

ランドルフ・スコット西部劇 ” Fronteer Marshall ” を見た
1939(昭和)年製作 アラン・ドワン監督 映画 71分 白黒
西部劇パーフェクト・コレクションと銘打った10枚組DVDセットが廉価シリーズでたくさん発売になっていますが、その中の1巻に入っている作品 「フロンティア・マーシャル 」を見た。 往年の西部劇スターであったランドルフ・スコット(19~19)がワイアット・アープの役で出ている西部劇。 日本未公開作品だから昔の人達も見たことがないという作品・・・・・・1939年製作と超古い西部劇なんですがなかなか面白かった。
ワイアット・アープが出てくる映画はジョン・フォード監督の「 荒野の決闘(1949.昭和24)」、ジョン・スタージェス監督の 「 OK牧場の決闘(1957.昭和32) 」と「 墓石と決闘(1967.昭和42) 」のほかカート・ラッセル主演の「 Tombstone (1993.平成5)」、ローレンス・カスダン監督・ケビン・コスナー主演の「 ワイアット・アープ(1994.平成6) 」など枚挙に暇がないですが、この作品はこれらよりもっずっと古いですから興味深い作品です。




<ストーリー> 映画の初頭で無法の町ツームストン(Tombstone=墓石)という奇妙な名前の鉱山町が出来上がった由来を映像と字幕で説明してあります・・・・・こんな説明があると親切に思えていいな。 さて、物語自体はスチュアート・N・レークの原作に基づいているので多少の違いはあっても大体の流れは前に挙げた作品群と似通っています。ただ、この作品の方が年代的にはずっと古いですからこの映画が後年の作品群のお手本になったと推測できるかも知れません。 駅馬車経営をしようとTombstoneにやって来たワイアット・アープ、この町を牛耳ろうとしている酒場経営者とその一味、医者崩れの凄腕ガンマン ドク・ホリデイと姐後肌の酒場の歌姫、ドクを探してこの町にたどり着いた昔の恋人などが織りなす人間模様を軸に最後のOK牧場(家畜置き場)に至る物語です。ただ、後年の映画では(実話でも)兄のヴァージル・アープ、弟のモーガン・アープが出てくるんですがこの映画ではワイアット一人になっています。



写真は順に、アープ( ランドルフ・スコット 写真1 )が保安官を引き受ける結果につながる酒場経営者一味のインディアン無法者チャーリー( 写真2 )を凝らしめるシーン、やる気のない前任の保安官役をウォード・ボンド( 写真3 )が演っています。この人ジョン・ウェインの学生時代からの親友でジョン・フォード一家の常連でもあってたくさんの西部劇にも出ていて色んなところでお目にかかります(smile)、前記のインディアンチャーリーをアープが始末しようと申し出た時にお手並み拝見・・・・・みたいな態度をとってあとでアワを喰って保安官をクビになり唖然とするシーンが笑える。



アープがポーカーをやっている酒場に無表情に冷徹なドク・ホリデイ(シーザー・ロメロ 写真4)が入ってくる、一瞬にして酒場全体が凍りついたように静まる・・・・・ポーカーをやっている席にきて客にいちゃもんをつけるが、急に咳き込むドクをデリンジャー拳銃で撃とうとした卑怯な賭博師( 写真5 )をアープが制止したことからドクとアープの友情が生まれてくる。酒場で互いの拳銃を見せ合って ”バントライン・スペシャルがどうのこうの、銃身がちょっと長いんだ・・・・・ ” とかの面白いおしゃべりシーンがある、西部劇ファンの溜飲をさげるシーンかな(smile)。メキシコ人のバーテンダー( 写真6 )も愛嬌があって楽しい。



例によって賑やかな酒場のショーガール達のダンスシーン( 写真7 )があり、ドクの情婦ジュリー(ビニー・バーンズ 写真8 )とドクを探して西部に来た昔の恋人サラ( ナンシー・ケリー 写真9 )との出逢い、そしてドクをめぐるこの二人の女性の確執・・・・・などがあってドラマは進行していきます・・・・・



ランドルフ・スコットは雰囲気的にゲイリー・クーパーに似通ったところがあっていいなあ、西部男という感じがありますからね(写真10)。 さて、対する相手方のワル達(写真11)、左からロン・チャニーJr.( クーパーの ”真昼の決闘 ” で前任の保安官役をやった人のやや若い頃)、真ん中が酒場経営者役で痩身のジョン・キャラダイン(J.ウェインの ”駅馬車 ” では賭博師のハットフィールド役を演っていた )、右の黒ずくめの男は無法者カーリー・ビルで役者さんの名前がちょっとわかりませんがいかにも悪そうで映画に雰囲気を持たせてくれる・・・悪漢に凄味があると西部劇は面白いんですね。この役者さん調べてみよう・・・(smile)。そして巡回演劇スター エディ・フォイ役に何と本人の実の息子さんなんでしょうか E・Foy Jr.という人がクレジットされています、ちょっと調べてみないとわからないなあ(写真12)・・・・面白い面白い、未完につき続く
カーリー・ビルを演じたのはジョー・ソウヤーと言う西部劇ではよく見る役者です。フォイは本当に二世が演じてます.
ワード・ボンドは、前作の「国境守備隊」、そして本作、このあとの「荒野の決闘」と3度、このレイクの原作の映画化作品に出演しております。
そしてこの原作は、「荒野の決闘」のあと、もう1度フォックスは映画化しており、それが「パウダー・リバーの対決」です。凡作ですが、この事情を知ってから見ると興味深い。ドクをモデルにしたキャメロン・ミッチェルは当然病気持ちなんですが、これがアッと驚くのですよ。
どうぞ、今後とも西部劇にご健筆お振るい下さい。