西部劇と懐かしのカントリー&ウェスタン日記

現代とはかけ離れたOld Countryの世界ですがずっと続けていきます。興味のある方は時々のぞいてみて下さい。

懐かしのカントリー&ウェスタン 151 [ ケニー・ロバーツ (4) ]

2010年08月08日 | ケニー・ロバーツ
Kenny Roberts (4)
米国盤 Nashville Records NLP-2095 Kenny Roberts  I Never See Maggie Alone

(1)I Never See Maggie Alone (2)Blue (3)Tavern Town (4)Artificial Flowers (5)The Bottle Holds The Man (6)Country Music Singing Sensation (7)Memory Tree (8)The Singing River (9)Guitar Ringing (10)Gonna Whistle Me A Tune

続き・・・・・
1948(昭和23)年にはオハイオ州シンシナチの WSW 局に移って the Midwestern Hayride にパートで出演しながら毎日自分のラジオショウにも出演するという具合でした。しかしそれは子供向けのテレビ番組に関わりのあるものでしたので全く新しい未開拓の分野でもあって、その時点から長年にわたって彼のキャリアを形成することになったのでした。1948~1950(昭和23-25)年まで ” Kenny Roberts' TV Rangers ” のホストを務めて Children's television 分野の草分けになったのでした。生まれながらのエンターテイナーで、演奏中のステージでジャンプする姿が彼のトレードマークになって、”The King Of The Yodelers ”とか ” The Jumping Cowboy ” と呼ばれて有名になりました(当時は多くの歌手達が ”King Of The Cowboy ” とか ” The Texas Troubadours ” とか ”The Singing Ranger ” といったニックネームで呼ばれたものです)。

 Coral レコード社での2曲のヒットの成功は彼をローカルテレビの世界から多忙な世界へと引っ張り込む結果になったのですが、1952(昭和27)年にはまた children's television の世界に戻って オハイオ州 Dayton の WHIO 局でスタートして5年間続いたのでした。その後ミシガン州の(地図上)”thumb(親指)” と呼ばれる Saginaw-Flint 地区に移って同様の子供番組に1965(昭和40)年まで数年間出てカントリーとカウボーイ関連の双方のレコーディングも続けていました。Coral レコード時代の novelty song のような成功には至りませんでしたが しばしば独特のヨーデルもフューチャーしたものでした。
1955(昭和30)年に Dot Records に移籍、1956(昭和31)年には Decca Records に移籍、その後1961(昭和36)年に大きな独立レーベルの King Records を経て 1965(昭和40)年 Starday Records 社に移籍して数曲のヒットを放っています。1970年代初めに Starday レコードを去ってからは幾つかの小さなレコード会社からさまざまなスタイルで散発的にレコードを出し続けました。

ケニーは演奏ツアーを続けるかたわら1975(昭和50)年までシカゴの WWVA 局の Wheeling Jamboree のメンバーでもありました。 初のヨーロッパ演奏旅行に行ったり 1991(平成3)年には映画 ”Another You ” にヨーデルパートで声の出演したり、幾つかのレコード製作や NBC 放送の The Nashville Network ”Today ”に出演したり Grand Ole Opry (テネシー州ナッシュビルで古くから開催されている Country Music Show ) に出演したり・・・・・・と少なからず活動は続けていたのですが、1975(昭和50)年に第二の故郷であるマサチューセッツ州 Athol に帰ってからは 演奏ツアーとレコーディングを減らしていったのでした。
ケニー・ロバーツは40年前に ” King Of The Yodelers ”として鳴らした 明瞭でベルの音のようなヨーデルとテナーボイスを今でも依然として保っていて、エンターテナーとして50年以上も聴衆を魅了してきたのと同じように聴衆を魅了して沸かせるのです。次の10年間には かつてのようにはジャンプしないでしょうが、ケニーの明るい歌声やステージでの立ち振る舞いの一挙手一投足に若い世代の聴衆までもが釘付けになっているのを私(筆者)は見てきました。ケニーには豊富なキャリアがあって ヨーデル畑の最も若い逸材として次の世代では到底なし得ないような定評を確立してきました・・・・・注目すべきことに、彼は今なお熱心に演奏し続けて 新人のような初心を忘れず堂々と歌と演奏を楽しんでいる姿は彼の最も素晴らしい遺産になるに違いありません。」・・・・・・以上前回のCD解説の続きでした。

ケニーは Starday レコード時代に4枚のLPレコードを出していますが、このレコード写真はその中からピックアップ選曲して1枚だけ出された Starday レコード社の廉価レーベル Nashville Records のLPです(私は後年になってジャケット左上に穴をあけてさらに安くなったものを買いました)。 曲によってエレキギター、スティールギター、ピアノ、ドーブローギターなど伴奏楽器を変えて歌う普通のカントリーソングで・・・・・ところどころ得意のヨーデルを歌っています。バラッドにもアップテンポの曲にも強いところをみせています・・・・・・注目に値するのは今をときめくカントリー歌姫 Leann Rimes(1982年~現在 ミシシッピ州出身) の有名な1996(平成8)年のヒット曲 ”Blue ”をヨーデルを入れて歌っていることです・・・・・恐らくケニーののは1960年代の録音でしょうから・・・・・リアン・ライムスは ”Blue ”を誰かの歌で聴いたことがあってレパートリーに入れたんでしょうけど、まさか Kenny Roberts のものではないと思いますが-時代が合わないし。 でもこんなに古い曲が現代になってヒットするんですから・・・・・不思議。

Kenny Roberts が息の長い人気者だったのは 昔から子供番組にたくさん出ていたということですから 子供達が大きくなっていつまでもケニーのことを覚えていてくれてそのままファンになったという人もきっと大勢いたんでしょう・・・・・smile
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お気に入りCD 8  Kenny Robertsー(3)-

2010年08月08日 | ケニー・ロバーツ
Kenny Roberts (3)
ドイツ盤 Bear Family Records BCD-15908 AH  Jumpin & Yodelin'  Kenny Roberts

(1)Broken Teen Age Heart (2)Newsboy (3)I'm Looking For The Bully Of The Town (4)The Arizona Yodeler (5)I Never See Maggie Alone (6)Wedding Bells (7)Boogie Woogie Yodel Song (8)One Way Ticket (9)I Believe I'm Entitled To You (10)I Miss My Swiss (11)I'd Like To Kiss Susie Again (12)A Mighty Pretty Waltz (13)The Yodel Polka (14)Ding Dong Bells ( Are Ringing Again ) (15)When I'd Yoo-Hoo In The Valley (16)Choo Choo Ch'Boogie (17)She Taught Me How To Yodel (18)F.O.B. Tennessee (19)Billy And Nanny Goat (20)The Same Ol' Tune (21)Hillbilly Style (22)Cry Baby Blues (23)River Of Tears (24)I've Got The Blues (25)Choc'late Ice Cream Cone (26)Honky Tonk Sweetheart (27)Hillbilly Fever (28)Just A Yodel For Me (29)I Finally Got Maggie Alone


嬉しいことにドイツの Bear Family レコード社が1995(平成7)年にケニー・ロバーツの初期の作品を単品のCDで発売してくれました・・・・・現代のカウボーイコーラス グループ ”Riders In The Sky ” のリーダー Doug Green が解説を書いていてケニー・ロバーツのキャリアの概略を知ることが出来るので補足しながら2回に分けて訳して載せることにしました・・・・・「 懐かしのカントリー&ウェスタン 」 としての Kenny Roberts への興味が湧いてくれる人が一人でも出てくれればいいかな-と思います。

「もしヨーデル歌手の中に神話があるとすればそれは勿論 Jimmie Rodgers に起源があるといえるでしょう。彼の Blue yodel 曲から次世代のカントリー歌手の逸材が生み出されていったのです・・・今日では見られないような Gene Autry 、Roy Rogers 、Elton Britt、 Wilf "Montana Slim" Carterといった逸材そして10数年後にそれに続く Rex Allen 、Kenny Roberts といった人達が続きます。これを書いている時点(1995=平成7年)では Autry、 Rogers 、Carter 等はいずれも80~90才台で ヨーデルをやっていると健康にいいんだ-という証明になるほど元気です。 でも 時代の流れの中で消えてしまったヨーデルですが、そんな中で Kenny Roberts だけがヨーデル歌手としてアクティブに活躍しています。

Kenny Roberts は1927(昭和2)年10月14日テネシー州 Lenoir City に生まれましたが、母親の死をきっかけに父親の落ち着き先であるマサチューセッツ州 Athol で育ちました。子供の頃から音楽に人一倍興味を示し 歌、ギター、ハーモニカに堪能だったので13才の時にはコンテストに優勝するほどでした。1942(昭和17)年に15才でマサチューセッツ州 Greenfield の WHAI 放送局のラジオバンドだった the Red River Rangers に参加、翌1943(昭和18)年にはニューハンプシャー州 Keene の the Down Homers に参加しました。そして、Roy Rogers や Elton Britt、Wilf Carter 等のレコードに刺激されて自身のヨーデルスタイルを発展させていったのです。それは求められた時に最良の-しかも自分のテナーボイスを補完するような深く優しさに満ち溢れたヨーデルスタイルということでした。

1944~45年の海軍での兵役を終えて戻ると ケニーは ”Out Where The West Winds Blow ” と ”Who's Gonna Kiss You When I'm Gone ” の2曲を Vogue レコードに初レコーディングしたのでした。この Vogue Records は有名なピクチャーレコードになっていてレコード盤面に輝くようなカラー写真が刷り込まれているものです。ケニーは the Down Homers をやめるとソロ歌手としてインディアナ州 Fort Wayne の WOMO 局、 St. Loisの KMOX 局で活動し始めました。こうしたことは20才に満たない若者にとっては心躍るような出来事でした。
ケニーは1949(昭和24)年と1950(昭和25)年にヒット曲を出しています・・・・すなわち ”I Never See Maggie Alone ” と ” Choc'late Ice Cream Cone ” の2曲で共に novelty song(= comical and nonsencical song つまりコミカルでとりとめもない唄、茶目っ気のあるアメリカ人には受けたと思われます) です。 ユーモアがあって多才な一面をみせており、彼独特のヨーデル、明るいテナーボイスそれに songwriting の才能、そしてステージでの完璧なエンターテイナー振りなどが窺えるものとなっています。注目をひき続けたのはステージやテレビででした。 次回に続く 
(2010=平成22年8月3日の記事)
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つれづれに ( 時代劇 「必死剣 鳥刺し」 を見る )

2010年08月01日 | つれづれに
素晴しい時代劇 「必死剣 鳥刺し」
7月29日(木)夕方仕事を終えてから映画を見に行った。藤沢周平の小説からの時代劇 「 必死剣 鳥刺し 」・・・・・これは久し振りに見る本当に時代劇らしい優れた時代劇だった。構成、演技、殺陣(たて)とどれをとっても納得のいく内容で、映画の内容そのものだけでなくて、こんなに素晴しい時代劇が撮れる監督さんがいることに感激してしまった。内容は・・・・・武士として非凡な剣技の持ち主であるが故に 暗愚な藩主と卑劣な上司の策略に利用され、翻弄され-遂には抹殺されてゆく一人の藩士の物語。一種の ” 武士道残酷物語 ”だけれど主人公の兼見三左ェ門を演じる豊川悦司と、三左ェ門の亡き妻(戸田菜穂)の姪で三左ェ門を慕い世話する里尾(りお)役を演ずる池脇千鶴の演技が素晴しく、他の役者もよくてストーリーとともに映画の世界に引きずり込まれてしまった・・・・・真に見るに値する時代劇だと思う、お奨めで、見た人はきっと満足されるに違いない。豊川悦司の侍姿にはほれぼれします・・・・世界に誇れる日本映画はやっぱり時代劇かなあ・・・と思わせるものでした。写真は後日
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懐かしのカントリー&ウェスタン 149 「 ケニー・ロバーツ (2)」

2010年08月01日 | ケニー・ロバーツ
Kenny Roberts (2)
米国盤 Vocalion Records VL-3770 Yodellin' Kenny Roberts Sings Country Songs ( 日本盤 MCL-1093 )

(1)Arizona Yodeler (2)Billy And Nanny Goat (B-a-a A-a-a Ba-a-a) (3)Sweet Little Cherokee (4)F.O.B. Tennessee (5)Slide Them Jugs Down The Mountain (6)I Never See Maggie Alone (7)Hillbilly Fever (8)Hillbilly Style (9)Cry Baby Blues (10)I'd Like To Kiss Susie Again


往年のカントリーヨーデルのスター歌手だったケニー・ロバーツ (1927年~現在 テネシー州出身 ) のご機嫌な Country Song 集です・・・・・ヒット曲がそんなにあるわけでもないのに何故か存在感のある感じで アメリカではけっこうファンが多かったようです。 こういう人は決して路線を外したりしないからいつ聴いても変わり映えのしないスタイルであるかわりに どこか安心感があるんですね・・・・・例えていえばプロゴルファーでもツアーからツアーで年中追われている人もいれば どこかのゴルフ場の専属になってレッスンプロに徹している人もいる・・・・みたいなものかなあ。キャリアが長い割りにレコードは少なくてLPとして発売になったのは日本ではこのレコードだけだと思いますが まあ正統派のフィドル( Country Style のバイオリン)やマンドリン、エレキギターをバックに元気いっぱいに歌い飛ばしています。深刻で思わせぶりなカントリーもいいけれど ここでのケニーのようにけれん味のないストレートな楽しい Country Song もいいですよ。

このアルバムにある10曲は1949(昭和24)~1957(昭和32)年に録音されたもののようで、Kenny Roberts が20代の頃に当たるんでしょう・・・・・カントリー歌手としてこれからという時代だったでしょうから元気いっぱいなのは頷けます。
このレコードには何の解説も付いていません・・・・ケニー・ロバーツについてはドイツの Bear Family Records から 「 Jumpin' & Yodelin' Kenny Roberts 」 というタイトルの単品CDが1996(平成8)年に出されているので後日その解説から述べることにしようと思っています。
彼のようなヨーデルやカントリースタイルが現代の若いカントリーファンに受けるかどうかは判りませんが-なかなか今の時代には聴くことができないスタイルなので一度聴いてみたらよいかな・・・とは思います。 曲について・・・・・

(1)Arizona Yodeler・・・エレキギターとフィドルの伴奏で up-tempo の楽しいヨーデル曲
(2)Billy And Nanny~・・・土臭いフィドルを伴奏に歌う
(3)Sweet Little Cherokee・・・スティールギターの伴奏でゆったりと歌う、ちょっとスリム・ホイットマンのヨーデル曲 ”ミネトンカの湖畔で ”に似ている感じです
(4)F.O.B. Tennessee ・・・一転してピンピコはねるようなホンキートンクピアノにスティールギターとフィドルでスイングして楽しい曲
(5)Slide Them Jugs~・・・フィドル、マンドリンを伴ってアップテンポに歌う楽しいヨーデル曲、ケニー自身の吹く(?)ハーモニカも聴かれます
(6)I Never See Maggie Alone・・・ケニー一世一代のヒット曲といってもいいもの、土臭いフィドルの弾き方が時代を感じさせます
(7)Hillbilly Fever・・・ハーモニカとフィドルを伴ってまさに素朴なヒルビリーという感じの歌
(8)Hillbilly Style ・・・これも同じくフィドルとスティールギター伴奏で元気一杯アップテンポで歌われる
(9)Cry Baby Blues・・・ハモンドオルガン、スティールギターの伴奏で声を返しながら Swing しながら歌う不思議なブルース曲
(10)I'd Like To~・・・・・西部の Saloon(酒場)で鳴っていそうな軽快なホンキートンクピアノとフィドルに乗って歌う楽しそうな歌

・・・・・・・というわけで何にも考えなくて右の耳から左の耳へスーツと抜けていくような能天気な Country Song ばっかりなんですが 時にはこんなのもいいかなあ・・・と思います。
ケニー・ロバーツはまだ存命のはずなんですが・・・・どうしているんでしょう・・・ このアルバム自体はCDにはなっていないもよう
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