風音土香

21世紀初頭、地球の片隅の
ありをりはべり いまそかり

ラジカセ

2012-04-10 | 音楽
ネットで探し物をし
偶然画像を見つけたSONY studio 1780。
中学校入学の頃、親に買ってもらったラジカセだ。
ケーム機もパソコンもケータイも無い時代、
ラジカセと腕時計は当時の中学生にとって
「もう子どもじゃない」と思わせてくれる象徴のような
大人へのゲートを潜ったような買い物だった。
(もちろん自分で買ったわけじゃないけど)

値段を見てびっくり。当時の定価37,800円。
今これだけ出せばちょっとしたオーディオが買えちゃう。
当時の大卒初任給が6万円ぐらい?
その半分以上をつぎ込まなければ買えなかった値段。
今さらながら買ってくれた親に感謝だねぇ。

細かいディテールをよく覚えている。
左端の黄色く小さなスイッチはチューニングスケールの灯り。
スケール下のスイッチとダイヤル2つは
ミキシング用のマイクスイッチとボリューム。
筐体上部にはスピーカーボリュームとトーンコントロール。
真ん中にある電源スイッチの感触まで覚えている。

中学~高校の6年間とてもお世話になった。
買ったばかりの頃はヒット曲をエアチェックしていた。
小坂明子の「あなた」やかぐや姫の「神田川」が印象深い。
そのうちに自宅近くの市立図書館でレコードの貸し出しが始まり、
親が大きなステレオ&カセットデッキを買ったため
次々に借りたレコードをカセットテープに録音し、
ひとり部屋にこもって聴くようになった。
岡林信康、吉田拓郎、チューリップ、赤い鳥・・・
そしてやがてビートルズ。
中3になるとクラプトンやオールマンブラザーズ、ザ・バンド。
アメリカンロックやブルースに興味が出始めた頃。

FMを中心としてラジオもよく聴いた。
中学時代はNHK盛岡放送局のローカル番組である
「FMリクエストアワー」を欠かさず聴いていた。
県内のアマチュアバンドの双璧だった
NSPとアマリリスはそこで知った。
アマリリスは中学校の先輩達だったので特によく聴いていた。
(それから30年後、まさか一緒にバンドを演るとは・・・)
中3頃からは深夜放送(「オールナイトニッポン」ね)が
深夜の友達だった。

高校に入るとラジオで「コッキーポップ」も聴いたけれど
だんだんJAZZに興味を持つようになり、
ラジオではFMの「クロスオーバー11」を毎晩聴いた。
カセットテープでは秋吉敏子、渡辺貞夫、渡邉香津美、
そしてハービーハンコックをはじめとするV.S.O.P、
クルセイダーズ、スタッフ、ラリーカールトン、チックコリア、
MJQ、スタンゲッツ、ビルエバンス、マッコイタイナー・・・

大学入学のために家を出る時、このラジカセは置いてきた。
レコードが聴ける新しいモジュラーステレオを買ったから。
何の未練も無く置いてきた。
子ども時代に別れを告げるように。
まるで徳永英明の「壊れかけのラジオ」。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 桜花 | トップ | フォーク処 COCORO »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

音楽」カテゴリの最新記事