風音土香

21世紀初頭、地球の片隅の
ありをりはべり いまそかり

市井の人間が求めるもの

2012-09-27 | 生活の風景
自民党の総裁選びは
立候補者の誰も期待はしていなかったけれど
「あっそう」さんと並ぶおぼっちゃマンが選ばれ、
一番ヒドい人となった印象。
その結果だけ見ても国民と政治家との意識の乖離がわかる。
いま日本に必要なのは「強い日本」ではなく福祉と保障。
力を尽くすべきなのは「政権奪還」ではなく復興。
国際問題の解決は力比べではなく外交という人知が必要。
まぁ震災から今まで続く緊急時に権力争いしたり
復興の足引っ張るような政局作ったり
あの政党そのものが空気読めない人の集まりだけどね。

最近の焦げ臭いアジア情勢を見つつ
ふと、以前読んだ本を思い出した。
第二次世界大戦で戦死した
無名の、ごく普通の青年の詩を紹介した本。
今も昔も、市井の人間が求めるものや気持ちは変わらない。

 日本よ
 オレの国よ
 オレにはお前が見えない
 一体オレは本当に日本に帰ってきているのか
 なんにもみえない
 オレの日本はなくなった
 オレの日本がみえない
          (「日本がみえない」より)

 街はいくさがたりであふれ
 どこへいっても征くはなし 勝ったはなし
 三ヶ月もたてばぼくも征くのだけれど
 だけど こうしてぼんやりしてる
   (中略)
 だれもかれもおとこならみんな征くのだけれど
 ぼくも征くのだけれど 征くのだけれど
 なんにもできず
 蝶をとったり 子どもとあそんだり
 うっかりしていて戦死するかしら
   (「ぼくもいくさに征くのだけれど」より)

 戦死やあはれ
 兵隊の死ぬるやあはれ
 とほい他国で ひょんと死ぬるや
 だまってだれもゐないところで
 ひょんと死ぬるや
 ふるさとの風や
 こひびとの眼や
 ひょんと死ぬるや
 国のため
 大君のため
 死んでしまうや
 その心や
            (「骨のうたふ」より)

 なんのために
 ともかく 生きている
 ともかく

 青空のように
 五月のように
 みんなが
 みんなで
 愉快に生きよう
           (「五月のように」より)

「ぼくもいくさに征くのだけれど~竹内浩三の詩と死~」
             稲泉連 著 中公文庫より

写真は芝増上寺と東京タワー。
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