風音土香

21世紀初頭、地球の片隅の
ありをりはべり いまそかり

「エモい古語辞典」

2022-10-07 | 読書


「好きなキャラをエモく表現するために感受性を爆上げしたいから
 爆エモな語彙を知りたい」
というマンガ好き中学生からの依頼で企画が始まったと
本書のまえがきに書いてあった。
「爆エモな語彙を覚える前にその表現なんとかしろよ」
というおっさんからの心の中のツッコミはさておき
こんな面白い本が世に出るきっかけを作ってくれたその子には感謝。
正直「そうきたか」と、本書の宣伝を見たときに
同じく本作りをする私はちょっとしたジェラシーを感じた。
それほど面白い。

よく知った言葉も載っているが
全く知らなかった言葉も多くて、自らの浅学を恥じることにもなった。
日本語表現の繊細さと、感覚の鋭さに舌も巻いた。
こんな直截的ではない深い意味の言葉を操った古の日本人は
なんと幅広い教養と感受性を持った存在だったんだろう。
現代日本に足りないものはこれだな。
言葉が変化するのは、そういうものだと思うしかないのだが
表現語彙がどんどん減っていることには危機を感じる。
高等教育に一番必要なのはやっぱり教養と哲学。
実学なんざそのあとでいい。
本書をひと通り読んで、再認識した。
私ももっと勉強しなくては。

「金烏玉兎」とか「可惜夜」「銀鉤」「靉靆」など
自然や気候などを表す美しい言葉や
(今はまさしく「爽籟」を感じたい季節)
「真玉手」「芙蓉の眥」「緋唇」のような艶かしい表現も。
「寤寐思服」や「落花流水」「比翼連理」などは切ない表現。
哲学的な表現は主に仏教思想から生まれている。
中でも気に入ったのは「殺仏殺祖」「乾坤只一人」「玄玄」など。
それぞれかくありたい。
「風交」という言葉も素敵だ。

二字連語や雅語はこれからも使いたい言葉が満載。
学びます。

挙げた言葉の意味や読み方は
ぜひ本書を買ってご確認ください(笑)

「エモい古語辞典」堀越英美:著 朝日出版社

 
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 花巻市に関する個人的な意見 | トップ | 和喫茶「豚熊」さん »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

読書」カテゴリの最新記事