因幡屋ぶろぐ

劇評かわら版「因幡屋通信」主宰
宮本起代子による幸せの観劇記録。
舞台の印象をより的確により豊かに記せますよう・・・

龍馬伝第42回『いろは丸事件』

2010-10-18 | テレビドラマ

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 初仕事を得て大坂に向かった「いろは丸」は、瀬戸内海で紀州藩の「明光丸」と衝突して沈没してしまう。徳川御三家であることを楯に、紀州藩は一千両の見舞金でことを収めようとするが、龍馬たち海援隊は後藤象二郎を巻き込み、日本初の蒸気船どうしの海難事故訴訟に立ち向かう。

 紀州藩の面々は「たかが脱藩浪士どもが」と龍馬たちを最初から見下した態度をとり、後藤象二郎も「失敗したら腹を切れ」という。やっと船を手に入れて、さあこれからというときに沈没してしまうとは、からだじゅうから力が抜けるほど落胆することだろう。しかも相手は紀州藩である。大打撃だ。しかし龍馬はそれをも大政奉還に結びつけるチャンスとして活かしたわけで、相変わらず福山龍馬がよくも悪くもいいところ独り占めの印象。

 第4部にはいってから、その回の終わりの岩崎弥太郎の語りは、「龍馬暗殺まで、あと何カ月」とカウントダウンに入った。正直なところ高杉晋作が亡くなってから、自分の「龍馬伝」に対する思い入れはそうとうダウンしてしまったのだが、10月5日朝日新聞掲載の「オピニオン 異議あり」の紙面で、高知出身の精神科医・評論家の野田正彰さんの手厳しい坂本龍馬論を読み直して、あと少し頑張ろうと思った。少し大袈裟な言い方だが、2010年の自分の毎日は「龍馬伝」なくしては考えられず、それくらい夢中になった。しかし一方で「これでいいのかなぁ」と思うことも多く、「ドラマだからといって、何をやってもいいはずはない。」「龍馬というイメージが過去にどう利用されてきたかをちゃんと知ってほしい。」という野田さんの発言を読むと、「せっかくおもしろくみているのに」と気勢がそがれるというより、むしろ安心する自分に気づくのだった。

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