国技館で昭和天皇が相撲をご観戦され、立ち上がってお帰りになられるときに、誰彼となく「天皇陛下万歳!」の声が上がったものである。それは強制されたものではなく、日本人としての素朴な感情の発露であった。それと同じように、先月28日の「主権回復・国際社会復帰を記念する式典」で、「天皇陛下万歳!」を参列者が三唱したのは、自然な現象であり、それを問題視するのが間違っている。天皇陛下は、政治権力者としてではなく、過去から現在まで、日本文化の連続性を保持し、日本人が結束するための究極的な拠り所であった。それが未来に伝えるべき日本の国柄なのである。中共や韓国が批判しようとも、それに屈するわけにはいかない。「よろこびもかなしみも民と共にして年はすぎゆきいまはななそじ」は、70歳におなりになられた昭和天皇がおつくりになられた歌である。今上陛下におかれても、同じ思いをお持ちになっていられる。そして、よく引用されるのが、山上憶良が千二百数十年前に遣唐大使に送った「好去好来」の長歌の冒頭である。「神代より 言ひ伝(つ)て来(く)らく、そらみつ やまとの国は、皇神(すめかみ)の いつくしき国 言霊(ことだま) 幸はふ国と、語り継(つ)ぎ 言ひつがひけり。今の世の 人もことごと、目の前に 見たり知りたり」。平成の世の私たちも、天皇陛下をお慕いする気持ちは変わらないのであり、それが日本人を日本人たらしめているのである。
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