goo blog サービス終了のお知らせ 

ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

改正教育基本法の検討8

2007-01-29 08:54:35 | 教育
●教育基本法を早期に再改正すべし

 改正教育基本法には、欠陥があり、早期に再改正するのが望ましい。私は、平成18年4月に新教育基本法の私案を掲載したが、改めてここに再改正の案として提示したい。
 基本的な内容は、平成18年4月16日~5月10日に連載したものと同じである。修正点は、第二条(教育の目標)の6号に食育に関する条文を加えたことである。

――――――――――――――――――――――――――――――
◆教育基本法の再改正のためのほそかわ私案

前 文
 
 我々日本国民は、たゆまぬ努力によって独自の歴史、伝統、文化を築いてきた。わが国近代の発展は、教育の振興によるところが大きく、敗戦後の復興と成長もまた、国を担う人材の育成に努めた成果である。
 しかし、家庭、社会、世界の変化により、今日、わが国の教育は新たな課題に直面している。
 我々は、わが国のさらなる発展とともに、世界の平和と人類の福祉に貢献することを願い、自他の敬愛に基づく公共の精神を尊び、多様な文化の共存に努め、自然と文明の調和を図る国民の育成を期するとともに、歴史と伝統を継承し、新しい文化の創造を目指す教育を推進する。
 我々は、この教育は、家庭、学校、社会、国家を通じて実現されるべきものと認識し、わが国の未来を切り拓く教育の基本を確立するため、この法律を制定する。

(教育の目的)
第一条 教育は、人格の完成を目指し、共同体のかかわりの中で各個人に内在する可能性を開花させ、心身ともに健康な国民を育成するとともに、その個人が属する様々の社会の維持及び発展に寄与し、家庭、社会、国家、ひいては世界に貢献する日本人の育成を図ることを、目的とする。

(教育の目標)
第二条 教育は、その目的を実現するため、学問の自由を尊重しつつ、次に掲げる目標を達成するよう行われるものとする。
1 知育、徳育、体育を調和をもって施し、幅広い知識と教養を身に付け、真理を求める態度を養い、豊かな情操と道徳心を培うとともに、健やかな身体を養うこと。
2 個人に内在する価値を尊重して、その能力を伸ばし、創造性を培い、自主及び自律の精神を養うとともに、職業及び生活との関連を重視し、勤労を重んずる態度を養うこと。
3 家庭において、親子、夫婦等の家族の敬愛、男女の協力を重んずるとともに、公共の精神に基づき、主体的に社会の形成に参画し、その発展に寄与する態度を養うこと。
4 我が国の伝統と文化を尊重し、愛国心を涵養するとともに、他国を理解し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと。
5 生命を尊び、自然を大切にし、環境の保全に寄与する態度を養うこと。
6 食に関する教育を、生きる上での基本であり、知育、徳育、体育の基礎となるべきものとして推進し、子供を健やかに成長せしめ、また国民の健康が増進すること。

(教育の方針)
第三条 教育の目標の達成は、あらゆる機会、あらゆる場所で追及されなければならない。
2 国民は、ひとしく教育の目標達成をめざし、大人及び親として、相互に人格を成長、発展させることに努め、次世代の育成に貢献するものとする。
3 男女は、互いにその特性を生かし、相互に協力し合って家庭、社会、国家を共に担う責務があることを、教育上重視するものとする。

(生涯学習の理念)
第四条 国民一人一人が、自己の人格を磨き、豊かな人生を送ることができるよう、その生涯にわたって、あらゆる機会に、あらゆる場所において学習することができ、その成果を適切に生かすことのできる社会の実現が図られなければならない。

(教育の機会均等)
第五条 すべて国民は、その能力に応じてひとしく教育を受ける機会が与えられ、人種、信条、性別または社会的身分によって、教育上差別されない。ただし、これは必要な区別を排除するものではない。
2 国及び地方公共団体は、障害のある者が、その障害の状態に応じ、十分な教育を受けられるよう、教育上必要な支援を講じなければならない。
3 国及び地方公共団体は、意欲と能力があるにもかかわらず、経済的理由によつて修学困難な者への奨学の措置を講じなければならない。

(家庭教育)
第六条 教育の原点は家庭にあり、親は子の教育について第一義的責任を有する。父母その他の保護者は、人生最初の教師であることを自覚し、自らが保護する子供に、しつけを行い、生活のために必要な習慣を身に付けさせ、自立心を育成し、心身の調和の取れた発達を図るよう努めるものとする。
2 国及び地方公共団体は、家族の絆を育成及び強化し、家庭教育の充実を図るため適切な支援を行う責務を有する。
3 国及び地方公共団体は、国民の家庭の形成と家庭教育を支援するため、親となり、子育てをするための学問及び教育を振興することに努めるものとする。

(幼児教育)
第七条 幼児期の教育は、生涯にわたる人格形成の基礎を培う重要なものであることにかんがみ、国及び地方公共団体は、幼児の健やかな成長に資する良好な環境の整備その他適当な方法によって、その振興に努めなければならない。
2 幼児教育は、家庭との緊密な連携を図り、これを助け、かつ補完するものでなければならない。

(義務教育)
第八条 国民は、教育の目的を達成するため、国民一般に共通する基礎教育としての普通教育を、ひとしく受ける権利を有する。
2 国民は、その保護する子供に、別に法律で定めるところにより、普通教育を受けさせる義務を負う。
3 国は、前項に定める義務教育に関する権限と責任を有する。
4 国または地方公共団体の設置する学校における義務教育については、授業料は徴収しない。

(学校教育)
第九条 学校教育は、教育の目的を実現するための中心的な機能を有する。
2 国及び地方公共団体は、学童、生徒、学生の健やかな成長に資する良好な環境の整備、振興に努めなければならない。
3 学校における教育活動は、公的な性格をもつものであって、学校は、国または地方公共団体の外、法律に定める法人のみが、これを設置することができる。
4 国は、普通教育を行なうため、初等及び中等教育を整備する。また、普通教育の成果の上に、個別的部分的な教育を施す専門教育及び職業教育の整備に努めるものとする。

(家庭、学校、地域の連携と協力)
第十条 家庭、学校及び地域住民その他の関係者は、教育におけるそれぞれの役割と責任を自覚するとともに、相互の連携及び協力に努めるものとする。
2 国及び地方公共団体は、前項の連携と協力を促し、教育の目的達成と教育環境の整備を図るよう努めるものとする。

(初等中等教育)
第十一条 初等中等教育は、学校教育の基礎をなすものであり、児童、生徒の発達に応じて、段階的に教育の目的達成をめざすものとする。
2 国は、初等中等教育について全国的に一定水準を確保する責務を有し、内容その他の基本的な事項を定めるとともに、その達成状況の評価を行う。
3 地方公共団体は、国の定めた初等中等教育に関する施策を確実に遂行するものとし、更に地域の特性に応じ、独自の基準の制定その他の独自の施策を立案実行することができる。

(高等教育)
第十二条 高等教育は、高度で専門的な知識と技術を備え、勤労と責任を重んじ、自主的な精神にみちた人材の育成を図ることを目的とする。
2 大学は最高学府として、真理の探究を通じて、新たな価値を生み出し、学術の進展や我が国及び国際社会の発展に貢献する人材を養成するための教育及び研究の機関とする。

(職業教育)
第十三条 国及び地方公共団体は、国民が個性と能力に応じ、職業に関する知識と技能を身につけることを期し、職業教育の振興に努めるものとする。

(私学振興)
第十四条 私立学校の有する公的な性格及び学校教育において果たす重要な役割にかんがみ、国及び地方公共団体は、その自主性を尊重しつつ、助成その他の適当な方法によって私立学校教育の振興に努めなければならない。

(社会教育)
第十五条 個人の要望や社会の要請にこたえ、社会において行われる教育は、国及び地方公共団体によって奨励されなければならない。
2 国及び地方公共団体は、図書館、博物館、公民館その他の社会教育施設の設置、学校の施設の利用、学習の機会及び情報の提供、情報通信機構の整備その他の適当な方法によって社会教育の振興に努めなければならない。

(公民教育)
第十六条 公民教育は、国民が国家社会の形成員として、公私の区別をわきまえ、積極的に国政に参加し、また公共の利益の追求に取り組むことを目的として行われなければならない。
2 法律に定める学校は、特定の政党を支持し、又はこれに反対するための政治教育その他政治的活動をしてはならない。

(宗教教育)
第十七条 宗教的情操の涵養は、道徳の根底を支え人格形成の基盤となるものであることにかんがみ、教育上重視するものとする。
2 宗教に関する教育は、宗教への理解と寛容の態度を養うことが重視されなければならない。
3 国及び地方公共団体が設置する学校においては、特定宗教の信仰に導き、またはこれに反対するための教育を行ってはならない。

(環境教育)
第十八条 日本と地球の環境を保全するため、あらゆる段階の教育において、自然を尊び、自然との共生や一体感を育んできた日本人の伝統と文化の維持、継承を図るものとする。

(教員)
第十九条 法律に定める学校の教員は、法令に従い、自己の崇高な使命を深く自覚し、絶えず研究と修養に励み、その職責の遂行に努めなければならない。
2 前項の教員については、その使命と職責の重要性にかんがみ、その身分は尊重され、待遇の適正が期せられるとともに、養成と研修の充実が図られなければならない。

(教育行政)
第二十条 教育行政は、国民全体に責任を負い、この法律及び他の法律の定めるところにより行われるものとする。
2 国は、教育の機会均等と教育水準の維持向上が図られるよう、地方公共団体との適切な役割分担を行い、これを監督する権限を有する。
3 地方公共団体は、国との緊密な連携を図り、区域内の教育に関する施策を策定し、これを実施する権限と責任を有する。

(教育振興基本計画)
第二十一条 政府は、教育の振興に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、教育の振興に関する施策についての基本的な方針及び講ずべき施策その他必要な事項について、基本的な計画を定め、これを国会に報告するとともに、公表しなければならない。
2 地方公共団体は、前項の計画を参酌し、その地域の実情に応じ、当該地方公共団体における教育の振興のための施策に関する基本的な計画を定めるよう努めなければならない。

(補則)
第二十二条 この法律に掲げる諸条項を実施するために必要がある場合には、適当な法令が制定されなければならない。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 各条項の説明は、平成18年4月~5月に連載した際に書いたので、ここでは重複を避けるため割愛する。私のサイトには、説明文も掲載している。以下のページの四にある。ご関心のある方は、ご参照願いたい。内容は、改正教育基本法の成立に伴い、若干修正を加えてある。
http://homepage2.nifty.com/khosokawa/opinion02e.htm
(了)

関連掲示
・拙稿「戦後教育を呪縛してきた教育基本法~その弊害と改正」
http://homepage2.nifty.com/khosokawa/opinion02b.htm
 このたびの連載をまとめ、一部増補したもの。

最新の画像もっと見る

2 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

コメント日が  古い順  |   新しい順
食育の規定は教育の方針に書くべきでは? (西園寺 公望)
2022-03-16 08:16:43
ほそかわさんの改正案では食育に関する規定を第二条第6号として置いているが少なくとも「食に関する教育を、生きる上での基本であり、知育、徳育、体育の基礎となるべきものとして推進し、」は、教育の方針に含ませ、「子供を健やかに成長せしめ、また国民の健康が増進すること」の部分は、第一号「健やかな身体を養う」の前に「食に関する理解を深め、」を加筆する方がいいかと思います。
返信する
>西園寺公望さん (ほそかわ)
2022-03-16 09:12:54
15年前の私案に関心を持っていただき、御助言、ご提案を頂戴し、有難うございます。御趣旨を踏まえて、検討させていただきます。
返信する

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。