生き方を回復する必要がある。そのうえで、新憲法の制定、教育基本法の改正、男女共同参画社会基本法の見直し、フェミニズム行政の転換等を行なう必要がある。そして、家族・民族・国家の維持と繁栄をしていくための取り組みを始めるべきなのである。つまり、日本人の精神、そして日本という国のあり方を根本的に改めないと、脱少子化はなし得ないと私は思う。
 詳しくは、拙稿「脱少子化は命と心の復活から」をご参考に願いたい。
http://homepage2.nifty.com/khosokawa/opinion02k.htm

 資料として、本日の新聞記事をひとつ転載する。

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●産経新聞 平成21年6月5日号

【主張】出生率上昇 対策強化し確かな流れに
2009.6.5 03:09

 平成20年の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子供の平均数の推計値)は1・37で、過去最低だった17年の1・26から3年連続で上昇した。年間出生数は前年比1332人増と2年ぶりに増加に転じ、109万1150人となった。
 下落傾向だった20代の出生率が横ばいになったことに加え、晩婚・晩産化で30代の出産が増え続けたことが全体の底上げにつながっている。昨年半ばまで景気の回復局面が続き、子供を持つゆとりのある人が多かったことも背景にあるようだ。政府の少子化対策が効果をみせてきた面もあろう。
 少子化に歯止めがかからなければ社会の活力が失われ、やがて日本経済に大きな影響が生じる。世代間の支え合いを基礎とする社会保障制度も立ちゆかなくなる。数字が好転を続けていることは喜ばしいことだ。今後とも、出生率回復の流れを断ち切ることのないようにしたい。
 だが、これで少子化に歯止めがかかったと見るのは早計だ。今回出生率が上向いたのは、母親となる出産期(15~49歳)の女性が減る中で出生数が微増したことが理由だ。しかし、この出生数増加は20年が閏(うるう)年で例年より1日多かったことが影響した。出生率は依然1・3台という極めて低い水準にあることにも変わりはない。
 出産期の女性は今後も減少する見通しだ。晩婚・晩産化の流れも続くだろう。出生率が多少上がったにしても出生数が大幅に改善することにはならない。昨年秋以降の経済の急激な悪化も懸念材料だ。雇用情勢が回復しなければ出産を控える動きが再び強まる可能性もある。そうした意味では「正念場」といえよう。若者の雇用の改善が急務だ。
 一方で、明るい兆しも見え始めてきた。第3子以上の出生数は前年比4885人増となった。この流れを本物にしたい。「もう1人欲しい」という国民の願いをいかにかなえるか。国民がどのようなサポートを期待しているのか、現在の政策をいま一度見直すことも重要だろう。
 最近は結婚や子育てに対する社会の意識も変わりつつある。子育てをしながら活躍する女性スポーツ選手や芸能人も増えた。相手を探す「婚活」は流行語だ。こうした機運を生かすためにも、政府には、必要な予算措置を講じるなど政策の総動員を期待したい。
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コメント

脱少子化を語る7

2007-08-28 08:51:28 | 少子化
司会: 細川さん、精神の部分がいかに大切かというところを教育も含めてお話しいただきたい。 

細川: 少子化に限って言うと、これを改善するにはもっと根本的なことから日本人の考え方を変えていかなくてはいけないと強く思う。
 あまりに個人中心の考えに偏り過ぎてしまって、自分さえ楽しく満足できる生活ができればいいというような考えになっているのではないかと思うわけだ。家族も夫は夫、妻は妻、家族それぞれが個人であって個性を大切にする方に行き過ぎてしまうと個人個人がバラバラの世の中になってしまうのではないか。
 自分が受け継いできた命を次の世代に受け渡していく。そこに自分の役割があることを考える必要があると思う。
 先祖があって親があり、親があって自分がある。自分は次に子供を生み育て子孫の発展・繁栄を願っていくという人間としての根本的な考え方を取り戻すことが必要ではないか。
 若い世代の方々にいろいろな場で語って、理解してもらうことが大事だと思う。
 今非常に深刻に思っているのはしつけだ。若い女性の方は家庭から出て働く方が多い。しかし親が家庭にいて、子供に十分接する時間がないとしつけはうまくいなかい。しっかりとした精神、ものの考え方、社会のルール、人間としての誇り、そういうものを持った子供を育てていかなかったら、世の中は良くならない。
 産む喜び、育てる喜びとともに子供たちにしつけをして、ちゃんと自分の足で自立して生きていけるしっかりした心を持った子供を育てていく。そういうことも併せて考えていただけたらありがたいと思う。

司会: いろいろなことが含まれている中で産む喜びにつながってくるのだなということが分かってきたが、江藤先生はどのようにお考えになるか。

江藤: 一人ひとりの気持ちの中にその答えはあるかなというのをすごく感じた。何か自分が何でもできてしまうという感覚を間違って持っているような感じがするので、自分の力を超える何かに自分は生かされているという感覚だとか感謝する気持ちがすごく大切になってきて、まずは自分の周りから、そこから日本は良くなっていくのではないかと思う。

司会: 萩原先生はいかがか。これまで、いろいろなことが社会的にリンクして、精神的なことも非常に大切な中で家庭出産に結びついているのだと先生方がおっしゃっているが。

萩原: あえて言うと、教育の側面をしっかりやりたいと思う。教育再生の中で親教育というと、そんなことはほっといてくれという話になる。ところが私自身も含めて親教育というものは社会に助けてもらった面もあるのだ。
 社会教育の一環としてお父さんこうしたらいいのよ、お母さんこうしたらいいのよということを教えた方がいい。愛情をかけておくと子供にそれが伝わってその子はお父さん、お母さんを尊敬する。その辺を私はぜひ国としてやっていきたい。そういう環境を保育園、幼稚園、小学校そして医療現場、福祉現場を通じてやっていきたいと思う。

司会: 次に佐々木先生はいかがか。

佐々木: 今私が思っていることは、人のために一個くらいいいことを、毎日のように積み重ねれば、それで少しくらいは私も変われるかなと、それで日本も少しくらい良くなるかなと、今はそのように思っている。

司会: それでは主催者の立場から石村さん、どうぞ。

石村: 立派なお話を聞かせていただき本当にその通りだと思った。ぜひ皆さん家庭出産を目指せるように自分の体調を整えていただきたいと思う。それには家族と仲良くし、調和を保って良い家庭をつくっていただきたいと思う。

司会: またこういう機会をつくりまして、いろいろな方々と討議を重ねてまいりたいと思う。皆さん、この国を良くするためにご協力をお願いします。
 本日はありがとうございました。(了)

コメント (2)

脱少子化を語る6

2007-08-27 10:24:27 | 少子化
司会: 佐々木先生も実はこういうお考えをお持ちで、調和ということが少子化を切り抜けられるのかもしれないなというお話をされていたが。

佐々木: 今の世の中は、人のことはどうでもいい、自分のことだけでいいということがまかり通っている。すべての根本にはそういうことを直さなくては駄目だと思っている。
 去年のこのフォーラムのときに、祖先に対して手を合わせることをしてはどうかと私は言った。
 祖先に対して手を合わせるという敬虔な心があれば家庭が変わるだろうと思う。
 敬虔な心がある人たちはするけれども、家族中、全く敬虔な心がない人たちは、いくらお盆になっても遊びに行くだけで、手を合わせることはしない。
 ではどうすればいいのかということだけれども、この会のような草の根的にやっているいろいろな集まりをたくさん開いて、そこでみんなが教わったことをうちに持って帰って、周りに広げればいいのではないかと思っている。 

司会: 今の世の中がすべてお金の価値観で動いてしまっていて、人格のバランスが崩れてしまっている。
 戦後教育の影響もあるだろうけれども、そういったことが少子化に限らず、他にも考えられないような事件に結びついているような気がしてならない。
 ここで石村さんにお聞きしたいが、文化的なものや自然のことが必要だと、こういったことがあると健やかな子供が産まれてくるというお話を聞いたが、実体験としてどうか。

石村: とても大事なことだと思う。佐々木先生も人格者ですから、家庭でお産をしたいという方をよほどのことがない限りは許可してくださる。
 うちの助産所は最初は36週からでもいいでしょうと言っていたが、すぐには体を治せないのでだんだん早くしまして、今は28週に下げた。
 なぜそれをするかというと、だんなさんが頻繁に一緒に検診をしてくださると必ずだんなさんがいるときにお産になるし、安産になる。男の人の不安がないということがとても大事なことだと思う。
 中には出張ですなんていう間に陣痛が始まっちゃう人がいるが、行ってきてくださいと言う。
 「大丈夫です。だんなさんがいないうちは産まれませんよ」って言うと本当に産まれない。それで出産までに4日くらいかかる。四日もかかると私も体力の限界だ。
 私の体力の限界はあなたの病院行きよってこのごろは言う。そのときに「最後だけど神様に祈ってみる」と言う。
 私がお参りさせてもらっている神霊教のお祈りをさせてもらいましょうというと、大概だんなさんが一緒にしてくれる。すると、皆さんそれからすぐに産まれる。子供のことを思って神様に祈るということがどんなに大事なことなのかはいつも体験することだ。
 日本は遠い昔から産婆さんが家族を励まし、常にそばに付き添ってお産をしてきた。だから家族の絆は強いし、調和の精神はたっぷり、このことをいつの間にか忘れてしまっている。 

司会: 皆さんのお話を聞いていると、いかに精神的なことが重要なのかが分かる。
 3月に名古屋で「明けゆく世界フォーラム」があって、アサヒビール名誉顧問の中條高先生、元台湾総統府国策顧問の金美齢先生、細川さんに登壇していただいた。
 これまで物質科学の文明と精神科学の文明が発達してきたが、物質科学の方が発展し続けて精神文化をなくしてしまい、そのバランスが崩れてしまったから、このような時代に突入しているというお話だった。
 少子化の問題もそうだが、家族の中でも人は人、自分は自分という形になっている結果から、いろいろなことが起きているのかなと思う。
 子供の問題にしてもみんなの子供というような意識がない中で、人の子供だからいいだろうと、うちの子供はかわいい、かわいいと育てて、そういった教育の問題とかがすべてリンクして今の日本が出来上がっていると思う。

 次回に続く。

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脱少子化を語る5

2007-08-26 16:41:57 | 少子化
司会: 佐々木先生は助産婦石村の嘱託医をされているそうだが、医者の立場から見てどう感じているか。 

佐々木: 私は嘱託医である一方で、病院にも勤めているので両方の立場がある。家庭出産をするか、しないかというのは言ってみればポリシーの差のようなところがある。だからうまくいけば、家庭出産は非常にメリットが大きいと思う。
 石村さんも言っていたが、この人は安産しそうかどうかは分かる。一言で言うと、いい人は必ずいいお産をする。
 お産というのは人生の集大成のようなところがあって、それまで積み重ねてきたすべてが出る。今まで楽な生活ばかり送ってきた人が、分娩のときだけ、自然のお産をしたいというのは虫がよすぎると思う。

司会: 医学者の立場から、人格者でないといいお産はできないという言葉を聞けるとは思わなかった。江藤先生このお話を聞いていかがか。

江藤: 意外にも佐々木先生もそう思っていたのだと驚いた。(笑)
 前に経験したことで、だいたい子宮は十センチで全開大といわれるが、8センチのところで「もう私は駄目だ、陣痛に耐えられない」といった方が4センチくらいまで縮んでしまったことがあった。
 お母さんの「産まなくちゃ、私が産むぞ」という強い気持ちがすごく大切だなと思う。
 それと、その気持ちを支えるのはお父さんだ。「大丈夫、大丈夫」といって太っ腹に構えているお父さんの存在がとても大切だと思う。

司会: 両方のお医者さまからこういうお話を頂くと、いかに人格的なことが重要なのかということが分かる。
 萩原先生もいいお産をされたということで、いままでの話を聞いてどのように思われるか。

萩原: ひとつは、娘にお前が産まれたときはこうだったよと話す。もう何十回も話している。自分で一生懸命苦労した経験というのは、間違いなく子供に伝わる。
 それが家族の絆になっていくのだと思う。少子化の問題というのは、もっと男性が頑張らないと駄目だ。女性に責任を転嫁することが多いが、半分は男性の責任だから。
 そこのところを自覚して、自分の子供を持つことを誇りに思うような社会でなければいけないと思う。これは日本精神の根本、世界精神の根本だと思う。お産とか育児について男性がもっと役割を果たして、その喜びを感じられるような社会にしたいと思う。
 それが日本の少子化を救うし、人間というものを立ち直らせる大きなポイントになると思う。

司会: 細川さんは、いかがか。

細川: 本当に萩原先生のおっしゃる通りだと思う。人間には男女があって、それぞれ役割が違う。子供を産むということは、女の人しかできない。
 人間の場合は子供を産めば、一人前になるには十数年かかる。幼いうちは、母親は子供に付きっきりで、世話をしなくてはいけない。これは動物の世界で見れば、敵から最も襲われやすい状況だ。その状態の母子を男は守っていかなくてはいけない。今でいえば、仕事をして家族を支える。そういう役割があると思う。
 男女がそれぞれの特徴を認め合って、調和していくところに、子供も生まれるし、いい子育てもできる。それが家族の絆の一番の根本であって、親子のつながり、夫婦のつながり、あるいは先祖や子孫とのつながりというものも、夫婦の和があってこそのものではないか。
 日本人が昔から大切にしてきた心を取り戻して、人生に生かしていくことが大事ではないかと思う。

 次回に続く。

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脱少子化を語る4

2007-08-25 09:37:47 | 少子化
司会: ここで家庭出産、自然分娩がいかに大切であるのかを石村さんにお聞きしたい。

石村: 男の人が祈ったり、願ったり、応援したりすることが、すごく効果がある。お産においてもだんなさんが必死になって、赤ちゃんに産まれておいでと言ったときには安産になる。昔はずっと家庭で出産していた。今もできないわけがない。家族の力を借りて温かい雰囲気の中で子供を迎えたいというのが当助産所のモットーになっている。
 生まれたときから家族の中で、柔らかい雰囲気の中にいれば、素直な子が育つのではないかと私は思う。男の人の祈りは、すごく強い。
 安産する人、しない人は何となく分かる。たとえお父さんが海外出張の多い人でも、出産のときには絶対日本にいると思う。だから「海外出張していても平気ですよ」って、いつも言っている。あなたがいつも赤ちゃんのこととお母さんのことを思っていれば、そのときに産まれてくる。それが今、百パーセントそうなっている。心が通じるっていうか「今日、お父さんがいるときに産まれなくっちゃ」と思うらしくて、陣痛を起こすのだ。本当に健気だと思う。

司会: 助産所を開設してからこれまでかかわってきた出産はどれくらいあるか。

石村: 開設してから十年になる。年間では、最初のころは25件くらいだったが、今では50~60件になった。
 先ほど江藤先生が言っていたように、丁寧に見てあげると、おそらくこれくらいがリミットだと分かる。
 不安のないようにして、安産で産まれてくるように導くことが私たちの役目だと思っている。ただ、それがうまくいかないこともあって、「ごめんなさいね」と言うこともある。現代の人たちは体力がないのだ。

司会: 10年間では何件になるか。

石村: 訪れた人の数は、400件くらいで、出産は300件。

司会: 苦労されたことや、これはうまくいったなと感じたことなどは。

石村: 喜びの方が大きい。
 どんなに時間がかかったとしても、自然に産まれたということは、お母さんとお父さんの自信につながる。
 だからその後の育児にとても良い。そういう努力が、これから日本人を変えていくと思う。
 私はいつも「お産がうまくいかなかったり、逆子になったりするのはご主人の責任ですよ」と言う。奥さんを不安にさせないのが、夫の役目。

司会: 細川さんも二人のお子さんが産まれるときに、実際に立ち会ったと聴いたが。 

細川: 私には子供が二人いる。妻が出産するとき、たまたま二度とも立ち会いができた。私の場合は家庭出産ではなく、二度とも助産所で出産した。
 一度目のときは、杉並の助産院だった。さっき祈りという話が出たが、男の方は、妻が出産といっても何もできることがないから、もうあと願うのは神様しかいないので、妻と心を合わせてお祈りをした。それでいろいろ姿勢を変えながら、妻が子供を産もうとして、最後は分娩台の横に私が腰掛けて、妻が後ろから私の肩に体を預けて立ち膝で出産した。
 私はへその緒を切らせてもらった。あのときの光景はありありと覚えている。きれいで透き通るようなへその緒を、真っさらなはさみで切らせてもらったあの感動は、何とも言えないものだった。
 妻もそのとき先生から「静かで痛みに強いですね。よくコントロールできています」と驚かれた。やはり夫婦で協力し合ったことが良かったのだと思う。自然で楽なお産ができた。
 二度目は、埼玉県の助産院で出産をした。このときは、また違ったやり方で、私が何か直接手を貸すのではなかった。助産師さんが妻の体をさすっている間、私といろいろな話をして、妻をリラックスさせるというような環境だった。産まれた子供がとても元気なので、先生から「元気ハツラツですね」と言われたのが忘れられない。
 二人とも健やかに成長して、本当に感謝にたえない。私自身も父親としての責任を感じるとともに、社会の中で自分ができることはないか、単に自分の子供の親としてだけではなく、他の子供たちを含めて、大人としてできることはないかと、強く感じるようになった。教育や家庭、しつけの問題からさまざまな事柄について、各地で講演しているのは、こうした体験に裏付けられたものでもある。

 次回に続く。
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脱少子化を語る3

2007-08-24 08:52:33 | 少子化
司会: 萩原先生、政府としては、きちっとした病院とか、妊婦さんに対応できるシステムづくりとか、社会保障とか、いろいろと対応しなければならないと思うが、その点はいかがか。

萩原: 政府としてもこの問題についてはかなり気合が入っているので、来年、再来年に向けて、例えば医療費の改定であるとか、その作業の中で、産科とか婦人科とかを含めて間違いなく手厚い方向に行くと思う。
 細川さんがおっしゃったように、根底にある人間の自然な働きを残した形になるのか、別途考えなければならないというのが私どもの立場である。人間としての喜びを感じる、お産、子育てというものに結びつくような医療にしていかないと、最終的にもたないと思う。

司会: 萩原先生の奥様は外国でご出産されたという体験談をお聞きして、日本とアメリカではこんなに違うのだと思ったが、そのことについてお聞かせください。

萩原: 最初の子供は女の子で、アメリカで生まれた。安くするということもあってラマーズ法で産んだのだ。医者や看護師から見ると非常に簡単な分娩だ。医者や看護師が分娩室にいたのは二分くらい。ずっと私しかいない。妻がギャーと叫んだり、痛いと言ったりしているので、「痛いと言ってます」と言うと「だんなさん、しっかりしなさい」と言われた。(笑)
 「あなたが押さえなさい」「はい、分かりました」ということで、最後の最後は私一人ですよ。産まれても「はい出ましたよ。あなたのお子さんですね。間違いないですね」と言われ、じっと見たら、首が短いとか、指が短いとか、そっくり。間違いなかった。
 次の息子は日本の東大病院で生まれた。今はだいぶ変わったが、当時はお父さんは来てはいけないと言われた。邪魔だということだ。でも非常に手厚く看護してくれる。
 日本と比べてアメリカは、苦しくなったら呼ぶことができるが、そうじゃなかったら、ほっとかれる。
 うちの妻の場合は三日だったけれど、横にいたお母さんは産んですぐ立ち上がって、挨拶して三時間後にいなくなった。出産したらその日のうちに退院しちゃう。びっくりした。
 しかし、そういう形でやっているアメリカの医療というのは、確かに見るべき点がある。
 問題がなければ良いわけで、問題がないように一生懸命に頑張って良い医療をつくることが大切だと思う。

司会: 子供が少なくなって、日本は子供を産むときから非常に過保護になっているような気がしてならないが、江藤先生はどう感じか。

江藤: 少しずつ状況が変わってきているとは思う。私もついこの間、アメリカのお産を見学してきた。助産師の数が極端に少なく、また医師も少ないのだが、その分、ナースがたくさんいる。日本では助産師がずっと付いているけれど、ナースが付いていて正常な分娩になると、助産師を呼んできてお産に入る。
 異常の場合は助産師と産婦人科医が一緒になってマネイジングという形になってお産になる。今では割合、看護師が付いていると思う。
 やはりお産のところで、手を掛けるのはとても大切だと思った。不安と痛みと緊張というのは、必ず悪の連鎖を生むので、そこから薬はたくさん使っている。萩原先生の場合は使っていないかもしれないが、七十五%の人が使っている。

萩原: その通りなのだが、そのときの基本方針というのは、お父さんがその役をしなさいということだった。
 「不安と痛みと緊張を和らげる役割はあなたができるのだから、あなたがやるんです」と言われて、それはそうかなと思った。
 確かに精神的な負担とか痛みはあるんだろうが、だれが受け止めるかというと、医者でもない看護師でもない、本当のところ受け止められるのは、あなたじゃないですか、と言っているのだ。

江藤: もう一人デューラーという、日本でいうと助産師みたいな人がいる。免許はないが、お産の経験があって、女性にずっと付き添って背中をさすってあげたり、抱きしめてあげたりする役割の方がいる。

 次回に続く。

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脱少子化を語る2

2007-08-23 08:52:52 | 少子化
司会: 今は子供を産みたくても病院がない時代、産科医がいない時代と聞くが、佐々木先生、産婦人科の現状はいかがか。

佐々木: 少子化であっても、産む人はいるわけで、それを支えているのが助産師さんであり、産科医である。産科を取り扱う医師はすごいスピードで減っている。少子化をはるかに上回るスピードで減っている。地方であるほど、それがひどい。
 例えば私が今、勤めている病院は茨城にあるが、近隣の病院で一人の女医さんが妊娠をしてしまった。そのためにお産を取り扱う件数が年間900件だったのを500件に制限したいと言ってきた。また反対側にあるちょっと離れた病院では、そこを開業されていた先生が年を取ったために、お産をやめたいと言ってきた。
 そこはだいたい年間200~300件だった。そうすると年間700人がそこの病院からあふれるわけである。一つの病院ではとても受けきれる数ではない。
 私の勤めている病院は二人の医師が働いていて、年間700件ある。もし私が過労で倒れたら、一人の医者で行う。一人で700の分娩に立ち会えるかというとできない。ということは一人倒れたらアウトなのだ。一つの病院が倒れると、それを支えなければならない病院がまた倒れてしまうのだ。
 東京も例外ではない。墨田区の墨東病院が年間1500件だったのが、400~500件しか扱わなくなった。約1000人が宙に浮いている。ものすごく危険な状態であるということをご理解いただきたい。

司会: この状況をどう政府は対応していくのか、萩原先生、何か対応策はあるか。

萩原: 医師不足、看護師不足という問題は明確に分かっている。今回の参議院選挙の公約にもその対応策がきちっと入っている。
 私が生まれたのは昭和31年。私のちょっと前の世代というのは基本的には家で出産していた。
 そういうところから見ると、産科医療がどっちの方向を向いているのか。人間の持っている力を助長する方に向いているのか、人間の持っている力なんか関係ない、おれたちがやるんだと考えているのか、どっちの方向で医療しているのかということもきちんと抑えていかなければならないと思う。

司会: 江藤先生、じかに現場をご覧になって病院の現状、先生方の現状をどのようにお感じか。

江藤: 直接病院で働いているわけではなく、学生の実習を病院にお願いしている立場なのだが、私が行っている病院で産婦人科のお医者さんがやめるとか、お産で休むという場合、その地域はベッドタウンでお産が多い所なのに、お産をお断りする電話を掛けられたというのを聞いて、今はどこも同じように大変な状況になっているのだと思う。

司会: 細川さん、脱少子化と日本精神復興促進運動は、どうつながるのか。

細川: 日本精神復興促進運動を提唱したのは、大一先生という方である。
 大先生は日本の文化や伝統の中に素晴らしいものがある。それが戦後失われてしまっているので、ぜひ取り戻すべきだと説いている。また、大先生は宇宙にはすべてのものを貫いている法則があって、人間もまた自然の法則に沿って生きていくときに健康で、また幸せに暮らせる。そういうことを説いている。
 そこでお産の問題と絡んでくるのだが、お産の場合も、女性の体にはもともと自然な形でちゃんと楽に出産ができるような働きが備わっている。それをうまく引き出すことができれば、もっと自然で楽なお産ができるはずである。
 ところが、現代人はお産というと陣痛で苦しむもの、危険なもの、女性の大厄と考えるようになってしまった。そこのところをもっと人間の本来の命の働きに目を向けて、その生命力を生かして、自然でしかも楽なお産ができるように目指していく。その道を大先生は説いている。
 石村さんは、自然なお産の手助けをしており、出産の現場から脱少子化を訴えている。日本精神復興促進運動本部はその趣旨に賛同して、本日のフォーラムを後援している。

参考資料
・大塚寛一先生について
http://www.nsfs.jp/sousai_sousai.htm

 次回に続く。
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脱少子化を語る1

2007-08-22 18:11:35 | 少子化
 去る7月8日、東京・深川の江戸資料館小劇場で、「脱・少子化フォーラム2007~産む喜びを」が行なわれた。
 このフォーラムは、江東区で助産師をしている石村あさ子さんが所長をしている「助産婦石村」が主催したもの。
 石村さんは、家庭出産を行なっている助産師で、その活動は、毎日新聞、主婦の友社の雑誌、NHKテレビ等で紹介されてきた。ここのところ、東京都が広報に使っているMXテレビが石村さんを取材し、番組を制作している。フォーラムにも取材に来た。放送は、二回に分けて行なわれる。予定は下記の通り。

 日 時:9月2日、9月9日(日) 21:00~21:30
 番組名:「東京BOY~東京少子化事情」
 出演者:テリー伊藤、浅草キッド、松村邦洋ら
 視聴可能区域:東京及びその近郊
 チャンネル:9チャンネル又は5チャンネル
 再放送:土・日の夜23:00時から。

 「東京BOY」には、石原慎太郎都知事もよく出演する。
 今回放送予定の番組では、「脱・少子化フォーラム」についても多少流れるらしい。

●脱少子化を語るパネル・ディスカッション

 「脱・少子化フォーラム」の概要は、7月9日から4回に分けて私のブログに掲載した。
http://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/d/20070709
 このたびは、その際、詳細を紹介できなかったパネル・ディスカッションの内容を掲載する。

 パネリストは、衆議院議員・萩原誠司氏、総合守谷第一病院副院長・佐々木純一氏、聖路加看護大学実践開発研究センター准教授の江藤宏美氏、助産婦石村所長の石村あさ子氏、それに私・細川一彦。ファシリテイターは、(社)日本青年会議所特別会員の武藤誠晃氏。
 以下は、録音に基いて、発言の大意をまとめたもの。7回になる予定。

武藤ファシリテイター(以下、司会): 昨年度の出生率は1・32。統計的には2・08以上ないと人口は維持できない。間違いなく日本の人口は減っている。2025年の日本の人口は、1億人くらいになると言われている。パネリストの皆さんは、少子化の現状をどうお考えか。

石村: イメージとして国家の衰退、税収の減少が考えられる。

佐々木: 少子化と騒いでいるが、本当に少子化がまずいのか、ちゃんと考えているのか。日本人はどうも右へ倣(なら)えして同じことを言う傾向がある。地球温暖化も叫ばれていて、人間の数も多ければいいということではない。地球上に人類だけがこんなにはびこっていいのだろうかと私は考える。

萩原: 子供をつくるとか、育てるとか、恵まれるとか、そういうことに対してすごくいいことだとか、感謝するとか、有り難いという気持ちが必要であって、そういうものが残ってあるところで安定すればいいのかなと思う。もし、それがなくて少子化になっているとしたら大問題。心の問題とか家族間の問題とか、それをまず根底から考えた方がよいと思う。

江藤: 子供が少なくなると、一人の子供にお父さん、お母さん、父方のおじいちゃん、おばあちゃん、母方のおじいちゃん、おばあちゃんが付くと、一人に六人だから、大事に育てられると思う半面、甘やかされるのではないかなという思いが浮かんでくる。

細川: 去年から日本の人口は減り出したが、これからますます高齢者が増えていく中で、どんどん少なくなっていく子供たちがその高齢者を支えていく世の中に変わっていく。だから、ここで今日のテーマである「脱少子化」ということを真剣に考えて、若い人たちが結婚して子供を生んで育てて安心して暮らせる世の中をつくっていかないといけないと思う。

 次回に続く。
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