冗談もいい加減にすべきだろう。今日も会津若松市の飯盛山に出かけてきたが、あまりにも閑散としていて、原発事故の影響の大きさを、改めて思い知らされた。しかし、そんな現実があるにもかかわらず、「東洋経済」の7月21日号の記事では、それとは逆のことが書いてあって、怒りを通り越して、呆れてしまった。見出しがまたふるっている。「最悪期を抜け出した会津若松の観光業、廃業続出の懸念はね返し予想外の回復ぶり」なのだそうだ。よくよく読めば、東山温泉の来客数が爆発的に増えたというのではない。昨年11月以降、月間の来客数が前年同月を上回っただけなのである。その傾向は鶴ヶ城天守閣の入場者数も同じようで、昨年9月から前年同月を上回る月が多いのだという。だが、具体的にどれだけ増えたかという数字は、まったく示されてはいない。そして、許せないのは、今年の4月から5月までのデータに基づいていることだ。福島第一原発の4号機の危機が取り沙汰されたのは、6月あたりからだ。春のゴールデン連休に、少しばかり盛り返したときがあったが、それも限られた期間であった。多くの会津の観光施設は、東京電力からの補償によって、かろうじて息をついているのである。その記事の末尾で「週刊東洋経済執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります」と断っているにせよ、あまりにもお粗末だ。「東洋経済」と言えば、石橋湛山や高橋亀吉が健筆をふるったことで有名だが、その名を辱めるとんでもない記事であり、間違った情報を発信して、誰が喜ぶというのだろう。
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