ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

「凄まじい軍拡を続ける中国から日本を守れ」をアップ

2021-05-06 10:20:14 | 国際関係
 4月12日から5月4日までブログに連載した拙稿「凄まじい軍拡を続ける中国から日本を守れ」を編集して、マイサイトに掲載しました。通してお読みになりたい方は、下記へどうぞ。
http://khosokawa.sakura.ne.jp/opinion12-15.htm

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 『人類を導く日本精神~新しい文明への飛躍』(星雲社)
https://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/cc682724c63c58d608c99ea4ddca44e0
 『超宗教の時代の宗教概論』(星雲社)
https://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/d4dac1aadbac9b22a290a449a4adb3a1

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仏教148~東洋人による西洋人の啓発

2021-05-05 08:34:13 | 心と宗教
◆東洋人による西洋人の啓発

 19世紀後半、欧米人によるインド学・仏教学が進むなかで、インド人や日本人が直接、欧米人にインドの宗教・哲学や日本の仏教・思想を伝える活動を始めた。
 インドからは、ラーマクリシュナの弟子、ヴィヴェーカーナンダが、1893年に米国のシカゴで開催された世界宗教会議に参加した。彼が、この会議で講演を行うと、予期せぬほどの大反響を呼んだ。その内容は、ラーマクリシュナの教えに基づくものだった。
 ヴィヴェーカーナンダは、講演において、次のように説いた。「ヒンドゥー教のブラフマン、ゾロアスター教のアフラ・マズダ、仏教のブッダ、ユダヤのヤーウェ、キリスト教の天の父は、同じである。世界には様々な宗教があり、それぞれ道が定まっており、それを混ぜ合うことはできない。しかし、目指す方向は、みな同じである。あらゆる宗教の人々は最高の目的に向かって協力すべきである」と。
 このような思想は、欧米人にとって初めて聴く思想であり、人々に強い感銘を与えた。シカゴでの講演は、編集されて出版され、欧米の知識人に広く読まれた。
 ヴィヴェーカーナンダは、世界宗教会議後、1897年まで、欧米各地で講演を続けた。彼の雄弁で理路整然とした話は、聴衆を魅了し、啓発した。「すべての宗教の理想はひとつ、自由を得ることと、不幸のなくなることである」「人類の究極目標、すべての宗教の目的はただひとつ――神との、つまり各人の本性であるところの神聖との再結合である」と。
 ヴィヴェーカーナンダによって、欧米の知識人の一部に、インドの宗教・思想は、有色人種の劣等な民族の文化ではなく、敬意をもって接すべきものという認識を生みだした。
インド学や近代欧米的な仏教学を学ぶためにヨーロッパに留学した日本人は、そこで仏教の紹介をした。南条文雄は、1876年(明治9年)からイギリスに留学した際、英文で書いた『大明三蔵聖教録』(南条目録)をオックスフォード大学から刊行した。高楠順次郎は、1890年(明治23年)からイギリス、ドイツ、フランス、イタリアに留学した際、『観無量寿経』、義浄の『南海寄帰伝』等を英訳した。
 続いて、岡倉天心は、1903年(明治36年)に英文で書いた『東洋の理想』を、イギリス・ロンドンの出版社から発行した。岡倉は、本書でインドの仏教、シナの儒教・道教に代表される東洋の思想を西洋人に紹介し、それらを生んだ東洋の精神の偉大さを強調した。岡倉は、欧米人に東洋の理想、日本の美術の素晴らしさを伝えるとともに、海外の人々が仏教への関心を持つようになるきっかけを与えた。また、1906年(明治39年)には、やはり英文で書いた『茶の本』をアメリカ・ニューヨークの出版社から刊行した。本書は日本の茶道を欧米に紹介することを目的とし、茶道を仏教、特に禅、また道教、華道との関わりからとらえ、日本人の精神文化や生活観を解説している。英米人に読まれただけでなく、本書はスウェーデン語、ドイツ語、フランス語、スペイン語に翻訳されて、欧米で広く読まれた。
 さらに本格的に仏教を欧米に伝えたのは、鈴木大拙である。鈴木は、1897年(明治30年)に渡米して、出版社に編集員として勤め、哲学者ポール・ケーラスを助けて東洋学関係の出版に従事した。そのかたわら、1900年(明治33年)に『大乗起信論』を英訳して同社から出版した。1907年(明治40年)に英文で『大乗仏教概論』を書いて、ロンドンの出版社から発刊し、翌年にオープン・コート社からも出版した。名著『禅と日本文化』の英文の初版は、1938年(昭和13年)に鈴木が主宰する東方仏教徒協会から出された。本書は1941年(昭和16年)にオットー・フィッシャーによるドイツ語訳版がシュトゥットガルトの出版社から刊行された。
 こうしたインド人、日本人の活動によって、欧米人にインドの宗教・哲学や日本の仏教・思想がより正確に、またより深く伝えられていった。

 次回に続く。

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対中防衛論11~中国の軍国主義者の「強軍夢」:矢野義昭氏(続き)

2021-05-04 10:32:00 | 国際関係
 本稿全体の最終回。

中国統一戦争の戦場: 台海戦場
 台湾近海の台海戦場の副題は「「中国統一戦争」の準備を十分に行わねばならない」というものであり、台湾武力統一準備を怠るなと大号令をかけている。
 戦争準備を明確にしているのは各正面の中でも台湾統一戦争のみである。改めて、領土の完全統一が人民解放軍の最大の使命であることを示している。
 台海戦場については、台湾独立派の独立意思、中国の武力統一意思、米国の中国統一に武力介入しようとする意志がせめぎあっている、また台湾両岸の競争、太平洋を挟んだ米中間の競争、中国の武力統一戦と米国の干渉戦の競争が交錯しているとみている。
 習近平国家主席による、2019年1月2日の『台湾同胞に告げる書』の「平和統一の見通しに最大限の努力をする。しかし、我々は武力の使用を放棄することはなく、あらゆる外部勢力の干渉とごく少数の台湾独立勢力とその分裂活動に対し、あらゆる必要な措置を採るとの選択肢を留保する」との言葉を引用している。
 さらに習近平氏は「中国人のことは中国人により決定されねばならない。台湾問題は中国の内政問題であり、中国の核心的利益と中国人民の民族感情に関する問題であり、いかなる外部勢力の干渉も容認しない」と強調し、日米など域外の干渉勢力に対し厳重に警告していると述べている。
 また台湾問題について本書は、「我々は和平の理想を持っているが、和平の幻想を持ってはならない」とし、台海戦場では「武力統一」と「決戦決勝」の両者の原則に立つと、武力統一路線を堅持することを明示している。
 また、国民党は統一も独立も武力行使も否定しており、「その真意は思想的な独立」にあり、民進党は「台独」の立場を掲げて変えようとせず、米国は「台湾をもって中国を制する」との戦略を変えていないとして、台湾で内乱か外部勢力の介入があれば、「中国統一戦争」を迫られるが、国家統一を実現するとしている。
 新時代の台海戦場に対する見方として以下の4点を挙げている。

①台湾の経済規模は今では大陸の20分の1、軍事費は15分の1に過ぎない。我々は自信を持つべきだ。

②武力により初めて台湾の独立派を撃破でき、武力は台湾問題を徹底的に最終解決できる手段である。軍事闘争準備が万全であればあるほど、台湾独立派はあえて一線を越えることはせず、両岸関係の平和的発展がはじめて保障される。和平統一を根本的に保証するのは、武力統一の堅固な決心と強大な武力である。

③台湾問題解決には時間表と路線図がなければならない。台湾独立派や米国はこの時間表を、目を見開いてよく見るべきだ。彼らが、中国が徹底的に台湾問題を解決するのは、この新時代であることを知れば、彼らは焦りかつ恐れて、鍋の上の蟻のようになるだろう。
「世界一流の軍隊の建設」は、2016年2月の軍の重要会議の席上、習近平氏により初めて提出されたが、その後、以下の4つの重大な変化があったとしている。
その変化とは、

(a)西側の国力が低下し新興国の国力が増し、国際的な戦略情勢が大きく変化したこと
(b)数カ国の先進国が世界の重大事を決定する時代は去り、勢力範囲が変わり、国際ルールを決めて国際的な協調と利益配分による統治に変化したこと
(c)世界の地政学的な中心が、米州からアジアに移行したこと
(d)経済、科学技術、軍事等の総合国力の競争において、中国が米国を追い上げ差を縮めていることであるとしている。

 要するに、中国の総合国力が増強され米国との格差が縮まり、「強軍夢」を実現する好機が熟しつつあるとの認識を示している。
 その結果、「世界一流の軍隊」についても、前述したように、その水準は、「世界で最も強大な軍隊」に格上げされた。
 さらに最大のタカ派である習近平氏の「新時代」を迎えたとし、「強軍夢」を実現する時呈として、以下の3段階を明示している。

第1段階: 2020年までの機械化と情報化を基本的に実現する。
第2段階: 2021年から2035年の間に、全面的な軍事理論、軍隊組織形態、軍事人事、武器装備の現代化を達成するとともに、軍の9個体系である、軍事理論、連合指揮、新型軍事管理、現代軍事力、新型軍事訓練、新型軍事人材、国防科学技術の創新、現代軍事政策制度、軍民融合の各体系を構築する。
第3段階: 2035年から2049年の間は、中華民族の偉大な復興と言う中国夢の実現を成功させるときであり、強軍夢を実現させ、世界一流の軍隊を全面的に建設する。

 このような時呈が予定通り実現する保障はないが、長期一貫した戦略目標とその実現時呈を具体的に明示している点は過小評価すべきではないであろう。
 共産党独裁下では、長期一貫して民生を犠牲にしてでも軍事投資を継続することができるためである。
 他方でこのような具体的な覇権拡大の野心の表明は、国際社会の反発と警戒を招くことも間違いない。

④台湾問題は広い視野で深く考えねばならない。台湾に対する軍事闘争では、台海、東海、南海の3つの海を連動させ、統一夢、中国夢、世界夢の3つの夢を一体化し、組織の配置を適切にし、総体として推進することが必要である。
 国家統一が実現してはじめて民族復興が実現できる。もしも世界覇権を抑制できず、人類運命共同体構築という世界夢を推進できなければ、覇権国を猖獗させ米国の横暴を許し、台湾問題も解決困難になる。
 ゆえに、台湾問題を解決するには必ず米国の覇権的な干渉を抑制し、米国の海上封鎖を突破するため、強大な中国の海上権力と結合させねばならない。

 以上が、本書で主張している台湾近海戦場での中国の戦略方針である。
 ここには、武力を増強し武力統一の威嚇効果を最大限に発揮して、戦わずして平和裏に台湾併合を、習近平在任間に何としても実現しようとする、意思が顕著に表れている。
 その際に最大の障害となるのが、台湾独立派の抵抗と米国と日本の干渉であるとみている。もしも台湾独立派が独立に動くか、米日の介入があれば、中国は武力統一に踏み切るとの意思を明確に述べている。
 その狙いは、台湾独立派と日米を抑止することにあり、本当に日米の介入があった場合に武力戦、祖国統一戦争に踏み切るかは、時の軍事力バランスとその他の諸要因を総合的に勘案して、判断されることになるとみられる。
 ただし、武力行使に踏み切る可能性は、両岸の戦力格差、日米の介入能力などの要因が中国に有利に展開した場合は、ますます増大することになる。

台湾・先島諸島に対する侵攻様相と日本として採るべき対応策
 このような中国の意図と行動を抑止するために、今後は日米が協力して台湾の経済、科学技術力、外交的地位を含めた総合的な国力を向上させるとともに、日米ともに、武器援助、共同訓練、軍事交流、情報・兵站面での相互支援協定など、可能なあらゆる側面での台湾に対する支援強化が必要になる。
 日本としては、

①当面は、防空識別圏、漁業海域についての相互調整、戦略対話、軍事情報包括保護協定、物品役務相互提供協定、事故防止協定などの締結
②さらに将来的には、日本版台湾関係法の制定、防空・地対艦ミサイルの射撃域についての相互調整、サイバー・電磁波・宇宙領域での相互協力協定締結、台湾との尖閣諸島領有権問題の最終的な解決
③最終的には台湾との国交正常化、台湾の国家承認を目指すべきであろう。

 軍事戦略上の必要性を検討するには、中国の台湾侵攻様相を分析しなければならない。
 台湾有事には、人民解放軍は、米軍の台湾支援を阻止妨害するため、台湾への着上陸侵攻に先立ちまず、台湾の南北両翼からの海空軍による包囲と台湾東海岸の封鎖を追求するとみられる。
 その際に、南翼からの包囲は、バシー海峡の確保が必要となるが、米軍のグアム、豪州のダーウィン、シンガポール正面の3方向からの攻勢に側面をさらすことになり、リスクが大きい。
 また支援する海空基地は海南島以外には乏しく、南シナ海は3正面をベトナム、フィリピン、インドネシアに包囲されている。このように主力をもって南翼から包囲するのは不利点が多い。
 それに比べ、台湾北翼、尖閣諸島から宮古、石垣、与那国の先島諸島を経て包囲する経路は、大陸の濃密に地上配備された弾道ミサイル、防空ミサイルの射程、戦闘機の行動半径内にあり、掩護が容易である。
 また、東部戦区と上海以北の海空軍基地群の支援が容易で、大陸から距離的にも近く、海空の戦力集中も容易である。
 各種ミサイルによる台湾側の基地、重要施設、政経中枢に対する精密攻撃、台湾に対する核兵器使用の恫喝、対米核恫喝のためのICBM(大陸間弾道ミサイル)およびSSBN(潜水艦発射弾道ミサイル)などの活動活発化、米空母および艦艇に対する対艦ミサイル攻撃といった手段で、接近阻止/領域拒否戦略が発動されることになろう。
 ただしその発動時期は、台湾攻撃では早く使用されるが、対米攻撃は対米核戦争回避のため、最後の局面まで抑止される可能性が高い。
 海空優勢がとれれば、水陸両用作戦により、ホバークラフト、ヘリ、大型強襲揚陸艦などを集中運用し、比較的短期間の準備で台湾西岸に海軍陸戦隊と陸軍水陸両用戦部隊の各波数個師団、3波程度からなる軍団規模の兵力を、1週間以内に分散奇襲上陸をさせることも可能であろう。
 また、従来の上陸適地以外の湿地などにもホパークラフトで達着でき、ヘリの輸送力、海軍歩兵と空軍空挺部隊の戦力も向上していることから、従来の着上陸適地以外への奇襲着上陸と、着上陸後の迅速な兵力増強には注意が必要である。
 着上陸侵攻に当たっては、一部を東岸にも着上陸させ、努めて全方位から台湾全島を制圧することを目指すとみられる。また着上陸後は台湾の道路網を使い装輪装甲車両等で、ヘリ部隊も併用しながら迅速に台北、高雄などの主要都市を攻撃制圧するとみられる。
 それと連携した主要海空基地、都市部等への各種ミサイルの打ち込み、SNSなどを介した流言蜚語、放送局の占拠による偽りの臨時政府樹立宣言、停戦命令などの手段による国民の抵抗意思喪失とパニック化への対処、潜伏工作員による破壊工作、要人暗殺などへの警備と治安維持も重要である。
 また、侵攻に先立ち、政治戦、輿論戦、情報戦を活発に行い、台湾側の抗戦意思を弱め、台湾国内に親中派の呼応勢力を育成し、機が熟した段階で軍事侵攻に踏み切るとみられる。
 親中派の臨時革命政権成立を偽装し、それを口実に武力侵攻することも考えられる。その際には、台湾国内の親中派の武装蜂起にも同時に対処しなければならない。
 また、侵攻に先立ち、あるいはほぼ同時に、大陸側は、全面的なサイバー攻撃、特殊部隊の破壊・攪乱工作、電磁波攻撃、生物・化学兵器戦、宇宙での日米の宇宙資産も含めた衛星等に対する攻撃、機動型極超音速滑空ミサイルなどによる各種ミサイルの集中攻撃など、全面的な多方面、多正面にわたるハード、ソフト両面からの先制奇襲攻撃を行うとみられる。
 以上の台湾に対する侵攻様相は、それに先立つか連携して行われる日本の尖閣を含む先島諸島、および沖縄本島に対する侵攻様相にも共通する。
 特に、沖縄本島の米軍基地の動向には注意する必要がある。場合により、台湾海空軍が在日米軍基地に緊急避難してくる可能性もあり、また、駐留米軍主力が被害極限のためグアムなどに退避する可能性もある。
 現在の米海兵隊の遠征前方基地作戦構想では、第1列島線の離島や近海などに小規模の海兵隊を分散配置し、目標偵察、ミサイル誘導、電子戦、電磁波・サイバー戦、対潜作戦支援、通信中継などに当たらせる計画になっている。
 その場合も、沖縄の海兵隊は基地に留まることはないとみられる。在沖縄米空軍部隊も、柔軟かつ機動的な運用のために嘉手納基地を離れグアムなどに分散配備されるとみられる。
 日本としては、まず八重山諸島の防衛態勢を堅固にするために、自ら陸海空自衛隊の配備強化、特に射程400キロ以上の長射程地対艦・地対空ミサイル、スタンド・オフ・ミサイルの配備とそのためのISR(情報・警戒監視・偵察)部隊と装備の配備、現地統合司令部の常設、沖縄の日米基地群の防護と警備の強化、特に地下化が必要である。
 また、米軍と在沖縄米軍等の緊急時の作戦・再配備計画の調整を行うとともに、台湾側とも、情報の常続的交換、緊急時の台湾軍受入れ支援態勢の調整、ミサイル・戦闘機・潜水艦・水上艦艇・海保などの射界と行動範囲・通信規約・相互連絡調整機構などについて、平時から緊密に調整しておくことが必要である。
 できれば、緊急時の作戦計画の相互調整と共同演習の実施が最も望ましい。
 また、大陸側のサイバー諜報、サイバー攻撃、電磁波兵器の動向、宇宙での活動などについて、平時から緊密な情報交換を行うべきである。
 これらについては平時からの、共同専門家会議と共同訓練の実施、部門別の共同調整メカニズムの常設が望ましい。これらの会議には米国、さらに必要な場合は豪州、インド、ベトナムなどの参加も求めるべきであろう。

まとめ: 重大な日本の責任と急がれる自立防衛態勢
 中国側の紹介著書の内容は、軍内強硬派の見解をあえて表明したものであり、脅威とみなしている国内外の勢力に対する威嚇ともとれる内容である。
 そのまま受け取ることはできない。また過度におそれ無力感に捕らわれることは、「戦わずして敵の兵に屈する」ことになり、彼らが最も狙っている本書の効果でもあり、最も戒めるべきことである。
 しかし半面、単なるブラフとして侮りあるいは無視することも危険である。
 中国共産党の独裁体制が維持される限り、「2049年には世界最強の軍隊を建設する」との習近平氏が掲げた「強軍夢」に向けて、中国共産党は長期一貫した国家資源の投資を継続するとみるべきである。
 今後も中国の軍事的な脅威は持続し、我々がそれに対抗して軍事的抑止能力と対処力を向上させなければ、力の均衡が破れ、紛争が生起する恐れが高まる。
 また戦ったとしても敗北し、あるいは戦わずして政治的に屈し、中国の最終目標達成前に日本も台湾も各個に撃破されていく恐れもある。
 これからの10年から30年は、世界制覇の野望を露わにして邁進する中国共産党の軍事的脅威を抑止し制圧するための苦しい戦いが続くであろう。
 しかし、勝ち目がないわけではない。中国共産党の脅威に直面している世界の多くの国々、とりわけ米国はじめ、台湾、インド、豪州、東南アジアなどの諸国と連携しつつ、日本自身が自立防衛態勢を高めるならば、十分に勝算はある。
 日本は、中国との対峙態勢における前線国家の立場にある。
 日本はまた、今世紀半ばになり人口が1億人に減少しても、依然として世界的な経済・科学技術大国の地位を維持し、インド太平洋での米国の最も重要な同盟国であり続けるとみられている。
 日本が、インド太平洋地域の安定と繁栄に果たす役割は極めて重要であり、日本の去就が、インド太平洋戦略の成否を決すると言っても過言ではない。
 日本の責任は今後とも極めて重大であり、その期待と責任に応え得る自立防衛態勢を確立することは、現在の日本にとり最大の課題と言えよう。
 防衛力の増勢には少なくとも十年を要する。残された時間は多くない。
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 以上の論文において、特に重要な部分を抜粋にて確認したい。
 矢野氏は、本書の日本に関する部分に次のように書いている。
 「米国が、日中間での東シナ海での領土をめぐる衝突においては、『日本との防衛条約を適用する』と宣言しているのは、『日中間でひとたび東シナ海での島嶼をめぐる紛争が起きて開戦すれば、米国は日本と共に中国に対して作戦することを意味している』。
 『米中戦争において日本は最も緊要な国であり、米国は、日本の軍事力を絶えず向上させ、中国と常に対立関係に持込み、中国が日本領土の空軍基地の米軍を攻撃する可能性が大いにあるようにすることを強調している』とみている。
 米中双方にとり、米中対決の場で日本は最も緊要な国であるとみられていることには、注意を要する。
 このことは、日本が米中争奪の最大の目標となりうることを意味し、日本自身が自立的な防衛力を持たなければ、戦場になりかねないことを意味している」と。
矢野氏が論文の結論部に書いていることは、極めて重要である。あえてその部分を再度引用し、同憂の人々の参考に供したい。
 「中国共産党の独裁体制が維持される限り、『2049年には世界最強の軍隊を建設する』との習近平氏が掲げた『強軍夢』に向けて、中国共産党は長期一貫した国家資源の投資を継続するとみるべきである。
 今後も中国の軍事的な脅威は持続し、我々がそれに対抗して軍事的抑止能力と対処力を向上させなければ、力の均衡が破れ、紛争が生起する恐れが高まる。
 また戦ったとしても敗北し、あるいは戦わずして政治的に屈し、中国の最終目標達成前に日本も台湾も各個に撃破されていく恐れもある。
 これからの10年から30年は、世界制覇の野望を露わにして邁進する中国共産党の軍事的脅威を抑止し制圧するための苦しい戦いが続くであろう。
 しかし、勝ち目がないわけではない。中国共産党の脅威に直面している世界の多くの国々、とりわけ米国はじめ、台湾、インド、豪州、東南アジアなどの諸国と連携しつつ、日本自身が自立防衛態勢を高めるならば、十分に勝算はある。
 日本は、中国との対峙態勢における前線国家の立場にある。
 日本はまた、今世紀半ばになり人口が1億人に減少しても、依然として世界的な経済・科学技術大国の地位を維持し、インド太平洋での米国の最も重要な同盟国であり続けるとみられている。
 日本が、インド太平洋地域の安定と繁栄に果たす役割は極めて重要であり、日本の去就が、インド太平洋戦略の成否を決すると言っても過言ではない。
 日本の責任は今後とも極めて重大であり、その期待と責任に応え得る自立防衛態勢を確立することは、現在の日本にとり最大の課題と言えよう。
 防衛力の増勢には少なくとも十年を要する。残された時間は多くない」と。

 最後の「防衛力の増勢には少なくとも十年を要する」という言葉は、極めて重い。逡巡、遅滞は亡国の道である。(了)

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仏教147~ニーチェ

2021-05-03 10:13:07 | 心と宗教
◆ニーチェ

 19世紀の半ば、フリードリッヒ・ニーチェは、徹底した無神論を説き、現実世界における生を肯定し、生命の本質を「力への意志」であるとした。「力への意志」こそ、生の唯一の原理である、とニーチェは説いた。これは、ショーペンハウアーの意志を、否定すべきものから肯定すべきものへと逆転させた思想である。
 青年期のニーチェは、ショーペンハウアーの『意志と表象としての世界』から衝撃を受け、決定的な影響を受けた。彼は、ショーペンハウアーを通じて、インド哲学や仏教に関心を持った。また、彼と同じくショーペンハウアーの影響を受けたインド学者のパウル・ドイッセンが学生時代からの親友だったことも、インド哲学や仏教への関わりを深くした。
 ニーチェの思想は、第1期の古代ギリシャの悲劇・哲学を研究した時期、第2期の懐疑とニヒリズムによる批判と破壊の時期、第3期の生を再肯定して超人・永劫回帰等を説きながら狂気の中で死に向かう時期に分けられる。
 第1期の終わり、『反時代的考察』の論文を書いていた1875年の書簡に、友人から『スッタニパータ』の英訳本を借りて読み、「生の無価値とすべての目標の虚偽とにたいする確信が、しきりと、ときには強く僕の心に迫ってくるのだ」と書いている。第3期の初め、『ツァラトゥストラはこう語った』の時期である39歳頃にはドイッセン訳の『ヴェーダーンダの教え』を読み、「僕にはまったく縁遠い思考法が典型的に表わされているのを知って、僕は大いに満足している」と書いている。また、『道徳の系譜』『偶像の黄昏』の時期である43~44歳頃には、ドイッセン訳の『ヴェーダ』『ウパニシャッド』や『マヌ法典』のフランス語訳を読んでいる。
 仏教への言及は、第3期に入ってから頻繁になった。ニーチェは、部派仏教の論書や大乗仏教の経典を読んだ形跡はなく、初期仏教を中心とした知識をもとに、仏教を論評している。キリスト教を激しく批判するのと異なり、仏教に対しては肯定的な評価をしている。
 例えば、『力への意志』には、次のような記述がある。「仏教徒が求めるものは、非存在への道であり、それゆえに彼らは欲情からのすべての衝動を忌避する」「仏教の理想のうちには善悪からの解放が本質的に現れている」「仏教が実在性一般を否定したのは、完全に首尾一貫している。すなわち、『世界自体』は証明され得ず、到達され得ず、範疇を欠くとされているのみならず、このものの全概念を獲得せしめる手続きが誤っていることが洞察されている。『絶対的実在性』『存在自体』は一つの矛盾なのである」
 また、『反キリスト者』には、次のような記述がある。「仏教は、キリスト教より百倍も現実主義的である。客観的に冷静に問題を設定するという遺産を体内に持っており、何百年と続いた哲学運動の後に現れた。仏教が現れた時には、『神』の概念は既に除去されていた。仏教は、歴史が私たちに示す唯一の本来的に実証主義的な宗教である」「仏教はもはや『罪に対する闘争』ということを囗にせず、現実の権利を全面的に認めながら、『苦に対する闘争』を主張する。仏教は、これこそそれをキリスト教から深く分かつ点だが、道徳概念の自己欺瞞を既におのれの背後に置き去りにしている。仏教は、私の言葉で言えば、善悪の彼岸に立っている」
 以上の記述は、仏教を肯定的に評価したものと見られる。だが、「力への意志」を説くニーチェにとっては、仏教は「力への意志」を否定する宗教であり、「弱さのニヒリズム」の宗教として批判の対象でもある。
 例えば、『反キリスト者』には、次のような記述がある。「仏教は、老成した人間たちにとっての、苦悩をあまりにもやすやすと感受するところの、善良な、温和な、極めて精神化されてしまった種族にとっての宗教である」「仏教は文明の終結と倦怠にとっての宗教であるが、キリスト教はいまだ文明を眼前にすらしておらず、事情によってはその基礎となる」
 また、『この人を見よ』には、次のような記述がある。「ブッダの宗教は、布教の手がかかりを怨恨感情の克服という点に置いている。つまり、魂を怨恨感情から解脱させること。これが快癒への第一歩なのである。『敵意によって敵意がやむことはない、友愛によって敵意はやむ』という言葉がブッダの説法のはじめにある。だが、こんな言い方をするのは決して道徳ではない、こんな言い方をするのは、生理学である」
 以上の記述は、ニーチェにとって、仏教は彼の課題にとって役立たないものであることを示している。ニーチェは、西洋思想の歴史は、本当はありもしない超越的な価値、つまり無を信じてきたニヒリズムの歴史であると断じ、ニヒリズムが表面に現われてくる時代の到来を予言した。そして、ニヒリズムを克服するため、新しい価値を体現し得る超人の思想を説いた。超人の価値創造力が、「力への意志」と呼ばれる。「力への意志」こそ、生の唯一の原理であると説くニーチェにとって、仏教は帰依・信奉の対象ではあり得ない。
 ニーチェのキリスト教及び西洋形而上学への批判、ニヒリズムと超人の思想は、西洋の知識人に衝撃を与えた。ニーチェの著作を読んで仏教やインド哲学に関心を向け、ニーチェとは違って、東洋の宗教や思想に真理を見出したり、安らぎを感じる者も現れるようになった。

 次回に続く。

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対中防衛論10~中国の軍国主義者の「強軍夢」:矢野義昭氏

2021-05-02 12:03:28 | 国際関係
 付録資料

●中国の軍国主義者の「強軍夢」~矢野義昭氏

 2020年(令和2年)10月、共産中国で注目すべき図書が発行された。中国国防大学教授の劉明福の著書『新時代の中国の強軍夢』である。習近平体制下での「強軍夢」の位置づけ、意義、その狙いと戦略思想、実現に至る時間表などを論述したものであり、元陸将補で軍事研究家の矢野義昭氏が内容を紹介し、分析を行なっている。
 矢野氏の論文は、「中国の国防大教授が明かす台湾統一への戦略と日程表 中国共産党が夢想する世界制覇は実現するのか」と題され、JBPress 2020.12.21付に掲載された。本論文は、問題の書の要点を網羅的に示しており、中国の軍事戦略理論家の著書を通じて、共産中国が世界最強の軍隊を作り、米国に勝利することを計画していることがよく分かるものとなっている。中国の「強軍夢」とは、一言でいえば「軍国主義」の野望である。しかも、人類史上かつてない本気で世界支配を目指す軍国主義の野望である。
 非常に重要な論文だと思うので、同憂の方々の参考に供するため、全文を付録資料として転載する。

◆矢野義昭著「中国の国防大教授が明かす台湾統一への戦略と日程表 中国共産党が夢想する世界制覇は実現するのか」
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/63326

 日本国内では新型コロナウイルス感染症の拡大で持ち切りになっている。
 しかし中国は、各国がコロナウイルスへの対応に忙殺されている間に、わが国との尖閣諸島をめぐる対立のみならず、台湾、米国、インド、豪州、東南アジア諸国などの諸国との紛争を同時に多発させている。
 その背景にはどのような戦略や意図があるのであろうか?
 今年10月に発刊された劉明福著『新時代の中国の強軍夢(新时代中国强军梦)』(中共中央党校出版社、2020年11月)には、習近平体制下での「強軍夢」の位置づけ、意義、その狙いと戦略思想、実現に至る時間表などについて、細部が論述されている。
 著者は1969年に人民解放軍に入隊後、作戦部隊に10年、戦区機関に20年、国防大学に17年間勤務した、現職の国防大学教授であり、「全軍優秀共産党員」に選ばれている。
 個人の著書ではあるが、その立場上、習近平体制下の党と人民解放軍の意思や思想が色濃く反映された文書とみてよいであろう。

人民解放軍が対処すべき脅威と守るべきもの
 習近平中国共産党総書記は、2018年10月の中国共産党第19回全国代表大会で、本党大会の主題が「新時代の特色ある社会主義の偉大な勝利を勝ち取り、中華民族の偉大な復興という中国の夢の実現のために怠りなく努力すること」にあると宣言している。
 そのための基本戦略として14の方針が掲げられたが、その中に「党の人民軍隊に対する絶対的指導の堅持」がある。
 この方針の中で、「指揮系統を一元化し、戦って勝てる、優秀な人民軍隊を建設することが、第18回党大会で提起された「2つの100年」という奮闘目標を実現し、中華民族の偉大な復興と言う戦略実現の重要な基盤を実現することである」と、「強軍」建設の決定的な重要性が強調されている。
 これが「強軍夢」として、偉大な中華民族の復興と並ぶ長期戦略目標として採り上げられることになる。
 本書では、21世紀に中華民族の偉大な復興と言う夢を実現する上での危険には以下の5つがあるとしている。

①中国への侵略
②政権の転覆
③国家の分裂
④安定的な改革と発展のための環境の破壊
⑤中国の特色ある社会主義の発展進展の断絶

 これらの中でも①、②、③の目標は共産党独裁体制の強化と覇権拡大を直接目指す上での障害であるが、④、⑤は逆にそのような覇権主義的な行動や国内での独裁強化の動きにより、国際的な反発や警戒の結果、招くおそれもあり、①、②、③と矛盾している。
 南シナ海での動きなどを見れば、そのおそれがあることは十分に予測できるはずである。
 しかし、この矛盾点について、その後の論述では明確な分析がなされないまま、主に①、②、③の脅威に対する「強軍夢」、言い換えれば、軍事力強化による対外的な覇権拡大主義だけが突出して論述されている。
 防衛すべきものとしては、以下の4項目が挙げられている。

①中国共産党の指導的地位と中国の社会主義制度
②国家の主権、統一、領土の完全回復
③中国の海外利益の不断の発展
④世界の和平と発展

 ①については、中国共産党の歴史を振り返り、新時代に入った今日、「中国号」は中国夢実現成功に舵を切り、偉大なる目標への遠洋航海に乗り出した、中華民族の歴史上のみならず人類史上における一大物語であると自画自賛している。
 さらに、中国共産党こそが「国家の指導力と制度力であり、核心となる競争力、国家の支柱、団結と統一保持のための最大の凝集力」であり、「強国と興国の根本的な力である」と断言している。
 また、共産党の指導力によりもたらされる「政治安全」が、「中国人民の根本利益であり核心的利益」であるとしている。ここでは、共産党独裁体制維持による政治的安定こそ、強軍の基礎的条件であるとの、自信に満ちた独断が披歴されている。
 ②については、まだ国家統一を果たしていない大国は中国のみであり、周辺の多数の国家と領土主権と海洋権益を争っている唯一の国も中国であるとし、主権、統一、領土の完全回復を守るために最も多くの問題点を抱えた国であると自らを規定している。
 台湾問題では、争ってでも奪取するかまたは平和裏に統一することに最大限の努力を注がねばならない、そのためには武力の使用を放棄しないだけではなく、「台湾独立派」の分裂活動に対しいつでも断固として威嚇と威圧を加えることも必要であるとしている。
 この点については、新疆ウイグル、チベットや香港の独立派についても同様である。
 また「何年も領土主権と海洋権益の防護のために解放軍が寸土とわずかの海を争っている現在、重大な成果を得ている戦略的意思を動揺させるべきではない。今後さらに戦略の積極性を加速し、政治的な策略と優位を積み上げ、未来の勝利を得ることを追求すべきである」と、檄を飛ばしている。
 この方針は、慎重論を拒絶し、積極的な対外覇権拡大を目指すことを意味しており、この点が、才能を隠し力を蓄えるとの「韜光(とうこう)養(よう)晦(かい)」を旨とした鄧小平路線とは異なる、力ずくで目的達成を果敢に目指す習近平路線の大きな特色となっている。
 ただし鄧小平も内部では、1987年8月1日の建軍60周年に、「わが軍隊を建設するとは、強大な現代化され正規化された革命軍隊を創るために奮闘することである」と述べている。
 ③については、中国の国防には「国境」を局限することはできないのであり、新時代の解放軍は、「海外利益を発展させそのための戦略的支撑(支えとなる拠点)を提供しなければならない」としている。
 その理由として、中国がその経済総量の約6割、主要な資源の多くを対外貿易に依存していることを挙げている。このことは、経済発展のためには世界的な軍事力の展開が必要との論理であり、世界的覇権拡大を正当化するための理由付けと言える。
 ④で本書は、変化の激しい国際情勢の中、対外戦略を巧みに展開し、積極的に中国の特色ある大国外交を推進してきたと、習近平路線を賞賛している。その結果、中国の国際的な影響力が増大した。
 しかし、「国際的なシステムの変革とは、実態は国際的な権力と利益の再配分であり、そのため闘争もまた複雑激烈になっている」とし、「中国の国際的な影響力、感化力、秩序形成力を増大するためには、解放軍が世界一流の戦闘力を備えることが必要である」と強調している。

中国共産党が見る「3度目の飛躍」の好機と「強軍」の必要性
 毛沢東は中国を「立ち上がらせ(站起来)」、鄧小平は「豊かにした(富起来)」。習近平氏の新時代の今、「強くなる(强起来)」ための3度目の飛躍の時代、戦略的好機が到来したとみている。
 新時代とは、「中華民族が強くなる偉大な時代である」、「百年来かつてなかった大変革の時代であり、大きな調整を要する(第3の)新段階であり、同時に危険に満ちた、挑戦の好機でもある」としている。
 また、「国防と軍隊の建設は国家安全保障の後ろ盾であり、堅固な国防と強大な軍隊なしには平和的発展も保障されない」。
「国家安全保障の手段も増加しており、それらを柔軟に活用し合従連衡をすることもできるが、軍事手段が終始最低限の目標の保障手段である」との認識を示している。
 ここでも現在の戦略的好機を活かすには何よりも軍事力が必要とされるとの認識で一貫している。
 しかし「解放軍の現在の水準は、国家安全の要求にはまだ遠く、世界の先進的な軍の水準にも程遠い。日夜精神力を振るい立てて追いつき、国防と軍隊の現代化建設を飛躍的に発展させ、世界一流の軍隊の建設を加速させねばならない」としている。
 なお、「世界一流の軍隊」とは何かについては、「武力に第2位はない。武力は第1位でなければならない」とし、「タカ派的観点に立ち」、米軍を凌駕する「世界最強の大軍隊を建設することである」と明確に述べている。
 この点は、従来の米軍と並ぶ「世界一流の軍隊」からさらに一歩踏み出した解釈になっている。人民解放軍内の強硬派が、自信をさらに深めていることの反映と言えるかもしれない。
 偉大な3つの目標として、中華民族の偉大な復興という「中国夢」、世界一流の軍隊の建設という「強軍夢」、人類運命共同体の建設という「人類夢」が挙げられている。
 かつ強軍夢は「中国夢と人類夢の戦略的支撑であり、強大な軍隊の建設が奮闘の偉大な事業をつなぐものである」とされている。夢の実現には何よりも強大な軍事力が必要であるとする、力への信奉が赤裸々に表明されている。
 また、「それぞれの時代の人にはその時代の人の使命がある。
 習近平国家主席が解放軍を統率し世界一流の軍隊を建設する際には、一つの棒、決戦のための棒、追い込みをかけるための棒が必要である。
 現在、世界一流の軍隊建設の責任は革命軍の将兵の双肩にかかっており、我々はあえてその責任を引き受けて担おう」と呼び掛けている。

人民解放軍が勝利すべき敵
 人民解放軍が勝利すべき敵として、米国が筆頭に挙げられている。
 特に米国については、建国以来239年の歴史のうち222年は戦争をしており、米国は世界で最も好戦的な国家であるとし、その一方で、新中国の基本国策は覇権を求めず領土拡大を求めないことにあり、最も平和的な国家であるとしている。
 また、「米国の覇権は許されるが、中国の覇権は許さない」というのが、21世紀における米国の覇権の突出した特色であると指摘している。
 主要な敵である米国以外の「群敵」として、米国の組織している以下の4つの連盟が挙げられている。

①ファイブ・アイズなどの英語圏の国家連盟
②NATOなどの西欧連盟
③周辺国の反中連盟
④外敵と台湾、ウイグル、チベット、香港の独立派、分裂派などの内部の敵との連盟

 中でも③においては、米国の文献から、「高強度の長期紛争においては、米国の東アジア同盟国の対米支援があれば、中国の成功する可能性は低下する」、「日本が巻き込まれる可能性があり、日本は潜在的な紛争当事国となりうる。もしその(米軍基地が所在する)領土を攻撃されれば、日本はほぼ確実に紛争に加入するであろう」との米側の見方を紹介している。
 さらに米国は、「同盟国および核心となる軍事力を持つ中国の隣国との共同作戦能力を高め、緊急時対処計画の制定を進める必要がある」とみている。
 また米国の『国家安全保障戦略』におけるインド太平洋地区重視方針について詳述し、米国が「日韓との弾道ミサイル防衛での協力を進め」、「インドとの防衛・安全保障面での協力を進めており、インドを主要な防衛上のパートナーとしている」ことを引用し、警戒感を示している。
 中国の脅威認識は、「狼煙が四方で起こり、危機が四方に伏在している」という、まさに四面楚歌であるとの見方に立っている。
 新中国は建国以来、最多の国家との戦争に臨んできた国であり、人民解放軍は、東北方面では米国に対する抗米援朝戦争、西南方面では中印国境地域での自衛反撃作戦、北部辺境ではソ連軍侵攻に対する辺境作戦、南部辺境ではベトナムに対する自衛反撃作戦を戦い、四方八方の戦いですべて勝利してきたと誇らしげに述べている。
 特に抗米援朝戦争では、世界最強の米軍に対し解放軍は国威と軍威を輝かせたとしている。
 四周の危機に対処するための基本戦略として、各方面の脅威度や挑戦は異なるが、必ず全局面を総合し、重点を最優先し、軍事闘争準備は全面的な協調のもとに展開し、戦略を堅持して、全局面の力のバランスと安定を維持するとの方針を示している。
 なお、「いつでも局地の争いが衝突に、衝突が戦争に、局地戦争が長期の本格的戦争に発展し得るのであり、その背後には必ず米国が介在している」とし、「実質的にはすべて米国との競争と闘争である」とみている。
 この競争と闘争という概念は、米軍の「マルチドメイン作戦」における、競争(competition)から紛争(conflict)へ、紛争から競争へという将来戦様相の見方と符合している。
 すなわち、米中共に、将来戦をインド太平洋を中心とする米中間の競争と紛争の反復と連動とみていると言えよう。
 米国の同盟国であり中国に隣接した日本としては、競争と紛争の反復、局地戦から長期持久戦、本格戦争への発展と言う米中の戦争観を前提として、安全保障・防衛政策を考えねばならない。

中国の想定する第一の戦場:東北戦場
 中国が想定している戦場には、東北、東海(東シナ海)、台海、南海(南シナ海)、西南、西部、香港、海洋航路帯の8つの戦場がある。これらは、この順に列挙されている。
 必ずしも重要性に応ずる順とは言えないが、重視正面を示唆しているとみることもできる。
 各正面における戦略の中では、第一に東北戦場が挙げられており、その副題として「第2の朝鮮戦争」の防止」が挙げられている。
 このことは、中国が、朝鮮半島で米軍が北朝鮮の核・ミサイル保有能力を排除するために軍事行動をとることを恐れていることを示唆している。
 東北地区は内陸の要域であり、情勢が錯綜し大国間の地政学的な競争が激しく、紛争に発展し得る課題や領土問題を抱えていること、朝鮮半島正面の情勢が複雑で厳しくなっていることなど、東北正面の戦略的重要性を指摘している。
 対応戦略としては、その重要性に鑑みて、「戦略的思想、弁証法の思想、最終目標の思想を堅持し、よく闘い戦えば勝つことにすべての努力を集中し、高度の警戒態勢を維持し、部隊の即時召集態勢を確保し、時が来ればよく闘い、戦えば必ず勝つこと。朝鮮半島での重大な異変に対する準備を最優先し、最も複雑かつ困難な局面に基づいて、各種のありうる危機事態を分析し、軍事行動計画を予め策定して完璧にし、各種の準備工作を進め、いったん有事があれば迅速に対処し、中国の半島での戦略的利益を損なうことなく、国家の安全保障全般の安定を確保しなければならない」としている。
 特に各正面の中で、東北正面の朝鮮半島情勢と東北地区の防衛を第一に挙げている点は注目される。海洋正面や中印国境ではなく、朝鮮半島とそれに隣接する東北地区の防衛を中国軍は最重視していると言えるかもしれない。
 これは北朝鮮の核・ミサイル開発に関連し、米軍の朝鮮半島に対する軍事的威圧が高まっていることに対する警戒感を反映していると思われる。

第2の戦場: 東海戦場
 第二に挙げられているのは、東海正面の戦場であり、「米国は中日間の東海(東シナ海)での戦いを念入りに計画している」との副題を付している。
 米国が、日中間での東シナ海での領土をめぐる衝突においては、「日本との防衛条約を適用する」と宣言しているのは、「日中間でひとたび東シナ海での島嶼をめぐる紛争が起きて開戦すれば、米国は日本と共に中国に対して作戦することを意味している」。
「米中戦争において日本は最も緊要な国であり、米国は、日本の軍事力を絶えず向上させ、中国と常に対立関係に持込み、中国が日本領土の空軍基地の米軍を攻撃する可能性が大いにあるようにすることを強調している」とみている。
 米中双方にとり、米中対決の場で日本は最も緊要な国であるとみられていることには、注意を要する。
 このことは、日本が米中争奪の最大の目標となりうることを意味し、日本自身が自立的な防衛力を持たなければ、戦場になりかねないことを意味している。
 米中間にも対立要因がある。
 中国は200海里までの専属経済主権を宣言しているが、米国は、領海12海里外は公海であると主張している。
 このため、「米中の立場には矛盾があり、米国は公海の争奪をめぐり中国と開戦する理由がある。日本と中国も領土の争奪をめぐり開戦する理由があり、日米はともに中国と開戦する理由がある」と、中国は日米との同時対決がありうるとみている。
 さらに、「日本政府は改憲と軍備拡張を進め、その戦略の侵攻性と冒険性を増しており、中日両国は釣魚島(尖閣諸島)をめぐり領土紛争を起こす危険性が常にある。米国は19世紀の世界進出以来、常にアジアを分断し日中を対立させ、東アジアをコントロールしようとしてきた。中国は東海での海洋権益防護の原則を変えることは決してない。米国は中日米の東海での一戦を念入りに画策しており、実際に日米同盟は東海方面における中国の台頭を抑圧している。もしも日米が東海方向に対し軍事的な対中圧力を強めリスクを犯すなら、中国は『東海における海洋主権防衛戦』を戦うことを迫られるであろう」と述べている。
 このような中国の一方的な尖閣諸島に対する領域主権の主張とそのための軍事行動の威嚇の背景には、日米安保体制下での日米共同対処に対するおそれも伏在していると思われる。
 日本としては、尖閣諸島周辺での堅固な日米安保体制を実力で中国に対して明示するとともに、中国の軍事侵略を抑止するに足る独自の抑止力を維持強化することが、最も求められる。

 次回に続く。

************* 著書のご案内 ****************

 『人類を導く日本精神~新しい文明への飛躍』(星雲社)
https://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/cc682724c63c58d608c99ea4ddca44e0
 『超宗教の時代の宗教概論』(星雲社)
https://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/d4dac1aadbac9b22a290a449a4adb3a1

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仏教146~ショーペンハウアー

2021-05-01 10:10:41 | 心と宗教
◆ショーペンハウアー

 アルトゥル・ショーペンハウアーは、1819年に31歳で『意志と表象としての世界』を刊行した。本書の成立には、インド哲学の影響がある。ショーペンハウアーは、ヘルダーの弟子でインド学者のフリードリッヒ・マイヤーを通じて、インド哲学を知った。デュペロンのラテン語訳による『ウパニシャッド』等を読み、自分のぶつかっていた哲学上の課題の解決に大きな示唆を得た。
 カントは、感性界と叡智界、自然と自由、実在と観念を厳然と区別した。断絶をつなぐもの、根源的なものを探求したものの、その哲学は結論の出ないままに終わった。ショーペンハウアーは、カントの課題を引き継いだ。カントから現象界と叡智界に二分する思想を継承して、世界は表象であるとしつつ、カントの物自体とは意志であるとする独自の説を唱えた。人間だけでなく動植物・無機物も「生きんとする意志」の表れだとし、意志による一元論を打ち出した。インド哲学に示唆を受けたショーペンハウアーは、この衝動的な盲目の意志を否定することで、解脱の境地へと達することができるという思想を説いた。
 ショーペンハウアーは、「ヴェーダは、人間の最高の知恵と認識の果実であり、その核心はウパニシャッドの中にある。そしてそれは今世紀最大の贈り物として、ついにわれわれ(西欧人)の手にも届けられるにいたったのである」と書いている。
 ショーペンハウアーは、自分の説く意志を、ウパニシャッドを核心とするヴェーダーンダ哲学における最高原理、ブラフマンと同一視した。ショーペンハウアーは、ブラフマンを「誰もの中にあり、生き、苦悩し、解脱を望むもの」と書いている。だが、ブラフマン(梵)は宇宙の根本原理であり、苦悩したり、解脱を望んだりはしない。
 ブラフマンは、アートマン(我)という個体的原理と対をなす。ブラフマンとアートマンは同一無差別であると説くのが、梵我一如の思想である。ヴェーダーンダ哲学では、輪廻転生を繰り返している世界から抜け出ることを解脱とし、人生の目的はブラフマンとアートマンとの合一による解脱であると説く。ショーペンハウアーは意志を否定すべき対象としたが、ウパニシャッドにおけるブラフマンは合一すべき対象であって、否定すべき対象ではない。また、ショーペンハウアーは、魂の輪廻転生を認めていないから、解脱の語が意味するところも、ヴェーダーンダ哲学とは異なっている。
 ショーペンハウアーは、衝動的な盲目の意志を否定することで解脱の境地へと達することができると説く。その点に関する限り、彼の思想は、ヴェーダーンダ哲学より仏教に近い。ショーペンハウアーは、「私の哲学の結論を真理の標準とするならば、私は他のすべてのものよりも仏教に優位を認めずにはいられない」と述べている。仏教では、無明を原因とする煩悩を説く。ショーペンハウアーの衝動的な盲目的な意志は、煩悩を思わせる。ショーペンハウアーは、当時の諸学者から仏教に関する知識を得て、ウパニシャッドだけでなく仏教からも示唆を受けたと考えられる。だが、彼の時代には、まだ仏教の聖典は欧米の言語に翻訳されておらず、ショーペンハウアーは仏教の教義を詳しく正確に知ることはできなかった。
 仏教では、アートマンの存在を認めず、無我説を説く。また、因縁生起すなわち縁起の理法を明らかにする。ショーペンハウアーは、「表象は根拠律に従属する」とし、時間、空間、因果性は根拠律の三つの特殊形態であり、表象を成立させる形式とみなした。だが、因果性については基本的にカントのカテゴリー論を踏襲しており、仏教における縁起の理法を知って、考察するには至っていない。
 仏教の代表的な教説の一つである唯識説は、あらゆる存在や事象は心の本体である識の作用によって仮に現れたものに過ぎないとし、阿頼耶識を万物の展開の根源であり、万物発生の種子であると説く。これに対し、ショーペンハウアーは、「客観的世界は単なる脳の現象である」「我々によってア・プリオリに認識された法則は、(略)単に直観並びに悟性の形式から、つまり脳の諸機能から発生する」とし、表象を脳が生み出す現象と考えている。その場合、表象の記憶は残存するか、どこに保持されるかという問題がある。
 いずれにしてもショーペンハウアーの哲学は、ヴェーダーンダ哲学と仏教にそれぞれ似てはいるが、どちらとも違う彼独自の意志の形而上学を打ち立てたものである。
 西欧でウパニシャッドや大乗仏典の本格的な翻訳が出たのは、ショーペンハウアーの死後のことだった。ショーペンハウアーがインド哲学と仏教を同じようなものと理解していたのは、時代による制約が大きい。
 ショーペンハウアーの哲学は、ニーチェやドイッセン等の哲学者、フロイトやユング等の精神分析学者、ワーグナーやトルストイ等の芸術家、アインシュタインやシュレーディンガー等の科学者に重要な影響を与えた。また欧米における東洋思想への関心を高め、また理解を助ける役割をした。

 次回に続く。

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 『人類を導く日本精神~新しい文明への飛躍』(星雲社)
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 『超宗教の時代の宗教概論』(星雲社)
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対中防衛論9~日本を守るために団結しよう

2021-04-30 08:38:47 | 国際関係
●高い確率で起こり得る未来

 米中対決で中国が勝利した場合に予想される日本とアジア太平洋地域の未来は、悲惨なものとなることが高い確率で予想される。まさかと思う人が多いかも知れない。だが、今から80年前の昭和16年(1941年)の今日、4月30日、そのわずか4年4ヶ月ほど後に、日本が米国に占領され、東京が焼け野原になり、台湾も朝鮮も失い、日本の歴史や道徳が否定されてしまうことを予想していた人は、ほとんどいなかっただろう。しかし、そういうマサカが、現実に起こった。
 オーストラリアの元スポーツ観光省大臣アンドリュー・トムソンが書いた『世界の未来は日本にかかっている~中国の侵略を阻止せよ!』は、日本人に警告と奮起を呼びかける書である。
 トムソンは言う。「中国が軍事力増強と超限戦を行使して、日豪の二国を属国にしようとしている現実を直視しなければなりません。私たちは、アメリカの庇護に永遠に依存することはできません。日本が法の支配を維持し、来るべき中国との軍事衝突に備えることが非常に重要です」
 「クアッドのメンバーはこの地域を守る準備をしなければなりませんが、アメリカの深刻な内部分裂のために、オーストラリアと日本はクアッドでもっとも大きな役割を果たさなければならないという厳しい現実があります」
 「日本は憲法を改正し、尖閣諸島だけでなく台湾を守るために海上で戦う準備をしなければなりません」
 「台湾が降伏すれば、世界は大惨事に陥り、日本は主権を失うことになるでしょう」
 「日本だけが世界を救うことができるのです」と。
 国際関係アナリストの北野幸伯氏は、氏の発行するメール・マガジン「ロシア政治経済ジャーナル」に、本書について、次のように書いている。

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(略)『世界の未来は日本にかかっている~中国の侵略を阻止せよ!』には、「米中覇権戦争で中国が勝利したらどうなる?」というシミュレーションが書かれています。
 要点だけピックアップしてみましょう。
 まず、「中国勝利」までのプロセスは?

・中国が台湾を侵略し、戦争がはじまる。
・中国は、アメリカ、日本、オーストラリアに、大々的なサイバー攻撃を仕掛ける。
・中国は佐世保とグアムにミサイルの飽和攻撃を実施し、米軍の佐世保海軍基地とグアムの空軍基地を破壊する。
・この時日本人5000人と、米軍人300人が亡くなる。
・習近平は、横須賀に核攻撃すると脅迫しつつ、同時に停戦をオファーする。
・中国の要求は、「台湾の占領を邪魔しない見返りに、日本、アメリカへの攻撃を停止する」こと。
・アメリカ大統領は、これに同意する。
・停戦合意が成立し、人民解放軍は、台湾を占領。
・台湾は、消滅する。

 これで、中国は、いったん勝利しました。
 しかし、つづきがあります。

・中国からのサイバー攻撃で、日本、アメリカの経済はボロボロになり、大量の失業者が出る。
・中国は、日本に「21か条の要求」を突きつける。
・日本が要求に同意しない場合、中国は、「中東、欧州、オーストラリアから石油、ガス、穀物が入らないようにする」と脅迫する。
・中国は、アメリカ、インド、オーストラリアとの同盟関係「クアッド」を終わらせるよう要求。
・日米安保は解消され、米軍はすべて日本から撤退する。
・日本は「尖閣は中国領」と認める(認めさせられる)。
・沖縄県は中国によって独立を強制され、「琉球王国」が復活する。
(もちろん、実態は、中国の属国。)
・その際、自衛隊は、沖縄から完全撤退する。
・中国企業が続々と東証に上場。中国政府は、日本の機関投資家に、中国企業株購入を強制する。
・日本の外貨準備の3分の1は人民元になる。
・日本の米国債購入は、禁止される。
・中国企業は、日本の機関投資家から調達した莫大な資金を使い、日本企業を激安価格で買いあさる。
・中国は、「中国、日本、韓国」からなる「東アジア自由同盟」をつくり、事実上、日韓経済を支配する。
・これに反対するテレビ局、新聞、雑誌は、報道、出版を禁止される。
(つまり中国本土がそうであるように、言論の自由は消え
る。)
・日本の義務教育は、すべて中国語によって行われるようになる。

 ここまでは、オーストラリアの元副外相アンドリュー・トムソンさんの本に書かれていることです。
 私が少し補足しておきましょう。

・中国は、ウイグル人100万人を強制収容している。同じように、「反中的言動」をしてきた日本人を大量に強制収容所に送る。
・中国は、ウイグル女性に不妊手術を強制し、民族絶滅政策を実施している。
同じように、日本の女性は不妊手術を強制され、日本人は絶滅に向かう。
@必読参照↓
https://www.newsweekjapan.jp/.../2020/07/post-93907.php
・中国は、共産主義、無神論ベースの国である。それで、神道、仏教、キリスト教は、事実上禁止される。神社、寺院、教会は、ことごとく破壊される。ひきつづき何かの信仰をもつ人は、イスラム教を信じるウイグル人、チベット仏教を信じるチベット人同様、殺されたり、強制収容所送りにされる。
・チベット仏教のトップ・ダライラマは、亡命を余儀なくされた。
同じように神道のトップである天皇陛下は、イギリスへの亡命を余儀なくされる。
・中国は、チベット仏教ナンバー2のパンチェンラマを拘束し、自分たちで勝手に別のパンチェンラマを選んでしまった。同じように、日本にも「中国共産党が選んだ天皇陛下」が誕生する。
 
 私が書いたことは、すべて中国が、中国、チベット、ウイグルでした事実を基に予想しています。だから、「バリバリあり得ること」なのです。こんな「ディストピア」に住みたくなければ、私たちは決心しなければなりません。(略)
―――――――

●結びに~日本を守るために団結しよう

 共産中国は、凄まじい勢いで軍拡を続けている。世界最強の軍隊を作り、2049年の中華人民共和国創設100周年までに世界覇権を握ろうとしている。世界的な覇権の確立という戦略的な目標を持って、ここ数年内にも台湾、尖閣諸島の略取、西太平洋の制海権の獲得を狙っている。
 わが国は、共産中国の軍拡の過程と現状を踏まえ、日米の連携を軸とした国際協力を組織し、対中防衛体制の強化を急がねばならない。とりわけ尖閣諸島を守ることは沖縄を守ることであり、沖縄を守ることは日本を守ることである。日本を守るための努力が、インド太平洋地域の平和と安定に寄与する道でもある。
 今こそ日本人は団結し、最善を尽くさなければならない。そのために最も必要なこと、それは日本人が自己本来の精神、日本精神を取り戻すことである。日本精神の復興なくして、日本は自らの運命を切り開くことは出来ない。

 次回から付録資料を掲示。

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 『人類を導く日本精神~新しい文明への飛躍』(星雲社)
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 『超宗教の時代の宗教概論』(星雲社)
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仏教145~西欧では「虚無の信仰」と恐れられる

2021-04-29 08:42:17 | 心と宗教
●仏教は「虚無の信仰」と恐れられる

 仏教を知った西欧知識人の多くは、これを恐れた。そのことを明らかにしたのが、フランスの哲学者ロジェ=ポル・ドロワである。
 ドロワの著書『虚無の信仰―西欧はなぜ仏教を怖れたか』によると、19世紀の西欧の知識人は、仏教は霊魂の消滅を願うものであり、「虚無の信仰」だとして非難した。虚無の信仰とされた理由は、仏教が目標とする涅槃(ニルヴァーナ)の意味するものが、西洋人には理解できなかったからである。そして、彼らは、やがて西欧全体がこの不気味な宗教に呑み込まれて、底知れぬ暗黒の中に引きずり込まれるのではないかと恐れた。
 ドロワは、「本書は近代ヨーロッパ史の一時期を扱っている。それは、西洋の学者たちが仏教の教義を学術的なレベルで発見した時期である。本書で特に考察の対象としたのは、この発見が生みだした空想の産物である。東洋学の専門家の研究成果をもとにして、ドイツ、フランスの哲学者は、架空の、ニヒリズムの仏教なるものをつくりあげた。そこに、『虚無の信仰』が出現したのである」と書いている。
 西欧では、19世紀のはじめからインド学・仏教学が大きく発展し、仏教に関する正しい知識がヨーロッパに伝えられつつあった。だが、西欧の思想家たちは、専門家による学術的な成果を無視し、かえって仏教に対する恐怖は増大した。
 ドロワは、仏教を虚無の信仰としてとらえた知識人として、フランスのクーザン、ルヌヴィエ、テーヌ、ルナン等の思想家だけでなく、ドイツのヘーゲル、ショーペンハウアー、ニーチェ等の思想家を挙げている。
 最初に仏教を「虚無の信仰」と決めつけたのは、ヘーゲルで、1820年代だとされる。ヘーゲルは、キリスト教プロテスタンティズムに基づく体系哲学を構築した。彼は、哲学的観点から、仏教はひたすら自己の魂の消滅をめざす「虚無の信仰」だと決めつけた。1820年代末のことである。ドロワは、ショーペンハウアーとニーチェも仏教を「虚無の信仰」ととらえたという。私はこの点に関しては異論がある。彼らについては、後の項目に書く。
 ドロワは、フランスの思想家たちが、仏教の涅槃を aneantissement(アネアンティスマン)という言葉で理解したことが重要だったことを指摘している。この言葉の動詞は aneantir(アネアンティール)で「何かをなくすこと」「何かを消滅させること」を意味する。aneantissementが仏教の教義に使われたとき、涅槃は「魂の消滅」を意味すると理解された。「魂の消滅」という言葉によって、仏教に「自我の破壊」「意識の消失」「思考の停止」という特徴が付けられ、誤解が拡大した。
 ドロワによると、仏教にこれらの特徴が付与されたのは、1844年に東洋学者のウジェーヌ・ビュルヌフが『インド仏教史序説』を発表してからである。ビュルヌフは、本書で仏教の修行について、「涅槃(ニルヴァーナ)、すなわち完全なる魂の消滅(アネアンティスマン)の状態に入り、身体と魂の決定的な破壊が行われた」と書いた。ローマ・カトリック教会の説教師や宣教師は、この見解を拡張解釈し、「あらゆる属性、あらゆる行為、あらゆる懈怠が次々に破壊された後には、もはや空虚な空間のなかにただひとつの休息(涅槃)しか残っていない」と断定した。彼らにとって、涅槃は虚無そのものであり、サタンの行為そのものだった。
 キリスト教徒にとっては「魂の消滅」は、恐るべきことだった。魂が消滅するならば、キリスト教の神の救済を得られなくなるからである。それゆえ、仏教は、神によって救われるべき魂を消滅させる教えであると誤解し、仏教に恐怖を感じ、悪の宗教だという極端な攻撃までが現れたのだろう。
 ドロワは、こうした事態をある文化が異なる文化と出会った時に起こる事態だと見ている。人間は、自らの価値を根本から否定する他者を恐れる。自らの文化に異なる文化が侵入し、自らの文化を根底から覆してしまうのではないかと恐怖する。西欧人が仏教を「虚無の信仰」として恐れたのは、そうした反応だったことをドロワは、指摘している。
 19世紀の西欧で仏教が恐れられたのは、科学の発達によってキリスト教の権威が揺らぎ、キリスト教の信仰への疑問を持つ者が現れ出した時期だったことが関係しているだろう。次に述べるショーペンハウアーとニーチェは、この時代において、仏教をドロワのいう「虚無の信仰」としてではなく、独自の解釈で理解して自らの思想を展開した哲学者である。

 次回に続く。

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対中防衛論8~超限戦による習近平・中華共産主義の野望を破れ

2021-04-27 10:16:51 | 国際関係
●超限戦による習近平・中華共産主義の野望を破れ

 共産中国の軍事思想は、20世紀末に大きく変化した。従来の戦争の限界を超えた「超限戦」という考え方を取るようになった。
 元陸上自衛隊東部方面総監の渡部悦和氏は、「中国が仕かける超限戦の実態と人民解放軍改革」と題した論文に、次のように書いている。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/45997
 「超限戦は、中国人民解放軍の大佐2人(喬良と王湘穂)が1999年に発表し、発表された当初から世界的に大きな反響を呼んだが、現在の中国やロシアの動向を観察すると、両国は超限戦を実践していると言える。
 超限戦は、湾岸戦争(1990年~1991年)などにおける米軍の戦略、作戦、戦術を研究して導き出された戦略であり、中国の孫子の兵法をも融合したものである。
 超限戦は、文字通りに『限界を超えた戦争』であり、あらゆる制約や境界(作戦空間、軍事と非軍事、正規と非正規、国際法、倫理など)を超越し、あらゆる手段を駆使する『制約のない戦争(Unrestricted Warfare)』である。
 正規軍同士の戦いである通常戦のみならず、非軍事組織を使った非正規戦、外交戦、国家テロ戦、金融戦、サイバー戦、三戦(広報戦、心理戦、法律戦)などを駆使し、目的を達成しようとする戦略である。
 倫理や法の支配さえも無視をする極めて厄介な戦争観である。
 中国は、現在この瞬間、超限戦を遂行している。例えば、平時からサイバー戦を多用し情報窃取などを行っているし、三戦(広報戦、心理戦、法律戦)を多用し、東シナ海や南シナ海で『準軍事手段を活用した戦争に至らない作戦』(POSOW:Paramilitary Operation Short of War)を多用している。
 POSOWの典型例は、南シナ海で領土問題を抱える諸国に対して、海軍の艦船を直接使用することなく、漁船、武装民兵、海警局の監視船などの準軍事的な手段を駆使し、中国の主張を強制している。『戦わずして勝つ』伝統を持つ中国は、軍事力の行使をしなくても様々な手段を駆使した戦いを実践しているのである」
 渡部氏が「あらゆる制約や境界を超越し、あらゆる手段を駆使する『制約のない戦争』」であり、「倫理や法の支配さえも無視をする極めて厄介な戦争観」と書いていることは、一言で言えば「目的のためには手段を選ばない」ということである。そして、この「目的のためには手段を選ばない」という思想こそ、共産主義の革命運動の特徴である。革命は正義であり、正義の実現のためには、どのようなことも許されるということある。私は、このような見方から、超限戦は、共産主義国家・中国でこそ生み出された考え方だと思う。
 中国共産党の軍隊である人民解放軍が行う戦争は、単に領土を拡大するための戦争ではない。社会主義を世界に広めるための戦争であり、革命戦争と見るべきである。そこには、資本主義から社会主義への移行は、歴史的な必然だとするマルクス=エンゲルスの歴史観がある。レーニンは、彼らの唯物史観に立って、ロシア革命を指導した。ドストエフスキーは「もし神が存在しないとすれば、人間にはすべてが許される」と苦悩したが、神も霊も信じない共産主義者、神の罰も霊の祟りも恐れない唯物論者は、革命を実現するために、いかなる非道悪行をも正当化する。謀略と粛清がロシアの大地を赤く染めた。ソ連は、革命の根拠地国家であり、コミンテルンは革命を世界に広めるための国際的な工作機関として活動した。中国共産党は、こうした世界革命戦略のもとに、コミンテルンの中国支部として1921年に設立された。今年がその結党100周年の年である。
 ソ連の崩壊後、唯物史観や革命戦争という考え方は、歴史の彼方に消え去ったと思っている人が多い。だが、中国において共産主義を信奉する者たちは、いかに経済が発展し、資本主義社会以上に資本主義的な経済社会となっても、こうした歴史観・戦争観を持ち続けているに違いない。そして、こうした思想を固く信じている指導者が、習近平なのである。
 トランプ政権の安全保障担当の大統領補佐官を務めたマット・ポッティンジャーによると、習近平は2013年(平成25年)に共産党の中央委員会のメンバーに向けて行った演説で、次のように語ったとのことである。
 「共産主義は幻想に過ぎないと考える人がいる。だが、資本主義社会の基本的な矛盾についてのマルクスとエンゲルスの分析は時代遅れにはなっていない。資本主義は必ず滅び、社会主義が必ず勝利を収めることは必然的な流れである。この道は曲がりくねっているが、それでも最終的に資本主義の滅亡と社会主義の勝利に至るだろう」
 この発言から、習近平は、マルクス=エンゲルスの唯物史観に基づいて、資本主義から社会主義への移行を歴史的な必然と考えていることが分かる。そして、彼は、その必然性を現実化するための戦略を立てて計画的に行動しているのである。
 われわれは、この点をよく認識することが必要である。そして、習近平においては、社会主義の実現を歴史的必然と信じる思想と、それを世界的に実現するのは中華民族であり、中国共産党の最高指導者である自分だという思い込みが合体しているところに、強い信念が生じているのである。
 マルクス主義は本来、民族を超えた階級闘争の思想だが、旧ソ連でレーニン、スターリンが共産党官僚による統制主義の理論に変え、中国で毛沢東がこれに中華思想を注入し、さらに習近平が漢族のナショナリズムを付加した。習近平は愚鈍に見えるが、彼の個人的な権力欲と民族的な復讐心が燃えたぎる中華共産主義を侮ってはならない。
 中華共産主義は、古代的な華夷秩序の思想と共産主義の独裁体制が合体したものである。中国共産党は、まずシナ大陸でチベット、ウイグル、モンゴル等の少数民族への支配を進めて来た。新彊ウイグル地区で、ウイグル人への激しい迫害が行われている。米欧諸国は、その迫害をジェノサイド(民族絶滅)として非難している。習近平は、人口の1割に上る約100万人を強制収容所に収容し、漢族に同化させるための教育をし、女性に不妊手術を強制し、性的暴行を繰り返すなど、民族を消滅させる政策を行っている。文化大革命や法輪功弾圧で伝えられて来た凄惨な虐待を思い起こさせる。唯物論的共産主義を教育された者には、権力に従うことの他に道徳も良心もない。悪逆非道をやめさせるには、それを命令し許容している共産党を除く以外に、方法はない。もし国際社会がそれに失敗したら、現在ウイグル人に対して行われていることが、世界各地で行われるようになる。なかでも日本人は、最も激しい虐待を受けることになるだろう。共産党によって、中国の国民は反日的な感情を徹底的に植え付けられているからである。日本人が自らの運命をかけてこの危機を乗り越えるには、中国共産党の思想・戦略・計画をしっかり理解して対応しなければならない。
 2020年(令和2年)10月、共産中国で注目すべき図書が発行された。中国国防大学教授の劉明福の著書『新時代の中国の強軍夢』である。習近平体制下での「強軍夢」の位置づけ、意義、その狙いと戦略思想、実現に至る時間表などを論述したものであり、元陸将補で軍事研究家の矢野義昭氏が内容を紹介し、分析を行なっている。
 矢野氏の論文は、「中国の国防大教授が明かす台湾統一への戦略と日程表 中国共産党が夢想する世界制覇は実現するのか」と題され、JBPress 2020.12.21付に掲載された。矢野氏がこの論文の結論部に書いていることは、極めて重要である。
 「中国共産党の独裁体制が維持される限り、『2049年には世界最強の軍隊を建設する』との習近平氏が掲げた『強軍夢』に向けて、中国共産党は長期一貫した国家資源の投資を継続するとみるべきである。
 今後も中国の軍事的な脅威は持続し、我々がそれに対抗して軍事的抑止能力と対処力を向上させなければ、力の均衡が破れ、紛争が生起する恐れが高まる。
 また戦ったとしても敗北し、あるいは戦わずして政治的に屈し、中国の最終目標達成前に日本も台湾も各個に撃破されていく恐れもある。
 これからの10年から30年は、世界制覇の野望を露わにして邁進する中国共産党の軍事的脅威を抑止し制圧するための苦しい戦いが続くであろう。
 しかし、勝ち目がないわけではない。中国共産党の脅威に直面している世界の多くの国々、とりわけ米国はじめ、台湾、インド、豪州、東南アジアなどの諸国と連携しつつ、日本自身が自立防衛態勢を高めるならば、十分に勝算はある。
 日本は、中国との対峙態勢における前線国家の立場にある。
 日本はまた、今世紀半ばになり人口が1億人に減少しても、依然として世界的な経済・科学技術大国の地位を維持し、インド太平洋での米国の最も重要な同盟国であり続けるとみられている。
 日本が、インド太平洋地域の安定と繁栄に果たす役割は極めて重要であり、日本の去就が、インド太平洋戦略の成否を決すると言っても過言ではない。
 日本の責任は今後とも極めて重大であり、その期待と責任に応え得る自立防衛態勢を確立することは、現在の日本にとり最大の課題と言えよう。
 防衛力の増勢には少なくとも十年を要する。残された時間は多くない」と。
 私は、劉明福著『新時代の中国の強軍夢』と本書に関する矢野氏の論文を非常に重要なものと考えている。そこで、拙稿に付録資料として付加し、同憂の方々の参考に供したい。

 次回に続く。

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 『人類を導く日本精神~新しい文明への飛躍』(星雲社)
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仏教144~仏教と西洋文明の関わり

2021-04-26 08:37:41 | 心と宗教
●仏教と西洋文明の関わり

 紀元前4世紀、マケドニアの王アレクサンドロスはギリシャ地方を征服した後、東方遠征を行った。ペルシャ帝国を滅ぼし、インダス川流域にまで進出して大帝国をつくった。ここでギリシャ人は仏教と出会った。また、2世紀前半、インドのクシャーナ朝では、陸路でローマ帝国との交易が盛んに行われた。インド文明では、ヘレニズムの影響によって、ガンダーラ王国で仏像彫刻が造られた。だが、古代ギリシャ=ローマ文明では、仏教がギリシャ人、ローマ人に影響を与えることは、ほとんどなかった。
 ローマ帝国の滅亡後、地中海からアルプス以北の地域でヨーロッパ文明が発達した。14世紀、ヴェネチア商人のマルコ・ポーロは、アジア諸国を旅して、『東方見聞録』を書いた。モンゴル帝国時代のシナで、甘粛省の大仏寺を訪れ、釈迦の涅槃像を見たという。
 15世紀末、ヴァスコ・ダ・ガマがインド航路を開き、16世紀半ばからイエズス会がインド各地でキリスト教の宣教をした。17世紀からイギリス、オランダ、フランスがインドに進出した。サンスクリット語に精通したイエズス会の宣教師が現れ、ヒンドゥー教や仏教がヨーロッパに伝えられたが、キリスト教関係者以外の知識人に知られることはなかった。
 変化が現れたのは、18世紀の後半だった。1757年のプラッシーの戦いでフランスを破ったイギリスは、以後、インドの諸国を次々に征服し、植民地化を進めていった。インドに裁判官として赴任していた言語学者・東洋学者のウィリアム・ジョーンズは、1786年に驚くべき発見をした。サンスクリット語とギリシャ語・ラテン語等の欧州系諸言語、古代ペルシャ語の語彙と文法に類似点があることを発見したのである。そして、これらの諸言語は共通の祖語から分岐したという説を発表した。
 フランスやイギリスから植民地の統治のため、官僚や研究者等がインドに行き、現地の宗教や文化を調査・研究した。それによって、インド学が興隆した。インド学とは、インド文明の古典であるヴェーダや叙事詩、仏教やジャイナ教の文献等を対象として、それらが記された言語や思想を研究しようとするものである。
 フランスの東洋学者アンクティル・デュペロンは、志願兵としてインドに渡り、1771年にゾロアスター教の聖典アヴェスターのフランス語訳を行った。1804年にはウパニシャッドのペルシャ語訳である『ウプネカット』のラテン語訳を成し遂げた。サンスクリット語ができなかったので、ラテン語に重訳したのである。ウパニシャッドの翻訳は、ヨーロッパ人にインド思想の独創性と深遠さを知らしめることになった。
 ドイツでサンスクリット語に関心を向けた者の一人が、兄アウグストともにドイツ・ロマン主義文学運動の中心となっていたフリードリッヒ・シュレーゲルだった。ロマン主義は、17世紀以来の古典主義・合理主義に反抗し、感情・個性・自由等を尊重して、自然との一体感、神秘的な体験や無限なものへの憧れを表現した。フリードリッヒは、ノヴァーリスらとの前期ロマン派の解散後、サンスクリット語の研究を行ない、1808年に比較言語学的な論文『インド人の言語と知恵』を発表した。アウグストも東洋語の研究に進んだ。彼ら以後も言語学者たちの研究が続けられ、19世紀後半には、インド・ヨーロッパ語族という一大語族の存在が証明された。
 1814年に、フランスのコレージュ・ド・フランスにサンスクリット語の講座が開設され、以後ヨーロッパ各地の大学に同語の語講座が開設されて研究が進められた。特にイギリスとドイツで、インドへの関心が高かまった。イギリスはインドを植民地化して統治していたから当然だが、後進国のドイツは国民形成のため民族のアイデンティティのルーツを求める志向が強かったことによる。
 Buddhism(仏教)という言葉がはじめて現れたのはフランス語で、1817年にミシェル=ジャン・オズレーが使ったのが最初とされる。それまでは、「仏教」というまとまった形でのとらえ方ができていなかった。「仏教」という概念が成立したことにより、インド学の一部として仏教学が成立した。ヨーロッパ人は、サンスクリット語やパーリ語を習得し、近代西洋文明が培ってきた実証的・客観的な方法による文献研究を行った。それによって、近代仏教学が成立した。
 現存のサンスクリット語の仏教聖典のほとんどは、ネパール仏教において継承されてきたものである。例外は、中央アジアやチベットなどで発見されたわずかな遺稿にとどまる。チベットでは聖典がサンスクリット語からチベット語に翻訳されたが、ネパールでは翻訳されずにそのまま文献が継承されてきた。イギリスの外交官ブライアン・ホートン・ホジソンは、1820年からネパールでサンスクリット語の仏教聖典を多数収集し、本国に送った。また、チベット語に訳された大蔵経等も収集した。
 欧米では、こうした豊富な文献・資料をもとに研究が進められた。近代西欧の実証的・客観的な研究の方法論は、明治時代にヨーロッパに留学した南条文雄、高楠順次郎等によって、日本にもたらされた。また、日本の研究者が欧米のインド学者・仏教学者に対して、日本で千年以上の年月の間に蓄積されてきた学識を伝えるという交流が開かれた。
 欧米のインド学・仏教学の発達によって、仏教は哲学者や社会学者、精神医学者、神秘思想家等の関心を引くことになった。

 次回に続く。

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