モニュメント・ヴァレーの消灯ラッパ (ジョン・フォード西部劇を追って) 著者: 原川順男 株式会社かんぽう 発行
11月15日(土)鹿児島市内のギャラリーの「西部劇 栄光の60年イラスト展」に行った。この日は特別に東京から写真に挙げた本の著者 原川順男さんが来られて「ジョン・フォードはインディアンを何人殺したか!?」・・・・・という題でギャラリートークがあったのでした。そのため話を聴こうと、いつもなら仕事を終えて金曜日の夜に博多に帰るところを一日延ばしたのでした。
まずその題名に・・・・・面白い見方があるものだとびっくり。
フォード西部劇でインディアンが出てくる9作品を時代順に挙げて・・・・・1939年の「駅馬車」から「アパッチ砦」「黄色いリボン」「リオ・グランデの砦」「捜索者」「馬上の二人」等そして1964年の「シャイアン」まで・・・・・何族が出演したとか、撮影場所はどこだったとか、画面から「何人のインディアン?」・・・・・というわけなんですね。相当に1本の作品を見込んでいたり、薀蓄がないと出来ないわざです(smile)、でも原川さんは「~の場面がありましたね」とかスイスイと話されていました。 インディアン達にとっては迷惑な話ですが、それでもフォードが生活上苦境に喘いでいた彼らにエキストラとしての仕事を提供して援助する形になった、とか「シャイアン」はインディアンに同情を示すような作品になった・・・・などフォード監督は決して彼等を粗末に扱うことは無かったという面白いお話でした。
聴きに来ていた人達はせいぜい20人位でした(主催者の前田さんがもうすこし多いかと思ったけど西部劇の現状ではそんなものかなと話されていました)が、多分西部劇にひとかたならぬ愛着を持つ人たちだろうと思います。
さて、2004年に出されたこの本は原川さんの話によると500部しか出版されなかったのだそうです。私もその存在は知っていたのですが本屋さんでは手に入らなかったのでは・・・・・未だに手に入らないままなんですが、知り合いの映画好きのT君が持っていたので借りて読んでみました。以下目次です
PartⅠ.はるかなるモニュメント・ヴァレー ・・・・・原川さんは何回か実際に訪ねられていて、アメリカ西部の地図からその位置と映画ロケが行われた場所の紹介。なぜジョン・フォード監督が西部劇でこの地を選ぶようになったのかのエピソードを紹介してある。「荒野の決闘」の終わりのほうで有名な「ワイアット・アープとクレメンタインの別れのシーンの遠景」についても述べられています
PartⅡ.騎兵隊3部作の向こうにアイルランドが見える ・・・・・アイルランド出身だったフォードは俳優でも、映画の内容や音楽でもアイルランド系とかアイルランド気質(かたぎ)をさりげなく使ったり入れたりしていますが、その根源がなぜなのかが判るような内容
PartⅢ.アイルランドに「静かなる男」を訪ねて・・・・・著者がジョン・ウェイン主演の「静かなる男」(1952年)の撮影現場をアイルランドに訪ねた時のもようを紹介したはなし
PartⅣ. 最後の輝きとしのびよる落日・・・・・ 西部劇「捜索者」、「シャイアン」などについて
PartⅤ.ジョン・フォードがいた風景・・・・・衰退する西部劇。1964年にフォードが語ったという 「西部劇が好きだと、無学な人間と決め付けるのは馬鹿げたことだ。セックスや犯罪、売春、麻薬中毒を扱った映画を好む人間の方がインテリなのか」 と予見して反発している・・・・・という文章が載せてあります(現代はまさにそういう時代になってしまったと感じますね)。 他に所々に挿入された下記のような記事も面白いものです
Side Story 1 ”もうひとりのジョン・ウェイン”の死
Side Story 2 フォード映画のヒーロー、ヒロインたち
Side Story 3 ハリー・ケリー・ジュニア訪問記・・・・まだ存命で元気なんですね(嬉)
For Your Information 1・・・・モニュメント・ヴァレー及びモアブ ロケ作品一覧(フォードだけでなくて他の監督作の西部劇も載っているので有難い)
For Your Information 2・・・・ ジョン・フォード一家メンバーの作品歴
For Your Information 3・・・・ ジョン・フォード作品の挿入曲(各映画の場面場面で使われた曲が細かく記してあってその曲名や歌の由来まで載せてあります。著者 原川さんのこだわりがすごいと思いました。僕はこの項目がとても有難かったです)
最後に私の思うところですが、この本は発行部数が少なかったようで できれば再版されてもっと多くの人に読んでもらいたいな・・・と思います
11月15日(土)鹿児島市内のギャラリーの「西部劇 栄光の60年イラスト展」に行った。この日は特別に東京から写真に挙げた本の著者 原川順男さんが来られて「ジョン・フォードはインディアンを何人殺したか!?」・・・・・という題でギャラリートークがあったのでした。そのため話を聴こうと、いつもなら仕事を終えて金曜日の夜に博多に帰るところを一日延ばしたのでした。
まずその題名に・・・・・面白い見方があるものだとびっくり。
フォード西部劇でインディアンが出てくる9作品を時代順に挙げて・・・・・1939年の「駅馬車」から「アパッチ砦」「黄色いリボン」「リオ・グランデの砦」「捜索者」「馬上の二人」等そして1964年の「シャイアン」まで・・・・・何族が出演したとか、撮影場所はどこだったとか、画面から「何人のインディアン?」・・・・・というわけなんですね。相当に1本の作品を見込んでいたり、薀蓄がないと出来ないわざです(smile)、でも原川さんは「~の場面がありましたね」とかスイスイと話されていました。 インディアン達にとっては迷惑な話ですが、それでもフォードが生活上苦境に喘いでいた彼らにエキストラとしての仕事を提供して援助する形になった、とか「シャイアン」はインディアンに同情を示すような作品になった・・・・などフォード監督は決して彼等を粗末に扱うことは無かったという面白いお話でした。
聴きに来ていた人達はせいぜい20人位でした(主催者の前田さんがもうすこし多いかと思ったけど西部劇の現状ではそんなものかなと話されていました)が、多分西部劇にひとかたならぬ愛着を持つ人たちだろうと思います。
さて、2004年に出されたこの本は原川さんの話によると500部しか出版されなかったのだそうです。私もその存在は知っていたのですが本屋さんでは手に入らなかったのでは・・・・・未だに手に入らないままなんですが、知り合いの映画好きのT君が持っていたので借りて読んでみました。以下目次です
PartⅠ.はるかなるモニュメント・ヴァレー ・・・・・原川さんは何回か実際に訪ねられていて、アメリカ西部の地図からその位置と映画ロケが行われた場所の紹介。なぜジョン・フォード監督が西部劇でこの地を選ぶようになったのかのエピソードを紹介してある。「荒野の決闘」の終わりのほうで有名な「ワイアット・アープとクレメンタインの別れのシーンの遠景」についても述べられています
PartⅡ.騎兵隊3部作の向こうにアイルランドが見える ・・・・・アイルランド出身だったフォードは俳優でも、映画の内容や音楽でもアイルランド系とかアイルランド気質(かたぎ)をさりげなく使ったり入れたりしていますが、その根源がなぜなのかが判るような内容
PartⅢ.アイルランドに「静かなる男」を訪ねて・・・・・著者がジョン・ウェイン主演の「静かなる男」(1952年)の撮影現場をアイルランドに訪ねた時のもようを紹介したはなし
PartⅣ. 最後の輝きとしのびよる落日・・・・・ 西部劇「捜索者」、「シャイアン」などについて
PartⅤ.ジョン・フォードがいた風景・・・・・衰退する西部劇。1964年にフォードが語ったという 「西部劇が好きだと、無学な人間と決め付けるのは馬鹿げたことだ。セックスや犯罪、売春、麻薬中毒を扱った映画を好む人間の方がインテリなのか」 と予見して反発している・・・・・という文章が載せてあります(現代はまさにそういう時代になってしまったと感じますね)。 他に所々に挿入された下記のような記事も面白いものです
Side Story 1 ”もうひとりのジョン・ウェイン”の死
Side Story 2 フォード映画のヒーロー、ヒロインたち
Side Story 3 ハリー・ケリー・ジュニア訪問記・・・・まだ存命で元気なんですね(嬉)
For Your Information 1・・・・モニュメント・ヴァレー及びモアブ ロケ作品一覧(フォードだけでなくて他の監督作の西部劇も載っているので有難い)
For Your Information 2・・・・ ジョン・フォード一家メンバーの作品歴
For Your Information 3・・・・ ジョン・フォード作品の挿入曲(各映画の場面場面で使われた曲が細かく記してあってその曲名や歌の由来まで載せてあります。著者 原川さんのこだわりがすごいと思いました。僕はこの項目がとても有難かったです)
最後に私の思うところですが、この本は発行部数が少なかったようで できれば再版されてもっと多くの人に読んでもらいたいな・・・と思います