風音土香

21世紀初頭、地球の片隅の
ありをりはべり いまそかり

ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ

2017-10-21 | 映画・芝居・TV


先週末の真夜中にNHK BSで放送された
この映画を録画し、とりあえず駆け足でざっと鑑賞。
1998年ごろの映画だからちょっと古いものだ。
映画は見てなかったけど、当時CDは聴いていたので
(しかも大好きで、かなりヘビロテで聴いていた)
流れる曲が懐かしくもあり
また歌や演奏している人たちの顔や演奏姿が見られ
すごく良かった。後でゆっくり見よう。永久保存。

特にこの写真に写っているイブライム・フェレールや
コンパイ・セグンドの声にとても惹かれていたので
実際の彼らが(年配者だとは聴いていたものの)演奏当時に
イブライムが71歳、コンパイに至ってはなんと91歳と知り、
ひっくり返るほど驚いた。
なにせ声が若い。
一緒に演奏し、プロデュースしたライ・クーダーが
「キューバのナット・キング・コール」と称したイブライム、
大人の男の色気たっぷり、艶っぽいコンパイなど、
キューバの片隅から見いださなければ、
誰にも知られることがなかったアーティストだったに違いない。
イブライムなんてライ・クーダーに発見されるまで
靴磨きの仕事をしていたというから驚きだ。
(この辺は伝説のBluesmanサン・ハウスみたい)

CDだけではなく、映画を見て良かったことは
彼らひとりひとりの人生が語られていること。
そして何より、とても楽しそうに演奏しているシーン。
アメリカによる経済封鎖で貧しい国キューバは
映画が撮影された1998年当時でも
走る車は1950〜60年ごろの、まるでクラシックカー。
それもボコボコになったボディーにペインティングされている。
スラムのようなダウンタウン、路上に立ちすくむ人々の姿。
でもね、どこか心の豊かさみたいなものを感じるんだ。
語られる人生は、現代日本に暮らす我々にしたら悲惨なものだけど
彼らはそれを当たり前のものとして受け入れ、自然に生きている。
「音楽は最高さ」と笑顔なのだ。
そこには周囲からがんじがらめに枠にはめられる日本とは違い
レールなどない中で、自分の力で生きてきた強さも感じる。
そしてカリブの強烈なリズムと哀愁漂うメロディー。
91歳にして「生きている限りロマンスは必要さ」と不敵に笑い、
「まだ子どもを作りたい」と語るコンパイに脱帽。
なるほど色気たっぷりなわけだ。

彼らの音楽には、人間の根源的なものが全て詰まっている
・・・というと言い過ぎだろうか。
でもそれだけの強さと哀しみに溢れてるんだよなぁ。
キューバ・・・行ってみたい。
コメント
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