本屋が好きだ。
ネットで買う場合もあるけれど
本屋で思ってもみなかった1冊と出会うのはまさに一期一会で、
どれを買おうか迷う瞬間は至福の時ですらある。
会社員時代は毎日電車で通い、盛岡駅を利用していたので
本書の著者が勤めるさわや書店フェザン店には本当にお世話になった。
ここは北国の田舎の小さな店ではあるけれど
店員さんたちによるPOPでベストセラーが生まれたりしたことにより
知る人ぞ知る、出版業界では超有名店。
この店の店長さんによる挑戦の日々がここに書かれている。
出版不況の真っ只中、出版社や取次や書店は今や斜陽産業と言われ、
事実昨年も複数の中堅取次店の倒産という大きな衝撃はあった。
でもね「本」が持つポテンシャルを私はまだまだ信じている。
実際にこの店では売るために・・・というより
より多くの人たちに本を届けるために
知恵を絞り、労力を惜しまず、お客様と対峙している。
本好きとして、そして同じ業界でメシを食う人間として
読んでいて嬉しくなってしまった。
先日うかがった東京下北沢の本屋B&Bさんもいい本屋さんだった。
まだまだ知らない本の世界がある。
それを垣間見せてくれる、ワクワクさせてくれる本屋さんが
きっと現状を打破してくれると信じているし
私も微力ながら現状に一石を投じられればいいと思っている。
本書を読み、なんだか同士を得たようで嬉しくなってしまった。
でもね、本の世界だけじゃないと思うよ。
商売の肝ともいうべきものの基本がこの本には書かれている。
それは決して効率だけで語られるべきものではない。
出版社も、よくぞ本書を出してくれた。
感謝。
「まちの本屋」田口幹人:著 ポプラ社