因幡屋ぶろぐ

劇評かわら版「因幡屋通信」主宰
宮本起代子による幸せの観劇記録。
舞台の印象をより的確により豊かに記せますよう・・・

龍馬伝第47回『大政奉還』

2010-11-23 | テレビドラマ

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 山内容堂の書いた建白書によって徳川慶喜が大政奉還を決意、龍馬や海援隊の面々、中岡慎太郎は歓喜するが、幕府はもちろん薩摩藩の西郷吉之助や大久保利通は「坂本を生かしておいたのはまちがいだった」と渋い顔、長州藩の伊藤俊輔は怒り狂い、木戸貫治は「坂本くん」とひとことつぶやいて、ぞっとするほど冷たい表情をみせる。

 小さなことであってもそれまでのやり方を変えるのは大変だ。すべての人にとって最善の方法をみつけることはむずかしい。徳川幕府が政権を朝廷に返上する。250年も続いた武士の世の中が終わるというのは、具体的にどういうことなのか。人々の毎日の暮らしはどうなるのか。大きなことを成し遂げることはもちろん素晴らしいことだが、大変なのはむしろそのあとだ。思うようにならないこと、「こんなはずではなかったのに」と愕然とすることなど、想定外の事象が次々と起こるだろう。龍馬は「新しい日本の夜明けぜよ」と喜びを溢れさせるが、もし自分がその場にいたらと想像すると、喜びや達成感よりも不安と恐ろしさで足ががくがくするような思い。
 もし龍馬が暗殺されず、明治維新後も生きていたらどんなことをしたのだろうか。新撰組からからだを張って龍馬を守った勝麟太郎が、「おまえさん、これから何をする?」という問いかけはそのまま自分の問いであり、答が得られないことをわかっていてもなお、「そのあとの龍馬を知りたい」という気持ちを掻きたてられる。

 そのドラマの主人公が時代のヒーロー、ヒロインであることをしっかりと示す描写になるのが王道なのであろうが、慶喜の側近である永井玄蕃頭(石橋蓮司)に、龍馬は将軍が大政奉還を受け入れるように説得してほしいと直談判する。それも新撰組が警護する永井の行列に突然である。こういう単独行動をしては、土佐の参政後藤象二郎の面目をつぶすのではないかしら・・・と心配になるのだった。実際のところはどうだったのだろう。

 誰もが諸手をあげて大政奉還を喜んでいない、どころかそれを推し進めた龍馬をけしからん、邪魔ものだみなす空気が渦のように巻き起こる。龍馬を暗殺したのが誰であるのjか、史実はいまだ謎のままであるが、どの立場のものが狙っても不思議はない状況が描かれて最終回になだれ込む。

 龍馬伝が最終回を迎えるにあたって、テレビ雑誌や情報番組でもその話題を大々的に取り上げている。いささか賑やか過ぎないかと思うが、本日NHKのスタジオパーク生出演の福山雅治は浮つかず偉ぶらず謙虚に淡々と落ち着いて、大役を務め終えた安堵とともに貫録すら漂わせていた。自分も心を鎮め、最終回に備えましょう。

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