悠々人生

気が多すぎて「時間破産」状態。もっとゆっくりとした人生が目標です。

戸塚洋二さんの死

2008-07-16 21:26:03 | Weblog
 戸塚洋二さんの名を知ったのは新聞の訃報記事だった。1段20行ほどの簡単な記事でノーベル賞候補の物理学者、死因は大腸がん、年齢が66歳とあり、大腸がんでも亡くなることがあるのだ、それにしても「若いのにな~」と受け止めた。

 ところが文藝春秋の8月号にその戸塚さんと立花隆さんの対談が載っていた。タイトルは、ノーベル賞に最も近い物理学者が闘う生と死のドラマ、がん患者「余命十九ヶ月」の記録、である。

 驚くのは余命19ヶ月といわれても冷静に自分の病状を観察していることで、CTのデータをデジタル化して腫瘍サイズの変化を見たり、抗がん剤の服用による腫瘍の大きさの変化などをデータ化している。

 医師は数値を使わず目で見た感じや勘に頼るが、医療系の人と理数系の人が一緒に仕事をする、そして最終判断は医師が下すという提案は考えさせられる。それにしても抗がん剤を薬品名別に、しかもその効果を記録することは普通では中々出来ないと思う。

 余命を月数で宣言された時にはがんはすでに全身に広がっていて治療の手段はなかったらしい。それにしても余命何ヶ月と宣言され、日が一日一日と進んでいく時の時の気持ちはどうだったのだろう。最終的には7ヶ月延びた寿命だったが最後の数ヶ月、どのように過ごされたのか、ご本人は書くことが出来ないが、親族の方が続きを書いてくださらないだろうか―と思う。

 そんな戸塚さんもなぜ死が怖いかについて「自分の命が消滅した後でも世界は何事もなく進行していく」「自分が消滅した後の世界を垣間見ることは絶対に出来ない」と書物に書かれているという。私も同じことを思う。

 「悟りとは平気で生きていること」「まだまだ修行中」という戸塚さんの生き方は、壮絶な病気との闘いをしているからからこそ言える言葉だろう。「まだまだ修行中」をモットーにしていきたい。
コメント
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