読んで良かった本が映画になった時、
見てがっかりすることがとても多いのだが、
本作は映画作品としてとても良かった。
ストーリーはほぼ原作踏襲だが、
役者たちの心の動き、その場の空気の作り方が
さすが山田洋次監督作品。
ほぼ全編セットによる作り物じみた画面も
それが演出に見えてくるから不思議だ。
暗い世相の中、いつもと変わらぬ明るい日常。
市井の人間は何気ないささやかな日常を生きる。
ちょっとした心の揺れすら大事件になるほど。
しかし時代や社会はそんな普通の人々を騙しながら
いつの間にか取り返しのつかないところへ連れて行く。
現代においても同じだろう。
特定秘密法、武器輸出三原則のなし崩し、
そして集団的自衛権行使と憲法改正への動き。
あぁこの作品は山田洋次監督による社会への警鐘だ。
もう一度見たい。
映画「小さいおうち」