この本は1970年に出版されたものの復刻版。
75年前の昭和20年8月6日、
県立広島二中の1年生たちが、勤労奉仕の最中
爆心地付近で原爆に被曝し全滅した記録だ。
亡くなった生徒ひとりひとりの最期を丹念に追ったルポ。
発刊された1970年当時、私は小学校4年生。
担任の先生から勧められるままに読み、衝撃を受けた。
旧制中学は小学校卒業後に入る学校だから
亡くなった1年生たちは当時12歳〜13歳のまだ子どもで
当時の私より3歳多いだけだ。
その子たちが、即死したり、爆風で飛ばされたまま行方不明になったり、
瀕死の全身大火傷を負いながら何kmも歩いて家に帰ったり、
動けずに道端で助けを求めたりしながら死んでいった。
幸運にも建物の影で無傷だった子も
数日のうちに放射能被曝で苦しみながら死ぬ。
ひとりひとりの当時の写真が痛ましくて涙がこぼれたものだ。
あれから50年。
本書は今も私の心の中にあり続ける。
けれども世界はちっとも変わってはいない。
広島の平和公園にある原爆死没者慰霊碑には
「安らかに眠って下さい 過ちは繰返しませぬから」
と刻まれているのに。
今日は75回目の広島原爆忌。