今日は歴史に残る日になるだろう。香港の民衆が無届けデモをしてまで決起できるか、さもなければ中国共産党の力の前に屈するか、どのような展開になるか注目されるからだ。昨日はデモの指導者が相次いで逮捕された。そのなかには5年前に雨傘運動を指導したアグネス・チョウさんも含まれていた。その日のうちに釈放されたものの、集会への参加を扇動した罪で起訴された。香港を全体主義国家に組み入れようと、習近平は必死なのである▼ハンナ・アレントは『暗い人々の時代』(阿部斉訳)において、恩師であったヤスパースの言葉を引用している。「それらのものはコミュニケーションにとって何を意味するであろうか。それらはコミュニケーションを助けるものであろうか。それとも妨げるものであろうか。それらはコミュニケーションを孤独へひきこむものであろうか。それともコミュニケーションへと奮起させるものであろうか」▼言論が制限され、言いたいことが言えなくなれば、他者とのコミュニケーションは困難になってしまう。人は一人では人間ではないのであり、他者との交わりを通して真理を手にできるのである。殺される覚悟でデモを行う香港の民衆は、その大切さを私たちに教えてくれたのである。「赤か死か」という選択を、香港の民衆は迫られている。今日何が起きるかまったく予想が付かないが、自由を守るために、彼らは死をも厭わないのである。
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