西部劇と懐かしのカントリー&ウェスタン日記

現代とはかけ離れたOld Countryの世界ですがずっと続けていきます。興味のある方は時々のぞいてみて下さい。

カウボーイ ソング 29 [ ミリー&ドリー・グッド ]

2010年08月12日 | カウボーイ・ソング
The Girls Of The Golden West
米国盤 Old Homestead Records OCHS-143 Millie and Dolly Good  ”Songs Of The West”

(1)My Sweet Kitty Wells (2)Silvery Moon On The Golden Gate (3)Put My Little Shoes Away (4)Story Of Sleepy Hollow Bill (5)When Its Round-up Time In Texas (6)The Dying Cowboy On The Prairie (7)When The Bees Are In The Hive (8)Old Pal Of Yesterday (9)The Oregon Trail (10)Ragtime Cowboy Joe (11)You Get A Line And I'll Get A Pole (12)The Tramps Mother (13)Faded Love Letters Of Mine (14)Red Sails In The Sunset (15)Only One Step More (16)Roamin' In The Gloamin' (17)By The Grave Of Nobodys Darling (18)Lonesome Valley Sally


カウボーイソングやアメリカ西部の歌という時、私達日本人(今はアメリカの人達だってそうかも知れません)は大抵はロマンチックなイメージを持ちます・・・・もう今は失われてしまった多くの事柄、映画の世界でしか再現されないロマンの世界みたいなものです。ちょっと考えただけでも 牛を駆り集める round-up にしろ 遠方に移動させる cattle drive にしろ今は車を使ってやるでしょうし、現実の西部には合理性だけを追求した動きが主体になってそこには 想い描くようなロマンなんて概念は入り込む余地はないことでしょう。それでも歌の世界にだけは残っていたり あるいは残して欲しい-という思いがあります・・・・・それがイメージとしての Cowboy Song 、Songs Of The West なんだと思います。

ここに採り上げたミリー & ドリー・グッドの姉妹は1930~50年代を中心に活躍したデュオグループでタイトル通り西部の歌を絶妙のコーラスでロマンチックに聴かせてくれます。厳密には Cowboy Song ではなくて ”西部の歌 ”ですが簡単なギターの伴奏だけでゆったりと唄うスローな曲がほとんどです、のんびりした時代だったからそれでも輝いたんだ-といえるんでしょう・・・・・セカセカと忙しい現代向きではないかも知れません-が採りあげておきたくて載せました。
オハイオ州の Rio Grande College の Ivan M. Tribe という人が書いた解説から姉妹の概略を知ることが出来るので かなり長くて専門的なことが書かれていますが省略せずに補足を加えたり整理したりしながらそのまま訳して載せることにします・・・・・・・

「 1930年代(昭和5~14年)はさまざまなデュエットチームが Country Music ファンの注目を惹いた時代でした。 Karl & Harty、 Mac & Bob 、Anglin 兄弟(ジョニー&ジャックのこと)、 Bolick 兄弟(=ブルースカイボーイズとして有名)、 Callahan Brothers、Delmore Brothers などの他 Lulu belle & Scotty のような夫婦のデュエットなども1940年代までは覇を競っていました。 しかし、女性だけのデュエットチーム内ではだいぶ開きがありました。
初期の頃は Mildred & Dorothy Good 姉妹は テキサス州 Muleshore 地方の華やかな音楽シーンからやって来たんだろう-と思われていました。最近の研究によるとそうした話はその時代の歌手達を Golden West という語と結びつけてイメージをふくらませるために作られた話である-と判ってきました・・・・・例えば original Texas Saddle Pal は実際はウェストバージニア州 Perkersburg 出身ですし 、The Gold Star Ranger はオハイオ州 Blue Creek 、Arizona Rusty はケンタッキー州 Mckee 出身、 the Apache Arizona Indian はオハイオ州 Peebles 出身・・・・・といった具合に直接西部とは関係のないところです。それは当時 musical western films ( Singing Cowboy 達による西部劇のことと思われます) が人気だったので 前記のような演奏家達の音楽とロマンチックでエキゾチックなアメリカ西部のイメージを結びつけて、hillbilly のようなマイナスイメージの言葉を幾分でもやわらげようという作用に働いたのは疑いの余地がないことでした。

Mildred Fern Good (1913生まれ) と Dorothy Laverne Good (1915生まれ) の Good 姉妹は実際はイリノイ州 Mt.Carmel 出身で 一家の先祖はドイツ系で、もとの綴りは Goad でしたが 子孫がアメリカ風に Good と呼び改めたのでした。The Girls of the Golden West は St. Louis でラジオの仕事で舞台を踏みました。

1933年初め :シカゴの WLS 局の National Barn Dance ()に移籍。
1933(昭和8)年7月28日 : Windy City で初録音してレコードデビューしています。この頃までには Dolly がリードボーカルとギターを担当し Millie がハーモニーをつけて歌う形に定着。レパートリーとしては比較的新しく作られた西部調の歌が中心的で たいていはヨーデルを入れたものでした。
1934,35年 :レコーディングを行なう。    シカゴでの4年の後
1937(昭和12)年 :オハイオ州シンシナチの WSW 局で John Lair が主催する Renfro Valley Barn Dance に移籍。 1939(昭和14)年に John Liar がケンタッキー州の Rockcastle County へ去った後も二人はシンシナチに留まって Boon County Jamboree や Midwestern Hayride といったショウのスターとして活躍。 Millie の夫 Bill McCluskey がショウのマネージャーで Millie が1940年代に育児のため一時期休んだ時も Dolly は WSW に出演し続けました。
1938(昭和13)年 :2人が復帰すると、最後のレコーディングをしたのでした。

1930~1940年代は Millie & Dolly は中西部から南部にかけて沢山の演奏活動を行なっています。2人のハーモニーとヨーデル、西部調の歌は大好評でした。1948(昭和23)年には私(筆者)の故郷オハイオ州 Athens にも来て公演しているんですね・・・・私は当時8才ですから The Girl Of The Golden West を見ることが出来なくてとても残念です。かつて2人のライブショウやラジオ出演、78回転のSPレコードを聴いた人達同様に2人の公演を聴き逃した人達にとって幸いなことに、この再発LPレコードによって2人の音楽に接することが出来るのです。
このアルバムの選曲は代表的なオリジナル録音から成っていますが、 ” Sweet Kitty Wells ” だけが1967(昭和42)年に Bluebonnet レコード社に録音した曲になっています。因みにこの曲には Bradley Kincaid ()が加わっています。The Kentucky Mountain Boy (= Bradley Kincaid )はコレクター向けに Fort Worth に本拠を置くレーベルから数枚のアルバムを 出していました。The Girls Of The Golden West は1949(昭和24)年に演奏活動に幕を下ろしましたが、1950年代までは時々演奏し続けました。Dolly はソロとして幾つかのアルバムを、1963(昭和38)年には2人のデュオとして6枚のアルバムを Bluebonnet レコード社から出しています。
Dolly は1967(昭和42)年11月12日に他界し、シンシナチの北オハイオ州 Hamilton に埋葬されました。 Millie と Bill McCluskey 夫妻は長い間 WSW で活躍し、Queen City に住んでいます(Millie は1997年に他界)。」・・・・・・・・以上が解説訳。  

(あ~疲れたな、詳しいのはいいけど長い訳は疲れる・・・・味気ない直訳でなくて読みやすい日本語にかみ砕いて表現する作業はけっこうな頭の体操になりそう。このレコードを聴きながら訳していてもあっという間に18曲が終わってしまう感じだ・・・・drinkin' bourbon time )

ところで、Old Homestead Records はアメリカの ”草の根のカントリー ” とでもいえるレコードを出し続けたマイナーレコード会社で、メジャーレコード会社がほとんど見向きもしなくなった Old & Rural America の音を提供し続けた殊勝な志を持ったレコード会社でした・・・・ 今でも存在していて、方針は全く変わっていないようです・・・・・こんなところに恐らく Country Music の奥深さが残っているんでしょう。そこからこの Good 姉妹の古い音源の復刻盤が出されたのを知って・・・・・”西部の唄”を歌う姉妹ということで興味を持って買ってみたものです。ちょうど同社がLPからCDに転換する頃で在庫レコード処分のバーゲンセールしていて3ドルで買ったものです。 古~い音源ですがロマンチックにアメリカ西部を歌う2人のハーモニーは魅力があります・・・・・・今では同社のCDになっていると思いますが・・・・?? 
興味があればイギリスの非営利レコード会社 British Archive Of Country Music (略して B.A.C.M) から2枚のCDが出されています(私は未見)
CD D-009 Girls Of The Golden West/ Home Sweet Home In Texas
CD D-074 Girls Of The Golden West/ Roll Along Prairie Moon
(2010=平成22年6月18日の記事)
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする