ほそかわ・かずひこの BLOG

<オピニオン・サイト>を主催している、細川一彦です。
この日本をどのように立て直すか、ともに考えて参りましょう。

ユダヤ31~宗教改革とユダヤ人

2017-03-31 10:10:39 | ユダヤ的価値観
●西方キリスト教の宗教改革とユダヤ人

 ヨーロッパ文明の近代化は、ルネサンスに始まり、宗教改革から市民革命の時代に進展した。ユダヤ人はその時代に差別と迫害を受けながらも、経済的能力を発揮することによって、社会的な地位を徐々に高めていった。
 この時代に、まずユダヤ人の運命を大きく左右したのは、1517年にマルティン・ルターが始めた宗教改革だった。ルターは、カトリック教会の腐敗・堕落を批判する一方で、ユダヤ人について、「彼らの財産を没収し、この有害で毒気のある蛆虫どもを強制労働に駆り出し、額に汗して自分の食べるパンを稼ぎ出させるべきだ。そして最終的には永遠に追放すべきだ」と説いた。ユダヤ教からキリスト教に摂取された排除の論理が、ユダヤ人に向けられたのである。
 ルターは過激な言葉でユダヤ人を非難し、新約聖書のなかに存在する善と悪、キリストと反キリストの対立において、ユダヤ人は悪と反キリストの側に立つ者であり、抹殺されて然るべきと決めつけた。ルターは、キリスト教徒にユダヤ人に対する憎しみを植え付けるとともに、ドイツ各地からユダヤ人を排除することを支持した。ルターの影響は大きく、宗教改革はキリスト教聖職者の反ユダヤ教的な態度を一層強化する結果となった。
 プロテスタンティズムの中には、反ユダヤ主義的なルター派と、親ユダヤ主義的なカルヴァン派がある。ルターと違って、カルヴァンはユダヤ人に対して好意的だった。その理由の一つは、カルヴァンが利子を取って金を貸すことに賛成だったことである。彼は著書の中でユダヤ人の主張を客観的に伝えようとした。そのため、ルター派からは、彼がユダヤ教化しているという批判を受けた。この批判は当たっている。カルヴァン派は信仰の合理化、金銭利欲の肯定、現世志向を主な特徴とし、ユダヤ教と共通する特徴を持つ。カルヴァン派のプロテスタンティズム諸派は、キリスト教の再ユダヤ教化を進めるものとなった。
 ルターとは別に、16世紀以降、カトリック教会の側でも、ユダヤ人への差別が強化された。プロテスタンティズムに対抗する反宗教改革のために1541年に創設されたイエズス会は、ユダヤ人に改宗を強力に迫る運動を繰り広げた。こうした動きは、反宗教改革の開始以前から現れていた。ユダヤ人を隔離する地域をゲットーというが、最初のゲットーは1516年にヴェネチアに作られている。ゲットーはヴェネチア方言で鋳造所を意味する。ユダヤ人居住区がたまたま鋳造所のあるところだったことによる。ゲットーが作られたのは、修道士の説教に煽られて、ユダヤ人排斥が高まったためである。ユダヤ人隔離居住区の目的は、キリスト教住民との交流を遮断することだった。制度を運営したのは、地元ユダヤ人への支配権を持つ都市当局だった。
 1555年には、教皇パウロ4世がローマとイタリア国内の教皇領のユダヤ人をゲットー内に隔離することを命じた。この命令は、ユダヤ人に大きな打撃を与えた。ゲットーからの解放は、「自由・平等・友愛」を掲げたフランス革命の後、ナポレオンが率いる軍隊がイタリアに侵攻する時を待たねばならなかった。
 ユダヤ人は15世紀末にスペイン・ポルトガルから追放されたが、その一部はヴェネチアやジェノヴァへ移って貿易を営んでいた。彼らの多くは、イタリアに移住してからキリスト教から再びユダヤ教に戻った。反宗教改革の活動によって、異端審問所の監視の目は、そうしたユダヤ人に向けられた。イタリアはもはや安住の地ではなくなり、オスマン帝国を目指すものが多数現れた。
 宗教改革と反宗教改革の嵐の中で、ユダヤ人は両方から差別・迫害を受けた。ただし、長い目で見ると、プロテスタンティズムの出現によって、ユダヤ人は多大な恩恵を受けることになった。カトリック教会の教権支配が崩れ、西方キリスト教圏は一枚岩ではなくなり、思想・信条の自由が実現されたからである。

 次回に続く。
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森友学園問題~籠池証言のウソを暴き、辻元議員を追及すべし3

2017-03-30 09:27:05 | 時事
(2)政治家の口利きはあったのか

 籠池泰典氏は、政治家の口利きに関して、証人喚問の2週間前には、記者会見で政治家への口利き依頼をただされ、「ないですよ。何回も言っているじゃないですか。無い、ないですよ」と答えた。いらだちもあらわに否定していた。
 ところが、籠池氏は、証人喚問で、小学校設置認可や国有地取得に関して協力を求めた先として、自民や維新の国会議員の実名を列挙した。大阪府の松井一郎知事周辺の接点も利用したと述べ、「政治的な関与はあったのだろう」と推測を述べた。2週間前とは真逆である。だが、その「関与」についてのやりとりがどうだったか、何も具体性がない。
 このように自分の発言を180度変えるような人間が、昭恵夫人の関わりを主張している。そして(1)に書いたような事態を生んでいる。籠池氏の言動は、私利私欲のために、国会をかく乱し、人心を惑わす悪質な行為である。

(3)3通の契約書があるのはなぜか

 小学校建設にあたり、籠池氏は国土交通省や大阪府などに建築費が異なる工事請負契約書を提出していた。大阪府は、私文書偽造罪、公務執行妨害罪等で刑事告訴する準備をしている。
 衆院証人喚問のでは、宣誓の後、籠池氏は、金額が異なる3種類の工事契約書の存在について「反省」の言葉を口にはした。
 公明党の富田茂之衆院議員は、なぜ3つの工事契約書が存在するのかを追及した。籠池氏と小学校建設業者が、正規の契約書のほか、工事金額を過少に記載した契約書も作るとした「覚書」を交わしていたことについても問い質した。だが、籠池氏は「刑事訴追の恐れがあるので答弁は控える」と証言を拒否した。
 国土交通省に補助金を申請する際に提出した契約書については、「手続きは設計事務所が行っていた」と、籠池氏は設計事務所に責任を転嫁した。本件は、補助金適正化法違反の疑いがある。補助金の詐取は、国民の税金を詐取する行為である。税金泥棒である。
 証人喚問での本人の証言は、明らかに違法行為だったことを意識した発言である。司直の手で疑義を徹底的に解明すべきである。

(4)安倍首相側から100万円の寄付はあったのか

 籠池氏は、証人喚問で、安倍首相から昭恵夫人を通じて寄付金100万円を受け取ったと重ねて主張した。昭恵夫人が27年9月5日に講演に訪れた際、「私と2人きりの状態で『安倍晋三からです』と封筒に入った100万円をくださった」「金庫の中に入れ、その後郵便局に行った」などと述べた。同行した「秘書」がいたが、夫人が直前に「お人払い」をし、園長室で2人きりだったと言う。
 自民党の西田昌司参院議員は質疑で、昭恵夫人には同行者が2人おり、籠池氏と2人だけになる機会はなかったと指摘した。昭恵夫人からの聞き取りに基づく発言である。籠池氏は「事実は小説より奇なりであります」と言って、自分の主張を強調した。この文脈で使うには、非常に不自然な表現である。他の関係者の証言などとの食い違いを何度も指摘されると、籠池氏は「的外れだ」「失礼ではないか」と声を荒らげた。
 籠池氏の証言には、決定的な証拠はない。袋入りの寄付金を受けたと言うなら、その袋を提示すべきである。籠池氏は、夫人から渡された袋を、上から見て金子(きんす)だと分かったと言う。だが、寄付金であれば、銀行から引き出したまま、銀行の袋で渡すのは失礼になる。普通、寄付金なら、のしをつけて渡す。安倍首相または昭恵夫人の自筆の署名(金額入り)がある袋が提示されなければ、証言は裏付けを欠く。
 郵便局の振替用紙に「安倍晋三」→「匿名」→「森友学園」と書いたことと合わせ、籠池氏の証言は極めて疑わしい。
 籠池氏は、講演を終えた昭恵夫人に「10万円入ったお菓子の袋に『感謝』という銘を入れ、お持ち帰りいただいた」とも証言した。また、寄付金を受け取った後、夫人から「匿名で願いたい」という電話が来たという。通話内容の録音が存在しないなら、これも裏付けがない。電話があったということだけなら、電話会社の通話記録を出せば、通話の日時と通話時間は示すことができるだろうが、それも提示していない。
 23日証人喚問後、籠池氏は、日本外国特派員協会で記者会見を行った際、100万円の寄付を巡り、首相側の説明と食い違っている点について、「(真相は)神のみぞ知る」と強調した。この表現も非常に不自然である。事実を言っているのであれば、自分と昭恵夫人は知っていると主張すべきところである。「神のみぞ知る」という言い方は、おかしい。
 籠池氏は、昭恵夫人からは、最近になって「口止めとも受け取れるメールが届いた」とも述べた。24日の参院予算委員会で、首相に質問した自民党の西田昌司氏は、昭恵夫人と籠池氏の妻・諄子氏との間で行われたメールのやり取りを公開した。これを受け、首相は「100万円のやり取りもない。籠池氏の夫人に確かめたが、払ったという話は一切ない。メールを見ていただければよく分かる」と訴えた。
 籠池氏が、昭恵夫人から「100万円の寄付」を受けたと主張した点について、首相は、「密室のやりとりなど反証できない事柄を並べ立て、事実と反することが述べられたことは誠に遺憾だ」と語った。籠池氏が証人喚問で昭恵夫人から「口止めともとれるメールが届いた」と指摘した部分は、昭恵夫人が2月25日に「私もよくわかりませんが、色々気を付けなくてはいけないことがあります。私が関わったということは、裏で何かがあるのではと疑われないように、細心の注意を払わなくてはならないということだったのでしょう。(略)」と送ったメールとみられる。首相は、この点に関する籠池氏の証言に対して、「極めて遺憾で、悪意に満ちたものだ」と批判した。
 現在のところ、(4)安倍首相側から100万円の寄付はあったのか、については、真相は明らかになっていない。籠池氏の主張に対し、密室のやり取りはなかったと証明することは難しい。「ない」ことを証明するのは、「悪魔の証明」といわれるほど困難である。籠池氏によって国民に植え付けられた疑惑をぬぐうことは、首相にとって大きな課題となっている。一般社会であれば、こうした議論に関しては、どちらの人格を信用するかで、人は判断する。だが、野党4党は、安倍首相を引き摺り下ろすことが目的ゆえ、「悪魔の証明」を首相に迫ることで、国民の疑惑を刺激し続けようとするだろう。
 疑惑を晴らすには、確かな証拠しかない。ここで重要なのが、籠池氏が郵便局の振替用紙について、偽証をした可能性が高いことである。
 証人喚問では、100万円を郵便局で振り込みした際、受領票に学園職員がまず「安倍晋三」と書き、それではだめだと郵便局員に指摘され「匿名」と書き、それもだめで「森友学園」と書き直したと籠池氏は述べた。その過程で、郵便局にいる職員から学園にいる副園長(籠池氏妻)に電話をかけた、とも述べた。
 だが、3月27日のフジテレビの番組「グッディ」は、「新疑惑 籠池氏100万円振込用紙で偽証? 独自に筆跡鑑定」のタイトルで、籠池氏の偽証の可能性を報じた。同局は受領票の筆跡鑑定を日本筆跡鑑定人協会会長の根本みきこ氏に依頼。鑑定結果は、受領票に書かれている字である「大」は、90%の確率で籠池夫人の筆跡と一致。「安倍晋三」は、籠池夫人の筆跡と似ている。「匿名」は、90%の確率で籠池夫人の筆跡と一致。「森友学園」は、籠池夫人の筆跡ではない、とのこと。この鑑定でわかったことが事実であれば、籠池氏の証人喚問での発言は、偽証ということになる。
 自民党も独自に筆跡鑑定を行った。その結果を踏まえ、28日記者会見を開き、籠池氏を議院証言法に基づく偽証罪で告発する考えを発表した。筆跡鑑定の結果、書いたのは職員ではなく籠池夫人の可能性が高いとのこと。フジテレビの鑑定人も同じ結果だから、間違いないだろう。初期のテレビ報道では「夫人が入金」と伝えていた。それが学園側弁護士の説明で「職員」と変わった。告発には、予算委員会委員の3分の2以上の賛成が必要だが、自公の委員の賛成で確実である。国政調査権を発動して、きっちり、やってほしい。

 次回に続く。
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ユダヤ30~資本主義化、近代化、西洋化とユダヤ的価値観の浸透

2017-03-29 09:22:46 | ユダヤ的価値観
●資本主義化、近代化、西洋化とユダヤ的価値観の浸透

 ヨーロッパ文明では、世界の諸文明に先がけて近代化が開始された。近代化とは、マックス・ウェーバーによれば、「生活全般における合理化の進展」である。合理化とは、合理性が増大することである。合理性とは、ウェーバーによると、恣意、衝動、呪術、神秘主義、伝統、特殊関係などの「非合理的なもの」による判断や、これにもとづく慣習を排して、効率的で、かつ計算可能なルールや生活慣行を重視する傾向である。したがって、合理化とは、こうした非合理的なものが、生活の全般にわたって、しだいに合理的な思考方法や生活慣行に取って代わられていくことである。そして、一般に理性を重んじ、生活のあらゆる面で合理性を貫こうとする態度を、合理主義という。
 ウェーバーは、合理化こそは「西洋の生活方式の根本性格」であり、「運命」そのものであり、「西洋的なエートス」であるとする。「エートス」とは、「生活態度、生活信条または道徳的性格」を意味する。ウェーバーは、さらに「西欧世界にはじめて出現したこの歴史的趨勢は近代社会の本質を形作るばかりではなく,今や人類全体の共通の運命となる」と言う。合理化こそ、近代以降の地球に広がっている人間の思考・行動の起動力であると、ウェーバーは見たわけである。それゆえ、ウェーバーによれば、近代化とは、合理化の進展なのである。文明学的に言い換えると、近代化とは、ある文明の文化要素の全般にわたって合理化が進むことである。
 世界で初めてヨーロッパで始まった近代化は、文化的・社会的・政治的・経済的の4つの領域で、それぞれ進展した。まず14世紀から16世紀にかけてルネサンスが起こり、文化的領域における近代化の開始となった。私は、ルネサンスがある程度進んだ15世紀から近代化が始まったという見方をしている。ルネサンスに続いて、16世紀には宗教改革、17世紀には科学革命が起こり、文化的近代化が進んだ。さらに、17~18世紀には市民革命、18世紀には産業革命等が起こり、社会的・政治的・経済的な近代化が進行した。この進行とともに、西欧の近代化は、他の文明にも大きな影響を与えるものとなり、人類史における「近代化革命」をもたらした。
 「近代化革命」によって、文化的には宗教・思想・科学等における合理主義の形成、社会的には共同体の解体とそれによる近代的な核家族、機能集団である組織や市場の成立、近代都市の形成、政治的には近代主権国家の成立、近代官僚制と近代民主主義の形成、経済的には近代資本主義・産業主義の形成等が進展した。
 西欧における近代化は、15世紀末からは他文明の支配と、それによる収奪の上に進んだ。17世紀の科学革命による諸発見は、18世紀の産業革命を通じて、資本主義的な産業経営に応用されるようになった。17世紀前半に形成された近代主権国家が、同世紀後半以降の市民革命を経て国民国家となり、資本主義世界経済の担い手となった。資本と国家、富と力の一体化が進み、物質科学とそれに基づく技術が生産、戦争、管理等に活用された。資本と国家と科学という三要素の結合が、近代西洋文明にかつてない強大な力を与えたのである。
 かくして人類史上、最も強力な文明が欧米において確立した。この近代西洋文明が、現代世界を覆うようになっている。
 詳しくは、拙稿「“心の近代化”と新しい精神文化の興隆~ウェーバー・ユング・トランスパーソナルの先へ」に書いた。
http://khosokawa.sakura.ne.jp/opinion09b.htm
 私はこの資本主義化、近代化、西洋化は、同時にユダヤ的な価値観の浸透・普及の過程でもあると考えている。というのは、近代西洋文明の発達とその世界的広がりは、ユダヤ人の存在なくして語ることができないからである。彼らは、西欧において、ユダヤ教のプロテスタンティズムへの浸透を通じて宗教の合理化に影響を与え、また商人・貿易商・銀行家・財務官等の職業を通じて経済の合理化を進めた。また、白人キリスト教徒ともに有色人種を支配・搾取し、北米・中南米・アジア等の各地域に活動を広げて、資本主義を世界に拡大し、それによって近代西洋文明を非西洋文明に広げた。その過程は、ユダヤ的価値観のキリスト教諸文明及び非キリスト教諸文明への浸透・普及の過程だった。
 ユダヤ的価値観とは、物質中心・金銭中心、現世志向、自己中心の考え方であり、対立・闘争の論理、自然を物質化・手段化し、自然の征服・支配を行う思想である。多くの場合、こうした思想は近代西洋の思想と考えられている。確かにこの思想の特徴は近代西洋思想の特徴とほぼ一致する。それは、近代西洋思想がユダヤ=キリスト教の文化を土壌として発達したからである。そして、私は近代西洋思想の核心に、ユダヤ的価値観が存在することを指摘するものである。近代西洋思想には、他にギリシャ=ローマ文明、ゲルマン民族の文化から受け継いだ要素もある。また、キリスト教にはユダヤ教とは異なる思想がある。だが、それらすべての中でユダヤ文化、特にユダヤ的価値観が近代西洋思想に最も決定的な特徴を与えていると考える。
 次に上記の資本主義化、近代化、西洋化の過程を歴史的展開に沿って述べていきたい。

●近代世界システムの形成・発展とユダヤ人の役割

 ユダヤ人が世界人類に多大な影響を与えるようになったのは、近代以降のことである。近代以降の世界を把握しようとする時、私はアメリカの社会学者イマヌエル・ウォーラーステインの「近代世界システム」という概念が有効だと考えている。まずそのことを書く。
 ウォーラーステインは、人類の歴史の最も規定的な単位として、史的システムという概念を用いる。史的システムは、三つに分類される。第一は、規模のきわめて小さいシステムで、「ミニシステム」と呼ぶ。これは経済的、政治的、文化的ともに一元的な史的システムである。第二は、経済的、政治的には一元的だが、文化的には多元的なシステムであり、「世界帝国」(world-empire)と呼ぶ。第三は、経済的にのみ一元的で、政治的、文化的には多元的なシステムであり、これを「世界経済」(world-economy)と呼ぶ。
 ウォーラーステインは、世界帝国と世界経済の二つを併せて、世界システムと呼ぶ。世界システムとは「一つの世界であるようなシステム」である。世界とはいっても、文字通りの地球規模の世界ではなく、それぞれの社会がひとつの世界をなしているような単位を言う。
 世界帝国は、人類史においてさまざまな地域で多数興亡したものである。文化的には多元的な要素を含みながら、強力な政治権力がそれらを統一し、租税の徴収と再配分によって分業体制の根幹を握るシステムである。ところが、15世紀の後半から17世紀の初頭にかけて、新たなシステムが形成された。1450年ごろから1640年ごろ、16世紀を中心としてその前後を合わせた約2百年間である。ウォーラーステインは「長期の16世紀」と呼ぶ。この時代に西欧人は、ヨーロッパと南北アメリカ大陸、アフリカ大陸を結びつける構造を作り出した。その過程でユーラシア大陸の西端に、文化的・政治的に統一されていないにもかかわらず、ひとつの分業体制が成立した。これは世界帝国とは異なるシステムであり、ウォーラーステインは世界経済と呼ぶ。そして、世界経済に立脚した史的システムを「近代世界システム」と称する。私は、この概念を文明学に摂取している。「近代世界システム」の形成は、ヨーロッパ文明の世界的拡大である。
 「近代世界システム」でシステムの統一性を保つ論理は、資本主義である。資本主義は、ヨーロッパ文明で発生・発達した。そしてヨーロッパ文明は、資本主義世界経済として発達しつつ、北米にも広がり、近代西洋文明になった。この過程で他の諸文明つまりアステカ文明、インカ文明、イスラーム文明、インド文明、シナ文明等を包摂していった。
 この間に「近代世界システム」は、中核―半周辺―周辺の三層に構造化された資本主義世界経済として形成された。この三層構造は、中核部が周辺部及び半周辺部から富を収奪し、中核部はより豊かに、周辺部はより貧しくなっていく構造として発展した。アジア・アフリカ・ラテンアメリカは最下層の周辺部となり、東ヨーロッパは半周辺部となった。
 私は、この近代世界システムの形成及び中核部による周辺部及び半周辺部からの収奪は、白人種によってのみ行われたものではなく、ユダヤ人が重要な役割を果たしてきたと考える。ユダヤ人は、中核部において差別・迫害を受けながらも、その一部が社会の上層部に食い込み、支配集団の一角をなして、中核部の発展に寄与した。その寄与は同時に反面においては、周辺部の従属化を実現・強化するものだった。

 次回に続く。
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森友学園問題~籠池証言のウソを暴き、辻元議員を追及すべし2

2017-03-28 11:48:31 | 時事
 証人喚問の直前に書いた拙稿「森友学園問題~何が本当に問題なのか」では、重要なポイントを5点挙げた。

(1)国有地売買の価格は適正だったのか
 ・9億5千万円が1億3千万円に
 ・ごみ処理代の見積もりの仕方と金額の妥当性
(2)政治家の口利きはあったのか
 ・財務省に土地価格を下げさせたか
 ・大阪府に認可を働きかけたか
(3)3通の契約書があるのはなぜか
 ・同一の日付で金額が違う
 ・国と大阪府に違う金額の書類を提出
(4)安倍首相側から100万円の寄付はあったのか
 ・首相本人または夫人、事務所から
(5)首相夫人と籠池夫人のメールは適当か
 ・疑惑が浮上し国会で問題になっている中で何をやり取りしているのか
http://khosokawa.sakura.ne.jp/opinion13z.htm

 証人喚問の結果等をもとに、これら5点と次の3つのポイントを追加して、次に記したい。

(6)<追加1> 昭和天皇の御臨幸はされたのか
(7)<追加2> 安倍晋三氏の氏名を無断使用した寄付金集めはどれくらい続いたのか
(8)<追加3> 民進党・辻元清美議員は潜入工作等を行ったのか

 まず当初の5点について書く。

(1)国有地売買の価格は適正だったのか

 証人喚問での籠池証言は、物的証拠がほとんどなく、非常に信憑性が低く、ウソ、作り話が多いと、感じられるとともに、恨み節に満ちたものだった。
 当初、小学校予定地の鑑定評価額は9億5600万円だったが、新たに地中からごみが発見され、1億3400万円で学園に売却された。約8億円に上る値引きは、政治家が財務省に圧力をかけたためではないかとする臆測が飛んでいる。1億3400万円の売却代金が10年分割払いで売却額も一時非公表とされるなど、財務省によって学園への異例の優遇があったことも判明している。
 証人喚問で籠池氏は、小学校設置認可や国有地取得に関して協力を求めた先として、自民や維新の国会議員の実名を列挙した。大阪府の松井一郎知事周辺の接点も利用したと述べ、「政治的な関与はあったのだろう」と推測を述べた。しかし、確証のない政治家の関与をちらつかせただけで、実際の交渉については、「詳細は承知していない」と述べた。
 籠池氏は、国有地の価格に関しては、「想定外の大幅な値下げにびっくりしたが、売買契約を結んだ。交渉の詳細には詳しく承知していない」と強調した。証人喚問後、同時に行われた日本外国特派員協会での記者会見では、籠池氏は、国有地が安く売却された経緯について「財務省の官僚が(首相側の意向を)忖度(そんたく)したのでは」という推測を述べた。この推測は、単なる想像であり、裏付けになる物証を示していない。籠池氏は、学園側と土地交渉当時、国有地処分を担当する理財局の局長だった迫田英典国税庁長官を名指しして、国会での質疑を求めた。
 迫田国税庁長官は、24日の参院予算委員会での参考人招致で、「当時、本件について報告を受けたことはございません」と証言した。「政治的配慮をすべくもなかった」と全面否定した。元近畿財務局長の武内良樹国際局長も、ごみ撤去費用として8億円を値引いたとする経緯は逐一報告を受けていたと説明したが、籠池氏が主張する安倍昭恵首相夫人や政治家との関係性は「知らなかった」と説明。結局、経緯が明らかになることはなかった。
 契約当事者である財務省はこれまで、面談記録などを「契約締結をもって廃棄した」と説明した。この日の質疑ではこの記録廃棄の質問すらなく、当然、答弁もなかった。籠池氏が名前を挙げた鴻池元防災相側の働きかけについて、武内氏は参考人招致で「報告を受けていない」と証言しただけだった。この書類の破棄については、本当に破棄されているのか、なぜ購入条件付10年定期借地契約に関する書類をこれほど早く破棄するのか、疑問が残った。
 さて、本件(1)で私が重要なポイントと思うのは、鍵池氏が平成27年10月、小学校用地につき、土地の購入を前提とした定期借地契約の期間を10年からもっと長く延長してほしいと願って、安倍首相の昭恵夫人に電話したと言ったことに関してである。
 その電話は、留守電であり、昭恵夫人は直接受け答えしたのではない。籠池氏の留守電と並行して籠池夫人は総理大臣夫人付・秘書役の谷査恵子氏(国家公務員)に手紙を出し、谷氏は夫人ではなく籠池氏にFAXで回答した。そのFAXを、籠池氏は証人喚問で提示した。この日、提示された唯一の物証である。
 昭恵夫人は「10年かどうかといった具体的な内容については、まったくお聞きしていません。」と明確に否定しているが、もしこの購入条件付の定期借地契約の期間延長の働きかけに、昭恵夫人が関わっていたという疑いが強まると、首相が2月17日小学校の認可ないし国有地払い下げに自分か妻が関わっていたら「総理大臣も衆議院議員も辞める」と述べた発言に関わって来る。
 ここは、民進党などの野党4党にとって、最大の攻めどころである。彼等の目的は真相の解明ではなく、安倍首相を退陣に追い込むことである。国民に対して真実を明らかにすることではなく、国民に安倍首相への不信感を募らせ、政権の支持率を下げ、政権を揺さぶるために、籠池氏の発言を利用して首相を攻撃しているものと思われる。
 これに対し、安倍首相は24日の参院予算委で、寄付金などとともに昭恵夫人の国有地払い下げへの関与を全面的に否定した。また先述したとおり、当時の財務省理財局長、近畿財務局長は、国有地問題については政治的な配慮をするべくもなく、政治家、秘書からの問い合わせは一切なかったと断言した。
 安倍首相は、自身か妻が関わっていたら首相も議員も辞める、一切かかわっていないと全否定した。ところが、夫人付の谷氏のFAXが出てきたので、野党4党にとっては、恰好の攻撃材料になっている。
 一般の国民には、政治家の口利きの仕方や、それへの霞が関官僚の対応の文化がよくわからないので、どこからが「関与」となるのか判断は難しい。野党4党は、そうした国民の意識を政権批判へ誘導しようとしているのだろう。
 この点、元国家公務員(外交官)で現衆議院議員の松川るい氏が、フェイスブックに書いていることが参考になる。
 松川氏曰く「谷総理夫人付きのFAXがあたかも何か特別なことで、『働きかけ』に当たるかのような印象操作を野党が一生懸命やっていますが、笑止千万です。国家公務員だったら誰でもわかると思います。
 皆さんご存じないのかもしれませんが、役所は一般の方からの問い合わせであっても、担当官が電話での口頭回答は普通に致します(忙しすぎて電話がつながらないということはあり得ますし、一般からの問い合わせに対する親切度は役所によって違うかもしれません。各役所のそれぞれのカルチャーがあるので。)。佐川理財局長の言うとおりです。
 谷さんは、籠池さんという自分の知り合いからわざわざ手紙での照会があったので(しかも昭恵夫人もご存じの方)、財務省に問い合わせてその結果を教えて差し上げたのです。谷さんの行動も財務省の行動もごく通常のことで、こんなものを『働きかけ』というのは強弁というものです。この程度の通常の照会は、日常的なものですし、事前にわざわざ昭恵夫人に断らずともするでしょうが(そうでないと自分宛の手紙への返信を放置することになってしまうので。)断ってやっていたとしても何の問題もありません。これは、ただの『照会』でしかないからです。
 FAXのポイントは、財務省が『圧力』を感じて、回答内容に影響があったのかどうかです。回答内容は、役人の言うところの『ゼロ回答』。何ら問題ありません。というか、むしろ『圧力』が生じていないことの証明書のようなものです。
 だいたい、財務省というところは、霞ヶ関の役所の中でも一番融通の利かないお堅い役所で、申し訳ありませんが、昭恵夫人の付きが照会したぐらいで結果を変えようとするようなことはないでしょう。財務省に失礼というものです(佐川局長も怒りを抑えての答弁)。」と。
 松川氏の説明は、明快である。だが、政府は谷氏の対応は「個人的対応」と説明しているので、昭恵夫人の意向や上司の意向があったのではないかという見方が出ている。官僚の場合、全く個人の判断で行動しているとは考えにくい。また、森友学園が国に対して工事費の建て替えをしている件について、27年度には予算措置ができなかったが、「28年度に予算措置を行う方向で調整中」と谷氏が書いたことも、単なる「ゼロ回答」ではなく忖度があったのではないかという見方も出ている。国民の多くにとって、腑に落ちない点だろう。国民の多くは、永田町や霞が関の文化は分からない。自分が社会生活をしている中で身に着けた常識で考える。野党4党の目的は安倍首相を退陣に追い込むことだから、納得がいかないという世論をバックに、徹底的にFAXを利用してくるだろう。
 谷氏のFAXには昭恵夫人の社会的立場の問題が絡んでいる。首相夫人は、公人か私人か。野党4党は、この点を追求している。安倍首相は、昭恵夫人を「私人」と言っているが、わが国の場合、首相夫人が公人か私人かについて明確な決まりはない。首相夫人は、議員でも官僚でも公務員特別職でもない。だが、首相の外国訪問に同行したり、外国要人接待に同席したりしている。今回浮かび上がったように、国家公務員が複数名、夫人付として就く。その公務員は、組織の上司から指示を受けて任務に就き、上司に報告をしたり裁可を受けたりしながら勤務し、労働の対価として俸給を受け取る。それゆえ、首相夫人が全くの私人とは言い切れないという見方がある。この首相夫人の立場のあいまいさも、野党4党にとっては攻めどころとなっている。
 現在のところ、(1)国有地売買の価格は適正だったのかについては、何も解明が進んでいない。この点に関して、私は右の事実が重要だと考えている。豊中市は、森友学園が購入した土地の隣地を実質2124万3000円で購入している。売買価格は14億円だが、国庫補助金7億1千万円、臨時交付金6億9千万円が出ているので。これを引くと、豊中市の実質の購入価格は 2124万3000円だったことになる。また、小学校用地を1億3400万円で買った森友学園は、豊中市が公園用地として買った土地の購入価格の6.3倍の価格で買ったことになる。この点の追及がされていないことは、私の疑問の一つである。しかも本件に関して、後に(8)に書く民進党参議院議員の辻元清美氏が国交副大臣だった時に、豊中市への補助金等の交付に関与したのではないかという疑いが浮上している。この疑惑の追及なくして、(1)の問題は収束しないだろう。

 次回に続く。
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ユダヤ29~ユダヤ哲学とカバラー神秘主義

2017-03-27 10:07:24 | ユダヤ的価値観
●ユダヤ哲学の展開

 ここで古代から中世にかけてのユダヤ哲学について記したい。ユダヤ哲学は、ユダヤ教の聖書に示された啓示と伝統を理性と経験によって合理的に解釈しようとするものである。哲学は古代ギリシャで生まれ、プラトン、アリストテレスが発展させた。ユダヤ哲学は、紀元前2世紀に、アレクサンドリアでギリシャ人と接触したユダヤ人によって始められた。古代の代表的なユダヤ人哲学者は、紀元前後のピロンである。ピロンは、プラトンの影響を受け、神を永遠不変で純粋な非物質的知性とし、叡智界におけるイデアのような存在と考えた。また、神と世界をつなぐロゴスを神より劣った第2の神または神の子と考え、聖書をプラトン主義的に解釈した。
 ここでいう聖書はキリスト教のいう旧約聖書だが、1世紀後半に編纂された新約聖書の『ヨハネによる福音書』は、「初めに言(ロゴス)があった。言は神と共にあった。言は神であった」「言は肉となった」と書いている。ヨハネは「神の子」イエスの出現を、永遠のロゴス(言葉)である神が人間となってこの世界に入った(受肉)と理解した。一般にヨハネにはギリシャ哲学の影響が指摘されるが、ピロンにおいて既にロゴスの概念がユダヤ哲学に摂取されていたのである。
 ピロンの後、900年ほど、ユダヤ哲学には見るべき発達がなかった。ようやく10世紀になって、バビロニアのサアディア・ベン・ヨセフによって復興された。ギリシャ文化がイスラーム文明に流入した時期である。イスラーム文明では古代ギリシャ哲学を取りいれ、イスラーム教を合理的に解釈するイスラーム哲学が発達した。サアディアは正統派の「ラビのユダヤ教」の立場に立ち、イスラーム哲学の方法を用いて、ユダヤ教を哲学的に基礎づけようとした。ユダヤ哲学の父と呼ばれ、啓示と理性の相補性を説き、啓示は理性の疑惑を解き、理性は啓示の真理を明らかにすると説いた。
 11世紀には、スペインにソロモン・イブン・ガビロルが現れた。彼はプロティノスによる新プラトン主義の流出説を採った。プロティノスは、一者(ト・ヘン)から万物が流出し、ヌース(精神)とプシュケー(魂)が生まれたとし、人間はこの世界に堕ちたものであることを自覚し、一者への還帰を目指すべきと説いた。ガビロルは、流出を神の意思によるものとし、事物が流出の最初の一つとした。キリスト教社会ではアヴィケブロンと呼ばれ、スコラ哲学に影響を与えた。
 ユダヤ哲学は、12世紀にモーセス・マイモニデスで頂点に達した。彼はコルドバ生まれだが、1148年に同地を征服したイスラーム文明のムワッヒド朝のユダヤ人弾圧を避け、エジプトに移住した。カイロのユダヤ教団をラビとして指導した。著書『迷える者達の手引き』は、ユダヤ哲学全体の基礎になったとされる。信仰と伝統の合理的解釈をアリストテレス哲学に求めたが、人間の論証には欠陥があり、真理の究極の基準にはなりえないとして、結局は啓示に拠らざるを得ないとした。このような立場から、聖書の中にある本質的なものと非本質的なものを区別し、非本質的なものは理性の導きに委ねることができるが、本質的なものは啓示に訴えざるを得ないと説いた。
 スペインのユダヤ人は、15世紀に徹底的な迫害を受け、迫害に耐えかねたユダヤ人哲学者はユダヤ教を棄てたため、信用を失った。ユダヤ教を合理的に理解しようとするユダヤ哲学は、その後、カバラーの神秘主義思想に取って代わられ、終焉を迎えた。

●カバラー神秘主義の発達

 カバラー神秘主義は、世界的な中世におけるユダヤ教内の新しい動きである。ヨーロッパから中東に及ぶ地域で発達した。カバラーの原義は口伝・伝統であり、口伝の秘儀を意味する。南プロヴァンスで3世紀から6世紀頃に始まり、厳格な参入儀礼を経た弟子だけに教えられ、長い間、秘密にされていた。13世紀のスペインで世に知られるようになった。15世紀末にユダヤ人がスペインから追放されると、その多くが中東各地に移住し、パレスチナのツファットは、16世紀にカバラー神秘主義の中心地となった。
 カバラー神秘主義は、ユダヤ教の伝統に基づく創造論、終末論、メシア論を伴う神秘主義思想である。3柱、4界、10のセフィロト(数)による「生命の樹」で象徴的に表現される流出説的な世界像を示す。また、現在の世界は悪が支配しているが、やがて到来する世の終りに、メシアが来臨し、悪の力を滅ぼして正義を確立し、民族と宇宙を救うという終末論を抱く。そこには、ヘレニズム・ローマ時代の黙示思想への強い共感が見られる。
 カバラー神秘主義は、終末の救済の秘儀にあずかるために、律法を順守することを説き、また神から律法の真意を学ぶことを目的とした。それゆえ、正統的な「ラビのユダヤ教」から外れるものではないと見られた。
 16~17世紀には、カバラー神秘主義の影響下に、自称メシアが各地で出現した。なかでもサバタイ・ツビは、一時各地のユダヤ教社会に影響力を振るった。だが、1666年にトルコのスルタンに逮捕されると、イスラーム教に改宗した。
 サバタイ騒動は、深刻な精神的危機をもたらした。その危機を克服する試みの中から、18世紀に東ヨーロッパでハシディズムが興った。バール・シェム・トーブが、法悦状態に没入し、祈祷において神と交わる神秘的体験の重要性を説き、カバラー神秘主義を大衆へ広めた。正統派は、これを異端とした。だが、19世紀初頭に両者は和解し、ハシディズムも正統派に位置づけられた。
 カバラー神秘主義は、西方キリスト教の神秘主義に影響を与えた。キリスト教の神秘家は、ユダヤ教の集団救済の伝統とは異なり、個人的な神秘体験を追究した。ローマ・カトリック教会は、自らを正統とし、その教義と異なることを唱える者を異端として、徹底的に弾圧した。そのため西方キリスト教圏では、カバラー神秘主義の影響はヨーロッパ文化の表層ではなく深層に作用し、地下水脈のように受け継がれた。そして、カバラー神秘主義は、オカルティズムの理論的根拠にも用いられることになった。

 次回に続く。
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森友学園問題~籠池証言のウソを暴き、辻元議員を追及すべし1

2017-03-26 10:33:54 | 時事
はじめに

 3月23日国会の衆参両院予算委で、森友学園理事長・籠池泰典氏の証人喚問が行われた。その後、安倍晋三総理大臣は24日の参院予算委員会で、籠池氏が証言した昭恵夫人による国有地払い下げへの関与や寄付などを全面否定した。
 両者の主張は真っ向から対立している。だが、籠池証言は、物的証拠がほとんどなく、過去の発言から変化し、肝心なことは証言を拒否した。恨み節に満ちており、ウソ、作り話が多いと感じられる。大阪府は、籠池氏らを私文書偽造罪、公務執行妨害罪等で刑事告訴する準備をしている。補助金適正化法違反、詐欺罪、偽証罪等による告発もあり得る。しかし、なお民進・共産・自由・社民の野党4党は、籠池証言を政争の道具にしようとしている。
 森友学園問題については、籠池証言前に拙稿「森友学園問題~何が本当に問題なのか」を書いた。
http://khosokawa.sakura.ne.jp/opinion13z.htm
 本稿では、籠池証言後の問題整理を行い、本件の現状と見通しを書きたい。わが国が内外の重要課題に直面するなかで、国会は、これ以上、籠池証言に振り回されてはならない。

●籠池証言と首相答弁及び現状と見通し

 報道によると、籠池証言と安倍首相の答弁の概要、及び本件の現状と見通しは、概ね次の通りである。

 国有地払い下げに関して、籠池氏は、小学校建設用地として取得した国有地の定期借地契約の期間延長について、昭恵夫人に「助け」を電話で依頼したと証言した。首相は「妻は土地の契約に関する具体的な内容を全く聞いていない」と関与を否定した。また、籠池氏とのやり取りは昭恵夫人付の政府職員(谷査恵子氏)が行ったと説明。職員が籠池氏に「希望に沿うことはできない」とのファクスを送ったことについては、職員の回答は「制度上、法律上どうなっているかとの問い合わせであり、依頼や働き掛け、もちろん不当な圧力では全くない。土地の売買や小学校の認可には全く関わりない」と述べた。「払い下げに妻が関与したことにはならない」とも強調した。
 首相は証人喚問について「国有地の売却、小学校認可の問題で具体的な政治家の関与がなかったことは明らかになった」と述べた。

 寄付金について、籠池氏が、昭恵夫人と2人だけの場で「100万円の寄付」を受けたと主張した点について、首相は「密室のやりとりなど反証できない事柄を並べ立て、事実と反することが述べられたことは誠に遺憾だ」と語った。
 質問した自民党の西田昌司氏は、昭恵夫人と籠池氏の妻・諄子氏との間で行われたメールのやり取りを公開した。これを受け、首相は昭恵夫人が100万円の寄付について「記憶がない」として籠池夫人に問い合わせたが、籠池夫人から回答がないことから、「払ったという話は一切ない。メールを見ていただければよく分かる」と強調した。
 籠池氏が寄付について昭恵夫人から、「口止めとも受け取れるメールが届いた」との証言に対しても「読めば、そうではないことが分かる。極めて遺憾で、悪意に満ちたものだ」と批判した。

 籠池氏は、証人喚問で、校舎建設費が異なる3通の工事請負契約書について、刑事訴追の恐れがあるとして証言拒否をした。これに対し、首相は「刑事訴追の恐れを理由とした証言拒否が繰り返され、真相が解明されず大変残念だった」と語った。
 予算委には、売却交渉時に財務省理財局長だった迫田英典国税庁長官、近畿財務局長だった武内良樹財務省国際局長も参考人で出席。迫田氏は「報告を受けたことはない。政治的な配慮をするべくもなかった。政治家や秘書から問い合わせは一切ない」と、武内氏も「政治家、秘書から問い合わせは一切なく、政治的な配慮は一切していない」と明言した。
 民進、共産、自由、社民の4野党は24日の国対委員長会談で、昭恵夫人と大阪府の松井一郎知事、籠池氏の代理人を辞任した酒井康生弁護士ら計8人の証人喚問を要求することで一致した。松井知事は24日、大阪府庁で記者団に「いつでも行く」と述べたが、自民党の竹下亘国対委員長は民進党の山井和則国対委員長に対し、昭恵夫人、松井知事らの証人喚問を「必要ない」として拒否した。
 自民党は、籠池氏の証言内容に虚偽が多いとして、議院証言法に基づき、籠池氏を偽証罪(3カ月以上10年以下の懲役)で告発できるかどうか、検討を開始した。告発には、議員の3分の2以上の賛成が必要だが、政党間・議員間で見解が対立している。過去の事例を見ると、偽証罪は既に当局の捜査が行われていれば、証拠をもとに検察(最高検へが多い)に告発できるが、本件は捜査がされていない。それゆえ、検察への告発は、かなり難しいと見られる。
 一方、野党4党は、問題が長期化すれば内閣支持率がさらに低下すると見ている。週明けに平成29年度予算案が成立した後も、引き続き追及を及続ける構えである。だが、後半の国会は、テロ等準備罪や天皇陛下の譲位に関する重要法案が多い。これ以上、籠池氏の裏付けのない証言で国会が振り回されることは、国家にとって重大なマイナスである。

 続いて、重要なポイントについて、新たな情報をもとに整理する。

 次回に続く。
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ユダヤ28~ザビエルと日本人女性の奴隷売買

2017-03-24 08:49:48 | ユダヤ的価値観
ザビエルと日本人女性の奴隷売買
 
 15~16世紀の世界では、ヨーロッパ文明のポルトガル、スペインが、世界を二分する勢いだった。これらのカトリック教国は強力な王権のもとに海のルートを開拓し、各地に植民地を拡大した。そして各地の産品を運び、大きな富を獲得していた。この二国によって、「近代世界システム」が形成される地理的・経済的条件が作り出された。
 ポルトガル・スペインの植民地政策は、キリスト教の宣教と結びついていた。その方法は、初めに宣教師を送ってその国をキリスト教化し、次に軍隊を送って征服し、植民地化したのである。そこにもユダヤ人の関与があった。
 日本には、1549年にイエズス会のフランシスコ・ザビエルが渡来した。ザビエルは、ポルトガル系の改宗ユダヤ人だった。単に宣教師であるだけでなく、日本との貿易の開拓者でもあった。ザビエル渡来の3年後に、ルイス・デ・アルメイダが来たが、これも改宗ユダヤ人で、ポルトガルを出て各地の仲介貿易で巨額の富を築き上げていた。日本に来ると、イエズス会の神父となり、キリスト教の布教をした。その活動は、植民地支配への階梯だったと見られる。
 アルメイダは、日本に火薬を売り込み、交換に日本女性を奴隷船に連れこんで海外で売りさばいた。徳富蘇峰は、『近世日本国民史』の初版に、秀吉の朝鮮出兵従軍記者の見聞録を載せた。「キリシタン大名、小名、豪族たちが、火薬がほしいばかりに女たちを南蛮船に運び、獣のごとく縛って船内に押し込むゆえに、女たちが泣き叫ぴ、わめくさま地獄のごとし」と書いている。キリシタン大名が送ったローマ法王のもとに派遣した天正少年使節団は、次のように報告している。「行く先々で日本女性がどこまでいっても沢山目につく。ヨーロッパ各地で50万という。肌白くみめよき日本の娘たちが秘所まるだしにつながれ、もてあそばれ、奴隷らの国にまで転売されていくのを正視できない」と。火薬1樽で50人の娘が売られたと伝えられる。
 豊臣秀吉は宣教師の活動の危険性をいち早く見抜き、主君の織田信長に注意を促した。秀吉は準管区長コエリヨに対して、「ポルトガル人が多数の日本人を奴隷として購入し、彼らの国に連行しているが、これは許しがたい行為である。従って伴天遠はインドその他の遠隔地に売られて行ったすぺての日本人を日本に連れ戻せ」と命じた。
 徳川幕府は、キリスト教の宣教を防ぐため、いわゆる鎖国政策を取った。清の他にオランダだけと交易したのは、オランダはプロテスタント国家であり、キリスト教の布教を行わずに経済的利益を求めたからである。
 数千万人の黒人奴隷がアメリカ大陸に運ばれ、数百万人の原住民が殺され、数十万人の日本娘が世界中に売られた。この歴史的蛮行は、白人キリスト教徒が行っただけでなく、改宗ユダヤ人が加わっていたのである。

●東ヨーロッパ等への移動

 十字軍以後のヨーロッパでのユダヤ人迫害の波は、ユダヤ人の一部を東へと追い立てた。13世紀末から16世紀にかけて、イギリス、フランス、ドイツ、スペイン等の西欧諸国でユダヤ人追放が続いたが、彼らの多くは発達の遅れていた東ヨーロッパへ向かった。その結果、16世紀には、西方キリスト教圏でのユダヤ人社会の中心は東ヨーロッパに移った。
 とりわけポーランドは、ユダヤ人にとってヨーロッパで最も安全な国と見なされるようになり、アシュケナジム系ユダヤ人の中心地帯となった。ユダヤ人の高度な知識と技能、国際的なビジネスネットワークに目を付けたポーランドの王や貴族は、アシュケナジムを彼らの領地へ招いた。ユダヤ人はこうした王侯貴族に管理人あるいは代理人として仕え、彼らの代わりに領地に住み、その経営にあたった。
 ポーランドをはじめとする東ヨーロッパは、西ヨーロッパ各地で迫害を受け、追放されたユダヤ人が大挙して移住・定着した場所だった。その結果、中世以後20世紀前半まで、東ヨーロッパがアシュケナジム系の文化の中心となった。
 西ヨーロッパでは、ユダヤ人はキリスト教に改宗した者も、つねにキリスト教徒から疑われ、多くの新キリスト教徒が虐殺された。そのため、彼らは安住の地を求めて世界各地をさまよった。その行き先は、イスラーム教圏や北米や中南米等へと広がった。

●オスマン帝国はユダヤ人を迎え入れた

 ユダヤ人の一部は、当時イスラーム文明の中核国家だったオスマン帝国に向かった。ローマ帝国の分裂、西ローマ帝国の滅亡後、東ローマ帝国すなわちビザンチン帝国は、ローマ帝国の正統を維持していた。しかし、1299年に建国されたオスマン帝国によって、1453年に滅ぼされた。
 オスマン帝国は、その後、中東から北アフリカの大部分を支配下に置き、キリスト教諸文明の強力な対抗者として繁栄した。旧ビザンチン帝国のギリシャ語を話すユダヤ人を取り込み、また大部分がアラビア語を話す中東のユダヤ人社会を包含した。15世紀末、スペイン・ポルトガルからユダヤ人が追放されると、彼らを温かく受け入れた。
 オスマン帝国は、ヨーロッパ文明より軍事技術や農業技術では優れていたが、商業・貿易・法律的知識では劣っていた。スルタンたちにとって、これらすべてに優れているイベリア半島からのユダヤ人移住者は願ってもない人材だった。
 裕福で国際感覚に優れたセファルディム系ユダヤ人は、地中海を舞台に活躍し、スペイン、ポルトガル、イタリア、オランダあるいはフランスに在住するマラノたちとも協力し、貿易や外交に携わった。ユダヤ人はレヴァント地方、エーゲ海、アドリア海の至るところで貿易を営んでいた。ユダヤ商人の乗っていない商船はほとんど見当たらないほどだった。彼らの言語能力や国際的な人脈は、オスマン帝国にとって非常に有益な存在だった。
 ユダヤ人は、帝国の保護を受けるとともに、帝国の発展に忠実に努めた。16世紀半ばまでには、多くのユダヤ人が医者、財政家、外交官、政治家として活躍し、帝国の高官となる者もあった。

 次回に続く。
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森友学園問題~何が本当に問題なのか3

2017-03-23 08:54:50 | 時事
.もっと大きな問題~国会空転の背後にあるもの

 国会の運営には、1日当たり3億円以上かかる。国民から徴収された税金が、会議運営や議員の歳費等に、日々費やされている。今国会は莫大な経費を使いながら、約1ヶ月間、森友学園問題で空転している。外交・安全保障問題を審議すべき衆院外務委員会でも、ほとんどの時間が全くそれと関係のない、一地方の学園問題に費やされてきた。
 3月16日午後、岸田=ティラーソンの日米外相会談は、北朝鮮による核・ミサイルの実射を予感させる「新しい段階の脅威」への対抗策を協議していた。その時、参院予算委理事の国会議員団は、森友学園の籠池氏を訪ね、氏らの話を聴いていた。
 このことにつき、安全保障・軍事問題を専門とする産経の野口裕之記者は、3月20日の産経新聞の記事で、次のように指摘している。
 「東京で行われたのは『すさまじい単位で、国民の生命と財産が失われる』事態を食い止めるための協議。大阪で行われたのは『国民の生命は失われず、国有財産や税金が不正に使われた可能性が浮上している』事態の調査?だった」
野口氏は、また次のように書いている。
 「森友学園問題の真相究明は必要だが、国会では森友問題に加え、南スーダンの国連平和維持活動(PKO)派遣部隊の日報が陸上自衛隊で発見された問題に、論議が集中し過ぎている。米国が北朝鮮の核・ミサイル基地への攻撃や朝鮮労働党の金正恩委員長の除去を真剣に検討している最中とは思えない、緊張感を著しく欠いた政治姿勢ではないか」
 「米国は核・ミサイル施設や金委員長の居所を狙ったピンポイント爆撃といったハードルの低い選択肢=限定戦争も視野に入れている。先制攻撃の最終決心を付ければ、米国は素早く動く」
 「朝鮮半島有事が回避されても、朴槿恵氏の大統領罷免に伴う選挙で、反日・親中の統一核武装独裁国家が樹立される恐れがある。いずれにしても、国家の危機がヒタヒタと迫る中、国会論議の主軸がズレている」
http://www.sankei.com/premium/…/170320/prm1703200018-n1.html

 朝鮮半島情勢だけではない。森友学園問題による今国会の空転は、中国の動きへの国民の関心をそらすことにもなっている。米国のトランプ大統領は、尖閣諸島は日米安保条約第5条の適用対象であることを確認した。日本にとって同盟国が明確に意思表示していることは心強い。だが、第5条が適用されるのは、わが国の施政権下にあることが前提である。施政権になければ、適用されない。わが国が実効支配していれば、尖閣諸島を中国が軍事進攻した場合、米軍は日本と連携する。実効支配していなければ、米軍が守ったり、取り戻してくれることはない。
 尖閣海域に入ってくる中国海警の警備艦隊は、昨年中ごろまでは2隻編成だったが、今は4隻に増えている。艦船もより大型かつ新鋭となっている。中国海警は尖閣の日本の領海や接続水域に月平均3、4回侵入しており、恒常的かつ自由自在に尖閣海域をパトロールできる能力をほぼ獲得したと見られる。それによって、中国は尖閣海域への侵入を増し、日本の施政権の侵食に成功している。このままだと中国は尖閣の施政権は、中国の手にあると宣言されかねない状況である。
 現下の状況において、国会がなすべきことは、尖閣諸島、ひいてはわが国を防衛するための法整備や諸施策の推進である。中国による侵攻の危機は、確実に迫っている。ところが、今国会は森友学園という一地方の学校の問題で空転しており、まともに機能していない。この状況は、中国共産党を大いに喜ばしていることだろう。中国の中央テレビ局は森友学園問題を盛んに報道し、今(3月23日現在)ではトップニュース扱いとのこと。人民日報や新華社などのウェブサイトも記事を転載している。
 私は、今国会における民進・共産・自由・社民の議会戦術、それに呼応した多くのマスメディアの報道姿勢は、米国トランプ政権が日本と連携を強化しつつ、北朝鮮・中国に厳しい姿勢を示している中、わが国に迫りくる朝鮮半島情勢の危機から国民の目をそらし、国内を分裂させることで、北朝鮮や中国を利するものとなっていると思う。背後に北朝鮮や中国の対日工作があることが推測される。民進・共産・自由・社民の野党4党は、中国の指示を受けて行動しているか、中国に協力しようとしているか、日本の政党として根本的な姿勢が疑われるのである。

結びに

 私は、政府与党のやっていることや、安倍政権がやっていることは、なんでも支持し、野党の言っていることに何でも反対しているのではない。私は特定の政党の党員でも支持者でもない。選挙では、政党ではなく人物を見て投票している。
 政権与党が腐敗堕落している場合や国の進路を誤っている場合には、野党や独立した個人がこれを批判し、国政を正すことが必要である。戦前の日本にはそういう国士がおり、私は彼らを尊敬している。今国会での民進・共産・自由・社民の態度は、あまりにもひどいから、憤っているのである。また、私は、これまで自民党に対しても、維新系に対しても、厳しく批判してきている。下記のページの政党論・政治家論をご参照願いたい。
http://khosokawa.sakura.ne.jp/opinion13.htm
 日本の国会は、単に日本国民の中での諸勢力の論争・審議の場であるだけでなく、日本を取り巻く国々、米国・韓国・中国・北朝鮮の駆け引きの場にもなっている。そういう構図をもって、わが国の国政を見る必要がある。そして、真に日本の国益、国民の生命と財産、国家の独立と主権、日本人の名誉と誇りを守ろうとしている政治家と、そうではない政治家をよく見分けていこう。(了)

■追記
 本稿を含む拙稿「森友学園問題~何が本当に問題なのか」は、下記に掲載しています。
http://khosokawa.sakura.ne.jp/opinion13z.htm
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森友学園問題~何が本当に問題なのか2

2017-03-22 10:10:39 | 時事
5.安倍首相側から100万円の寄付はあったのか

 森友学園の籠池理事長は、3月16日、平成27年9月15日、昭恵夫人が塚本幼稚園に講演に来た時に、「総理からです」といって100万円持ってきたと主張した。
 安倍首相は2月17日に、小学校に関して「認可にあるいは国有地払い下げに関与していない。関与していれば、総理大臣も国会議員も辞職する」と発言した。この発言は、寄付金に関する発言ではない。寄付金の話は3月16日に初めて出てきたことである。1か月前に寄付金を出していたら辞職すると言ったものではない。
 次に首相は、2月28日に「妻も私も寄付金集めにも一切かかわっていない」と発言した。この発言は、自分が寄付金を出したかどうかではなく、学園による寄付金集めに協力したかどうかを否定したものである。これも寄付金を出していたら辞めると言ったものではない。
 安倍首相側が寄付金を出していないことを明らかにできれば、籠池氏の発言は虚偽であることになる。しかしもし仮に、首相自身ではなく夫人や事務所が寄付金を出していた場合、どうなるかということも考えておく必要がある。
 まず政治家による寄付金は、公職選挙法では、自分の選挙区でなければ問題なし。政治資金規正法では、ポケットマネーであれば問題なし。政治資金から支出し、収支報告書に記載がなければ、違法になります。それゆえ、仮に寄付金を出していても、政治資金から支出し、収支報告書に記載していないのでなければ、違法ではない。
 ただし、もし首相側からの寄付が事実だったということになると、首相の発言と食い違うので、道義的責任を生じる。それが同時に政治的責任として総理や国会議員の職に関わるほどの問題かどうか。それは、寄付金が小学校の認可に関わる行為とみなされるかどうかという点に絞られると思う。認可促進のための寄付(宣伝利用目的)でなければ、安倍首相は、寄付金を出していたら総理も議員も辞めると言っているわけではないから、野党から辞任を求められても、応じなければよい。
 安倍首相は、3月17日の衆院外務委員会で、籠池氏が首相から100万円の寄付金を受けていると主張していることについて、「あり得ない」と述べ、明確に否定した。昭恵夫人の個人的な寄付についても否定。首相は「個人的な関係はない。そうした方に多額の寄付を私自身が行うことはあり得ない」と強調。夫人個人による寄付の可能性についても「念のため確認を取ったが、領収書などの記録もない」と否定した。
 にわかにマスメディアの寵児となっている著述家の菅野完氏が、籠池氏が首相から100万円の寄付を受けた証拠として書類を公開した。
 籠池氏が学園職員に命じて郵便局に入金した時の振込票で、安倍晋三名義で入金しようとしたが、会計士に止められて「森友学園」の名義にしたとのこと。いったん「安倍晋三」(当然首相本人の自筆ではない)と書いて、修正テープらしきもので消してある。「匿名」とも書いたようだ。郵便局の訂正印が押してある。この振込票に、菅野氏は裏から電気照明を当て、安倍氏の名前が読めるとして、あたかも安倍氏からの寄付金の証拠のように提示している。いやはや、いまどきよほど知恵の足りない中学生でもしないような、お粗末極まりないものである。
 菅野氏は『日本会議の研究』でいちやく注目されるようになったが、本書はずさんな調査、的はずれの粗悪本だった。取材をせずに載せた内容について抗議を受け、出版差し止め判決を受けている。菅野氏は、元部落解放同盟の活動家、元しばき隊でカンパ金を横領、性犯罪事件(被害者複数)で現在係争中とのこと。いまや籠池氏に協力しているのは、こういう人間である。「類は友を呼ぶ」とはこのことだろう。
 安倍首相による「寄付」は籠池理事長の自作自演と考えられる。有名ブロガーの池田信夫氏は、次のように推理している。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「事実は次のように推定するしかない。
1. 籠池氏が昭恵さんの講演料として9月5日に100万円を持参した。
2. 昭恵さんが講演料を辞退した(?)
3. 籠池氏がこれを「安倍首相からの寄付」として7日に自分あてに振り込もうとした。
4. 郵便局が受理しなかったので、自分の名義で振り込んだ。」
https://headlines.yahoo.co.jp/article…
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(池田氏が「自分」と書いているところは「森友学園」に要修正)

 既に多くの人が概ね同じ推理をしているが、常識的に考えて、これ以外に考えられない。

6.首相夫人と籠池夫人のメールは適当か
 
 安倍首相は、昭恵夫人と籠池理事長婦人とのメールのやりとりも内容も問題ないと言っている。籠池夫人の了解が得られれば、全文公開すると発言している。公開がされれば、実際のやりとりが明らかになる。それまでは不確かな情報で判断すべきでない。
 現在わかっていることは、3月16日参院予算委の理事たちが問題の調査のため、籠池氏を訪問し、野党議員たちが氏と話し合っているとき、籠池夫人に昭恵夫人から来たというメールについてである。国会で大問題になっている中で、しかもそのタイミングでのメールゆえ二人が今も親しい関係にあると見て、マスメディアが大きく取り上げた。
 衆院外務委員会で民進党・福島伸享議員が、メールには「幸運を祈ります」と書いてあったと発言。ところが、籠池夫人が送ったメールは、多数に一斉送信で「3億円あれば学園は残る。助けて」との趣旨のものだった。それに昭恵夫人が返信したのだが、「幸運を祈ります」ではなく、単に「祈ります」と書いてあったと判明。「幸運を」と付け加えた福島議員は、明らかに印象操作をしている。「祈ります」だけゆえ何を祈るのかわからない文章だが、協力すると言っているのではない。単に儀礼的な返信と見るのが妥当だろう。

7.学園の教育方針と籠池理事長の人格のかい離
 
 次に、学園の教育方針と籠池理事長の人格について書く。
 幼稚園児に教育勅語を教えている森友学園の籠池理事長は、安倍首相の昭恵夫人を名誉校長にゴリ押ししたり、首相の名前を本人の承認を得ずに使って寄付金を集めたり、公的機関から異例の厚遇を受けたりなど、本件が大きな社会問題になった祖h木の段階から、その行動には問題があることが明らかだった。
 マスメディアの多くは連日、学園の運営上の問題と教育方針の話をごちゃまぜにして、学園のイメージを貶め、戦前の教育理念をも誹謗するような報道を繰り返している。
日教組や朝鮮学校については取り上げもしない偏向マスコミと民進党、共産党が、ここぞとばかりに躍起になっている。幼稚園で教育勅語を教えたり、新設予定の小学校では神道に基づく教育をするという方針の学園だからこその攻撃であることは明らかである。
 だが、また籠池理事長は、純真な子供たちに教育勅語を教える学園の経営者であれば、自身の言動が勅語の精神に恥じることのないように実践躬行に努めなければならない。この点、籠池氏は人格的に大いに問題がある。
 勅語の精神をはき違えた一学校経営者と偏向したマスメディアによって、教育勅語について負のイメージが広がってしまった。これを払拭すべく、教育勅語の正しい理解と復権に努めたいものである。
 3月10日籠池氏は近く理事長を退任する意向を明かした。教育機関だから、何より幼稚園の園児と親、小学校入学予定者等への謝罪が必要だろうが、籠池氏の記者会見で最初に謝罪の言葉がなかったことは、社会的な信用を自らさらに引き下げることになった。自己中心で独善的な人物と見られる。
 籠池氏は、国有地購入などのさまざまな疑惑には答えず、異なる金額が記された3通りの契約書についても、合理的な説明の出来るわけがなく、しどろもどろの説明に終わった。マスメディアの報道の仕方を批判したところで、身から出たサビ、恨み節にしかならない。
 籠池氏は、理事長の後任に長女を指名し、自らもアドバイザーのような形で学園運営には関わる考えを表明している。今後、小学校開校予定だった土地は、学園側が更地にして、国が売却価格と同じ1億3400万円で買い戻すことになるだろう。国側としてはゴミが大量に埋まっている土地という印象が強く、土地の価値が下がり、競売にかけた場合、かなり金額が下がるのではないか。財務省の手続きに法的な問題はなかったとしても、売る相手を間違えた。
 学園側は既に建設が大方進んでいる建物を解体・撤去して更地にする費用以外に、補助金5600万円の返還も求められる。工事関係者も建築資金残金等の支払いが受けられないおそれがある。籠池氏は何億円もの負債を抱えることになるだろう。幼稚園の入園者にも影響が出るだろうから、負債の返還は相当困難な課題になるだろう。

 次回に続く。
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森友学園問題~何が本当に問題なのか1

2017-03-21 06:49:45 | 時事
はじめに

 森友学園の問題は、教育関係では近年最大の社会問題になっている。国会は約1ヶ月、森友学園問題で空転している。籠池泰典理事長の国会証人喚問にまで発展した。
 私は、ブログとMIXIには3月17日と19日に本件について書いたのみだが、他のSNSにはここ1か月ほどの間に、いろいろ書いてきた。ここで一旦全体を整理しておきたい。

1.何が問題か

 学校法人森友学園は、大阪市淀川区に本部を置く。経営する塚本幼稚園で教育勅語を教えたり、愛国的な教育をしていることで、全国に知られていた。大阪府豊中市で「瑞穂の国 記念小学校」と称する小学校の開設を目指し、国有地の払い下げを受け、大阪府の認可を得たが、この過程で、安倍首相の名前で寄付金を募ったり、首相夫人の昭恵氏が名誉校長(のちに辞任)になったりしたことで注目を浴び、疑惑が起って国会で大問題になった。
 森友学園問題の重要点は、次の3点である。

(1)国有地売買の価格は適正だったのか
 ・9億5千万円が1億3千万円に
 ・ごみ処理代の見積もりの仕方と金額の妥当性
(2)政治家の口利きはあったのか
 ・財務省に土地価格を下げさせたか
 ・大阪府に認可を働きかけたか
(3)3通の契約書があるのはなぜか
 ・同一の日付で金額が違う
 ・国と大阪府に違う金額の書類を提出

 最初は(1)と(2)だったが、そこに(3)が浮上した。これに、より小さな問題として、次の2点が加わった。

(4)安倍首相側から100万円の寄付はあったのか
 ・首相本人または夫人、事務所から
(5)首相夫人と籠池夫人のメールは適当か
 ・疑惑が浮上し国会で問題になっている中で何をやり取りしているのか

 こうした森本学園問題には、学園そのものの問題の他に、それ以上に大きな問題がある。それは、民進・共産・自由・社民の野党4党の姿勢と、その背後にあるわが国の置かれた東アジアの危機的状況である。
 まず学園の問題そのものについて書き、その後、さらに大きな国内外の問題について書く。

2.国有地売買の価格は適正だったのか

 2月中旬朝日新聞は、国が森友学園に非常に安い価格で売却したと問題視したが、実際の売却価格は逆に近隣地より6.3倍の高値だったことが分かっている。
 豊中市への隣接国有地の売却価格は、14億2300万円と報じられた。しかし、2月23日に国会で維新の木下智彦議員(豊中市選出)は、国から豊中市に14億円の補助金・交付金が出ていることを指摘した。14億円の内訳は、国庫補助金7億1千万円、臨時交付金6億9千万円。これを引くと、豊中市の実質の購入価格は 2124万3000円だったことになる。
 森友学園は、豊中市が買った土地より小さい土地を1億3400万円で買っている。この金額を2124万3000円で割ると、6.3倍。森友学園は豊中市の購入価格の6.3倍の高値で、当該地を買ったことになるのである。
 国有地の売買の価格の問題については、3月6日参院予算委員会で西田昌司議員が最も重要な事実を質疑を通じて明らかにした。

・国側のゴミ埋蔵物撤去処理の積算方法は一般的で合理的なものだった。
・国は予め割引したことで、売買契約に将来にわたる一切の瑕疵担保責任の免責特約をつけている。
・学園側が1.3億円で買った土地はゴミ処理をしなければその価値のままゆえ、8.2億円の割引による利益は出ない。
・学園側は10年間の用途指定により土地の転売で利益を上げることはできない。
・学校を開設出来なくなった場合には、契約上更地で戻すことになっている。

 マスメディアの多くがこうした事実を報じていない。そのことも、今回の問題における大きな偏向報道である。大阪府が「瑞穂の国 記念小学校」につき不認可の方針を固めたのに対し、3月10日籠池理事長は大阪府に対して小学校の認可申請を取り下げたと述べた。学園側は更地にして国が買い戻すことになりそうである。

3.政治家の口利きはあったのか

 政治家に助力を求めて陳情することも、それを受けて政治家が動くことも、ごく普通に行われていること。政治家が働きかければ、官僚が動くことは、良きにつけ悪しきにつけ、顕著な傾向としてある。問題があるとすれば、法に触れるような行為があったかどうかだろう。疑惑を追及する側は、それを挙証しなければならない。確かな調査もなく、勢いだけで進むのでは駄目である。
 口利きの疑惑は、安倍晋三首相から昭恵夫人へ、さらに鴻池祥肇元防災相に向けられた。自民党の政治家に留まらず、民進党・松原仁元国家公安委員長、平野博文元文科省等へと疑惑の対象が広がった。
 民進党側は、自分の党の政治家も関わっていたことが明らかになると、追及の手が弱まった。いつの間にか、自民党の政治家への追及が鎮まっているように見える。

4.3通の契約書があるのはなぜか

 学園が府や国に提出した契約書が三通ある。日付や業者名などは同一で、請負代金の欄には「約15億5千万円」の金額を記載しているが、国には補助金を申請する際に「23億8400万円」、府には「7億5600万円」と異なる金額を記載してある。国からは多くの補助金を得るため、府には財務状況が悪くないと思わせるための虚偽報告と見られる。これはひどい。私立小学校の認可者は大阪府である。松井一郎府知事は「不認可」とするとの認識を示した。当然の判断である。
 こういう不届き者によって、教育勅語や愛国教育について負のイメージが社会に広がっていることは、誠に残念である。

 次回に続く。

■追記
 本稿を含む拙稿「森友学園問題~何が本当に問題なのか」は、下記に掲載しています。
http://khosokawa.sakura.ne.jp/opinion13z.htm
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