月下老人、氷人共に中国の故事であり、老人が有していた赤い糸について尋ねると、この糸で
結ばれればそれがご縁とか、氷の上と下は陰陽でありそこに立っているというのは仲立ちである
とか、様々な故事の由来をお聞きしましたが、細かな話は省略と致します。
故事成語の面白さは、その由来だけでなく韻とか雰囲気とか...。確かに月夜、月下と聞くと、
オオカミが吠えたり、モンスターが覚醒したり...。洋の東西を問わず、不思議な魔力とも言うべき
何かが宿っているように感じます。さしずめ、海の月下氷人は漁師の方々...。
銚子沖に魚がいたとしても、そこに赴いて魚を獲る方々がいなければ、我々一般市民は魚が食べ
られない。漁獲もご縁とすれば...、“袖すり合うも他生の縁” 躓(つま)づく石も縁の端”
一樹の陰、一河(いちが)の流れも他生の縁...そんなことわざの数々もあるようです。
今、広い太平洋のそのどこかを泳いでいる魚...。その魚を探しに小さな端緒を手繰りながら操業
する漁師さん方。海の月下氷人は、まさに魚と人を繋ぐ仲人...。最近殊に、何かと何か。人と人
“繋ぐ”ということについて、その重要性を益々感じているところです。某日、月下にて...。