朝9時前の開店前から入店。
店内にはTV、ラジオ、新聞など県内ほとんどの報道陣。
みんな言葉少なにカメラなどをセットしている。
店の外には11時の食堂開店を待つお客様たちが50人ほど
三々五々椅子に座ったり、ぶらぶらしたりしながら並んでいる。
従業員の方々は忙しそうに行き来しながらも
いつも通り、いやいつもにも増してにこやかに対応してくれる。
店舗開店前には食堂へのお客様を7階へ。
そこでも皆さん少し寂しそうに、でも笑顔で行列を作っている。
10時に5階までの店舗開店。
そして食堂は予定開店時間より20分早くオープン。
お客様達は、その人数の割には喧騒もなく静かに入ってくる。
・・・マルカン閉店の日はこうして始まった。
我々も撮影のためにいろいろなメニューを注文。
安いマルカン食堂で7千円も使ったのは初めて(笑)
ひとつひとつのメニューの味をかみしめる。
この日だけでもたくさんのドラマがあった。
存続署名活動をした高校生達と
その高校生達に署名の時の横断幕を提供したおばあさんは
同じ時間にすぐそばの席に座っていたことがわかり
偶然にしては運命的な再会を果たした。
マルカンの「これから」を検討している
家守舎メンバーも駆けつけた。
名物のソフトクリームの被り物を持参のグループも。
写真集のために寄せられたメッセージには
「結婚で花巻に来て41年。当時主人と初めて食事したのがここでした」
「娘がアルバイトしたマルカンの食堂が閉まるのは寂しい」
など、心を打つものも多数。
18時の閉店時間には寄せ書きを持った大学生達も駆けつけ、
従業員の方々が出口に揃ってお客様の見送り。
閉店セレモニーでの社長の言葉は涙で震えていた。
短いけれど、心からの思いがこもったご挨拶。
ご自身が一番のマルカンファンだったのだなぁと胸が締め付けられた。
シャッターが降り始めると
自然発生的に出口付近に集まっていた人たちからの
「マルカン43年間ありがとう!!」の大合唱。
動画を撮りながら、ファインダーが滲んでよく見えなかった。
そして何より嬉しかったのは
そのシャッター前での寄せ書きの大学生達の
「(マルカン再生をはじめ)花巻の若者の力を見てろ!!」の宣言。
署名活動した高校生達もその中に入っている。
これには背中に電気が走った。
すごい!! すごい!!
マルカン百貨店閉店は衝撃だったし、悲しいことだが
ある意味、大きな動きのきっかけになった気がする。
マルカン百貨店の歴史は幕を閉じたけれど
若い力で街を再生する物語、ドキュメンタリーは
今始まったばかり。