一時は保守派にも人気のあった橋下徹大阪市長は、軽はずみな発言が重なって、いくら正論を吐いても、信用されなくなってしまった。橋下ほど既成の権威に楯突くことを主張した政治家はいない。左右両方に支持者がいたのではないだろうか。それが原発の再稼働でサヨクから絶縁状を渡され、今度は「従軍慰安婦問題」では、落としどころを探しあぐねている。前言を撤回すれば、保守派が黙っていないだろう。口から出たものは、取り返しがつかないのである。テレビのコメンテーターとして出演していたときから、下半身のこととなると、大声でエキサイトしていたのが印象に残っている。風俗利用者として、自己弁解の意味も込められていたのだろう。橋下の発言は大部分はあたっている。しかし、女性への気遣いがない。それでは、女性からソッポを向かれて、あたりまえだ。その点では北一輝は違っていた。『国家改造案原理大綱』において、「母トシテ又妻トシテノ婦人ノ生活を保證シ、婦人ガ男子ト平等ノ国民教育ヲ受クルナラバ其ノ妻トシテノ労働母トシテノ労働ガ人格的尊敬ヲ以テ認識セラルルノハ論ナシ」と述べるとともに、「婦人ハ家庭ノ光ニシテ人生ノ花ナリ」と言ってはばからなかったのである。風俗云々という言葉は、間違っても出てくることはなかった。浪漫的革命家にとっては、女性を道具として扱うことなど、露ほども考えられなかったのである。
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