風音土香

21世紀初頭、地球の片隅の
ありをりはべり いまそかり

KAGEROU

2011-01-04 | 読書
正直言って
あまり興味は無かった。
受賞の騒ぎも、その後の様々な憶測や噂話も
文芸作品に関するものというより、
芸能界ゴシップとしてしか聞いていなかったから。
友人が貸してくれなければ
いつまでたっても読むことは無かったろう。

結論から言うと、なかなか優れたSFファンタジー。
やれ「デキレース」だとか「過剰演出」だとか、
はたまた内容についても「非現実的」だとかいう声が
巷で流れているようだけど、
少なくとも「水嶋ヒロ」という俳優のことなど
よく知らない人間が読んでみて面白かったってのも事実。
非現実的なのも仕方ない。
SFファンタジーという意味では
かつての筒井康隆や星新一だって非現実的だった。

この作品が応募作の中にあったなら
誰が書こうがかなりの評価を得ただろう。
洒脱な文章表現、しっかりとした構成。
そして何よりテーマがきちんと表現されている。
高校生~20代の、いわばヤングアダルト(古い?)が
自分の生と死、生きる意味などを考えながら
そして明日への希望を感じながら読むには素晴らしい作品だ。

多少ムリがある部分もあるが
(茜の宿題にいたるエピソードや
 最後の部分でキョウヤの理解が早いところなど)
全体の展開の巧みさや斬新なストーリー仕立ての前では
些末なところにも思える。
次作への課題ってとこかな?

「KAGEROU」齋藤智裕 ポプラ社
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